JP5474076B2 - 流体の粘度を測定する装置及び方法 - Google Patents

流体の粘度を測定する装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体の粘度を測定する方法に関し、また、対応する装置に関する。
研究所又は実際に工業用途において使用するのに好適な多くの粘度計が既知である。
流体を収容している管内に球を落下させる落球粘度計が知られており、流体の粘度を推測するためにその限界速度が測定される。
その粘度計は比較的正確な測定値を得ることを可能にする。それにもかかわらず、この粘度計は水等の低粘度流体の場合はあまり正確ではない。さらに、実際には、その装置は研究所でしか使用することができない。最後に、広範な粘度をカバーするために複数の球及び管を使用する必要がある。
圧力を加えることによって毛細管に沿って確立される流体流に基づいて動作する毛細管粘度計も存在する。流体の粘度は、流体の粘度及び圧力の両方に応じて変わる体積流量から推測することができる。
それらの粘度計は、粘度が広い範囲にわたって変化する可能性がある物質に使用する場合には正確さに欠ける。
(例えば円錐形、平面若しくは円筒形の形状の)既知の領域にかかる応力を測定するか又は既知の領域に応力を与える働きをすると共に、与えられたか若しくは測定された回転速度に基づいて2つの表面間の速度勾配(一定であると仮定される勾配)を推定する働きをする回転粘度計にも言及することができる。
その粘度計は、回転容器又は可動体の使用に基づく。動くことが意図される機械的部品は、正確に作製かつ位置決めする必要があり、摩擦が非常に低い回転装置の使用を要し、高価である。
振動粘度計は、振動棒である活動部を有する。振動粘度計は、流体の粘度の関数として変化する、振動の振幅を測定することを可能にする。
さらに、概して、上記粘度計は本質的に研究所において使用されるものであり、工業用途、及び/又は連続的な測定を行うにはあまり適していない。上記粘度計はまた、それらの構成要素である機械的部品に必要とされる許容差のために、原価が高い装置である。したがって、上記粘度計は、特に、該粘度計に損傷を与える可能性が高い流体に対して粘度測定を行うべきである場合に、非常に徹底した保守を必要とする器具である。さらに、上記粘度計は概して、限られた粘度範囲にわたってしか十分な精度の測定値を得ることが可能ではない。
また、ガスが沿って流れる管の入口及び出口間の差圧測定を用いる粘度計を記載している特許文献1にも言及することができる。
管内のガスの流れは、管の入口部分では層流ではないため測定が妨げられ、したがって粘度計の精度が大幅に下がる。
特許文献2は、同様に内部を流体が流れる管の入口及び出口間の差圧測定を用いる粘度計を記載している。
この粘度計の構造を考えると、流体は一方向にしか流れることができない。さらに、上記文献は、レイノルズ数が2000を超えると述べている。管内の流体の流れは、レイノルズ数が大きい場合には層流となり得ないため、ここでもまた粘度計の精度が下がる。
最後に、特許文献3は、媒体中に懸濁している粒子の見掛け粘度を測定する器具を記載している。この器具は、器具内における後退位置と展開位置との間で移動可能なブレードを有する。展開位置では、ブレードはパイプ内に配置され、該パイプ内には媒体が流れ、その流れ方向は一定である。この器具はブレードに加わるせん断力を測定する。
それにも関わらず、流れの特性は、パイプの壁からその中心にかけて異なる。したがって、せん断力はブレードに沿って変化し、器具は媒体の粘度に関して精度の低い値を示す。この器具は本質的に、高い粘度を求めるように設計されている。
米国特許第4750351号 米国特許第6755079号 国際公開第98/38477号
本発明の目的は、粘度が非常に広範な範囲にある流体、特に粘度が低い流体に対して実施することができる、流体の粘度を測定する方法を提案することによって上記の欠点を軽減することであり、その測定は、約数パーセントである許容可能な精度で行われ、本方法は、ニュートン流体にも非ニュートン流体にも等しく用いることができる。
本発明はまた、上記方法を実施する粘度計を提供する。本粘度計は、特にその構成部品が非常に正確な許容差を必要としないため低コストであり、研究所又は工業環境においても等しく用いることができる。
したがって、本発明は、流体の粘度を測定する方法であって、
a)特性横断寸法(characteristic transverse dimensions)Dのチャネル内において層流条件下で前記流体の流れを確立するステップであって、特性寸法(characteristic dimension)dの細長要素を、前記チャネル内に、実質的にその長手方向に沿って実質的にその中心に配置し、前記細長要素の長さの部分lを前記チャネル内に液浸する、確立するステップと、
b)前記流体によって前記細長要素の壁に加わる摩擦力fを測定するステップと、
c)以下の式:
Figure 0005474076
(式中:
Uは流れの平均速度であり、
λは幾何学的因子である)
を用いて前記流体の動的粘度ηを計算するステップと、
を含む、方法を提供する。
本明細書を通して、「細長要素」という用語は、長さl’及び直径dを呈すると共に、長さlを呈する液浸部分を有する要素を指すのに用いられ、比l/dは10〜100の範囲にある。
したがって、本方法は、限られた幾何学的形状内に層流を確立することにあり、この流れはしたがって流体の粘度によって影響を及ぼされるのであって、流体の慣性によっては影響を及ぼされず、これは広範囲の流量に当てはまる。
さらに、本方法は、回転運動するか又は振動運動するかにかかわらず、可動部品を一切必要としない。したがって本方法の実施は必然的に、粘度を測定する従来の方法と比べて簡略化されたものとなる。
