JP2015018179A - コンタクトレンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】ピンホール効果を発揮できて、しかも、サングラス効果によって、円錐角膜や不正乱視を原因とする不規則な光の入射を阻止できるようにする。
【解決手段】半透明性の部材を含む遮光材料からなる遮光率の異なる2つの遮光部本体18a,18bと、角膜の中心と網膜の中心とを結ぶ光軸を含む遮光部本体18aの位置に設けられ、入射光を透過させるピンホール12を有し、遮光部本体18aの外周囲に遮光部本体18bが配置され、ピンホール12を通る光が曲らずに直進し網膜上の本来の焦点上も通過するというピンホール効果が得られる遮光率の範囲内に遮光部本体18aの遮光率が設定され、遮光部本体18bが青色系及び黄色系の少なくともいずれか一方の光エネルギーを弱めて特定の波長の光の入射を阻止するというサングラス効果が得られる遮光率の範囲内に遮光部本体18bの遮光率が設定されるものである。
【選択図】 図1
【解決手段】半透明性の部材を含む遮光材料からなる遮光率の異なる2つの遮光部本体18a,18bと、角膜の中心と網膜の中心とを結ぶ光軸を含む遮光部本体18aの位置に設けられ、入射光を透過させるピンホール12を有し、遮光部本体18aの外周囲に遮光部本体18bが配置され、ピンホール12を通る光が曲らずに直進し網膜上の本来の焦点上も通過するというピンホール効果が得られる遮光率の範囲内に遮光部本体18aの遮光率が設定され、遮光部本体18bが青色系及び黄色系の少なくともいずれか一方の光エネルギーを弱めて特定の波長の光の入射を阻止するというサングラス効果が得られる遮光率の範囲内に遮光部本体18bの遮光率が設定されるものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、角膜に装着して使用される視力補正用のコンタクトレンズに関する。詳しくは、レンズ本体に対する遮光部本体の遮光率を最適に設定して、ピンホール効果を十分発揮できるようにした。その上で、角膜不正乱視、特に円錐角膜の患者に対しての視力補正用として適応でき、加えて、強烈な光が眼内に入ることをコントロール(制限)することにより、光による網膜へのダメージから眼を保護することを目的としたピンホールコンタクトレンズに適用可能なものである。
ヒトが視認する被写体像は、角膜から入射された被写体光が角膜と水晶体で屈折されて硝子体に入る。そして、硝子体の裏面側の網膜で結像され、結像された視覚情報が視神経経由で大脳に送られることにより視覚として認識される。このとき、被写体光が網膜より前方や後方で結像すると、近視や遠視となる。角膜は眼球最前面に位置し、透明で厚さが5.5mm前後の柔らかい組織からなる。また、角膜や水晶体に歪みが生じると、網膜に焦点が合わず乱視となる。
ところで、一般的に補正可能な乱視とは、概ねラグビーボール状に角膜が歪んでいるため、その曲率の小さい方向にのみレンズで屈折矯正度数、すなわち円柱度数を加えれば視力が補正できる程度の症例をいう。しかし、角膜に規則性の無い歪みを持つ角膜不正乱視や、部分的な突出がある円錐角膜の場合には、その不規則性にレンズでは対応できず、眼鏡による矯正や視力補正ができない場合が多い。
円錐角膜は、角膜が原因不明に突出していく疾患として知られている。眼鏡あるいはソフトコンタクトレンズで補正できた視力が補正できなくなり、眼科を受診して初めて円錐角膜と診断される場合が多い。円錐角膜の検査には手持ち型のケラトスコープと呼ばれる簡易な非侵襲的検査器が用いられる。ケラトスコープは、同心円状の光の環をいくつか角膜に投影し、角膜表面の形態を観察するものである。
従来から円錐角膜は外下方の角膜が突出してくることが多いことが知られている。最近、日本人の体型の変化と同様に若年者の角膜が徐々に大きくなり、欧米人にみられる中央部突出型が増加している。円錐角膜の症状が進行すると角膜は円錐状に突出し薄くなり、透明な角膜が白く混濁していく。混濁により矯正視力が低下する場合が多い。
一方、視力補正に用いられるソフトコンタクトレンズは、レンズ自体が柔軟性を持つ柔らかい素材であるため、レンズが不規則に歪んだ角膜に沿って、共に歪むようになる。ゆえに、角膜への入射光が角膜へ入射する場所によって不規則な方向に屈折する。これにより、角膜不正乱視や円錐角膜に対してソフトコンタクトレンズは視力補正として使用することが難しい。
そのため、円錐角膜の患者は不規則に歪んだ角膜上でも歪まない形状保持力を持つPMMA(Polymethylmethacrylate:ポリメチルメタクリレート;ポリメタクリル酸メチル)製レンズやRGP(Rigid Gas Permeable Lens:酸素透過性レンズ)と呼ばれる、いわゆるハードコンタクトレンズを装用させる方法が採られる。この方法によれば、正確に球面加工されたレンズ表面により、角膜への入射光が規則性を持って曲げられ、眼内で焦点を結ぶため視力が補正できるようになる。
視力補正のそれ以外の方法としては、屈折矯正手術という方法もあるが、円錐角膜は角膜中心部が薄いため、施術後の角膜の強度を維持するために必要とされる角膜厚を残すことができない。これにより、円錐角膜患者はレーシック(LASIK)を含め屈折矯正手術の非適応眼とされ、除外対象とされている。このように、円錐角膜患者の場合、視力補正用具又はその補正方法としては、ハードコンタクトレンズ以外の選択肢が無いのが現状である。
