JP5465656B2 - 調節物質を同定するための方法 - Google Patents

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Description

スクラロースに関する苦い後味の調節物質を同定するための方法が提供される。
スクラロースは、苦いオフノート(off-note)/後味をもたらす甘味料であり、これにより食品におけるスクラロースの使用が限定される。したがって、この苦い後味を調節し、および特に好ましくは阻害または覆い隠すことができる化合物または成分を同定する方法に関心が持たれる。
苦味は、味覚受容体を介して知覚され、25種の機能的な苦味受容体のファミリー(TAS2RまたはT2R)が知られている。これらの受容体のいずれも、スクラロースにより活性化されることは、これまでに示されていない。
出願人は、これらの受容体のうち4種がスクラロースにより活性化されることを見出した。
特に、出願人は、スクラロースが、味覚受容体2型のメンバー44(TAS2R44)、メンバー1(TAS2R1)、メンバー10(TAS2R10)およびメンバー46(TAS2R46)の特異的アゴニストであることを同定した。これらの4種の受容体は、本明細書において以下「スクラロースにより活性化される苦味受容体(sucralose activated bitter taste receptor)」または「SABTR」として言及される。
この知見により、同定されたSABTRおよびこれらのアゴニストであるスクラロースを用いて、スクラロースに対するSABTRの応答を調節する成分、例えばスクラロース依存性SABTR活性化のアンタゴニスト(遮断剤、阻害剤またはマスキング剤)を同定する方法を提供することが可能となる。したがって、該方法により、(E)−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エニル)ブト−2−エン酸について実証されたように、スクラロースに対する苦味マスキング剤を含む調節物質を同定することを可能にする。(E)−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エニル)ブト−2−エン酸は、スクラロースに対するSABTRの応答を阻害すること、およびヒト官能評価においてスクラロースの苦い後味を著しく低減することが示された。
要旨
以下のものが提供される:
(1)スクラロースの味覚を調節する薬剤を同定するための方法であって:
(i)スクラロースにより活性化されることが可能なTAS2R苦味受容体を発現する細胞を、少なくとも1種の薬剤の存在下においてスクラロースと接触させること;および
(ii)前記少なくとも1種の薬剤が、前記TAS2R苦味受容体のスクラロースへの結合またはそれに対する機能的応答に影響を及ぼすか否かを決定すること、
を含み、ただし、前記細胞はそれらの天然の環境において操作されていない細胞ではない、前記方法。
(2)本明細書に記載の方法であって、(1)に記載のものを含み、ここで、TAS2R苦味受容体は、1または2以上の以下から選択される配列を含む:
配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるポリペプチドに対して実質的に相同であり、少なくとも90%の配列同一性を有する、TAS2R苦味受容体;
配列番号1、配列番号3、および配列番号5、配列番号7からなる群より選択されるヌクレオチド配列に対して、配列同一性により決定される場合に実質的に相同である核酸、
配列番号1、配列番号3、および配列番号5、配列番号7からなる群より選択されるヌクレオチド配列に対して、ハイブリダイゼーションにより決定される場合に実質的に相同である核酸、
からなる群より選択されるヌクレオチド配列によりコードされるTAS2R苦味受容体、
ここで、前記配列同一性により決定される場合に実質的に相同である核酸は、少なくとも90%の配列同一性を有し;
ここで、前記ハイブリダイゼーションにより決定される場合に実質的に相同である核酸は、42℃の温度で、50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDSからなる溶液中でのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、ならびに65℃で0.2×SSCおよび0.1%SDSからなる溶液中での洗浄で、ハイブリダイズし;
ここで、前記核酸は、任意に、対応するタンパク質において、その終末またはその付近に、C末端を形成するように配列番号12(HSVタグ)を含み、および任意に、その終末またはその付近にN末端を形成するように、任意に、ラットソマトスタチン(RSS)およびロドプシンから選択され、任意に、配列番号11(RSSタグ)から選択される膜輸送タグを含み、
およびここで、TAS2R苦味受容体ポリペプチド配列は、任意に、その終末またはその付近にC末端を形成するように配列番号12(HSVタグ)を含み、および任意に、その終末またはその付近にN末端を形成するように、任意に、ラットソマトスタチン(RSS)およびロドプシンから選択され、任意に、配列番号11(RSSタグ)から選択される膜輸送タグを含む。
(3)本明細書に記載の、(1)および(2)に記載のものを含む方法であって、TAS2R苦味受容体が、スクラロースにより活性化されることができる保存的機能性バリアントを含む、前記方法。
(4)本明細書に記載の、(1)、(2)または(3)に記載のものを含む方法であって、細胞がまた、Gタンパク質、任意に、Gaq−ガストデューシン(Gaq-Gustducin)と実質的に相同な、またはキメラGアルファ16−ガストデューシン44と実質的に相同なキメラGタンパク質を発現する、前記方法。
(5)本明細書に記載の、(1)〜(4)に記載のものを含む方法であって、工程(ii)が、細胞内メッセンジャーにより引き起こされる変化を測定することを含む、前記方法。
(6)本明細書に記載の、(1)〜(5)に記載のものを含む方法であって、IP3およびカルシウム2+から選択される細胞内メッセンジャーの変化を測定することにより機能的応答を決定する、前記方法。
(7)本明細書に記載の、(1)〜(6)に記載のものを含む方法であって、細胞が、細菌細胞、真核細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、両生類細胞、虫(worm)細胞およびこれらの組合せからなる群より選択される、前記方法。
(8)本明細書に記載の、(7)に記載のものを含む方法であって、細胞が哺乳動物細胞を含む、前記方法。
(9)本明細書に記載の、(8)に記載のものを含む方法であって、該方法において、細胞が、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、HEK-293細胞およびこれらの組合せからなる群より選択される哺乳動物細胞を含む、前記方法。
(10)本明細書に記載の、(1)〜(9)に記載のものを含む方法であって、工程(i)が、TAS2R苦味受容体を(任意に塩化カルシウムの形態の)カルシウムの存在下において試験剤と接触させることをさらに含む、前記方法。
(11)以下を含む、スクラロースの味を調節する試験剤を同定するための組合せ使用のための、キット:
(i)(1)〜(3)において定義されるものを含む、本明細書において定義されるTAS2R苦味受容体を発現する細胞、および
(ii)スクラロース。
(12)(11)に記載のものを含む、本明細書に記載のキットの使用方法であって、
(i)(1)〜(3)において定義されるものを含む、本明細書において定義されるTAS2R苦味受容体を発現する組み換え細胞を増殖させること、
(ii)試験剤を、好適な濃度のスクラロースの存在下において添加すること、および
(iii)TAS2R苦味受容体へのスクラロースの結合に応答して変化するパラメーター、または細胞の機能的応答を、前記試験剤の存在下または不在下における前記パラメーターまたは機能的応答を比較することにより決定して、スクラロースの味覚を調節する試験剤を同定すること、
を含む、前記方法。
(13)(1)〜(3)において定義されるものを含む、本明細書において定義されるTAS2R苦味受容体を調節する薬剤を同定するための方法であって、以下:
(i)TAS2R苦味受容体に対するスクラロースの結合に応答して変化するパラメーターまたは機能的応答を測定すること、および
(ii)試験剤に応答しての前記パラメーターの変化を、陰性対照と比較して決定し、それによりスクラロースの味覚の調節物質を同定すること、
を含む、前記方法。
(14)(13)において定義されるものを含む、本明細書に記載の方法であって、工程(i)が、蛍光分光法、NMR(核磁気共鳴)分光法、吸光度の1または2以上の測定、屈折率、流体力学法、クロマトグラフィー、可溶性の測定、生化学的方法からなる群より選択される方法により行われ、ここで該方法は、TAS2R苦味受容体の特性を、溶液、二層膜、固相に結合した状態、脂質単層中にある状態、膜上に結合した状態、小胞中にある状態からなる群より選択される好適な環境において測定する、前記方法。
詳細な説明
本明細書において提供される方法は、SABTRに対するスクラロースの効果を増大または低下させる試験剤(調節物質)を同定することを可能にする。該方法は、インビボであってもインビトロであってもよい。スクラロース味覚調節物質(例としてスクラロース苦味遮断剤が挙げられるがこれに限定されない)としての試験剤の特性を決定するために、SABTRを任意にGタンパク質と共に発現する細胞を、スクラロースと組み合わせて該試験剤と接触させる。
SABTRに対する試験剤の効果は、SABTR結合のあらゆる好適なパラメーター、または活性化されたSABTRの機能的応答を試験することにより測定することができる。TAS2R受容体活性を検出するあらゆる好適なアッセイを用いることができる。
受容体活性化は、典型的には、その後の細胞内のイベント(例えば、セカンドメッセンジャー(例えば細胞内貯蔵カルシウムイオンを放出させるIP3)の増加)を開始させる。一部のGタンパク質共役型受容体の活性化は、ホスホリパーゼC媒介性のホスファチジルイノシトールの加水分解を介してイノシトール三リン酸(IP3)の形成を刺激する。IP3は、次いで、細胞内貯蔵カルシウムイオンの放出を刺激する。このように、細胞質内カルシウムイオンレベルの変化、またはIP3などのセカンドメッセンジャーレベルの変化を、Gタンパク質共役型受容体活性を決定するために用いることができる。
受容体および/またはGタンパク質に対する薬剤の機能的効果は、当該分野において公知の技術に従って、あらゆる好適な機能アッセイ、例えば、細胞内IPおよびCa2+などの伝達経路のパラメーターの変化を測定するアッセイにより、またはGTPγSによる標識などの他のGタンパク質特異的アッセイにより決定することができる。あるいは、結合アッセイを用いてSABTRへのスクラロースの結合に対する効果を決定してもよい。同定された薬剤は次いで、本明細書において限定することなく以下に記載される当該分野において公知の技術に従って、スクラロース調節物質としてのその活性についてさらに試験することができる。
調節物質を同定するために用いることができる機能的応答は、SABTR活性により影響を受けるあらゆる生理学的変化を含む。多様なかかる変化が、異なる機能アッセイにおいて決定される。
かかる機能アッセイは、当該分野において周知であり、例えば、限定することなく、組み換え細胞または動物から単離された未処理の細胞もしくは組織を用いるアッセイであり、二次メッセンジャー(例えば、細胞内カルシウム(Ca2+)、cAMP、cGMP、イノシトールリン酸(IP3)、ジアシルグリセロール/DAG、アラキドン酸、MAPキナーゼもしくはチロシンキナーゼ)の濃度、活性または変化の測定、イオン流量、リン酸化レベル、転写レベル、神経伝達物質レベルに基づくアッセイ、および、GTP結合、GTPase、アデニル酸シクラーゼ、リン脂質分解、ジアシルグリセロール、イノシトール三リン酸、アラキドン酸放出、PKC、キナーゼおよび転写レポーターに基づくアッセイである。いくつかの好適なアッセイは、例えば、WO 01/18050において記載される。多様な機能アッセイを本明細書において以下に例示する。例3は、カルシウムを検出する蛍光アッセイを記載する。
受容体活性化は、典型的には、その後の細胞内のイベント、例えば、セカンドメッセンジャー(例えば、細胞内貯蔵カルシウムイオンを放出させるIP)の増加を開始させる。一部のGタンパク質共役型受容体の活性化は、ホスホリパーゼCによって媒介されるホスファチジルイノシトールの加水分解を介してイノシトール三リン酸(IP)の形成を刺激する。IPは、次いで、細胞内貯蔵カルシウムの放出を刺激する。このように、細胞質内カルシウムイオンレベルの変化、またはIPなどのセカンドメッセンジャーレベルの変化を、Gタンパク質共役型受容体活性を決定するために用いることができる。全ての機能アッセイを、例えば、受容体をその表面上に発現する細胞を含むサンプルを用いて行っても、単離された細胞膜画分上で行ってもよい。有用な細胞は、本明細書において以下により詳細に記載する。また、例えば、トランスジェニック動物由来の組織を用いてもよい。
調節物質(これは、アゴニスト自体ではなく、例えば、アンタゴニスト、阻害剤、または増強剤である)を同定するために、いずれもスクラロース(アゴニスト)を含む、試験剤を含むサンプルと試験剤を含まないサンプルとを比較する。
