JP5475473B2 - 歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー及びその製造方法 - Google Patents

歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、歯科矯正患者の歯群に装具を固着させるために、歯科矯正施術者によって使用されるトレーに関する。本発明はまた、このようなボンディングトレーを製造する方法に関する。
歯科矯正治療は、位置異常の歯群を口腔内の所望の位置に動かすことを伴う。歯科矯正治療は、特に歯群が顕著に曲がっている場合又は上顎及び下顎の歯群が互いにずれている場合に、患者の容貌を改善することができる。歯科矯正治療はまた、咀嚼中の咬合をより良好にすることにより、歯群の機能を強化することができる。
ある一般的な種類の歯科矯正治療は、ブラケットとして知られる小さなスロット付き装具を使用することを伴う。ブラケットは患者の歯群に固定され、アーチワイヤが各ブラケットのスロット内に定置される。アーチワイヤは、歯群を導き所望の位置に移動させるための軌跡を形成する。
歯科矯正用アーチワイヤの端部は、バッカルチューブとして知られる小さな装具に接続されることが多く、バッカルチューブは次に、患者の臼歯群に固定される。多くの場合、1組のブラケット、バッカルチューブ及びアーチワイヤは、患者の上顎及び下顎歯列弓のそれぞれに対して準備される。ブラケット、バッカルチューブ及びアーチワイヤは、一般に、まとめて「ブレース(brace)」と称される。
多くの種類の歯科矯正技法では、歯群上で装具が正確な位置にあることは、歯群が確実にそれらの目的とする最終位置に動くのを保証する助けとなる重要な要因である。例えば、ある一般的な種類の歯科矯正治療技法は、治療完了時にアーチワイヤが水平面内にある、「ストレートワイヤー」法として知られている。したがって、ブラケットは、アーチワイヤが直線になり、水平面に存在した時点で、歯群が適切に整列するように、治療の初期に正確に位置決めしなければならない。例えば、ブラケットが、歯の咬合先端部又は外側先端部に近過ぎる位置で歯に取り付けられた場合、ストレートワイヤー法を使用する歯科矯正医は、最終位置にある歯が過度に中に押し込まれていることにおそらく気付くであろう。一方、ブラケットが、適切な位置より歯肉に近い位置で歯に取り付けられた場合、歯の最終位置は、所望よりも外に押し出される傾向がある。
歯群に歯科矯正装具を固着させる技法の1つは、インダイレクトボンディング技法として知られている。従来、既知のインダイレクトボンディング技術は、装着装置又は患者の歯列弓の少なくとも一部の外形に一致する形状を有する移動装置を用いることが多かった。ある種の移動装置は、「移動トレー」又は「インダイレクトボンディングトレー」と呼ばれることが多く、典型的には、多数の歯を同時に受容するための空洞を有する。ブラケットのような1組の装具は、特定の予め定められた位置で、トレーに解放可能に接続される。
インダイレクトボンディングにおけるボンディングトレーの使用中、接着剤は、典型的には、歯科矯正医又は職員によって各装具の基部に適用される。次に、トレーは、患者の歯群の上に定置され、例えば接着剤が固化するまで所定の位置に留まる。次に、トレーは、歯群並びに装具から取り外され、結果として、トレーに予め接続されてた装具の全てが、目的とする、予め定められた位置でそれぞれの歯群に固着される。
歯群の寸法及び配向が患者ごとに大きく異なる場合があるため、インダイレクトボンディングトレーは通常、各患者に対して特別仕様で作製される。インダイレクトボンディングトレーのある製造方法は、それぞれの患者の歯列弓の印象をとり、次いで各印象から複製の石こう又は「石」模型を作製する工程を含む。必要に応じて、模型の歯群に鉛筆で印を付けて、理想の位置にブラケットを定置するのを補助することができる。次に、ブラケットを一時的に石模型に固着させる。次いで、マトリックス材料を模型上に加えて模型上のブラケット上に定置することにより、インダイレクトボンディングトレーを作製する。例えば、プラスチックシートのマトリックス材料を模型及びブラケット上に定置し、次いで真空下にてオーブン内で加熱してもよい。プラスチックシート材料が軟化し、オーブン中の空気が排出されるとき、プラスチックシート材料は、石模型の複製歯群及び隣接するブラケットの形状に正確に一致する外形をとると思われる。次に、プラスチック材料は冷却され、固化されて、トレーを形成する。
インダイレクトボンディングトレーに関する現況技術は近年進歩しているが、このようなトレーにより患者の歯群上への装具の装着精度を改善することに対する継続的必要性が存在する。例えば、一部の歯科矯正医は、肉眼で装具の位置の非常に小さな差(例えば0.5mmのような)を検出することができ、結果として、常にこのような許容誤差内で装具を定置することのできないインダイレクトボンディングトレーの使用では満足しない場合がある。
本発明は、歯科矯正治療のための改善されたインダイレクトボンディングトレー、並びにその製造方法を目的とする。インダイレクトボンディングトレーは、第1及び第2マトリックス材料と、並びに第2マトリックス材料に接続されている少なくとも1つの咬合停止部材と、を含む。好ましい実施形態では、本発明のインダイレクトボンディングトレーは、患者の歯群に定置されたとき、触覚により知覚可能な触知性「スナップ嵌め」もたらし、そのように装具が患者の歯群の目的とする領域の所望の位置に組み込まれたことを確認させる。また、ボンディングトレーと歯群とのスナップ嵌めの関係は、装具を患者の歯群にしっかりと固着させる前に、もし移動するとしても、トレーが意図せず横方向に移動する量を減らすのを補助する。
より詳細には、本発明は、1つの態様では歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを目的とする。インダイレクトボンディングトレーは、1組の歯科矯正装具と、装具上に延在する第1マトリックス材料と、を含む。インダイレクトボンディングトレーは、第1マトリックス材料上に延在する第2マトリックス材料も含む。第2マトリックス材料は、側(すなわち、唇側又は舌側)歯表面の一部の外形に一致する外形を備える表面を有する部分を含む。インダイレクトボンディングトレーは、第2マトリックス材料に接続している少なくとも1つの咬合停止部材も含み、咬合停止部材は、咬合側歯表面の少なくとも一部に一致する外形を備える表面を有する部分を含む。
本発明の別の態様は、歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法を目的とする。方法は、
患者の歯列弓の咬合面の少なくとも一部に一致する外形を備える表面を有する咬合停止部材を準備する工程と、
歯科矯正装具を患者の歯列弓模型の歯表面上に定置する工程と、
停止部材を歯列弓模型の咬合面上に定置する工程と、
ある量の第1マトリックス材料を歯科矯正装具に適用する工程と、
第1マトリックス材料を固化させる工程と、
歯列弓模型、歯科矯正装具及び第1マトリックス材料を容器内に定置する工程と、
ある量の第2マトリックス材料を容器内に加える工程と、
第2マトリックス材料を固化させる工程と、
歯列弓模型、歯科矯正装具、停止部材及び第2マトリックス材料を容器から取り外す工程と、を含む。
本発明の別の態様はまた、歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法を目的とする。この方法は、
患者の歯列弓の少なくとも一部を表すデジタルデータファイルを準備する工程と、
デジタルデータファイルを用いて、ラピッドプロトタイピングにより患者の歯列弓の模型、咬合停止部材及びトレー成型容器を形成する工程と、
歯科矯正装具を歯列弓模型の歯表面上に定置する工程と、
停止部材を歯列弓模型の咬合側歯表面と接触させる工程と、
ある量のマトリックス材料を容器に加える工程と、
歯列弓模型及び歯科矯正装具を容器内に定置する工程と、
マトリックス材料を固化させる工程と、を含む。
本発明の更なる詳細は、特許請求の範囲の特徴によって規定される。
本発明の1つの実施形態による、インダイレクト歯科矯正ボンディングトレーの製造に付随する工程の一部を記載するブロック図。 弓模型の顔側及び咬合側表面に向かう方向から見た、図1に記載したような患者の歯列弓の模型を示し、更に弓模型の基材を示す斜視図。 装具の顔側及び咬合側表面に向かう方向から見た、装具を模型上に定置したとき現れる場合があるようなガイドと接触している代表的な歯科矯正装具とともに、図2に図示した歯列弓模型の代表的な位置合わせガイドを示す、拡大斜視図。 装具の咬合側表面に向かう方向から見た、図3に示したガイド及び装具の平面図。 装具の遠心側面に向かう方向から見た、図3及び4に示した装具及びガイドの側面図。 模型上に装具を定置するために用いることができる1種のホルダの断片斜視図であって、装具のアーチワイヤスロットに受容されるゲージを含むホルダの図。 ホルダの上端及び装具の咬合側面に向かう方向から見たことを除き、若干図6に類似する断片図。 図2に示した歯列弓模型上に装具を定置するときの、図6及び7に図示したホルダの代表的な使用を示す断片斜視図。 歯列弓模型上に歯科矯正装具を定置するための代替ホルダの断片斜視図であって、バッカルチューブのような閉じたアーチワイヤスロットを有する装具を定置するのに特に有用であるホルダの図。 ガイドを用いて歯列弓模型上に定置された歯科矯正装具一式に加えて、図2に示した歯列弓模型の斜視図。 インダイレクトボンディングトレーを製造するために用いられる咬合停止部材の底面図。 図10に示した歯列弓模型及び装具の斜視図。異なる方向から見たものであり、弓模型のガイドが取り外され、図11に示した咬合停止部材が模型の歯の咬合面上に定置されている。 第1マトリックス材料が歯科矯正装具に適用されていることを除き、若干図12に類似する図。 ある量の第2マトリックス材料を受容するよう構成されたトレー成型容器の上端に向かって見た斜視図。 模型を反転させ、第2マトリックス材料を収容している図14の容器内に定置した後の、咬合停止部材とともに、図13に示した歯列弓模型の図。 歯列弓模型の湾曲した長手方向軸に垂直に位置する基準面に沿った断面図。模型の歯群の1つに固着された装具の1つを示し、更に第1マトリックス材料、第2マトリックス材料及び一緒にインダイレクトボンディングトレーを含む咬合停止部材。 トレーを歯列弓模型から取り外し、ばり取りした後の図16に図示したインダイレクトボンディングトレーの側面断面図。更に患者の歯列弓上にトレーを定置する直前に現れる場合があるトレー。 本発明の別の実施形態による咬合停止部材の斜視図。咬合停止部材が1組の歯科矯正装具を受容している歯列弓模型上に定置されている。 本発明の別の実施形態に従って構築された成型容器及び咬合停止部材を示す断面図。 位置決め誤差を測定するために用いられる付属物とともに、代表的な歯科矯正装具を示す図。 インダイレクトボンディングトレーの他の構造物と比較した、本発明に従って構築されたインダイレクトボンディングトレーを用いる装具の位置決め誤差を示すグラフ。
定義
「近心側」は、患者の湾曲した歯列弓の中心に向かう方向を意味する。
「遠心側」は、患者の湾曲した歯列弓の中心から離れる方向を意味する。
「咬合側」は、患者の歯群の端部に向かう方向を意味する。
「歯肉側」は、患者の歯茎又は歯肉に向かう方向を意味する。
「顔面側」は、患者の頬又は唇に向かう方向を意味する。
「舌側」は、患者の舌に向かう方向を意味する。