なお、特許文献1には視力補正用のコンタクトレンズキットが開示されている。このコンタクトレンズキットによれば、透明なコンタクトレンズ本体と、そのコンタクトレンズ本体の中央部分に不透明レンズ部が設けられ、当該コンタクトレンズが散瞳状態で用いられる。角膜中央部や水晶体中央部に局所的な混濁により視力が不良であるような場合であっても、手術せずに視力を補正できるというものである。
図7は、ヒトの眼の円錐角膜の説明例を示す断面図である。図7において、図中の二点鎖線は、健常者の角膜40の位置である。円錐角膜の患者は、その突出厚をαとしたとき、症例にもよるが健常者よりα=1〜3mm程度、突出している。円錐角膜に罹った角膜40に光が入射すると、角膜40を通過した光は水晶体42及び硝子体44を通過して網膜46に到達するが、不規則な光が眼内で焦点が合うことなく散乱する場合が多い。
上述の網膜46は桿体細胞46a及び錐体細胞46bからなり、角膜40より入射した光を像や色または明るさとして認識する。桿体細胞46aは視細胞の一種であり、網膜46上に存在し、色素としてロドプシンを有し、単独の視物質のみを発現させるため色覚には関与しない。桿体細胞46aは感度が高い。暗所では錐体細胞46bはほとんど働かず桿体細胞46aが機能する。このため暗所では、物の形は判っても色ははっきりとは判別されない。
錐体細胞46bも視細胞の一種であり、網膜46の中心部である黄斑47に密に分布する。錐体細胞46bは異なる波長特性を持つ視物質を発現するため色覚の基礎となる。錐体細胞46bは感度が低いため充分な光量を必要とする。網膜46は強い光エネルギーによりダメージを受けやすい。たとえば、「太陽の光を直接見てはいけない」と言われるのは、強烈な光エネルギーによって網膜46がダメージを受けてしまうからである。また、たとえわずかでも、紫外線や青色系の光(ブルーライト)を浴び続けるとその積み重ねは網膜46にダメージを与え、加齢とともに増える眼病「加齢黄斑変性」の原因になる場合もあることが知られている。
ところで、一般的な近視又は近視性乱視のヒトの角膜40に、ハードコンタクトレンズを処方する際に、一つの目安として、角膜40とレンズ内面とができるだけ広い面積で接するように処方されるが、ハードコンタクトレンズを円錐角膜患者に処方する場合、次のような問題がある。
i.球形に近い角膜40、すなわち健常眼の角膜の上に、球形の内面形状を持つハードコンタクトレンズを乗せた場合、角膜40とレンズ内面とは広く接する。しかし、円錐角膜の場合、角膜40の中央部に近い場所が過度に突出しているため、その角膜40上に球面形状を持つハードコンタクトレンズを乗せても、健常眼程の接触面積を得られる場合が少ない。更には突出した角膜40の中心部付近が局部的にレンズ内面と接触し、瞬きの度にその突出部とレンズの接触部に眼瞼による圧力が加わるため、強い痛みが伴う場合が多い。
ii.また、円錐角膜の患者が特許文献1に見られるようなソフトコンタクトレンズを何らの工夫無しに使用しても良好な視力が得られないのは、角膜40に不規則な歪みが生じているためである。角膜中央部は入射光を遮光できても、その周辺部では角膜40の場所によって不規則な方向に屈折してしまうためである。この不規則な方向への屈折は、眼内に入射する角膜40の面積が広いほど現れやすい。従って、円錐角膜や不正乱視を原因とする不規則な光が眼内に入射すると、網膜46、特に、桿体細胞46aにダメージを与えるという問題がある。
iii.更に、光エネルギーが比較的強く波長の短い光線が円錐角膜に入射し、水晶体42及び硝子体44を透過して錐体細胞46bに到達すると、黄班にダメージを与えて黄班変性症を発生するという問題がある。
なお、本件出願人は角膜に装着して使用する角膜矯正用コンタクトレンズに関する特許出願(特願2013−110965号)を行っており、現在、出願審査中である。先願はピンホール効果が得られる内側の遮光部本体の遮光率に対してその外周囲の遮光部本体の遮光率を最適に設定し、更に、眼内に入射する光エネルギーを最大限取り込むために、必要最低限の遮光率と遮光部面積を設定している点で技術的な特徴を有している。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、不規則な光の眼内への入射を阻止できるようにすると共に、特定の波長の光が角膜や水晶体を透過して網膜へ到達するのを阻止できるようにしたコンタクトレンズを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1に記載のコンタクトレンズは、角膜に装着可能なコンタクトレンズであって、散瞳時の瞳孔径よりも大きい径を有し、前記角膜への入射光を遮光する遮光部と、前記遮光部の径よりも大きい径を有して前記遮光部の前面および後面を被覆し、かつ、前記入射光を透過する光透過材料からなるレンズ本体とを備え、前記遮光部は、半透明性の部材を含む遮光材料からなる遮光率の異なる2つの遮光部本体と、前記角膜の中心と網膜の中心とを結ぶ光軸を含む第1の前記遮光部本体の位置に設けられ、前記入射光を透過する開口部を有し、前記第1の遮光部本体の外周囲に第2の前記遮光部本体が配置され、前記第1の遮光部本体の開口部を通る光が曲らずに直進し網膜上の本来の焦点上も通過するという効果をピンホール効果とし、前記第2の遮光部本体が青色系及び黄色系の少なくともいずれか一方の光エネルギーを弱めて特定の波長の光の入射を阻止する効果をサングラス効果とするとき、前記ピンホール効果が得られる遮光率の範囲内に前記第1の遮光部本体の遮光率が設定され、前記サングラス効果が得られる遮光率の範囲内に前記第2の遮光部本体の遮光率が設定されるものである。