粘度を測定する別の技法は、比D/dが十分に大きく、粘度計のチャネルが円筒形である場合に通常5よりも大きければ、前記チャネル内の前記細長要素の、特性横断寸法Dに沿った様々な位置に対してステップb)及びc)を連続的に実施することにある。
これによって、摩擦力f及び動的粘度を、チャネルの横断寸法に沿った細長要素の位置の関数として、したがって流れの速度プロファイルの関数として測定することが可能となる。同じ平均速度の場合、異なるせん断速度に関して粘度を求めることができる。
流体がニュートン流体である場合、平均流速Uの値を1つだけ用いてステップa)〜c)を実施することができるが、それでもなお、適切な精度を表す粘度の測定値が得られる。
流体が非ニュートン流体である場合、平均流速Uの様々な値を用いてステップa)〜c)を連続的に実施する。
この場合、本方法は、平均流速の関数として粘度の曲線を提供することにあり、その後この曲線を有効に分析して流体の特性を求めることができる。
流体が非ニュートン流体であり、比D/dに関して十分に大きく、粘度計のチャネルが円筒形である場合に通常は5よりも大きければ、本方法は、チャネルの横断寸法に沿った細長要素の様々な位置に関して平均流速の関数として粘度の曲線を得るように有利に実施され、流量は一定であるか、又は流量が異なる場合には細長要素の位置が固定される。
本発明の方法は、有利には連続的に実施することができる。
本発明はまた、本発明の測定方法を実施する粘度計であって、
特性開口(characteristic opening)D及び長さLのチャネルと、
特性寸法dを有すると共に、長さlの液浸部分を有する細長要素であって、前記チャネル内に、実質的に該チャネルの中心に、実質的に該チャネルの長手方向に沿って延びるように配置される、細長要素と、
流体流が前記チャネル内で確立されると前記細長要素の壁に加わる摩擦力fを測定する、測定手段と、
を備える、粘度計を提供する。
本発明の粘度計は、前記横断寸法に沿った前記要素の変化する位置に伴う前記摩擦力の変化を測定するために前記チャネルの前記開口内で前記細長要素を並進移動させる手段も含むことができる。
前記細長要素は可撓性とすることができる。細長要素は、可撓性であることによって、流体流の影響下で自身を前記チャネルの長手方向と容易に位置合わせすることができる。
例として、ポリエステル、ゴム又はナイロンのフィラメントに言及することができる。
粘度計は、流体を流動させる強制(imposed)流量ポンプを含むことができる。
前記粘度計の第1の変形形態では、前記チャネルは、2つの実質的に平行なプレート間の空きスペースによって画定される。
第2の変形形態では、前記チャネルは円筒形容器によって画定される。
本発明の粘度計の製造コストが低いことを踏まえれば、チャネル及び細長要素は使い捨てとすることができる。これによって、測定作業を行った後で洗浄作業を省くことが可能となる。これはまた、医療分野において、例えば本発明の粘度計が血液試料の粘度測定に用いられる場合に極めて有用であり得る。
添付の図面を参照してなされる以下の説明を読めば、本発明をよりよく理解することができ、本発明の他の目的、利点及び特徴がより明らかとなる。
本発明の例示的な粘度計の斜視図である。 図1に示される粘度計において用いられる細長要素が1.5ミリメートル(mm)に等しい直径のガラスシリンダーであり、流体が水である場合の、該細長要素に加わる力(ニュートン(N))を、流体の流量(ミリメートル/分(mL/min))の関数としてプロットする曲線である。 流体が(25%/75%)水/グリセロール混合物である場合の、図1に示される装置に配置された直径2mmの銅シリンダーに加わる力(N)を、流量(mL/min)の関数としてプロットする曲線である。 図1の装置に配置された直径1.5mmのガラスシリンダーに加わる力(N)を、そのオフセット(すなわち装置のチャネルの対称面に対するその位置)の関数として示す曲線である。 D/d=100である場合の、図1に示されるような装置内の円筒形要素のオフセットの関数として(すなわち実際には装置のチャネルの対称面に対する上記要素の位置の関数として)幾何学的因子λを示すデジタルモデリングによって求められる曲線であり、オフセットはDの関数として表される。 本発明の別の例示的な粘度計の概略斜視図である。 図6に示される粘度計の細長要素が1mmに等しい直径の金属シリンダーであり、流体が水である場合の、該細長要素に加わる力(マイクロニュートン(μN))の変化を、流速(メートル/秒(m/s))の関数としてプロットする曲線である。 せん断速度(毎秒(s−1))の関数として、図6に示される粘度計を用いて得られた水の図7の結果に対応する粘度値(ミリパスカル秒(mPa・s))(◆点)と、Contraves社製Low−shear30回転粘度計を用いて得られた値(+点)とを示す図である。 図6に示される粘度計の細長要素が1mmに等しい直径の金属シリンダーであり、流体が(15%/85%)水/グリセロール混合物である場合の、該細長要素に加わる力(μm)の変化を、流速(m/s)の関数として示す曲線である。 せん断速度(s−1)の関数として、図6に示される粘度計を用いて得られた(15%/85%)水/グリセロール混合物の図9の結果に対応する粘度値(mPa・s)(●点)と、Anton Paar社製MCR501レオメーターを用いて得られた粘度値(◇点)とをプロットする図であり、破線の直線は文献からの値を表す。 D/d=5である場合、幾何学的因子λを、チャネルが管によって画定されている粘度計における円筒形要素のオフセットの関数として(すなわち管の中心に対する上記要素の位置の関数として)示す曲線であり、オフセットはDの関数として表される。 low−shear粘度計によって得られるような、粘度(mPa・s)の変化を非ニュートン流体の場合のせん断速度(s−1)の関数として示す曲線である。 力(μN)の変化を流量(mL/min)の関数として示す3つの曲線C、C及びCをプロットする図であり、ここで、Cは図12に示される結果に対応し、粘度計を流れる流体のレオロジー曲線から得られる理論上等しい力を示し、C及びCは、図6に示される粘度計を用いて同じ非ニュートン流体に関して行った試験に対応する。
