JP5469130B2 - H+型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造方法及びh+型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の製造方法 - Google Patents

H+型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造方法及びh+型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の製造方法 Download PDF

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本発明は、酸化マンガンのナノ微粒子の凝集体粉末及び該凝集体担持マンガン化合物粉末に関し、より具体的には、溶液中の金属又はプロトン結合性物質の吸着、あるいは電子の蓄電材に用いることができる新規な酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末及び該ナノ微粒子凝集体担持マンガン化合物粉末並びにそれらの製造方法に関する。
無機化合物のナノ微粒子は、化学、エレクトロニクス、環境などに関連する各種の産業分野において有用な新しい機能性材料を創製し得るものとして期待されているが、製造に複雑な工程を要し、あるいは、高価な原料を用いなければならないものが殆どである。
また、該ナノ微粒子は、粒径が極めて小さいため、分離、回収及び取り扱いが非常に困難である。そのため、該ナノ微粒子の利用方法の開発が進まず、その応用分野を制限するものであった。
ところで、現在、金の回収の目的で金鉱石や金含有廃材から金を精製するに当たっては、青化法が主として採用されているが、青化法は毒性の高いシアンを使うため、金の溶剤としてチオ硫酸などを利用する新たな金の回収方法が検討され始めている。
しかし、これらの方法は、いずれも固体の原料から金を回収するものである。そこで、溶液中の金を効率的に回収することができれば、天然に微量しか存在しない金の利用が一層促進されるものと期待されるが、そのような目的で確立された技術は見当たらない。
例えば、「Gray, M. J. “Manganese dioxide as an adsorbent for heavy metals,” Effluent and water treatment journal, May (1981) 」(非特許文献1)には、マンガ
ン酸化物を利用する重金属の吸着材に関する現状技術が紹介されているが、金の回収については全く記載されていない。また、金属以外の物質、例えば、プロトン結合性物質、電子等を吸着する技術についても記載されていない。
Gray, M. J. "Manganese dioxide as an adsorbent for heavy metals," Effluent and water treatment journal, May (1981)
また、近年、燃料電池用触媒や排気ガス用触媒の分野において、従来の触媒物質よりも安価で、常温域(100〜200℃程度)の温度で高効率に作動する触媒物質やプロトン導伝物質の開発が望まれている。
例えば、燃料電池用の分野では、触媒又は電解質として、水素ガスを常温域でプロトンに分解する性質を有し、白金やロジウムに比べ安価なパラジウムの微粒子を高密度且つ均一に担持した、多孔体構造を有する酸化物の開発が必須となっている。パラジウムが、その結晶内にプロトンを拡散吸収する得意な性質を有していることは、既知の知見である。
これまで活性炭、アルミナ、珪素酸化物等に物理吸着法や真空蒸着法等を応用することで貴金属微粒子を表面に担持させることが検討されてきた。しかし、従来の手法ではシングル・ナノオーダーの貴金属微粒子を、多孔体構造の表面及び内部に高密度且つ均一に担持させることは、技術的に極めて困難であった。また、従来の代表的な多孔体構造物質である活性炭、アルミナ、珪素酸化物等は、電気化学的に不活性であるため、それらの表面
に化学的に貴金属微粒子を析出させることは元素の電気化学的な物性からも極めて困難であった。
従って、本発明の目的は、溶液からの金、パラジウムなどの金属の回収、プロトン結合性物質の吸着あるいは電子の充電及び放電を効果的に行うことができる、新規なナノ微粒子凝集体粉末、パラジウム等の貴金属微粒子が高密度で均一に担持されている触媒、該ナノ微粒子凝集体が担持されている化合物粉末及びそれらの前駆体、並びにそれらを低廉な原料から簡単に製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)2価のマンガン化合物粉末を210〜280℃のような比較的低温で焼成することにより、酸化マンガンのナノ微粒子が担持されたマンガン化合物粉末(以下、前駆体とも記載する。)が得られること、(2)該前駆体に複数回の酸処理を行なうことにより、残留マンガン化合物が除去され、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末が得られること、(3)該前駆体及び該マンガンナノ微粒子凝集体粉末を酸処理することにより得られるH型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末及び酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、金属及びプロトン結合性物質の吸着性並びに電子の充放電特性に優れること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、炭酸マンガンの粉末を210〜280℃で焼成し、次いで、酸で酸処理し、次いで、水洗することを特徴とするH 型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、炭酸マンガンの粉末を210〜280℃で焼成し、次いで、3回以上酸で酸処理し、次いで、水洗することを特徴とするH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、溶液からの金などの金属の回収、プロトン結合性物質の吸着あるいは電子の蓄電及び放電を効果的に行うことができる新規なナノ微粒子凝集体粉末、パラジウム等の貴金属微粒子が高密度且つ均一に担持されている触媒、該ナノ微粒子凝集体が担持された化合物粉末及びそれらの前駆体、並びにそれらを低廉な原料から簡単に製造する方法を提供することができる。また、該ナノ微粒子凝集体粉末及びナノ微粒子凝集体が担持されている化合物粉末は、ナノサイズの金又はパラジウム等の金属を担持している触媒の製造、又はスーパーキャパシター材料への応用が可能となる。
本発明に係る酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、2価のマンガン化合物に酸化マンガンが担持されており、該酸化マンガンは、平均粒径が1〜20nm、好ましくは1〜10nm、特に好ましくは1〜5nmのナノ微粒子の凝集体である。該ナノ微粒子の平均粒径が、1nm未満だと、ナノ微粒子が凝集体を形成し難くなり、また、20nmを超えると、比表面積が小さくなり、後述する金属等の吸着性能が低くなる。そして、該2価のマンガン化合物が担体となって、該ナノ微粒子の凝集体が担持されている。
また、該酸化マンガンは、酸化数が2より大きく3以下であり、好ましくは2.5〜3であり、特に好ましくは3である。該酸化数が、2以下だと電気化学的に不活性となり、後記する金属等の吸着性が低くなり、また、3を超えると、同じく電気化学的に不活性となり、後記する金属等の吸着性が低くなる。
また、該酸化マンガンは、担体となるマンガン化合物の表面に形成された5〜100nmの薄膜であることが好ましく、特に好ましくは5〜20nmの薄膜である。
本発明に係る酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、平均粒径が、0.1〜20μm
、好ましくは0.2〜10μm、特に好ましくは0.2〜4μmである。該酸化マンガン担持マンガン化合物粉末の平均粒径が、0.1μm未満だと酸化マンガン担持マンガン化合物粉末をろ過等により分離することが困難となり、また、20μmを超えると単位重量当りの金属等の吸着量が低くなる。
また、該2価のマンガン化合物としては、無機の2価のマンガン化合物であれば特に制限されず、炭酸マンガン、水酸化マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、シュウ酸マンガン等が挙げられ、これらのうち炭酸マンガンが好ましい。また、該2価のマンガン化合物と該酸化マンガンの構成比率としては、特に制限はないが、概ね重量比率で、該酸化マンガンが1.0〜20%、該2価のマンガン化合物が80〜99.0%である。
本発明に係る酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、公知の分析方法により確認することができる。以下に3価の酸化マンガン(Mn、以降、酸化マンガン(III)と
記載する。)が炭酸マンガンに担持されている酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉
末の場合について説明する。
酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末の表面に酸化マンガン(III)が存在していることの確認は、X線光電子分析(XPS)による表面分析により行うことができる。該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末についてXPS分析を行なうと、3価のマン
ガンの存在を示すマンガンの2p3/2軌道電子の結合エネルギーが見られる。XPSは、表面から10オングストロームの深さまでの情報を与えるものである。
酸化マンガン(III)及び炭酸マンガンにより構成されていることの確認は、中性子回
折分析及び該中性子回折分析の結果をリートベルト解析することにより行なうことができる。図1は、該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末の中性子回折分析結果をリー
トベルト解析したチャートである。酸化マンガン(III)に由来するピーク(例えば、図
1中のa〜a)の存在により、該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末が、酸