請求項2に記載のコンタクトレンズは請求項1において、前記第1及び第2の遮光部本体を含む前記遮光部の全体の遮光率をρcとしたとき、前記遮光率ρcは、50%≦ρc≦80%に設定されるものである。
請求項3に記載のコンタクトレンズは請求項2において、前記第1の遮光部本体の遮光率をρ1とし、前記第2の遮光部本体の遮光率をρ2としたとき、前記遮光率ρ1は80%≦ρ1<100%の範囲に設定され、前記遮光率ρ2は70%≦ρ2<95%の範囲に設定され、前記遮光率ρ1及びρ2との間において、ρ1>ρ2となる大きさの関係に設定されるものである。
請求項4に記載のコンタクトレンズは請求項1において、前記レンズ本体の径をDaとしたとき、径Daが13.5mm≦Da≦15.0mmの大きさの範囲に設定され、
前記遮光部の径をDbとしたとき、径Dbが6.0mm≦Db≦11.0mmの大きさの範囲に設定されるものである。
前記遮光部の径をDbとしたとき、径Dbが6.0mm≦Db≦11.0mmの大きさの範囲に設定されるものである。
請求項5に記載のコンタクトレンズは請求項1から3のいずれか1項において、前記開口部の径をDcとしたとき、径Dcが2.0mm以下の範囲に設定されるものである。
本発明に係るコンタクトレンズによれば、ピンホール効果が得られる遮光率の範囲内に第1の遮光部本体の遮光率が設定され、サングラス効果が得られる遮光率の範囲内に第2の遮光部本体の遮光率が設定されるものである。
この構成によって、中心部の光だけを網膜の中心部分に入射させるピンホール効果を発揮することが可能となり、更に、サングラス効果によって、円錐角膜や不正乱視を原因とする不規則な光の入射を阻止することも可能となる。これにより、従来方式のような不規則な光が角膜や水晶体を透過して網膜へ到達するのを阻止できるので、網膜を保護することも可能となる。しかも、眩しさの原因となる特定の波長の光が角膜や水晶体を透過して網膜へ到達することを阻止できるため、黄班変性症の発症を防止できるようになる。これにより、円錐角膜用に効果的なピンホールコンタクトレンズを提供できるようになる。
以下、図1〜図6を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
[ピンホールコンタクトレンズ100の構成例]
図1に示すピンホールコンタクトレンズ100は、コンタクトレンズの一例を構成し、特に円錐角膜に罹ったヒトの眼に装着可能なピンホールコンタクトレンズである。図1において、ピンホールコンタクトレンズ100は遮光部10及びレンズ本体16を備えている。ピンホールコンタクトレンズ100によれば、図4に示すような角膜40の中心部の光だけを網膜46の中心部分に入射させるピンホール効果を発揮でき、しかも、サングラス効果によって、円錐角膜や不正乱視を原因とする不規則な光の眼内への入射を阻止できるようにした。すなわち、角膜40より眼内に入射する光のうち、角膜40の中心部付近へ入射する光以外を遮断またはその中心部の光に比べ、その光エネルギーを低減させる。このことで、角膜中心部からの入射光だけが網膜46に到達されれば、円錐角膜でも良好な視力を取得できるという技術的発想に基づいている。
図1に示すピンホールコンタクトレンズ100は、コンタクトレンズの一例を構成し、特に円錐角膜に罹ったヒトの眼に装着可能なピンホールコンタクトレンズである。図1において、ピンホールコンタクトレンズ100は遮光部10及びレンズ本体16を備えている。ピンホールコンタクトレンズ100によれば、図4に示すような角膜40の中心部の光だけを網膜46の中心部分に入射させるピンホール効果を発揮でき、しかも、サングラス効果によって、円錐角膜や不正乱視を原因とする不規則な光の眼内への入射を阻止できるようにした。すなわち、角膜40より眼内に入射する光のうち、角膜40の中心部付近へ入射する光以外を遮断またはその中心部の光に比べ、その光エネルギーを低減させる。このことで、角膜中心部からの入射光だけが網膜46に到達されれば、円錐角膜でも良好な視力を取得できるという技術的発想に基づいている。
遮光部10は、散瞳時の瞳孔径よりも大きい径を有しており、角膜40への入射光を制限するものである(図4及び図5参照)。遮光部10は遮光率の異なる二つの遮光部本体18a,18bと、遮光部本体18aの中心位置に設けられたピンホール12から構成されている。