図1に図式的に示される粘度計1は、実質的に同一である2つのプレート10及び11を備える。これらのプレートは、両端部以外は、実質的に滑らかであると共に平行な向かい合う表面100及び110を呈する。このゾーンでは、細長要素を定位置に置くのを容易にするためにY字形が選択されている。このゾーンは省かれるか又は形状を変えられれば有利であろう。
これらの2つの向かい合う面は、流体流を通過させるのに使用されるチャネル14を画定する。これらの2つの向かい合う面は、チャネルの特性開口又は横断寸法と称される距離Dだけ離間している。
図1に示される粘度計はまた、本明細書ではワイヤ12の形態である細長要素を含む。図1に示されるように、細長要素12は長さl’を呈し、この長さの一部lが、プレート10及び11によって画定されているチャネル14内に配置される。当然ながら、要素12が液体中に完全に液浸される場合、l=l’である。
要素12は、実質的にチャネル14の中心に配置されるため、該要素とチャネルの壁とは全く接触しない。
プレートは、流体の液位から測定され得る長さLを呈する。チャネル入口の長さL’がチャネル14の長さLに対して十分に短く、かつL’が要素のうち液浸される部分lと比較して十分に短かければ、入口の影響は無視できるほどである。図1に示される粘度計の場合、特にL’が0.3l未満である場合に第2の条件が満たされる。
細長要素12は力センサー13に接続されている。この接続は、測定される力が細長要素の壁に加わる実際の力であるようになされる。
この組み立て体を、細長要素を開口内でかつ横断寸法Dに沿って移動させる働きをする移動テーブル(図1には示さず)上に配置する。したがって、力を、チャネルの特性開口において様々な場所に関して測定することができる。
細長要素は、例えばガラス若しくは金属から作製される、種々の形状、特に円筒形の形状をとることができるか、又はさらには撚り合わせたストランドの形態とすることができる。
原則として、管内に流体が流れる必要はない。
この要素の断面は、要素が円筒体である場合にはその直径に相当するか、又は撚り合わせたストランドに当てはまるようにその断面が不規則的である場合には実際にはその横断面の最大寸法に相当する、特性横断寸法dを呈すると考えられる。
図1には示されていない手段が、上記チャネル内で図1に示される矢印F1及びF2に沿って流体を循環させるように働き、流体の流れは層流条件下にある。流れ方向は逆にしてもよい。
プレートによって画定されるチャネル14の特性寸法D及び細長要素12の特性寸法dは、比D/dが100以下になるように選択される。
この場合、図1に示される装置はいわゆる「限られた」幾何学的形状を画定する。その結果、チャネル14内の流体の層流は本質的に、流体の慣性ではなく流体の粘度に依存する。したがって、層流条件下にある流体の流れが限られた幾何学的形状において確立される場合、流体の粘度と、該流体の流れの中に配置される細長要素に加わる粘性摩擦力との間には単純な式が存在する。この式は以下の通りである:
Figure 0005474076
式中、
fは細長要素に加わる力であり、
Uは流れの平均速度(寸法Dにわたる速度の空間平均)であり、
ηは粘度であり、
λは、数値シミュレーション又は校正によって正確に求めることができる幾何学的因子である。
端部の影響が無視できるものであり、比D/dが5未満である場合、幾何学的因子λは、比d/Dに伴って概ねアフィン形式で変化する。要素がまたチャネルの中心、すなわちチャネルの対称面にあり、プレート10及び11に平行である場合、λは(数値的及び実験的に観察される)以下の式に従う:
Figure 0005474076
式(1)は、ニュートン流体、すなわち一定粘度を有する流体に有効である。同じ式を用いて非ニュートン流体を分析することができる方法を以下で説明する。
さらに、流れが2次元であり、かつλがl/Dとは無関係であると仮定することができるようにするには、l/Dは十分に大きい(例えば5超である)必要がある。ニュートン流体で、かつレイノルズ数が小さい(Reが0.1未満)場合、また装置の校正を行えば、この条件は必要ではない。
ここで、レイノルズ数Reは以下の式によって定義されることが想起される:
Figure 0005474076
式中:
ρは流体の密度(単位体積当たりの質量)であり、
ηは流体の動的粘度であり、
Uは平均流速であり、
Dは、流体が流れるチャネルの開口の特性寸法である。
実験的に得られた結果を詳細に調べる前に、流体流に影響を及ぼすのはどの効果であるのか、すなわち慣性効果であるのか又は粘性効果であるのかを判断するのにレイノルズ数が役立つことを想起するのが適切である。
レイノルズ数が20未満である場合、流れに見られる慣性効果は無視できると仮定することができる。したがって、流れは粘性効果によって影響を及ぼされ、流れの中に配置されている細長要素に加わる力は流体の平均流速に対して線形である挙動を呈する。
また、本発明の方法によって、レイノルズ数の値が50未満である場合に興味深い情報を得ることが可能となると仮定することができる。概して、慣性効果を無視し続けることができる最大レイノルズ数(したがって最大流量)を実験的に求めることが可能である。
