JP5478050B2 - フィルム状製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルム状製剤に関するものであり、特に、薬物成分としてピコスルファートナトリウムを含有する経口投与用のフィルム状製剤に関するものである。
ピコスルファートナトリウムは、大腸の蠕動運動を促すと共に水分の吸収を阻害することにより緩下作用を示し、胃や小腸ではほとんど吸収されず腸管粘膜に作用して副作用が少ないことから、便秘薬、手術後の排便補助剤、造影剤(硫酸バリウム)投与後の排便促進剤、手術前や大腸検査前の腸管内容物の排除剤として、広く用いられている。ピコスルファートナトリウムを含有する製剤の剤形としては、液剤、錠剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、顆粒剤、カプセル剤が一般的である。
ところで、近年、嚥下困難者に対しても薬物成分を経口投与し易い製剤に対する要請が高まってきている。特に、社会の高齢化の進行に伴い、老化によって嚥下機能が低下した人が増加する傾向にあることから、口腔内で崩壊または溶解し易く、物を飲み込みにくい人であっても服用し易い製剤が、強く要望されている。
本発明者らは、これまで種々の可食性フィルムについて、強度、溶解性、安定性、異なる機能を持たせた複数のフィルムの積層化などの研究を進めてきており(例えば、特許文献1,特許文献2参照)、これらの研究に基づく技術の蓄積を活かして、可食性の水溶性フィルムに更に医薬成分を含有させ、口腔内で速やかに崩壊または溶解すると共に実用的な強度を有するフィルム状製剤について提案している(特許文献3参照)。そして、上記のような用途に広く用いられ、病人や高齢者等の嚥下機能の低い人に投与する機会の多いピコスルファートナトリウムは、口腔内で速やかに崩壊または溶解する製剤とする意義が高い薬物成分である。
特開2004−248665号公報 特開2005−112957号公報 特開2008−169138号公報
しかしながら、ピコスルファートナトリウムを、可食性の水溶性フィルムに含有させようとしたところ、安定性に欠け、短期間で分解してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、ピコスルファートナトリウムを薬物成分として含有し、ピコスルファートナトリウムの安定性に優れる経口投与用のフィルム状製剤の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるフィルム状製剤は、「口腔内で崩壊または溶解させる経口投与用のフィルム状製剤であって、ピコスルファートナトリウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び、水溶液がアルカリ性を示す化合物として炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを含有してフィルム状に形成され、水溶液がアルカリ性を示す化合物が炭酸水素ナトリウムの場合は、全組成成分に対する炭酸水素ナトリウムの割合が0.15質量%〜0.6質量%であり、水溶液がアルカリ性を示す化合物が水酸化ナトリウムの場合は、全組成成分に対する水酸化ナトリウムの割合が0.1〜0.4質量%であることにより、乾燥質量1グラムが水に溶解された全量100ミリリットルの水溶液のpHが7〜9である」ものである。
本発明において、「フィルム状」とは、厚さが5μm〜500μmの薄膜状の形態を指している。
「ヒプロメロース(旧日本薬局方名「ヒドロキシプロピルメチルセルロース」)には、1828、2208、2906、2910の置換度タイプがあるが、製剤分野で一般的に使用されているものを何れも使用することができる。例えば、置換度タイプ2910としては、信越化学工業製METROSE 60SH−15(粘度15mPa・s)、60SH−25(粘度25mPa・s)、60SH−50(粘度50mPa・s)、60SH−100(粘度100mPa・s)、60SH−400(粘度400mPa・s)、60SH−1500(粘度1500mPa・s)、60SH−4000(粘度4000mPa・s)、60SH−10000(粘度10000mPa・s)、置換度タイプ2906としては、信越化学工業製METROSE 65SH−50(粘度50mPa・s)、65SH−400(粘度400mPa・s)、65SH−1500(粘度1500mPa・s)、65SH−4000(粘度4000mPa・s)、65SH−15000(粘度15000mPa・s)、置換度タイプ2208としては、信越化学工業製METROSE 90SH−100SR(粘度100mPa・s)、90SH−4000SR(粘度4000mPa・s)、90SH−15000SR(粘度15000mPa・s)等を使用可能である。なお、粘度は、日本薬局方の規定する20℃における2%水溶液の粘度であり、以下でも同様である。
