JP5471817B2 - 通電加熱方法 - Google Patents
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Description
また、通電加熱時にブランクを所定の温度(オーステナイト組織が現れる温度)以上に加熱し、冷却した金型と接触させることにより、プレスと同時に焼入れ処理を施す成形方法が公知である。
これらの要求に応えるために種々の工夫がなされている。例えば、複数の部品を一体化するために、所望形状(H型、T型等の異形状)を有する高強度ブランクを用意し、その異形状のブランクを加熱してプレス加工する方法が提案されている。
これによれば、各電極に供給する電流値を所望値に制御できるが、各電極間に発生する等電位線の間隔が一定とならず、等電位線の間隔が短い箇所に電流が集中して局所過熱されるため、ブランク内の通電領域において加熱温度が一定とならない。
本発明の通電加熱方法は、平板状のブランクに通電することにより加熱する工程である。また、通電加熱の後工程として、ブランクを焼き入れつつプレス成形するホットプレス工程や焼入れを含まない温間プレス工程等が行われる。
この際、プレス成形に係る成形性の向上、及びブランクの焼入性の向上が求められている。つまり、ホットプレス工程に導入されるブランクが上記成形性及び焼入性を担保できる所定の温度以上に均一に加熱されているか否かが大きな課題となる。
また同時に、工程数削減、部品点数削減等の要請に応えるために、ホットプレス工程後のトリミング工程等の後工程を経て一つの製品として使用できる状態、つまり、製品形状と略同一形状を有する異形状(非矩形状)のブランク、又は製品形状を含み、かつ、後工程において容易に製品形状に加工可能な形状のブランクを用意して、当該ブランクに通電加熱し、そのままホットプレス工程に移行することが求められている。
本発明は、上記の課題を解決する新規な通電加熱方法を提案するものであり、以下に本発明を具現化する実施形態について詳細に述べる。
以下では、本実施形態に係る通電加熱方法の基本原理について説明する。
まず、金属等の導体内を流れる電流の基本特性について述べる。導体内を流れる電流は、電極及び等電位線に対して直角方向に流れるという特性、並びに、導体端部に沿って流れるという特性を有する。また、導体内の各部位を流れる電流密度、つまり等電位線の間隔は、電極間距離(抵抗)に反比例する。
上記の特性により、矩形ブランクの対向する両端部に対の電極を配置して通電加熱する場合は、電極に対して直角方向に等間隔の等電位線が発生するため、均一な加熱が可能であるが、非矩形ブランクの対向する両端部に対の電極を配置して通電加熱する場合は、均一な等電位線が発生せず、加熱後のブランク温度が不均一となる。
また、図1(b)に示すように、電極(又はブランク端部)が電流の流れ方向に対して傾斜している場合は、電極に対して直角方向に流れるという電流特性により、電極とブランク端部との成す角が鈍角となる側に電流が集中して局所的に過熱され、鋭角となる側の電流密度は疎となり、低温部となってしまう。
ブランクの一側端部に直線電極を配置し、ブランク上での当該直線電極からの距離が、直線電極の延出方向に亘って略一定となるように曲線電極をブランク上に配置する。このとき、電極間距離が小さい方が低い抵抗値となり電流が流れやすくなるため、ブランクの形状に応じて電極間距離が短い方を基準として他の部位の電極間距離を設定する。つまり、曲線電極の形状を自由曲線として、曲線電極の各部位とそれに対応する直線電極の各部位での電極間距離が略同一となるように構成する。
このように電極間距離に関する因子を設定することによって、電極間の電気抵抗値が略均一となるため、加熱温度を均一化できる。
電流は電極に対して直角に進入することより、ブランクの端部と曲線電極の端部とが成す角が直角に近づくように曲線電極の端部形状を設定する。つまり、ブランク端部における曲線電極の法線方向を、ブランク端部に対して直角に近づけることによって、電流集中を抑制する。
このように曲線電極の法線方向に関する因子を設定することによって、電極の端部付近での電流の流れが均一となるため、電極間に生じる等電位線の間隔を均一化できる。
なお、電流の流れを逃がしたい箇所の近傍、又は局所的に電流を集中させたい箇所(ただし、局所過熱とならない程度)では、電流の流れ方向に対する電極の角度(曲線電極の法線方向)を直角から鈍角に変更することによって電流の流れを制御する方法も効果的である。
(1)両端部に配置される電極間距離が一定とならない。このため、電極間距離が一定となるように設定する必要がある。このことより、電極対のうち少なくとも一方を曲線電極として、ブランク内部(ブランクの平面上)に配置し、電極間距離が略一定となるようにする。