図1は、本発明の1つの実施形態に従って、歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーの製造において実施される工程の一部を記載するブロック図である。ブロック100は、患者の歯群及び所望により患者の隣接する歯肉組織のデジタルデータファイルを得る工程を表す。デジタルデータは、ブロンテズ・テクノロジーズ社(Brontes Technologies, Inc.)により開発された活性波面サンプリング(active wavefront sampling)を用いる口内スキャナのような手持ち式口内スキャナを用いることにより得てもよい。あるいは、他の口内スキャナ又は口内接触プローブを用いてもよい。別の選択肢として、デジタルデータファイルは、患者の歯群の印象をスキャンすることにより得てもよい。更に別の選択肢として、デジタルデータは、患者の歯群の物理的模型をスキャンすることにより又は、患者の歯群上で接触プローブを用いることにより、得てもよい。スキャンに用いられる模型は、注型材料(焼き石膏又はエポキシ樹脂のような)を、患者の歯群の印象に注ぎ、注型材料を硬化させることにより作製してもよい。X線、レーザー、コンピュータ断層撮影(CT)及び磁気共鳴映像法のような、任意の好適なスキャン技術を、模型をスキャンするために用いてもよい。
ブロック102では、ブロック100で得た患者の歯群のデジタルデータファイルを、明白なエラーを表す任意のデータ点を除くことにより「浄化する(cleanse)」。例えば、通常予測される幾何学的関係の隣接するデータ点の大幅に外側にあるデータ点を含む歯表面を表すSTLファイルを、STLハンドリング・ソフトウェアによって位置決定し、誤ったデータ点を除くことができる。更に、欠けている歯のデータ点をSTLハンドリング・ソフトウェアにより追加して、現実的で、滑らかな曲線歯形状を作製することができる。あるいは、又は更に、データをSTLファイルに変換する前に、データファイルのデータ浄化を実施してもよい。
更なる選択肢として、患者の歯群の歯根及び顎構造のような、患者の隠れた部分の特徴のデータを得てもよい。例えば、CTスキャン技術を用いて、歯根を含む患者の歯牙構造全体の代表的なデータを得てもよい。CTスキャンにより得たデータは、次いで、施術者が最終的に治療の過程中の歯の動きをより理解できるように、別のスキャン技術で患者の歯群の歯冠をスキャンすることにより得た他のデータと「まとめ(stitched together)」てもよい。
またブロック102により表されるように、患者の歯列弓のデジタルデータファイルを修正して、各歯が別々の物体として個別に移動できるように、各歯を隣接する歯群及び歯肉から仮想分離する。次に、またブロック104に表すように、修正された仮想模型を施術者に転送する。例えば、ブロック102の工程を製造設備で実施する場合、設備は仮想模型を、インターネットのような通信回線に接続された通信ネットワークで施術者に送ってもよい。施術者は、次いで、ローカルコンピュータと情報をやりとりし、三次元(「3D」)仮想模型を見て、患者の歯群の所望の最終位置を決定する。
ブロック106に示すように、施術者は、ブラケット及びバッカルチューブのような仮想装具を選択し、ローカルコンピュータを用いて、仮想模型上に定置する。このプロセス中、施術者は、特定の幾何学的属性を具現化する仮想装具を選択し、またモデリング環境内で患者の歯群上の装具の位置を選択する。モデリング・ソフトウェアは、3D環境内で別々の物体として各ブラケット及び各歯を操作し、対応するブラケットの歯に関連する座標系に対して3D空間内で各ブラケットの位置を決定する。モデリング・ソフトウェアは、次いで、施術者によって選択された装具の位置に基づいて歯群の最終位置を計算し、それらの最終咬合における仮想歯群を表示する。
施術者が歯群の最終的に予測される位置に十分満足しない場合、施術者はモデリング・ソフトウェアを使用して、仮想歯群に対して1つ以上の仮想装具を移動させてもよい。モデリング・ソフトウェアは、次いで、仮想歯群上の仮想装具の修正された位置に基づいて、仮想歯群の新たな最終位置を計算及び表示する。これらの工程は、施術者がモデリング・ソフトウェアにより表されるような仮想歯群の最終位置に満足するまで、所望の回数繰り返すことができる。しかしながら、装具の移動の代替として、施術者はモデリング・ソフトウェアを用いて、仮想歯群を所望の位置に移動させてもよく、モデリング・ソフトウェアは次いで所望の位置へ歯群を移動させるための歯群上の装具の位置を計算する。各装具の識別データ(商品名及び製造業者の品番のような)、歯の識別データ(歯の種類及び口腔内での位置のような)及び患者データ(氏名、誕生日又は患者識別番号のような)とともに、装具の選択された位置を表すデータを、次いで、製造設備に送信する。
所望により、施術者の職場のローカルコンピュータは、患者の既存の不正咬合を解析し、患者の歯群上の装具の所望の最終的な位置を決定するのを補助するのに好適なサブプログラムを含んでもよい。ソフトウェアはまた、手で特定の不正咬合を治療するために適切な装具を示唆又は選択するのを補助するためのサブプログラムを含んでもよい。
更に別の選択肢として、ブロック106の工程は、施術者の職場から離れた位置で技術者により実施してもよい。例えば、製造設備にいる技術者は、ソフトウェアを用いて、当該技術分野において既知の規格に従って又は施術者により予め提供されている一般指針に従って、仮想歯科模型上に仮想装具を定置してもよい。一旦技術者が装具の位置及び得られる歯群の最終位置に満足すれば、装具の位置を表すデータに加えて仮想模型を、再検討のために施術者に転送する。施術者は、次いで、技術者の装具装着位置を承認する又は必要に応じて装具の再配置することができる。次いで、施術者は、装具とともに仮想模型を転送し、上記のような歯及び患者のデータを製造業者に戻す。
ブロック108は、仮想歯科模型のデータ及び装具の識別データ及び装具の位置データを用いて、好ましくは製造業者の設備で行われる工程を記載する。物理的模型上への装具の定置で用いられる位置合わせ構造は、まずソフトウェアを用いて仮想模型上に1つ以上の仮想ガイドを作製することにより、作製される。好ましくは、仮想ガイドは、各装具に対応して作製される。更に、1つ以上の咬合停止部材を設計し、トレー成型容器の形状を決定する。ガイドを備える仮想模型のデータファイル、咬合停止部材のデータファイル及びトレー成型容器のデータファイルを、次いで、ブロック110に記載するようにラピッドプロトタイピング機械に送信する。咬合停止部材及びトレー成型容器については、以下でより詳細に記載する。
本明細書で使用するとき、ラピッドプロトタイピングは、その形状を表すデジタルデータのような、デジタルデータから直接物体を作り出すプロセスである。好適なラピッドプロトタイピングプロセスの例としては、3Dプリンティングプロセス、光造形法、溶融物堆積法(fused deposition modeling)、薄板積層法(laminated object manufacturing)、レーザー加工ネットシェイピング法(laser engineered net shaping)、粉末焼結積層造形法(selective laser sintering)、形状堆積法(shape deposition manufacturing)及び固体下地硬化(solid ground curing)のような固体自由形状製作が挙げられる。好適な3Dプリンティング機械の例は、フルキュア720アクリル系感光性樹脂プリンティング用材料(FullCure 720 acrylic-based photopolymer printing material)(オブジェット・ジオメトリーズ社(Objet Geometries Ltd.)製)を用いる、これもまたオブジェット・ジオメトリーズ社製であるエデン銘柄の500Vプリンタ(Eden brand 500V printer)である。ラピッドプロトタイピングの別の例は、CAD−CAMソフトウェアを用いて、フライス盤に指示し、位置合わせガイド、咬合停止部材及びトレー成型容器とともに歯列弓模型をフライス加工することである。ブロック112に記載のように、次いで製造された部品を洗浄する。
ラピッドプロトタイピングにより作製された代表的な歯列弓30を図2に示す。この実施形態では、弓模型30は、模型の歯肉組織32の一部に加えて個々の模型の歯群34を含む。示すような弓模型30は患者の下顎歯列弓全体を表し、好ましくは患者の上顎歯列弓の模型(図示せず)も提供される。あるいは、得られるインダイレクトボンディングトレーを用いて装具を患者の歯列弓の一部のみに固着させる場合、弓模型は弓の一部のみ(例えば、弓の四分円)を含んでもよい。所望により、弓模型30が3Dプリンティング機械を用いて作製されるとき、弓模型30は、プリンティング材料に使われる費用を削減するために中空であることができる。
模型の歯肉組織32及び模型の歯群34に加えて、弓模型30はまた台座又は基材36も含む。この実施形態では、基材36は十字形を有し、2つの穴38を含む位置合わせ構造を含む。この目的は以下で説明する。しかしながら、基材36は、模型の歯肉組織32の基部に沿って延在するほぼ円形のディスクのような、他の形状で構築してもよい。好ましくは、弓模型は、基材36が模型の歯肉組織32と一体に接続されるように、単一の、一体型構成要素としてプリントされる。
ブロック108で言及したようなガイドは、好ましくは、模型の歯群34上に装具を適切に位置決めするための各装具に付随する1つ以上のガイド及びそれに対応する模型の歯群34を含む。図2〜5及び8〜10に示す実施形態では、2つのガイド40は、弓模型30のラピッドプロトタイピング中、ラピッドプロトタイピングにより製作される結果として、各模型の歯群34に一体に接続されている。ガイド40のそれぞれは、所望により平坦である咬合側、舌側及び歯肉側壁により画定されるチャネル44を有する、ほぼU字形である本体42(例えば図3及び5を参照)を含む。
代表的な歯科矯正ブラケット装具46は図3〜5に示され、模型の歯群34の1つに付随する2つのガイド40の間の空間に受容される。装具46は、アーチワイヤを噛合受容するよう構成されたアーチワイヤスロット48(図3)を有する。この例では、装具46は対結合ウイングとして既知であり、フックを含む。しかしながら、アーチワイヤスロットを有する他の歯科矯正装具を同様に用いてもよい。
ガイド40はそれぞれ、対応する装具46のアーチワイヤスロット48に対して既知の物理的特性を有する。図示した実施形態では、ガイド40の既知の物理的特性は、チャネル44を画定する3つの壁の配向を含む。例えば、この実施形態では、各ガイド40のチャネル44の咬合側、舌側(底側)及び歯肉側壁は、装具46が模型の歯群34上及びガイド40間に適切に位置決めされるとき、それぞれのアーチワイヤスロット48の咬合側、舌側及び歯肉側壁と同一平面上にある。
しかしながら、代替構築物もまた可能である。例えば、チャネル44の3つの壁は、片寄っているが、アーチワイヤスロット48を画定するそれぞれの3つの壁に対して平行である基準面に延在することができる。更に別の例として、各ガイド40のチャネル44の3つの壁は、アーチワイヤスロット48のそれぞれの3つの壁に対して斜めに配向してもよい。
別の代替構築物として、ガイドは、装具の咬合側及び歯肉側側面に沿って又は、任意の他の組み合わせの2つの側面に沿って位置することができる。更に、隣接する歯に付随するガイド又は装具への干渉を避けるために、ガイドの高さを低くしてもよく、所望により模型の歯群34の隣接する表面からチャネル44の舌側壁の距離は、模型の歯群34からアーチワイヤスロット48の舌側壁の距離より近くてもよい。これらの例では、以下に記載するような装具ホルダの構築物は、このようなガイドを備えるホルダの使用を容易にするために必要なとき、修正される。
