JP5478913B2 - 光検出装置 - Google Patents

光検出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5478913B2
JP5478913B2 JP2009047909A JP2009047909A JP5478913B2 JP 5478913 B2 JP5478913 B2 JP 5478913B2 JP 2009047909 A JP2009047909 A JP 2009047909A JP 2009047909 A JP2009047909 A JP 2009047909A JP 5478913 B2 JP5478913 B2 JP 5478913B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
cooling
light
housing
length
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009047909A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010203835A (ja
Inventor
徹 廣畑
康晴 根木
実 新垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Photonics KK filed Critical Hamamatsu Photonics KK
Priority to JP2009047909A priority Critical patent/JP5478913B2/ja
Publication of JP2010203835A publication Critical patent/JP2010203835A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5478913B2 publication Critical patent/JP5478913B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)

Description

本発明は、外部からの光を取り入れて検出する光検出装置に関するものである。
従来から、外部からの微弱光を検出するための様々な対策が施された検出装置が開発されている。例えば、2本の光導入プローブから入射した光を遮光気密容器内部の受光素子で受光し、この受光素子で得られた受光信号の差分を増幅する微弱光検出装置が知られている(下記特許文献1参照)。この微弱光検出装置の光導入プローブには、遮光気密容器の外側の周囲を覆うチューブが設けられ、2つの光導入プローブ内の光ファイバ束の温度を安定化して2つの光導入プローブに入る背景光を同じレベルとした後、2つ信号光のレベルのバランスを取るようになっている。
また、筐体内に光電管を内蔵する光検出装置であって、光電管のノイズ発生の防止のために筐体内の光電管を受光面板側から冷却するための冷却素子を内蔵する装置が開示されている(下記特許文献2参照)。さらに、ストリーク管の光電面が形成される面板内に光ファイバが埋め込まれ、面板の外側はファイバケーブル部分を除く遮光用物質で被覆することにより、迷光やもれ光の影響を少なくしたストリーク管や(下記特許文献3参照)、光信号が流れる光ファイバの端面上に光電面を形成することにより熱雑音を低下させた光検出装置(下記特許文献4参照)が知られている。
特開平11−101686号公報 特開2004−163272号公報 特開昭61−183857号公報 国際公開WO2004/013590号パンフレット
しかしながら、上述したような従来の装置では、近赤外領域の微弱光の検出を行う際に、光検出器や受光素子自体の感度の上昇に伴って、光検出器や受光素子を取り巻く物体からの黒体輻射の影響が大きくなる結果、暗電流が増大してしまう傾向にある。すなわち、黒体輻射は外部から光検出器や受光素子に至るまでの領域において発生しうるが、特許文献1に記載の微弱光検出装置では、光ファイバから受光素子の近傍までの広範囲における黒体輻射による影響を除去することは困難である。また、特許文献2〜4に記載された装置においても、外部や光ファイバ自体からの背景光(黒体輻射)による暗電流の発生を防止することは困難である。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、微弱光の検出の際の暗電流の発生を低減することが可能な光検出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の光検出装置は、筐体内に光検出器を内蔵する光検出
装置であって、光検出器に対して、筐体の内部で接続される光ファイバと、筐体内の光フ
ァイバの所定長さの範囲に対して接触する冷却部とを備え、冷却部は、光ファイバを背景
光除去手段として機能させ、光ファイバの所定長さの冷却長(cm)は、光ファイバのコア径(μm)に対して下記式(1);冷却長=24.3×{1−exp(−0.0028×コア径)}…(1)に示す値に設定される、ことを特徴とする。或いは、本発明の光検出装置は、筐体内に光検出器を内蔵する光検出装置であって、光検出器に対して、筐体の内部で接続される光ファイバと、筐体内の光ファイバの所定長さの範囲に対して接触する冷却部とを備え、冷却部は、光ファイバを背景光除去手段として機能させ、光ファイバの所定長さの冷却長(cm)は、光ファイバのコア径(μm)に対して下記式(2);冷却長=0.0143×コア径…(2)に示す値に設定される、ことを特徴とする。
このような光検出装置によれば、光ファイバが筐体内において光検出器に接続され、筐体内の所定長さの範囲において冷却部によって冷却されているので、光ファイバを、外部から光検出器までの間で発生した背景光を除去する背景光除去手段として機能させることができる。その結果、微弱光の検出時の暗電流を低減することができる。