(2)電極間距離を一定にした場合に外周側端部において曲線電極とブランク端部との角度が鈍角となるため、ここでの角度を直角に近づける必要がある。このことより、電極間距離に若干の差が生じるが、電流集中による過熱を防止することを優先して、曲線電極の端部とブランク外周側端部とが成す角度が略直角となるように設定する。
(1)T形状のブランクは、一方向に延びる直線部とその中途部の分岐部から他方向に向けて延出する直線部とにより構成される。図2(a)に示すように、対向する直線部の端部に配置される電極対によって囲まれる領域は矩形状に近い形状となるが、端部形状に沿って流れる電流特性により分岐部に沿って電流の流れが分断し、かつ、分岐部のコーナー部に電流が集中する。また、図2(b)に示すように、対向する直線部の一つと、それと直交方向に延在する直線部とに配置される電極対に通電する場合は、分岐部のコーナー内周側に電流が集中するとともに、電流が分岐部で分散する。
このため、分岐部のコーナー内周側への電流密度を疎にする必要がある。このことより、分岐部に曲線電極を配置し、コーナー部近傍における電極間距離が長くなるように設定することによって、分岐部での電流の分流を抑制するとともに、分岐部での電流密度を調整するようにする。
(2)上述のように分岐部のコーナー部に電流が集中するため、曲線電極の一部が分岐部のコーナー形状と略対称となるように構成し、曲線電極をコーナー部に対向させて配置する。これにより、分岐部において曲線電極の法線方向、つまり電流の流れ方向が曲線電極側に傾き、曲線電極側に多くの電流が流れるため、コーナー内周側への電流集中が抑制される。
実際には、非矩形ブランクの形状に多岐に亘るため、それぞれの形状に応じた電極対の構成及び配置が必要である。しかし、多くの場合、非矩形ブランクの形状を特定の典型形状を用いてモデル化することが可能である。以下に、本実施形態で用いるブランクのモデル化について説明する。
例えば、図4(a)に示すようにブランク内に一つの貫通穴を有する穴開き形状のブランクの場合、半円弧状の弓形1を二つ用いてモデル化でき、図4(b)に示すようにブランク内に二つの貫通穴を有する穴開き形状のブランクの場合、半円弧状の弓形1を二つ、及び、分岐形2を二つ用いてモデル化できる。
図4に示すように、弓形1は、ブランクの角部に形成される湾曲部、屈曲部等のモデル化に適用可能である。
図4に示すように、分岐形2は、ブランクの分岐部(三叉部、十字部)等のモデル化に適用可能である。
以下では、図5を参照して、本発明の通電加熱方法の第一実施形態である通電加熱工程S1について説明する。通電加熱工程S1では、典型形状の一つである「弓形」に形成されるブランク10を一つの電極対20を用いて通電加熱する。
ブランク10は、通電加熱工程S1における加熱対象であり、導電性を有し、かつ、焼き入れ可能な平板素材(鋼板等)により構成されている。ブランク10は、弓形1と同一形状に形成されており、所定幅を有する円弧形状の湾曲部10bを含む。この湾曲部10bにより両端部10a・10a間の距離が円弧の径によって(湾曲部10bの幅方向の位置に応じて)異なっている。
電極対20は、直線電極21と曲線電極22とにより構成される対の電極である。電極対20は、適宜の電源装置に接続され、一方が正極、他方が負極として用いられる。電極対20に電流を供給し、ブランク10に通電することにより、ブランク10を加熱する。
ここで、曲線電極22は、上記(1)電極間距離に関する因子、及び(2)曲線電極の法線方向に関する因子を考慮して配置されている。
(1)曲線電極22は、一側端部10aに配置される直線電極21に対応する各部位における直線電極21からの距離が、略一定となるにように配置されている。つまり、曲線電極22は、幅方向における各部位の直線電極21との距離が湾曲部10bのうち最小距離となる内周側部10cの円弧長と略等しい距離となるように外周側部10d側に曲線状に延出されている。これにより、電極対20間の電気抵抗が均一化される。
(2)曲線電極22の外周側部10d側の端部は、曲線電極22と外周側部10dとの成す角が直角となるように設定されている。これにより、曲線電極22の端部への電流集中が緩和され、電流の流れが均一化される、すなわち電極対20間に発生する等電位線の間隔が均一化される。
ここでいう「直角」とは、90°付近の角度も含むものとし、ブランク端部に沿って流れる電流が曲線電極の端部から逃げない(曲線電極の端部での電流密度が疎にならない)程度の鋭角よりも大きく、かつ、曲線電極の端部においてブランク端部に沿って流れる電流以外に流入する電流量が大きくなりすぎない(曲線電極の端部で過熱とならない)程度の鈍角よりも小さい角度を示す。