好ましくは、図3〜5に示すようなガイド40は互いに、装具46の基部50の近心−遠心幅全体よりわずかながら大きい近心−遠心方向の距離を離間する。しかしながら、ガイド40の間の空間への装具46の挿入を容易にするために、好ましくは、例えば図4を参照することにより理解できるように、ガイドの外端が接近するとき、ガイド40は互いに離れて斜めに延在することが好ましい。図4では、2つのガイド40の内側の対向壁の間の複合角はおよそ10°であるが、他の角度も可能である。
ガイド40のそれぞれは、好ましくは、取り外し可能な構造により、関連する模型の歯群34に接続される。図3〜5に示す実施形態では、ガイド40のそれぞれは、本体42を関連する模型の歯群34に一体に接続する4つの円筒脚部52を含む。脚部52は、所望のときガイド40を模型の歯群34から取り外し、分離するために、旋回、揺れ運動を用いて装具46から離れる方向に、関連する本体42を付勢することにより容易に破断することができる。
図6〜8は、歯列弓模型30上に装具46を位置決め及び定置するために用いてもよい代表的なホルダ54を示す。ホルダ54は、空気式ピストン及び、入口58を通してピストンを作動させるための空気を受容するシリンダアセンブリ56(図6)を含む。アセンブリ56のピストンは、2つの弾力的把持羽根62の間に位置する羽根拡張器60に接続している。2つの羽根62はともに装着ゲージ64を表し、装具46を解放可能に保持し、並びにガイド40との解放可能な、噛合嵌めを使用することにより装具46を適切な位置に導くよう機能する。
ホルダ54の把持羽根62は、互いに向かって合流し、次いで平行面内で外端66に続く外側部を有する(例えば、図7を参照)。空気がピストン及びシリンダアセンブリ56に導かれるとき、ピストンは羽根拡張器60を羽根62の合流部に向かって伸長及び移動させて、続いて、互いから離れる方向に外端66を移動させる。外端66が互いから離れて移動するとき、それらはアーチワイヤスロット48の咬合側及び歯肉側壁と確実に接触し、それにより装具の装着中装具46をしっかりと保持するよう機能する。
ホルダ54の他の構築物もまた可能である。例えば、ホルダ54は、十分な電圧を素子に印加するとき、咬合−歯肉方向に膨張する、矩形プリズム棒のような圧電素子を含んでもよい。素子が膨張するとき、それはアーチワイヤスロット48の咬合側及び歯肉側壁に接触して、装具46をしっかりと把持する。このように、装具46は、ホルダのハンドル上に又は踏み子のような離れた位置に定置することができる、電気スイッチの操作により要求に応じて把持又は解放することができる。
一旦装具46がホルダ54の外端66に把持されると、ブロック114に記載のように、関連する模型の歯群34に装具46を一時的に固着させるために、装具46を位置合わせ構造のガイド40の間に定置する。しかしながら、装具46を歯列弓模型30に装着する前に、ブロック112に記載のように、離型剤を模型の歯群34及び歯肉組織32に適用する。好適な離型剤の例は、PTM&W社(カリフォルニア州サンタフェ・スプリングズ(Santa Fe Springs))製の「PA0810」のような、水溶性ポリビニルアルコールである。
固着組成物(図示せず)を、装具46の基部50と模型の歯群34との間に定置する。好ましくは、固着組成物は、光硬化性接着剤のような光硬化性組成物であり、接着剤は各装具46の基部50全域にコーティングされる。所望により、装具46は、3Mユニテック社(3M Unitek Corporation)製のAPCプラス銘柄の装具及びAPC II銘柄の装具のような、各装具46の基部50に製造業者により適用された光硬化性接着剤の層を有する、接着剤で予めコーティングされた装具である。接着剤でコーティングされた装具の例は、米国特許第5,015,180号、同第5,172,809号、同第5,354,199号、同第5,429,229号、同第6,183,249号及び同第6,960,079号に記載されている。装具46は、金属(例えば、ステンレス鋼)、セラミック(例えば、半透明の多結晶アルミナ若しくは単結晶アルミナ)又はプラスチック(例えば、半透明のポリカーボネート)又はこれらの組み合わせのような、任意の好適な材料で作られてもよい。
装具46が装具の製造業者により事前に接着剤でコーティングされていない場合、固着組成物は、装具46の弓模型30上への装着直前に、各装具46の基部50に適用される。好適な固着組成物としては、複合材、コンポマー、ガラスアイオノマー及び樹脂で変性されたガラスアイオノマーのような、歯科矯正用接着剤が挙げられる。光硬化性接着剤の例としては、3Mユニテック(3M Unitek Corporation)製のトランスボンド(Transbond)XT銘柄及びトランスボンド(Transbond)LR銘柄の接着剤が挙げられる。化学硬化性接着剤の例としては、3Mユニテック(3M Unitek Corporation)製のコンサイス(Concise)銘柄の接着剤及びマルチ・キュア(Multi-Cure)銘柄のガラスアイオノマーセメントが挙げられる。
装具46がガイド40に向かって移動するとき、ホルダ54の外端66は各本体42のチャネル44に移動する。ホルダ54は、チャネル44の舌側壁に接触して設置されるまで、弓模型30に向かって移動し続ける。好ましくは、各本体42のチャネル44の咬合側壁と歯肉側壁との間の距離は、過度に横方向に移動する又は「こぼれる(slop)」可能性なく、外端66がチャネル44に噛合受容されるように、アーチワイヤスロット48の咬合側壁と歯肉側壁との間の距離よりわずかに大きいのみである。好適な許容誤差又はこのような距離間の差は、プラス又はマイナス0.1mmである。
装具46をガイド40に対して適切に配向するとき、アーチワイヤスロット48の3つの壁は、ガイド40が装具46に対して既知の物理的特性を有するように、各ガイド40のチャネル44の対応する3つの壁と同一平面上にある3D空間内の配向を有する。アーチワイヤスロット48の咬合側及び歯肉側壁に接触して完全に膨張したとき、ホルダ54の外端66は、装具46に対して既知の物理的特性(この実施形態では、アーチワイヤスロット48に対する3D空間内の既知の配向)並びにガイド40に対する既知の物理的特性(この実施形態では、チャネル44に対する3D空間内の既知の配向)を有するため、ホルダ54は高精度でガイド40に対して装具46を正確に定置する。更に、仮想ガイド40を設計するために用いられるソフトウェアは、仮想ガイドを関連する仮想の歯に対して正確に所望の位置に配向することができるため、ラピッドプロトタイピングにより生産されるような模型のガイド40は、模型の歯群34上の関連する装具46の所望の位置に対して正確に配向される。更に、ガイド40の配向は、関連する装具46の配向により決定されるため、ソフトウェアは、装具46の所望の位置が変化した場合、ガイド40の配向を変更することができる。
更に、ガイド40は、関連する歯に対する装具の典型的な配向から外れてもよい1つ以上の角度配向で装具46を支持するために、ソフトウェアにより設計することができる。例として、ガイド40は、適切な方向にチャネル44を配向することにより、追加のチップ及び/又はトルク(すなわち、装具46により提供されるチップ及び/又はトルクの量と異なるチップ及び/又はトルク)を提供するよう設計することができる。所望により、ガイドは、基部50が模型の歯34の隣接する歯表面から接着剤層により一定間隔で離間しないような角度配向で、装具46の基部50を配向するよう設計することができる。例えば、ガイド40は、患者の関連する歯が治療過程中その長軸の周りを回転する傾向があるように、接着剤層を、基部50の遠心側面に比べて基部50の近心側面に沿ってより厚くすることができるよう構築できる。
好ましくは、ソフトウェアは、幾何学的パラメーター、具体的には選択された装具46を参照することにより、ガイド40を自動で設計する。例えば、近心−遠心幅、イン−アウト寸法、トルク及び角形成のような各装具の情報を収録しているデータベースを構築することができ、ソフトウェアは設計テンプレート及びデータベース中の情報に基づいてガイド40を設計することができる。
ホルダ54の他の構築物もまた可能である。例えば、ホルダ54の外端66の対向する側面は、上述のように、ガイド40の段付き形状及び/又は配向に一致する角度で段を付ける及び/又は配向してもよい。更に、外端66の対向する側面は、近心−遠心方向に装具46を適切な配向をもたらすために、ガイド40及び/又は装具46の構造を嵌合させる機構を含んでもよい。後者の選択肢が用いられる場合、ガイド40は互いから更に離れて離間してもよく、近心−遠心方向の位置決めで装具46の基部50に接触する必要はない。一例として、外端66は、対結合ウイングブラケットの近心結合ウイングと遠心結合ウイングとの間に位置する咬合側−歯肉側又は「垂直」チャネルにぴったり合い、噛合収容されるよう構成された突出部を含んでもよい。
一旦ホルダ54の外端66がガイド40のチャネル44にしっかりと設置されると、ピストン及びシリンダアセンブリ56のピストンが収縮して、把持羽根62の外側先端部から離れる方向に羽根拡張器60を移す。羽根拡張器が収縮するとき、弾力的把持羽根62(好ましくは工具鋼で作製された)は、外端66がアーチワイヤスロット48の咬合側及び歯肉側壁がもはやきつく嵌合しないように、互いに向かって自力で動く。ホルダ54は、次いで、アーチワイヤスロット48から外端66を取り外すために、装具46から離れる方向に移動することができる。
次に、固着組成物を固化させ、ブロック116に記載のように基部50用の特別仕様固着パッドを形成する。得られる固着パッドは、模型の歯群34の輪郭に正確に一致し、したがって患者のそれぞれの歯の輪郭に一致する輪郭を有するという点で有利である。この一致する形状により、後の装具の歯への固着が容易になり、装具46が治療過程中に歯から意図せず外れる可能性が減少する。
本発明の別の実施形態による歯科矯正装具ホルダ54aを図9に示し、これはその唇側側面に沿って閉じられたアーチワイヤスロットを有する歯科矯正装具の装着に関連して特に有用である。このような装具の例としては、バッカルチューブが挙げられ、これは細長い通路に類似するアーチワイヤスロットを有する。この通路は、開放近心端及び遠心端を有し、矩形状の横断面図を有することが多い。代表的なバッカルチューブ装具46aも図9に示す。
ホルダ54aは、1対の腕部55aを備え、これはそれぞれが、外側に、外端66aを終点とするほぼ「L」字形の端部を含む。対向する外端66aは互いに向かって延在し、バッカルチューブ装具46aの矩形通路に噛合収容されるよう構築されている矩形断面形状を有する。外端66aは、集合的に、対応する模型の歯群34a上の適切な位置にあるバッカルチューブ46aを位置合わせ及び定置するためのゲージ64aを表す。
腕部55aは、指圧により互いに向かう方向に移動可能であり、指圧を取り除いたとき互いから離れて自力で動くのに十分弾力的である。弛緩した配向にあるとき、腕部55aは、外端66aの向かい合う先端部の間の距離が、バッカルチューブ装具46aのアーチワイヤスロットの近心及び遠心開口部の間の距離全体より大きいように、互いから十分に離間している。バッカルチューブ装具46aを模型の歯34a上に定置することが望ましいとき、ユーザは外端66aをバッカルチューブ装具46aのアーチワイヤスロットの近心及び遠心開口部に隣接するそれぞれの位置に導き、次いで腕部55aに圧力を適用して、腕部55aを一緒に付勢する。外端66aが互いに向かって移動するとき、外端66aは、後者を必要に応じて操作できるように、外端66aをバッカルチューブ装具46aのアーチワイヤスロットに摺動させる。外端66aと装具46aのアーチワイヤスロットの矩形断面形状が一致すると、装具46aは、このような移動及び装着中、アーチワイヤスロットの長手方向軸の周りを回転しない。
