JP5471817B2 - 通電加熱方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブランクに通電することにより、当該ブランクを加熱する通電加熱技術に関する。特に、ホットプレス成形に用いるブランクを通電加熱する技術に関する。
従来、鋼板等により構成される板状ブランクに通電加熱を施した上で、金型によるプレス成形を行うホットプレスが広く知られている。ここでは、成形前のブランクを加熱することによってブランクの成形性を向上している。
また、通電加熱時にブランクを所定の温度(オーステナイト組織が現れる温度)以上に加熱し、冷却した金型と接触させることにより、プレスと同時に焼入れ処理を施す成形方法が公知である。
近年、環境、安全等への配慮から、自動車用鋼板等を成形して得られる成形品の高強度化が進められている。しかし、高強度化に伴い、複数の成形品を接合する際の精度保証の要求が大きくなる。さらには、生産性向上を目的とし、部品点数を削減するために複数の部品を一体化する等の要求が高まっている。
これらの要求に応えるために種々の工夫がなされている。例えば、複数の部品を一体化するために、所望形状(H型、T型等の異形状)を有する高強度ブランクを用意し、その異形状のブランクを加熱してプレス加工する方法が提案されている。
特許文献1には、非矩形状(台形状)に形成されるブランクに対する通電加熱方法として、ブランクの相対する両端部の二箇所以上に球状の電極を取り付け、当該電極に供給する電力を電極毎に調整する技術が開示されている。
これによれば、各電極に供給する電流値を所望値に制御できるが、各電極間に発生する等電位線の間隔が一定とならず、等電位線の間隔が短い箇所に電流が集中して局所過熱されるため、ブランク内の通電領域において加熱温度が一定とならない。
特開2002−248525号公報
本発明は、非矩形のブランクに対して、特に、湾曲部、屈曲部、分岐部、又はこれらの組み合わせを含むブランクに対して、通電領域内での加熱均一性を向上することが可能な通電加熱方法を提供することを課題とする。
本発明の通電加熱方法は、ブランクに直線状の電極と曲線状の電極とにより構成される電極対を配置し、当該電極対に通電することによって前記ブランクを加熱する通電加熱方法であって、前記電極対間の距離が前記各電極の延出方向に亘って一定となるように、かつ、前記ブランクの端部と、各電極の端部とのなす角度が直角に近づくように、前記電極対を配置する。
本発明の通電加熱方法において、前記電極対を複数用意し、前記複数の電極対による通電領域の一部を重ね合わせるとともに、当該重ね合わせた箇所において、前記電極を交差させて配置することが好ましい。
前記ブランクにおいて、前記電極対による通電領域が重複する箇所は、前記複数の電極対による通電領域のうち、電流密度の低い領域を含むように前記複数の電極対を配置することが好ましい。
前記ブランクにおいて、前記電極を交差させて配置することにより生じる非通電領域が、前記複数の電極対による通電領域のうち、電流密度の高い領域の近傍、若しくは前記重複通電領域の近傍に位置するように前記複数の電極対を配置することが好ましい。
さらに、前記電極が交差する部位を前記ブランクの表裏面に配置することが好ましい。
本発明によれば、非矩形のブランクに対して、特に、湾曲部、屈曲部、分岐部、又はこれらの組み合わせを含むブランクに対して、通電領域内での加熱均一性を向上できる。
湾曲状のブランクに通電する場合の電流の流れ特性を示す図である。 分岐状のブランクに通電する場合の電流の流れ特性を示す図である。 ブランク形状のモデル化に用いる典型形状を示す図であり、(a)は弓形を示し、(b)は分岐形を示す。 典型形状を用いてブランク形状をモデル化する例を示す図である。 第一実施形態に係る通電加熱工程を示す図である。 第二実施形態に係る通電加熱工程を示す図である。 第二実施形態の通電加熱工程における電流密度の分布を示す図であり、(a)は一方の電極対によって発生する電流密度の分布を示し、(b)は他方の電極対によって発生する電流密度の分布を示す。 第二実施形態の通電加熱工程における電流密度の分布を示す図であり、(a)は両方の電極対によって発生する電流密度の分布を重ねたものを示し、(b)はブランク内での熱量の移動を示す。 第三実施形態に係る通電加熱工程を示す図である。 第三実施形態の通電加熱工程における電流密度の分布を示す図である。 第三実施形態の通電加熱工程における電流密度の分布を示す図であり、(a)は全ての電極対によって発生する電流密度の分布を重ねたものを示し、(b)はブランク内での熱量の移動を示す。 曲線電極の交差の方法を示す図である。 第四実施形態に係る通電加熱工程を示す図である。 第四実施形態に係る通電加熱工程に用いる通電制御の例を示す図である。
以下では、図面を参照して、本発明に係る通電加熱方法の実施形態について説明する。
本発明の通電加熱方法は、平板状のブランクに通電することにより加熱する工程である。また、通電加熱の後工程として、ブランクを焼き入れつつプレス成形するホットプレス工程や焼入れを含まない温間プレス工程等が行われる。
上記ホットプレス工程では、本発明の通電加熱方法によって所定の温度以上に加熱されたブランクを、プレス用金型を用いて急冷しつつプレス成形を行う。