光ファイバは、所定長さの範囲において冷却部に巻回されている、ことが好適である。この場合、光ファイバの冷却範囲の長さを確保することができるので、微弱光検出時の暗電流を効率的に低減することができる。
また、光検出器は、光電面が形成された面板を有し、光ファイバは、その端部が面板に対向して配置されている、ことも好適である。かかる構成を採れば、光ファイバの端部から光検出器の間での背景光の影響を少なくすることができるので、暗電流をより一層低減することができる。
本発明によれば、微弱光の検出の際の暗電流の発生を低減することができる。
本発明の好適な一実施形態に係る光検出装置の一部破断側面図である。 図1の光電子増倍管の接続状態を詳細に示す側面図である。 図1の光検出装置と同条件のシステムにおける暗電流の温度特性を示すグラフである。 図1の光検出装置と同条件のシステムにおける暗電流の温度特性を示すグラフである。 図1の光検出装置と同条件のシステムにおいて冷却長を変化させた場合の暗電流の変化を示すグラフである。 図1の光検出装置と同条件のシステムにおいてコア径を変化させた場合の必要冷却長の変化を示すグラフである。 図1の光検出装置と同条件のシステムにおいてコア径を変化させた場合の従来方式に比べSN比を1桁改善させるに必要な必要冷却長の変化を示すグラフである。 本実施形態の原理を説明するためエネルギーバンドモデルを示す図である。 本発明の変形例である光検出装置を示す一部破断側面図である。 本発明の変形例である光検出装置を示す一部破断側面図である。 本発明の比較例に係る光検出装置の一部破断側面図である。 図11の光電子増倍管の光学的な接続状態を詳細に示す側面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る光検出装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の好適な一実施形態に係る光検出装置の一部破断側面図、図2は、図1の光電子増倍管の接続状態を詳細に示す側面図である。
図1に示す光検出装置1は、近赤外領域の微弱光を検出するための装置であり、外部から光を導入するための光ファイバケーブル2と、光ファイバケーブル2の一端側が内部に挿入される筐体3と、筐体3内に配置され、光ファイバケーブル2に導入された光を検出して検出信号を出力する光電子増倍管(光検出器)4、冷却素子(冷却部)5、及び冷却ブロック(冷却部)6A,6Bとを備えている。
筐体3は、内部が気密に封止された直方体状の真空容器であり、この筐体3の一端面3aには光ファイバケーブル2が、シーリング(図示せず)を介して気密に貫通されている。この光ファイバケーブル2は、筐体3の外側の端部2aから光が入射されると、筐体3の内側の端部2bまでその光を導光して端部2bから出射する。光ファイバケーブル2としては、様々なコア径を有するシングルモードファイバや、マルチモードファイバが採用されうるが、本実施形態においては暗電流低下の観点からコア径が比較的小さいシングルモードファイバが好適に用いられる。なお、光ファイバケーブル2は、物理的に1本のケーブルが筐体3を貫通する場合には限定されず、一端面3aに気密に光ファイバ用コネクタを装着し、筐体3の内外で2本の光ファイバケーブルを接続したものを光ファイバケーブル2としてもよい。
筐体3の一端面3aに対して反対側の端面3bには、リード線7Aを介して光電子増倍管4の動作に必要な高電圧を供給し、リード線7Bを介して冷却素子5を駆動する電力を供給するための複数のリードピン8を有する気密コネクタ9と、リード線7Cを介して光電子増倍管4からの信号を取り出す気密コネクタ10とがそれぞれシーリング(図示せず)を介して気密に装着されている。そして、筐体3内は真空引きされて真空状態に保持されている。ここで、筐体3は、少なくとも冷却素子5が接触する底面側の面板3cの全部又は一部が例えばアルミニウム合金や銅合金などの熱伝導性の高い金属材料で構成されている。
このような筐体3の内部において、面板3cの内面には、吸熱部5a及び放熱部5bを有する冷却素子5が、放熱部5bを面板3cに押圧された状態で固定されている。この冷却素子5は、気密コネクタ10及び温度調節器(図示せず)を介して供給される電流によりペルチェ効果を発揮して、一方の面板の吸熱部5aが温度低下し、他方の面板の放熱部5bが温度上昇するペルチェ素子で構成されている。
冷却素子5の吸熱部5aには、平板状の冷却ブロック6Aが吸熱部5aに面接触した状態で固定され、この冷却ブロック6Aの冷却素子5に対して反対側の面上には、冷却ブロック6Bが固定されている。冷却ブロック6Bは、冷却ブロック6Aに面接触する固定片11の端部から支持突片12が略直角に突出する側面視L字状に形成されている。これらの冷却ブロック6A,6Bは、例えばアルミニウム合金や銅合金などの熱伝導性の高い金属材料で構成されている。
筐体3内に挿入される光ファイバケーブル2は、筐体3内の所定長さの範囲が冷却ブロック6Aの側面に巻回されることにより冷却ブロック6Aの側面に接触している。この冷却ブロック6Aに巻回させる長さは、光ファイバの種類に応じて適宜設定されるが、例えば150cmに設定される。
一方、冷却ブロック6Bの支持突片12には、光電子増倍管4が固定されている。この光電子増倍管4は、例えば石英ガラス製の受光面板4Aが金属製の円筒状の側管4Bの一端部に装着されたヘッドオン型の光電子増倍管である。この光電子増倍管4は、受光面板4Aの内面に形成された光電面および側管4Bに内蔵されたダイノード(図示せず)などによって波長約1.7μmまでの近赤外領域の微弱光も電気信号と検出可能に構成されている。また、光電子増倍管4への印加電圧を外部から制御し、光電子増倍管4の検出信号を筐体3の外部へ導くために、光電子増倍管4はリード線7を介して気密コネクタ9に設けられたリードピン8に接続されている。