遮光部本体18aの周辺は視野狭窄を防ぐために半透明であることが好ましい。遮光部本体18aの外周囲には遮光部本体18bが配置される。図2の(A)において、Daはレンズ本体16の径(外径)であり、Db1は遮光部本体18aの径であり、Db2は遮光部10の径であって、遮光部本体18bの径Dbでもある。径Daは、瞬きによるレンズ本体16の上下移動を最小限にするために、角膜40よりも大きいことが好ましい。
Dcはピンホール12の径(遮光部10の内径)である。この例で、径DcをDc≦2.0mmの大きさの範囲に設定する。この範囲の設定は、角膜40の中心部付近の延長上に存在する網膜中心窩に対して、できるだけ並行な面からのみ光を眼内に取り入れるためである。それ以上の面積を持たせると不規則な角膜面からの光が眼内に入射するようになり、適切なピンホール効果が得られなくなる。例えば、径Dcを1.2mm≦Dc≦1.8mmの範囲に設定すると、多焦点レンズの加入度数に相当する近見視力を得ると共に、近視、遠視による遠方視力の向上および乱視補正の効果を得るようになる。
例えば、ピンホール12の径Dcを1.2mm〜1.8mmの大きさの範囲で変化させた際に、その径Dcの大きさの変化により、おおよそ1.00〜3.00Dの加入度数に相当する近方視力が得られることが分かった。なお、図2の(B)は、図2の(A)に示したピンホールコンタクトレンズ100のX1−X1矢視断面図である。図2の(A)に示すピンホール12の中のCはピンホールコンタクトレンズ100の中心点である。
ピンホール12は、開口部の一例であり、図4及び図5に示すように、遮光部本体18a,18b(レンズ本体16)の中心であり、かつ、角膜40の中心と網膜46の中心とを結ぶ(眼軸;光軸)Oを含む遮光部本体18aの中心位置に穿設(開口)されている。ピンホール12の孔形状は、入射光の回折を防止するため、正円であることが好ましい。
ピンホール12は、角膜40への入射光の光束を一定量に制限して網膜46に像を結像させる機能を有すると共に、ピンホール12の径Dcの大きさに応じて多焦点レンズの加入度数に相当する効果を奏するものである。ピンホール12は、遮光部本体18aの中心において、入射光を透過させるように機能する。この機能によれば、入射光のうちレンズ本体16の中心を通る光は、曲がらずに真っ直ぐに進み、網膜46上の本来の焦点上も通過することが知られている。このピンホール12を通すことで、その中心の入射光だけを選択して他の光を遮断(制限)する効果が得られる。以下、これをピンホール効果と呼ぶこととする。
遮光部本体18a,18bは、角膜40の表面形状に沿わせるように、例えば、図2の(B)に示す曲面を有した平面視円形状の部材であって、角膜40への入射光を制限するために半透明性の部材を含む遮光材料からなる。遮光部本体18a,18bの材質としては、すでに安全が確立され実際の虹彩付きソフトコンタクトレンズに使用されている材料が好適に用いられる。例えば、カーボンブラック、アゾ系着色剤(赤系)やフタロシアニン系着色剤(青系)の材料を用いることができる。その組み合わせによって調合された物でも良い。また、製造方法としては、染色やプリント加工などの方法があるが、何れも染料や着色材により、レンズ本体16の表面または裏面に摩擦につながる凹凸ができないようにする。
遮光部本体18a,18bの厚みは、レンズ周囲(後述する透過部16c等)の光線を遮断(制限)するサングラス効果が得られる厚みであれば、薄くすることが好ましい。ここにサングラス効果とは、遮光部本体18bが青色系及び黄色系の少なくともいずれか一方の光エネルギーを弱めて特定の波長の光の眼内への入射を阻止する効果をいう。
このサングラス効果によって、角膜40より眼内に入射する光を遮断またはその光エネルギーの強さを低減(制限)させることができ、光によるダメージから網膜46を保護することができる。すなわち、遮光部本体18bの遮光率ρ2が高いほどその効果として期待できる。そこで、ピンホール効果とサングラス効果(網膜保護)という2つの効果と、日常生活を送る上での明るさの確保とを両立させるための遮光部10の全体(濃度)として遮光率をρcとすると、遮光率ρcは50%以上に設定される。
なお、ピンホールコンタクトレンズ100の可視光線透過率をσ[%]としたとき、遮光率ρc[%]と可視光線透過率をσ[%]との間にはσ=(100−ρc)という関係が有り、可視光線透過率σは50%以下に設定される。つまり、遮光部10はピンホール12の直近とその周辺とで可視光線透過率σを変化させても良いが、中心に近いほど可視光線透過率σを下げるようにする。
この例ではサングラス効果を上げるために、中心に近いほど可視光線透過率σを低下させることで、「色の3原色である赤(R)・緑(G)・青(B)の色を正しく認識できる範囲が何%である。」というように遮光部本体18a,18bの遮光率ρ1,ρ2を設定(限定)するとよい。すなわち、光は色として区別することができる。網膜46には、赤色波長(610nm)近傍の光に共鳴してその光のエネルギーを吸収し興奮する細胞と、緑色波長(550nm)近傍の光を共鳴吸収して興奮する細胞と、青色波長(450nm)近傍の光を吸収共鳴して興奮する細胞がある(錐体細胞)。その光のうち波長580nm付近の黄色系の相対的な光エネルギーは他の色に比べて強いため、黄緑色や黄色やオレンジ色等は可視光線透過率σを低下させても色としては認識しやすい。