「ヒドロキシプロピルセルロース」は、一般的に、粘度によって3.0〜5.9mPa・s、6.0〜10.0mPa・s、150〜400mPa・s、1000〜4000mPa・sに区分されているが、何れも製剤分野で一般的に使用されているものを使用することができる。例えば、日本曹達製HPC−SL(粘度3.0〜5.9mPa・s)、HPC−L(粘度6.0〜10.0mPa・s)、HPC−M(粘度150〜400mPa・s)、HPC−H(粘度1000〜4000mPa・s)等を使用可能である。
「水溶液がアルカリ性を示す化合物」としては、炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを使用することができる。
「pH」は、日本薬局方に規定されたpH測定法に拠って測定された値である。
本発明者らは、上記の原料でフィルム状製剤を構成させ、フィルム状製剤の水溶液のpHを7〜9の範囲とすることにより、口腔内の唾液によって実用的な速度で崩壊または溶解すると共に、長期間保存してもピコスルファートナトリウムが分解しないフィルム状製剤とできることを見出した。そして、フィルム状製剤の水溶液がpHが7より小さくなると、ピコスルファートナトリウムの安定性が著しく低下することが分かった。また、フィルム状製剤の水溶液のpHが9より大きい場合は、口腔内の唾液により崩壊または溶解したときに、人によっては口腔内の粘膜にピリピリとした刺激を感じるおそれがあると考えられる。従って、本発明によれば、ピコスルファートナトリウムを薬物成分として含有し、ピコスルファートナトリウムの安定性に優れると共に、服用し易いフィルム状製剤を提供することができる。
なお、本発明のフィルム状製剤は、上記構成に加え、可塑剤、賦形剤、乳化剤、甘味剤、嬌味剤、着色剤、香料、防腐剤等の添加剤を適量含有させることができる。例えば、可塑剤として、マクロゴール、グリセリン、プロピレングリコール等を、賦形剤として、マンニトール、乳糖、果糖、ショ糖、ブドウ糖、トレハロース等の糖類、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン等のデンプン類、結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類、タルク、酸化チタン、ポピドン、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、ゼラチン、プルラン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等を、乳化剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等を、甘味剤として、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、ソーマチン、スクラロース等を、矯味剤として、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等を、着色剤として、食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等を、香料として、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、スペアミント油、ケイヒ油、チョウジ油、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、ローズ油、ローマカミツレ油等を、防腐剤として、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル等を使用することができる。これらの添加剤は単独で使用し、あるいは併用することができる。
以上のように、本発明の効果として、ピコスルファートナトリウムを薬物成分として含有し、ピコスルファートナトリウムの安定性に優れる経口投与用のフィルム状製剤を提供することができる。
以下、本発明の最良の一実施形態であるフィルム状製剤について説明する。
本実施形態のフィルム状製剤は、経口投与用のフィルム状製剤であって、ピコスルファートナトリウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び、水溶液がアルカリ性を示す化合物を含有してフィルム状に形成され、乾燥質量1グラムが水に溶解された全量100ミリリットルの水溶液のpHが7〜9であるものである。ここで、本実施形態では、水溶液がアルカリ性を示す化合物として、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを使用している。