化マンガン(III)を含有していることがわかる。同様に、炭酸マンガンに由来するピー
ク(例えば、図1中のb〜b)の存在により、該酸化マンガン(III)担持炭酸マン
ガン粉末が、炭酸マンガンを含有していることがわかる。従って、該酸化マンガン(III
)担持炭酸マンガン粉末が、酸化マンガン(III)及び炭酸マンガンから構成されている
ことが確認できる。図1では、酸化マンガンに由来するピークの強度が、炭酸マンガンに由来するピークの強度に比べ、非常に小さいことから、大部分が炭酸マンガンであることがわかる。また、中性子回折分析は、微小粒子の情報を与えるので、該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末中に存在する酸化マンガン(III)及び炭酸マンガンは、共にナノサイズの単結晶であると推測される。一方、4価のマンガン酸化物の結晶の存在を示す回折ピークは全く見られない。
また、酸化マンガン(III)に由来する全ピークの総面積と、炭酸マンガンに由来する
全ピークの総面積の面積比率から、酸化マンガン(III)及び炭酸マンガンの存在重量比
率を求めることができる。該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガンについて、全ピーク
の総面積の面積比率から酸化マンガン(III)及び炭酸マンガンの存在重量比率を求める
と、酸化マンガン(III)は1〜3%、炭酸マンガンは97.0〜99.0%である。
また、中性子回折結果をリートベルト解析したチャートの回折ピークの形から、炭酸マンガンの単結晶の平均粒径を求めることができる。該酸化マンガン(III)担持炭酸マン
ガン中の炭酸マンガンの単結晶の平均粒径は21.5nmである。
酸化マンガン担持マンガン化合物粉末に担持されている酸化マンガン(III)の平均粒
径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いる表面観察により、確認することができる。図2は、該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末の透過型電子顕微鏡写真である。図
2では、表面に存在する微粒子の粒径が1〜20nmであり、該微粒子が多数凝集していることが確認できる。
該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末が、21.5nmの球状の炭酸マンガン
の表面に酸化マンガン(III)が層状に覆っているという殻をかぶった卵のような形態で
あると仮定し、前記酸化マンガン(III)の存在重量比率1〜3%を用いて計算すると、
炭酸マンガン上の酸化マンガン(III)層の厚みが、0.006nm程度となる。この値
は、表面から10オングストローム(1nm)の深さまでの情報を与える前記XPSの結果と矛盾することから、該仮定は妥当ではない。
次に、図3に示すように、該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末1が、炭酸マ
ンガンナノ微粒子2の凝集体の表面に、酸化マンガンナノ微粒子3が担持されている形態であると仮定すると、該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガン粉末1の粒径が1μmの
場合、酸化マンガン(III)層の厚みは、6nmとなる。この値は、XPSの結果から考
えても妥当である。従って、該酸化マンガン(III)担持炭酸マンガンは、図3に示すよ
うに、20nm程度の炭酸マンガンのナノ微粒子の凝集体の表面に、酸化マンガン(III
)のナノ微粒子が担持されていると推測される。
また、酸化マンガン担持マンガン化合物粉末の平均粒径は、走査型電子顕微鏡観察により行なうことができる。
該酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、後述するプロトンを吸収しているプロトン型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末(以下、H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末と記載する。)の製造の原料に好適に用いることができる。すなわち、該酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末の前駆体となるものである。
該酸化マンガン担持マンガン化合物は、2価のマンガン化合物の粉末を焼成し、焼成マンガン化合物を得る焼成工程を行なうことにより得ることができる。
原料となる該2価のマンガン化合物としては、特に制限されず、炭酸マンガン、水酸化マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、シュウ酸マンガン等が挙げられ、それらのうち炭酸マンガンが好ましい。また、該2価のマンガン化合物の純度は、特に制限されないが、好ましくは90%以上、特に好ましくは99%以上、更に好ましくは99.9%以上である。また、該マンガン化合物の粉末の平均粒径は、0.02〜2μmが好ましい。また、該マンガン化合物の粉末は、マンガン化合物を酸に溶解させた液体を乾燥して得られるものであってもよい。酸処理により、原料中の不純物を除去できる。
該焼成を行なう焼成温度は、210〜280℃であり、好ましくは220〜250℃、特に好ましくは230〜240℃である。該焼成温度が、210℃未満だと2価のマンガン化合物の酸化が起こり難く、また、280℃を超えると酸化マンガンナノ微粒子の平均粒径が大きくなる。
該焼成を行なう焼成時間としては、特に制限されないが、概ね2〜15時間である。焼成時間が、2時間未満だとマンガン化合物の酸化が十分に進行し難く、また、15時間を超えて焼成を行なってもマンガン化合物の酸化が進行することはないため、非効率である。
このように、該酸化マンガン担持マンガン化合物粉末の構造は、2価のマンガン化合物の表層部が、特定温度範囲内で行なう焼成により酸化されて、酸化マンガン層となり、しかも、その酸化マンガン層が、前述の如くナノ微粒子の凝集体構造を採る。
本発明に係るH型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、前記焼成工程で得られる前記焼成マンガン化合物を酸で酸処理し、酸処理マンガン化合物を得る酸処理工程を行なうことにより得ることができる。
該酸処理に用いる酸としては、無機酸であれば特に制限されず、好ましくは塩酸及び硝酸である。また、該酸の濃度は、0.1〜1.0mol/Lである。該酸の濃度が、0.1mol/L未満だと酸処理が十分に行なわれず、また1.0mol/Lを超えるとH型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末中の酸化マンガンの溶解が多くなる。
該酸処理は、該焼成マンガン化合物を該酸に懸濁させ、好ましくは室温、例えば、10〜40℃で、30分〜2時間攪拌することにより行うことができる。また、該酸処理は、1回又は2回以上行なうことができる。そして、該酸処理後、ろ過等を行ない、酸処理マンガン化合物を該酸から取り出し、必要に応じて水洗を行ない、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末を得ることができる。
該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、乾燥させたものであっても、あるいは乾燥させず水分を含んでいるものであっても、後記する金属等の吸着に用いることができる。なお、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、大気圧下で乾燥させると吸収したプロトンが抜けてしまう。従って、乾燥を行なう場合は、該乾燥は、減圧下、好ましくは71.3kPa以下の圧力下で行なう。また、大気圧下で長期間放置をすると、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末が吸収したプロトンが抜け易くなるため、真空中で保存することが好ましい。
型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末が、H型であること、すなわちプロトンを吸収していることの確認は、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末に中性子を照射して、分子振動エネルギーを分析することにより行なうことができる。H型である場合は、酸化マンガン中の酸素原子とプロトンの結合に由来するピークを観察することができる。
そして、該酸処理を2回以上繰り返すことにより、酸化マンガンナノ微粒子凝集体の担体である2価のマンガン化合物が、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末中から除去され、酸化マンガンの比率が高くなる。すなわち、繰り返しの酸処理により、酸化マンガン層の隙間を浸透した酸が、内部の2価のマンガン化合物を溶かし、溶出物が該酸化マンガン層の隙間を通して、外部へ流出される。従って、酸処理を2回以上行なったH型酸化マンガン担持マンガン化合物は、単位重量当りの金属又はプロトン結合性物質の吸着量、あるいは電子の蓄電量が多くなる。
また、該酸処理を繰り返し行なうことが、ろ紙の目を通過する程度に粒径の小さいH型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末が、酸処理時に酸に溶解し、あるいは、酸処理後のろ過の時にろ紙の目を通過し、除去される点で好ましい。ろ紙の目を通過する程度に粒径の小さいH型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末が存在すると、金属等の吸着を行なった後、金属等を吸着したH型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末をろ過により回収する際に、該粒径の小さいH型酸化マンガン担持マンガン化合物が、吸着した金属と共にろ紙の目を通過してしまい、金属等の回収率が低下する。従って、酸処理を繰り返すことが、金属等の回収率を低下させない点で好ましい。
