JP5465650B2 - 油圧ショベルの荷重計測装置 - Google Patents
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Description
一般的に、ショベルクレーンの吊荷重の計測は、吊荷重によるフロント揺動基点を中心とする吊荷重モーメントとフロントの重力によるフロント揺動基点を中心とするフロント自重モーメントとの総荷重モーメントが、フロントを揺動する油圧シリンダの推力のフロント揺動基点に関する支持モーメントに釣り合うことに基づいて演算により求める。
このように、従来の吊荷重計測装置では、計測の都度、フロントによる作業を停止させる必要があるため、作業効率を低下させるものであった。
以下、本発明の油圧ショベルの荷重計測装置の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の荷重計測装置を備えた油圧ショベルの側面図である。
油圧ショベル1において、1Aはフロント作業機(以下、「フロント」とする)、1Bは車体、2はブーム、3はアーム、4はバケット、1dは旋回体、1eは走行体、1fは操作室である。油圧ショベル1は、垂直方向にそれぞれ回動するブーム2、アーム3およびバケット4等の複数の作業腕を有する多関節型のフロント1Aと旋回体1dおよび走行体1eからなる車体1Bとで構成されている。
さらに、油圧ショベル1は、荷重計測装置20により荷重を計測するための各種手段を備えている。
フロント姿勢を検出する検出手段として、車体1Bとブーム2の揺動中心に設けられたブーム角度センサ8、ブーム2とアーム3の揺動中心に設けられたアーム角度センサ9およびアーム3とバケット4の揺動中心に設けられたバケット角度センサ10を備えている。
圧力検出手段として、ブームシリンダ5のボトム側のシリンダ室内圧力を検出するブームシリンダボトム室圧力センサ11、ブームシリンダ5のロッド側のシリンダ室内圧力を検出するブームシリンダロッド室圧力センサ12、アームシリンダ6のボトム側のシリンダ室内圧力を検出するアームシリンダボトム室圧力センサ13、アームシリンダ6のロッド側のシリンダ室内圧力を検出するアームシリンダロッド室圧力センサ14、バケットシリンダ7のボトム側のシリンダ室内圧力を検出するバケットシリンダボトム室圧力センサ15、バケットシリンダ7のロッド側のシリンダ室内圧力を検出するバケットシリンダロッド室圧力センサ16を備えている。
シリンダ駆動検出手段として、各種の操作レバー32の操作信号を検出するため、ブームシリンダ5の操作を検出するブームパイロット圧センサ33、アームシリンダ6の操作を検出するアームパイロット圧センサ34、バケットシリンダ7の操作を検出するバケットパイロット圧センサ35を備えている。
図2は、本発明の油圧ショベルの荷重計測装置による荷重の計測方法の概念を説明するための図である。以下の説明における各ステップの順序は、固定的なものではなく、適宜、変更することが可能である。また、すべてのステップを発明の必須の要件とするものでもなく、単に、発明の内容を明確にすることを目的として説明するものである。
ステップS1が完了したら、ステップS2において、上記圧力検出手段により各油圧シリンダ5、6、7のボトム側のシリンダ室内圧力およびロッド側のシリンダ圧力を検出する。そして、油圧シリンダ5、6、7のそれぞれに対して、ボトム側のシリンダ室内圧力とロッド側のシリンダ圧力との差を演算し、油圧シリンダ5、6、7のそれぞれに作用する推力を演算する。
この式についての詳細は後述する。
(1)油圧シリンダがストロークエンドに伸縮されている。
(2)特異姿勢の状態にある。
(3)油圧シリンダが駆動(揺動)状態にある。
最終荷重値を決定するうえで、ステップS5において、荷重演算するのに不適切と判断された油圧シリンダに関して演算された荷重値は、荷重演算するのに不適切と判断されなかった油圧シリンダに関して演算されたいずれの荷重値よりも優先順位は下位とされる。換言すれば、荷重演算するのに適切な油圧シリンダの荷重値は、常に、荷重演算するのに不適切な油圧シリンダの荷重値よりも優先される。この場合、荷重演算するのに不適切と判断された油圧シリンダに関して演算された荷重値は、優先順位を付す代わりに、優先順位無し、または優先順位無効としてもよい。
以下、本発明の一実施の形態の詳細を説明する。
以下、図3に示された構成手段22〜30ごとに、順に、処理の内容および処理の流れについて説明する。