この際、プレス成形に係る成形性の向上、及びブランクの焼入性の向上が求められている。つまり、ホットプレス工程に導入されるブランクが上記成形性及び焼入性を担保できる所定の温度以上に均一に加熱されているか否かが大きな課題となる。
また同時に、工程数削減、部品点数削減等の要請に応えるために、ホットプレス工程後のトリミング工程等の後工程を経て一つの製品として使用できる状態、つまり、製品形状と略同一形状を有する異形状(非矩形状)のブランク、又は製品形状を含み、かつ、後工程において容易に製品形状に加工可能な形状のブランクを用意して、当該ブランクに通電加熱し、そのままホットプレス工程に移行することが求められている。
本発明は、上記の課題を解決する新規な通電加熱方法を提案するものであり、以下に本発明を具現化する実施形態について詳細に述べる。
[基本原理]
以下では、本実施形態に係る通電加熱方法の基本原理について説明する。
まず、金属等の導体内を流れる電流の基本特性について述べる。導体内を流れる電流は、電極及び等電位線に対して直角方向に流れるという特性、並びに、導体端部に沿って流れるという特性を有する。また、導体内の各部位を流れる電流密度、つまり等電位線の間隔は、電極間距離(抵抗)に反比例する。
上記の特性により、矩形ブランクの対向する両端部に対の電極を配置して通電加熱する場合は、電極に対して直角方向に等間隔の等電位線が発生するため、均一な加熱が可能であるが、非矩形ブランクの対向する両端部に対の電極を配置して通電加熱する場合は、均一な等電位線が発生せず、加熱後のブランク温度が不均一となる。
例えば、図1(a)に示すように、ブランクが円弧形状、円環状等の湾曲形状、若しくは、L形状等の屈曲形状を有する場合は、内周と外周における電極間距離に差(内周長L1<外周長L2)が生じるため、端部に沿って流れるという電流特性により、内周を流れる電流が外周を流れる電流に比べて大きくなる。これにより、内周の加熱度合いが外周に比べて大きくなり、内周に局所過熱が発生する。
また、図1(b)に示すように、電極(又はブランク端部)が電流の流れ方向に対して傾斜している場合は、電極に対して直角方向に流れるという電流特性により、電極とブランク端部との成す角が鈍角となる側に電流が集中して局所的に過熱され、鋭角となる側の電流密度は疎となり、低温部となってしまう。
以上のことより、非矩形ブランクを通電加熱する本実施形態の通電加熱方法では、直線電極(両端部間が一直線状に形成される電極)と曲線電極(両端部が同一直線上に位置しない電極)とにより構成される電極対を、以下の(1)、(2)に示す二因子を考慮して配置し、通電することによって、加熱後のブランク温度の均一化を図っている。
(1)電極間距離
ブランクの一側端部に直線電極を配置し、ブランク上での当該直線電極からの距離が、直線電極の延出方向に亘って略一定となるように曲線電極をブランク上に配置する。このとき、電極間距離が小さい方が低い抵抗値となり電流が流れやすくなるため、ブランクの形状に応じて電極間距離が短い方を基準として他の部位の電極間距離を設定する。つまり、曲線電極の形状を自由曲線として、曲線電極の各部位とそれに対応する直線電極の各部位での電極間距離が略同一となるように構成する。
このように電極間距離に関する因子を設定することによって、電極間の電気抵抗値が略均一となるため、加熱温度を均一化できる。
(2)曲線電極の法線方向
電流は電極に対して直角に進入することより、ブランクの端部と曲線電極の端部とが成す角が直角に近づくように曲線電極の端部形状を設定する。つまり、ブランク端部における曲線電極の法線方向を、ブランク端部に対して直角に近づけることによって、電流集中を抑制する。
このように曲線電極の法線方向に関する因子を設定することによって、電極の端部付近での電流の流れが均一となるため、電極間に生じる等電位線の間隔を均一化できる。
なお、電流の流れを逃がしたい箇所の近傍、又は局所的に電流を集中させたい箇所(ただし、局所過熱とならない程度)では、電流の流れ方向に対する電極の角度(曲線電極の法線方向)を直角から鈍角に変更することによって電流の流れを制御する方法も効果的である。
例えば、図1(a)に示すような円弧形状のブランクについて上記(1)、(2)の因子を用いて電極対を配置する方法について説明する。
(1)両端部に配置される電極間距離が一定とならない。このため、電極間距離が一定となるように設定する必要がある。このことより、電極対のうち少なくとも一方を曲線電極として、ブランク内部(ブランクの平面上)に配置し、電極間距離が略一定となるようにする。
(2)電極間距離を一定にした場合に外周側端部において曲線電極とブランク端部との角度が鈍角となるため、ここでの角度を直角に近づける必要がある。このことより、電極間距離に若干の差が生じるが、電流集中による過熱を防止することを優先して、曲線電極の端部とブランク外周側端部とが成す角度が略直角となるように設定する。
また、図2に示すようなT形状のブランクについて上記(1)、(2)の因子を用いて電極対を配置する方法について説明する。