このような光電子増倍管4は、その受光面板4Aの表面を支持突片12の面に接触させた状態で固定されている。また、支持突片12に光ファイバケーブル2が端部2b側から挿入されることにより、光ファイバケーブル2が光電子増倍管4に対して光学的に接続される。詳細には、図2に示すように、支持突片12には貫通孔13が設けられ、光ファイバケーブル2は、その端部2bを受光面板4Aに接して対向させた状態で貫通孔13に挿入固定されている。これにより、光ファイバケーブル2の端部2bから出射される光が損失無く光電子増倍管4に導かれるようになっている。さらに、支持突片12の受光面板4Aとの接触面に対して反対側の面には、略円錐状の遮光片14が固定されており、光ファイバケーブル2以外からの光が貫通孔13を通じて光電子増倍管4内に入射しないようにその光を遮蔽するように構成されている。
以上説明した光検出装置1においては、冷却素子5が駆動されることにより、光電子増倍管4が冷却ブロック6A,6Bを介して受光面板4A側から冷却されると同時に、光ファイバケーブル2の筐体3内の所定長さの範囲が冷却ブロック6Aを介して冷却される。このように光ファイバケーブル2を筐体3内で冷却することで、光ファイバケーブル2を背景光除去手段として機能させることができ、外部や光ファイバケーブル2自体から発生する黒体輻射(背景光)の影響を低減させて検出信号における暗電流を低減することができる。
以下に、本実施形態の光検出装置1の効果を、比較例と比較しつつ説明する。
図11は、比較例に係る光検出装置901の一部破断側面図、図12は、図11の光電子増倍管の光学的な接続状態を詳細に示す側面図である。この光検出装置901は、筐体903の一端面903aに光入射窓915が設けられ、この光入射窓915を介してコリメートされた入射光が、筐体903内の鏡筒916に収容されたレンズ917によって光電子増倍管4の受光面板4Aに形成された光電面に集光されるように構成されている。筐体903の底面側の面板903c上には冷却素子5及び冷却ブロック6Bが順に配置されている。冷却ブロック6Bは固定片11と支持突片12とから構成され、支持突片12の両側に鏡筒916及び光電子増倍管4がそれぞれ固定されている。図12に示すように、支持突片12の中央には貫通孔913が設けられており、光入射窓915によってコリメートされた入射光はレンズ917、貫通孔913を経由して光電子増倍管4の受光面板4Aに照射される。
上記光検出装置901において検出信号における暗電流を測定したところ、光電子増倍管4の温度が−60°Cの時、2.5E−8[A]であった。次に、光検出装置901において黒体輻射の影響が全くないように貫通孔913を金属箔で覆った状態で−60°Cにおける暗電流を測定したところ、7.1E−11[A]であった。背景光輻射は温度によってスペクトルが変わり、−60°Cの金属箔からは光電子増倍管4の感度波長域における背景光は殆どゼロと見なすことができ、検出器本来の暗電流を測定することができる。この結果より、光検出装置901は貫通孔を通して光検出器に入射光を導くという工夫や、受光面板を冷やすという工夫はされているものの、依然として背景光の影響を強く受けていることが分かる。
次に、冷却された光ファイバを介して光を導入するシステムを製作して、本実施形態にかかる光検出装置1と同様な条件における暗電流の評価を行った。すなわち、冷却した乾燥窒素を用いた冷却器内に光ファイバを挿入し、その冷却器内で光ファイバを光電子増倍管4の受光面板4Aに密着させることにより、光ファイバの冷却器に挿入された部分と光電子増倍管4とを同じ温度に冷却した。なお、光ファイバとしてコア径10μm、全長1kmのシングルモードファイバを用い、先端の20cmだけを−60°Cの冷却器内に挿入し、冷却器外部の光ファイバは常温の暗幕で遮光した。このシステムにおける暗電流は−60°Cで6.4E−11[A]と、検出器本来の暗電流の値と誤差範囲内で一致した。さらに、温度を変えながら同様の測定を行ったところ、全ての温度領域においても、光ファイバの先端を冷却器内で接続して所定長さを冷却することにより、黒体輻射による暗電流の増加は認められず、大幅な暗電流低減の効果が得られることが見出された(図3参照)。図3には、冷却された金属箔で覆って黒体輻射の影響を取り除いた場合の暗電流の温度特性を点線で示し、上記システムにおける暗電流の温度特性を実線で示している。
また、同様な測定をマルチモードファイバを用いて行った。上記と同様なシステムを採用して、全長3m、コア径600μmのマルチモードファイバを先端の20cmだけ冷却器内に挿入した場合、シングルモードファイバほどの効果は見出せなかったが、大幅な暗電流の低下が確認された。図4には、マルチモードファイバの場合の暗電流の温度特性を示している。
さらに、上記システムにおいて、マルチモードファイバのコア径を62.5μm〜600μmまで段階的に変化させた場合の光ファイバの冷却長に対する暗電流の変化を測定した(図5)。ファイバの冷却温度は−60°Cである。この時用いた光ファイバの全長は2mもしくは4mであるが、冷却器内に挿入されているファイバの長さが同じであれば、冷却器の外側のファイバの長さを変えても、暗電流は全く変わらなかった。また、この測定結果において暗電流が低レベルに安定する冷却長をコア径毎に調べたところ、図6に示すような結果が得られた。これにより、コア径が大きくなるほど暗電流が低減されるに必要な冷却された光ファイバの長さ(冷却長)が長くなることが理解される。例えば、コア径600μmの場合は暗電流が低減される冷却長が20cmであり、コア径62.5μmの場合は5cmであり、結果として光ファイバの冷却長は最低でも5cm以上であることが好ましいことが見て取れる。図6に示されたコア径(μm)と冷却長(cm)の関係から、下記のような関係式(1)が得られる。