図9に示すように、1対の離間したガイド40aは、複製の臼歯34aに一体に接続している。ガイド40aは、ガイド40aがそれぞれ咬合側、舌側及び歯肉側壁を備えるチャネルを有するという点で、ガイド40に類似している。これらの咬合側、舌側及び歯肉側壁は、バッカルチューブ装具46aが模型の歯34a上で所望の配向にあるとき、バッカルチューブ装具46aのアーチワイヤスロットの咬合側、舌側及び歯肉側壁のそれぞれと同一平面上にある関係で配向されるよう設計及び構築される。
装具46aの装着中、ホルダ54aの外端66aは、ガイド40aのチャネルに受容される。装具46aは、外端66aがガイド40aのチャネルの底壁又は舌側壁に接触するまで、複製の歯34aに向かって舌側方向に移動する。一旦このように接触すると、腕部55aにかかる圧力が解放され、腕部55aが広がって開く。腕部55aが互いから離れて移動するとき、外端66aは装具46aのアーチワイヤスロットから移動し、それによりホルダ54aを、装具46aの位置決めを妨害することなく、複製の歯34aから離れて移動させることができる。
ガイド40、40aと装具ホルダ54、54aとの併用については、手により容易に実施される手動手順として上記に記載している。しかしながら、あるいは、装具ホルダ54、54aは、装具46、46aを掴握し、それを弓模型30上に定置するための自動化ロボット機械装置とともに使用するよう構成してもよい。ロボット機械装置用にプログラムされたソフトウェアは、既知の配向で装具46、46aを保持するラックシステムのような、在庫品の装具46、46aの指定された格納位置から各装具46、46aを取り出すような指示を提供することができる。一旦ロボット機械装置が機械装置につながれたホルダ54、54aを移動させて、在庫品から装具46、46aを取り出すと、ロボット機械装置はホルダ54、54aを操作して、ホルダ54、54aの外端66aがガイド40、40aに接触するように、装具46、46aを所定の位置に移動させる。
理論上は、ロボット機械装置を非常に正確に操作して装具46、46aを複製の歯群34、34a上に定置することができるが、ガイド40、40aのような位置合わせ構造の使用は、ホルダ54、54aの位置の小さな誤差を許容できるという点が利点である。ロボット機械装置が、装具46、46aの装着中、小さな制限された距離を移動させるのに十分な動きやすさをホルダ54、54aにもたらす限り、ガイド40、40aは、装具46、46aが模型の歯群34、34a上に定置されるとき、ホルダ54、54aを適切に位置決めするよう機能できる。
図10は、図10では装具46、46aの全てが弓模型30上のガイド40、40aのそれぞれの対間に定置されていることを除き、図2に若干類似している図である。所望により、固着パッドを作製し、各装具46、46aを弓模型30に一時的に固着させるために用いられる固着組成物は、次の装具46、46aが弓模型30上に定置される前に硬化される又は部分的に硬化される。更に別の選択肢として、任意の固着組成物が硬化される又は部分的に硬化される前に、装具46、46aの全てを弓模型30上に定置する。
装具46、46aが金属又は別の不透明な物質で作製される場合及び、光硬化性接着剤が固着組成物として用いられる場合、確実に固着組成物を十分に固化させるために、比較的長時間歯列弓模型30を硬化光に曝露することが好ましい。各装具の近心側面に向かっておよそ10秒間、遠心側面に向かって10秒間、光を向けることにより、3Mユニテック社(3M Unitek Corporation)製のオーソラックス(Ortholux)TX銘柄の硬化ユニットのような、手持ち式硬化ユニットを用いてもよい。各装具の近心側面に向かっておよそ5秒間、遠心側面に向かって5秒間、光を向けることにより、3Mユニテック社(3M Unitek Corporation)製のオーソラックス(Ortholux)LED銘柄の硬化ユニットのような、LED手持ち式硬化ユニットを用いてもよい。代替物として、少なくとも10分間、硬化チャンバ内の光を活性化することにより、デンツプライ(Dentsply)製のトライアド(Triad)2000可視光線硬化システムのような、光硬化チャンバを用いてもよい。好ましくは、弓模型30を作製するために用いられる材料は、化学線を透過して、光が装具46、46aの基部50の真下の固着組成物の全ての部分に達するのを容易にする。
好ましくは、光源を活性化する前に、装具の基部50の側面から押し出された任意の接着剤のバリ(adhesive flash)を、スケーラー(scaler)、ブローブ、綿棒、ブラシ又は高速気流を用いて除去する。しかしながら、あるいは、接着剤のバリは、接着剤が部分的に固化した後に除去してもよい。更に、別の選択肢として、ホルダ54、54aは、空気ノズルを支持するための支持体を含んで、上述のようにバリを除去するための高速気流を供給してもよい。
ガイド40、40aはまた、ガイド40、40aの脚部52aが破断し、模型30の残りの部分から取り外されるまで、隣接する装具46、46aから離れて近心又は遠心方向のいずれかにガイド40、40aを移動させることにより、この時に除去される。好ましくは、脚部52は、残る脚部52が模型の歯表面から一部たりとも突出しないように、模型の歯34、34aの隣接する表面に直接隣接する位置で破断する。
更に別の選択肢として、係属中の、「圧縮性材料を含む歯科物品、方法及びキット(Dental Articles, Methods and Kits Including a Compressible Material)」と題された、2006年10月23日出願の、米国特許出願第11/551,823号(シネイダーJr.(Cinader, Jr.))に記載のような圧縮性材料を、上述の、固着パッドを作製するための固着組成物の代わりに用いてもよい。有利なことに、この選択肢を用いるとき、接着剤のバリを除去する必要性がなくなる。この選択肢では、ガイド40、40aの間隔はより近く、装具46、46aは、ガイド40、40a間に摩擦嵌め(friction-fit)により所定の位置に保持されるが、一方トレーは、固着組成物をトレーを作製する前に固化しないときのような場合は、以下の段落に記載のように形成される。あるいは、固着組成物をトレーを作製する前に固化するとき、摩擦嵌めを排除することができる。トレーマトリックス材料中のガイド40、40aの印象の深さを最小限にするために、装具46、46aが所定の位置に置かれた後、ガイド40、40aは(例えば、破断又は別の方法で)比較的短い長さである又は短くされる。
図11は、歯列弓模型30及びトレー成型容器(以下に記載)のラピッドプロトタイピング製造と同時に、ラピッドプロトタイピング製造プロセス(ブロック110に記載のように)で作製されることが好ましい咬合停止部材70の底面図である。咬合停止部材70は、平坦な上面及び、患者の歯列弓の咬合先端部の形状に一致する凹部72のような形状を有する底面を有する。図11に示す実施形態では、咬合停止部材70は、歯列弓中の歯群の一部のみに対応する凹部(単数又は複数)を有するが、歯列弓の各歯に対応する1つ以上の凹部を有する咬合停止部材を構築することも可能である。
他の変形も可能である。例えば、咬合停止部材は、図11に示すように歯列弓全体に沿う代わりに、歯列弓の一部のみに沿って延在してもよい。別の選択肢として、複数の停止部材を提供してもよい。例えば、停止部材は、2つの臼歯領域のそれぞれに設けることができ、第3の停止部材を歯列弓の前領域に設けることができる。1つを超える停止部材を設けるとき、停止部材は互いに離間し、所望により相互に接続することができる。
図12は、ガイド40、40aが対応する複製の歯群34、34aから取り外され、接着剤のバリが除去された後の、弓模型30の図である。図12では、咬合停止部材70もまた、歯群34、34aの咬合面上に定置されている。凹部72が複数の歯群34、34aの対応する咬頭先端の形状に一致するため、咬合停止部材70は、咬合基準面で咬合停止部材70と弓模型30との間を、もしあったとしても、ほんの少ししか相対側方運動できない方式で、弓模型30上にしっかりと設置することができる。
その後、ブロック120に記載したように、第1マトリックス材料を歯科矯正装具46、46aに適用する。図13に示す実施形態では、第1マトリックス材料74が、第1マトリックス材料74用のディスペンサが、ある装具46、46aから次の装具に移動するとき生じる場合があるように、各装具46、46a上の接着剤のより大きな一塗り(dab)と、そのより大きな一塗りに接合している、より小さなくびれ部を備える連続ストリップの様式で、各装具46、46aの全てに適用されている。しかしながら、別の選択肢として、第1マトリックス材料74は、別々の控えめな一塗りとして、各装具46、46aに適用してもよい。更に別の選択肢として、第1マトリックス材料74は、装具46、46aのそれぞれを覆いながら、弓模型30の全長に沿って比較的均一な幅を有する連続ストリップの様式で、適用してもよい。好ましくは、第1マトリックス材料74は、装具46、46aの咬合側、顔面側、歯肉側、近心側及び遠心側側面に接触する。所望により、必須ではないが、第1マトリックス材料74の一部はまた、装具46、46aの基部50に沿って延在する複製の歯群34、34aの顔面側側面の一部に接触する。
好ましくは、第1マトリックス材料74は、第1マトリックス材料74と各装具46、46aとの間を確実に密接に接触させるように、固化前に比較的低粘度を有する。この方式では、第1マトリックス材料74は、装具46、46aとマトリックス材料74との間がしっかりと接続されるように、各装具46、46aの種々の凹部、空洞及び他の構造的特性に、実質的に浸透することができる。
好適な第1マトリックス材料74の例は、ショーフー・デンタル社(Shofu Dental Corporation)製のエミルマ(Emiluma)銘柄のシリコーン材料である。マトリックス材料74は、硬化前、好ましくは約80Pa・s(80,000cp)未満、より好ましくは約25Pa・s(25,000cp)未満、最も好ましくは約8Pa・s(8,000cp)未満の粘度を有する。一旦固化すると、マトリックス材料74は、20%の伸び率で(ASTM D 412に従って)、約31,000〜約496,000パスカルの範囲、より好ましくは約62,000パスカル〜約248,000パスカルの範囲、最も好ましくは約112,000〜約136,000パスカルの範囲である引張応力を有し、50%の伸び率で、約91,000パスカル〜約1,460,000パスカルの範囲、より好ましくは約183,000〜約730,000パスカルの範囲、最も好ましくは約329,000〜約402,000パスカルの範囲である引張応力を有する。好適な第1マトリックス材料74の例は、20%の伸び率で約124,000パスカルの引張応力、50伸び率で約365,000パスカルの引張応力を有する。
図14は、内部空洞78を有するトレー成型容器又は注型容器76の斜視図である。好ましくは、トレー成型容器76は、歯列弓模型30及び咬合停止部材70のラピッドプロトタイピングと同時に、ブロック110に記載のようなラピッドプロトタイピングにより作製される。所望により、空洞78の底部は平坦であり、咬合停止部材70の平坦な上面に一致する形状を有する。この実施形態では、空洞78を画定する容器76の側壁82は、平坦な底部80から離れて垂直な方向に延在し、底部80に平行に位置する基準面の空洞78の開口部を終点とする。好ましくは、空洞78の形状は、得られるインダイレクトボンディングトレー全体の寸法を小さくすることに加えて、トレー及び容器76を作製するのに必要な材料の量を低減するために、できるだけ最小化される。