例えば、対照(スクラロースを含むが調節物質を含まないもの)を、100の相対的受容体活性値に指定する。対照に対して相対的な活性の低下は、阻害剤またはアンタゴニストを同定し、一方、増大は増強剤を同定する。試験剤を含むサンプルにおける、試験剤を含まないサンプルと比較しての、または、試験剤を含むサンプルにおける、試験剤を含むが細胞がSABTRを発現しない(偽(mock)トランスフェクト細胞)対照サンプルと比較しての、例えば10%またはそれ以上の測定される活性の増大または低下(またはあらゆる実質的に有意な相違)を、有意とみなすことができる。
アンタゴニストを同定するために、試験剤が存在する場合または不在しない場合の、アゴニストであるスクラロースの存在下におけるSABTR活性を比較する。アンタゴニストは、例えば10%の、アゴニストにより刺激される受容体活性の低下を示す。
本明細書に記載のアゴニストの結合に対する機能的応答により引き起こされるパラメーターの変化を測定する機能アッセイに加えて、SABTRへのスクラロースの結合に対する効果を測定する結合アッセイにより、アゴニストの結合自体の変化を決定することができる。結合アッセイは当該分野において公知であり、溶液中で、二層膜において、任意に固相に結合した状態で、脂質単層において、または小胞中で、試験することができる。SABTRポリペプチドに対するスクラロースの結合における変化は、分光学的特徴(例えば、蛍光、吸光度または屈折率)を含むパラメーターを測定すること、流体力学法(例えば形状を用いて)およびクロマトグラフィー、SABTRポリペプチドの可溶性特性を測定することによって決定することができるが、これらに限定されない。一態様において、結合アッセイは、生化学的であり、組み換えSABTRポリペプチドを発現する細胞/組織からの膜抽出物を用いる。結合アッセイは、例えば、T1RsについてAdler et al.によってUS20050032158の段落[0169]〜[0198]に記載されるように行ってもよい。
限定することなく、アッセイにおいてSABTR受容体活性を測定する好適な検出方法の多様な例を本明細書において以下に記載する。
アッセイにおいて用いられる細胞:
全ての機能アッセイは、その表面に受容体を発現する細胞を含むサンプルにより、または単離された細胞膜分画において行うことができる。有用な細胞は、上述してある。個別の細胞または細胞膜を含むサンプルの代わりに、トランスジェニック動物由来の組織を用いてもよい。
SABTRを天然に発現する単離された細胞または組織を、本明細書に記載の方法において用いることができる。あるいは、安定性または一過性の発現系を用いてSABTRを発現させてもよい。安定した細胞株の作製は周知であり、一例を、本明細書の例2に記載する。あるいは、SABTRを一過性に発現する細胞、例えばSABTRを一過性に発現するHEK293T/Gアルファ16−ガストデューシン44細胞を用いることができる。
好適な真核細胞として、例えば、哺乳動物細胞、酵母細胞または昆虫細胞(Sf9を含む)、両生類細胞(メラノフォア細胞を含む)、または線虫類(Caenorhabditis elegansを含む)の細胞を含む虫細胞が挙げられるがこれらに限定されない。好適な哺乳動物細胞として、例えば、COS細胞(Cos-1およびCos-7を含む)、CHO細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293 T-RexTM細胞、または他のトランスフェクト可能な真核細胞株が挙げられるがこれらに限定されない。
好適な細菌細胞としてE. coliが挙げられるがこれに限定されない。
当該分野において周知のとおり、細胞を、SABTRおよびGタンパク質(これはSABTRをホスホリパーゼCシグナル伝達経路にリンクする)により、一過性にまたは安定性にトランスフェクトすることができる。味覚GPCRへのカップリングの増強をもたらすキメラGタンパク質であるGアルファ16−ガストデューシン44(G.sub.alpha.16 gust(ducin)44、G.sub.alpha.16gust(ducin)44、Gα16gust(ducin)44、Ga16gust(ducin)44、Gα16-gustducin 44、または本明細書において以下において用いられるように「G16gust44」としてもまた公知である)を用いる優れた異種性の発現系は、WO 2004/055048において詳細に説明される。あるいは、WO 2004/055048に記載のGaq−ガストデューシンをベースとする他のキメラGタンパク質、または他のGタンパク質、例えばG16もしくはG15を用いてもよい。
SABTRは、受容体をシグナル伝達経路、例えばホスホリパーゼCシグナル伝達経路、または例えば以下:アデニル酸シクラーゼ、グアニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼC、IP3、GTPase/GTP結合、アラキドン酸、cAMP/cGMP、DAG、プロテインキナーゼc(PKC)、MAPキナーゼ、チロシンキナーゼまたはERKキナーゼを含む、シグナル伝達経路にリンクするGタンパク質と共に細胞において発現させることができる。
あるいは、本明細書において以下により詳細に記載するように、あらゆる好適なレポーター遺伝子を、SABTR活性化応答性プロモーターと結合させ、SABTR活性を決定するために用いてもよい。
上述の細胞において用いられるベクター構築物:
あらゆる好適な発現ベクター、例えば、発現カセットを有するプラスミドベクターを用いることができる。例えば、pcDNA3.1ZeoまたはpcDNA5/FRT(Invitrogen、Carlsbad、CA、US)。
一過性発現のために、あらゆる好適なベクターを用いることができ、例えば、pcDNA5/FRTは有用な結果をもたらす。
SABTR構築物は、いわゆるタグを含むことができる。タグとして、膜輸送タグ、および免疫検出を非限定的に含むSABTRの検出のために用いられるタグが挙げられるが、これらに限定されない。
「膜輸送タグ」とは、タンパク質のN末端部位を形成するヌクレオチドまたはペプチドシグナル配列であって、タンパク質を膜へ輸送させるものを意味する。これは、形質転換細胞において、トランスフェクトされたヌクレオチド配列から翻訳された導入された膜タンパク質(TAS2R苦味受容体)が、正しく膜にターゲティングされることを確実にする。あらゆる公知の膜輸送タグ、例えば、限定することなく、ソマトスタチン由来の膜輸送タグ、例えば、限定することなく、ラットソマトスタチン(RSS、配列番号11、45アミノ酸のペプチドを形成するもの)、ロドプシンタグ/フラグメント、例えば、限定することなく、ウシロドプシン、例えば、限定することなく、ロドプシンまたはウシロドプシンの39個のN末端アミノ酸(例えばKrautwurst et al. 1998, Cell 95(7):917-26中のものを参照)、または別の膜タンパク質由来の関連するフラグメント、例えば、限定することなく、膜タンパク質の約7個〜約100個のN末端アミノ酸を用いることができる。
HSVタグは、免疫検出のために用いることができ、またあるいは、これを別の免疫検出タグで置き換えてもよく、または免疫検出を行わない場合は省略してもよい。免疫検出のための代替的なタグは、例えば、アミノ酸配列[(M)DYKDDDDK)]を有するFLAG(登録商標)タグ(Sigma)、HAタグ[YPYDVPDYA]、c-MYCタグ[EQKLISEEDL]、HISタグ[HHHHHH]、HSVタグ[QPELAPEDPED]、VSV-Gタグ[YTDIEMNRLGK]、V5タグ[GKPIPNPLLGLDST]その他である。
かかる細胞においてGPCRおよび/またはGタンパク質を発現するためのベクター構築物は、ポリメラーゼ連鎖反応を用いるそれ自体公知の様式において作製することができる。配列の確認の後、遺伝子の正確な発現を可能にするために、cDNAフラグメントを好適なベクター、例えば哺乳動物細胞のためのpcDNA 3.1哺乳動物発現ベクター中にサブクローニングし、対応する宿主細胞中に一過性にトランスフェクトしてもよい。
トランスフェクション後の期間、例えば48時間の後、細胞溶解物を調製し、タンパク質の正確な発現を確認するためにウェスタンブロット分析により分析してもよい。正確なタンパク質発現を確認したら、当該分野において周知の技術に従って、好適な細胞、例えばHEK293T細胞およびHEK T-Rex(登録商標)を含む哺乳動物細胞をトランスフェクトして、タンパク質を安定して発現する細胞を作製することができる。
あるいは、多様な非哺乳動物発現ベクター/宿主系を用いて、SABTRGタンパク質共役型受容体(GPCR)をコードする配列を含有させ、これを発現させてもよい。これらは、例えば組み換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えばバキュウロウイルス)または細菌発現ベクター(例えばpBR322プラスミド)に感染させた昆虫細胞系を含む。
上述の系と共に用いることができる特異的ベクターの例は、「G-protein coupled receptors(Signal Transduction Series)」;Tatsuya HagaおよびGabriel Berstein編、第1版(CRC Press−Boca Raton FL;1999年9月)に記載される。
細菌系において、多数のクローニングベクターおよび発現ベクターを、GPCRをコードするポリヌクレオチド配列について意図される用途に依存して選択することができる。例えば、GPCRをコードするポリヌクレオチド配列の慣用的なクローニング、サブクローニングおよび増幅は、pBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla Calif.)またはpSPORT1プラスミド(Life Technologies)などの多機能なE. coliベクターを用いて達成することができる。GPCRをコードする配列のベクターのマルチクローニング部位へのライゲーションは、lacZ遺伝子を分断し、これによって組み換え分子を含む形質転換細菌の同定のための呈色スクリーニングの手順が可能になる。さらに、これらのベクターは、インビボでの転写、ジデオキシシークエンシング(dideoxy sequencing)、ヘルパーファージを用いた一本鎖レスキュー(single strand rescue)、およびクローニングされた配列におけるネスティド欠失(nested deletion)の作製に有用であり得る。例えば抗体の作製のために、大量のGPCRが必要である場合、GPCRの高レベル発現を誘導するベクターを用いることができる。例えば、強力な、誘導性のSP6またはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを用いてもよい。
酵母発現系を、GPCRの産生のために用いてもよい。アルファ因子、アルコールオキシダーゼおよびPGHプロモーターなどの構成的または誘導性プロモーターを含む多数のベクターを、酵母Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisにおいて用いることができる。さらに、かかるベクターは、発現されたタンパク質の分泌または細胞内保持のいずれかを誘導し、外来性配列の宿主ゲノムへの安定した増幅のための組込み(integration)を可能にする。
昆虫細胞株における異種タンパク質の発現のために、例えば、Lepidopteranバキュウロウイルスの類縁体であるAutographa californica核多角体ウイルス(multicapsid nucleo-virus)(AcMNPV)を用いることができる。この系において、外来性遺伝子の発現は、非常に強力な後期ウイルスプロモーターであるポリヘドリン(polyhedrin)またはp10プロモーターのいずれかにより誘導され、組み換えタンパク質の発現および回収を至適化する多様なベクターを利用することができる。これらのベクターは膜結合型タンパク質と分泌型タンパク質との両方の高いレベルでの発現を可能にし、また、哺乳動物の系で起きることが知られているN−およびO−結合グリコシル化、リン酸化、アシル化、タンパク質分解および分泌型ワクチンコンポーネント(secreted vaccine component)を含む多くの翻訳後修飾を可能にする。多数のベクター、例えばInvitrogenからInsectSelect(登録商標)Systemが市販されている。
発現系:
所望のタンパク質(GPCR(SABTR)およびGタンパク質)をコードするcDNAを発現させるために、代表的には、適切なcDNAを、転写を誘導する強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネーターおよび翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクター中にサブクローニングする。好適な細菌プロモーターは当該分野において周知であり、例えば、E. coli、Bacillus sp.およびSalmonellaのものであり、かかる発現系のためのキットが市販されている。同様に、哺乳動物細胞、酵母および昆虫細胞のための真核細胞発現系も市販されている。真核細胞発現ベクターは、例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクターまたはレトロウイルスベクターであってもよい。
