次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1及び図2を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る有機トランジスタ、有機トランジスタアレイを説明する。
図1は、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイの構造を模式的に示す平面図である。図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイ10は、基板13上にマトリクス状に設けられている複数の走査線11及び信号線12と、複数の走査線11及び信号線12が交差して形成されている複数の画素領域A1、A2の各々に設けられる複数の有機トランジスタ20を有する。
有機トランジスタ20は、ゲート電極21、ゲート絶縁膜22、ソース電極23、ドレイン電極24、有機半導体層25を有する。走査線11は、横に配列してなる各有機トランジスタ20の各ゲート電極21に接続するように、横に連続して一体に設けられる。また、信号線12は、縦に配列してなる各有機トランジスタ20の各ソース電極23に接続するように、縦に連続して一体に設けられる。
なお、本実施の形態におけるゲート絶縁膜22は、本発明における第1のゲート絶縁膜に相当する。また、基板13、ゲート絶縁膜22は、全体に亘って一様に形成されているため、図1における平面図では図示されていない。
各有機トランジスタ20においては、基板13上に形成された走査線11と接続されるようにゲート電極21が形成されている。走査線11及びゲート電極21が形成された基板13上に、走査線11及びゲート電極21を覆うようにゲート絶縁膜22が形成されている。ゲート絶縁膜22上に信号線12が形成され、信号線12と接続されるようにソース電極23が形成されている。また、平面視でゲート電極21上の所定の領域C、すなわちチャネル領域Cを挟んでソース電極23と対向してドレイン電極24が形成されている。このとき、ソース電極23とドレイン電極24とは、互いにチャネル長となる所定の間隔Lを隔てて形成されている。その結果、平面視でソース電極23とドレイン電極24とを隔てる領域は、ゲート電極21上にある。また、ゲート絶縁膜22上の所定の領域(チャネル領域)Cに有機半導体層25が形成されている。
ここで、画素領域A1に形成されている有機トランジスタ20では、図1に示すように、ゲート電極21は、チャネル領域C以外に、更に平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれる領域Sに形成されている。また、有機半導体層25は、更に平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれる領域S1で、ゲート絶縁膜22上に形成されている。従って、ゲート電極21は、領域S1において、有機半導体層25にゲート絶縁膜22を介して接するように、ゲート絶縁膜22上に形成されている。また、ゲート電極21は、更に平面視でドレイン電極24を取り囲むように形成されている。
また、画素領域A2に形成されている有機トランジスタ20では、図1に示すように、有機半導体層25は、ソース電極23、信号線12、ドレイン電極24及び隣接する画素領域A1に形成されている有機トランジスタ20のドレイン電極24を覆うように形成されている。このとき、有機半導体層25は、チャネル領域C以外の領域であって、平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれる領域S2にも形成されている。従って、ゲート電極21は、領域S2において、有機半導体25にゲート絶縁膜22を介して接するように形成されている。後述するように、ゲート電極21に印加される電界により、ゲート電極21上の有機半導体層25を電気的に遮断することが可能になり、リーク電流を低減することができる。すなわち、画素領域A1に形成されているドレイン電極24と、信号線12との間のリーク電流を低減することができる。
次に、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイ10の製造方法及び材料について説明する。
走査線11及びゲート電極21は、一般的なフォトリソグラフィ法を用いて形成してもよいが、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法等の印刷法を用いて形成してもよい。パターニング精度、大面積化、コスト、工程数の理由から、インクジェット印刷方法が特に好ましい。このとき、金属粒子が分散されている金属インクを用いることが好ましい。金属粒子としては、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、Ir、Rh、Co、Fe、Mn、Cr、Zn、Mo、W、Ru、In、Sn等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、電気抵抗、熱伝導率、腐食の面で、Au、Ag、Cu、Niが好ましい。
金属インクとして、平均粒径が数ナノメートルから数十ナノメートル程度の金属粒子が溶媒中に均一に分散されているものが用いられる。金属粒子は、熱処理によって容易に焼結することができる。これは、金属粒子の粒径が小さくなると、活性の高い表面の原子の影響が大きくなることに起因している。したがって、金属インクをインクジェット印刷法を用いて塗布し、焼結することにより、電極を直接描画することができる。このとき、金属インクは、インクジェット印刷法によって塗布するために、表面張力が約30mN/mであることが好ましい。また、金属インクは、粘度が2〜13mPa・秒であることが好ましく、7〜10mPa・秒がさらに好ましい。金属インクの表面張力及び粘度が適していないと、吐出が不能になったり、不良になったりして、丸い液滴になりにくく、さらにリガメントが長くなる。さらに、金属インクは、吐出する際に溶媒が揮発して金属粒子が固化しない程度の乾燥性も必要である。