以下では、図6〜図8を参照して、本発明の通電加熱方法の第二実施形態である通電加熱工程S2について説明する。通電加熱工程S2では、典型形状の一つである「弓形」に形成されるブランク10を二つの電極対30・40を用いて通電加熱する。本実施形態の通電加熱工程S2は、複数の電極対を用いて通電加熱を行う点で第一実施形態の通電加熱工程S1と異なっている。
ブランク10は、通電加熱工程S1の通電加熱対象と同様のものであり、両端部10a・10a間に円弧形状の湾曲部10bが形成される。また、ブランク10は、両端部10a・10aの中央部を中心として対称形状を有する。なお、本実施形態でのブランク10は、90°以上に広がった円弧形状を有するものとする。
電極対30は、ブランク10の一側端部10aの長手方向(図6における左右方向)全域に亘って配置される直線電極31と、ブランク10上に配置される曲線電極32とにより構成される対の電極である。
電極対40は、ブランク10の他側端部10aの長手方向(図6における上下方向)全域に亘って配置される直線電極41と、ブランク10上に配置される曲線電極42とにより構成される対の電極である。
ここで、曲線電極32は、上記(1)電極間距離に関する因子、及び(2)曲線電極の法線方向に関する因子を考慮して配置されている。
(1)曲線電極32は、一側端部10aに配置される直線電極31に対応する各部位における直線電極31からの距離が、略同一となるにように配置されている。つまり、曲線電極32は、幅方向における各部位の直線電極31との距離が最小距離となる内周側部10c側の円弧長と略等しい距離となるように外周側部10d側に曲線状に延出されている。これにより、電極対30間の電気抵抗が均一化される。
(2)曲線電極32の外周側部10d側の端部は、曲線電極32と外周側部10dとの成す角が略直角となるように設定されている。これにより、曲線電極32の端部への電流集中が緩和され、電流の流れが均一化される、すなわち電極対30間に発生する等電位線の間隔が均一化される。
このように本実施形態では、複数の電極対を用いて、それぞれの通電領域が一部で重なり合うように各曲線電極を配置し、通電領域を選択的に切り替えて一つの通電領域に対して通電することによって、加熱の均一化を図っている。
また、図7(b)に示すように、電極対40の通電領域において電流密度の低い領域B1、電流密度の高い領域B2、並びに、電極対40に囲まれない非通電領域B3が存在する。領域B1は、曲線電極42の内周側の近傍、及び直線電極41の外周側の近傍に発生する。領域B2は、曲線電極42の外周側に発生する。領域B3は、ブランク10において電極対40によって挟まれない領域である。また、その他の領域は、中程度の通電加熱が行われる領域であり、適正な発熱量を確保できる領域であり、電流密度の低い領域B1は、所定時間の通電では目的の加熱温度に達しない領域、電流密度の高い領域B2は、所定時間の通電よりも早く目的の加熱温度に達する領域としてそれぞれ定義される。
このように、電極対30・40の通電領域が重複する領域は、それぞれの通電領域において電流密度の低い領域を含むことが好ましい。言い換えれば、ブランク10に配置される電極対30・40による通電領域のうち、電流密度の低い領域を重ね合わせることによって、効率的な加熱を実現できる。
このように、電極対30・40の非通電領域が重複する領域は、それぞれの通電領域において電流密度の高い領域の近傍に配置することが好ましい。
また、電流密度が高い領域A2・B2については、通電が断続的に行われること、並びに、近傍に電流密度の低い領域A1・B1がそれぞれ存在することにより、伝熱による熱移動が効率的に起こるため、局所的な過熱は抑制されて、通電加熱工程後の加熱温度が適正範囲内に収まることとなる。
なお、上記曲線電極の法線方向に関する因子を利用して、曲線形状を設定して、電流密度が低い領域及び非通電領域の近傍に電流密度が高い領域を配置することにより、加熱温度の均一化を図っても良い。具体的には、電流密度を高くする要望のある箇所において曲線電極を通電領域内部に対して凸となるように形成することにより、係る凸部に対して電流を集中させる。この場合、複数の通電領域に対して断続的に通電を行うため、局所過熱が起こることがなく、良好な伝熱効果も期待できる。
以下では、図9〜図11を参照して、本発明の通電加熱方法の第三実施形態である通電加熱工程S3について説明する。通電加熱工程S3では、典型形状の一つである「分岐形」に形成されるブランク50を二つの電極対60・70、及び一つの直線電極80を用いて通電加熱する。