冷却長=24.3×{1−exp(−0.0028×コア径)} …(1)
上記式(1)で規定される長さ以上の冷却長があれば、暗電流の低減の効果は最大限発揮できる。本願の効果が引き出せる暗電流が信号電流より多い微弱光検出領域においては、S/N(信号対ノイズ比)は暗電流のマイナス1/2乗で改善される。すなわち暗電流が1/100になればS/Nは1桁改善される。光検出において1桁のS/Nの改善は非常に大きな検出能力の改善で意味がある。そこで、図6に示された測定条件と同じ冷却温度―60°Cにおける従来検出器の暗電流である2.5E−8[A]、すなわち25,000[pA]に対して1/100の暗電流となるに必要な冷却長を、図6の外挿から見積もった。その結果を図7に示す。このグラフからS/Nを1桁改善するに必要なファイバの冷却長とコア径の関係は、下記式(2)で示される。
冷却長=0.0143×コア径 …(2)
すなわち、上記式(2)で計算される長さ以上にファイバを冷却すれはS/Nは1桁以上改善される。なお、ファイバの冷却温度を−60°C以下に設定した場合においても、式(1)及び式(2)で決まる冷却長以上にファイバを冷却すると同様の効果が達成される。
このような光ファイバケーブルの冷却効果を説明する原理は未だ解明されていないが、発明者の考えでは、背景光そのものの発生原理を基に説明される。つまり、背景光、すなわち黒体輻射は完全に光の吸収がある黒体を仮定し、その熱平衡状態から決定される。この原理の説明にあたり、図8に示すように、基底状態(レベル1)と励起状態(レベル2)からなる状態を仮定したエネルギーバンドモデルを想定する。同図中、B12はレベル1からレベル2への遷移確率で光吸収の確率に相当し、B21は、レベル2からレベル1への遷移確率で自然放出確率であり、A21はレベル2からレベル1への光により誘導されて遷移する遷移確率で誘導放出の確率である。ここで、n,nを、それぞれレベル1、レベル2における電子数とすると、下記式(3)〜(5);
12 = B21 …(3)
21 = (2hν/C)B21 …(4)
/n = exp(hν/κT) …(5)
の関係が成立する。hはプランク定数、νはレベル1とレベル2のエネルギー差で決まる光の振動数、Cは真空中の光の速度、κはボルツマン定数、Tは温度である。上記式(3),(4)はアインシュタインの関係式と呼ばれるもので、上記式(5)は熱平衡の式である。今、平衡状態で強度がPなる光が存在すると、下記式(6);
12P = N21 + n21P …(6)
が成立し、これより下記式(7);
P = (2hν/C)/{exp(hν/κT)−1} …(7)
により光強度が決定される。この光強度Pが背景光の強度である。
上記のような背景光の導出式(7)から分かるように、平衡状態においては既に光の存在を仮定しており、それが外部からの光であっても無くても温度だけで決定されることになる。従って、本実施形態において光ファイバの所定範囲を冷却することにより、背景光は新たな低背景光の状態に再編され、その結果として暗電流が低下することになる。ただし、強度Pの光が吸収されるだけのレベル1の電子数nが存在することが条件となるため、光ファイバの冷却長が短い場合には流入する背景光が多くて全て吸収されないため、一部背景光が残り暗電流を押し上げることになっているものと考えられる。外部から信号光を光ファイバに伝送させる場合、信号光はそもそも熱平衡状態ではなく、この再編成は起こらないため、信号光が消されることはない。
上述した原理が本実施形態の暗電流低減の原理であると考えており、所定の長さ冷却された光ファイバケーブルを用いることで背景光を取り除くフィルタとして作用させることができ、この光ファイバケーブルの先端に光電子増倍管を結合させることにより、背景光の影響を低減させて暗電流を著しく低減させることが可能な光検出装置を実現することができる。これにより、光検出装置1によれば、従来暗電流が高くSN比の良い検出が不可能であった長波長領域の微弱光の検出が可能になる。例えば、従来に比べてSN比で20倍の改善が見られ、光を使った半導体デバイス評価の高性能化、材料分析の高精度化等に直結し産業に貢献するばかりでなく、単一光子検出が必要な量子通信分野の実用化へも繋がる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、光電子増倍管4の代わりに、光検出器としてフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等の受光素子やその他の電子管を用いてもよい。
また、筐体3として真空容器を用いて真空により断熱を行っているが、断熱の手段としては希ガスを用いて断熱を行ってもよいし、筐体内に断熱材を充填してもよい。また、筐体としては、光ファイバケーブルを冷却する部分と光検出器を収容する部分とは別体であってもよい。
また、図9に示す本発明の変形例である光検出装置101のように、筐体3の面板3c上に2つの冷却素子105A,105Bを固定し、この2つの冷却素子105A,105Bの吸熱部上に、冷却ブロック6B,6Aをそれぞれ固定して、光電子増倍管4及び光ファイバケーブル2を別々の冷却素子105A,105Bによって冷却するように構成されていてもよい。
また、図10に示す本発明の変形例である光検出装置201のように、光ファイバケーブル2を筐体3の内部において冷却ブロック6Aの表面上に直線状又は曲線状に敷設した状態で、光ファイバケーブルの所定範囲を冷却するように構成されていてもよい。
1,101,201…光検出装置、2…光ファイバケーブル、3…筐体、4…光電子増倍管(光検出器)、4A…受光面板、5,105A,105B…冷却素子(冷却部)、6A,6B…冷却ブロック(冷却部)。