しかし、波長500nm以下の青色系の紫色や青色、深い緑色等や、波長650nm以上の赤色系の光を持つ深い赤色は可視光線透過率σを下げると、正確な色として判断(判別)し難くなる。可視光線透過率σとしては、色認識として50%以上を必要とするが、ピンホール効果を得るために、遮光部本体18a,18bを含む遮光部10の全体の遮光率をρcとしたとき、遮光率ρcは50%≦ρc≦80%に設定される。この範囲の遮光率ρcを得るため、遮光率ρ1は例えば80%≦ρ1<100%の範囲に設定し、遮光率ρ2は70%≦ρ2<95%の範囲に設定する。
なお、遮光部本体18a,18bとが単色の遮光部材(RGB色の補色)で構成される場合や、遮光部10が瞳孔径以下の場合は、ピンホール12からの光エネルギーと、その直近に設けた遮光部本体18aからの光エネルギーの強さに差が無くなるため、ピンホール効果が得られなくなる。そこで、遮光率ρ2の遮光部本体18bから入射する光エネルギーの強さと、遮光率ρ1の遮光部本体18aから入射する光エネルギーの強さとの間にわずかでも差を付けることにより、ピンホール12からの光だけを認識できるようにする(ピンホール効果)。
この例では、遮光部本体18bの径Db2は視野狭窄を防ぐためにレンズ本体16の径Da以下であることが好ましい。しかも、眼内に不規則な光の入射を防ぐために、瞳孔43よりも大きい概ね0.5mm以上の直径を有した方が良い。この例で、遮光部10の径Db(=Db2)は、6.0mm≦Db≦11.0mmの大きさの範囲に設定される。
径Dbは、眼内に入射する光エネルギーを遮蔽または最小限とするための遮光率ρ1,ρ2及び最大限の遮光部10の面積Sbを得るように設定される。遮光部本体18aは、ピンホール効果を考慮して、また、遮光部本体18bの径Db2は、サングラス効果や年齢に応じて変化する散瞳時の瞳孔径(暗所での瞳の大きさ)等を考慮して設定される。なお、ピンホールコンタクトレンズ100が単色の場合、すなわち、遮光部本体18bが存在しない場合、遮光部本体18aの径Db1が5.0mm未満である場合には、ピンホール効果が得られなくなることが確認されている。もちろん、遮光部本体18bが存在する場合は、遮光率ρ2によるが5.0mm未満であっても、ピンホール効果が得られる。
上述したピンホール効果を得るためには、被写体と網膜46の間に設けた、ピンホール12からほぼ直線で入射する光と、それ以外の周辺部から入射する光とを区別しなくてはならない。一般的にピンホールの原理を利用したピンホールカメラ等では、中心に設けたピンホールから入射する光と、それ以外から入射する光エネルギーとを100対0という方法で区別している。
つまり、ピンホール12以外から入射する光を完全に遮光することで、ピンホール効果を得ているが、光学機器とは異なり、ヒトの眼は、わずかな優位性があれば、その光だけを認識することができる。具体的には、網膜46に入射する光の強さが、ピンホール12からの光エネルギーの強さと、それ以外からの光エネルギーの強さにわずかでも差(ピンホール12からの光エネルギー>それ以外からの光エネルギー)を付けることで、ピンホール12からの光だけを認識できるようになる。
例えば、ピンホール12からの光エネルギーを100%とし、それ以外からの光エネルギーの強さも100%の場合、光エネルギーとしての差が無いため、ピンホール効果は得られないが、仮にピンホール12からの光エネルギーの強さを100%とし、それ以外からの光エネルギーの強さが90%の場合、そこには10%の光エネルギーの差が生じる。このため、ピンホール12からの光エネルギーを認識し、わずかではあるがピンホール効果を得ることができる。当然その差が大きいほど、ピンホール効果は得られやすいが視界は暗くなり、視野は狭くなる。
レンズ本体16は、遮光部10の径よりも大きい径を有して遮光部10の前面および後面を被覆し支持する。例えば、レンズ本体16は角膜40の表面形状に沿うような曲面(曲率)を有した平面視円形状の部材であって、入射光を透過させる光透過材料により構成されている。レンズ本体16には、一般的なソフトコンタクトレンズに使用される素材が適用される。その材質は含水性ソフトコンタクトレンズに使用される、ハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N−ビニルピロリドン(N−VP)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)、グリセロールメタクリレート(GMA)、シリコンハイドロゲル(SH)等が好適である。
また、レンズ本体16の材質として、非含水性ソフトコンタクトレンズや、含水性ソフトコンタクトレンズに使用される、シリコンラバー、ブチルアクリレート、ジメチルシロキサンも好適に用いられる。なお、光を透過させることが可能であれば、透明でなくても、青や赤等の色付きの材質を利用しても良い。
レンズ本体16は、交換型や使い捨て型のソフトコンタクトレンズとして用いられる。近視や遠視、乱視の度数の軽いヒトの場合には、度数を加えなくても遠方または近方両方の視力を得られると考えられる。それ以外の場合には、ユーザの近視や遠視の状態に応じた度数をレンズ本体16に加えることもできる。遮光部本体18bの周辺部に位置するレンズ本体16の透過部16cは、サングラス効果を高めるために省略してもよい。