各角度センサ8、9、10から構成される姿勢検出手段および各圧力センサ11〜16から構成される圧力検出手段の各センサ検出結果を用いて、各油圧シリンダ5、6、7に関して荷重演算を行い、演算結果としての荷重値を荷重値選択手段28に送る。ここで、各油圧シリンダ5、6、7に関する荷重演算とは、ブームシリンダ5に対しては、圧力センサ11および12の検出値に基づいて、アームシリンダ6に対しては、圧力センサ13および14の検出値に基づいて、バケットシリンダ7に対しては、圧力センサ15および16の検出値に基づいて、荷重演算をすることである。
(2)シリンダストロークエンド判定手段23:
フロントの姿勢検出手段の検出結果を用いて、ストロークエンドとなっている油圧
シリンダを判定し、判定結果をシリンダ判定手段26に送る。ストロークエンドについては後述する。
(3)特異姿勢判定手段24:
姿勢検出手段の検出結果を用いて、特異姿勢となっている油圧シリンダを判定し、判定結果をシリンダ判定手段26に送る。特異姿勢判定の具体的な内容については後述する。
(4)駆動判定手段25:
操作レバー32の操作を検出する各パイロット圧センサ33、34、35から構成される操作検出手段の検出結果を用いて、駆動状態にある油圧シリンダを判定し、判定結果をシリンダ判定手段26に送る。油圧シリンダの駆動判定方法については後述する。
シリンダストロークエンド判定手段23、特異姿勢判定手段24、駆動判定手段25の判定結果を用いて、ストロークエンド、特異姿勢、駆動状態のいずれの状態でもない油圧シリンダを判定する。判定結果は荷重値選択手段28に出力される。この場合、全ての油圧シリンダがストロークエンド、特異姿勢、駆動状態のいずれかの状態である場合、判定不能の結果を出力する。
(6)シリンダ順位決定手段27:
フロントの姿勢検出手段の検出結果を用いて、荷重演算結果の誤差が小さい順に、油圧シリンダに優先順位をつけ、各油圧シリンダの優先順位を荷重値選択手段28に送る。荷重演算結果の誤差についての優先順位は所定の式による演算により決定するが、順位決定の具体的な方法については後述する。
シリンダ順位決定手段27により決定した順位に基づいて、荷重演算手段22で演算された荷重値を上位から順に順位を付す。この場合、シリンダ判定手段26における判定結果を用い、荷重計測に不適切な状態とされた油圧シリンダに関する荷重値は、そうでない油圧シリンダに関する荷重値より優先順位が下位とされる。荷重計測に不適切な状態とされた油圧シリンダに関する荷重値は、優先順位無しまたは優先順位無効としてもよい。選択された最上位の荷重計測値は最終荷重値出力手段29に送られる。また、すべてのシリンダが計測に不適切であった場合は、荷重計測値が不適切であるという情報が送られる。
(8)最終荷重値出力手段29:
荷重値選択手段28により選択された油圧シリンダの荷重演算値を最終荷重値として表示装置36に出力し、表示する。同時に、荷重値保持手段30にこの最終荷重値を出力する。荷重値選択手段28から荷重計測値は不適切である情報が付されている場合には、荷重値保持手段30が保持している前回の計測結果である最終荷重値を読み込み、表示装置36に出力する。また、この場合には、今回の計測結果である最終荷重値を表示装置36および荷重値保持手段30に出力しない。従って、表示装置36には、最終荷重値出力手段29から送られてくる前回の計測値である最終荷重値が表示される。また、荷重計測に不適切な油圧シリンダに関して演算された荷重計測値は、表示装置36には表示されることはない。
(9)荷重値保持手段30:
最終荷重値出力手段29から送られる最終荷重値を保持する。
<荷重演算>
積載した重量物の荷重を演算により求める方法として三通りの方法ある。
第1の演算方法は、ブームシリンダ5のボトム室圧力センサ11およびロッド室圧力センサ12により検出された圧力検出値、およびブーム角度センサ8、アーム角度センサ9およびバケット角度センサ10の各角度検出センサにより検出された角度検出値に基づいて演算する方法である。
第2の演算方法は、アームシリンダ6のボトム室圧力センサ13およびロッド室圧力センサ14により検出された圧力検出値、およびブーム角度センサ8、アーム角度センサ9およびバケット角度センサ10の各角度検出センサにより検出された角度検出値に基づいて演算する方法である。
第3の演算方法は、バケットシリンダ7のボトム室圧力センサ15およびロッド室圧力センサ16により検出された圧力検出値、およびブーム角度センサ8、アーム角度センサ9およびバケット角度センサ10の各角度検出センサにより検出された角度検出値に基づいて演算する方法である。
以下、第1〜第3の演算方法を順に説明する。