(1)T形状のブランクは、一方向に延びる直線部とその中途部の分岐部から他方向に向けて延出する直線部とにより構成される。図2(a)に示すように、対向する直線部の端部に配置される電極対によって囲まれる領域は矩形状に近い形状となるが、端部形状に沿って流れる電流特性により分岐部に沿って電流の流れが分断し、かつ、分岐部のコーナー部に電流が集中する。また、図2(b)に示すように、対向する直線部の一つと、それと直交方向に延在する直線部とに配置される電極対に通電する場合は、分岐部のコーナー内周側に電流が集中するとともに、電流が分岐部で分散する。
このため、分岐部のコーナー内周側への電流密度を疎にする必要がある。このことより、分岐部に曲線電極を配置し、コーナー部近傍における電極間距離が長くなるように設定することによって、分岐部での電流の分流を抑制するとともに、分岐部での電流密度を調整するようにする。
(2)上述のように分岐部のコーナー部に電流が集中するため、曲線電極の一部が分岐部のコーナー形状と略対称となるように構成し、曲線電極をコーナー部に対向させて配置する。これにより、分岐部において曲線電極の法線方向、つまり電流の流れ方向が曲線電極側に傾き、曲線電極側に多くの電流が流れるため、コーナー内周側への電流集中が抑制される。
[ブランク形状のモデル化]
実際には、非矩形ブランクの形状に多岐に亘るため、それぞれの形状に応じた電極対の構成及び配置が必要である。しかし、多くの場合、非矩形ブランクの形状を特定の典型形状を用いてモデル化することが可能である。以下に、本実施形態で用いるブランクのモデル化について説明する。
曲率を有する円弧形状、屈曲部を有するL形状、分岐部を有するT形状、H形状、穴開き形状等の非矩形状に形成されるブランクは、図3(a)に示す弓形1及び図3(b)に示す分岐形2の二つの典型形状を用いてモデル化できる。
例えば、図4(a)に示すようにブランク内に一つの貫通穴を有する穴開き形状のブランクの場合、半円弧状の弓形1を二つ用いてモデル化でき、図4(b)に示すようにブランク内に二つの貫通穴を有する穴開き形状のブランクの場合、半円弧状の弓形1を二つ、及び、分岐形2を二つ用いてモデル化できる。
図3(a)に示すように、弓形1は、円弧形状に形成される。具体的には、弓形1は、直線状の端部1a・1aを有し、その両端部1a・1a間に湾曲部1bを有する。言い換えれば、弓形1は、曲率を有する領域を画定する外周端面のうち曲率を有する方向の両端部に位置する端面が平面として形成され、かつ、一側端面から他側端面に向かって曲率を有する方向に沿って円弧状に湾曲する形状である。
図4に示すように、弓形1は、ブランクの角部に形成される湾曲部、屈曲部等のモデル化に適用可能である。
図3(b)に示すように、分岐形2は、T形状に形成される。具体的には、分岐形2は、一方向に延びる第一直線部2aと、第一直線部2aと直交する方向に延びる第二直線部2bとにより形成され、第一直線部2aと第二直線部2bとは分岐部2cにて交差するように配置されている。また、第一直線部2aの端面、及び第二直線部2bの端面は平面として形成されており、互いに直交する方向に沿って延在している。
図4に示すように、分岐形2は、ブランクの分岐部(三叉部、十字部)等のモデル化に適用可能である。
以上のように、本実施形態に係る通電加熱方法は、ブランクの形状を弓形1及び分岐形2の二つの典型形状を用いてモデル化し、そのモデル化されたブランクについて、(1)電極間距離、及び(2)曲線電極の法線方向の二因子を考慮して電極対を構成・配置し、通電することによりブランクを加熱する形態を提案するものである。そして、モデル化されたブランクへの通電加熱形態を基にして実際形状のブランクに対する通電加熱形態を適宜決定することにより実用化することができる。
[第一実施形態]
以下では、図5を参照して、本発明の通電加熱方法の第一実施形態である通電加熱工程S1について説明する。通電加熱工程S1では、典型形状の一つである「弓形」に形成されるブランク10を一つの電極対20を用いて通電加熱する。
ブランク10は、通電加熱工程S1における加熱対象であり、導電性を有し、かつ、焼き入れ可能な平板素材(鋼板等)により構成されている。ブランク10は、弓形1と同一形状に形成されており、所定幅を有する円弧形状の湾曲部10bを含む。この湾曲部10bにより両端部10a・10a間の距離が円弧の径によって(湾曲部10bの幅方向の位置に応じて)異なっている。
電極対20は、直線電極21と曲線電極22とにより構成される対の電極である。電極対20は、適宜の電源装置に接続され、一方が正極、他方が負極として用いられる。電極対20に電流を供給し、ブランク10に通電することにより、ブランク10を加熱する。
図5に示すように、直線電極21は、ブランク10の一側端部10aの長手方向(ブランク10の幅方向)全域に亘って配置される棒状の電極であり、曲線電極22はブランク10の湾曲部10bを幅方向に横断するよう配置される曲線状の電極である。このような曲線電極は、例えば、棒状の直線電極を曲げることによって得られる。
ここで、曲線電極22は、上記(1)電極間距離に関する因子、及び(2)曲線電極の法線方向に関する因子を考慮して配置されている。
(1)曲線電極22は、一側端部10aに配置される直線電極21に対応する各部位における直線電極21からの距離が、略一定となるにように配置されている。つまり、曲線電極22は、幅方向における各部位の直線電極21との距離が湾曲部10bのうち最小距離となる内周側部10cの円弧長と略等しい距離となるように外周側部10d側に曲線状に延出されている。これにより、電極対20間の電気抵抗が均一化される。