追加の選択肢として、追跡番号及び/又は患者データなどのしるしを、後者の構成要素を形成するラピッドプロトタイピングプロセス中、トレー成型容器76、咬合停止部材70及び/又は歯列弓模型30のラピッドプロトタイピングにより形成してもよい。更に、このようなしるしは、以下に記載するようにインダイレクトボンディングトレーが作製されるとき、しるしのポジ像を示すインプリントが後に形成されるように、底面80及び/又は側壁82の内面に沿った鏡像として形成することができる。しかしながら、あるいは、1組の予め製造された成型容器を、上記特別仕様の成型容器の代わりに用いてもよい。例えば、1組の容器を、マクラフリン(McLaughlin)博士、ベネット(Bennett)博士及びトレビシ(Trevisi)博士により記載のように、当該技術分野において既知である卵形、標準的、正方形弓形のような、種々の標準化された弓形に一致するよう作製することができる。更に、標準的な弓形に関連する容器をそれぞれ、小、中及び大のような特定の大きさに予め製造することができる。
トレー成型容器76はまた、図示した実施形態では、1対の離間した柱84を含む位置合わせ構造を含む枠組みを有する。柱84は、弓模型30をトレー成型容器76の空洞78内に定置するとき、弓模型基材36の位置合わせ穴38に噛合受容される。この方式では、弓模型30の配向及び得られるインダイレクトボンディングトレーは、所望の、所定の空間的関係で、空洞78の配向に対して固定される。非円形断面形状を有する単一の柱及び単一の整合穴(matching hole)、柱及び穴の他の組み合わせ又はこのような構成要素の反転のような、トレー成型容器76及び弓模型基材36の位置合わせ構造用の他の構成もまた可能である。ある量の第2マトリックス材料86(図14及び15には図示せず、図16及び17を参照)を、空洞78に分配する。装具46、46a及び咬合停止部材70とともに、弓模型30を、次いでブロック122に記載のように、反転させ、空洞78に定置する。図16は、第2マトリックス材料86を収容しているトレー成型容器76の空洞78に受容されたときの、代表的な模型の歯34、装具46、第1マトリックス材料74及び咬合停止部材70の断面図である。
図16に示すように、第2マトリックス材料86は、第1マトリックス材料74と咬合停止部材70に覆われている領域を除き、複数の歯群34の唇側、咬合側及び舌側表面に接触する。更に、第2マトリックス材料86は、下に横たわる弓模型30の領域を除き、第1マトリックス材料74上に延在し、好ましくはそれを完全に取り囲む。所望により、第2マトリックス材料86は、模型の臼歯群に隣接する第1マトリックス材料74の遠心端上に延在する。第2マトリックス材料86はまた、好ましくは、咬合停止部材70の弓模型30と接触している部分を除き、咬合停止部材70を取り囲む。この実施形態では、停止部材70は第1マトリックス材料74から離間し、第2マトリックス材料86により第1マトリックス材料74から分離される。
好適な第2マトリックス材料86の例は、ヘレウスクルツァー社(Heraeus Kulzer, Inc.)製のメモシル(Memosil)2銘柄のビニルポリシロキサン材料である。第2マトリックス材料86は、硬化前に、好ましくは約1000Pa・s(1,000,000cp)未満、より好ましくは約100Pa・s(100,000cp)未満、最も好ましくは約8Pa・s(8,000cp)未満の粘度を有する。一旦固化すると、第2マトリックス材料86は、20%の伸び率で(ASTM D412に従って)、約0.4×10〜約6.5×10パスカルの範囲、より好ましくは約0.8×10〜約3.3×10パスカルの範囲、最も好ましくは約1.1×10〜約1.4×10パスカルの範囲の引張応力を有し、50%の伸び率で、約0.8×10〜約12.5×10パスカルの範囲、より好ましくは約1.6×10〜約6.2×10パスカルの範囲、最も好ましくは約2.8×10〜約3.4×10パスカルの範囲の引張応力を有する。好適な第2マトリックス材料86の例は、20%の伸び率で約1.3×10パスカルの引張応力、50%の伸び率で約3.1×10パスカルの引張応力を有する。
第2マトリックス材料86は、好ましくは、第1マトリックス材料74の組成と異なる組成を有し、固化後、好ましくは固化後第1マトリックス材料74が示す20%の伸び率における引張応力より大きな20%の伸び率における引張応力を示す。固化後第2マトリックス材料86は、好ましくは約2:1〜約40:1の範囲の比で、より好ましくは約5:1〜約20:1の範囲の比で、最も好ましくは約7:1〜約12:1の範囲の比で、固化後の第1マトリックス材料74の20%の伸び率での引張応力を超える、20%の伸び率での引張応力を示す。好ましくは、第2マトリックス材料86は、比較的高い固着強度で、第1マトリックス材料74に化学的に固着する。
咬合停止部材70は、比較的非可撓性であり、第1マトリックス材料74又は第2マトリックス材料86のいずれかのショアA硬度を超えるショアA硬度を有する。好ましくは、咬合停止部材70は、約72を超えるショアA硬度、より好ましくは約90を超えるショアA硬度、更により好ましくは約60を超えるショアD硬度、最も好ましくは約75を超えるショアD硬度を有する。好適な硬度の例は、72ショアA硬度である。
第2マトリックス材料86が硬化するとき、所望により、咬合停止部材70は、第2マトリックス材料86に化学的に固着する。更に又はあるいは、第2マトリックス材料86の薄層は、一旦固化すると、停止部材70を物理的に捕捉し、第2マトリックス材料86に接続させるために、弓模型30に向かい合う停止部材70の側面に対向する咬合停止部材70の平坦な上面上に延在する。更に、咬合停止部材70は、外向きに延在するとげ(barb)又は一旦後者が固化すると、咬合停止部材70を第2マトリックス材料86に機械的に連結するための下を切り取った領域を提供する他の構造を含んでよい。
代替として、咬合停止部材70を成型容器76の空洞78に挿入し、弓模型30及び装具46、46aが容器76内に定置される前に、容器の底面80と接触して定置する。この代替では、ある量の第2マトリックス材料は、弓模型30及び装具46、46aが空洞78内に定置される前又は後のいずれかに、空洞78内に分配される。一例として、停止部材70は、弓模型30が空洞78内に受容されるとき、停止部材70が弓模型30と適切に位置合わせされるように、側壁82の形状に一致する周囲形状を有する。別の例として、停止部材70は、側壁82の形状より若干小さい周囲形状を有し、代わりに、停止部材70を正確に、その後位置合わせするために、空洞78内に延在する容器76の位置合わせ構造を、弓模型30に嵌合させる。
一旦第2マトリックス材料86が固化すると、それにより装具46、46a、咬合停止部材70及びマトリックス材料74、86を含むインダイレクトボンディングトレー88が形成される。次いで、ブロック124により示されるように、トレー88を成型容器76から取り外し、次いでボンディングトレー88を弓模型30から取り外す。上述のような離型剤の使用は、成型容器76からのトレー88の取り外し及び、弓模型30からのトレー88(装具46、46aを含む)の取り外しを容易にするのを補助する。トレー88の過剰な材料を、次いで、ブロック126に記載のように必要に応じてバリ取りし、トレー88を使用前に点検する。
図17に示すように、固化した第2マトリックス材料86は、トレー88の舌側、咬合側及び顔面側側面をそれぞれ表す、舌側、咬合側及び顔面側外面を示す。好ましくは、トレー88の顔面側側面に沿ったトレー88の最外歯肉側縁部は、装具の歯肉側側面のわずかだけ下方に位置し、トレー88が患者の歯列弓上の所定の位置に受容されるとき、患者の歯肉縁から咬合側方向に離間する。好ましくは、トレー88の舌側側面に沿ったトレー88の最外歯肉側縁部は、トレー88が患者の歯列弓の所定の位置に受容されるとき、患者の歯肉縁から約0.5mm離間する。このような構成により、固着手順中、患者の歯群に対して装具46、46aを付勢するのが容易になる。その顔面側及び舌側側面に沿ったトレー88の最外歯肉側縁部は、実質的に直線であってもよい又は歯肉縁の輪郭に従って波形に仕上げてもよい。
インダイレクトボンディングトレー88の代表的な使用の説明について、ここで、図17を参照して提供する。まず、装具46、46aを受容する患者の歯群を、口角鈎、舌ガード、巻き綿、ドライアングル(dry angle)及び/又は必要に応じて他の物品を用いて隔離する。代表的な歯90を図17に示す。歯群90は、次いで、エアシリンジからの加圧空気を用いて完全に乾燥させる。次に、エッチング液(3Mユニテック(3M Unitek Corporation)製のトランスボンド(Transbond)XT銘柄のエッチングゲルなど)を、エッチング液が隣接歯間の接点に流入したり、皮膚若しくは歯肉に係合しないように注意しながら、装具46、46aに覆われるべき通常領域にある歯群90上に軽く塗布する。
エッチング液が選択された歯表面上に約30秒間留まった後、溶液は、15秒間水流によって歯群90から洗い流される。次に、患者の歯群を、エアシリンジからの加圧空気を適用することによって乾燥させ(例えば、30秒間)、余分な水を吸引によって除去する。あるいは、歯群を、同時にエッチングし、3Mユニテック社(3M Unitek Corporation)製のトランスボンド・プラス・エッチング・プライマー(Transbond Plus Self Etching Primer)で下塗りしてもよい。また、唾液がエッチングされたエナメル質表面と確実に接触しないように注意すべきである。コットンロール又は他の吸収装置を必要に応じて交換し、やはり、確実に唾液がエッチングされたエナメル質に接触しないようにする。次に、エアシリンジからの空気を、歯群90に再び適用し、確実に歯群90を完全に乾燥させてもよい。
次に、ボンディング接着剤を装具46、46aの固着パッド及び/又は患者の歯群90の選択領域に適用する。所望により、ボンディング接着剤は、図17に示すような二成分接着剤である。例えば、第1構成成分92はトランスボンド銘柄のXT下塗り剤(Transbond brand XT Primer)又はトランスボンド銘柄のMIP水分非感受性下塗り剤(Transbond brand MIP Moisture Insensitive Primer)であり、第2構成成分94は、トランスボンド銘柄のプラス・セルフエッチング下塗り剤(Transbond brand Plus Self Etching Primer)であり、これらは両方3Mユニテック社(3M Unitek Corporation)製である。第1構成成分92は、装具46、46aの基部50に接続している固着パッド(図17では51と指定される)に適用され、第2構成成分94は、対応する装具46、46aを受容すべき患者の歯群90の領域に適用される。
第1構成成分92を固着パッドに適用し、第2構成成分94を患者の歯群90の対応する領域に適用した後、トレー88を、所望により揺動、ヒンジ型運動で、対応する歯群90上に位置決めし、設置する。マトリックス材料74、86により表される空洞の形状及び咬合停止部材70はともに、下に横たわる歯群の形状に一致するため、装具46、46aは同時に、弓模型30上の装具46、46aの以前のそれぞれの位置に対応する同じ位置に正確に、下に横たわる歯群90に接触して設置される。
トレー88を上述のような好ましい材料を用いて構築するとき、トレー88の歯の空洞が患者の歯列弓の歯群上に受容されるように、トレー88は所定の位置に「パチッと嵌まる(snap)」ように見える。マトリックス材料74、86及び咬合停止部材70の表面により画定されるトレー88の内部空洞78は、患者の歯群90の形状に相補的な形状を有するため、トレー88は、接着剤が外圧の適用なく硬化するように、歯群90に接触して装具46、46aを押すのに十分堅くてもよい。しかしながら、選択肢として、トレー88の咬合側及び顔面側表面に対して、ボンディング接着剤が十分に固化するまで、外圧を適用してもよい。例えば、装具46、46aを患者の歯群90の顔面側表面にしっかり押し付けるため、指圧を使用してもよい。