走査線11及びゲート電極21は、導電性高分子を含有してもよい。導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン等が挙げられる。また、これらのポリマーにドーピングを施したものも導電性高分子として用いることができる。中でも、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の錯体(PEDOT/PSS)は、電気伝導度、安定性、耐熱性等の面で好ましい。導電性高分子は、重合度、構造により電気特性を調整することができ、さらに、焼結を必要としないため、低温で電極を形成することができる。
また、信号線12、ソース電極23及びドレイン電極24は、走査線11及びゲート電極21と同様にして、形成することができる。
有機半導体層25は、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法等の印刷法を用いて形成することが好ましく、パターニング精度、コスト、材料溶解性等の理由から、インクジェット印刷法が特に好ましい。このとき、有機半導体層25は、有機溶媒に可溶な有機半導体材料を含有することが好ましい。これにより、有機半導体材料が有機溶媒に溶解されている有機半導体インクを用いて、有機半導体層を形成することができる。このような有機半導体材料は、特に限定されず、高分子材料、オリゴマー材料、低分子材料等を用いることができるが、トリアリールアミン骨格を有する高分子材料が好ましく、式(1)で表される化合物が特に好ましい。この高分子材料は、無配向性高分子材料であり、成膜形状や方法に関わらず、特性のバラツキが非常に少ない。
次に、図1、図2、図13乃至図16を用いて、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイ10において、有機トランジスタ20がオフ電流を低減することができる作用効果について説明する。
インクジェット印刷法を用いて有機トランジスタアレイ10を製造する場合、印刷精度を考慮すると、50μm以下でパターニングすることが難しいため、フォトリソグラフィを用いてパターニングする場合に比較して高精細化することが困難となる。解決策の一つとして、インクを小滴化すれば高精細化することはできるが、インクを小滴化することは技術的に難しい。また、インクを小滴化した場合には吐出の安定性を確保することが難しく、吐出詰まり、吐出曲がり等が発生しやすくなる。
また、有機半導体インクの物性(例えば、粘度、表面張力、乾燥性)は、使用する高分子材料の物性(例えば、純度、分子量、分子量分布)や有機溶媒の種類によって変化するため、適切な物性に調整することが難しい。
また、ヘッドを構成する全てのノズルがヘッドとして同じ特性を有するとは限らない。このため、全てのノズルから良好に吐出することができるとは限らず、あるノズルだけで吐出曲がりが発生したり、吐出量が変化したりすることがある。このようなノズル毎の特性のばらつきは、特にパターニングする面積が大きい場合には、ドット毎の着弾精度のばらつきを発生させる。その結果、有機半導体層を島状にパターニングしようとしても、高精細な完全なパターンが形成されずに、不完全なパターンが形成される。このような不完全なパターンの例を、完全なパターンの例である図13及び図14と比較しながら、図15及び図16を用いて説明する。
図13及び図14は、有機半導体層のパターンが完全な場合の有機トランジスタアレイを模式的に示す平面図及び断面図を示す。また、図15及び図16は、有機半導体層のパターンが不完全な場合の有機トランジスタアレイを模式的に示す平面図及び断面図である。図14及び図16のそれぞれは、図13及び図15のそれぞれにおけるA−A線に沿う断面図である。
図13乃至図16に示す有機トランジスタアレイ110は、図1及び図2に示す有機トランジスタアレイ10と同様に、走査線111、信号線112、基板113、ゲート電極121、ゲート絶縁膜122、ソース電極123、ドレイン電極124、有機半導体層125を有する。
図13及び図14に示すように、有機半導体層125のパターニングが完全な場合、有機半導体層125は、ゲート絶縁膜122上のソース電極123とドレイン電極124で挟まれる所定の領域であるチャネル領域Cの近傍にのみ形成される。
一方、図15及び図16に示すように、有機半導体層125のパターニングが不完全な場合、画素領域A1に形成される有機トランジスタ120の有機半導体層125は、ゲート絶縁膜122上のチャネル領域C以外にも広がって形成される。具体的には、図15に示すように、信号線112とドレイン電極124とで挟まれた領域S1、S2に形成される。その結果、領域S1、S2において、有機半導体層125がドレイン電極124と信号線112とに跨って形成されてしまい、有機半導体層125を介してドレイン電極124と信号線112との間にリーク電流が流れる。リーク電流が流れることによって、画素領域Aの有機トランジスタ120のオフ電流が増加し、オンオフ比が低下する。