また、該酸処理を2回以上繰り返すことにより、酸化マンガンが、ディスオーダードクリスタルとなる。ディスオーダードクリスタルとは、結晶とアモルファスの中間の状態の物質を指し、酸化マンガンを例にすると、マンガン元素の配列は規則正しいが、マンガン元素の周りの酸素元素の位置と配列がランダムな構造であり、結晶構造を示すマンガン元素とアモルファス構造を示す酸素元素が、1つの物質の中に混在しているものを指す。そして、該ディスオーダードクリスタルは、X線回折分析において、ブロード又は微弱な回折ピークを与える。
ディスオーダードクリスタル構造を有する化合物について、2価のマンガン化合物として炭酸マンガン粉末を用いた場合を参照して詳細に説明する。図4は、炭酸マンガンを低焼成温度で焼成して得た酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末に対して、酸処理を繰り返した粉末のX線回折分析のチャートの変化を示す。なお、図4は、構造因子を横軸に、回折強度を縦軸にプロットしたものである。図中、11は焼成前の炭酸マンガンのX線回折チャートを、12は酸処理を行なう前の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末(以下、粉末Aとも記載する。)のX線回折チャートを、13、14、15は、それぞれ酸処理を1回、2回、3回行い、大気圧下100℃で乾燥を行なった粉末(以下、順に粉末B、粉末C、粉末Dとも記載する。)のX線回折チャートである。炭酸マンガンに見られるピーク(例えば、c〜c)は、殆どがピーク幅の狭いピークであるが、酸処理を繰り返すにつれ、該ピークのピーク高さが小さくなり、対照的にピーク幅の広いピーク(以下、ブロードなピークと記載する。)のピーク高さが大きくなる。酸処理を2回行なった粉末C又は3回行なった粉末DのX線回折チャート14又は15は、ピーク高さの大きなピークが全てブロードなピークであり、ピーク幅の狭いピークがあっても微弱である。ブロードなピークの定義を図5を用いて説明すると、図5中、20はピークを、21はベースラインを、22a及び22bはピーク20とベースライン21の交点を指す。そして、交点23aと23bの距離をピーク幅23とし、該ピーク幅23が0.5Å−1以上のものをブロードなピークと定義する。また、微弱なピークとは、ピーク高さが、回折強度50カウント/秒以下のピークと定義する。
図4中、粉末CのX線回折チャート14には、微弱ではあるが、炭酸マンガンに由来するピークが見られる。従って、該粉末Cには、ある程度炭酸マンガンが残っていることがわかる。該粉末C中の酸化マンガン(III)と炭酸マンガンの比率は、中性子回折分析に
よって確認することができる。
このように、該酸処理を2回以上繰り返すことにより、X線回折分析において、ブロード又は微弱な回折ピークが得られるディスオーダードクリスタル構造の酸化マンガン担持マンガン化合物粉末(以下、D構造−酸化マンガン担持マンガン化合物粉末とも記載する。)が得られる。
また、該粉末Cは、大気圧下100℃で乾燥を行なったため、プロトンは抜けているが、乾燥を減圧下、例えば25℃、41.3kPaの圧力下で行なうと、ディスオーダードクリスタル構造のH型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末(以下、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末とも記載する。)を得ることができる。すなわち、該D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、該酸化マンガン担持マンガン化合物粉末を複数回酸処理し、最後の酸処理後の乾燥を、減圧下で行なうことにより、得ることができる。
また、該D構造−酸化マンガン担持マンガン化合物粉末及び該D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末は、酸化数が2より大きく3以下である。
一方、図4中、X線回折チャート15を与える粉末DをX線回折分析した時に、横軸に
原子間距離を、縦軸に全相関関数をプロットしたところ、炭素と酸素の結合を示す1.35オングストローム付近のピークが見られなかった。従って、該粉末Dには、全く炭酸マンガンが残っておらず、酸化マンガンのみであることがわかる。該粉末Dが、炭酸マンガンを含有しない酸化マンガンであることは、中性子回折分析によっても確認することができる。つまり、酸化マンガンのナノ微粒子の凝集体は、担体である2価のマンガン化合物を含有しない、酸化マンガンナノ微粒子凝集体のみ(以下、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末とも記載する。)で存在することができる。
該酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、例えば炭酸マンガン粒子の表面に担持されていたものが、炭酸マンガンの溶出により残存したものである。このため、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の形状は、当初のリング状断面形状が崩れて、不定形状を呈していると思われる。
また、該酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、酸化数が2より大きく3以下である。該酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末、前記D構造−酸化マンガン担持マンガン化合物粉末及び前記D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末の酸化数が2より大きく3以下であることの確認は、X線回折分析で、マンガン原子と酸素原子の原子間距離を求めることにより行うことができる。図6は、図4中、X線回折チャート15を与える粉末DをX線回折分析した時に、横軸に原子間距離を、縦軸に全相関関数をプロットして得られるチャートである。マンガンと酸素の原子間距離が1.8オングストローム程度であることから、マンガン原子の周りの酸素原子の配位数が4以上6以下であることが推測される。通常、3価のマンガン化合物は、マンガン原子の周りの酸素原子の配位数は6であり、その時のマンガンと酸素の原子間距離は、2.0オングストローム程度である。従って、該粉末Dのマンガンの酸化数は2より大きく3以下であると推測される。
また、本発明に係る酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、メソポーラス多孔体構造を有している。メソポーラス多孔体構造とは、シリコン多孔体構造などの定義では、20〜500オングストロームの領域に細孔直径分布のピークトップを有する多孔体構造のことを指すが、一義的ではないので、本発明においては、50〜500オングストロームの細孔直径の領域に細孔分布のピークトップを有する多孔体構造を、メソポーラス多孔体構造とする。本発明に係る酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末が、メソポーラス多孔体構造を有していることは、窒素ガス吸着法によるBET分析により確認することができる。図10は、図4中、X線回折チャート15を与える粉末Dの窒素ガス吸着法によるBET分析チャートである。図10から、該粉末Dは、100オングストロームにピークトップが見られるピークを有し、該ピークは、40〜50オングストロームの範囲の細孔直径を有する細孔が若干見られるものの、大部分が50〜200オングストロームに細孔直径の分布を有し、該ピークトップの細孔容積が1.21cm/gであることがわかる。すなわち、該粉末Dは、100オングストローム程度の直径の細孔を多数有するメソポーラス多孔体構造である。
また、本発明に係る酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の比表面積は、好ましくは80m/g以上、特に好ましくは80〜135m/gである。該比表面積が高い程、吸着性能が高くなる。なお、該比表面積の測定は、窒素ガス吸着法によるBET法により行うことができる。
このように、本発明に係る酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、前記焼成工程により得られる前記焼成マンガン化合物を2回以上、好ましくは3回以上酸処理することにより得ることができる。該酸処理の回数は、焼成工程の原料となる2価のマンガン化合物により、あるいは使用する酸の種類、量又は濃度により定まる。
また、該粉末Dは、大気圧下100℃で乾燥を行なったため、プロトンは抜けているが、乾燥を減圧下、例えば25℃、41.3kPaの圧力下で行なうと、H型酸化マンガン微粒子凝集体粉末を得ることができる。従って、該H型酸化マンガン微粒子凝集体粉末は、該酸化マンガン担持マンガン化合物粉末を複数回酸処理し、最後の酸処理後の乾燥を、減圧下で行なうことにより、得ることができる。また、該H型酸化マンガン微粒子凝集体粉末は、該酸化マンガン微粒子凝集体粉末を更に1回酸処理し、その後の乾燥を、減圧下で行なうことによっても、得ることができる。ただし、該H型酸化マンガン微粒子凝集体粉末が、水中の金属の回収等の様に、水溶液中で使用される場合は、最後の酸処理により得られる該H型酸化マンガン微粒子凝集体粉末を、減圧下で乾燥させることなく、直ちに該水溶液中に加えて用いることもできる。
なお、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末及びH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末がH型であることの確認は、H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末の説明で述べたように、分子振動エネルギーを分析することにより行なうことができる。
また、H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末及びH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末について、それらの説明で述べた物性以外の物性の測定は、前記酸化マンガン担持マンガン化合物粉末で述べた方法により行なうことができる。
前記H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、溶液中から金属を回収又は除去する際の金属の吸着材として好適に用いることができる。