Claims (7)

  1. 筐体内に光検出器を内蔵する光検出装置であって、
    前記光検出器に対して、前記筐体の内部で接続される光ファイバと、
    前記筐体内の前記光ファイバの所定長さの範囲に対して接触する冷却部とを備え、
    前記冷却部は、前記光ファイバを背景光除去手段として機能させ
    前記光ファイバの前記所定長さの冷却長(cm)は、前記光ファイバのコア径(μm)に対して下記式(1);
    冷却長=24.3×{1−exp(−0.0028×コア径)}…(1)
    に示す値に設定される
    ことを特徴とする光検出装置。
  2. 筐体内に光検出器を内蔵する光検出装置であって、
    前記光検出器に対して、前記筐体の内部で接続される光ファイバと、
    前記筐体内の前記光ファイバの所定長さの範囲に対して接触する冷却部とを備え、
    前記冷却部は、前記光ファイバを背景光除去手段として機能させ
    前記光ファイバの前記所定長さの冷却長(cm)は、前記光ファイバのコア径(μm)に対して下記式(2);
    冷却長=0.0143×コア径…(2)
    に示す値に設定される
    ことを特徴とする光検出装置。
  3. 前記光ファイバは、前記所定長さの範囲において前記冷却部に巻回されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の光検出装置。
  4. 前記光検出器は、光電面が形成された面板を有し、
    前記光ファイバは、その端部が前記面板に対向して配置されている、
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光検出装置。
  5. 前記冷却部は、冷却素子と該冷却素子に直接接触する平板状の冷却ブロックとを含み、
    前記光ファイバは、前記所定長さの範囲において前記冷却ブロックに巻回されている、
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光検出装置。
  6. 前記冷却ブロックは、前記冷却素子に面接触している、
    ことを特徴とする請求項5記載の光検出装置。
  7. 前記冷却部は、前記冷却ブロックに接触する第2の冷却ブロックをさらに含み、
    前記面板は、前記第2の冷却ブロックに面接触されている、
    ことを特徴とする請求項5又は6記載の光検出装置。
JP2009047909A 2009-03-02 2009-03-02 光検出装置 Active JP5478913B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009047909A JP5478913B2 (ja) 2009-03-02 2009-03-02 光検出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009047909A JP5478913B2 (ja) 2009-03-02 2009-03-02 光検出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010203835A JP2010203835A (ja) 2010-09-16
JP5478913B2 true JP5478913B2 (ja) 2014-04-23