また、図15に示すように、隣接する画素領域A1、A2の間で、画素領域A1に形成される有機トランジスタ120のドレイン電極124と、画素領域A2に形成される有機トランジスタ120のソース電極123とで挟まれた領域S3にも形成される。その結果、領域S3において、有機半導体層125が、画素領域A1に形成される有機トランジスタ120のドレイン電極124と、画素領域A2に形成される有機トランジスタ120のソース電極123とに跨って形成されてしまい、有機半導体層125を介して画素領域A1に形成される有機トランジスタ120のドレイン電極124と、画素領域A2に形成される有機トランジスタ120のソース電極123との間にリーク電流が流れる。リーク電流が流れることによって、画素領域Aの有機トランジスタ120のオフ電流が増加し、オンオフ比が低下する。
一方、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイ10においても、図1及び図2に示すように、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20の有機半導体層25が、ゲート絶縁膜22上のチャネル領域C以外にも広がって形成され、信号線12とドレイン電極24とで挟まれた領域S1、S2に形成されること、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20のドレイン電極24と、画素領域A2に形成される有機トランジスタ20のソース電極23とで挟まれた領域S3にも形成されることは、図15及び図16に示す有機トランジスタ120と同様である。
しかし、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイ10においては、図1及び図2に示すように、ゲート電極21は、チャネル領域C以外に、更に平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれる領域Sに形成されている。そして、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイ10においては、有機トランジスタアレイ10のうちのある特定の有機トランジスタ20、例えば画素領域A1に形成される有機トランジスタ20がオフのとき、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20のゲート電極21に、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20をオフ状態に保持する極性の電圧を印加する。具体的には、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20のゲート電極21に接続される走査線11に外部から電圧を印加する。
有機トランジスタ20をオフ状態に保持するためには、有機半導体層25がp型有機半導体である場合には正の電圧、有機半導体層25がn型有機半導体である場合には負の電圧を印加する。そのような電圧を印加することにより、有機半導体層25を空乏層化させ、絶縁性を増大させることができる。その結果、空乏層化され、絶縁性が増大した有機半導体層25を挟み、物理的には分離されていない両側の有機半導体層25の間を電気的に分離遮断することができる。
従って、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20がオフのときに、領域S1、S2に形成される有機半導体層25を介して、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20のドレイン電極24と、信号線12との間に流れるリーク電流を低減することができる。また、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20がオフのときに、領域S1、S2に形成される有機半導体層25を介して、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20のドレイン電極24と、画素領域A2に形成される有機トランジスタ20のソース電極23との間に流れるリーク電流を低減することができる。よって、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20がオフのときのオフ電流を低減することができる。
このように、本実施の形態では、インクジェット印刷法を用いて形成される有機半導体層が、ソース電極、信号線、ドレイン電極及び隣接する有機トランジスタのドレイン電極を覆うように形成されていたとしても、ゲート電極が、チャネル領域以外の、平面視でドレイン電極と信号線とに挟まれている領域において有機半導体層にゲート絶縁膜を介して接するように形成されている。従って、走査線によりゲート電極の電圧を制御することによって、ゲート電極及び走査線上でリーク電流を防止することが可能となり、オフ電流の増加を抑制することができる。さらに、第2の実施の形態において後述するように、本発明の有機トランジスタアレイを用いて表示媒体を表示させる際にも、画素間でのクロストークを抑制することができる。
なお、本実施の形態では、ゲート電極は、一つのドレイン電極を取り囲むように形成されているが、少なくとも一つのドレイン電極を取り囲むように形成されていればよく、例えば二つ、あるいは三つ以上の隣接したドレイン電極をまとめて取り囲むように形成されていてもよい。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図3及び図4を参照し、第1の実施の形態の第1の変形例に係る有機トランジスタ及び有機トランジスタアレイについて説明する。
図3は、本変形例に係る有機トランジスタアレイを模式的に示す平面図である。図4は、図3のA−A線に沿う断面図である。ただし、以下の文中では、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の変形例、実施の形態についても同様)。