この例では、図2に示したレンズ本体16の径Daは、ソフトコンタクトレンズに限定しているため、13.5mm≦Da≦15.0mmの大きさの範囲に設定される。すなわち、径Daは、遮光部本体18bの径Db2よりも大きく、かつ、図4に示すように、少なくとも角膜40のD1径(例えば12mm)よりも大きく選定され、例えば14mm程度に選定される。これは、レンズ本体16の径Daを角膜径未満とした場合、レンズが角膜40上で大きく動き、角膜40の中心とピンホール12の中心Cとが大きくずれて、安定した視力を確保できないからである。
また、レンズ本体16の径Daを15mm超とした場合、レンズ本体16を角膜40に装着することが困難となるからである。このような径Daを有するレンズ本体16は、レンズ本体16を構成する前面部と後面部とにより、遮光部本体18a,18bの前面および後面を挟持(被覆)するようにして遮光部本体18a,18bと一体に成形される。
ここで、図3の(A)〜(C)を参照して、ピンホールコンタクトレンズ100の遮光部本体18a,18bの配置例について説明する。図3の(A)に示す遮光部本体18a,18bの第1の配置方法によれば、ピンホールコンタクトレンズ100の後面部としての半球面状のレンズ部材(以下レンズ後面部16bという)の上に、ピンホール12を有した環状の遮光部本体18aと遮光部本体18bとを同心円状に配置する。
このとき、遮光部本体18aの外縁部と、遮光部本体18bの内縁部とが突き合わされ、擦り合うように配置する。遮光部本体18aには、例えば、遮光率100%のアゾ系着色剤(赤系)やフタロシアニン系着色剤(青系)を用いた印刷部材をレンズ部材上に被着し、遮光部本体18bには、例えば、遮光率80%の上述の印刷部材を同様に被着する。印刷部材の被着は、既存の印刷工程によって行うことができる。そして、遮光部本体18a、遮光部本体18b上に前面部としての半球状のレンズ部材(以下レンズ前面部16aという)を形成するようにする。
図3の(B)に示す遮光部10の第2の配置方法によれば、上述した半球面状のレンズ後面部16bの上に、まず、ピンホール12を有した環状の遮光部本体18bを重ねて配置する。そして、遮光部本体18b上にピンホール12を有した環状の遮光部本体18aを配置する。その後、半球面状にレンズ前面部16aを形成するようにする。印刷部材については上述した通りである。
図3の(C)に示す遮光部10の第3の配置方法によれば、レンズ後面部16bの上に、まず、ピンホール12を有した環状の遮光部本体18aを配置する。そして、遮光部本体18a上にピンホール12を有した環状の遮光部本体18bを重ねて配置する。その後、レンズ前面部16aを形成するようにする。印刷部材については上述した通りである。図中、16cは透過部である。上述の透過部16cは省略してもよい。
このように遮光部10をレンズ本体16の前面部と後面部との間に挟み込むことにより、遮光部10をレンズ本体16の内部に埋め込んだ状態としている。つまり、レンズ本体16の厚み方向における略中心に遮光部10を配置させることで、遮光部10を外部に露出させない構造としている。これらにより、レンズ本体16の前面部や後面部に余計な摩擦が生じることを防止できるので、ピンホールコンタクトレンズ100が光軸からずれることを回避することができ、安定した視力を確保できる。さらに、レンズ本体16が角膜40に固着することを防止できるので、安全性を確保できる。
この例では、遮光部本体18aの遮光率ρ1はピンホール効果が得られる遮光率の範囲内に設定され、遮光部本体18bの遮光率ρ2は、サングラス効果が得られる遮光率の範囲内に設定される。例えば、遮光部10の全体の遮光率ρcを50%≦ρc≦80%に設定するために、遮光部本体18aの遮光率ρ1の範囲が80%≦ρ1<100%に設定され、遮光部本体18bの遮光率ρ2の範囲が70%≦ρ2<95%に設定される。Db2=11mmの場合、ρ2=60%未満(Db2=6mmの場合は、ρ2=50%未満)であると、遮光部10の全体の遮光率ρcが50%未満となってしまい、十分なサングラス効果が得られないことが計算上で確認されている。下限値は余裕を持ってρ2≧70%とした。上限値をρ2<95%としたのは、ピンホール効果を得るために遮光率ρ1及びρ2との間において、ρ1>ρ2となる大きさの関係に設定したためである。
このように設定したのは、遮光部本体18aの中心で十分なピンホール効果を得て、その外周部でサングラス効果を得るためである。なお、遮光部本体18aの遮光率ρ1が50%未満ではピンホール効果が得られなくなることが確認されている。
この例で、円錐角膜用のピンホールコンタクトレンズ100の光学特性を決定する場合、遮光部本体18aの遮光率をρ1[%]とし、ピンホール12の面積をΔsとし、この面積Δsを除く遮光部本体18aの面積をS1とし、遮光部本体18bの遮光率をρ2[%]とし、遮光部本体18bの全体の面積からΔsを除いた面積をS2として、当該遮光部本体18bの面積S2に対する遮光部10の遮光率をρc’[%]としたとき、遮光率ρc’は(1)式、すなわち、
ρc’={(ρ2×(S2−S1)+(ρ1×S1)}/S2