(2)曲線電極22の外周側部10d側の端部は、曲線電極22と外周側部10dとの成す角が直角となるように設定されている。これにより、曲線電極22の端部への電流集中が緩和され、電流の流れが均一化される、すなわち電極対20間に発生する等電位線の間隔が均一化される。
ここでいう「直角」とは、90°付近の角度も含むものとし、ブランク端部に沿って流れる電流が曲線電極の端部から逃げない(曲線電極の端部での電流密度が疎にならない)程度の鋭角よりも大きく、かつ、曲線電極の端部においてブランク端部に沿って流れる電流以外に流入する電流量が大きくなりすぎない(曲線電極の端部で過熱とならない)程度の鈍角よりも小さい角度を示す。
以上のように曲線電極22を配置することにより、ブランク10の電極対20に挟まれる通電領域内での電流密度を略均等にすることができ、かつ、局所的な電流集中を緩和できる。これにより、ブランク10に対する通電加熱を均一化できる。
[第二実施形態]
以下では、図6〜図8を参照して、本発明の通電加熱方法の第二実施形態である通電加熱工程S2について説明する。通電加熱工程S2では、典型形状の一つである「弓形」に形成されるブランク10を二つの電極対30・40を用いて通電加熱する。本実施形態の通電加熱工程S2は、複数の電極対を用いて通電加熱を行う点で第一実施形態の通電加熱工程S1と異なっている。
ブランク10は、通電加熱工程S1の通電加熱対象と同様のものであり、両端部10a・10a間に円弧形状の湾曲部10bが形成される。また、ブランク10は、両端部10a・10aの中央部を中心として対称形状を有する。なお、本実施形態でのブランク10は、90°以上に広がった円弧形状を有するものとする。
電極対30は、ブランク10の一側端部10aの長手方向(図6における左右方向)全域に亘って配置される直線電極31と、ブランク10上に配置される曲線電極32とにより構成される対の電極である。
電極対40は、ブランク10の他側端部10aの長手方向(図6における上下方向)全域に亘って配置される直線電極41と、ブランク10上に配置される曲線電極42とにより構成される対の電極である。
図6に示すように、直線電極31は、ブランク10の一側端部10aの長手方向全域に亘って配置され、曲線電極32はブランク10の湾曲部10bを幅方向に横断するよう配置されている。
ここで、曲線電極32は、上記(1)電極間距離に関する因子、及び(2)曲線電極の法線方向に関する因子を考慮して配置されている。
(1)曲線電極32は、一側端部10aに配置される直線電極31に対応する各部位における直線電極31からの距離が、略同一となるにように配置されている。つまり、曲線電極32は、幅方向における各部位の直線電極31との距離が最小距離となる内周側部10c側の円弧長と略等しい距離となるように外周側部10d側に曲線状に延出されている。これにより、電極対30間の電気抵抗が均一化される。
(2)曲線電極32の外周側部10d側の端部は、曲線電極32と外周側部10dとの成す角が略直角となるように設定されている。これにより、曲線電極32の端部への電流集中が緩和され、電流の流れが均一化される、すなわち電極対30間に発生する等電位線の間隔が均一化される。
図6に示すように、直線電極41及び曲線電極42は、電極対30の直線電極31及び曲線電極32と同様に構成されるものであり、ブランク10の中央部に対して、直線電極31及び曲線電極32とそれぞれ対称位置に配置される。つまり、曲線電極32と曲線電極42とは、ブランク10の中央部にて交差することにより、ブランク10の中央部において、電極対30・40による通電領域が一部で重なり合っている(重複通電領域)。
通電加熱工程S2では、電極対30・40の何れか一方に通電することにより、それぞれの通電領域に対して断続的に通電してブランク10を加熱する。このとき、通電されていない側の領域では伝熱により温度均一化が進むため、通電加熱工程S2における加熱の均一化が促進される。
このように本実施形態では、複数の電極対を用いて、それぞれの通電領域が一部で重なり合うように各曲線電極を配置し、通電領域を選択的に切り替えて一つの通電領域に対して通電することによって、加熱の均一化を図っている。
より詳細には、図7(a)に示すように、ブランク10では、電極対30の通電領域において電流密度の低い領域A1、電流密度の高い領域A2、並びに、電極対30に囲まれない非通電領域A3が存在する。領域A1は、曲線電極32の内周側の近傍、及び直線電極31の外周側の近傍に発生する。領域A2は、曲線電極32の外周側に発生する。領域A3は、ブランク10において電極対30によって挟まれない領域である。また、その他の領域は、中程度の通電加熱が行われる領域であり、適正な発熱量を確保できる領域であり、電流密度の低い領域A1は、所定時間の通電では目的の加熱温度に達しない領域、電流密度の高い領域A2は、所定時間の通電よりも早く目的の加熱温度に達する領域としてそれぞれ定義される。