プロモーターに加えて、発現ベクターは典型的には、宿主細胞中でのタンパク質をコードする核酸の発現のために必要とされる全ての付加エレメントを含む転写ユニットまたは発現カセットを含む。典型的な発現カセットは、したがって、タンパク質をコードする核酸配列に作動的に連結したプロモーター、ならびに転写物の効率的なポリアデニル化、リボソーム結合部位および転写終結のために必要なシグナルを含む。タンパク質をコードする核酸配列は、代表的には、組み換えタンパク質の効率的な細胞表面発現を促進するために、ラットソマトスタチン−3受容体配列のN末端の45アミノ酸などの膜ターゲティングシグナルに結合していてもよく、これは細胞表面受容体に関して有用である。さらなるエレメントとして、例えばエンハンサーが挙げられる。
発現カセットはまた、効率的な終結をもたらすために、構造遺伝子の下流に転写終結領域を含むべきである。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得ても、異なる遺伝子から得てもよい。
タンパク質の発現のために、真核または原核細胞における発現のための当該分野において周知の従来のベクターを用いることができる。ベクターの例として、細菌発現ベクター、例えばpBR322をベースとするプラスミド、pSKF、およびpET23Dを含むプラスミド、ならびに融合発現系、例えばGSTおよびLacZが挙げられる。
真核細胞ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターが、真核細胞発現ベクター、例えばSV40ベクター、サイトメガロウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタイン・バーウイルス由来のベクターにおいて典型的に用いられる。他の例示的な真核細胞ベクターとして、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo-5、バキュウロウイルスpDSVE、pcDNA3.1、pIRES、ならびに、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーターまたは真核細胞中での発現のために有効であることが示されている他のプロモーターの誘導下におけるタンパク質の発現を可能にするあらゆる他のベクターが挙げられる。
いくつかの発現系は、遺伝子増幅をもたらすマーカー、例えばチミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼなどを有する。
発現ベクターに典型的に含まれるエレメントとしてまた、E. coliにおいて機能するレプリコン、組み換えプラスミドを有する細菌の選択を可能にする薬剤耐性をコードする遺伝子、プラスミドの必須でない領域における真核細胞配列の挿入を可能にするユニークな制限酵素切断部位が挙げられる。選択される特定の薬剤耐性遺伝子は決定的ではなく、当該分野において公知の多数のあらゆる薬剤耐性遺伝子が好適である。原核細胞配列は、必要であれば、真核細胞におけるDNAの複製を妨害しないように、任意に選択される。
細菌系において、GPCRのcDNAフラグメントを、単独でまたは融合タンパク質として発現させることができる。融合タンパク質においては、目的のGPCRがE. coliのペリプラズム(periplasmic)マルトース結合タンパク質(MBP)に融合されており、ここで、MBPはそのシグナルペプチドを含み、GPCRのアミノ末端に結合している。野生型GPCRのcDNAまたはMBP:GPCR融合cDNAを、好適なプラスミド、例えばpBR322中にサブクローニングする。この場合、E. coliにおいてGPCRの発現はlac野生型プロモーターにより誘導される。E. coliにおけるGPCRの発現の方法は、例えば、「G-protein coupled receptors (Signal Transduction Series)」、Tatsuya HagaおよびGabriel Berstein編、第1版、pp. 265-280(CRC Press−Boca Raton FL、1999年9月)に記載される。
遺伝子操作された内因性GPCRを欠失する酵母系および昆虫細胞系は、SABTRスクリーニングのためのヌル(null)バックグラウンドの利点を提供する。
遺伝子操作された酵母系は、ヒトGPCRおよびGαタンパク質を、内因性酵母フェロモン受容体経路の対応する構成要素と置き換える。下流のシグナル経路もまた、シグナルに対する正常な酵母の応答が、選択培地上での正の増殖またはレポーター遺伝子の発現に変換されるように、改変される(Broach, J. R. and J. Thorner (1996) Nature 384 (supp.):14-16により記載される)。
遺伝子操作された昆虫系には、受容体のホスホリパーゼCシグナル経路へのカップリングを可能にするヒトGPCRおよびGαタンパク質が組み込まれる(例えばKnight and Grigliatti, (2004) J Receptors and Signal Transduction 24: 241-256を参照)。
両生類細胞系、特にメラノフォア細胞は、例えば、GPCR発現系を記載するWO 92/01810において記載される。
SABTRの過剰発現:
SABTRを、強力な構成的プロモーター、例えばCMV初期プロモーターの制御下に置くことにより過剰発現させることができる。あるいは、保存されたGPCRアミノ酸またはアミノ酸ドメインの特定の変異を導入し、使用されるSABTR GPCRを構成的に賦活することができる。
SABTR発現ベクター構築物の細胞へのトランスフェクション:
標準的なトランスフェクション方法を用いて、大量のタンパク質を発現する細菌、哺乳動物、酵母または昆虫細胞株を作製することができる。
ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入するためのあらゆる公知の方法を用いることができる。ただし、用いられる特定の遺伝子操作手段が、目的のタンパク質を発現することができる宿主細胞に関連する遺伝子を首尾よく導入することができることが必要である。これらの方法は、クローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたは他の外来性遺伝子材料を宿主細胞に導入することを含み得、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、プラスミドベクター、ウイルスベクターなどの使用を含み得る。
例えば、限定することなく、T-Rex(登録商標)発現系(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)を用いることができる。T-Rex(登録商標)系は、テトラサイクリン制御の哺乳動物発現系であり、E. coliのTn10にコードされるテトラサイクリン(Tet)耐性オペロン由来の制御エレメントを用いる。T-Rex(登録商標)系におけるテトラサイクリン制御は、テトラサイクリンのTetリプレッサーへの結合、および目的の遺伝子の発現を制御するプロモーターの抑制解除(derepression)に基づく。
細胞培養:
トランスフェクションの後、トランスフェクトされた細胞を、当該分野において周知の標準的な培養条件を用いて培養することができる。当業者には、異なる細胞が異なる培養条件(適切な温度および細胞培養培地を含む)を必要とすることは明らかである。
SABTR受容体タンパク質回収:
所望の場合、タンパク質を細胞培養から標準的な技術を用いて回収することができる。例えば、細胞を機械的にまたは浸透圧ショックにより破裂させ、その後、沈殿およびクロマトグラフィーの工程に供してもよい。これらの工程の性質および順序は、回収すべき特定の組み換え材料に依存する。あるいは、組み換えタンパク質は、組み換え細胞が培養された培養培地から回収してもよい。
アッセイにより同定される調節物質:
SABTR受容体活性の調節物質(例えば阻害剤、増強剤およびアンタゴニストであるが、アゴニストではないもの)は、本明細書において以下に記載するように同定することができる。調節物質のタイプは、一度に1種類より多いものも含み得、濃度に依存し得る。例えば、ある薬剤は、特定の濃度範囲においてはアゴニストとして作用し得るが、別の濃度範囲においては、別のアゴニスト(例えば甘味料または糖)の調節物質または増強剤として作用し得る。したがって、薬剤を調節物質として同定するためには、異なる濃度で試験すべきである。
ここで以下に、本明細書に記載の方法において同定されるべき薬剤の定義を示す。
調節物質とは、本明細書において用いられる場合、以下の1または2以上の増大または減少に影響を及ぼす薬剤である:受容体の細胞表面発現、アゴニスト(スクラロース)の受容体への結合、(スクラロースの存在下において)活性化形態の受容体により開始される細胞内応答、または別の生理学的応答。調節物質は、スクラロースに対するSABTRの応答を調節する(増大または低下させる)。
調節物質は、低分子、ペプチド、タンパク質、核酸、抗体またはそのフラグメントを含む多様なタイプの化合物を含む。これらは、合成または天然のもの、天然の材料(例えば動物、哺乳動物、昆虫、植物、細菌もしくは真菌の細胞成分または培養細胞、あるいはかかる細胞の条件培地から)の抽出物を含む多様なソースに由来し得る。
スクラロースは、SABTRのアクチベーターであり、SABTRに結合すると、SABTRを活性化し、SABTRの不在下と比較して細胞内応答の増大を引き起こす。さらに、またはあるいは、スクラロースは、細胞表面受容体の内部移行を低下させ、その結果、アゴニストの不在下において細胞の表面に存在する細胞表面受容体の数と比較して、細胞表面の受容体の発現を増大させる。
アンタゴニストとは、アゴニスト/スクラロースと同じ部位で(競合的アンタゴニスト)または異なる部位で(アロステリックアンタゴニスト)受容体に結合するが、活性化形態の受容体により開始される細胞内応答を活性化せず、したがって、アゴニストが存在しかつアンタゴニストが存在しない場合における細胞内応答と比較して、アゴニストによって誘導される細胞内応答を阻害するアゴニストである。
阻害剤は、受容体へのアゴニスト/スクラロースの結合を、阻害剤の不在下におけるアゴニストの結合と比較して低下させ、かつ/またはアゴニストにより誘導される細胞内応答を低下させる。
増強剤は、受容体へのアゴニスト/スクラロースの結合を、増強剤の不在下におけるアゴニストの結合と比較して増大させ、かつ/またはアゴニストにより誘導される細胞内応答を増大させる。
アゴニストに結合し、例えばGタンパク質を介してシグナルを伝達する受容体の、(調節物質との多様な相互作用に起因する)活性または活性の変化は、本明細書において以下に記載されるアッセイにより決定することができる。
SABTR受容体の調節物質を同定するためのアッセイの例:
細胞質イオンまたは膜電位の変化の検出:
「G-protein coupled receptors (Signal Transduction Series)」(CRC Press 1999;第1版;HagaおよびBerstein編)において詳細に記載されるように、受容体活性をレポートするためのイオン感受性色素を、細胞に取り込ませる。細胞質中のイオンの濃度または膜電位の変化を、それぞれイオン感受性または膜電位蛍光指示薬を用いて測定する。
カルシウム流量:
GPCRの活性化により誘導される細胞内カルシウム放出を、カルシウムに結合する細胞透過性色素を用いて検出する。カルシウム結合色素は、細胞内カルシウムの上昇に比例する蛍光を発生させる。この方法により、迅速かつ定量的な受容体活性の測定が可能になる。
用いられる細胞は、上述のとおり、ホスホリパーゼC経路へのカップリングを可能にするSABTR GPCRとGタンパク質とを共発現するトランスフェクト細胞である。陰性対照として、候補化合物の非特異的な効果をの可能性を除外するために、SABTRを発現しない(偽トランスフェクト)細胞またはその細胞膜が挙げられる。カルシウム流量検出プロトコルは、「G-protein coupled receptors (Signal Transduction Series)」(Tatsuya HagaおよびGabriel Berstein編、第1版、424pp.CRC Press - Boca Raton FL;1999年9月)に詳細に記載されており、その適合したバージョンを以下に要約する:
第0日:96ウェルプレートにウェル当たり8.5Kの細胞を播種し、37℃で一晩栄養増殖培地中に維持する。
第1日:ウェル当たり150ngのSABTR GPCR DNAおよび0.3μlのリポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いて細胞をトランスフェクトする。トランスフェクトした細胞を、37℃で一晩栄養増殖培地中に維持する。
第2日:増殖培地を捨て、細胞を1時間(室温で暗所にて)、C1バッファー溶液(130mM NaCl、5mM KCl、10mM Hepes、2mM CaClおよび10mMグルコースを含む(pH7.4))中に溶解した1.5μMのFluo-4 AM(Molecular Probes)および2.5μMのプロベニシドからなる37℃の50μlのカルシウムアッセイ溶液と共にインキュベートする。125μlのC1バッファーを各ウェルに添加し、プレートをさらに30分間室温で暗所にてインキュベートする。