本変形例に係る有機トランジスタ及び有機トランジスタアレイは、ゲート電極が、平面視でドレイン電極を取り囲むように形成されていない点で、第1の実施の形態と相違する。
図3及び図4に示すように、本変形例に係る有機トランジスタアレイ10aは、基板13上にマトリクス状に設けられている複数の走査線11及び信号線12と、複数の走査線11及び信号線12が交差して形成されている複数の画素領域A1、A2の各々に設けられている有機トランジスタ20aを有することは、第1の実施の形態と同様である。また、有機トランジスタアレイ10aを構成する有機トランジスタ20aが、基板13上に形成された第1のゲート絶縁膜22、ソース電極23、ドレイン電極24、有機半導体層25を有することは、第1の実施の形態と同様である。
また、本変形例に係る有機トランジスタアレイ10aにおいて、ゲート電極21aが、チャネル領域C以外の平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれている領域Sにおいて、有機半導体層25にゲート絶縁膜22を介して接するように形成されているのは、第1の実施の形態と同様である。すなわち、図3に示すように、島状の形状を有するドレイン電極24のソース電極23と対向する側には、所定の領域(チャネル領域)Cが形成されるように、ゲート電極21aが形成されている。また、図3に示すように、島状の形状を有するドレイン電極24の信号線12と対向する側には、平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれている領域Sに、ゲート電極21aが形成されている。更に、平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれている領域であってゲート電極21aが形成されている部分である領域S1には、有機半導体層25が形成されている。すなわち、本変形例に係る有機トランジスタアレイ10aにおいては、ゲート電極21aは、チャネル領域C以外に、更に平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれる領域Sに形成されている。また、有機半導体層25は、更に平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれる領域S1で、ゲート絶縁膜22上に形成されている。
一方、本変形例に係る有機トランジスタアレイ10aにおいては、ゲート電極21aは、平面視でドレイン電極24を取り囲むように形成されていない。図3に示す一例では、島状の形状を有するドレイン電極24の隣接する有機トランジスタ20aのソース電極23側には、ゲート電極21aは形成されていない。
本変形例に係る有機トランジスタアレイ10aでも、ゲート電極21aが、チャネル領域C以外の、平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれている領域Sにおいて有機半導体層25にゲート絶縁膜22を介して接するように形成されている。しかしながら、有機半導体層25が、チャネル領域C以外の領域であって、平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれる領域S2に形成されておらず、隣接する画素領域A1、A2の間で、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20aのドレイン電極24と、画素領域A2に形成される有機トランジスタ20aのソース電極23とで挟まれた領域S3にも形成されていなければ、領域S2及びS3においても、もともとリーク電流の経路が存在しない。
従って、本変形例でも、走査線によりゲート電極の電圧を制御することによって、ゲート電極及び走査線上でリーク電流を防止することが可能となり、オフ電流の増加を抑制することができる。さらに、第2の実施の形態において後述するように、本発明の有機トランジスタアレイを用いて表示媒体を表示させる際にも、画素間でのクロストークを抑制することができる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図5及び図6を参照し、第1の実施の形態の第2の変形例に係る有機トランジスタ及び有機トランジスタアレイについて説明する。
図5は、本変形例に係る有機トランジスタアレイを模式的に示す平面図である。図6は、図5のA−A線に沿う断面図である。
本変形例に係る有機トランジスタ及び有機トランジスタアレイは、有機半導体層が信号線に沿って連続して形成され、ストライプ状の形状を有する点で、第1の実施の形態と相違する。
図5及び図6に示すように、本変形例に係る有機トランジスタアレイ10bは、基板13上にマトリクス状に設けられている複数の走査線11及び信号線12と、複数の走査線11及び信号線12が交差して形成されている複数の画素領域A1、A2の各々に設けられている有機トランジスタ20bを有することは、第1の実施の形態と同様である。また、有機トランジスタアレイ10bを構成する有機トランジスタ20bが、基板13上に形成されたゲート電極21、ゲート絶縁膜22、ソース電極23、ドレイン電極24を有することは、第1の実施の形態と同様である。
一方、有機半導体層については、第1の実施の形態では有機半導体層が島状に形成されるところ、本変形例では有機半導体層25bがストライプ状に形成されている。すなわち、縦横に配列した有機トランジスタ20bのうち、信号線12に沿って隣接する画素領域A1、A2等に形成される有機トランジスタ20bとの間にも有機半導体層を形成することにより、信号線12の延在する方向に沿って複数の画素領域に亘り、ゲート絶縁膜22上に、有機半導体層25bが一体で形成される。走査線11の延在する方向に沿っては有機半導体層を一体で形成しないため、ストライプ状に形成される信号線12に対応し、ストライプ状の有機半導体層25bが形成される。