また、図7(b)に示すように、電極対40の通電領域において電流密度の低い領域B1、電流密度の高い領域B2、並びに、電極対40に囲まれない非通電領域B3が存在する。領域B1は、曲線電極42の内周側の近傍、及び直線電極41の外周側の近傍に発生する。領域B2は、曲線電極42の外周側に発生する。領域B3は、ブランク10において電極対40によって挟まれない領域である。また、その他の領域は、中程度の通電加熱が行われる領域であり、適正な発熱量を確保できる領域であり、電流密度の低い領域B1は、所定時間の通電では目的の加熱温度に達しない領域、電流密度の高い領域B2は、所定時間の通電よりも早く目的の加熱温度に達する領域としてそれぞれ定義される。
図8(a)に示すように、電極対30及び電極対40による通電領域を重ね合わせると、ブランク10の中央部の内周側に重複通電領域Cが現れる。重複通電領域Cは、電流密度の低い領域A1・B1が含まれるが、係る領域では電極対30・40による断続的な通電加熱によって連続的に加熱されるため、効率的に加熱される。
このように、電極対30・40の通電領域が重複する領域は、それぞれの通電領域において電流密度の低い領域を含むことが好ましい。言い換えれば、ブランク10に配置される電極対30・40による通電領域のうち、電流密度の低い領域を重ね合わせることによって、効率的な加熱を実現できる。
また、図8(a)に示すように、電極対30及び電極対40による通電領域を重ね合わせると、ブランク10の中央部の外周側に非通電領域Dとなる。非通電領域Dでは、電極対30・40による通電が行われないが、非通電領域Dの近傍に電流密度の高い領域A2・B2が存在することにより、係る領域からの伝熱効果が大きい(図8(b)参照)。これにより、非通電領域Dの温度上昇に必要な熱量を確保している。
このように、電極対30・40の非通電領域が重複する領域は、それぞれの通電領域において電流密度の高い領域の近傍に配置することが好ましい。
また、電流密度が高い領域A2・B2については、通電が断続的に行われること、並びに、近傍に電流密度の低い領域A1・B1がそれぞれ存在することにより、伝熱による熱移動が効率的に起こるため、局所的な過熱は抑制されて、通電加熱工程後の加熱温度が適正範囲内に収まることとなる。
以上のように、通電加熱工程S2では、電極対30・40の曲線電極32・42の形状及び配置により、各通電領域内を均一に加熱できるとともに、曲線電極32・42を交差させて配置し、各電極対30・40の通電領域を重ね合わせることにより、ブランク10全体の加熱温度を均一化できる。
なお、上記曲線電極の法線方向に関する因子を利用して、曲線形状を設定して、電流密度が低い領域及び非通電領域の近傍に電流密度が高い領域を配置することにより、加熱温度の均一化を図っても良い。具体的には、電流密度を高くする要望のある箇所において曲線電極を通電領域内部に対して凸となるように形成することにより、係る凸部に対して電流を集中させる。この場合、複数の通電領域に対して断続的に通電を行うため、局所過熱が起こることがなく、良好な伝熱効果も期待できる。
[第三実施形態]
以下では、図9〜図11を参照して、本発明の通電加熱方法の第三実施形態である通電加熱工程S3について説明する。通電加熱工程S3では、典型形状の一つである「分岐形」に形成されるブランク50を二つの電極対60・70、及び一つの直線電極80を用いて通電加熱する。
ブランク50は、通電加熱工程S3の通電加熱対象であり、一方向に延びる第一直線部51と、第一直線部51と直交する方向に延びる第二直線部52とにより形成され、第一直線部51と第二直線部52とは、第一直線部51の中途部に位置する分岐部53にて接続されている。第一直線部51の両端部51a・51aの端面は平面として形成され、第二直線部52の端部52aの端面も平面として形成されている。
電極対60は、第一直線部51の一側端部51aの長手方向(図9における上下方向)全域に亘って配置される直線電極61と、第一直線部51から分岐部53にかけて配置される曲線電極62とにより構成される対の電極である。
電極対70は、第一直線部51の他側端部51aの長手方向(図9における上下方向)全域に亘って配置される直線電極71と、第一直線部51から分岐部53にかけて配置される曲線電極72とにより構成される対の電極である。
直線電極80は、第二直線部52の端部52aの長手方向(図9における左右方向)全域に亘って配置される電極であり、曲線電極62・72のそれぞれと電極対81・82を構成する。
図9に示すように、直線電極61は、ブランク50の一側(図9における左側)端部51aの長手方向(図9における上下方向)全域に亘って配置され、曲線電極62は、ブランク50の第一直線部51から分岐部53を横断するように配置されている。
ここで、曲線電極62は、前述の(1)電極間距離に関する因子、及び、(2)曲線電極の法線方向に関する因子を考慮して配置されている。
(1)曲線電極62は、第一直線部51の第二直線部52と接続される側と逆側(図9における上側)において、直線電極61と略平行に対向するように形成される。これにより、ブランク50の第一直線部51における電極対60の通電領域が略矩形状に形成される。
また、曲線電極62は、第二直線部52と接続される側(図9における下側)において分岐部53のコーナー部内周の形状と略対称に湾曲する(互いに逆向きに湾曲する)ように形成される。つまり、分岐部53において第二直線部52へと分岐する箇所では、曲線電極62を直線電極61から遠ざけるように湾曲させることによって、第二直線部52側に位置する曲線電極62への電流の流れを小さくしている。これにより、分岐部53のコーナー内周側への電流集中を回避でき、局所過熱を回避できる。