ブームシリンダ5による荷重演算について、図4を参照して説明する。
図4における各符号は下記を示す。
W:フロント1Aにかかる荷重
W1:ブームシリンダ5を除いたフロント自重
lbm:ブーム2の揺動中心と荷重点間の水平方向長さ
hbm:ブーム2の揺動中心からブームシリンダ5の軸線に対して引いた垂線の長さ
l1:ブーム2の揺動中心とブームシリンダ5を除いたフロント1Aの重心位置間の水平方向長さ
P1b、P1r:ブームシリンダ5のボトム側圧力、ロッド側圧力
A1b、A1r :ブームシリンダ5のボトム側受圧面積、ロッド側受圧面積
Fbm:ブームシリンダ5の推力
推力Fbmは、荷重Wによるモーメントおよびフロント自重W1によるモーメントと釣り合っているので(数2)が成り立つ。
(数1)と(数2)から(数3)が導かれる。
以上より、ブームシリンダ5について、ブーム2の揺動中心のモーメント釣り合い式から荷重Wを演算することができる。
アームシリンダ6による荷重演算について、図5を参照して説明する。
図5における各符号は下記を示す。
W:フロント1Aにかかる荷重
W2:ブーム2、ブームシリンダ5、アームシリンダ6を除いたフロント自重
lam:アーム3の揺動中心と荷重点間の水平方向長さ
ham:アーム3の揺動中心からアームシリンダ6の軸線に対して引いた垂線の長さ
l2:アーム3の揺動中心とブーム2、ブームシリンダ5、アームシリンダ6を除いたフロント重心位置間の水平方向長さ
P2b 、P2r:アームシリンダ6のボトム側圧力、ロッド側圧力
A2b、A2r :アームシリンダ6のボトム側受圧面積、ロッド側受圧面積
Fam:アームシリンダ6の推力
推力Famは、荷重Wによるモーメントおよびフロント自重W2によるモーメントと釣り合っているので、(数5)が成り立つ。
(数4)と(数5)から(数6)が導かれる。
以上より、アームシリンダ6について、アーム3の揺動中心のモーメント釣り合い式から荷重Wを演算することができる。
バケットシリンダ7による荷重演算について、図6、7を参照して説明する。
図6は圧力および荷重の位置を示し、図7は、図6に図示された圧力および荷重によるモーメントの釣り合いを説明するための図である。
図6および図7における各符号は下記を示す。
W:フロント1Aにかかる荷重
W3:ブーム2、アーム3、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7を除いたフロント自重
lbk:バケット4の揺動中心と荷重点間の水平方向長さ
l3:バケット4の揺動中心とブーム2、アーム3、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7を除いたフロント重心位置間の水平方向長さ
P3b、P3r:バケットシリンダ7のボトム側圧力、ロッド側圧力
A3b、A3r:バケットシリンダ7のボトム側受圧面積、ロッド側受圧面積
Fbk:バケットシリンダ7の推力
この式はaまわりのモーメント釣り合い式である。
以上より、バケットシリンダ7について、バケット4の揺動中心のモーメント釣り合い式から荷重Wを演算することができる。
荷重を演算することが不適切な油圧シリンダの状態には、次に示す(i)〜(iii)の3つの状態がある。
(i)油圧シリンダがストロークエンドまで伸縮された状態
(ii)油圧シリンダが特異な方向を向いている状態
(iii)油圧シリンダが駆動されている状態
正確な荷重の計測には、このような不適切な状態の油圧シリンダからの検出値に基づいて演算した荷重値を除外する必要がある。このためには、上記(i)〜(iii)に示す状態であることを検出しなければならない。
以下、各状態の検出手段について順次説明する。
シリンダストロークエンド判定手段23で行われるシリンダストロークエンド判定について述べる。
各油圧シリンダが、伸縮ストローク端に達すると、ストローク端に設けられたクッション圧、リリーフ圧へと変動し、正確な圧力を検出することができない。そこで、油圧シリンダがストロークエンドに達したことを検出する。ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7の長さは、それぞれブーム角度センサ8、アーム角度センサ9、バケット角度センサ10の検出結果と、既知であるフロント寸法から演算することができる。また、各シリンダの最伸長および最縮長も既知である。シリンダストロークエンド判定手段23は、角度センサ8、9、10の検出結果より演算される各シリンダ長さが、それぞれの最伸長または最縮長に、ストロークエンド付近でのクッション域を含んだ長さとなったときに、油圧シリンダがストロークエンドとなったことを判定する。