バッファー溶液を捨てて、プレートを、洗浄バッファーとしての100μlのC1バッファーで5回洗浄し、細胞を200μlのC1バッファーに戻す。
次いで、プレートを蛍光マイクロプレートリーダー、例えば、Flexstation(Molecular Devices)またはFLIPR(Molecular Devices)に置き、20μlの10×濃縮アゴニストストック溶液の添加により受容体の活性化を開始させる。アゴニスト添加前の15秒間およびアゴニスト添加後の45〜110秒間、蛍光を継続的にモニタリングする。受容体の活性化レベルは、2種の下式により定義する:%活性化=(最大蛍光−基底蛍光/基底蛍光)100、または蛍光の増大=最大蛍光−基底蛍光。式中、基底蛍光は、アゴニスト添加前の平均蛍光レベルを表す。
有用な細胞は、限定することなく、上述の哺乳動物細胞、例えばHEK293T細胞およびHEK293 T-RexTM細胞である。当該分野において周知の通り、細胞をGPCRおよびGタンパク質により一過性にまたは安定性にトランスフェクトすることができる。優れた異種性発現系は、WO 2004/055048において詳細に記載される。
カルシウム流量アッセイは、例えば、本明細書における以下の例1に記載されるように行ってもよい。
調節物質の同定は、上記のように行い、以下の改変を受ける。シグナルを、SABTRを発現する組み換え細胞からアゴニストが存在するが試験剤が存在しない場合に得られるSABTR活性の基底レベルと比較する。SABTR活性の例えば少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、またはそれ以上の増大または低下により、調節物質が同定される。
あるいは、同定には、調節物質を含まないサンプルと比較した場合、または調節物質を含むがSABTRポリペプチドを発現しない細胞(偽トランスフェクト細胞)におけるサンプルと比較した場合の、例えば10%またはそれ以上の、蛍光強度の増大または低下が含まれる。
アデニル酸シクラーゼ活性:
アデニル酸シクラーゼ活性についてのアッセイを、例えばKenimer & Nirenberg, 1981, Mol. Pharmacol. 20: 585-591により詳細に記載されるように行う。反応混合物を、通常37℃で10分未満の間インキュベートする。インキュベーション後、反応混合物を、0.9mlの冷たい6%トリクロロ酢酸の添加により除タンパクする。試験管を遠心し、各上清溶液をDowex AG50W-X4カラムに加える。アゴニストによる受容体活性化の後に生成されたcAMPのレベルを測定するために、カラムからcAMP画分を4mlの0.1mMイミダゾール−HCl(pH7.5)でカウンティング(counting)バイアル中に溶離させる。対照反応もまた、SABTRポリペプチドを発現しない細胞由来のタンパク質ホモジェネートを用いて行うべきである。
IP3/Ca 2+ シグナル:
Gタンパク質を発現する細胞において、イノシトール三リン酸(IP3)/Ca2+に対応するシグナル、およびこれにより受容体活性を、蛍光を用いて検出することができる。SABTR GPCRを発現する細胞は、細胞内貯留からのものとイオンチャネルの活性化を介してのものとの両方の寄与の結果として、細胞内カルシウムレベルの増大を示し得、この場合、カルシウム放出から生じる蛍光応答を内部貯留からのものと区別するために、カルシウムフリーで任意にEDTAなどのキレート剤を添加したバッファー中においてかかるアッセイを行うことが、必須ではないが望ましいことがある。
ホスホリパーゼC/細胞内Ca 2+ シグナル:
受容体をホスホリパーゼCシグナル伝達経路に連結するGタンパク質を有する細胞において、SABTRを発現させる。細胞内Ca2+濃度の変化を、例えば蛍光Ca2+指示色素および/または蛍光イメージングを用いて測定する。
GTPアーゼ/GTP結合:
SABTRを含むGPCRについて、受容体活性の尺度は、GPCRを含む細胞膜によるGTPの結合である。標識されたGTPの結合を検出することにより、膜へのGタンパク質のカップリングが測定される。
受容体を発現する細胞から単離された膜を、35S−GTPγSおよび未標識GDPを含むバッファー中でインキュベートする。活性なGTPアーゼは、標識を無機リン酸として放出し、これは、20mMのHPO中5%の活性炭の懸濁液中の遊離の無機リン酸の分離と、その後のシンチレーション計数によって検出される。混合物をインキュベートし、未結合の標識GTPをGF/Bフィルター上での濾過により除去する。結合した標識GTPを、液体シンチレーション計数により測定する。対照は、試験剤の非特異的効果の可能性を除外するために、SABTRを発現しない(偽トランスフェクトされた)細胞から単離された膜を用いるアッセイを含む。この方法は、Traynor and Nahorski, 1995, Mol. Pharmacol. 47: 848-854により詳細に記載される。
調節物質を同定するために、上述のとおり、GTP結合またはGTPアーゼの10%またはそれ以上の変化(増大または低下)が、通常は十分である。しかし、アゴニストを同定するためには、上述のアッセイは、以下の改変を受ける。通常、化合物が100mMまたはそれ未満、例えば10〜500μM、例えば約100μMで存在する場合は、活性が公知のアゴニストの少なくとも50%であれば、または公知のアゴニストによって誘導されるものと同じかまたはそれより高いレベルを誘導すれば、薬剤をアゴニストとして同定する。
マイクロフィジオメーターまたはバイオセンサー:
かかるアッセイは、Hafner, 2000, Biosens. Bioelectron. 15: 149-158において詳細に記載されるように行うことができる。
アラキドン酸:
アラキドン酸の細胞内レベルを、受容体活性の指標として用いる。かかる方法は、Gijon et al., 2000,J. Biol. Chem., 275:20146-20156によって詳細に記載される。
cAMP/cGMP:
細胞内または細胞外cAMPを、cAMPラジオイムノアッセイ(RIA)またはcAMP結合タンパク質を用いて、例えばHorton & Baxendale, 1995, Methods Mol. Biol. 41: 91-105によって記載されるように測定する。代替的に、cAMPの測定のための多数のキット、例えばLJL BiosystemsおよびNEN Life Science Products製のHigh Efficiency Fluorescence Polarization-based homogeneous assayが市販されている。あるいは、cGMPの細胞内または細胞外レベルを、イムノアッセイを用いて測定してもよい。例えば、Felley-Bosco et al., Am. J. Resp. Cell and Mol. Biol., 11:159-164 (1994)に記載の方法を用いてcGMPのレベルを決定してもよい。あるいは、US 4,115,538に記載されるようなcAMPおよび/またはcGMPを測定するためのアッセイキットを用いてもよい。
試験剤の非特異的効果の可能性を除外するための、偽トランスフェクトされた細胞またはその抽出物による陰性対照を用いてもよい。
DAG/IP3:
例えばPhospholipid Signalling Protocols、Ian M. Bird、Totowa, N.J.編(Humana Press、1998年)に記載のように、受容体活性により引き起こされるリン脂質分解により放出されるセカンドメッセンジャーであるジアシルグリセロール(DAG)および/またはイノシトール三リン酸(IP3)を検出して、GPCR(SABTR)活性の指標として用いてもよい。あるいは、イノシトール三リン酸の測定のためのキットが、Perkin ElmerおよびCisBio Internationalから市販されている。
試験剤の非特異的効果の可能性を除外するための、偽トランスフェクトされた細胞またはその抽出物による陰性対照を用いてもよい。
PKC活性:
成長因子受容体チロシンキナーゼは、リン脂質によっておよびカルシウムによって活性化されるプロテインキナーゼのファミリーであるプロテインキナーゼC(PKC)の活性化を伴う経路を介してシグナル伝達することができる。
PKCにより誘導される遺伝子産物の増加は、PKC活性化を示し、したがって受容体活性化を示す。これらの遺伝子産物として、例えば、癌原遺伝子転写因子をコードする遺伝子(c−fos、c−mycおよびc−junを含む)、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤(I型コラゲナーゼおよびプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤を含む)、および接着分子(細胞内接着分子I(ICAM I)を含む)が挙げられる。
PKC活性は、Kikkawa et al., 1982, J. Biol. Chem. 257: 13341により記載されるように、直接的に測定することができる。ここでは、PKCの基質ペプチドがリン酸化され、その後ホスホセルロース紙への結合により分離されて測定される。これは、精製された、または粗細胞抽出物中のキナーゼ活性を測定するために用いることができる。プロテインキナーゼCサンプルを、アッセイの直前に、20mM HEPES/2mM DTTに希釈する。
代替的アッセイは、PanVeraから市販されているProtein Kinase C Assay Kitを用いて行ってもよい。
上記のPKCアッセイは、GPCR(SABTR)を発現する細胞からの抽出物について行う。
あるいは、PKCにより活性化される遺伝子の制御配列により駆動されるレポーター遺伝子構築物の使用を介して、活性を測定することができる。
試験剤の非特異的効果の可能性を除外するための、偽トランスフェクトされた細胞またはその抽出物による陰性対照を用いてもよい。
MAPキナーゼ活性:
MAPキナーゼ活性を、市販のキット、例えばNew England Biolabs製のp38 MAPキナーゼアッセイキット、またはPerkin-Elmer Life Sciences製のFlashPlate(登録商標)MAPキナーゼアッセイを用いて測定することができる。GqまたはGi共役型GPCRを有する細胞を用いる場合、p42/44 MAPキナーゼまたはERK1/2を、GPCR(SABTR)活性を示すために測定してもよく、GPCR活性化後の内因性ERK1/2キナーゼのリン酸化を測定するERK1/2アッセイキットがTGR Biosciencesから市販されている。
あるいは、公知の合成または天然のチロシンキナーゼ基質および標識リン酸を介したチロシンキナーゼ活性の直接的測定が周知である。他のタイプのキナーゼ(例えば、セリン/スレオニンキナーゼ)の活性を、同様に測定することができる。
全てのキナーゼアッセイを、精製されたキナーゼと、1または2以上のSABTRポリペプチドを発現する細胞から調製された粗抽出物との両方について行うことができる。
用いられるキナーゼの基質は、全長タンパク質または基質を表す合成ペプチドのいずれであってもよい。Pinna & Ruzzene(1996, Biochem. Biophys. Acta 1314: 191-225)は、キナーゼ活性を検出するために有用な多数のリン酸化基質部位を列記する。多数のキナーゼ基質ペプチドが市販されている。特に有用であるものの1つは、「Src関連ペプチド」であるRRLIEDAEYAARG(Sigmaから市販されている)であり、これは、多数の受容体型および非受容体型チロシンキナーゼの基質である。一部の方法は、ペプチド基質のフィルターへの結合を必要とし、したがって、結合を促進するために該ペプチド基質が全体として正の電荷を有するべきである。一般にペプチド基質は、少なくとも2個の塩基性残基および1個の遊離アミノ酸末端を有する。反応は、一般的に0.7〜1.5mMのペプチド濃度を用いる。
試験剤の非特異的効果の可能性を除外するための、偽トランスフェクトされた細胞またはその抽出物による陰性対照を用いてもよい。
転写レポーター/SABTR応答性プロモーター/レポーター遺伝子:
レポーター遺伝子アッセイにより調節物質を同定するために、シグナルの少なくとも2倍の増大または10%の低下を有意であるものとする。アゴニストは、試験剤の存在下および非存在下において活性を比較した場合に、例えば少なくとも2倍、5倍、10倍またはそれ以上刺激する。アゴニストのSABTRへの結合により開始される細胞内シグナルは、細胞内の事象のキャスケードを引き起こし、その最終的な結果は、1または2以上の遺伝子の転写または翻訳の、迅速かつ検出可能な変化である。
したがって、受容体の活性は、SABTRの活性化に対して応答性のプロモーターにより誘導されるレポーター遺伝子の発現を測定することにより決定することができる。
「プロモーター」は、本明細書において用いられる場合、1もしくは2以上の転写制御エレメント、または遺伝子発現の受容体媒介性の調節のために必要な配列であり、1もしくは2以上の基本的なプロモーター、エンハンサー、および受容体により制御される発現のために必要な転写因子結合部位を含む。アゴニストのSABTRへの結合から生じる細胞内シグナルに応答性のプロモーターが選択され、対応するレポーター遺伝子(プロモーターにより制御され、転写、翻訳または最終的な活性が容易に検出可能および測定可能なもの)に作動的に連結される。