前記H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末を金属の吸着材として用いる場合、吸着対象となる金属としては、金、銀、パラジウム、カドミウムが挙げられる。また、吸着は、吸着対象となる金属を含む溶液に、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末を懸濁させ、一定時間攪拌することにより行なうことができる。なお、吸着対象となる金属は、金属イオン、金属錯体等の水中での存在形態を問わない。
そして、吸着後、ろ過、遠心分離等により、金属を吸着している該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末を分離する。分離した該粉末を、抽出剤、例えば酸水溶液、具体的には、0.1〜0.5mol/L程度の塩酸又は硝酸中に懸濁させ、攪拌することにより、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末から、吸着した金属を抽出することができる。
該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、吸着性能が高く、例えば、吸着される金属が金の場合、金濃度が0.01mg/Lと低い場合でも、金をほぼ全量吸着することができ、更には、海水等の金濃度が1ng/L程度と、極めて低い場合でも、金を回収することができる。また、酸化マンガンのナノ微粒子の凝集体なので、比表面積が非常に大きく、単位重量当りの吸着量が多い。
また、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担
持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、金の回収において、特に優れた性能を発揮する。
まず、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、複数の金属を含有する水中から金を選択的に吸着することができる。従って、例えば、金の含有量が極めて少なく且つ多数の金属が存在する水中から、金を回収することができる。
次に、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、吸着した金を希塩酸又は希硝酸と接触させることにより、良好に脱着することができる。すなわち、金の脱着に、取り扱い難い王水やシアンを用いる必要がなく、極めて簡便な方法で、金の回収をすることができる。このような脱着性の良さは、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末が、金原子をナノサイズで電気化学的に吸着するためと考えられる。図9は、図4中X線回折チャート15を与える粉末Dを酸処理し、得られるH型の粉末Dを用い、水中の金の吸着を行なった後の該粉末Dの表面の透過型電子顕微鏡写真である。また、図9から、シングルナノサイズの金が、高密度且つ均一に吸着されていることが観察される。また、全ての粉砕後の該金吸着後の粉末Dの微粉末において、図9と同様に金が吸着されていることが観察される。このことから、内部の細孔にも均一に金が吸着されていることを確認できる。従って、該金吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、金の吸着量が多く、高密度に金が吸着されている。また、金を脱着した後の該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の吸着能力は、酸処理により、回復させることができる。
また、該粉末Dに吸着している金の価数は、ゼロ価である。このことから、金が吸着している粉末Dは、ナノサイズの金属を担持した金属担持触媒として用いることができる。なお、吸着されている金属が、ゼロ価であることの確認は、XPSを用いた表面分析により行なうことができる。
また、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、該D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又は該H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末に、パラジウムを吸着させることにより、パラジウム吸着酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、パラジウム吸着D構造酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はパラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末が得られる。
該パラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、マイクロポーラス多孔体構造を有している。マイクロポーラス多孔体構造とは、シリコン多孔体構造などの定義では、20オングストローム以下の領域に細孔直径分布のピークトップを有する多孔体構造のことを指すが、一義的ではないので、本発明においては、50オングストローム以下の細孔直径の領域に細孔分布のピークトップを有する多孔体構造を、マイクロポーラス多孔体構造とする。これらの確認は、次のようにして行う。図4中X線回折チャート15を与える粉末Dを酸処理し、得られるH型の粉末Dを用い、水中のパラジウムの吸着を行なうことにより、パラジウムが吸着されている粉末D(パラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末)を得る。そして、パラジウム吸着後の粉末Dに対して、窒素ガス吸着法によるBET分析を行う。図12は、パラジウム吸着後の粉末Dの窒素ガス吸着法によるBET分析チャートである。図12では、20オングストローム以下の領域及び36オングストロームにピークトップが見られ、36オングストロームにピークトップが見られるピークは、30〜45オングストロームに細孔直径の分布を有しており、また、36オングス
トロームに見られるピークトップの細孔容積が0.57ml/gであることがわかる。すなわち、該パラジウム吸着後の粉末Dは、20オングストローム以下及び30〜45オングストロームの直径の細孔を多数有するマイクロポーラス多孔体構造である。
また、図10及び12から、該パラジウム吸着後の粉末Dが、パラジウムを吸着することにより、メソポーラス多孔体構造から、マイクロポーラス多孔体構造に変化したことがわかる。
また、該パラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の比表面積は、好ましくは110m/g以上、特に好ましくは110〜250m/gである。該比表面積が高い程、該パラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の、単位重量当りに接触する分解対象ガスの容積が増えるため、触媒効率が高くなる。なお、該比表面積の測定は、窒素ガス吸着法によるBET法により行うことができる。
該パラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末では、表面ばかりでなく内部の細孔にも、パラジウムが吸着されている。吸着されているパラジウムの粒径は、シングルナノサイズであり、価数が0価の金属である。これらのことは、次のようにして確認される。該パラジウム吸着後の粉末Dを乳鉢等で細かく粉砕し、粉砕後の微粉末を、透過型電子顕微鏡で観察する。図11は、パラジウム吸着後の粉末Dを粉砕して得られる微粉末の透過型電子顕微鏡写真である。図11から、シングルナノサイズのパラジウムが、高密度且つ均一に吸着されていることが観察される。また、全ての粉砕後の該パラジウム吸着後の粉末Dの微粉末において、図11と同様にパラジウムが吸着されていることが観察される。このことから、内部の細孔にも均一にパラジウムが吸着されていることを確認できる。従って、該パラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、パラジウムの吸着量が多く、高密度にパラジウムが吸着されている。また、吸着されているパラジウムが0価であることの確認は、XPSを用いた表面分析により行うことができる。
このことから、該パラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、パラジウム金属が高密度且つ均一に担持されている触媒を提供することができる。
また、該H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、表面のHを核として、水中からパラジウムを電気化学的に吸着するので、水中のパラジウム濃度及びpHを調節することにより、吸着されるパラジウムの粒径、吸着量及び密度を制御することができる。
該パラジウム吸着酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、該パラジウム吸着D構造酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はパラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末を、希塩酸又は希硝酸と接触させることにより、吸着されているパラジウムを良好に脱着することができる。このような脱着性の良さは、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末が、パラジウム原子をシングルナノサイズで電気化学的に吸着するためと考えられる。
また、パラジウムを脱着した後の該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末を酸処理することにより、吸着能力を回復させることができる。
通常、金属ナノ粒子は凝集してしまい、ナノサイズの微細な粒径を維持することはできないため、現在、ナノ粒子を固定維持するバインダーが求められている。従って、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、金属粒子をナノサイズで固定す
るバインダーとして有用である。
次に、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、溶液中からプロトン結合性物質を回収又は除去する際の吸着材として好適に用いることができる。該プロトン結合性物質としては、特に制限されず、例えば、亜砒酸イオン、砒酸イオン等の種々の陰イオンが挙げられる。