ブランク50は、通電加熱工程S3の通電加熱対象であり、一方向に延びる第一直線部51と、第一直線部51と直交する方向に延びる第二直線部52とにより形成され、第一直線部51と第二直線部52とは、第一直線部51の中途部に位置する分岐部53にて接続されている。第一直線部51の両端部51a・51aの端面は平面として形成され、第二直線部52の端部52aの端面も平面として形成されている。
電極対70は、第一直線部51の他側端部51aの長手方向(図9における上下方向)全域に亘って配置される直線電極71と、第一直線部51から分岐部53にかけて配置される曲線電極72とにより構成される対の電極である。
直線電極80は、第二直線部52の端部52aの長手方向(図9における左右方向)全域に亘って配置される電極であり、曲線電極62・72のそれぞれと電極対81・82を構成する。
ここで、曲線電極62は、前述の(1)電極間距離に関する因子、及び、(2)曲線電極の法線方向に関する因子を考慮して配置されている。
(1)曲線電極62は、第一直線部51の第二直線部52と接続される側と逆側(図9における上側)において、直線電極61と略平行に対向するように形成される。これにより、ブランク50の第一直線部51における電極対60の通電領域が略矩形状に形成される。
また、曲線電極62は、第二直線部52と接続される側(図9における下側)において分岐部53のコーナー部内周の形状と略対称に湾曲する(互いに逆向きに湾曲する)ように形成される。つまり、分岐部53において第二直線部52へと分岐する箇所では、曲線電極62を直線電極61から遠ざけるように湾曲させることによって、第二直線部52側に位置する曲線電極62への電流の流れを小さくしている。これにより、分岐部53のコーナー内周側への電流集中を回避でき、局所過熱を回避できる。
(2)曲線電極62の分岐部53のコーナー部と対向する箇所において、曲線電極62の形状をコーナー部に向かって凸となるように形成する。これにより、コーナー部から曲線電極62に向かう法線が曲線電極62の凸部分に集中し、分岐部53のコーナー内周側への電流集中を回避でき、局所過熱を回避できる。
以上のように構成することにより、電極対60間に発生する等電位線の間隔を均一化できるとともに、曲線電極62の端部、及び、ブランク50の分岐部53のコーナー内周側への局所過熱を回避できる。従って、電極対60の通電領域内での加熱を均一化できる。
図9に示すように、曲線電極62において第二直線部52上に延出して配置される箇所は、直線電極80と略平行に対向するように形成されている。これにより、曲線電極62と直線電極80とにより構成される電極対81の通電領域が略矩形状に形成され、これらの間に発生する等電位線の間隔が略一定となる。
つまり、曲線電極62と曲線電極72とは、ブランク50の中央部(分岐部53)にて交差し、ブランク50の中央部において、電極対60・70による通電領域が一部で重なり合っている(言い換えれば、重複通電領域が存在する)。このように、電極対60・70の曲線電極62・72をブランク50の分岐部53にて交差するように配置することによって、分岐部を有するT形状に形成されるブランク50での、電流の分岐を最小限に抑えることが可能となり、電流密度が均一化される。
このように本実施形態では、複数の電極対を用いて、それぞれの通電領域が一部で重なり合うように各曲線電極を配置し、それぞれの通電領域に選択的に断続通電することによって、加熱の均一化を図っている。
また、図10(b)に示すように、ブランク50では、電極対81の通電領域において電流密度の低い領域F1、電流密度の高い領域F2、並びに、電極対60に囲まれない非通電領域F3が存在する。領域F1は、ブランク50の第二直線部52の左方に発生する。領域F2は、ブランク50の第二直線部52の右方に発生する。領域F3は、ブランク50の端部と曲線電極62とにより囲まれる領域であり、上記領域E3と同一の領域である。
このように、加熱領域が複数の通電領域に分割された場合、それぞれの通電領域に含まれない非通電領域が重複する領域の近傍に、若しくは、非通電領域に近接した状態で電流密度の高い領域を配置することが好ましい。
特に、分岐部を有する分岐形2に形成されるブランク50において、曲線電極62・72を略直角方向に湾曲する湾曲形状に構成し、分岐部53にて交差させることによって、分岐での電流の逃げ(通電方向と直交する方向への電流の流れ)を防止し、第一直線部51及び第二直線部52での効率的な加熱を実現できる。