本変形例では、あるドレイン電極24、例えば画素領域A1に形成される有機トランジスタ20bのドレイン電極24と、そのドレイン電極24と信号線の延在する方向に沿って隣接するソース電極23、すなわち画素領域A2に形成される有機トランジスタ20bのソース電極23とに挟まれている領域S3にゲート電極21が形成されている。そして、領域S3では、ゲート電極21は、有機半導体層25bにゲート絶縁膜22を介して接するように形成されている。従って、走査線11によりゲート電極21の電圧を制御することによって、画素領域A1に形成される有機トランジスタ20bのドレイン電極24と画素領域A2に形成される有機トランジスタ20bのソース電極23との間に流れるリーク電流を低減することが可能となり、オフ電流を低減することができる。さらに、第2の実施の形態において後述するように、本発明の有機トランジスタアレイを用いて表示媒体を表示させる際にも、画素間でのクロストークを抑制することができる。
また、本変形例では、ストライプ状の有機半導体層を形成すればよいので、インクジェット印刷法によるパターニングにおいて、スループットを向上させることができる。さらに、アライメントの精度も一方向のみしか要求されないため、歩留りを向上させることができる。従って、解像度が高い場合(デザインルール又は線幅を微細にした場合)にも適用することができる。
(第1の実施の形態の第3の変形例)
次に、図7及び図8を参照し、第1の実施の形態の第3の変形例に係る有機トランジスタ及び有機トランジスタアレイについて説明する。
図7は、本変形例に係る有機トランジスタアレイを模式的に示す平面図である。図8は、図7のA−A線に沿う断面図である。
本変形例に係る有機トランジスタ及び有機トランジスタアレイは、保持容量を有する保持電極を形成する点で、第1の実施の形態と相違する。
図7及び図8に示すように、本変形例に係る有機トランジスタアレイ10cは、基板13上にマトリクス状に設けられている複数の走査線11及び信号線12と、複数の走査線11及び信号線12が交差して形成されている複数の画素領域A1、A2の各々に設けられている有機トランジスタ20cを有することは、第1の実施の形態と同様である。また、有機トランジスタ20cが、基板13上に形成された走査線11、信号線12、ゲート電極21、ソース電極23、ドレイン電極24、有機半導体層25を有することは、第1の実施の形態と同様である。
一方、本変形例に係る有機トランジスタアレイ10cは、ゲート絶縁膜の構造が、第1の実施の形態と相違する。
本変形例に係る有機トランジスタアレイ10cでは、走査線11及びゲート電極21が形成された基板13上に、走査線11及びゲート電極21を覆うように第1のゲート絶縁膜22が形成されている。第1のゲート絶縁膜22上に、保持電極27が形成されている。保持電極27が形成された第1のゲート絶縁膜22上に、保持電極27を覆うように第2のゲート絶縁膜26が形成される。第2のゲート絶縁膜26上に信号線12が形成され、信号線12と接続されるようにソース電極23が形成されていること、また、平面視でゲート電極21上の所定の領域(チャネル領域)Cを挟んでソース電極23と対向してドレイン電極24が形成されていること、第1のゲート絶縁膜22上の所定の領域(チャネル領域)Cに有機半導体層25が形成されていることは、第1の実施の形態において、ゲート絶縁膜22上に信号線12、ソース電極23、ドレイン電極24が形成されるのと同様である。
すなわち、有機トランジスタ20cは、第1のゲート絶縁膜22上に直接形成されている第2のゲート絶縁膜26と、第2のゲート絶縁膜26内に形成されている保持電極27とを備える。なお、前述したように、第2のゲート絶縁膜内に形成されている保持電極とは、保持電極が第2のゲート絶縁膜に覆われていることを意味し、第2のゲート絶縁膜の少なくとも一部では、保持電極は第1のゲート絶縁膜と接するように形成されていてもよい。
このとき、ゲート電極21は、チャネル領域C以外に、平面視でドレイン電極24と信号線12とに挟まれている領域に、有機半導体層25に第1のゲート絶縁膜22及び第2のゲート絶縁膜26を介して接するように形成されている。また、ゲート電極21が、更に平面視でドレイン電極24を取り囲むように形成されているのも、第1の実施の形態と同様である。また、有機半導体層25が、ある画素領域、例えば画素領域A2に形成されている有機トランジスタ20cのソース電極23、信号線12、ドレイン電極24及び隣接する例えば画素領域A1に形成されている有機トランジスタ20cのドレイン電極24を覆うように形成されているのも、第1の実施の形態と同様である。
なお、第2のゲート絶縁膜26の材質は、第1のゲート絶縁膜22と同じであっても異なっていてもよい。
本変形例では、第2のゲート絶縁膜を介して、保持電極とドレイン電極が積層されている領域で保持容量が形成されている。これにより、ゲート電極に印加する電界により有機半導体層を電気的に遮断することでリーク成分となる電流を抑制できる。更に、表示パネルに表示させる際に、画素の電位を長時間保持することが容易となる。表示を書き換える時のみ信号を与えて有機トランジスタを駆動し、表示を書き換えない時は信号を与えず有機トランジスタを駆動しないことができる。従って、表示を保持している状態において消費電力を低減することができる。
有機トランジスタアレイを構成するそれぞれの有機トランジスタをアクティブマトリックス駆動させて表示媒体を表示させる際には、それぞれの有機トランジスタに表示状態を維持するために、それぞれの有機トランジスタごとに保持容量を形成することができる。保持容量は、表示媒体と並列な等価回路を形成するように設けることができる。