ここで図2を参照すると、図2は、5mmに等しい特性寸法Dを呈すると共に、1.5mmに等しい直径dのガラスシリンダーが内部に配置されている、図1に示される粘度計を用いて得られた実験結果を示す。ガラスシリンダーは、プレート10及び11間に画定されているチャネル14の中心に配置した。用いた流体は水であった。
力センサー13によって、細長要素に加わる流体力学的力を測定した。
図2は、シリンダーに加わる力(ニュートンで表される)の測定点(+)を、流速に比例する流体の流速の関数としてプロットし、これは20.0℃の温度で蒸留水を用いて行った試験に当てはまる。
点線としてプロットされる曲線は、最初の測定点(最低流量)に基づく線形回帰に相当する。
この曲線から、流量の関数としての力の変化が実際に線形であることが確認される。直線の傾きは粘度を求めるのに役立つ。
図2に示される曲線に関して、測定された粘度は1.1mPa・sである。
500mL/minよりも大きい流量に対応する測定点は、線形回帰に相当する点線の曲線からずれている。
これによって、高流量では慣性効果がなくなって無視できるほどになることが確認される。参考として、300mL/minの流量に関しては、用いた粘度計内ではレイノルズ数は既に約50である。
当然ながら、レイノルズ数の定義を考えると、測定装置の特性寸法Dが減るとこれらの慣性効果も減少し得る。
図3は、2mmに等しい直径dの銅シリンダーが内部に配置されている、図1に示される粘度計を用いて得られた実験結果を示す。銅シリンダーは、実質的にチャネル14の中心に配置し、この場合、装置の特性寸法Dは5mmに等しい。用いた流体は水とグリセロール(ニュートン流体)との混合物であり、グリセロール画分は約75重量%であり、温度は21.9℃であった。
測定点は十字(+)で表し、黒い点線は曲線に対する直線の当てはめ(linear fit)に相当する。
ここでもまた、力が流量と共に線形変化することが分かり、直線の傾きは粘度を求めるのに役立つ。測定された粘度値は35.2mPa・sである。
図3は、上記実験において、高流量であっても測定点が線形回帰曲線からずれなかったことを示す。
実際には、上記実験において、レイノルズ数は常に5未満であった。
図2及び図3に示される結果は、用いられるニュートン流体(例えば水又は普通の油)とは関係なく、管に加わる力の線形変化が流量の変化と共に実際に観察されることを示す。
したがって、そのような流体に関して、また図2及び図3に示されるように、流体の粘度値を得るには所与の流量における1回の測定で十分である。測定される力の値は、慣性効果と比較して粘性効果の方が影響を及ぼす限り、流量に比例する。
式(1)がニュートン流体に関して線形であることは、流量又は流速が経時にわたって一定ではなくても式(1)が当てはまることを意味する。その場合、式(1)の速度及び力をそれらの経時にわたる平均値と置き換えればよい。
したがって、本発明の装置によって、装置を通る流量が一定ではなくてもニュートン流体の粘度を測定することが可能となる。これは特に、パルス流、又は実際には蠕動ポンプを用いて生成される流れの場合に起こり得る。
ここで図4を参照すると、図4は、図1に示される装置のチャネル内の細長要素の位置の影響を示すために得られた他の実験結果に関する。
したがって、図4は、5mmに等しい特性寸法Dを有する装置1のチャネル14内に配置された、直径dが1.5mmのガラス管に加わる力の測定点(グレーのバー(I)によって表される)を示し、ガラス管の位置は、チャネルの対称面、すなわち両方のプレート10及び11から等距離に位置付けられる面に対して測定される。管とチャネルの中心との間の距離、すなわち実際には管のオフセットは、−1.75mm〜+1.75mmの範囲にわたって変化し得る。
測定は、水とグリセロールとの混合物から構成される流体を用いて行い、グリセロールの濃度は75.7重量%であり、温度は21.4℃であった。
図4に示されるグレーの垂直バーは、行った測定の最大分散を示し、一方でグレーの曲線は実験による測定値に対応する。
図4には、数値シミュレーションによって計算した流れの粘度値に相当する黒い破線曲線も見られる。D、d及び細長要素のオフセットから開始して、(数値計算によって)オフセットの関数としてλを計算することが可能である。その後、式(1)を用いる。2つの曲線は、3%以内で一致しているため、実質的に重なっている。図1に示される例示的な粘度計では、プレート又はチャネルの幅Laは9センチメートル(cm)であり、幅の影響はデジタル計算では考慮されない。これは、幅Laがチャネルの寸法Dに対して大きい限り、測定値に影響を及ぼすのは主に寸法Dである、すなわち、その場合、寸法Laの影響は無視できることを示す。
さらに、1.6mmの範囲(−0.8mm〜+0.8mm)にわたって、測定される力は、チャネルの中心における値から5%未満だけずれる。これは、幾何学的因子λが、管がチャネルの中心の近傍にあるときにチャネル内の管の位置にはほとんど左右されず、また、チャネルの壁及び管の壁に存在し得るいかなる凹凸(irregularities)にもほとんど左右されないことを示す。
図5は、比D/d=100である場合の、オフセットの関数としての幾何学的因子λの変化を示す。幾何学的因子λは、円筒形要素のD正規化オフセット(すなわち、要素の長手方向軸と、図1において符号100及び110が与えられている壁の対称面との間の距離)の関数として、有限要素モデルを用いた数値モデリングによって得られる。この図では、このオフセットは、2つの壁間の距離Dを用いることにより無次元にされる。オフセットは、細長要素が壁間の中間にある場合はゼロであり、細長要素が壁の一方に触れている場合(その場合、該要素は、その全長にわたって壁と接触している)は最大となる。この例では、最大オフセットは以下の通りである:
Figure 0005474076
対称性の理由から、また図4に示されるように、幾何学的因子(又は摩擦力)は、オフセットの正負符号に左右されることはない。したがって、正のオフセット値のみを図5に示す。
これらの結果は、オフセットが±0.1D(すなわち±10d)未満である限り、幾何学的因子がほとんど変化しない(中心におけるその値に対して5%未満である)ことをはっきりと示す。このことは、細長要素のセンタリングに関する不正確さにもかかわらず本方法のロバスト性を示す。測定は、位置決めが少し不正確でも信頼性の高い結果を与える。
比D/dが5よりも大きく、増加してゆく場合、測定は、チャネルの開口内の速度プロファイルに対してますます敏感になる。開口内の移動を用いる力測定における変化を用いてせん断速度の関数として粘度の変化を得ることができることが有利である。
これはいくつかの結果につながる。
まず、本発明の方法を、図1に示される種類の装置を用いて実施することによって、細長要素がチャネルの中心に正確に置かれることを必須とすることなく、正しい測定値を得ることが可能となる。
さらに、細長要素の表面は必ずしも厳密に規則的でなくてもよい。
したがって、実験により、1本のストランドを共に撚り合わせた複数のストランドから構成される細長要素を用いても有効な測定を行うことが可能であることが示されている。そのような状況下では、細長要素の断面は円形ではない。それにもかかわらず、要素の平均直径を用いることによって因子λを正確に計算することができる。
概して、細長要素の表面状態及びチャネルの壁の表面状態は非常に正確な許容差は必要としない。これは当然ながら、本発明の粘度計の製造コストに関して有利な影響を有する。
さらに、細長要素が作製される材料が問題にならないことを示す実験も行った。図2及び図3に示される結果では、細長要素はガラス又は銅から作製される。縫糸等の撚り合わせたポリエステルストランドから構成される細長要素を用いることを想定することも可能である。
このことはまた、本発明の粘度計を製造するコストを低減することに寄与する。
以下の表(表1)を参照する。この表は、本発明の方法及び粘度計によって得ることができる精度を示す。
Figure 0005474076
用いた流体それぞれに関して、表1は、本発明の方法及び粘度計を使用することによって測定された粘度を、図2〜図4において見られる実験結果に従って示す。この表はまた、幾つかの表から得られる粘度値、及び用いた流体の密度及び温度の測定値を示す。参考として、そのような幾つかの表は以下のアドレスで利用可能である。
http://www.dow.com/glycerine/resources/table18.htm
これらの値の比較から、測定された粘度値が基準値に非常に近いことが示される。さらに、これらの値の不確かさは検査中の粘度の範囲にわたって変化しない。上記実験から生じる観察結果を確認する他の実験を行った。
さらに、非常に広範囲にわたって力を測定することを可能にする力センサーが市場で入手可能である。例えば、10−5グラム(g)〜80gの範囲内にある見掛け重量に相当する10−7N〜8×10−1Nの範囲にわたる力の測定を可能にするSartorius社製CP 225D天秤に言及することができる。
これは、粘度値を実質的に一定である精度で広い範囲にわたって測定することを可能にすることに寄与する。
したがって、振動粘度計のような既知の粘度計と比較して、本発明の粘度計は、水の粘度のような非常に低い粘度を測定することが可能である。
上記説明から、本発明の粘度計は、回転移動するのであろうと振動移動するのであろうと機械的可動部品を全く有しないことになる。また、このことは、静止部品は回転運動又は振動運動する部品よりも低い精度で機械加工することができるという点で粘度計の製造コストに関して影響も有する。さらに、それによって破損のいかなるリスクも大幅に制限される。
図1に示される例では、粘度計は、チャネルを画定する2つの向かい合うプレートから作製される。チャネルが管によって画定される粘度計を作製することも想定可能である。
したがって、図6に示される粘度計2は、流体流を通過させるチャネル24を画定する円筒形容器20を備える。チャネルの直径Dはチャネルの特性寸法に相当する。
粘度計2も、この場合は直径又は特性寸法dのシリンダー22によって構成される細長要素を有する。細長要素は、チャネル24内に液浸される部分lを有する長さl’を呈する。チャネルの長さLは常にlよりも長い。
細長要素は、実質的にチャネル24の中心に配置されるため、チャネルの壁とは全く接触しない。
要素22は、この場合は精密天秤である力センサー23に接続されており、そのため測定された力は要素の壁に加わる実際の力である。
手段(図示せず)が、流体を、チャネル24内で注入流体に対応する矢印F又は吸い上げ流体に対応する矢印Fに沿って流す働きをする。いずれにしても、流体流は層流条件下で生じる。
図1を参照して上述したように、比D/dは100以下である。
例として、チャネルの直径Dは1cmであり、シリンダーの直径dは1mmであり、シリンダーの長さl’は11cmであり、液浸部分lは7cmである。
上記で説明したように、流れの慣性効果が無視できる(Reが50未満、又はさらにはReが20未満)限り、センサー23によって測定される力fは式(1)によって定義され、したがって、幾何学的因子λが求められれば、流体の粘度を求めることが可能となる。
このように求めることは、粘度が既知である流体を用いる校正によって行うことができるか、又は数値的にも行うことができる。
数値計算の場合、ストークスの法則を解くことによって速度場が計算される(この場合、慣性効果は無視できる):
Figure 0005474076