また、本実施形態のフィルム状製剤は、ピコスルファートナトリウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロプルセルロース、及び、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムを含む混合液を調製する混合液調製工程と、混合液をベースフィルム上に流延する流延工程と、流延された混合液を乾燥させてフィルム化する乾燥工程と、形成されたフィルム状製剤をベースフィルムから剥離する剥離工程と、フィルム状製剤を所定のサイズにカットする切断工程とを具備する製造方法により製造することができる。
より詳細に説明すると、混合液調製工程では、ピコスルファートナトリウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロプルセルロース、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウム、及び添加剤を、水または有機溶媒と混合・撹拌して溶液または懸濁液とし、脱泡処理して、混合液を調製する。
流延工程では、平滑な平面にベースフィルムを固定し、調製された混合液をベースフィルム上に均一にコーティングする。ここで、ベースフィルムは、フィルム状製剤の原液である混合液をその上面に流延することにより、フィルムを成形する原型となる面を構成するフィルムであり、例えば、鏡面研磨したステンレス製のベルトやドラム等の平滑な面上に固定された、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等のプラスチックフィルムを使用することができる。なお、フィルム状製剤の厚さは、混合液の濃度、粘度、コーティング速度に依存するため、所望の厚さとなるように適宜調整を行う。
乾燥工程では、例えば、温度及び湿度が調整された空気の対流、遠赤外線の照射によって、流延された溶液をベースフィルムごと乾燥させることにより、混合液がフィルム化され、フィルム状製剤を得ることができる。なお、剥離工程と切断工程の順序を逆とし、或いは、生産者側では剥離工程を行わない構成とすることもできる。例えば、ベースフィルムに貼着された状態でフィルム状製剤を保存し、服用時にベースフィルムからフィルム状製剤を剥離するタイプの製剤とすることもできる。
次に、組成の異なるフィルム状製剤について安定性の検討を行った結果を示し、本実施形態のフィルム状製剤を上記構成とした根拠を説明する。検討は、表1〜表4に示す複数の組成について、フィルム状製剤を製造して行った。なお、表1〜表4の何れにおいても、各成分の数値は、フィルム状製剤100g当たりの質量(g)である。
各組成において、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、日本曹達製のHPC−SL、及びHPC−Lを使用し、ヒプロメロースとしては信越化学工業製のMRTROSE 60SH−4000を使用した。製造に際しては、まず、表における(a)の原料を精製水を溶媒として混合・撹拌し、予調製液aとした。一方で、表における(b)の原料を無水エタノールを溶媒として混合・撹拌し、予調製液bとした。次に、予調製液aと予調製液bとを混合・撹拌し、脱泡処理して混合液とした。混合液を上記の方法により流延、乾燥し、厚さ約100μmのフィルム状製剤とした。
得られたフィルム状製剤を、20mm×15mmのサイズにカットし、下記の方法で、pH測定及び安定性試験を行った。
<pH測定>
恒量後のフィルム状製剤1グラムを水に溶解して全量を100ミリリットルとしたときの水溶液のpHを、日本薬局方の一般試験法であるpH測定法に準拠し、pHメータを使用して測定した。
<安定性試験(過酷試験)>
恒温槽を用いて60℃の高温下で保存し、1カ月経過後のピコスルファートナトリウムの含有量を測定し、測定結果と試験前のピコスルファートナトリウムの含有量とから残存率を算出して安定性の指標とした。なお、ピコスルファートナトリウムの含有量は、液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
Figure 0005478050
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表1の組成A〜組成Fについて、安定性試験における残存率、及び、フィルム状製剤の水溶液のpHを、図1にまとめて示す。ここで、表1の組成は、水溶液がアルカリ性を示す化合物して炭酸水素ナトリウムを用い、その添加量を変化させたものである。図1から明らかなように、組成D,E,Fは過酷な条件下でもほとんど分解することなく、95%以上の高い残存率を示した。そして、炭酸水素ナトリウムの添加量が多くpHが8を超えている組成Eと組成Fでは、残存率はほぼ100%であった。これに対し、炭酸水素ナトリウムを添加していない組成Aは、pHも約6.3と小さく残存率も低かった。また、炭酸水素ナトリウムを添加しているものの添加量の少ない組成Bと組成Cは、組成Aに比べれば残存率は増加しているものの、その残存率は組成Bで約80%、組成Cで約87%であり、製剤の安定性としては不十分であった。