好適な二成分化学硬化性接着剤の他の例としては、全て3Mユニテック製(3M Unitek)の、ソンティ(Sondh)銘柄のラピッド・セット(Rapid-Set)インダイレクトボンディング接着剤、ユナイト(Unite)銘柄の接着剤、コンサイス(Concise)銘柄の接着剤が挙げられる。代替として、樹脂改質ガラスアイオノマーセメントを使用してもよい。更に別の選択肢として、全て3Mユニテック社(3M Unitek Corporation)製の、トランスボンド(Transbond)XT銘柄の接着剤、トランスボンド(Transbond)LR銘柄の接着剤及びトランスボンド(Transbond)水分非感受性下塗り剤のような、光硬化性接着剤を用いてもよい。好適な光硬化性接着剤材料の他の例は、米国特許第7,137,812号(クリアリー(Cleary)ら)、並びに、係属中の米国特許出願公開第2005/0175965号(クレイグ(Craig)ら)、同第2005/0175966号(ファルサフィ(Falsafi)ら)及び同第2005/0176844号(オーセン(Aasen)ら)に記載されている。インダイレクトボンディングトレー88はまた、米国特許第7,137,812号(クリアリー(Cleary)ら)に記載のように、製造業者により接着剤で予めコーティングされた装具とともにパッケージ化されてもよい。下塗り剤を患者の歯群90に適用するための代替法は、米国特許第7,168,950号(シネイダーJr.(Cinader, Jr.)ら)に記載されている。
一旦ボンディング接着剤が固化すれば、ボンディングトレー88を患者の歯列弓から注意深く取り除く。所望により、スケーラーのような手持ち器具を使用して、マトリックス材料74を装具46、46aから剥がすときに、各装具46、46aを患者のそれぞれの歯90の表面に接して保持する助けとしてもよい。しかしながら、第1マトリックス材料74が比較的柔らかい場合又は別の方法で装具46、46aから容易に解放される場合、新しい接着剤固着が破断するのを避ける助けとするため、スケーラーの使用は任意である。更に別の選択肢として、トレー88は、口腔から取り除く前にトレー88を破断するために、米国特許第7,020,963号(クリアリー(Cleary)ら)に記載のように、「引き綱(rip cord)」を含んでよい。
インダイレクトボンディングトレーが患者の歯列弓から解放された後、アーチワイヤを装具46、46aのアーチワイヤスロットに定置し、所定の位置に結紮する。好適な結紮装置としては、小さな弾性Oリング、並びに装具46、46aの周囲で縛ってループ状にされたワイヤの区域が挙げられる。別の選択肢として、装具46、46aは、米国特許第6,302,688号(ジョーダン(Jordan)ら)及び国際公開第02/089693号に記載のもののような、アーチワイヤに解放可能に嵌合するラッチを含む自己結紮装具であってもよい。
本発明の別の実施形態による咬合停止部材70’を図18に示す。この実施形態では、咬合停止部材70’は、単一、一体型構成要素であるが、模型の歯群34、34aの咬合先端と接触している4つの別々の離間区域71’を含む。2つの区域71’は2つの模型の下顎切歯群34と接触しながら、区域71’のうち2つは、複製の臼歯群34aと接触するために弓模型30の後区域上に位置する。図示されていないが、区域71’はそれぞれ、下に横たわる模型の歯群34、34aの咬合先端を噛合受容する凹部(凹部72に類似する)を含む。
咬合停止部材70’は、前区域71’及び後区域71’を連結させる、細長い可撓性接続区域73’も含む。連結区域73’は、前区域71’及び後区域71’より小さな断面積を有し、したがってより可撓性である。この実施形態では、連結区域73’は模型の歯群34、34aと接触せず、模型の歯表面に一致する表面を含まない。
更に、咬合停止部材70’は、前区域71’から離れて顔面側方向に延在するハンドル75’を含む。ハンドル75’は、一旦インダイレクトボンディングトレーが作製されると、両方のマトリックス材料を超えて延在し、インダイレクトボンディングトレーを患者の歯列弓上に定置するとき、施術者が使用するために及び、装具を所定の位置に固着した後患者の口腔からインダイレクトボンディングトレーを取り除くために、便利なてこの支点を提供する。この実施形態では、トレー成型容器(容器76のような)は、外側壁82の中間付近に開口部を有して、咬合停止部材70’が容器内に定置されるとき、ハンドル75’を受容する。更に、トレー成型容器は、好ましくは、得られるボンディングトレーの全体の寸法を小さくするように、比較的緊密な関係で咬合停止部材70’を受容する、丸みを帯びた底面(底面80のような平坦な底面の代わりに)を有する。
可撓性接続区域73’により、使用中、得られるインダイレクトボンディングトレーの屈曲が容易になる。具体的には、インダイレクトボンディングトレーの、患者の口を通じた口腔内への通過を容易にするために、施術者が、得られるインダイレクトボンディングトレーの後区域を互いに向かう方向に押し込むのに必要な場合がある指圧の量を、接続区域73’は低減する。一旦ボンディングトレーが口腔の内部に入ると、トレーの後区域上の圧力は解放され、接続区域73’により弾力的ボンディングトレーの後区域がぱっと離れ、次いでトレーが患者の歯群と接触して定置され得るように、元の外形に戻すことができる。
好ましくは、後区域71’は、歯列弓の各側の最も遠心の歯に隣接する歯にのみ接触する。好ましくは、前区域71’は、歯列弓の2つの最も近心の歯群にのみ接触する。好ましくは、区域71’の全ては、隣接する装具46から少なくとも0.5mm離間するが、得られるボンディングトレーの厚さが過度に影響しないように、必要以上の厚さを有しない。
図19は、本発明の別の実施形態に従って構築された、咬合停止部材70”及びトレー成型容器76”の断面図である。この実施形態では、咬合停止部材70”は、最初はトレー成型容器76”と一体であり、咬合停止部材70”及びトレー成型容器76”はラピッドプロトタイピング中一緒に形成される。脆弱線77”は咬合停止部材70”を取り囲み、咬合停止部材70”とトレー成型容器76”との間の境界を画定する。図16に関連して上述した説明と同様の方式でマトリックス材料を形成し、固化した後、トレーを模型歯列弓から除去し、成型容器76”を脆弱線77”に沿って破断させ、廃棄する。
別の選択肢として、上記任意の咬合停止部材70、70’、70”は、それぞれの装具46、46aに向かう歯肉側方向にそれぞれ延在する離間した1組の腕部を含んでもよい。例えば、腕部は、装具46の結合ウイングの間の咬合側−歯肉側又は「垂直」チャネルに受容される外端区域を含んでよい。これらの外端区域は、その湾曲した中心線の周りを回転する方向に得られるトレーを強化するのを補助し、その結果固着手順中患者の歯表面に接触して装具46を押すのを補助する。
上記実施形態の全てでは、ホルダとガイドを併用することが、歯科矯正装具の装着が、アーチワイヤスロットを、歯列弓模型又はその基材の構造的特性へ物理的に位置合わせすることにより実施されるという点で有利である。上記モデリング・ソフトウェアは、テンプレート及び計測器等を使用することなく、装具を正確に装着できるように、ガイドを含む弓模型をラピッドプロトタイピング製造するための指示を提供することができる。更に、直線ワイヤ治療の原理はアーチワイヤスロットの配向に基づくため、本明細書に記載のようにアーチワイヤスロットを歯列弓模型へ位置合わせすることにより、治療の終わりに、確実に歯群を所望の位置に整列させる。
上記種々の実施形態に加えて、他の特徴、構成及び方法が可能である。例えば、係属中の、「歯科矯正インダイレクトボンディング手順中に水分を制御するための装置及び方法(APPARATUS AND METHODS FOR CONTROLLING MOISTURE DURING ORTHODONTIC INDIRECT BONDING PROCEDURES)」と題された、米国特許出願(出願番号第11/422,613号)及び係属中の、「水分制御された歯科矯正用インダイレクトボンディングトレー(ORTHODONTIC INDIRECT BONDING TRAY WITH MOISTURE CONTROL)」と題された米国特許出願(出願番号第11/422,614号)に記載のような、固着手順中水分制御を制御するための構造をボンディングトレーに加えることができる。係属中の、「光硬化性接着剤材料を用いた歯科矯正装具を固着させる方法及び装置(METHODS AND APPARATUS FOR BONDING ORTHODONTIC APPLIANCES USING PHOTOCURABLE ADHESIVE MATERIAL)」と題された、米国特許出願第11/689856号(2007年3月22日出願)に記載のように、光源を受容するために、ボンディングトレー内に容器を設けることができる。「患者特異的歯科矯正材料のRFID追跡(RFID TRACKING OF PATIENT-SPECIFIC ORTHODONTIC MATERIALS)」と題された、米国特許出願公開第2006/0134580号に記載のように、無線認証(RFID)タグを用いて、ボンディングトレーの製造全体にわたって患者特異的な材料を追跡することができる。「マーカーによる物理的及び仮想歯構造の位置合わせ(REGISTERING PHYSICAL AND VIRTUAL TOOTH STRUCTURES WITH MARKERS)」と題された、米国特許出願公開第2007/0031774号に記載のように、マーカーを用いて仮想及び物理的歯列弓を位置合わせしてもよい。
本発明のボンディングトレーの移動精度(すなわち、装具装着の精度)を他の構成のボンディングトレーと比較することにより、実験を実施した。3つの異なる歯列弓の形状を表す、3つのデジタルデータファイルを得た。3つのデータファイルをそれぞれ用いて、ボンディングトレー88及び成型容器76に関して上述した方法に従ったが、図18に示す咬合停止部材70’に類似する咬合停止部材を用いて、ボンディングトレー及び成型容器を作製した。これらの3つのトレーを作製するために、第1マトリックス材料はエミルマ(Emiluma)銘柄のシリコーン材料であり、第2マトリックス材料は上述のようなメモシル(Memosil)2銘柄のビニルポリシロキサン材料であり、一般に図13に図示したように見えるよう、十分な第1マトリックス材料をブラケット装具に適用した。咬合停止部材及びトレー成型容器は、フルキュア(FullCure)720プリンティング材料を用いて作製した。
比較目的のために、5つの他のインダイレクトボンディングトレーも、3つの歯列弓のそれぞれについて構築した。比較ボンディングトレーAは、以下の表Iに記載したRTVシリコーン材料、バイト位置合わせ材料(bite registration material)及び1.5mmポリカーボネートシートを用いて、米国特許出願公開第2006/0223031号に記載の方法に従って構築した。ボンディングトレーBは、それぞれの装具上に表Iに記載のシリコーン材料を注意深く塗装し、次いで手持ち式ディスペンサを用いてシリコーン材料及び模型の歯群上にビニルポリシロキサン材料を提供することにより構築した。
比較ボンディングトレーCは、まずブラケット装具及び模型の歯群上に、表Iに記載のようなビニルポリシロキサン材料の層を適用し、次いでポリシロキサン材料上に表Iに記載のようなシート材料を定置することにより構築した。次いで、アセンブリを圧力成形装置(グレート・レイク・オーソドンティクス(Great Lakes Orthodontics)製の、バイオスター(Biostar)銘柄の熱成形機)内に定置して、トレーを形成した。比較ボンディングトレーDは、装具及び模型の歯群上に表Iに記載のシート材料を定置し、上述の熱成形機を用いてシート材料を圧力成形することにより構築した。シート材料を冷却した後、シート材料(これも表Iを参照)の第2シートを第1シート材料上に定置し、次いでアセンブリを熱成形機内に定置して、トレーを形成した。比較ボンディングトレーEは、ボンディングトレーEを作製するためのシート材料の厚さがより厚かったことを除き、比較トレーCに類似する方式で構築した。