流れの速度は、長手方向軸から測定した場合、半径方向距離rにのみ伴って変化する:
Figure 0005474076
ニュートン流体の場合、粘度は一定の値を有するため、Vz(r)を得るために解析的解法を用いることができる。
非ニュートン流体の場合、速度Vz(r)を得るために、この2D表現はFreefem++ソフトウェアを用いて繰り返し解かれる。この場合、粘度はせん断速度に依存する。この新たな制限事項は、繰り返し毎に粘度場を推定する必要があることを意味する。
細長要素に作用する力は、2つの寄与因子(contributions)、すなわち圧力及び摩擦力の和である。力fの一般式は以下の形を有する:
Figure 0005474076
圧力
摩擦力
積分はシリンダーの外形に関して計算される。
流体の粘度が既知であり、速度Uが強制され、既知の長さlの場合、力fを計算するだけで十分であり、次いで幾何学的因子λが比f/ηUlを計算することによって得られる。
ここで図7を参照すると、図7は、1cmに等しい特性寸法Dを呈すると共に1mmに等しい直径dを有する金属シリンダーが内部に配置されている、図6に示される粘度計を使用することによって得られた実験結果を示す。シリンダーはチャネル24の中心に配置した。用いた流体は水であった。
そのような条件下では、幾何学的因子は、上記の数値方法を適用すると9.9であると推定された。
2つの異なる流体温度(22.6℃及び22.8℃)に関して、流れ方向を変えることによって(流体F3の注入:正の速度;流体F4の吸い上げによって:負の速度)複数回の試験を行った。
天秤23によって測定した重量は、要素22に加わる流体力学的力を求めるのに役立つ。
図7は、水の速度(m・s−1)の関数としてμNで表される力の測定点(22.6℃の温度に関しては+、22.8℃の温度に関しては□+)を示す。
この曲線(22.8℃の温度に関しては連続線、22.6℃の温度に関しては破線)は線形回帰に相当する。
ここでもまた、これらの曲線から、速度の関数としての力の変化が実際に線形であることが確認される。直線の傾き及び式(1)は粘度の測定を可能にする。
したがって、測定された粘度は、22.6℃では0.982mPa・sであり、22.8℃では0.9238mPa・sである。これらの測定値を、対応の表に記載されている値(22.6℃では0.942mPa・s、22.8℃では0.937mPa・s)と比較することができる。
本発明の粘度計を使用して得られた値の精度をよりよく評価するために、Contraves社製Low−shear 30回転粘度計を用いて22.6℃の温度で比較測定を行った。チャネル24内のせん断速度は以下の式を用いて求めた:
Figure 0005474076
式中:
Figure 0005474076
:せん断速度;
Q:セルに加わる体積流量;
R:セル半径。
図8は、せん断速度の関数として、水の粘度に関して本発明の粘度計を用いて得られた値(◆)と、Contraves社製Low−shear 30粘度計を用いて得られた値(+)とを示す。
連続的な曲線は、Contraves社製Low−shear 30粘度計に対応する点を繋げたものである。
さらに、直線の破線は、22.6℃の温度で0.942mPa・sである水の粘度に関して表に記載されている値を示す。
図8は、水の粘度に関する測定誤差が、本発明の粘度計を用いた場合には、Low−shear粘度計(この粘度計は高価であり使用が比較的複雑であるにもかかわらず)を用いて得られた測定値と比較して小さい(10%以下)ことを示す。この測定誤差は、温度をよりよく制御することによって低減することができる。
図6に示される粘度計を用いて、図7において設定された条件下で他の試験を行った。用いた流体は85重量%のグリセロールと水との混合物であった。
測定温度(23℃)における上記混合物の表に記載されている粘度は98.4mPa・sである。
上記混合物によってシリンダーにおいて得られた力を、図9に詳細に示す。
ここでもまた、図9は、流れの速度の関数としての力の変化が実際に線形であることを示す。この直線の傾きによって粘度を求めることが可能であり、粘度は96.9mPa・sであると分かる。
粘度に関して表に記載されている値(98.4mPa・s)との比較によって、本発明の粘度計を用いて測定された粘度値が基準値と非常に近いことが示される。
本発明の粘度計を用いて得られた値の精度を力の値に基づいてよりよく評価するために、式(1)を用いて動的粘度を計算した。これらの結果を、表に記載されている値、及びAnton Paar社製MCR501レオメーターを用いて行った測定値と比較した。
図10は、検討中の混合物の粘度に関して、せん断の関数として本発明の粘度計を用いて得られた値(●点)と、MCR501レオメーターを用いて得られた値(◇点)とを示す。
連続線の曲線はMCR501レオメーターに対応する点を繋げたものである。
さらに、直線の破線は、混合物の粘度に関して表に記載されている値(98.4mPa・s)を示す。
図10は、本発明の粘度計によって、表に記載されている粘度に近い値(平均で3%以内、最悪でも7%以内)を得ることが可能となることを示す。Anton Paar社製レオメーターを用いて行った測定値に関しては、これらの測定値は表に記載されている値よりも5%低かった。
この比較試験によって、本発明の粘度計は、Anton Paar社製レオメーターの精度よりも優れた精度で流体の粘度を求めるのに役立つことが示される。この観察結果は、粘度が低い流体に関してはさらにより顕著であるはずである。
本発明の方法の重要な結果は、本発明によって粘度計のサイズをかなり小さくすることが可能となることである。これによって、測定された力の値の精度に対して何ら影響することなく、小さい体積の流体に関して測定を行うことが可能となる。