・・・・・・(1)
で与えられる。
ρc’={(ρ2×(S2−S1)+(ρ1×S1)}/S2
・・・・・・(1)
で与えられる。
この例では、レンズ本体16の全体の面積をSaとし、ピンホール12の面積Δsを除く遮光部10の面積をSbとして、当該レンズ本体16の全体の面積に対する遮光率をρc[%]としたとき、遮光率ρcは、(2)式、すなわち、
ρc=ρc’×(Sb/Sa) ・・・・・・(2)
で与えられる。さらに、レンズ本体16の全体の可視光線の透過率をσ[%]としたとき、透過率σは、(3)式、すなわち、
σ=(100−ρc) ・・・・・・(3)
で与えられ、当該ピンホールコンタクトレンズ100の光学特性を決定できるようになる。
ρc=ρc’×(Sb/Sa) ・・・・・・(2)
で与えられる。さらに、レンズ本体16の全体の可視光線の透過率をσ[%]としたとき、透過率σは、(3)式、すなわち、
σ=(100−ρc) ・・・・・・(3)
で与えられ、当該ピンホールコンタクトレンズ100の光学特性を決定できるようになる。
例えば、レンズ本体16の径Da(角膜40のD1径でもよい)が14mmで、遮光部本体18aの径Db1が4mmで、その遮光率ρ1が100[%]で、遮光部本体18bの径Db2が11mmで、その遮光率ρ2が70[%]で、ピンホール12の径Dcが1.4mmであるピンホールコンタクトレンズ100において、遮光部本体18bの面積S2に対する遮光部10の遮光率ρc’[%]は、(1)より、ρc’=73.541[%]となり、レンズ本体16の全体の面積に対する遮光率ρc[%]は、(2)より、ρc=54.118[%]となり、レンズ本体16の全体の可視光線の透過率をσ[%]は、(3)式より、σ=45.881[%]となる。同条件で、Db2が6mmの場合は、ρc’=82.383[%]、ρc=60.625[%]、σ=39.370[%]である。この条件の場合、ρ2=45.424%を境界にしてρc=50%が得られなくなる。従って、最もサングラス効果に影響を及ぼすDb2=6mmの場合のρ2を余裕を持って70%以上に設定する。
なお、遮光率ρ2を除く、他の寸法値及びパラメータを同一条件にして、遮光率ρ2=60[%]を設定すると、遮光率ρc=47.064%が得られ、ピンホール効果は得られるものの目標とするサングラス効果が得られないことが計算上で確認されている。すなわち、遮光部本体18a,18bの遮光率ρ1,ρ2を、ρ1>ρ2の条件を保ちながら徐々に下げて行くと、遮光部10の全体としての遮光率ρcが下がってくる。可視光線透過率σが上ってくると共に、ピンホール効果が得られ難くなり、サングラス効果も下がってくる。サングラス効果もピンホール効果も遮光部10の全体としての遮光率ρcが100%に近づくほど良くなる。
[ピンホールコンタクトレンズ100の機能例]
次に、図4、図5及び図6を参照して、本実施の形態に係るピンホールコンタクトレンズ100をヒトの眼400に装着したときの機能例について説明する。ピンホールコンタクトレンズ100は上述の光学特性を有したもので、図4及び図5に示すように特に円錐角膜症を罹ったヒトの眼400の角膜40上に装着される。もちろん、健常者のヒトの眼400の角膜40上に装着してもよい。図5において、42は水晶体、43は瞳孔、44は硝子体、46は網膜である。なお、眼400の構造については、その説明を省略する。
次に、図4、図5及び図6を参照して、本実施の形態に係るピンホールコンタクトレンズ100をヒトの眼400に装着したときの機能例について説明する。ピンホールコンタクトレンズ100は上述の光学特性を有したもので、図4及び図5に示すように特に円錐角膜症を罹ったヒトの眼400の角膜40上に装着される。もちろん、健常者のヒトの眼400の角膜40上に装着してもよい。図5において、42は水晶体、43は瞳孔、44は硝子体、46は網膜である。なお、眼400の構造については、その説明を省略する。
図中の二点鎖線は健常者の角膜40の位置であり、円錐角膜症を罹ったヒトの眼400の角膜40は、αだけ前方位置に突出している点が特徴となる。ρc=54.118[%]のピンホールコンタクトレンズ100を装着することで、ρ1=100%の遮光部本体18aのピンホール効果によって、中心部の光だけを網膜46の中心部分に入射させることができる。すなわち、遮光部本体18bが無い場合に比べて規則性を持たない光の入射を遮光部本体18bで遮断できるようになる。
像(光)は、図6に示すように、レンズ前面部16a、ピンホール12およびレンズ後面部16bを通過して角膜40に入射される。角膜40に入射した像は、角膜40、瞳孔43および水晶体42を経て眼球内部の硝子体44に入り、硝子体44の裏面側の網膜46上に結像される。
このとき、ピンホール12により眼球内部に入射する光量(光速)は拡散されずに一定に制限されるので、遠方を見る場合や近方を見る場合においても網膜46上の同じ位置で常に像が結像される。そのため、ピンホールコンタクトレンズ100を使用することで、軽い近視や遠視、乱視、老眼の何れのヒトに対しても焦点位置を網膜46上に合わせることができるようになるので、軽い近視や遠視、乱視、老眼の何れの視力補正にも対応することが可能となる。