該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、プロトン結合性物質に対して高い吸着力を有するので、微量有害物質の除去に対して、優れた性能発揮する。
次に、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末及びH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、電子の蓄電材として好適に用いることができる。例えば、該H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末80重量%、カーボン10重量%及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)10重量%を混合した物質は、単位体積当りの電気容量が、現在スーパーキャパシター材料として研究がされている活性炭に比べ大きい。従って、該H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末、D構造−H型酸化マンガン担持マンガン化合物粉末又はH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末は、蓄電装置の小型化を可能する等、産業上の有用性が高い。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
<酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造>
(焼成)
磁性ルツボに入れた純度99.9%の炭酸マンガンの粉末(和光純薬社製、特級試薬)20gを電気炉中、240℃で4.5時間焼成した後、室温まで放冷した。
(炭酸マンガンの除去及び乾燥)
放冷後、得られた粉末をビーカーに入れた純水1Lに懸濁させ、20分間超音波を当てて凝集状態を解いた。その後、1時間静置し、上澄みの乳白色の炭酸マンガン粒子を除去した。ビーカーの底に沈殿した、黒色の沈殿物を、0.2μmメッシュのガラス繊維ろ紙GS25(アドバンテック製)を用いてろ過し、回収した。更に、ろ過物を水洗し、大気圧下80℃で一時間乾燥し、粉末状の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末A17.7gを得た。
(酸処理)
1gの酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aを0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌した。
(洗浄及び乾燥)
酸処理を行なった後、0.2μメッシュのガラス繊維ろ紙を用いて、吸引ろ過を行い、ろ過物を純水で洗浄して、余分な酸を除去した。pH試験紙で洗浄水のpHが、該純水のpH程度になるまで洗浄を行い、その後、大気圧下100℃で一時間乾燥して、粉末状の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末B0.6gを得た。
<酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの物性測定>
(1)中性子回折分析
中性子回折分析には、アルゴンヌ国立研究所製中性子回折分析装置(GPPD)を用い、分析条件は、サンプル5g、測定時間15時間で行なった。その結果をリートベルト解
析し、得たチャートを図1に示す。
図1から、酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aは、酸化マンガン(III)及び炭酸マ
ンガンで構成されていることが確認された。酸化マンガン(III)の全ピークの総面積と
炭酸マンガンの全ピークの総面積の面積比率から、酸化マンガン(III)が1〜3重量%
、炭酸マンガンが97.0〜99.0重量%であることがわかった。また、リートベルト解析により、該チャートのピークの形から、酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末A中の炭酸マンガンの単結晶の平均粒径が21.5nmであることがわかった。また、4価のマンガン酸化物の結晶の存在を示す回折ピークは全く見られなかった。
(2)X線光電子分析(XPS)による表面分析
分析には、島津製作所社製ESCA3200を用いた。その結果、641.6eV付近にマンガンの2p3/2軌道電子の結合エネルギーが見られた。この値は、酸化マンガン(III)の軌道電子の結合エネルギーの値と一致することから、表面には、3価の酸化マ
ンガンが存在していることが確認された。
(3)透過型電子顕微鏡による表面分析
分析には、PHILIPS社製CM20を用いた。その結果を図2に示す。
図2から、表面に、大きさが1〜10nmの多数のナノ微粒子が凝集していることが確認できた。
(4)X線回折分析
分析には、INEL社製CPS−120を用いた。分析は、サンプルを100℃で一時間乾燥後直ちに行った。その結果を図4中の符号12で示す。また、比較のため、焼成工程の原料の炭酸マンガン粉末についても、同様にX線回折分析を行なった。その結果を図4中の符号11で示す。
<酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Bの物性測定>
(1)透過型電子顕微鏡による表面分析
実施例1の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの場合と同様の方法で、酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Bの表面分析を行なったところ、1〜10nmの微粒子が凝集していることが確認できた。
(2)X線回折分析
酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの場合と同様の方法で、酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末BのX線回折分析を行なった。その結果を図4中の符号13で示す。
<D構造−酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造>
(焼成、炭酸マンガンの除去及び乾燥)
炭酸マンガンの粉末60gを20gづつに分け、各炭酸マンガンの粉末20gを、実施例1と同様の方法で焼成、炭酸マンガンの除去及び乾燥し、酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aを合計で53.1g得た。
(1回目の酸処理、洗浄及び乾燥)
1gの酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aに代え、53.1gの酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aとする以外は、実施例1と同様の方法で酸処理、洗浄及び乾燥を行い、粉末状の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末B31.9gを得た。
(2回目の酸処理、洗浄及び乾燥)
1gの酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aに代え、31.9gの酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Bとする以外は、実施例1と同様の方法で酸処理、洗浄及び乾燥を行い、粉末状のD構造−酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末C1.3gを得た。
<D構造−酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Cの物性測定>
(1)X線回折分析
実施例1の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの場合と同様の方法で、D構造−酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末CのX線回折分析を行なった。その結果を図4の符号14で示すが、得られたピークは、全てブロード又は微弱なピークであった。
<炭酸マンガンナノ微粒子凝集体粉末の製造>
(焼成、炭酸マンガンの除去及び乾燥並びに1回目及び2回目の酸処理、洗浄及び乾燥)
実施例2と同様の方法で、焼成、炭酸マンガンの除去及び乾燥を行い、続いて1回目の酸処理、洗浄及び乾燥を行い、更に2回目の酸処理、洗浄及び乾燥を行い、粉末状のD構造−酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末C1.3gを得た。
(3回目の酸処理、洗浄及び乾燥)
1gの酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aに代え、1.3gのD構造−酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Cとする以外は、実施例1と同様の方法で酸処理、洗浄及び乾燥を行い、粉末状の酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末D1.3gを得た。
<酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dの物性測定>
(1)中性子回折分析
実施例1の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの場合と同様の方法で、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dの中性子回折分析を行なった。その結果をリートベルト解析したところ、酸化マンガンに由来するピークのみが見られ、炭酸マンガンに由来するピークは見られなかった。このことから、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dは、酸化マンガンのみで構成されていることが確認できた。
(2)透過型電子顕微鏡による表面分析
実施例1の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの場合と同様の方法で、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dの表面分析を行なったところ、大きさが1〜10nmの微粒子が凝集していることが確認できた。