次に、表2の組成G〜組成J、及び、表3の組成P〜組成Tについて、安定性試験における残存率、及び、フィルム状製剤の水溶液のpHの測定結果を、それぞれ図2及び図3に示す。ここで、表2及び表3の組成においても、水溶液がアルカリ性を示す化合物して炭酸水素ナトリウムを用いており、その添加量を変化させているが、表1の組成との相違は、ヒドロキシプロピルセルロースとしてHPC−L(日本曹達製)のみを使用している点、及び、可塑剤としてのプロピレングリコールを添加していない点、食用色素を添加している点である。加えて、表3の組成は、全組成成分に対するピコスルファートナトリウムの配合割合が、表1及び表2の組成と比べて二倍となっている。
図2及び図3から明らかなように、炭酸水素ナトリウムを添加していない組成G,Pでは、pHもそれぞれ約6.5,約6.7と小さく残存率も低いのに対し、炭酸水素ナトリウムを添加しているそれ以外の組成では、95%以上の高い残存率を示した。特に、炭酸水素ナトリウムの添加量が多い組成I,J及び組成R,S,Tでは、残存率はほぼ100%であった。
そして、[表1の組成D,表2の組成H,表3の組成Q]、[表1の組成E,表2の組成I,表3の組成R]、及び[表1の組成F,表2の組成J,表3の組成S]は、それぞれの組み合わせにおいて全組成成分に対する炭酸水素ナトリウムの配合割合が等しいが、それぞれの組み合わせでほぼ等しいpHを示すと共に残存率も同程度であった。従って、炭酸水素ナトリウムの割合が等しければ、可塑剤の添加の有無やヒドロキシプロピルセルロースの粘度など、他の条件に相違があってもpHには影響せず、pHが同程度であれば残存率も同程度であると考えられた。
表4の組成L〜組成Nについて、安定性試験における残存率、及び、フィルム状製剤の水溶液のpHの測定結果を図4に示す。ここで、表4の組成は、表2の組成と同様に組成Gをベースとしているが、水溶液がアルカリ性を示す化合物として炭酸水素ナトリウムではなく水酸化ナトリウムを使用している点で、表2の組成と相違している。
図4から明らかなように、水酸化ナトリウムを添加している組成L〜組成Nは95%以上の高い残存率を示し、特に、炭酸水素ナトリウムの添加量が多い組成M,Nでは残存率はほぼ100%であった。
上記の試験結果から、フィルム状製剤の残存率は水溶液のpHと関係しており、水溶液がアルカリ性を示す化合物が炭酸水素ナトリウムであるか水酸化ナトリウムであるかには依存しないと考えられた。そこで、表1〜表4の全組成について、フィルム状製剤の水溶液のpHと残存率との関係を、図5にまとめて示す。図5から読み取れるように、pHに対する残存率の変化は上向きに膨らんだ曲線を描いており(図示、二点鎖線)、pHが7より小さくなると、残存率は著しく低下した。また、pHが7〜8の範囲ではpHが大きくなるほど残存率も上昇し、pHが8〜9の範囲では、ほぼ100%の残存率が維持されていた。また、上記の曲線から、pHが7以上であれば残存率を95%以上とすることができ(図示、一点鎖線参照)、少なくともpH9までは高い残存率を維持できると考えられた。そして、pHが9より大きい場合は、口腔内の唾液によってフィルム状製剤が崩壊または溶解したときに、人によっては口腔内の粘膜にピリピリとした刺激を感じるおそれがある。従って、フィルム状製剤の水溶液のpHは7〜9の範囲とするのが良く、より望ましい範囲は、残存率がほぼ100%となるpH8〜9であると考えられた。
また、図5は表1〜表4の全組成を総合してまとめたものであるが、各組成の測定点はほぼ単一の曲線上に分布している。このことから、ピコスルファートナトリウムの安定性は主にpHに依存し、pHが同程度であれば他の組成成分の種類や配合割合が相違しても、同程度の安定性を示すと考えられた。
次に、水溶液のpHが7〜9のフィルム状製剤を得るために必要とされる炭酸水素ナトリウムの配合割合を知るために、表1〜表3の各組成について、全組成成分に対する炭酸水素ナトリウムの割合(質量%)とフィルム状製剤の水溶液のpHとの関係を図6にまとめて示す。図6から分かるように、本実施形態における組成では、全組成成分に対する炭酸水素ナトリウムの割合とフィルム状製剤の水溶液のpHとは、この範囲でほぼ一次の線形関係にあり、炭酸水素ナトリウム以外の成分はpH値にほとんど影響を与えていないと考えられた。そして、全組成成分に対する炭酸水素ナトリウムの割合を0.15〜0.6質量%とすることにより、水溶液のpHが7〜9の範囲であってピコスルファートナトリウムの残存率が95%以上の安定性の高いフィルム状製剤を製造できると考えられた。また、全組成成分に対する炭酸水素ナトリウムの割合を0.35〜0.6質量%とすることにより、残存率がほぼ100%となる、より望ましい範囲であるpH8〜9のフィルム状製剤を製造できると考えられた。