レポーター遺伝子は、例えば以下から選択される:ルシフェラーゼ、CAT、GFP、β−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダーゼ、およびいわゆる「最初期(immediate early)」遺伝子、c−fos癌原遺伝子、転写因子CREB、血管作動性腸ペプチド(VIP)遺伝子、ソマトスタチン遺伝子、プロエンケファリン遺伝子、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)遺伝子、NF−κBに応答性の遺伝子、AP−1応答性遺伝子(FosおよびJun、Fos関連抗原(Fra)1および2、IκBα、オルニチンデカルボキシラーゼ、ならびにアネキシンIおよびIIの遺伝子を含む)。
当業者に明らかであるとおり、プロモーターは選択されたレポーター遺伝子に従って選択される。
ルシフェラーゼ、CAT、GFP、β−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダーゼ、およびこれらの産物の検出のためのアッセイは、当該分野において周知である。さらなるレポーター遺伝子の例を本明細書において以下に記載する。
「最初期」遺伝子が好適であり、迅速に(例えば、受容体とエフェクタータンパク質またはアゴニストとの間の接触の後数分間以内に)誘導される。レポーター遺伝子において望ましい特性としては、以下の1または2以上が挙げられる:アゴニスト結合に対する迅速な応答性;静止状態の細胞において発現が低いかまたは検出不可能であること;誘導が一過性であってかつ新たなタンパク質合成とは独立していること;その後の転写の遮断が新たなタンパク質合成を必要とすること;これらの遺伝子から転写されたmRNAが数分間から数時間の短い半減期を有すること。同様に、プロモーターは、これらの特性の1つ、いくつかまたは全てを有していてもよい。
c−fos癌原遺伝子は、多数の異なる刺激に応答する遺伝子の例であって、迅速な誘導を有する。c−fos制御エレメントは、以下を含む:転写開始に必要とされるTATAボックス;基本転写(basal transcription)のための2個の上流のエレメント、およびエンハンサー(これは、二分子対称性を有するエレメントを含み、TPA、血清、EGFおよびPMAによる誘導のために必要とされる)。c−fosのmRNAのcap部位から−317〜−298bp上流に位置する20bpのc−fos転写エンハンサーエレメントは、血清を欠乏させたNIH 3T3細胞における血清誘導のために必須である。2個の上流のエレメントのうちの1個は、−63〜−57bp上流に位置し、cAMP制御のためのコンセンサス配列と類似する。
転写因子CREB(サイクリックAMP応答性エレメント結合タンパク質)は、細胞内cAMPのレベルに対して応答性である。したがって、cAMPレベルの調節を介してシグナルを伝達する受容体の活性化は、転写因子の結合、またはCREB結合エレメント(CREもしくはcAMP応答エレメントと称される)に連結したレポーター遺伝子の発現のいずれかを検出することにより決定することができる。CREのDNA配列は、TGACGTCAである。CREB結合活性に対して応答性のレポーター構築物は、US 5,919,649に記載される。
他の好適なレポーター遺伝子およびそれらのプロモーターとして、血管作動性腸ペプチド(VIP)遺伝子およびcAMP応答性であるそのプロモーター;ソマトスタチン遺伝子およびcAMP応答性であるそのプロモーター;プロエンケファリンならびにcAMP、ニコチン性アゴニストおよびフォルボールエステルに応答性であるそのプロモーター;ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)遺伝子およびcAMP応答性であるそのプロモーターが挙げられる。
GPCR活性の変化に対して応答性のレポーター遺伝子およびそれらのプロモーターのさらなる例として、AP-1転写因子およびNF-κBが挙げられる。AP-1プロモーターは、回文構造TGA(C/G)TCAであるコンセンサスなAP-1結合部位により特徴付けられる。AP-1部位はまた、フォルボールエステルである12−O−テトラデカノイルフォルボール−β−アセテート(TPA)を含む腫瘍プロモーターによる誘導の媒介の原因であり、したがって、時にTPA応答エレメントとしてTREとも称される。AP-1は、成長刺激に対する細胞の初期応答に関与する多数の遺伝子を活性化する。AP-1応答性遺伝子の例として、FosおよびJun(これらのタンパク質はそれ自体がAP-1活性を生じる)、Fos関連抗原(Fra)1および2、IκBα、オルニチンデカルボキシラーゼ、ならびにアネキシンIおよびIIが挙げられる。
NFκBプロモーター/結合エレメントは、コンセンサス配列であるGGGGACTTTCCを有する。多数の遺伝子がNFκB応答性であるものとして同定されており、これらの制御エレメントを、GPCR活性をモニタリングするためにレポーター遺伝子に連結させてもよい。NFκBに応答性の遺伝子として、例えば、IL-1β、TNF-α、CCR5、P−セレクチン、Fasリガンド、GM-CSFおよびIκBαが挙げられる。NFκB応答性レポーターをコードするベクターは、当該分野において公知であるか、または当該分野における通常の技術、例えば合成NFκBエレメントおよびミニマルプロモーターを用いて、もしくはNFκBにより制御されることが公知である遺伝子のNFκB応答性配列を用いて、容易に作製することができる。さらに、NFκB応答性レポーター構築物が、例えばCLONTECHから市販されている。
所与のプロモーター構築物は、該構築物でトランスフェクトしたGPCR(SABTR)発現細胞を、アゴニスト(例えばペリラルチン(perillartine))に暴露することにより容易に試験することができる。アゴニストに応答してのレポーター遺伝子の発現の少なくとも2倍の増大は、レポーターがGPCR(SABTR)活性を測定するために好適であることを示す。
転写アッセイのための対照として、GPCR(SABTR)を発現しないがレポーター構築物を有する細胞と、プロモーターを有さないレポーター構築物を含む細胞の両方が挙げられる。
レポーター遺伝子活性化により示されるGPCR(SABTR)活性を調節する薬剤は、シグナルのGPCR(SABTR)特異性を確認し、それらの活性のスペクトルを決定するために他のプロモーターおよび/または他の受容体を用いて確認することができ、それによって非特異的シグナル、例えばレポーター遺伝子の経路を介した非特異的シグナルを除外する。
イノシトールリン酸(IP)測定:
ホスファチジルイノシトールの加水分解を、US 5,436,128に記載されるように決定することができる。ここでは、細胞を3H−ミオイノシトールで少なくとも48時間またはそれ以上の間標識することが含まれる。標識された細胞を、試験剤と1時間接触させ、次いで、これらの細胞を溶解し、クロロホルム−メタノール−水で抽出する。この後、イオン交換クロマトグラフィーによりイノシトールリン酸を分離し、これをシンチレーション計数により定量する。アゴニストについて、バッファー対照の存在下における1分間当たりのカウント(cpm)に対する試験剤の存在下におけるcpmの比を計算することにより、刺激の倍率を決定する。同様に、阻害剤およびアンタゴニストについて、バッファー(これはアゴニストを含んでも含まなくてもよい)対照の存在下におけるcpmに対する試験剤の存在下におけるcpmの比を計算することにより、阻害の倍率を決定する。
結合アッセイ:
上述のアゴニスト結合に対する機能的応答により引き起こされるパラメーターの変化を測定する機能アッセイの代わりに、アゴニストのSABTR受容体への結合を測定する結合アッセイにより、アゴニストの結合を決定することができる。
結合アッセイは、当該分野において周知であり、溶液中で、二層膜において、任意に固相に結合して、脂質単層において、または小胞中で試験することができる。SABTRポリペプチドに対する調節物質の結合は、例えば、分光学的特徴(例えば蛍光、吸光度または屈折率)の変化を測定することにより、流体力学法により(例えば形状を用いて)、クロマトグラフィーにより、SABTRポリペプチドの可溶性特性を測定することにより、決定することができる。一態様において、結合アッセイは生化学的であり、組み換えSABTRポリペプチドを発現する細胞/組織由来の膜抽出物を用いる。結合アッセイは、例えば、T1RについてAdlerらによりUS20050032158中段落[0169]〜[0198]に記載のように行うことができる。
実質的に相同なSABTRタンパク質として、限定することなく、タンパク質の全てまたは一部が、対立遺伝子のバリアント、またはマウス、ラット、ハムスター、サルおよびイヌを含む異なる種のものの関連する部分で置換されているようなタンパク質が挙げられる。
さらに、実質的に相同であるSABTRヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、保存的変異および/または点変異により形成され、限定することなく、以下に詳細に記載するようなあらゆる保存的に改変されたバリアントを含む。
ヌクレオチド/核酸配列に関し、保存的に改変されたバリアントとは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列(保存的に置換されたアミノ酸、すなわち、アルギニンに置換されたリジン、および本明細書において以下に説明するような他の例)をコードする核酸を意味する。
遺伝子コードの重複性に起因して、配列が異なるが機能的に同一の多数の核酸が、あらゆる所与のポリペプチド/タンパク質をコードする。かかる核酸の異形は、「サイレント異形」であり、保存的に改変された異形の1種である。ポリペプチドをコードする各々の核酸配列はまた、核酸の全ての可能なサイレント異形を表す。したがって、核酸における各々のコドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を、改変して、同一のポリペプチドを産生する機能的に同一の核酸配列を得ることができる。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各々のサイレント異形は、各々の所与の核酸配列において潜在的である。
アミノ酸配列に関し、組み換え遺伝子技術の公知のプロトコルを用いてアミノ酸置換を導入することができる。かかる技術としてPCR、遺伝子クローニング、cDNAの部位特異的変異誘発、宿主細胞のトランスフェクションおよびインビトロ転写が挙げられ、これらの方法は、SABTR配列に変化を導入するために用いることができる。次いで、バリアントを、味覚細胞特異的GPCR機能的活性についてスクリーニングすることができる。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当該分野において周知である。例えば、保存的置換を選択するためのガイドラインの一例として以下が挙げられる(元の残基の後に例示的残基を示す):ala/glyまたはser;arg/lys;asn/glnまたはhis;asp/glu;cys/ser;gln/asn;gly/asp;gly/alaまたはpro;his/asnまたはgln;ile/leuまたはval;leu/ileまたはval;lys/argまたはginまたはglu;met/leuまたはtyrまたはile;phe/metまたはleuまたはtyr;ser/thr;thr/ser;trp/tyr;tyr/trpまたはphe;val/ileまたはleu。
代替的なガイドラインの一例は、各々が互いに保存的置換となるアミノ酸を含む以下の6群を用いる:1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(1);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
別の代替的ガイドラインは、荷電された全てのアミノ酸を、それらが正または負のいずれであるかに従って、保存的置換とするものである。
さらに、コードされている配列中の単一のアミノ酸または低いパーセンテージ(例えば26%まで、または20%まで、または10%まで)のアミノ酸を置換するか、付加するかまたは欠失する、個々の置換、欠失または付加もまた、保存的に改変された異形とみなされる。
実質的に相同であるヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、以下に示すように、ある程度の配列同一性を有するか、または特定のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下においてハイブリダイズする。
%配列同一性:
実質的に相同なヌクレオチド配列は、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の%配列同一性を有する。
実質的に相同なポリペプチド配列は、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の%配列同一性を有する。
あるいは、実質的に相同なヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、少なくとも70%、80%、または85%の%配列同一性を有することができ、本明細書において上に詳細に記載するような保存的機能的バリアントである。
%配列同一性の計算は、以下のように決定される。
BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/で利用可能なプログラムblastinにより使用されるヒューリスティックな検索アルゴリズムである。
ヌクレオチドクエリー配列の別のヌクレオチド配列に対する%同一性を決定するために、BLASTバージョン2.2.1.3のデフォルトのパラメーター(EXPECT(データベース配列に対する一致を報告するための統計学的有意性閾値)が10であることを含む)およびDUSTフィルタリングを使用して、Blastinを用いる。
ポリペプチドクエリー配列の別のポリペプチド配列に対する%同一性を決定するために、BLASTバージョン2.2.1.3のデフォルトのパラメーター(EXPECTが10であることを含む)およびDUSTフィルタリングを使用して、Blastpを用いる。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件:
本明細書において示すヌクレオチド配列に対して、またはその相補配列に対して、以下に詳細に記載するストリンジェントな条件下において選択的にハイブリダイズすることができる場合に、ヌクレオチド配列が実質的に相同であると見なす。
ストリンジェントな条件とは、42℃の温度で、50%のホルムアミド、5×SSCおよび1%のSDSの溶液中、ならびに、65℃で、0.2×SSCおよび0.1%のSDSの溶液中での洗浄である(1×SSC=0.15MのNaCl、0.015MのNa3クエン酸、pH7.0)。
例えばスクリーニングされるcDNAまたはゲノムライブラリー中に存在する他のヌクレオチド配列に起因して、バックグラウンドハイブリダイゼーションが起こる可能性がある。
標的DNAとの間で観察される特異的相互作用の強度の10分の1より低いシグナルは、バックグラウンドとみなす。例えばプローブを(例えば32Pで)放射線標識することにより、相互作用の強度を測定することができる。
調節物質を同定するためのキット:
キット、例えばスクリーニングキットまたはハイスループットスクリーニングキットであって、SABTRまたはそれと実質的に相同な配列を発現する組み換え細胞を含み、スクラロース(アゴニスト)を含むもの。
任意に、細胞は、例えばカルシウムシグナル伝達のために、さらにGタンパク質を含む。好適なGタンパク質は公知であり、上述してある。当業者は、必要であればそれらを細胞に導入する方法を知っている。非常に有用なキメラGタンパク質は、Gアルファ16−ガストデューシン44である。
スクラロースは、好適な濃度、例えば約0.03〜約1000ミリモル、約0.05〜約500ミリモル、約0.1〜約250ミリモル、または約0.3〜約100ミリモルで提供される。
任意的なキットの構成要素として、提供される組み換え細胞を培養するための好適な培地、細胞をその上で増殖させるための固体支持体、例えば細胞培養ディッシュまたはマイクロタイタープレート、これらの任意的構成要素は、当業者が容易に入手することができる。
キットは、以下のように用いることができる:
(i)SABTRタンパク質を発現する組み換え細胞を、固体支持体上で増殖させる;
(ii)約1nM〜約100mMまたはそれ以上の濃度の試験剤を、好適な濃度のアゴニストスクラロースの存在下において、規定のプレートまたはウェルの培養培地に添加する;および
(iii)試験剤の存在下および不在下における応答を比較することによって細胞の機能的応答の変化を決定し、これにより試験剤を調節物質として同定する。
例えば、(iii)は、上述のアッセイのいずれに従って行ってもよく、上述の受容体活性を報告する検出方法のいずれと組合せて行ってもよい。これは、やはり上述の、特異的に選択されたかまたは適応させた組み換え細胞を必要とする場合がある。
好適なアッセイは、例えば、SABTRの活性化、および試験剤に対する応答におけるその変化を決定する、カルシウム流量アッセイである。
キットは、以下のようにして増強剤を用いるために用いることができる:
(i)SABTRタンパク質を発現する組み換え細胞を、固体支持体上で増殖させる;
(ii)約1nM〜約100mMまたはそれ以上の濃度の試験剤を、好適な濃度のアゴニストスクラロースの存在下において、規定のプレートまたはウェルの培養培地に添加する;および
(iii)試験剤の存在下および不在下における応答を比較することによって細胞の機能的応答の変化を決定し、これにより試験剤を増強剤として同定する。
同定した調節物質の確認:
上述の方法により同定した調節物質を、同定された調節物質を味わうフレーバリスト(flavorist)または試験者のパネルを用いる簡便な官能実験により、容易に確認することができる。化合物を、例えばスクラロースと共に水に入れて味わい、調節物質を含まない陰性対照と比較して、調節物質がスクラロースの甘味を増強するかまたはスクラロースの苦味を阻害することを確認する。
大規模スクリーニングアッセイ:
上述の転写レポーターアッセイおよび殆どの細胞ベースのアッセイが、SABTR活性を調節する薬剤についてライブラリーをスクリーニングするために非常に好適である。
アッセイの工程を自動化し、化合物をあらゆる便利なソースから複数のアッセイ(これらは代表的には平行して(例えばロボット化アッセイにおいてはマイクロタイターウェル上でのマイクロタイターフォーマットにおいて)行われる)に供給することにより、大規模な化学ライブラリーをスクリーニングするためにアッセイを設計してもよい。
アッセイを、多数の調節物質の候補を含むコンビナトリアル化学またはペプチドライブラリーを提供することを含む、ハイスループットスクリーニング法において行ってもよい。かかるライブラリーを、次いで、上述の活性を示すライブラリーの薬剤(特定の化学種またはサブクラス)を同定するために、上述の1または2以上のアッセイにおいてスクリーニングする。このようにして同定された調節物質は、直接用いても、または誘導体を製造し試験することによりさらなる調節物質を同定するための、リード化合物として役立ててもよい。
合成の化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical Co.(Trevillet, Cornwall, UK)、Comgenex(Princeton, N.J.)、Brandon Associates(Merrimack, N.H.)およびMicrosource(New Milford, Conn.)を含む多数の会社から市販されている。
試験剤のライブラリー:
コンビナトリアル化学ライブラリーは、試薬などの多数の化学的「構成要素(building block)」を組み合わせることにより、化学合成または生物学的合成のいずれかにより生成された、多様な化学化合物の集合である。例えば、ペプチドライブラリーなどの一次的(linear)コンビナトリアル化学ライブラリーは、化学的構成要素(アミノ酸)のセットを、所与の化合物の長さ(例えばポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)についての全通りの可能性で組み合わせることにより作製する。何百万もの化合物を、かかるコンビナトリアルな化学的構成要素の混合により合成することができる。
珍しい化学ライブラリーが、Aldrich(Milwaukee, Wis.)から市販されている。
細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態における天然の化合物のライブラリーは、例えばPan Laboratories(Bothell, Wash.)またはMycoSearch(NC)から市販されており、または当該分野において周知の方法により容易に作製することができる。
さらに、天然にまたは合成で作製されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理学的または生物学的手段により容易に修飾される。
他のライブラリーとして、タンパク質/発現ライブラリー、天然のソース(例えば、食品、植物、動物、細菌を含む)からのcDNAライブラリー、1または2以上のポリペプチドのランダムまたは系統的に変異を誘発したバリアントを発現するライブラリー、1個の細胞または組織中のmRNA含有物を発現するために用いられるウイルスベクター中のゲノムライブラリーが挙げられる。
ハイスループットアッセイにおいて、数千個の異なる調節物質またはアゴニストを一日にスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルを、選択された調節物質候補に対する別個のアッセイを行うために用いることができ、または、濃度もしくはインキュベーション時間の影響が観察される場合、5〜10個のウェル毎に単一の調節物質を試験することができる。したがって、単一の標準的なマイクロタイタープレートは、約100種の調節物質をアッセイすることができる。1536ウェルプレートを用いる場合、したがって、単一のプレートは、約100〜1500種の異なる化合物を容易にアッセイすることができる。1日当たり数個の異なるプレートをアッセイすることが可能であり、約6,000〜20,000種の異なる化合物をスクリーニングするアッセイが可能である。
アッセイ方法においてSABTR調節効果について試験され得る試験剤のタイプ:
試験剤は、低分子化学化合物、化学ポリマー、生物学的ポリマー、ペプチド、タンパク質、糖、炭化水素、核酸および脂質を含むあらゆる薬剤であってよい。薬剤は、合成の化合物であっても、化合物の混合物であっても、天然の産物または天然の試料、例えば植物抽出物、培養上清もしくは組織試料であってもよい。
((E)−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エニル)ブト−2−エン酸)を含むがこれに限定されない同定された調節物質を、スクラロースの苦い後味を低減し、および/または甘味を増強するために、スクラロースと共に食品製品に添加してもよい。
消耗品(consumable)は、食品製品、飲料品、口腔ケア用品、およびかかる製品に混合するための組成物、特に香味組成物を含む。香味組成物は、加工食品または飲料品に加工の間に添加されても、それ自体が実際に消耗品(例えばソースなどの香辛料)であってもよい。甘味物質は、製菓およびデザートを含む他の甘味消耗品において特に重要であるが、また、旨味(savoury)および甘酸っぱい味の消耗品においてもまた重要である。消耗品の例として、製菓製品、ケーキ、シリアル製品、ベーカリー製品(baker's product)、パン製品(bread product)、ガム、チューインガム、ソース(香辛料)、スープ、加工食品、加熱した果物および野菜製品、肉および肉製品、卵製品、ミルクおよび乳製品、チーズ製品、バターおよびバター代用製品、ミルク代用製品、大豆製品、食用油脂製品、医薬、飲料品、アルコール飲料、ビール、ソフトドリンク、食品抽出物、植物抽出物、肉抽出物、香辛料、甘味料、栄養補助食品、医薬および非医薬のガム、錠剤、トローチ、ドロップ、乳液、エリキシル剤、シロップ、および飲料品、インスタント飲料および発泡性錠を製造するための他の製剤が挙げられる。
核酸およびタンパク質の配列:
本明細書に記載の構築物および方法において用いられる配列は、以下の配列表において見出される。これらはアミノ末端からカルボキシ末端の方向に示される。全てのTAS2R配列は、ヒト配列である。
TAS2R受容体CDSをコードする配列は公知であり、下記の名称および参照番号により公開されている。
配列番号1および2:TAS2R44をコードする配列。ヒト味覚受容体2型メンバー44(TAS2R44またはT2R44)、Reference Sequence Accession Number(RefSeq)NM_176885.2、GI:116235453 RefSeqデータベース、The National Center for Biotechnology Information(NCBI)、および対応する受容体タンパク質(NP_795366.2 GI:116235454、NCBI RefSeq)。
配列番号3および4:TAS2R1をコードする配列。ヒト味覚受容体2型メンバー1(TAS2R1またはT2R1)、Reference Sequence Accession Number(RefSeq)NM_019599.2 GI:67782322 RefSeqデータベース、The National Center for Biotechnology Information(NCBI)、および対応する受容体タンパク質(NP_062545.1、GI:9625043、NCBI RefSeq)。
配列番号5および6:TAS2R10をコードする配列。ヒト味覚受容体2型メンバー10(TAS2R10またはT2R10)、Reference Sequence Accession Number(RefSeq)NM_023921.1、GI:12965179 RefSeqデータベース、The National Center for Biotechnology Information(NCBI)、および対応する受容体タンパク質(NP_076410.1、GI:12965180)。
配列番号7および8:TAS2R46をコードする配列。ヒト味覚受容体2型メンバー46(TAS2R46またはT2R46)、Reference Sequence Accession Number(RefSeq)NM_176887.2 GI:117414132 RefSeqデータベース、The National Center for Biotechnology Information(NCBI)、および対応する受容体タンパク質(NP_795368.2 GI:117414133)。