Family

ID=42965470

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009047909A Active JP5478913B2 (ja) 2009-03-02 2009-03-02 光検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5478913B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4358403B2 (ja) * 2000-03-28 2009-11-04 日置電機株式会社 光検出装置
JP4663858B2 (ja) * 2000-08-30 2011-04-06 日置電機株式会社 冷却装置および光検出装置
WO2004013590A1 (ja) * 2002-08-01 2004-02-12 Hamamatsu Photonics K.K. 光検出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010203835A (ja) 2010-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106033054B (zh) 一种激光温湿度测量装置及方法
US6818885B2 (en) Photodetector
US8184774B2 (en) Dual-color pyrometric measurement of X-ray focal spot temperature
KR100494264B1 (ko) 광 검출 장치 및 이것을 사용한 촬상 장치
WO2019012914A1 (ja) 電子管
JP5478913B2 (ja) 光検出装置
JPS62118223A (ja) デュアルスペクトル光学式高温計
JPH06258446A (ja) 光導波型シンチレータとシンチレーション検出器
CN211696671U (zh) 光纤式光电探测器、探测系统、及测试系统
CN114136453B (zh) 红外探测芯片和红外探测器
WO1999059186A1 (fr) Tube electronique
JP4408261B2 (ja) 光検出装置
JP6689453B2 (ja) 放射線測定装置及び方法
JP3276418B2 (ja) イメージ管装置
JPH065888A (ja) 光検出装置及びそれを用いた電気機器の故障監視装置
JP2007333653A (ja) 放射線検出装置
CN111121962A (zh) 光纤式光电探测器、探测系统、测试系统及制备方法
KR20220157854A (ko) 광학소재의 형광특성을 이용한 온도측정 방법 및 이를 이용한 온도센서
Manchanda et al. Vacuum coupling of photo multiplier tube with monochromator for improved monitoring of VUV emission from Aditya tokamak
CN116299644A (zh) 用于测量小束斑超快脉冲γ/X射线时间谱的方法及系统
JPH03285185A (ja) 部分放電検出装置
CN115621111A (zh) 具有利用光学转换且包括多个各自容纳光纤的自由端的光学腔的电离室的检测中子的装置
JPS5869425A (ja) 放電検出装置
JP2008145213A (ja) β線検出器の熱変動によるノイズ低減構造。
JPH03125998A (ja) 原子炉中性子束計測装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130507

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130701

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5478913

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250