また、水溶液のpHが7〜9のフィルム状製剤を得るために必要とされる水酸化ナトリウムの配合割合を知るために、表4の組成について、全組成成分に対する水酸化ナトリウムの割合(質量%)とフィルム状製剤の水溶液のpHとの関係を図7に示す。上記と同様に、本実施形態における組成では、全組成成分に対する水酸化ナトリウムの割合とフィルム状製剤の水溶液のpHとは、この範囲でほぼ一次の線形関係にあり、水酸化ナトリウムの割合を0.1〜0.4質量%とすることにより、水溶液のpHが7〜9の範囲であってピコスルファートナトリウムの残存率が95%以上の安定性の高いフィルム状製剤を製造できると考えられた。また、全組成成分に対する水酸化ナトリウムの割合を0.25〜0.4質量%とすることにより、残存率がほぼ100%となる、より望ましい範囲であるpH8〜9のフィルム状製剤を製造できると考えられた。
次に、表1の各組成について、下記の方法で溶出試験を行った結果を示す。
<溶出試験>
日本薬局方の一般試験法である溶出試験(パドル法)に準拠し、溶出試験器を用いて、10分経過後のフィルム状製剤からのピコスルファートナトリウムの溶出量を測定し、測定結果と試験前のピコスルファートナトリウムの含有量とから溶出率を算出した。試験液としては水を用い、パドルの回転速度は50rpmとした。
溶出試験の結果は以下のようであり、何れも、水に対して実用的な溶出速度を示し、口腔内の唾液で崩壊または溶解し易いと考えられた。
組成A:96%
組成B:98%
組成C:99%
組成D:95%
組成E:95%
組成F:93%
以上のように、本実施形態のフィルム状製剤は、水溶液のpHが7〜9の範囲となるように調整されていることにより、ピコスルファートナトリウムの安定性が高く長期間保存することができると共に、口腔内の唾液によって実用的な速度で崩壊または溶解し、且つ、口腔内の粘膜に刺激を感じにくく、服用し易い製剤となっている。
なお、上記のように、フィルム状製剤のpHを調整するために、水溶液がアルカリ性を示す化合物として炭酸水素ナトリウムを用いる場合、炭酸水素ナトリウムは加水分解して微アルカリ性を示すため、フィルム状製剤の水溶液のpHが7〜9の範囲となるように微調整し易い。また、炭酸水素ナトリウムは、重曹やベーキングパウダーなど、一般家庭で普段から調理に使用されている馴染みのある物質であるため、需要者に抵抗感を与えることなく経口投与用の製剤に含有させられるという利点を有している。
一方、水溶液がアルカリ性を示す化合物として水酸化ナトリウムを用いる場合、組成全量に対する添加量を抑えてpHを調整できるという利点を有している。
更に、炭酸水素ナトリウム及び水酸化ナトリウムは、水に対する溶解性が極めて高いため、製剤の成形性や可塑性に影響を及ぼしにくく、製造過程における作業上の利便性が高いと共に、製造された製剤の崩壊性または溶解性に対しても悪影響を及ぼさないという利点を有している。
組成A〜組成Fについて、安定性試験における残存率、及び、フィルム状製剤の水溶液のpHを示すグラフである。 組成G〜組成Jについて、安定性試験における残存率、及び、フィルム状製剤の水溶液のpHを示すグラフである。 組成P〜組成Tについて、安定性試験における残存率、及び、フィルム状製剤の水溶液のpHを示すグラフである。 組成G,及び組成L〜組成Nについて、安定性試験における残存率、及び、フィルム状製剤の水溶液のpHを示すグラフである。 フィルム状製剤の水溶液のpHと残存率との関係を示すグラフである。 全組成成分に対する炭酸水素ナトリウムの割合(質量%)とフィルム状製剤の水溶液のpHとの関係を示すグラフである。 全組成成分に対する水酸化ナトリウムの割合(質量%)とフィルム状製剤の水溶液のpHとの関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 口腔内で崩壊または溶解させる経口投与用のフィルム状製剤であって、
    ピコスルファートナトリウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び、水溶液がアルカリ性を示す化合物として炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを含有してフィルム状に形成され、
    水溶液がアルカリ性を示す化合物が炭酸水素ナトリウムの場合は、全組成成分に対する炭酸水素ナトリウムの割合が0.15質量%〜0.6質量%であり、水溶液がアルカリ性を示す化合物が水酸化ナトリウムの場合は、全組成成分に対する水酸化ナトリウムの割合が0.1〜0.4質量%であることにより、乾燥質量1グラムが水に溶解された全量100ミリリットルの水溶液のpHが7〜9である
    ことを特徴とするフィルム状製剤。
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