特異姿勢判定手段24で行われる特異姿勢判定について述べる。
ここで述べる特異姿勢とは、フロント1Aの揺動中心と荷重が加わる荷重作用点を結ぶ直線が、荷重方向と実質的に平行すなわち鉛直上向きまたは鉛直下向きとなるフロント1Aの姿勢である。この姿勢では、油圧シリンダの圧力は、圧力ゼロの付近で不安定に変動し、正確な検出値を得ることができない。
特異姿勢では、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7それぞれについて、角度センサ8、9、10の検出結果より演算されるlbm、lam、lbkがそれぞれゼロとなる。そこで、特異姿勢判定手段24は、lbmがゼロとなるときブームシリンダ5について特異姿勢であると判定し、lamがゼロとなるときアームシリンダ6ついて特異姿勢であると判定し、lbkがゼロとなるときバケットシリンダ7について特異姿勢であると判定する。
なお、上記において、特異姿勢は、フロント1Aの揺動中心と荷重が加わる荷重作用点を結ぶ直線が、荷重方向と実質的に平行すなわち鉛直上向きまたは鉛直下向きとなる場合としている。しかし、フロント1Aの揺動中心と荷重が加わる荷重作用点を結ぶ直線が、荷重方向に対して所定の角度範囲内である場合を含むものである。
駆動判定手段25で行われるシリンダ駆動判定について述べる。
ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7は、それぞれ対応する操作レバーをオペレータが操作することで、レバー操作方向に応じて伸長または短縮方向に駆動される。
そこで、操作レバー32から各シリンダを駆動するために送られる操作信号として、パイロット圧力をパイロット圧センサ33、34、35により検出する。これより、駆動判定手段25は、操作信号が送られているシリンダを駆動状態であるとして判定する。
シリンダ順位決定手段27で行われるシリンダ優先順位決定について、図8を参照して述べる。図8は油圧シリンダを備えた1リンクアームモデルであり、油圧シリンダはブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7のいずれかである。また、1リンクアームはシリンダに対応するフロントの部分が当てはまり、ブームシリンダ5に対応してフロント1Aからブームシリンダ5を除いた部分、アームシリンダ6に対応してフロント1Aからブーム2、ブームシリンダ5、アームシリンダ6を除いた部分、バケットシリンダ7に対応してフロント1Aからブーム2、アーム3、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7を除いた部分が当てはまる。
ΔPが大きいほど、荷重Wが油圧シリンダに伝わりやすいため、センサ精度や摩擦などの誤差要因の影響がセンサ検出値に占める割合が低下し、計測誤差が小さいと考えられる。
そこで、上式の括弧内を参照し、これが最も大きくなる油圧シリンダを選択する。すなわち、次の(数12)に示すαが大きい順にブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7に順位をつける。
(1)フロントの姿勢を検出する姿勢検出手段と油圧シリンダの圧力を検出する圧力検出手段とを複数組設け、いずれの組によっても荷重計測をすることができるようにしたので、油圧シリンダのいずれかが駆動中であっても、荷重計測が可能であり、作業効率の向上を図ることができる。
(2)各油圧シリンダに関して演算により算出された荷重値に対し、所定の式による演算結果に基づいて、優先順位を付し、最優先の荷重値を出力するので、正確な計測結果が得られる。
(4)荷重計測を、作業の継続に合わせて周期的に行うので、荷重が変わっても計測を連続的に行うことができ、一層、作業性よくすることができる。また、荷重が大きく変化した場合には、オペレータは、異常状態として認識することが可能であり、事故の未然防止を図ることができる。
(5)周期的に荷重計測を行っても、最終荷重値が荷重計測に不適切な油圧シリンダに関して演算されたものである場合には、前回の最終荷重値を表示し、今回の表示を消すことはないので、再計測を行ったり、前回の表示を再表示させたりするような操作をする必要がなく、能率的な作業を行うことができる。
上記実施形態1では、フロント1Aの姿勢検出手段として角度センサを設けたものであった。