(3)X線回折分析
実施例1の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの場合と同様の方法で、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末DのX線回折分析を行なった。その結果を図4の符号15で示すが、得られたピークは、全てブロード又は微弱なピークであった。また、横軸に原子間距離を、縦軸に全相関関数をプロットしたところ、図6に示すチャートが得られた。図6より、マンガンと酸素の原子間距離が1.8オングストローム程度であることがわかった。このことにより、マンガン原子の周りの酸素原子の配位数が4以上6以下であると推測される。また、図6では、1.35オングストローム付近にピークが見られなかった。炭素原子と酸素原子の結合距離が1.35オングストロームであることから、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dは、炭酸マンガンを含まないことがわかった。
(4)窒素ガス吸着法によるBET分析
酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dに対して、窒素ガス吸着法によるBET分析を行なった。その結果、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dの比表面積は110m/gであった。また、該BET分析のチャート(細孔直径の分布)を図10に示す。図10から、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dは、100オングストロームにピークトップが見られるピークを有し、該ピークは、40〜50オングストロームの範囲の細孔直径を有する細孔が若干見られるものの、大部分が50〜200オングストロームの範囲に細孔直径の分布を有しており、該酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dがメソポーラス多孔体構造
であることがわかった。なお、分析には、島津製作所製高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2010を用いた。
<H型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造>
(焼成、炭酸マンガンの除去及び乾燥並びに1回目の酸処理、洗浄及び乾燥)
実施例2と同様の方法で、焼成、炭酸マンガンの除去及び乾燥並びに1回目の酸処理、洗浄及び乾燥を行い、酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末B31.9gを得た。
(2回目の酸処理、洗浄及び乾燥)
得た酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末B25gを0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、酸処理を行なった。酸処理後、0.2μメッシュのガラス繊維ろ紙を用いて、吸引ろ過を行い、ろ過物を純水で洗浄して、余分な酸を除去した。pH試験紙で洗浄水のpHが、該純水のpH程度になるまで洗浄を行った。その後、25℃、41.3kPaの圧力下、24時間乾燥を行い、H型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Eを得た。
<H型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Eの物性測定>
(1)分子振動エネルギーの分析
分析には、アルゴンヌ国立研究所製HRMECSを用いた。分析は、サンプルをアルミホイルケースに入れ、10Kの温度下で24時間行った。その結果を図7に示す。図7には、380〜400meV付近にブロードなピークの存在が見られた。これは、該H型酸化マンガンの結晶内の酸素と、進入した水素イオンとの結合に基づく振動エネルギーを示すものであることから、該粉末EがH型であることが確認できた。なお、420meVのピークは、該粉末Eに残留付着している水分子の酸素と、水素イオンとの結合に基づく振動エネルギーである。
<H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fの製造>
(焼成、炭酸マンガンの除去及び乾燥並びに1回目及び2回目の酸処理、洗浄及び乾燥)
実施例2と同様の方法で、焼成、炭酸マンガンの除去及び乾燥を行い、続いて1回目の酸処理、洗浄及び乾燥を行い、更に2回目の酸処理、洗浄及び乾燥を行い、D−構造酸化マンガン担持マンガン化合物粉末Cを1.3gを得た。
(3回目の酸処理、洗浄及び乾燥)
得たD−構造酸化マンガン担持マンガン化合物粉末C1.3gを0.5mol/Lの希塩酸1Lに懸濁させ、1時間攪拌し、酸処理を行なった。酸処理後、0.2μメッシュのガラス繊維ろ紙を用いて、吸引ろ過を行い、ろ過物を純水で洗浄して、余分な酸を除去した。pH試験紙で洗浄水のpHが、該純水のpH程度になるまで洗浄を行った。その後、25℃、41.3kPaの圧力下、24時間乾燥を行い、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fを得た。
<H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fの物性測定>
(1)分子振動エネルギーの分析
実施例4のH型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Eの場合と同様の方法で、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fの分子振動エネルギーの分析を行なった。その結果、400meV付近にブロードなピークが見られたことから、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末FがH型であることが確認できた。
(2)窒素ガス吸着法によるBET分析
実施例3の酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dの場合と同様に、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fに対して、窒素ガス吸着法によるBET分析を行なった。その結
果、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fは、その細孔直径分布から、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dと同様のメソポーラス多孔体構造を維持していることがわかった。
<金吸着性能の測定1>
金濃度が1000mg/Lの金標準液(和光純薬工業製)を1000倍に希釈して、金濃度が1.0mg/Lの被吸着試料を調製した。3000mLの被吸着試料に、実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F1.0gを懸濁させ、攪拌を行なった。所定時間ごとに、0.2μmメッシュのディスポーサブルメンブランフィルター(DISMIC−25、アドバンテック製)を用いてろ過、採取し、被吸着試料10mlを得た。得た被吸着試料中の金濃度を、ICP発光分析装置(ICPS−1000III、島津製作所株式会社製)を用いて測定した。その結果を表1及び図8に示す。
Figure 0005469130
型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fは、金の吸着速度が速く、懸濁後、急激に被吸着試料中の金濃度が低下した(図8)。また、2時間経過後の被吸着試料中の金濃度が0.04mg/Lであり、該濃度の被吸着試料中から、1時間で金をほぼ完全に吸着していることから、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fは、極めて金濃度の低い水中からも、有効に金を回収できることがわかった。
<1回目の金吸着試験>
(金吸着試験)
金濃度が1000mg/Lの金標準液(和光純薬工業製)を200倍に希釈して、金濃度が5.0mg/Lの被吸着試料を調製した。3000mLの被吸着試料に、実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F1.0gを懸濁させ、20時間攪拌を行なった。所定時間ごとに、0.2μmメッシュのディスポーサブルメンブランフィルターを用いてろ過、採取し、被吸着試料10mlを得た。得た被吸着試料中の金濃度を、ICP発光分析装置(ICPS−1000III、島津製作所株式会社製)を用い
て測定した。その結果を表2に示す。
<2回目の金吸着試験>
(金吸着試験後のH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fの再生)
1回目の金吸着試験後の被吸着試料の全量をろ過し、金吸着試験後のH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fを採取した。該金吸着後のH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fを100℃で1時間乾燥後、実施例5の3回目の酸処理、洗浄及び乾燥と同様の方法で、酸処理、洗浄及び乾燥を行い、再生H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F
を得た。
(金吸着試験)
次に、実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fに代えて、再生H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fとする以外は、1回目の金吸着試験と同様の方法で、金吸着試験を行った。その結果を表2に示す。
<3回目の金吸着試験>
1回目の金吸着試験の被吸着試料の全量をろ過することに代え、2回目の金吸着試験後の被吸着試料の全量をろ過すること以外は、2回目の金吸着試験と同様の方法で金吸着試験後のH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fの再生及び金吸着試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005469130