次元解析によって(かつ実験的に検証したところ)、幾何学的因子λは、先験的にl/D、D/d、及びオフセットとDとの比に依存することを示すことができる。実際には、比l/Dが非常に大きく、例えば50よりも大きい場合、幾何学的因子λはそれに依存することはほとんどない。細長要素が(図1に示されるような)2つの平行なプレート間に配置される場合、細長要素がプレートの中心近くに配置されると、オフセットによるλの変化は特に小さい。この点が図4に示されており、図4は、D/d=3の場合、λはオフセットの関数として連続的に変化し、中心で最大となり、変化は小さい(5%未満)ことを示す。
この点は、D/d=100の場合の、幾何学的因子λの変化をオフセットの関数として示す図5においてさらに実証される。この因子は、−0.1Dから0.1Dに及ぶ広範な範囲にわたって5%未満だけ変化する。この幾何学的形状に関して、オフセットは測定値にはほとんど影響せず、λはオフセットに関係なく主に比D/dの関数である。その結果、物体の位置決めが不十分であっても測定値にはほとんど影響しない。
中心の近傍において測定される力が細長要素を位置決めする精度にほとんど左右されないことが望ましい場合、シリンダーを管内に配置するときに比D/dが5よりも大きいのが適切である。
この状況が図11に示されており、図11は、D/d=5の場合のλの変化をオフセットの関数として示す。
対称性の理由から、また図5におけるように、正のオフセット値のみを図11に示す。幾何学的因子λは、有限要素法を用いた数値モデリングによって、円筒形要素のD正規化オフセットの関数として得られる。ここで、要素は直径Dを有する管又はチャネル内に配置され、2つの軸は平行であり、直径の比はD/d=5に等しく選択される。この状況では、オフセットは、円筒形要素の長手方向軸と管の対称軸との間の距離に相当する。したがって、オフセットは、2つの軸が一致する場合はゼロであり、細長要素が管の内壁に触れる場合にその最大値に達する。そのような状況下では、直径Dに対して正規化された最大オフセットは:
Figure 0005474076
である。
よって、幾何学的因子、及びしたがって(これに比例する)力は、細長要素のオフセットが0.1Dである場合には10%未満だけ変化する。
チャネルが平行なプレートによって画定されている、図1に示されるタイプの粘度計の場合、D/dが5よりも大きくなる(この状況では開口内の力の変化が5%よりも大きくなる)と、開口内の力の変化が相当なものとなる。この場合、チャネルの開口内の、その横断寸法に沿った要素の位置の関数として力の変化を測定することが、開口にわたって変化するせん断速度の関数として流体のレオロジー特性を決定する上で有利となり得る。
細長要素がセンタリングされている場合、重要な結果は、平均流速U、細長要素の液浸部分の長さl及び特性寸法の比d/Dが全て同じままであれば、また比l/Dが50よりも大きければ、装置を小型化することができることである。そのような小型化は測定される力の値に実際に影響することはない。
例えば、長さlが2cmに等しく、所与の速度Uの場合、測定される力fは、直径D=2mmの管内の直径d=1mmのシリンダーの場合と、直径D=200マイクロメートル(μm)の管内に配置される直径d=100μmのシリンダーの場合とで事実上同じである。反対に、測定を行うために用いられる流体の体積は100分の1になる。
この小型化は、本発明の粘度計が可動部品を全く有しないことによっても可能となる。
この小型化は、本発明の粘度計を作製するコストを低減することにさらに寄与する。
さらに、本発明の粘度計を、流体のチャネル及び細長要素(いずれも使い捨て専用である)を画定する部品によって作製することを想定することができる。
これは、チャネル及びその内部に配置される細長要素を形成する部品に損傷を与える可能性が高い流体において測定を行うことになる場合に特に有利であり得る。この利点はまた、多くの場合に使い捨て装置を使用する必要がある医療分野において極めて有用であり得る。
上記説明は本質的にニュートン流体に関する。それにもかかわらず、本発明の方法は非ニュートン流体にも適用可能である。
非ニュートン流体の場合、粘度計の細長要素に加わる力は、流れの速度に伴って非線形に変化し、流体の粘度はせん断速度に依存する。
非ニュートン流体に関して、本方法は、流れの速度を変更することなくチャネルの開口内で細長要素を動かしながら力を測定することによって、又は細長要素の位置を静止させたまま異なる流量で力を測定することによって、流れの速度に関して様々な値において連続的に適用される。
関与する速度は空間平均され、時間内で先験的に瞬間的である。いずれにしても、その後、結果を使用しやすくなるのであれば、時間平均をとることが可能である。この場合、粘度計は、測定された力の変化を流量の関数として、又は開口内の位置の関数として示す曲線を提供するのに役立つ。
次いで、得られる情報を、既知の数学モデルを用いて従来のやり方で処理することができる。
中性多糖であるスクレログルカン250ppm(百万分率)を含有する水溶液を用いて試験を行った。
図12に示されるようなLow−shear粘度計を用いて得られたレオロジー曲線は、流体の流動性(rheofluidizing nature)をはっきりと示す。
測定点(●)は、カロー(Carreau)型流体に関しては以下の式を用いて当てはめることができる:
Figure 0005474076
式中、η、η及びηはそれぞれ、動的粘度、ニュートンプラトーにおける粘度、及び無限であるせん断速度
Figure 0005474076
における粘度を表す。
Figure 0005474076