配列番号9および10:TAS2R16をコードする配列。ヒト味覚受容体2型メンバー16(TAS2R16またはT2R16)、Reference Sequence Accession Number(RefSeq)NM_016945.2 GI:68160949 RefSeqデータベース、The National Center for Biotechnology Information(NCBI)、および対応する受容体タンパク質(NP_058641.1、GI:8394395)。
全てのコード配列は、ATG開始コドンを含むが、終止コドンを含まない。発現ベクター中にクローニングされた場合、ベクター中の完全なカセットは、膜配列としてN末端rssタグ、および終止コドンを提供するC末端のHSVタグを含む(TAS2R44ベクターカセットについて配列番号13および14において例として示される)。
配列番号1および2:TAS2R44をコードする配列(核酸+タンパク質)
配列番号3および4:TAS2R1をコードする配列(核酸+タンパク質)
配列番号5および6:TAS2R10をコードする配列(核酸+タンパク質)
配列番号7および8:TAS2R46をコードする配列(核酸+タンパク質)
配列番号9および10:TAS2R16をコードする配列(核酸+タンパク質)
配列番号11:RSSタグはラットソマトスタチンの45個のアミノ酸とEcoRI部位とを含む。
配列番号12:HSVタグ、フレームに浸入するための「T」、NotI部位および終止コドンを含む。
配列番号13および14:hTAS2R44構築物(核酸+タンパク質)
(RSSタグ−EcoRI部位−TAS2R44−NotI部位−終止コドンを含むHSVタグ)
以下、上記の方法を説明するために役立つの一連の例を示す。以下の例は、単に説明のためのものであり、決して記載される方法およびキットを含む主題を限定するものと解釈されるべきではない。

全ての例は、対応するヒト苦味受容体2型のメンバー(44、1、10、16および46)のmRNAに基づくDNA配列を用いる。
例1
以下の例は、TAS2R44について記載する。TAS2R44のcDNAを、TAS2R1、TAS2R10、TAS2R46の該当するcDNAにより置換すれば、これらのSABTRのための発現ベクターまたはTAS2R16(スクラロースにより活性化されない対照として)のための発現ベクターが作製される。
ヒトTAS2Rの全長遺伝子を、コード領域全体にわたる遺伝子特異的プライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。
TAS2R44のcDNAを、以下のプラスミド/発現ベクターのいずれかに基づく発現カセット中にサブクローニングした:pcDNA3.1Zeo(Invitrogen、Carlsbad、CA、US)。これらのベクターは、導入遺伝子の細胞表面ターゲティングを容易にするために、その多重クローニング部位(multiple cloning site)内に、ラットソマトスタチン受容体3型の最初の45個のアミノ酸(配列番号11において含まれる、RSSタグ)をコードするヌクレオチド配列を、および、免疫細胞化学検出を容易にするために、単純ヘルペスウイルス(HSV)糖タンパク質Dエピトープ(HSVエピトープ)(これは、配列番号12において含まれる、HSVタグ)を含む。
RSSタグ、TAS2R44およびHSVタグを、受容体タンパク質への翻訳を可能にするためにhTAS2R構築物中のフレームにおいて融合した。生じた発現ベクター中の受容体cDNAは、TAS2R44の前に配列番号11(ラットソマトスタチンの45個のアミノ酸を含むRSSタグ)、後に配列番号12(HSVタグ)が(アミノ末端からカルボキシ末端の方向へ)結合したアミノ酸配列を含む。
発現ベクター中にトランスフェクトした構築物は、pcDNA3.1Zeo-TAS2R44と称され、これはTAS2R44タンパク質(配列番号14)の発現を可能にする。
TAS2R1、TAS2R10、TAS2R46およびTAS2R16について、これらのコード配列(TAS2R1については配列番号3および4、TAS2R10については配列番号5および6、TAS2R46については配列番号7および8、そしてTAS2R16については配列番号9および10)を用いて同様のクローニング戦略を続ける。制限酵素を適宜適合させる(TAS2R1については、TAS2R44について上で示したEcoRIを、コード配列内を切断しない好適な制限酵素に交換する)。
例2
例2a
安定した細胞株の作製
HEK293T/Gα16−ガストデューシン44細胞を用いた。これらは、WO 2004/055048に記載されるように作製した。宿主細胞株HEK-293Tは、American Tissue Culture Collection(ATCC)から市販されている(ATCC登録番号CRL-11268)。
例2b
HEK293T/Gα16−ガストデューシン44細胞におけるTAS2Rの一過性トラスフェクション/発現
第0日に、HEK293T/Gα16−ガストデューシン44細胞を、96ウェルの壁面が黒色で底面が透明のプレートに、14,000細胞/ウェルの密度で播種し、増殖培地(10%(v/v)の加熱不活化ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを含むDMEM)中で増殖させる。
第1日に、培地を抗生物質フリーかつ血清フリーのDMEMに交換する。
細胞を、リポフェクタミン2000(Invitrogen)で製造者の推奨に従ってトランスフェクトする。
96ウェルプレートのウェル毎に、150ngのベクターDNA(例1からのSABTR発現ベクターまたはTAS2R16発現ベクター)を12.5μlのDMEM中に希釈する。第2のチューブにおいて、0.3μlのリポフェクタミン2000を、12.5μlのDMEM中に希釈し、5分間室温でインキュベートする。5分後、両方の溶液を混合して、20分間室温でインキュベートする。プレート中の増殖培地を50μlのDMEMおよび25μlのリポフェクタミン/DNA混合物で置き換え、細胞上で3〜4時間37℃で加湿大気中でインキュベートする。混合物を、次いで、抗生物質フリーの血清含有DMEMに交換する。
トランスフェクションの24時間後、細胞を例3に記載するFluo-4カルシウムアッセイにおいて用いる。
例2c
Gα16−ガストデューシン44およびSABTR(TAS2R44、TAS2R1、TAS2R10)を安定して発現する細胞株の作製
pcDNA3.1Zeo-SABRをHEK293T/Gα16−ガストデューシン44細胞(いずれも例1に記載のように作製されたもの)へトランスフェクトすることにより、SABTR(TAS2R44、TAS2R1、TAS2R10)を安定して発現する細胞株を作製した。宿主細胞株HEK-293Tは、American Tissue Culture Collection(ATCC)から市販されている(ATCC登録番号CRL-11268)。
トランスフェクションは、以下のように行った:
第0日に、培地を2mlの抗生物質フリーかつ血清フリーの増殖培地で交換した。10μlのリポフェクタミン2000を、250μlのDMEM中に希釈し、5分間室温でインキュベートした。平行して、4μlのSABTR(TAS2R44、TAS2R1、TAS2R10)ベクターDNAを、250μlのDMEM中に溶解した。生じたこれら2種の溶液を混合して、20分間室温でインキュベートし、その後、細胞に(細胞培養培地中に)添加した。4時間後、培地を、抗生物質フリーの血清含有増殖培地で交換する。
細胞を、加湿大気(37℃、5%CO)中でインキュベートした。
24時間後、細胞を、選択的増殖培地(10%(v/v)の加熱不活化ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、200μg/mlのG418および200μg/mlのゼオシンを含むDMEM)中で再播種し、加湿大気(37℃、5%CO)中でさらにインキュベートした。
2〜4週間の培養(必要に応じて培地を交換する)の後、ゼオシン耐性のコロニーを選択し、増殖させた。
スクラロースに加えて公知のTAS2R44アゴニストであるサッカリン(WO 2004/029087において記載される)に対する機能的応答の存在について試験することにより、TAS2R44の発現を評価した。これは、例3において記載するように、FLIPR-TETRA(登録商標)(Molecular Devices、Sunnyvale、CA, US)における自動カルシウムイメージングにより決定した。
スクラロースに加えて0.5mMのクロラムフェニコール(WO 2006/053771に記載される公知のTAS2R10アゴニスト)に対する応答により、TAS2R1を発現する細胞を同定した。これは、例3に記載する方法を用いて、FLIPR-Tetra測定装置(Molecular Devices)における自動蛍光イメージングにより決定した。HEK293T/Gα16−ガストデューシン44細胞/TAS2R1細胞株において生じた1つのクローンを選択した。
スクラロースに加えて0.125mMの塩酸ストリキニーネ(WO 2004/029087に記載される公知のTAS2R10アゴニスト)に対する応答により、TAS2R10発現細胞を同定した。これは、例3に記載する方法を用いて、FLIPR-Tetra測定装置(Molecular Devices)における自動蛍光イメージングにより決定した。HEK293T/Gα16−ガストデューシン44細胞/TAS2R10細胞株において生じた1つのクローンを選択した。
例3
Fluo-4カルシウムアッセイ
Fluo-4AM(Invitrogen、Carlsbad、CA、US)は、細胞内カルシウム動態(濃度の変化)の蛍光指示薬であり、これによって、カルシウム濃度の変化、特にアゴニストへの暴露の後で起こる受容体活性化に応答しての増大をモニタリングすることができる。
第0日に、例2bまたは2cにおいて記載するとおり作製したGα16−ガストデューシン44およびTAS2R苦味受容体を発現するHEK293T細胞株を、抗生物質フリー増殖培地(10%(v/v)の加熱不活化ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを含むDMEM)中、壁面が黒色で底面が透明のポリ(エチレンイミン)(0.005%v/v)でコートされた96ウェルプレートに、15,000細胞/ウェルの濃度で播種し、48時間、加湿大気(37℃、5%CO)中でインキュベートした。
アッセイの時点で、増殖培地を捨て、細胞を加湿大気(37℃、5%CO)中で1時間、1.5μMのFluo-4 AMおよび2.5μMのプロベネシド(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO, US)をDMEM中に含む50μlのローディングバッファーと共にインキュベートした。
その後、96ウェルプレートを、ウェル当たり100μlのアッセイバッファー(130mMのNaCl、5mMのKCl、10mMのHEPES、2mMのCaClおよび5mMのデキストロース、pH7.4)で、自動プレート洗浄機(BioTek)を用いて5回洗浄した。プレートを、30分間室温で暗所においてさらにインキュベートし、Fluo-4の脱エステル化を完了させる。その後、プレートを、ウェル当たり100μlのアッセイバッファーで5回洗浄し、ウェル当たり100μlのアッセイバッファーを再度添加する。
アッセイを読み取るために、プレートをFluorometric Imaging Plate Reader(FLIPR)(FLIPR-TETRA(登録商標)、Molecular Devices、Sunnyvale、CA、US)中に置いて、100μlの2倍濃度のアゴニストストック溶液(100マイクロリットルのアッセイバッファー容積に添加したときに所望のアゴニスト最終濃度が得られるように)の添加により、受容体の活性化を開始させる。
シグナル基底値(平均してFを得る)を得るためにアゴニスト添加の前に20秒間、アゴニスト添加後に120秒間、継続的に蛍光をモニタリングする。シグナルの変化をFで割ることにより、表に示すΔF/Fを得る。ΔFは、120秒間で生じた最大のシグナルから(アゴニスト添加後120秒間で生じた)最小のシグナルを除算したものである。
全てのデータを、少なくとも2回の独立した実験において収集した。各実験は3組ずつ行った。
濃度−応答分析を行い、EC50値を、関数f(x)=(a−d)/(1+(x/C)nh)+dを用いて非線形回帰により計算した。ここで、a=最小シグナル、d=最大シグナル、nh=ヒル係数、C=EC50、およびx=アゴニスト濃度である。EC50は、そのアゴニストについて最大の可能な有効応答の50%を生じるアゴニストのモル濃度である。より強力なアゴニストは、より低いEC50値を有する。
得られたカルシウムシグナルを、Gタンパク質αサブユニット(Gα16−ガストデューシン44)のみを発現する細胞の応答に対して修正し、ΔF/F(Fmax−Fmin/F)を用いて刺激前の細胞の蛍光に対して正規化した。
例4
サッカリンによるTAS2R44の活性化