(2)曲線電極62の分岐部53のコーナー部と対向する箇所において、曲線電極62の形状をコーナー部に向かって凸となるように形成する。これにより、コーナー部から曲線電極62に向かう法線が曲線電極62の凸部分に集中し、分岐部53のコーナー内周側への電流集中を回避でき、局所過熱を回避できる。
以上のように構成することにより、電極対60間に発生する等電位線の間隔を均一化できるとともに、曲線電極62の端部、及び、ブランク50の分岐部53のコーナー内周側への局所過熱を回避できる。従って、電極対60の通電領域内での加熱を均一化できる。
曲線電極62において直線電極61と対向する箇所は、以上のように形成されている。すなわち、電極対60による通電領域のうち通電量が大きい部位は直線電極61と、曲線電極62の直線電極61と略平行に対向する部分とによって囲まれる領域として形成されている。これに対して、曲線電極62において直線電極80と対向する箇所、すなわち電極対81による通電領域の主たる部位(略矩形に形成される領域)は、以下のように形成されている。
図9に示すように、曲線電極62において第二直線部52上に延出して配置される箇所は、直線電極80と略平行に対向するように形成されている。これにより、曲線電極62と直線電極80とにより構成される電極対81の通電領域が略矩形状に形成され、これらの間に発生する等電位線の間隔が略一定となる。
以上のように、曲線電極62は、直線電極61と略平行に対向する直線部62aと、分岐部53のコーナー内周に対して略対称に湾曲する湾曲部62bと、直線電極80と略平行に対向する直線部62cとの三つの部位を有するように形成されている。このように、曲線電極62を、分岐部53を横断して配置する際に、直線電極61・80との間で略矩形状の通電領域を形成しつつ、分岐部53を挟んで略直交する方向に湾曲させることによって、分岐部53での電流の逃げを防止するとともに、分岐部53のコーナー内周側への電流集中を回避している。
図9に示すように、直線電極71は、第一直線部51の他側(図9における右側)端部51aの長手方向(図9における上下方向)全域に亘って配置され、曲線電極72は、ブランク50の第一直線部51から分岐部53を横断するように配置されている。直線電極71及び曲線電極72は、電極対60の直線電極61及び曲線電極62と同様に構成されるものであり、ブランク50の中央部に対して、直線電極61及び曲線電極62とそれぞれ対称位置に配置される。
つまり、曲線電極62と曲線電極72とは、ブランク50の中央部(分岐部53)にて交差し、ブランク50の中央部において、電極対60・70による通電領域が一部で重なり合っている(言い換えれば、重複通電領域が存在する)。このように、電極対60・70の曲線電極62・72をブランク50の分岐部53にて交差するように配置することによって、分岐部を有するT形状に形成されるブランク50での、電流の分岐を最小限に抑えることが可能となり、電流密度が均一化される。
図9に示すように、直線電極80は、第二直線部52の端部52aの長手方向(図9における左右方向)全域に亘って配置される。
通電加熱工程S3では、電極対60、電極対70、直線電極80と曲線電極62とにより構成される電極対81、直線電極80と曲線電極72とにより構成される電極対82の何れか一つに通電することにより、それぞれの通電領域に対して断続的に通電してブランク50を加熱する。このとき、通電されていない側の領域では伝熱により温度均一化が進むため、通電加熱工程S3における加熱の均一化が促進される。
このように本実施形態では、複数の電極対を用いて、それぞれの通電領域が一部で重なり合うように各曲線電極を配置し、それぞれの通電領域に選択的に断続通電することによって、加熱の均一化を図っている。
より詳細には、図10(a)に示すように、ブランク50では、電極対60の通電領域において電流密度の低い領域E1、電流密度の高い領域E2、並びに、電極対60に囲まれない非通電領域E3が存在する。領域E1は、ブランク50の端部と電極対60とにより囲まれている領域であるが、電流が小さい領域であり、ブランク50の分岐部53から第二直線部52側にかけて発生する。領域E2は、ブランク50の第一直線部51の上方に発生する。領域E3は、ブランク50の端部と曲線電極62とにより囲まれる領域である。
また、図10(b)に示すように、ブランク50では、電極対81の通電領域において電流密度の低い領域F1、電流密度の高い領域F2、並びに、電極対60に囲まれない非通電領域F3が存在する。領域F1は、ブランク50の第二直線部52の左方に発生する。領域F2は、ブランク50の第二直線部52の右方に発生する。領域F3は、ブランク50の端部と曲線電極62とにより囲まれる領域であり、上記領域E3と同一の領域である。
電極対70は、電極対60と対称に構成され、かつ、対称に配置されているので、電極対70の通電領域及び電極対82の通電領域における電流の分布は、電極対60の通電領域及び電極対81の通電領域における電流の分布とそれぞれ対称な分布となる。