Figure 0005475473
比較トレー、並びに本発明に従って構築したトレーの装着精度を決定するために、デジタルデータファイルを用いて、上記のようなガイド40を備える各トレーのための第1模型弓、並びにガイドを備えないことを除き各トレーのための同一構成の第2模型弓を作製した。上述のソフトウェアを用いて、模型の歯群上の仮想ブラケット装具の所望の位置座標を決定し、ガイドの構成を設計した。次いで、歯科矯正ブラケット装具を、ガイドと併せて手持ち式装具ホルダを用いて、第1模型弓のそれぞれの上に定置した。装具を模型の歯群に固着させた後、ガイドを取り外した。第1模型弓に固着させたとき、全体座標系における各装具の位置座標を決定し、記録した。
次いでトレーを装具及び第1模型上で作製し、模型から装具を取り外した。患者の歯群への固着を模擬実験するために、次いでそれぞれのトレーを第2模型弓の1つに定置し、装具を第2模型弓の模型の歯群に固着させた。次いで、固着トレーを装具及び第2模型弓から取り外した。次に、第2模型歯列弓に固着させたとき、全体座標系における各装具の位置座標を決定した。以下でもより詳細に記載するように、次いで、第1模型弓に固着させたときの装具の位置座標と、第2模型弓に固着させたときの装具の位置座標と比較することにより、トレー移動の平均誤差を得た。
現実の装具の座標の測定
アルミニウムの平坦な矩形区画を、厚さがアーチワイヤスロットの咬合側−歯肉側寸法に一致し、幅が各ブラケット装具46のアーチワイヤスロットの全体の近心側−遠心側寸法に一致するように機械加工することにより、各装具のための測定用付属物99(図20を参照)を調製した。各付属物99の1側面をレーザーエッチングして、矩形配列に配置された4つの円に加えて、各円の中心に円形の標的を提示する。付属物99の表面を陽極酸化して、それを反射しないようにし、反射光による誤差の可能性を低減する。次いで、付属物99をアーチワイヤスロット内に定置し、アーチワイヤスロットの舌側壁に平坦に嵌合する位置に移動させ、ぴったり噛合嵌めしていることを確認するために点検した。付属物99の近心及び遠心側面を、ブラケット装具46のそれぞれの近心及び遠心端部と揃えた。
次いで、スマートスコープ(SmartScope)ZIP 250銘柄の測定装置(オプティカル・ゲージング・プロダクツ社(Optical Gaging Products, Inc.)製)を用いて、元の台座又は基材(基材36のような)に対する4つの円形の標的のそれぞれの座標を決定した。次いで、模型の歯群に固着させたときのブラケットの位置座標を、以下の座標系を用いて、ソフトウェアにより仮想的に決定したときのブラケット装具の所望の位置座標と比較した。
装具のアーチワイヤスロットの座標系
以下の記号を用いて、中心及び底部に局所デカルト座標系を定置することにより装具の位置を表した(すなわち、アーチワイヤスロットの近心−遠心中心及びアーチワイヤスロットの咬合−歯肉中心に及びアーチワイヤスロットの舌側壁上の位置に)。
1.X−上顎の患者の左側のブラケット及び下顎の患者の右側のブラケットの遠心方向に向かい、逆もまた同様である。これは、角形成していないアーチワイヤスロットと整列するが、角形成したブラケットとは、角形成の角度を成す。
2.Y−歯の長軸に従った歯肉方向に向かう。
3.Z−顔方向に向かう。これは常にアーチワイヤスロットの舌側平面(又はアーチワイヤスロットの底壁)に垂直である。
装具の基部の座標系
変換マトリックスを用いて、装具のスロットの座標系を装具の基部の座標系と関連づけた。装具の基部の座標は、装具基部の中心であった(これもまた模型の歯表面上であった)。
全体台座座標系(Global Pedestal Coordinate System)及び歯の模型
装具の基部の座標を、別の変換マトリックスにより全体台座座標に関連づけた。全体台座座標系の基点は、台座の基部の中心に位置していた。弓模型を台座上に実装し、以下の記号を使用した。
・+yは弓の歯肉方向に向く。
・+zは弓の前に向く。
・+xは、水平に、上顎の場合患者の左側に向かい、下顎の場合患者の右側に向かう。
変換マトリックス及び座標変換
2つの変換マトリックス(台座から装具の基部へ、装具の基部からアーチワイヤスロットへ)を用いて、以下のように、台座の座標(x,y,z)を装具のアーチワイヤスロットの座標(x,y,z)に変換した。
Figure 0005475473
式中、a’ij’s、aij’sは、角変換の成分であり、(x’,y’,z’)及び(x,y,z)は、それぞれ基部及びスロットの座標系の基点である。
以下のような短縮形式で等式を記述する。
Figure 0005475473
又は、逆に
Figure 0005475473
仮想模型のための装具の基点の計算
台座の座標系に対する仮想模型の装具の基点を、以下のように、上記等式の
Figure 0005475473
に置換することにより得た。
Figure 0005475473
物理的模型のための装具の基点の計算
上述のスマートスコープ(SmartScope)装置を用いて、台座の基点に対する4つの円形標的(点1〜4と表記する)の座標を測定した。図20は、ブラケット装具46のアーチワイヤスロットに、ぴったり噛合嵌めするよう構成された付属物99を示す。点1〜4は、付属物の表面上に位置し、矩形配列に配置されていた。図20は、装具46の基点のための座標系とともに、寸法w、h、g及びsも記載する。
装具のアーチワイヤスロットの座標の基点を見つける前に、スマートスコープ(SmartScope)装置により測定された座標から、点1〜4を結ぶ線上の中点における及び付属物に垂直な、単位ベクトル
Figure 0005475473
を算出した。
Figure 0005475473
台座の座標系に対するアーチワイヤスロットの中心における装具のアーチワイヤスロット座標系の基点は、
Figure 0005475473
式中、gは装具の基点から点1〜4へのz方向の距離であり、hは点1と2との間のz方向の距離であり、sはy方向に測定したアーチワイヤスロットの寸法であった。
仮想と現実との装具の位置の比較
測定した固着した装具の位置と、仮想の目的とする装具の位置との間の座標の差(3並進)を表にし、異なるブラケット装具の間の及び現実の模型と仮想の模型との間でグラフ化した。
並進差(Translational Difference)
台座の座標系を用いて、仮想(v)と現実(a)との間の、各ブラケットのブラケット位置の並進差は以下のように表すことができる。
Figure 0005475473
式中、
Figure 0005475473
は、それぞれ現実模型と仮想模型における台座の座標系のブラケットの基点の座標である。
ブラケットのスロットの座標系を用いて、仮想(v)と現実(a)との間の、各ブラケットのブラケット位置の並進差は以下のように表すことができる。
Figure 0005475473
上記等式を用いて、最初に固着させた第1の現実のブラケット位置と仮想のブラケット位置との間の並進差を計算した。またそれを用いて、トレー移動後の第2の現実のブラケット位置と、その仮想のブラケット位置との間の並進差を計算した。
第1位置と第2位置との間の各ブラケットの並進差の規模を、以下から算出した。
Figure 0005475473
式中、Δは、ブラケットiの並進差の規模である。
弓全体上のブラケットの平均並進差は、
Figure 0005475473
式中、Nは弓中のブラケットの総数である。
平均移動誤差の結果を図21に記載し、図21の各ボックスに付随する数値は3つの異なる弓から得た値の平均である。図21のデータは、本発明に従って構築されたインダイレクトボンディングトレーが、比較インダイレクトボンディングトレーに比べて、移動誤差が最小量であることを示す。本発明のトレーを用いて得られた平均移動誤差は、およそ0.1mmであったが、一方比較インダイレクトボンディングトレーを用いて得られた平均移動誤差はおよそ0.18mm〜およそ0.26mmの範囲であった。図21では、各平均値に対応する縦線は得られたデータの0〜100%の範囲を表し、一方矩形は得られたデータの25〜75%を表す。
更に、上記本発明の多数の変形も可能である。したがって、本発明は、詳細に上述した現在の好ましい実施形態に限定されると見なすべきではなく、それらの等価物とともに以下の特許請求の範囲の適正な範囲によって制限される。本発明の実施態様の一部を以下の項目1−34に列記する。
[1]
1組の歯科矯正装具と、
前記装具上に延在する第1マトリックス材料と、
前記第1マトリックス材料上に延在する第2マトリックス材料であって、前記第2マトリックス材料は、歯の側面の一部の外形に一致する外形を備える表面を有する部分を含む、第2マトリックス材料と、
前記第2マトリックス材料に接続している咬合停止部材であって、前記咬合停止部材は、咬合側歯表面の少なくとも一部に一致する外形を備える表面を有する区域を含む、咬合停止部材と、を備える歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[2]
前記第1マトリックス材料が、歯の側面の一部の前記外形に一致する外形を備える表面を有する部分を含む、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[3]
前記第1マトリックス材料が、各装具を取り囲む、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[4]
前記装具が、咬合側、顔面側及び歯肉側側面を有し、前記第1マトリックス材料が、前記装具の前記咬合側、顔面側及び歯肉側側面と接触している、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[5]
前記第1マトリックス材料が、前記咬合停止部材から離間している、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[6]
前記第2マトリックス材料が、前記咬合停止部材の少なくとも一部を取り囲む、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[7]
前記第2マトリックス材料が、機械的連結により前記咬合停止部材に接続している、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[8]
前記トレーが、外側顔面側表面を含み、前記第2マトリックス材料が、前記外側顔面側表面の少なくとも一部で存在する、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[9]
前記トレーが、外側舌側表面を含み、前記第2マトリックス材料が、前記外側舌側表面の少なくとも一部で存在する、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[10]
前記停止部材が、ラピッドプロトタイピング材料を含む、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[11]
前記第1マトリックス材料が、20%の伸び率で約62,000パスカル〜約248,000パスカルの範囲の引張応力を示す、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[12]