また、図6に示すようにサングラス効果によって、ρ1=100%の遮光部本体18aを含むその周囲に配置されたρ2=70%の遮光部本体18bからの光が遮断される。遮光部本体18bは青色系(波長500nm以下)及び黄色系(波長580nm付近)の少なくともいずれかのエネルギーの強い光が角膜40や水晶体42を透過して網膜46へ到達するのを阻止する。紫外線や青色系の光(ブルーライト)の進入を阻止できることで、「加齢黄斑変性」の原因を取り除くことができる。
このように実施の形態としてのピンホールコンタクトレンズ100によれば、遮光部本体18aの遮光率ρ1はピンホール効果が得られる80%≦ρ1<100%の範囲に設定され、遮光部本体18bの遮光率ρ2はサングラス効果が得られる70%≦ρ2<95%の範囲に設定されるものである。
この構成によって、中心部の光だけを網膜46の中心部分に入射させるピンホール効果を発揮できて、しかも、サングラス効果によって、円錐角膜や不正乱視を原因とする不規則な光の入射を阻止できるようになる。これにより、従来方式のような不規則な光が角膜40や水晶体42を透過して網膜46へ到達するのを阻止できるので、網膜46を保護できるようになる。
しかも、眩しさの原因となる波長500nm以下の青色系及び波長580nm付近の黄色系の光が角膜40や水晶体42を透過して網膜46の中心窩へ到達するのを阻止できるので、黄班変性症の発症を防止できるようになる。これにより、ソフトコンタクトレンズのように柔軟なタイプの円錐角膜用のピンホールコンタクトレンズを提供できるようになる。
なお、遮光部本体18a,18bにフィルム状の遮光部材を使用する場合について説明したが、これに限られることはなく、これらに偏光部材を使用してもよい。偏光部材を使用すると、ピンホール効果を発揮できて、しかも、周辺が明るい場合は、眼内を暗くし、周辺が暗い場合は眼内を明るくする自動明るさ調整機能付きのピンホールコンタクトレンズを提供できるようになる。また、遮光部本体18a,18bを単色、すなわち、遮光部本体18bを省略して遮光部10とする場合は、遮光部本体18aの遮光率ρ1についてピンホール効果及びサングラス効果が得られる70%≦ρ1<100%の範囲に設定するとよい。
100・・・ピンホールコンタクトレンズ、10・・・遮光部、12・・・ピンホール(開口部)、16・・・レンズ本体、16c・・・透過部、18a,18b・・・遮光部本体、40・・・角膜、43・・・瞳孔、46・・・網膜、O・・・光軸
Claims (5)
- 角膜に装着可能なコンタクトレンズであって、
散瞳時の瞳孔径よりも大きい径を有して、前記角膜に入射する入射光を遮光する遮光部と、
前記遮光部の径よりも大きい径を有して前記遮光部の前面および後面を被覆し、かつ、前記入射光を透過させる光透過材料からなるレンズ本体とを備え、
前記遮光部は、
半透明性の部材を含む遮光材料からなる遮光率の異なる2つの遮光部本体と、
前記角膜の中心と網膜の中心とを結ぶ光軸を含む第1の前記遮光部本体の位置に設けられ、前記入射光を透過させる開口部を有し、
前記第1の遮光部本体の外周囲に第2の前記遮光部本体が配置され、
前記第1の遮光部本体の開口部を通る光が曲らずに直進し網膜上の本来の焦点上も通過するという効果をピンホール効果とし、
前記第2の遮光部本体が青色系及び黄色系の少なくともいずれか一方の光エネルギーを弱めて特定の波長の光の入射を阻止するという効果をサングラス効果としたとき、
前記第1の遮光部本体の遮光率は前記ピンホール効果が得られる遮光率の範囲に設定され、
前記第2の遮光部本体の遮光率は前記サングラス効果が得られる遮光率の範囲に設定される
ことを特徴とするコンタクトレンズ。 - 前記第1及び第2の遮光部本体を含む前記遮光部の全体の遮光率をρcとしたとき、前記遮光率ρcは、50%≦ρc≦80%に設定される請求項1に記載のコンタクトレンズ。
- 前記第1の遮光部本体の遮光率をρ1とし、前記第2の遮光部本体の遮光率をρ2としたとき、
前記遮光率ρ1は80%≦ρ1<100%の範囲に設定され、
前記遮光率ρ2は70%≦ρ2<95%の範囲に設定され、
前記遮光率ρ1及びρ2との間において、ρ1>ρ2となる大きさの関係に設定される請求項2に記載のコンタクトレンズ。 - 前記レンズ本体の径をDaとしたとき、径Daが13.5mm≦Da≦15.0mmの大きさの範囲に設定され、
前記遮光部の径をDbとしたとき、径Dbが6.0mm≦Db≦11.0mmの大きさの範囲に設定される
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。 - 前記開口部の径をDcとしたとき、径Dcが2.0mm以下の範囲に設定される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ。
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- 2013-07-12 JP JP2013146600A patent/JP2015018179A/ja active Pending
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