図11(a)に示すように、電極対60・70・81・82による通電領域を重ね合わせると、ブランク50の中央部に非通電領域Gが現れる。非通電領域Gは、ブランク50のうち曲線電極62と曲線電極72とにより囲まれる領域であり、それぞれの直線電極61・71に対して裏側に位置する領域であるため、非通電領域Gでは通電が行われない。しかしながら、非通電領域Gに近接した状態で、電流密度の高い領域が存在することにより、係る領域からの伝熱効果が大きく(図11(b)参照)、十分な熱量が確保されている。
このように、加熱領域が複数の通電領域に分割された場合、それぞれの通電領域に含まれない非通電領域が重複する領域の近傍に、若しくは、非通電領域に近接した状態で電流密度の高い領域を配置することが好ましい。
また、図11(a)に示すように、電極対60・81による通電領域のうち電流密度の低い領域が重なり合い、電極対70・82による通電領域のうち電流密度の低い領域が重なり合うため、係る領域内での発熱量を十分な量とすることができ、加熱の均一化を促進できる。
以上のように、通電加熱工程S3では、電極対60・70の曲線電極62・72の形状及び配置により、各通電領域内を均一に加熱できるとともに、曲線電極62・72を分岐部53で交差させて配置し、各電極対60・70・81・82の通電領域を重ね合わせることにより、ブランク50全体の加熱温度を均一化できる。
特に、分岐部を有する分岐形2に形成されるブランク50において、曲線電極62・72を略直角方向に湾曲する湾曲形状に構成し、分岐部53にて交差させることによって、分岐での電流の逃げ(通電方向と直交する方向への電流の流れ)を防止し、第一直線部51及び第二直線部52での効率的な加熱を実現できる。
以上の実施形態では、弓形1又は分岐形2に形成されるブランク、すなわちブランク形状が対称形状の場合について説明したが、ブランク形状は非対称形状であっても良い。つまり、ブランク形状として、弓形の曲率が一定でないもの、分岐形の分岐部が90度でないもの等を広く含む。
係る場合にも、上述の(1)電極間距離、及び(2)曲線電極の法線方向に関する二因子を用いて、曲線形状(プロファイル)の異なる曲線電極を交差させることによって、電流密度の分布を調整できる。このときの交差位置は、ブランク中央部に限らず、各ブランク形状に応じて最適な位置に設定される。
[交差する曲線電極の配置]
以下では、図12を参照して、通電領域が重複する複数対の電極を用いて通電加熱する通電加熱工程S2において、複数の電極対30・40を交差させる方法について説明する。
図12(a)に示すように、交差して配置される曲線電極32・42をブランク10の表面と裏面に分けて配置する。つまり、ブランク10に対して、曲線電極32・42を立体的に交差させて配置する。これにより、交差電極を簡易に構成できるとともに、薄板として形成されるブランクの全体的な温度を均一にできる。
なお、図12(b)に示すように、通電加熱工程S3においても同様に曲線電極62・72を表裏面に配置することにより同様の作用効果が得られる。
[第四実施形態]
以下では、図13を参照して、本発明の通電加熱方法の第四実施形態である通電加熱工程S4について説明する。通電加熱工程S4では、複数の穴を有する穴開き形状に形成されるブランク100を複数の電極対を用いて通電加熱する。
ブランク100は、通電加熱工程S4の加熱対象であり、複雑形状を有する。具体的には、ブランク100は、図13に示すように、典型形状である弓形1と分岐形2とを組み合わせた形状を有する。このように形成されるブランク100は、例えば、略矩形状の外形を有し、かつ、二つの貫通穴を有する穴開き形状に形成されているブランクをモデル化したものである。
図13に示すように、ブランク100は、弓形1に形成される弓形部101・101と、分岐形2に形成される分岐部102・102とを組み合わせることにより形成され、弓形部101の直線端部及び分岐部102のそれぞれの直線端部が接続されることによりブランク100の全体形状が形成されている。言い換えれば、ブランク100は、弓形部101・101及び分岐部102・102によって、二つの円環が連なった形状を有するように形成されている。
弓形部101は、半円弧状に形成され、ブランク100の湾曲部分及び屈曲部分に対応する部位であり、分岐部102は、T形状に形成され、ブランク100の穴開き部分の接続部(分岐部)に対応する部位である。弓形部101と分岐部102の幅は同一であり、ブランク100は連続した平板部材として形成される。
弓形部101では、第二実施形態にて説明した弓形1に形成されるブランク10に対する電極対30・40の電極構成と同様の電極構成を有する複数の電極対を用いて通電加熱し、分岐部102では、第三実施形態にて説明した分岐形2に形成されるブランク50に対する電極対60・70、及び直線電極80の電極構成と同様の電極構成を有する複数の電極対を用いて通電加熱する。
これにより、弓形部101及び分岐部102に配置される各電極対におけるそれぞれの通電領域内での均一加熱が実現され、これらの電極対に対して適宜通電制御を行うことにより、ブランク100全体を均一に加熱することが可能となる。
以上のように、通電加熱工程S4では、穴開き形状等の複雑形状を有するブランク100を、複数の典型形状(弓形1、分岐形2)を組み合わせることによって複数の通電領域に分割し、各典型形状に対応して構成される電極対を用いて通電加熱する。これにより、ブランク100全体に対して良好な通電加熱が可能となる。