係る場合にも、上述の(1)電極間距離、及び(2)曲線電極の法線方向に関する二因子を用いて、曲線形状(プロファイル)の異なる曲線電極を交差させることによって、電流密度の分布を調整できる。このときの交差位置は、ブランク中央部に限らず、各ブランク形状に応じて最適な位置に設定される。
以下では、図12を参照して、通電領域が重複する複数対の電極を用いて通電加熱する通電加熱工程S2において、複数の電極対30・40を交差させる方法について説明する。
図12(a)に示すように、交差して配置される曲線電極32・42をブランク10の表面と裏面に分けて配置する。つまり、ブランク10に対して、曲線電極32・42を立体的に交差させて配置する。これにより、交差電極を簡易に構成できるとともに、薄板として形成されるブランクの全体的な温度を均一にできる。
なお、図12(b)に示すように、通電加熱工程S3においても同様に曲線電極62・72を表裏面に配置することにより同様の作用効果が得られる。
以下では、図13を参照して、本発明の通電加熱方法の第四実施形態である通電加熱工程S4について説明する。通電加熱工程S4では、複数の穴を有する穴開き形状に形成されるブランク100を複数の電極対を用いて通電加熱する。
ブランク100は、通電加熱工程S4の加熱対象であり、複雑形状を有する。具体的には、ブランク100は、図13に示すように、典型形状である弓形1と分岐形2とを組み合わせた形状を有する。このように形成されるブランク100は、例えば、略矩形状の外形を有し、かつ、二つの貫通穴を有する穴開き形状に形成されているブランクをモデル化したものである。
弓形部101は、半円弧状に形成され、ブランク100の湾曲部分及び屈曲部分に対応する部位であり、分岐部102は、T形状に形成され、ブランク100の穴開き部分の接続部(分岐部)に対応する部位である。弓形部101と分岐部102の幅は同一であり、ブランク100は連続した平板部材として形成される。
これにより、弓形部101及び分岐部102に配置される各電極対におけるそれぞれの通電領域内での均一加熱が実現され、これらの電極対に対して適宜通電制御を行うことにより、ブランク100全体を均一に加熱することが可能となる。
本実施形態では、通電時間の短縮を考慮して同時通電を行う方法を採用する。この際、電極対のマイナス電極(アース電極)の裏側に電流を流さないように制御する。つまり、意図する通電領域外に電流が流出しないように電極対の正極及び負極を設定すること、並びに、同時に通電する電極対を選定することによって、同時通電を実現する。
以上のように、異なる電極対のアース電極が対向するように、若しくは、異なる電極対のアース電極が近傍に位置するように、同時通電を行う電極対を選定し、正極及び負極を適宜設定して同時通電を行うことは、通電する電極対のマイナス電極側に電流を流さない方法の一つである。
以上のように、隣接する通電領域の境界部分(典型形状の接続部分)に存在する直線電極を共通のアース電極として、同時通電を行うことは、通電する電極対のマイナス電極側に電流を流さない方法の一つである。
2 分岐形(典型形状)
10、50、100 ブランク
20、30、40、60、70 電極対
21、31、41、61、71、80 直線電極
22、32、42、62、72 曲線電極
Claims (5)
- ブランクに直線状の電極と曲線状の電極とにより構成される電極対を配置し、当該電極対に通電することによって前記ブランクを加熱する通電加熱方法であって、
前記電極対間の距離が前記各電極の延出方向に亘って一定となるように、かつ、前記ブランクの端部と、各電極の端部とのなす角度が直角に近づくように、前記電極対を配置する通電加熱方法。 - 前記電極対を複数用意し、
前記複数の電極対による通電領域の一部を重ね合わせるとともに、当該重ね合わせた箇所において、前記電極を交差させて配置する請求項1に記載の通電加熱方法。 - 前記ブランクにおいて、前記電極対による通電領域が重複する箇所は、前記複数の電極対による通電領域のうち、電流密度の低い領域を含むように前記複数の電極対を配置する請求項2に記載の通電加熱方法。
- 前記ブランクにおいて、前記電極を交差させて配置することにより生じる非通電領域が、前記複数の電極対による通電領域のうち、電流密度の高い領域の近傍、若しくは前記重複通電領域の近傍に位置するように前記複数の電極対を配置する請求項2又は3に記載の通電加熱方法。
- 前記電極が交差する部位を前記ブランクの表裏面に配置する請求項2〜4の何れか一項に記載の通電加熱方法。
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