は、2つの流れ様式(ニュートンプラトー及びべき乗則レジーム(power law regime))間の遷移に対応するせん断速度である。Low−shear粘度計によって得られるこれらの係数の値を表2に示す。
Figure 0005474076
続いて、式(6)によって示されるレオロジー方程式をFreefem++ソフトウェアに再び入力して、シリンダーの内部に対して加わる摩擦力の数値推定値を得た(式(5)を参照されたい)。
さらに、1mmに等しい直径d及び7cmの液浸部分lを有する細長要素を有する、図6に示される粘度計を用いて、同じ温度で同じ流体を用いて2つの試験を行った。
図13は、本発明の粘度計を用いて行った試験に対応する曲線C(−+−)及びC(−▼−)と共に、図12に示されるレオロジー曲線から得られた曲線C(−●−)をプロットする。
それらの3つの曲線間の比較によって、本発明の粘度計を用いて得られた結果がFreefem++を用いて数値計算された力と良好に相関することが示される。数値計算による値と実験値との最大の差は7%である。
したがって、本発明の粘度計は、例えば1mPa・s未満から100mPa・sの範囲にある粘度でニュートンであるか又は非ニュートンである流体に対して測定を行うことを可能にする。このシステムによって、正確かつ迅速な(数秒を要する)測定を連続的に行うことが容易となる。
さらに、本発明の方法は、測定チャネル又はセルのサイズに関係なく使用可能であるという利点を有する。すなわち、力は流れの速度に比例する(流れはチャネル又は容器の断面に反比例する)。したがって、粘度計を小型化することによって、所与の流量で、試験に供した粘度計と少なくとも同程度の力を得ることが可能である。この場合、小型化された装置において用いられる流体の量は、ミリメートル(mL)オーダーであり得る。
小型化された粘度計の用途は、大量に得るには高価であるか又は大量に得るのが難しい流体、場合によっては非ニュートン流体の測定であり得る。
本発明の方法及び粘度計は本質的に、液体の粘度の測定を意図する。
本発明の方法は、別の利点、すなわち、測定を連続的にかつ非常に短い時間間隔で行うことができ、したがって粘度の変化を測定することができるという利点を呈する。この利点は、或る特定の用途において(特にプロセスエンジニアリングにおいて)必要不可欠である。反対に、毛細管粘度計、球粘度計、又はカップ粘度計を用いる場合、連続的な測定は非常に困難である。
行った実験において、応答時間は約0.2秒である。制御/記録装置を有するポンプ及び天秤の接続(interfacing)によって応答時間が本質的に制限されることが分かっている。それにもかかわらず、測定値を取得する速度を増加させることが完全に可能であり、また、チャネルの開口内での細長要素の移動を制御する働きをする移動テーブルと接続することが完全に可能である。
概して、或る特定の流体の粘度は経時にわたって変化し得ることが知られている。本発明の文脈では、経時にわたるこの変化は、流体が流れる瞬間から測定することができる。

Claims (9)

  1. 流体の粘度を測定する方法であって、
    a)特性横断寸法(D)のチャネル(14、24)内において層流条件下で前記流体の流れを確立するステップであって、特性寸法(d)を有し、前記比D/dが5よりも大きい細長要素(12、22)を、前記チャネル内に、実質的にその長手方向に沿って実質的にその中心に配置し、前記細長要素の長さの部分(l)を前記チャネル内に液浸する、確立するステップと、
    b)前記流体によって前記細長要素の壁に加わる摩擦力(f)を測定するステップと、
    c)以下の式:
    Figure 0005474076
    (式中:
    Uは流れの平均速度であり、
    λは幾何学的因子である)
    を用いて前記流体の動的粘度(η)を測定するステップと、
    を含み、
    前記チャネル内で前記特性横断寸法(D)に沿って前記細長要素の様々な位置に関してステップb)及びc)を連続的に実施する、方法。
  2. 前記流体がニュートン流体である場合、単一の値(U)に関してステップa)〜c)を実施する、請求項に記載の方法。
  3. 前記流体が非ニュートン流体である場合、様々な値(U)を用いてステップa)〜c)を連続的に実施する、請求項に記載の方法。
  4. 連続的に実施する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の測定する方法を実施する粘度計であって、
    特性開口(D)及び長さ(L)のチャネル(14、24)と、
    特性寸法(d)を有すると共に、長さ(l)の液浸部分を有し、前記比D/dが5よりも大きい細長要素(12、22)であって、前記チャネル内に、実質的に該チャネルの中心に、実質的に該チャネルの長手方向に沿って延びるように配置される、細長要素(12、22)と、
    流体流が前記チャネル内で確立されると前記細長要素の壁に加わる摩擦力(f)を測定する、測定手段(13、23)と、
    前記細長要素の前記横断寸法に沿った位置に伴う前記摩擦力の変化を測定するために前記チャネルの前記開口内で前記細長要素を並進移動させる手段と、
    を備える、粘度計。
  6. 強制流量ポンプを含む前記流体を循環させる手段と関連する、請求項に記載の粘度計。
  7. 前記チャネル(14)は、2つの実質的に平行なプレート(10、11)間の空きスペースによって画定される、請求項5又は6に記載の粘度計。
  8. 前記チャネル(24)は円筒形容器(20)によって画定される、請求項5〜7のいずれか1項に記載の粘度計。
  9. 前記チャネル及び前記細長要素は使い捨て用の要素である、請求項のいずれか1項に記載の粘度計。
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