また、直線形状の端部を介して接続されている弓形部101と分岐部102との間に配置される直線電極、及び、分岐部102・102間に配置される直線電極は、隣接する部位の境界部分に配置される共通の電極として用いることが可能である。このように、直線形状に形成される各典型形状の端部に各電極対の直線電極を配置することによって、通電加熱に用いる直線電極の配置数を減らすことが可能となるとともに、各通電領域における加熱形態を最適に設定することが可能となる。つまり、典型形状である弓形1に形成されるブランク10に対する通電形態、及び分岐形2に形成されるブランク50に対する通電形態を組み合わせることによって、これらの典型形状を組み合わせて形成されるブランク100に対する最適な通電加熱が実現される。
以下では、図14を参照して、ブランク100に配置される各電極対への通電制御について説明する。
本実施形態では、通電時間の短縮を考慮して同時通電を行う方法を採用する。この際、電極対のマイナス電極(アース電極)の裏側に電流を流さないように制御する。つまり、意図する通電領域外に電流が流出しないように電極対の正極及び負極を設定すること、並びに、同時に通電する電極対を選定することによって、同時通電を実現する。
具体的には、複数の電極対に同時通電する場合、一つの電極対の正極と他の電極対の負極とが近接しないように設定するとともに、異なる電極対の正極間の距離、若しくは一側の正極と他側の負極との間の距離が、意図する電極対の通電領域の正極と負極との間の距離よりも大きくなるように同時通電を行う電極対を選定する。
例えば、図14(a)に示すように、弓形部101・101の分岐部102を挟んで対向して配置される直線電極をアース電極とし、曲線電極をプラス電極として、弓形部101・101の二つの領域に同時通電する場合、それぞれの通電領域における通電方向が逆向きとなること、並びに、一側のプラス電極から他側のアース電極への電極間距離が大きくなることにより、プラス電極側からアース電極と反対側の経路から円環状にアース電極へ向かう電流は発生しにくく、アース電極の裏側に電流が流れることが防止される。これにより、それぞれの通電領域において意図する加熱形態を実現できる。
以上のように、異なる電極対のアース電極が対向するように、若しくは、異なる電極対のアース電極が近傍に位置するように、同時通電を行う電極対を選定し、正極及び負極を適宜設定して同時通電を行うことは、通電する電極対のマイナス電極側に電流を流さない方法の一つである。
また、例えば、図14(b)に示すように、弓形部101とそれに隣接する分岐部102との接続部に配置される共通の直線電極をアース電極とし、それぞれの曲線電極をプラス電極として、弓形部101及び分岐部102の二つの領域に同時通電する場合、プラス側に設定される曲線電極からの電流の流れは同一の直線電極に収束するため、電極対のアース電極の裏側に電流が流出することがなく、それぞれの通電領域において意図する加熱形態を実現できる。
以上のように、隣接する通電領域の境界部分(典型形状の接続部分)に存在する直線電極を共通のアース電極として、同時通電を行うことは、通電する電極対のマイナス電極側に電流を流さない方法の一つである。
以上のように、本実施形態によれば、同時通電に際して、意図する通電領域内に確実に通電することが可能となる。このように通電制御を行うことによって、複数の電極対に対する同時通電を可能とし、通電時間を短縮できる。従って、非通電時の放熱による温度低下が抑制され加熱温度の均一化に寄与できる。
1 弓形(典型形状)
2 分岐形(典型形状)
10、50、100 ブランク
20、30、40、60、70 電極対
21、31、41、61、71、80 直線電極
22、32、42、62、72 曲線電極

Claims (5)

  1. ブランクに直線状の電極と曲線状の電極とにより構成される電極対を配置し、当該電極対に通電することによって前記ブランクを加熱する通電加熱方法であって、
    前記電極対間の距離が前記各電極の延出方向に亘って一定となるように、かつ、前記ブランクの端部と、各電極の端部とのなす角度が直角に近づくように、前記電極対を配置する通電加熱方法。
  2. 前記電極対を複数用意し、
    前記複数の電極対による通電領域の一部を重ね合わせるとともに、当該重ね合わせた箇所において、前記電極を交差させて配置する請求項1に記載の通電加熱方法。
  3. 前記ブランクにおいて、前記電極対による通電領域が重複する箇所は、前記複数の電極対による通電領域のうち、電流密度の低い領域を含むように前記複数の電極対を配置する請求項2に記載の通電加熱方法。
  4. 前記ブランクにおいて、前記電極を交差させて配置することにより生じる非通電領域が、前記複数の電極対による通電領域のうち、電流密度の高い領域の近傍、若しくは前記重複通電領域の近傍に位置するように前記複数の電極対を配置する請求項2又は3に記載の通電加熱方法。
  5. 前記電極が交差する部位を前記ブランクの表裏面に配置する請求項2〜4の何れか一項に記載の通電加熱方法。
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