型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fは、金吸着試験後再生して、繰り返し使用しても、高い吸着性能を維持していることがわかった。
<金吸着性能の測定2>
表3記載の金濃度の被吸着試料各3000mLを調製し、それぞれに実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F1.0gを懸濁させ、3時間攪拌し、吸着を行った。H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fをろ別後、被吸着試料中の金濃度を、ICP発光分析装置を用いて測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0005469130
これらの結果、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fの単位重量当りの金の吸着量は、最大で、72.90mg/gであった。
<金吸着後の酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の表面分析>
表3中、吸着試験前の濃度が50mg/Lの被吸着試料を用いた場合において、吸着試験後ろ過を行い、金を吸着した酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末(以下、金吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末G記載する。)を得た。透過型電子顕微鏡、X線光電子分析装置により、該金吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Gの表面分析を行なった。
(1)透過型電子顕微鏡による表面分析
実施例1の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの場合と同様の方法で、表面分析を行なった結果を、図9に示す。
(2)X線光電子分析(XPS)による表面分析
実施例1の酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aと同様の方法で、表面分析を行なった。その結果、表面に吸着されている金の4f7/2の結合エネルギーは、84.0eVであった。このことから、吸着した金はゼロ価であり、金属状態に還元されていることがわかった。
金濃度が40mg/L、白金濃度が40mg/Lの金及び白金の混合水溶液3000mLを調製し、実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F1.0gを懸濁させ、23時間攪拌した。攪拌後の混合水溶液を20mL採取し、金吸着後のH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fをろ別した。ICP発光分析装置で、混合水溶液を分析したところ、金濃度が0.1mg/L、白金濃度が40mg/Lであり、金が選択的に吸着されていることが確認された。
大分県別府湾佐賀関海岸にて採取した海水に、1000mg/L原子吸光分析用試薬金標準液(和光純薬工業製)を添加し、人工的に金濃度1mg/Lの海水1Lを調製した。海水の初期pHは8.01、水温は17.4℃であり、1mLの金標準液の添加によってpHは5.95に低下したため、1mol/Lの水酸化ナトリウムを添加して、pHを8.00に調節した。次に、実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F0.5gを懸濁させ、攪拌した。攪拌開始後直ちに、海水のpHはpH6.97に低下した。このため1mol/L水酸化ナトリウムを添加し、pH8に調節した。その後、pHが7より低くなるごとに、pHの調節を行い、pH8を維持し、22時間40分攪拌を行った。攪拌終了後、海水のサンプル全量をろ過し、ろ別したH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fを、100℃で1時間乾燥した。次に、乾燥したH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fを円錐型のガラスろ紙(0.2マイクロメッシュ)内に集め、0.5mol/Lの塩酸10mLを滴下して、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fと塩酸を接触させ、抽出液1を得た。更に、0.5mol/Lの塩酸10mLを滴下し、抽出液2を得た。
抽出液1及び抽出液2の金濃度をICP発光分析装置で測定したところ、抽出液1中の金濃度は72.62mg/L、抽出液2中の金濃度は25.98mg/Lであった。これらの値から、金の回収量を求めると、
72.62mg/L×0.01L+25.98mg/L×0.01L=0.986mgであった。吸着前の海水中の金の量は、
1mg/L×1L=1mg
であり、金の回収率は、98.6%であった。ろ過損失や計測誤差を考慮すると、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fは、実海水中から金を非常に高い効率で吸着及び回収できることがわかった。
人工的に金濃度1mg/Lの海水1Lを調製することに代えて、人工的に金濃度0.1mg/Lの海水1Lを調製すること、0.5mol/Lの塩酸10mLを滴下する抽出操作を2回行うことに代えて、0.5mol/Lの塩酸10mLを滴下する抽出操作を6回行うこと、及び金の抽出時に、減圧用フィルターホルダーKG−25(アドバンテック製)を用い、ロータリー減圧ポンプで吸引すること以外は、実施例10と同様の方法で行った。得られた抽出液の量及び金濃度は、下記の通りであった。
抽出液1;抽出液の量4ml、金濃度3.62mg/L
抽出液2;抽出液の量8ml、金濃度4.40mg/L
抽出液3;抽出液の量8ml、金濃度3.09mg/L
抽出液4;抽出液の量8ml、金濃度1.53mg/L
抽出液5;抽出液の量8ml、金濃度0.991mg/L
抽出液6;抽出液の量8ml、金濃度0.652mg/L
上記結果より、金の回収量を求めたところ、金の回収量は、0.09978mgであった。吸着前の金の量が0.1mg(0.1mg/L × 1L)なので、金の回収率は、99.78%であった。
実施例10で用いた海水50L(pHは7.83、水温は19.8℃)に、実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F10gを懸濁させて、7日間攪拌した。攪拌終了後、海水のサンプル全量を減圧用フィルターフォルダーKG−47(アドバンテック製)と減圧ろ過器VT−2000(アドバンテック製)を用いてろ過し、ろ別したH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fを、100℃で3時間乾燥した。次に、乾燥したH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fを、減圧用フィルターフォルダーKG−25内に設置したろ紙GS25(アドバンテック製)上に移し、0.5mol/Lの超純度塩酸10mLを滴下して、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fと塩酸を接触させ、抽出液1を得た。更に、0.5mol/Lの超純度塩酸10mLを滴下するという抽出操作を3回行い、抽出液2〜4を得た。得られた抽出液の量及び金濃度は、下記の通りであった。
抽出液1;抽出液の量6.4287ml、金濃度1.3μg/L
抽出液2;抽出液の量9.4033ml、金濃度0.8μg/L
抽出液3;抽出液の量9.9557ml、金濃度0.2μg/L
抽出液4;抽出液の量9.5561ml、金濃度0.1μg/L
上記結果より、金の回収量を求めたところ、金の回収量は、18.6ngであった。従って、実海水50Lから抽出された金の総量は、18.6ngとなる。よって、該実海水の金濃度は0.37ng/Lであったと予想される。
表4記載の被吸着試料3000mLを調製し、それぞれに実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F1.0gを懸濁させ、所定時間攪拌した。攪拌中、1mol/Lの水酸化ナトリウムを添加しながら、pHを6に調節した。攪拌後、0.2マイクロメッシュのディスポーサブルメンブランフィルターを用いてろ過、採取して、被吸着試料を20mL得た。得た被吸着試料の各金属濃度をICP発光分析装置で分析し、その結果を表4に示す。
Figure 0005469130
型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fは、種々の重金属の吸着材として機能することが確認できた。また、表4中、パラジウムの濃度が40mg/Lの被吸着試料を用いた場合において、吸着試験後ろ過を行い、パラジウムを吸着した酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末(以下、パラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末と記載する。)を得た。得たパラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末を電気炉中、800℃で4時間30分焼成した。焼成前及び焼成後のパラジウム吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の表面観察を、透過型電子顕微鏡を用いて、酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aと同様の方法で行った。その結果、焼成により、吸着されているパラジウムが、酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の表面上で、30〜40nm程度の大きさに成長することを確認した。
実施例5で製造されたH+型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F5gを、水酸化ナト