以上、図7及び図8に示すように、ドレイン電極との間で保持容量を形成する保持電極を形成することにより、ゲート絶縁膜を介してドレイン電極との間で保持容量を形成することができ、本発明の有機トランジスタを用いて表示媒体を表示させる際に、画素電位を一定時間保持することが容易となる。さらに、実質的に表示を書き換える時のみ信号を与えることとなり、消費電力を低減することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図9乃至図11を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る表示パネル及び表示装置について説明する。
初めに、図9及び図10を参照し、表示パネルを形成する場合の有機トランジスタアレイの構成について説明する。
図9は、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイを模式的に示す平面図である。図10は、図9のA−A線に沿う断面図である。
また、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイは、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例に係る有機トランジスタアレイをアクティブマトリックス素子として用いたアクティブマトリックス基板である。また、本実施の形態に係るアクティブマトリックス表示装置は、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例に係る有機トランジスタアレイをアクティブマトリックス素子として用いたアクティブマトリックス基板と、画素表示素子を組み合わせたアクティブマトリックス表示装置である。
図9及び図10に示すように、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイ10dは、基板13上にマトリクス状に設けられている複数の走査線11及び信号線12と、複数の走査線11及び信号線12が交差して形成されている複数の画素領域A1、A2の各々に設けられている有機トランジスタ20dを有することは、第1の実施の形態の第3の変形例と同様である。また、有機トランジスタアレイ10dを構成する有機トランジスタ20dが、基板13上に形成されたゲート電極21、第1のゲート絶縁膜22、ソース電極23、ドレイン電極24、有機半導体層25、第2のゲート絶縁膜26、保持電極27を有することは、第1の実施の形態の第3の変形例と同様である。
しかし、本実施の形態では、有機トランジスタアレイ10dを、表示パネルと組合せて表示装置を構成するために、有機半導体層25まで形成した後、更に、有機半導体層25を覆い、一部ドレイン電極24上に開口部29を有する層間絶縁膜28が形成されている。また、層間絶縁膜28上に、開口部29を介してドレイン電極24と接続されている導電層30が形成されている。
本実施の形態において、表示パネルとして、例えば液晶パネルが用いられる。液晶パネルを用いる場合、有機トランジスタアレイ10dが形成されている有機トランジスタアレイ基板に対向して設けられる対向基板上に、透明導電膜が形成されている。透明導電膜上に、液晶性材料を配向させるための配向膜が配向処理された状態で形成されている。このような対向基板がスペーサを介して有機トランジスタアレイ基板と対向して設けられ、基板間に液晶が封入されている。
具体的には、対向基板上に、厚さ100nm程度のITO(Indium Tin Oxide)をスパッタ成膜し、透明導電膜を形成する。次に、透明導電膜上に、ポリアミド酸をスピンコート塗布し、ラビングすることにより、厚さ200nmの配向膜を形成する。配向処理した後に、有機トランジスタアレイ基板とスペーサを介して接合し、ギャップ間に液晶性材料を封入することにより、液晶パネルが得られる。
また、液晶パネル以外の表示パネルとしては、電気泳動素子を用いた電気泳動表示パネルが挙げられる。次に、電気泳動表示パネルについて、図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態に係る表示パネル(電気泳動表示パネル)を模式的に示す平面図である。
図11に示すように、本実施の形態に係る表示パネル(電気泳動表示パネル)50は、平面視で表示部51、操作部52、駆動制御IC53を有する。
表示部51は、有機トランジスタアレイ基板上に電気泳動素子が形成された部分である。表示部51においては、ガラス等の素子基板上に、走査線11、信号線12がマトリクス状に配置され、これらの配線が交差する場所には画素部(画素領域)A1、A2等が設けられる。各画素部A1、A2等には、前述した有機トランジスタが形成されている。画素部A1、A2等の周囲には、走査線駆動回路54及び信号線駆動回路55が設けられている。走査線11及び信号線12の端部は、画素部A1、A2等の周囲において、走査線駆動回路54及び信号線駆動回路55に接続される。走査線駆動回路54、信号線駆動回路55は操作部52、駆動制御IC53に接続されている。
また、本実施の形態に係る表示パネルは、例えば対向基板にマイクロカプセル型電気泳動素子を形成し、図9及び図10に示すような有機トランジスタアレイ10dが形成された有機トランジスタアレイ基板と貼り合わせることにより得られる。
また、本実施の形態に係る表示パネルを、表示データを格納する記憶部等と組合せることにより、各種の表示装置が得られる。