前記第2マトリックス材料が、20%の伸び率で約800,000パスカル〜約3,300,000パスカルの範囲の引張応力を示す、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[13]
前記第1マトリックス材料が、20%の伸び率で約112,000パスカル〜約136,000パスカルの範囲の引張応力を示す、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[14]
前記第2マトリックス材料が、20%の伸び率で約1,100,000パスカル〜約1,400,000パスカルの範囲の引張応力を示す、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[15]
前記第2マトリックス材料が、約5:1〜約20:1の範囲の比で、前記第1マトリックス材料の20%の伸び率での前記引張応力を超える、20%の伸び率での引張応力を示す、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[16]
前記咬合停止部材が、前記第2マトリックス材料を超えて顔面側方向に延在するハンドルを含む、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[17]
前記咬合停止部材が、臼歯の咬合先端に一致する外形を備える少なくとも1つの凹部を有する2つの後区域と、前歯の咬合先端の外形に一致する外形を有する少なくとも1つの凹部を備える少なくとも1つの前区域を含む、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[18]
前記咬合停止部材が、各前区域及び各後区域を連結する接続区域も含み、前記接続区域が、各前区域及び各後区域よりも可撓性である、項目17に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[19]
前記接続区域が、歯の咬合先端の外形に一致する外形を有する凹部を含まない、項目18に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[20]
前記咬合停止部材が、前記第2マトリックス材料の硬度を超える硬度を有する前記トレーの唯一の停止部材である、項目1に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
[21]
歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法であって、
患者の歯列弓の咬合面の少なくとも一部に一致する外形を備える表面を有する咬合停止部材を準備する工程と、
歯科矯正装具を前記患者の歯列弓の模型の歯表面上に定置する工程と、
前記停止部材を前記歯列弓模型の咬合面上に定置する工程と、
ある量の第1マトリックス材料を前記歯科矯正装具に適用する工程と、
前記第1マトリックス材料を固化させる工程と、
前記歯列弓模型、前記歯科矯正装具及び第1マトリックス材料を容器内に定置する工程と、
ある量の第2マトリックス材料を前記容器に加える工程と、
前記第2マトリックス材料を固化させる工程と、
前記歯列弓模型、前記歯科矯正装具、前記停止部材及び前記第2マトリックス材料を前記容器から取り外す工程と、を含む、歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[22]
ある量の第1マトリックス材料を前記歯科矯正装具に適用する前記行為が、前記第1マトリックス材料の一部を前記歯列弓模型に適用する行為も含む、項目21に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[23]
前記咬合停止部材を前記歯列弓模型上に定置する前記行為が、前記歯列弓模型、前記歯科矯正装具及び前記第1マトリックス材料を前記容器内に定置する前記行為の前に実施される、項目21に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[24]
前記歯列弓模型、前記歯科矯正装具及び前記第1マトリックス材料を前記容器内に定置する前記行為が、前記咬合停止部材を前記歯列弓模型と接触させながら実施される、項目23に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[25]
ある量の第2マトリックス材料を前記容器に加える前記行為が、前記歯列弓模型、前記歯科矯正装具及び前記第1マトリックス材料を前記容器内に定置する前記行為の前に実施される、項目21に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[26]
前記停止部材が最初に前記容器に一体に接続され、前記停止部材を前記歯列弓模型の咬合面上に定置する前記行為が、前記歯列弓模型、前記歯科矯正装具及び前記第1マトリックス材料が前記容器内に定置されるときに実施される、項目21に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[27]
歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法であって、
患者の歯列弓の少なくとも一部を表すデジタルデータファイルを準備する工程と、
前記デジタルデータファイルを用いて、ラピッドプロトタイピングにより前記患者の歯列弓の模型、咬合停止部材及びトレー成型容器を形成する工程と、
歯科矯正装具を前記歯列弓模型の歯表面上に定置する工程と、
前記停止部材を前記歯列弓模型の咬合側歯表面と接触させる工程と、
ある量のマトリックス材料を前記容器に添加する工程と、
前記歯列弓模型及び前記歯科矯正装具を前記容器内に定置する工程と、
前記マトリックス材料を固化させる工程と、を含む、歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[28]
前記停止部材を前記歯列弓模型の咬合側歯表面と接触させる前記行為が、前記歯列弓模型及び前記歯科矯正装具を前記容器内に定置する前記行為の前に実施される、項目27に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[29]
前記停止部材を前記歯列弓模型の咬合側歯表面と接触させる前記行為が、前記歯列弓模型及び前記歯科矯正装具が前記容器内に定置されるときに実施される、項目27に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[30]
前記歯列弓模型及び前記歯科矯正装具を前記容器内に定置する前記行為は、前記咬合停止部材が前記歯列弓模型の咬合側歯表面と接触しながら、前記容器内に前記歯列弓模型を移動させることにより実施される、項目27に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[31]
項目27に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法であって、別のマトリックス材料を前記歯科矯正装具に適用する行為を含み、別のマトリックス材料を前記歯科矯正装具に適用する前記行為が、前記歯列弓模型及び前記歯科矯正装具を前記容器内に定置する前記行為の前に実施される、方法。
[32]
前記停止部材が最初に前記容器に一体に接続され、前記歯列弓模型及び前記歯科矯正装具を前記容器内に定置する前記行為が、前記停止部材を前記歯列弓模型の咬合側歯表面と接触させる前記行為の前に開始される、項目27に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
[33]
項目32に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法であって、前記固化したマトリックス材料から前記容器を取り外す行為を含み、前記固化したマトリックス材料から前記容器を取り外す前記行為が、前記咬合停止部材から前記容器の少なくとも一部を切り離す行為を含む、方法。
[34]
前記咬合停止部材から前記容器を切り離す前記行為が、脆弱線を破断させる行為を含む、項目33に記載の歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。

Claims (3)

  1. 歯列弓用の1組の歯科矯正装具と、
    前記装具上に延在する第1マトリックス材料と、
    前記第1マトリックス材料上に延在する第2マトリックス材料であって、前記第2マトリックス材料は、前記歯列弓の歯の側面の一部の外形に一致する外形を備える表面を有する部分を含み、前記第1マトリックス材料の20%の伸び率における引張応力より大きな20%の伸び率における引張応力を示す、第2マトリックス材料と、
    前記第2マトリックス材料に接続しており、前記第2マトリックス材料によって前記第1マトリックス材料から分離されている咬合停止部材であって、前記咬合停止部材は、前記歯列弓の咬合側歯表面の少なくとも一部に一致する外形を備える表面を有する区域を含む、咬合停止部材と、を備え、前記咬合停止部材のショアA硬度が前記第1マトリックス材料または前記第2マトリックス材料のいずれかのショアA硬度より高い、歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー。
  2. 歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法であって、
    患者の歯列弓の咬合面の少なくとも一部に一致する外形を備える表面を有する咬合停止部材を準備する工程と、
    歯科矯正装具を前記患者の歯列弓の模型の歯表面上に定置する工程と、
    前記停止部材を前記歯列弓模型の咬合面上に定置する工程と、
    ある量の第1マトリックス材料を前記歯科矯正装具に適用する工程と、
    前記第1マトリックス材料を固化させる工程と、
    前記歯列弓模型、前記歯科矯正装具及び第1マトリックス材料を容器内に定置する工程と、
    ある量の第2マトリックス材料を前記容器に加える工程であって、それにより、前記第2マトリックス材料が前記停止部材と前記第1マトリックス材料を互いに分離する、工程と、
    前記第2マトリックス材料を固化させる工程と、
    前記歯列弓模型、前記歯科矯正装具、前記停止部材及び前記第2マトリックス材料を前記容器から取り外す工程と、を含む、歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
  3. 歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法であって、
    患者の歯列弓の少なくとも一部を表すデジタルデータファイルを準備する工程と、
    前記デジタルデータファイルを用いて、ラピッドプロトタイピングにより前記患者の歯列弓の模型、咬合停止部材及びトレー成型容器を形成する工程と、
    歯科矯正装具を前記歯列弓模型の歯表面上に定置する工程と、
    前記停止部材を前記歯列弓模型の咬合側歯表面と接触させる工程と、
    前記歯科矯正装具に第1マトリックス材料を添加する工程と、
    ある量の第2マトリックス材料を前記容器に添加する工程と、
    前記歯列弓模型、前記第1マトリックス材料及び前記歯科矯正装具を前記容器内に定置する工程であって、それにより、前記第2マトリックス材料が前記停止部材と前記第1マトリックス材料を互いに分離する、工程と、
    前記第1及び第2マトリックス材料を固化させる工程と、を含む、歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレーを製造する方法。
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