例2cにおいて作製した細胞株が苦味受容体TAS2R44を安定して発現することを確認するために、TAS2R44の公知のアゴニストであるサッカリンの濃度−応答曲線を作成した。陰性対照として、HEK293T Gα16ガストデューシン44細胞(TAS2R44を発現しない)を、サッカリンに暴露した。結果を、例4に記載するように計算し、表1に示す。標準偏差は(+/−STD)もまた示す。
Figure 0005465656
陰性対照は、サッカリンへの暴露による有意なシグナル変化を示さず、シグナルは、サッカリン濃度と共に増大も低下もしなかったことから、アゴニストにより誘導される受容体活性化の不在を実証した。EC50を、例3に記載するとおり計算した。サッカリンおよびTAS2R44についての計算されたEC50値は、0.65±0.02mMであった。
例5〜10
各サンプル(受容体ならびに対照)は、以下の全ての例に対する適合性のために、0.02%の最終濃度のDMSOを含んだ。
例5
スクラロースによるTAS2R44の活性化
例2aに記載したとおり作製したGα16−ガストデューシン44およびTAS2R44を安定して発現するHEK293T細胞株において、スクラロースの添加に続く細胞内カルシウム応答を決定した。
非特異的シグナルを決定するための陰性対照として、適用した各濃度のスクラロースを、Gα16−ガストデューシン44のみを発現する細胞に適用した。結果を以下の表2に示す。
Figure 0005465656
ヒトTAS2R44を安定して発現する細胞において、スクラロースの添加により、カルシウムシグナル伝達の有意な増大が観察された。Gα16−ガストデューシン44のみを発現する宿主細胞である陰性対照において、有意な変化は観察されなかった。このことは、TAS2R44アゴニストとしてのスクラロースの特異性を示す。
スクラロースおよびTAS2R44について計算されたEC50値は、16.69±1.01mMであった。この結果は、TAS2R44がスクラロースによって活性化されることを実証する。サッカリン(例4)のEC50との比較により、スクラロースはサッカリンより多少強力でないアゴニストであることが示される。
さらに、公知の苦い後味を有する甘味料であるシクラメートおよびアスパルテームもまた試験し、TAS2R44のアゴニストではないことを見出し、このことは、スクラロースによる受容体活性化の特異性が高いことをさらに示している。
例6
スクラロースによるTAS2R1の活性化
例2cに記載したとおり作製したGα16−ガストデューシン44およびTAS2R1を安定して発現するHEK293T細胞において、スクラロースの添加に続く細胞内カルシウム応答を決定した。
結果を以下の表3に示す。
Figure 0005465656
ヒトTAS2R1を安定して発現する細胞において、スクラロースの添加により、カルシウムシグナル伝達の有意な濃度依存的増大が観察された。結果は、TAS2R1がスクラロースにより活性化されることを実証する。
例7
スクラロースによるTAS2R10の活性化
例2aに記載したとおり作製したGα16−ガストデューシン44およびTAS2R10を安定して発現するHEK293T細胞において、スクラロースの添加に続く細胞内カルシウム応答を決定した。
結果を以下の表4に示す。
Figure 0005465656
ヒトTAS2R10を安定して発現する細胞において、スクラロースの添加により、カルシウムシグナル伝達の有意な濃度依存的増大が観察された。結果は、TAS2R10がスクラロースにより活性化されることを実証する。
例8
スクラロースによるTAS2R46の活性化
例2bに記載したとおり作製したGα16−ガストデューシン44およびTAS2R46を安定して発現するHEK293T細胞において、スクラロースの添加に続く細胞内カルシウム応答を決定した。
結果を以下の表5に示す。
Figure 0005465656
ヒトTAS2R46を安定して発現する細胞において、スクラロースの添加により、カルシウムシグナル伝達の有意な濃度依存的増大が観察された。結果は、TAS2R46がスクラロースにより活性化されることを実証する。
例9
スクラロースに対するTAS2R44の応答のアンタゴニストの同定
全ての細胞は、Gα16−ガストデューシン44を安定して発現するか、またはGα16−ガストデューシン44およびTAS2R受容体(TAS2R44、TAS2R16)を発現するHEK293T細胞であった。
方法は、例3に記載されるとおり行い、以下の改変を行った:サンプルを試験化合物A(test cpd A)を用いて、および試験化合物Aを用いないで試験し、シグナルを比較した。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し、次いで、溶媒の阻害効果の可能性を除外するために、当量のDMSO濃度(0.02%)を用いた陰性対照を行った。
さらに、次いで、スクラロースおよびDMSO(0.02%)を用いた対照実験を行った(例5の表を参照)。
試験化合物A(遮断化合物の候補)は、(E)−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エニル)ブト−2−エン酸であり、その化学式を以下に示す。
Figure 0005465656
全てのデータをΔF/Fとして計算し、2つの独立した実験の実行(各実行は3反復で行った)の標準偏差(STD)を各表に示す(本明細書中以下の表6の結果を参照)。
Figure 0005465656
0.02%のDMSO陰性対照(上記の表の結果を参照)は、阻害効果を示さなかった。このことは、検出された阻害は、試験化合物Aにより引き起こされたものであり、溶媒(0.02%DMSO)によって引き起こされたものではないことを実証する。
陰性対照として、各アゴニスト、および各アゴニストとアンタゴニスト/試験化合物(test cpd A)とを、Gα16−ガストデューシン44のみを発現するがTAS2受容体を発現しない細胞に適用する(本明細書に中以下の表7の結果を参照)。
Figure 0005465656
陰性対照についての結果(Gα16−ガストデューシン44のみを発現するがTAS2受容体を発現しない細胞に対してアゴニストを適用したもの:結果は上記の表を参照)から、試験化合物AによるTAS2R44の阻害の特異性が実証された。
アゴニスト特異性の対照として、関連性のない苦味受容体(TAS2R16)の、そのアゴニストであるフェニル−β−グルコピラノシドに対する応答もまた検出した(結果は、本明細書中以下の表8を参照)。
Figure 0005465656
表8の結果は、試験化合物Aが、関連性のない苦味受容体(TAS2R16)の、そのアゴニストであるフェニル−β−グルコピラノシドに対する応答を遮断しないことを示した。このことは、アンタゴニスト特異性の対照として役立つ。SABTRアゴニスト/試験化合物Aは、TAS2R16のアゴニストを阻害せず、したがって、試験化合物Aによるスクラロース(TAS2R44のアゴニスト)の阻害が特異的であることが示される。
EC50値を、例3に記載するとおり計算した。アゴニストとして、TAS2R44のためにスクラロースを用い、TAS2R16のためにフェニル−β−グルコピラノシドを用いた。結果を以下の表9に示す。
Figure 0005465656
試験化合物に対する応答が非特異的効果であることを除外するために、試験化合物B(4−(2,2,3−トリメチルシクロペンチル)ブタンアミド)の存在下において実験を行った。試験化合物Aと類似の化学構造を有する以下の化学構造を参照されたい。
Figure 0005465656
25μMの試験化合物Bの添加は、TAS2R44の応答に何ら効果を有さず、TAS2R44を発現しない細胞(陰性対照)において応答を惹起せず、およびTAS2R16のフェニル−β−グルコピラノシドの応答に影響を与えなかった。試験化合物Bの添加は、EC50値に対して何ら効果を有さなかった。
表9の結果は、異なる濃度のスクラロースに対するTAS2R44の応答が、25μMの(E)−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エニル)ブト−2−エン酸により阻害されることを示す。TAS2R16がシグナルを有さないことにより、試験化合物による阻害の特異性が示される。
上記の表6、7および8における対照実験により、試験化合物AのTAS2R44に対する阻害効果が特異的であることが実証された。
例10
官能評価
スクラロース(3mM)溶液中の試験化合物A(13ppm)の苦味遮断能力を評価した。
20mlの各溶液(スクラロースまたはスクラロースおよび試験化合物A)を、15人の苦味に対して感受性のパネリストにランダムな順序で示した。2回の複製実験において、パネリストは、より苦いものとして受容される溶液を選択するよう要求された。過剰分散(overdispersion)を修正するために、強制選択データからベータ二項分析を計算した。
評価のうち有意の(p<0.05)大多数(30のうち22)が、3mMのスクラロース溶液中の試験化合物A(13ppm)を、3mMのスクラロース溶液より苦くないものと選択した。このことは、0.88±0.12の有意なd’に相当する。
パネリストが苦味を2回の複製実験にわたって評価したため、データを二項d’分析に供し、過剰分散が起こっているか否かを決定した。過剰分散に起因して試験が行われた有意レベルを過小評価し、その結果偽陽性の結果をもたらしている可能性はなかった。分析は、過剰分散を否定し(ガンマ=0.00;p=0.109)、調整の必要性はなかった。
データから、試験化合物A(13ppm)が3mMのスクラロース溶液の受容される苦味を低減することが示された。
キットおよび方法を、説明的態様に関して記載したが、同様の態様を用いても、同じ機能を奏するために、そこから逸脱することなく、記載した態様に改変および追加を行ってもよいことが理解されるべきである。さらに、開示した全ての態様は、代替においては必ずしも存在しない。なぜならば、本発明の多様な態様は、所望の特徴を提供するために組み合わせることができるからである。当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく変更を行うことができる。したがって、キットおよび方法は、いかなる単一の態様にも限定されるべきではなく、むしろ添付される請求の範囲の記述と同等かつその範囲において解釈されるべきである。

Claims (4)

  1. スクラロースの味覚を調節する薬剤を同定する方法であって、
    (i)スクラロースにより活性化することができるTAS2R苦味受容体を発現する細胞を、少なくとも1種の薬剤の存在下において、スクラロースと接触させること;および
    (ii)前記少なくとも1種の薬剤が、前記TAS2R苦味受容体のスクラロースへの結合またはスクラロースへの結合に対する機能的応答に影響を及ぼすか否かを決定すること
    を含み、ただし、前記細胞が、その天然の環境において操作されていない細胞ではなく、前記TAS2R苦味受容体が、TAS2R1、TAS2R10、TAS2R44およびTAS2R46からなる群から選択される、前記方法(但し、人体で実施する方法を除く)
  2. 請求項1に記載の方法であって、TAS2R苦味受容体が、
    配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるポリペプチド配列に対して実質的に相同であり、少なくとも90%の配列同一性を有する、TAS2R苦味受容体;
    配列番号1、配列番号3および配列番号5、配列番号7からなる群より選択されるヌクレオチド配列に対して、配列同一性によって決定される場合に実質的に相同である核酸によりコードされるTAS2R苦味受容体
    から選択される1または2以上の配列を含み、
    ここで、配列同一性により決定される場合に実質的に相同な核酸は、少なくとも90%の配列同一性を有し
    こで、前記核酸は、任意に、対応するタンパク質において、その終末またはその付近に、C末端を形成するように配列番号12(HSVタグ)を含み、および任意に、ラットソマトスタチン(RSS)およびロドプシンから任意に選択され、配列番号11(RSSタグ)から任意に選択される膜輸送タグを、その終末またはその付近に、N末端を形成するように含み、
    およびここで、前記TAS2R苦味受容体は、任意に、そC末端にアミノ酸配列QPELAPEDPEDからなるHSVタグを含み、および任意に、ラットソマトスタチン(RSS)タグおよびロドプシンタグから任意に選択され、アミノ酸配列MAAVTYPSSVPTTLDPGNASSAWPLDTSLGNASAGTSLAGLAVSGからなるRSSタグから任意に選択される膜輸送タグを、そのN端に含む、前記方法。
  3. スクラロースの味覚の調節物質としての試験剤を同定するための組合せ使用のための、以下を含むキット:
    (i)請求項1または2に記載のTAS2R苦味受容体を発現する組み換え細胞、および
    (ii)スクラロース。
  4. 請求項1または2に記載のTAS2R苦味受容体を調節する薬剤を同定する方法であって、
    (i)TAS2R苦味受容体へのスクラロースの結合に応答して変化するパラメーターを測定すること、および
    (ii)試験剤に応答してのパラメーターの変化を陰性対照と比較して決定し、それによってスクラロースの味覚の調節物質を同定すること
    を含む、前記方法(但し、人体で実施する方法を除く)
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