リウムペレットの溶解によってpHを6.5に調整したパラジウム標準液10000ppm水溶液200mLに懸濁させた。pHの低下を伴うため、水酸化ナトリウムペレットおよび塩酸の投与によって、パラジウム水溶液のpHを6.5以下に保ち、パラジウムが水酸化パラジウムとして析出沈殿することを防ぎつつ5日間保持した。その後、0.6マイクロメッシュのガラスろ紙を用いて、懸濁物を該パラジウム水溶液から、ろ過回収して、更にpH8のアルカリ性純水を通水して濯ぎ、大気圧下100℃で20時間乾燥し、パラジウムを吸着した酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末を得た。本物質の表面を透過型電子顕微鏡により観察し、シングルナノスケールのパラジウム微粒子が均一に析出している様子を確認した。なお、透過型電子顕微鏡用のサンプル作成に当たっては、メノウ乳鉢中でアルコールを加えて粉砕し、次いで、アルコールに懸濁した粉末を、試験管に移して超音波を当てて分散させて、該粉末の分散微粒子溶液を作成し、該分散微粒子溶液を透過型電子顕微鏡用のグリッドに1滴たらして乾燥するという操作で、観察用サンプルを作成した。観察では、全ての酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の表面に、パラジウムが観察されたことから、ポーラス構造を有するH+型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末多孔体の表
面だけではなく、該多孔体内部にもパラジウムが吸着されていることがわかった。このパラジウムを吸着した酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の透過型電子顕微鏡写真を、図11に示す。
(1)窒素ガス吸着法によるBET分析
実施例3の酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Dの場合と同様に、上記のようにして得られたパラジウムを吸着した酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末に対して、窒素ガス吸着法によるBET分析を行なった結果、該パラジウムを吸着した酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の比表面積は154.6m/gであった。また、該BET分析のチャート(細孔直径の分布)を図12に示す。図12から、該パラジウムを吸着した酸化マンガンナノ
微粒子凝集体粉末が、20オングストローム以下及び30〜45オングストロームに細孔直径の分布を有するマイクロポーラス多孔体構造であることがわかった。
純水960mLに40mgの砒素を含有する亜ヒ酸水溶液(HAsO)(原子吸光分析用1000mg/L砒素標準液、和光純薬工業製)を添加して40mg/Lの砒素含有亜ヒ酸水溶液1000mLを調製した。そして、亜ヒ酸水溶液に水酸化ナトリウムを加えpHを5に調節した。このとき水温は、25.3℃であった。次に、実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末F0.5gを懸濁させ、200分攪拌を行なった。攪拌中、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを5に維持した。攪拌後、0.2マイクロメッシュのディスポーサブルメンブランフィルターを用いて、被吸着試料を20mL採取し、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fをろ別した。ろ過後の被吸着試料の砒素濃度をICP発光分析装置で分析したところ、34.9mg/Lであった。この時、単位重量当りの吸着量は、10.2mg/gであった。このことから、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fは、亜ヒ酸のようなプロトン結合性物質の吸着に対しても吸着性能を発揮することが確認できた。
実施例5と同様の方法で得たH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fを80重量%、カーボンを10重量%、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を10重量%混合し、蓄電材Hを得た。次に、1Mの硫酸ナトリウムを染み込ませた厚さ1mmのガラスろ紙(セパレーター)を間に挿入して形成させた、厚さ0.5mmの2層(一層の重量は、7mg)の該蓄電材Hを、1.2cmの金電極で挟み込み、電気容量及び充放電特性を測定した。その結果を、図13及び図14に示す。図13及び図14から、電気容量は、223F/cm(62F/g)であった。
現在スーパーキャパシター材料として研究されている活性炭の電気容量は、一般的に140F/cm(200F/g)なので、活性炭等に比べ、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fは、単位体積当たりの電気容量が大きいことがわかった。また、充放電特性に関しても、充電と放電が対称形となり、非常に良好な特性が得られた。これらの結果は、H型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fが、スーパーキャパシター材料への応用が可能であることを示すものである。
本発明によれば、溶液からの金などの金属の回収、プロトン結合性物質の吸着又は電子の充電及び放電を効果的に行うことができる新規なナノ微粒子凝集体粉末、該ナノ微粒子凝集体が担持された化合物粉末及びそれらの前駆体、並びにそれらを低廉な原料から簡単に製造する方法を提供することができる。また、該ナノ微粒子凝集体粉末及びナノ微粒子凝集体が担持されている化合物粉末は、ナノサイズの金等の金属を担持している触媒の製造、又はスーパーキャパシター材料への応用が可能となる。
酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの中性子回折分析結果をリートベルト解析したチャートである。 酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Aの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明に係る酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の概念図である。 X線回折チャートである。 ブロードなピークの定義を説明するための図である。 酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末DのX線回折分析のチャートである。 型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末Eの分子振動エネルギーの分析結果である。 型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Fによる金の吸着試験結果である。 金吸着酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末Gの透過型電子顕微鏡写真である。 図4中、X線回折チャート15を与える粉末Dの窒素ガス吸着法によるBET分析チャートである。 パラジウム吸着後の粉末Dを粉砕して得られる微粉末の透過型電子顕微鏡写真である。 パラジウム吸着後の粉末Dの窒素ガス吸着法によるBET分析チャートである。 蓄電材Hの蓄電容量ダイアグラムである。 蓄電材Hの充放電特性の測定結果である。
1 酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末
2 炭酸マンガン
3 酸化マンガンナノ微粒子
11 炭酸マンガンのX線回折チャート
12 酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末AのX線回折チャート
13 酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末BのX線回折チャート
14 D構造−酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末CのX線回折チャート
15 酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末DのX線回折チャート
20 ピーク
21 ベースライン
22a、22b ピークとベースラインの交点
23 ピーク幅

Claims (8)

  1. 炭酸マンガンの粉末を210〜280℃で焼成し、次いで、酸で酸処理し、次いで、水洗することを特徴とするH型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造方法。
  2. 前記炭酸マンガンの粉末の焼成を220〜250℃で行うことを特徴とする請求項1記載のH型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造方法。
  3. 前記炭酸マンガンの粉末の焼成を230〜240℃で行うことを特徴とする請求項1記載のH型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造方法。
  4. 前記酸が塩酸であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のH型酸化マンガン担持炭酸マンガン粉末の製造方法。
  5. 炭酸マンガンの粉末を210〜280℃で焼成し、次いで、3回以上酸で酸処理し、次いで、水洗することを特徴とするH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の製造方法。
  6. 前記炭酸マンガンの粉末の焼成を220〜250℃で行うことを特徴とする請求項5記載のH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の製造方法。
  7. 前記炭酸マンガンの粉末の焼成を230〜240℃で行うことを特徴とする請求項5記載のH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の製造方法。
  8. 前記酸が塩酸であることを特徴とする請求項5〜7いずれか1項記載のH型酸化マンガンナノ微粒子凝集体粉末の製造方法。
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