なお、表示素子としてマイクロカプセル型電気泳動素子の代わりに、有機EL素子を用いてもよい。有機EL素子を用いる場合には、有機トランジスタアレイ基板上に、表示画素として有機EL素子を形成する。有機EL素子が形成された有機トランジスタアレイ基板上に水分、酸素等の大気を遮蔽する大気遮蔽シールドを配置させることにより、有機ELパネルが得られる。
また、本実施の形態に係る有機トランジスタアレイ10dは、第1の実施の形態の第3の変形例に係る有機トランジスタ20cにドレイン電極24の導電層30を設けた有機トランジスタ20dを有しているが、第1の実施の形態に係る有機トランジスタ20、第1の実施の形態の第1の変形例に係る有機トランジスタ20a、第1の実施の形態の第2の変形例に係る有機トランジスタ20bに導電層30を設けた有機トランジスタを有していてもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例により限定されて解釈されるものではない。
[実施例1]
ガラス基板上に、Ag膜を真空蒸着で100nm形成した。次に、フォトレジストとしてTSMR8800BE(商品名:東京応化工業社製)をスピンコートにより塗布し、90℃で30分間プレアニールした。さらに、フォトマスクを介して露光し(150mJ/cm2)、現像及びポストベークを120℃で20分間実施した。次に、Ag膜をSEA−5(商品名:関東化学社製)をエッチング液としてエッチングし、レジスト剥離及び洗浄リンスを行って、図1及び図2に示すような形状を有する走査線11及び走査線11に接続されるゲート電極21を形成した。次に、走査線11及び走査線11に接続されるゲート電極21の上に、ポリアミド酸をスピンコートにより塗布し、280℃で加熱処理することにより、膜厚500nmのゲート絶縁膜22を形成した。さらに、UVランプ(照射量7J/cm2)を用い、フォトマスクを介して、信号線12、信号線12に接続されるソース電極23、及びドレイン電極24に対応する高エネルギーパターンを形成した。次に、インクジェット印刷法を用い、その高エネルギーパターン上に、Agインクを吐出し、280℃で焼結させることにより、膜厚100nmの信号線12、信号線12に接続されるソース電極23、及びドレイン電極24を形成した。このとき、チャネル幅が140μm、チャネル長が10μmであった。次に、インクジェット印刷法を用いて、式(1)で表される化合物がメシチレンに溶解されている有機半導体インクを塗布し、図1及び図2に示すような島状の有機半導体層25を形成し、有機トランジスタアレイ10を得た。
得られた有機トランジスタアレイ10のトランジスタ特性を、酸素1ppm未満、水分1ppm未満の雰囲気下で測定した。具体的には、ドレイン電圧Vdsを−20Vとし、ゲート電圧Vgを+20V及び−20Vとしたときのドレイン電流Idsを測定した。測定した結果を図12に示す。図12は、後述する比較例1、実施例2、実施例3も含め、実施例1乃至実施例3及び比較例1で得られた有機トランジスタアレイのトランジスタ特性を示すグラフである。
図12を参照するに、実施例1で得られた有機トランジスタアレイ10において、Vgが−20Vのときのドレイン電流Ids(オン電流)が1.0×10−8Aであり、Vgが+20Vのときのドレイン電流Ids(オフ電流)が−5.1×10−13Aであった。即ち、オンオフ比が2.0×104であった。
[比較例1]
図1及び図2に示すような形状を有さず、図15及び図16のような形状を有するゲート電極を形成すること以外は、実施例1と同様にして有機トランジスタアレイ110を得た。
得られた有機トランジスタアレイ110のトランジスタ特性を、酸素1ppm未満、水分1ppm未満の雰囲気下で測定した。具体的には、ドレイン電圧Vdsを−20Vとし、ゲート電圧Vgを+20V及び−20Vとしたときのドレイン電流Idsを測定した。測定した結果を図12に示す。図12を参照するに、Vgが−20Vのときのドレイン電流Ids(オン電流)が−1.1×10−8Aであり、Vgが+20Vのときのドレイン電流Ids(オフ電流)が−1.3×10−10Aであった。即ち、オンオフ比が8.5×101であった。
このことから、実施例1は、比較例1よりオフ電流が低下してオンオフ比が格段に向上し、良好なトランジスタ特性が得られることが分かる。
[実施例2]
インクジェット法を用いて、走査線及びゲート電極を形成した点以外は、実施例1と同様にして有機トランジスタアレイ10を得た。
図1及び図2に示すように、ガラス基板13上に、ポリアミド酸をスピンコート塗布し、280℃で加熱処理することにより、膜厚200nmの絶縁膜を形成した。次に、UVランプ(照射量7J/cm2)を用いて、フォトマスクを介して紫外線を照射し、走査線11及び走査線11に接続されるゲート電極21に対応する高エネルギーパターンを形成した。さらに、インクジェット印刷法を用いて、高エネルギーパターン上にAg粒子が分散されているAgインクを吐出し、280℃で焼結させることにより、走査線11及び走査線11に接続されたゲート電極21を形成した(膜厚100nm)。次に、これらの上に、ポリアミド酸をスピンコート塗布し、280℃で加熱処理することにより、膜厚500nmのゲート絶縁膜22を形成した。さらに、UVランプ(照射量7J/cm2)を用い、フォトマスクを介して、信号線12、信号線12に接続されるソース電極23、及びドレイン電極24に対応する高エネルギーパターンを形成した。次に、インクジェット印刷法を用い、その高エネルギーパターン上に、Agインクを吐出し、280℃で焼結させることにより、膜厚100nmの信号線12、信号線12に接続されたソース電極23、及びドレイン電極24を形成した。このとき、チャネル幅が140μm、チャネル長が10μmであった。次に、インクジェット印刷法を用いて、式(1)で表される化合物がメシチレンに溶解されている有機半導体インクを塗布し、図1及び図2に示すような島状の有機半導体層25を形成し、有機トランジスタアレイ10を得た。