実施形態2では、フロント1Aの姿勢検出手段として各油圧シリンダ5、6、7にストロークセンサを設ける。ストロークセンサにより、各油圧シリンダ5、6、7の停止位置を検出し、各油圧シリンダの長さを演算し、各油圧シリンダ5、6、7によって揺動されるブーム2、アーム3、バケット4の傾斜角を算出する。このようにしても、フロント1Aの姿勢を検出することができる。
上記実施形態1では、圧力検出手段として圧力センサ11〜16をブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7の全てに設けたものであった。
実施形態3では、圧力センサを3つのシリンダのうちの2つに設ける構成とする。例えば、ブームシリンダ5に圧力センサ11、12を設け、アームシリンダ6に圧力センサ13、14を設ける。バケットシリンダ4には圧力センサを設けないので、この分、コストを低減することが可能である。このように、圧力センサを2つの油圧シリンダだけに設けた場合でも、図3に図示されたすべての処理の実行は可能である。但し、圧力センサの設置が1箇所少ないだけ、すべての油圧シリンダが、荷重値の演算が不適切な状態となる確率が高くなり、適切な最終荷重値が出力されるまでの時間が長くなる可能性が大きくなるので、この対応を図るようにすることがより望ましい。
上記実施形態1では、シリンダストロークエンド判定手段23は、各油圧シリンダ長さが、それぞれの最伸長または最縮長に、ストロークエンド付近でのクッション域を含んだ長さとなったときに、油圧シリンダがストロークエンドとなったことを判定するものであった。
実施形態4では、シリンダストロークエンド判定手段23は、各油圧シリンダ長さが、それぞれの最伸長または最縮長と一致した場合に、ストロークエンドとなったことを判定する。あるいは、シリンダストロークエンド判定手段23は、ストロークエンド付近の、適切な長さと判断される、任意に設定した長さと一致した場合に、ストロークエンドとなったことを判定するようにしてもよい。
上記一実施の形態では、駆動判定手段25としてパイロット圧力を検出する圧力センサ33〜35を用いたものであった。
実施形態5では、操作レバー32を操作した際、操作レバー32の傾斜角度を検出する角度センサを駆動判定手段として用いる。
上記一実施の形態では、各油圧シリンダの駆動判定手段25として、油圧式の操作レバー32を用い、操作レバー32の操作に対応するパイロット圧の変化に基づいて判定するものであった。
実施形態6では、各油圧シリンダの駆動判定手段25として、電気式の操作レバー32を用い、操作レバー32の操作に対応する電圧値の変化を検出して各油圧シリンダの駆動状態を判定する。
上記一実施の形態では、各油圧シリンダの駆動判定を、各操作レバー32の操作状態の基づいて行うものであった。
実施形態7では、各油圧シリンダの駆動判定を、ブーム2、アーム3、バケット4の角度を検出するフロント1Aの姿勢検出手段により行う。各角度センサ8、9、10からの検出値を所定の時間間隔で取り込み、その時間変化の有無、または時間変化が所定の割合以下であるか否かに基づいて、各油圧シリンダ5、6、7の駆動状況を判定する。
上記一実施の形態では、荷重値保持手段30は、最終荷重値出力手段29が出力した最新の荷重値を、前回の最終荷重値に置き換えるものであった。
実施形態8では、荷重値保持手段30は、最終荷重値出力手段29が出力する最終荷重値を最新のものから時系列的に複数の所定の個数、または最新のものから時系列的に所定時間内における複数個、保持する。そして、今回の最終荷重値が、荷重計測には不適切である油圧シリンダに関して演算された荷重値である場合には、荷重値保持手段30に保持されている荷重値の平均値を出力する。または、荷重値保持手段30に保持されている荷重値の中央値を出力する。
上記一実施の形態では、シリンダ順位決定手段27によりシリンダの優先順位を決定した後、シリンダ判定手段26によるシリンダ判定を行った。
実施形態9では、シリンダ判定手段26によるシリンダ判定を、シリンダ順位決定手段27によるシリンダの優先順位決定よりも先に行う。
上記一実施の形態では、フロント1Aは、フロント作業機としてバケット4を備えているものであった。
実施形態10では、フロント1Aは、フロント作業機としてフォークグラップル、リフティングマグネットのいずれかを備えている。この場合、フロント作業機として、さらに、他のフロント作業機に置き換えることも可能である。
また、最終荷重値を表示する表示装置36に替えて、音声により出力する報音器を用いることができる。表示装置および報音器の両者により報知してもよい。報音器による報知は、荷重値が設定した閾値を超えた場合に警報を発する警報機としてもよい。さらに、フロント1Aは作業腕が3つである油圧ショベルに限られるものではなく、作業腕を4つ以上有するフロント1Aに対しても適用が可能である。
1A フロント作業機
1B 車体
2 ブーム(作業腕)
3 アーム(作業腕)
4 バケット(作業腕)
5〜7 油圧シリンダ
8〜10 角度センサ
11〜16 圧力センサ
33〜35 パイロット圧センサ
Claims (6)
- 複数の油圧シリンダと、それぞれ、各油圧シリンダにより駆動される複数の作業腕とを有するフロントにより重量物の運搬作業を行う油圧ショベルの荷重計測装置であって、
フロント姿勢を検出する姿勢検出手段と、
前記油圧シリンダの中、少なくとも2つの前記油圧シリンダのそれぞれに対して、ボトム側圧力およびロッド側圧力を検出する圧力検出手段と、
前記姿勢検出手段および前記圧力検出手段の検出結果に基づいて、少なくとも2つの前記油圧シリンダに関する荷重値を演算する荷重演算手段と、
前記姿勢検出手段の検出結果に基づいて前記各油圧シリンダがストロークエンドであることを判定するシリンダストロークエンド判定手段と、
前記姿勢検出手段の検出結果に基づいて特異姿勢であることを判定する特異姿勢判定手段と、
前記油圧シリンダが駆動状態であることを判定するシリンダ駆動判定手段と、
前記シリンダストロークエンド判定手段、前記特異姿勢判定手段および前記シリンダ駆動判定手段の判定結果に基づいて、前記各油圧シリンダが、荷重演算を行うことに不適切な状態であることを判定するシリンダ判定手段と、
前記姿勢検出手段の検出結果に基づいて、前記荷重演算手段により演算された荷重値を、計測値として適切な順に優先順位を付すシリンダ順位決定手段と、
前記シリンダ判定手段および前記シリンダ順位決定手段の判定結果に基づいて最優先順位の荷重値を最終荷重値として出力する最終荷重値出力手段とを備え、
前記最終荷重値は、前記シリンダストロークエンド判定手段でストロークエンドであると判定された前記油圧シリンダ、前記特異姿勢判定手段で特異姿勢であると判定された前記油圧シリンダまたは前記シリンダ駆動判定手段で駆動状態であると判定された前記油圧シリンダのいずれにも該当しない前記油圧シリンダに関して演算された荷重値のうち、最優先順位の荷重値であることを特徴とする油圧ショベルの荷重計測装置。 - 請求項1に記載の油圧ショベルの荷重計測装置において、さらに、荷重値を演算する前記荷重演算手段による荷重値の演算と、前記最終荷重値出力手段による最終荷重値の出力とを所定の周期で繰り返し行わせる演算指示手段を備えることを特徴とする油圧ショベルの荷重計測装置。
- 請求項1または2に記載の油圧ショベルの荷重計測装置において、前記シリンダ順位決定手段は、
α=(l/h)×(1/A)
(但し、l:油圧シリンダによって揺動されるフロントのリンク関節から荷重ベクトルまでの水平方向長さ、h:油圧シリンダによって揺動されるフロントのリンク関節から油圧シリンダの軸線におろした垂線の長さ、A:油圧シリンダのボトム側受圧面積)
により演算したαの大きさの順に優先順位を付すことを特徴とする油圧ショベルの荷重計測装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の油圧ショベルの荷重計測装置において、前記特異姿勢判定手段は、前記油圧シリンダによって揺動される前記作業腕が鉛直方向に向いている状態の場合に特異姿勢であると判定することを特徴とする油圧ショベルの荷重計測装置。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の油圧ショベルの荷重計測装置において、さらに、前記最終荷重値出力手段が出力する荷重値を保持し、演算周期ごとに更新する荷重値保持手段を備え、前記油圧シリンダの全てが、前記シリンダストロークエンド判定手段でストロークエンドであると判定されたか、前記特異姿勢判定手段で特異姿勢であると判定されたかまたは前記シリンダ駆動判定手段で駆動状態であると判定されたかのいずれかであるとき、前記荷重値保持手段が保持する荷重値を最終荷重値出力手段に出力することを特徴とする油圧ショベルの荷重計測装置。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の油圧ショベルの荷重計測装置において、最終荷重値出力手段が出力した計測荷重値を報知する報知手段を備えることを特徴とする油圧ショベルの荷重計測装置。
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