得られた有機トランジスタアレイ10のトランジスタ特性を、酸素1ppm未満、水分1ppm未満の雰囲気下で測定した。具体的には、ドレイン電圧Vdsを−20Vとし、ゲート電圧Vgを+20V及び−20Vとしたときのドレイン電流Idsを測定した。測定した結果を図12に示す。図12を参照するに、実施例2で得られた有機トランジスタアレイ10において、Vgが−20Vのときのドレイン電流Ids(オン電流)が−9.3×10−9Aであり、Vgが+20Vのときのドレイン電流Ids(オフ電流)が−3.0×10−13Aであった。即ち、オンオフ比が3.1×104であった。
[実施例3]
インクジェット法を用いて、有機半導体インクを図1及び図2に示すようにライン印刷した以外は、実施例2と同様にして有機トランジスタアレイ10bを得た。
得られた有機トランジスタアレイ10bのトランジスタ特性を、酸素1ppm未満、水分1ppm未満の雰囲気下で測定した。具体的には、ドレイン電圧Vdsを−20Vとし、ゲート電圧Vgを+20V及び−20Vとしたときのドレイン電流Idsを測定した。測定した結果を図12に示す。図12を参照するに、実施例3で得られた有機トランジスタアレイ10bにおいて、Vgが−20Vのときのドレイン電流Ids(オン電流)が−1.2×10−8Aであり、Vgが+20Vのときのドレイン電流Ids(オフ電流)が−8.7×10−13Aであった。即ち、オンオフ比が1.4×104であった。
これらの結果から、実施例2、3の構成においても実施例1と同等以上の効果が得られ、本発明の構成にすることにより、オフ電流を−1.0×10−12A以下に確保でき、リーク電流を抑制することが可能であることがわかる。
[実施例4]
(有機トランジスタアレイ基板)
図7及び図8に示すように、可撓性を有するフィルム基板上にポリアミド酸をスピンコート塗布し、180℃で加熱処理することにより、膜厚200nmの絶縁膜を形成した。次に、UVランプ(照射量7J/cm2)を用いて、フォトマスクを介して紫外線を照射し、走査線11及び走査線11に接続されるゲート電極21に対応する高エネルギーパターンを形成した。さらに、インクジェット印刷法を用いて、高エネルギーパターン上にAg粒子が分散されているAgインクを吐出し、180℃で焼結させることにより、膜厚100nmの走査線11及び走査線11に接続されるゲート電極21を形成した。次に、これらの上に、ポリアミド酸をスピンコート塗布し、180℃で加熱処理することにより、膜厚300nmのゲート絶縁膜第一層(第1のゲート絶縁膜)22を形成した。さらに、UVランプ(照射量7J/cm2)を用いて、フォトマスクを介して、保持電極27に対応する高エネルギーパターンを形成した。次に、インクジェット印刷法を用いて、高エネルギーパターン上に、Agインクを吐出し、180℃で焼結させることにより、膜厚100nmの保持電極27を形成した。次に、これらの上に、ポリアミド酸をスピンコート塗布し、180℃で加熱処理することにより、膜厚300nmのゲート絶縁膜第二層(第2のゲート絶縁膜26を形成した。さらに、UVランプ(照射量7J/cm2)を用いて、フォトマスクを介して、紫外線を照射し、信号線12、信号線12に接続されるソース電極23及びドレイン電極24に対応する高エネルギーパターンを形成した。さらに、インクジェット印刷法を用いて、高エネルギーパターン上にAg粒子が分散されているAgインクを吐出し、180℃で焼結させることにより、膜厚100nmの信号線12、信号線12に接続されるソース電極23、及びドレイン電極24を形成した。このとき、チャネル幅が140μm、チャネル長が10μmであった。次に、インクジェット印刷法を用いて、式(1)で表される化合物がメシチレンに溶解されている有機半導体インクを塗布し、図7及び図8に示すように島状の有機半導体層25を形成した。
次に、図9及び図10に示すように、スクリーン印刷法を用いて、ポリビニルブチラール樹脂と、シリカフィラーと、エチレングリコールヘキシルエーテルとを含有する絶縁ペーストを印刷し、減圧乾燥させることにより、ドレイン電極24上にスルーホール29を有する層間絶縁膜28を形成した。さらに、スクリーン印刷法を用いて、銀を含む熱硬化性のペーストを印刷し、乾燥させることにより、ドレイン電極24と接合する導電層30を形成し、有機薄膜トランジスタアレイ基板を得た。
(表示パネル及び表示装置)
対向基板となる可撓性を有するフィルム基板上に、100nmの厚さのITO膜をスパッタリングにより成膜し、透明電極膜の形成されたフィルム基板を形成した。
次に、酸化チタン20重量部、酸ポリマー1重量部、シリコーンポリマーグラフトカーボンブラックMX3−GRX−001(商品名:日本触媒社製)2重量部及びシリコーンオイルKF96L−1cs(商品名:信越化学工業社製)77重量部を混合し、超音波で1時間分散させて、白黒粒子分散液を調整した。得られた白黒粒子分散液をゼラチン−アラビアゴム コンプレックスコアセルべーション法によりマイクロカプセル化した。マイクロカプセルの平均粒径は、約60μmであった。次に、マイクロカプセルをウレタン樹脂溶液中に分散させた分散液を得た。ワイヤーブレード法を用いて、この分散液を透明電極膜付きフィルム基板上に展開することにより、メモリ性を有する画像表示層を形成したマイクロカプセル基板を作製した。
このようにして得られたマイクロカプセル基板を、有機薄膜トランジスタアレイ基板に貼り合わせることにより、図11に示すような表示パネル(電気泳動表示パネル)を作製した。
更に、このようにして得られた表示パネルを他の電子機器を組合せることにより、各種表示装置を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。