JP5463704B2 - りん酸形燃料電池のりん酸凍結防止方法及びりん酸凍結防止装置 - Google Patents

りん酸形燃料電池のりん酸凍結防止方法及びりん酸凍結防止装置 Download PDF

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Description

本発明は、りん酸形燃料電池の停止時におけるりん酸凍結防止方法及びりん酸凍結防止装置に関する。
りん酸形燃料電池では、95〜100質量%の濃度のりん酸をマトリックスに含浸させた電解質層が用いられている。かかるりん酸濃度では、およそ40℃程度でりん酸が凍結するので、りん酸形燃料電池発電装置の運転を停止して、電解質の温度が室温レベルまで低下すると、りん酸が凍結する恐れがあった。りん酸が凍結すると、凍結したりん酸により電解質に亀裂が生じたり、りん酸の偏在化が生じて、その後の燃料特性に重大な悪影響を及ぼす危険性がある。
そのため、工場において作製され、出荷前の発電試験後からユーザのもとに搬送される間や、長期間運転を停止した場合などにおいては、りん酸が凍結しないように、電気ヒーター等で保温して保管することが従来より行われている。
また、りん酸濃度を希釈することで融点が低下することが知られている。例えばリン酸濃度を78質量%にするとりん酸の凍結温度は0℃まで下がる。このため、りん酸形燃料電池発電装置の運転停止中は、りん酸濃度を低下させて、りん酸の凍結温度を低下させる試みが行われている。
例えば、下記特許文献1には、空気極、または燃料極に加湿したガスを流すことによりりん酸濃度を低下させて、凍結温度を低下させることが記載されている。
特公平3−15305号公報
しかしながら、電気ヒーター等で保温してりん酸が凍結しないようにする方法では、りん酸形燃料電池発電装置を船舶で輸送したり、長期間保管する場合には、保温のための設備やエネルギーを確保するのが難しく、維持コストがかかるという問題があった。
また、りん酸形燃料電池に加湿ガスを流通させてりん酸濃度を低下させる方法では、りん酸濃度がどの程度まで希釈されているかを把握する方法が、今までは知られていなかった。このため、りん酸が十分希釈されないまま希釈工程を終了してしまったり、過剰に希釈してしまう恐れがあった。過剰に希釈すると、りん酸体積が増大し、セル内にりん酸を保持できなくなって、りん酸がセル外に漏洩し、電池特性を悪化させる恐れがある。
また、りん酸の吸湿速度は、初期段階は比較的早いが、飽和点に近づくにつれて遅くなるので、目標とするりん酸濃度に達するまで長時間要するという問題があった。
したがって、本発明の目的は、りん酸形燃料電池に加湿ガスを流通して、りん酸濃度を目標値まで正確かつ速やかに希釈し、環境温度の影響によるりん酸の凍結を防止するりん酸凍結防止方法及びりん酸凍結防止装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止方法は、りん酸電解質層を、燃料極電極層及び酸化剤電極層で挟持したりん酸形燃料電池の停止時におけるりん酸凍結防止方法であって、
前記りん酸形燃料電池に加湿ガスを流通させ、りん酸形燃料電池に導入する加湿ガスの流量と、りん酸形燃料電池に導入する加湿ガスの露点と、りん酸形燃料電池から排出される加湿ガスの露点とを連続的に測定し、この測定値に基づいてりん酸形燃料電池内に残存する水分量を求め、該水分量に基づいてりん酸濃度を算出し、
前記りん酸電解質層の温度が、算出された前記りん酸濃度におけるりん酸凍結温度に対して所定値だけ高い設定温度を超える場合は、前記りん酸形燃料電池を冷却する制御を行って、前記りん酸形燃料電池の温度を降下させ、
算出された前記りん酸濃度が所定値に達したら前記加湿ガスの供給を停止することを特徴とする。
本発明のりん酸凍結防止方法によれば、りん酸形燃料電池発電装置を停止して長期間保管などする際において、りん酸形燃料電池に加湿ガスを流通させるので、りん酸濃度が希釈されて、りん酸の凍結温度を下げることができる。そして、加湿ガスの流量と、りん酸形燃料電池に導入する加湿ガスの露点から求めた水蒸気分圧より、りん酸形燃料電池に導入された水分量を算出し、また、加湿ガスの流量と、りん酸形燃料電池から排出された加湿ガスの露点から求めた水蒸気分圧より、りん酸形燃料電池から排出された水分量を算出することにより、これらの差分からりん酸形燃料電池に残存する水分量を求めることができる。一方、りん酸形燃料電池に保持されているりん酸量は既知であることから、加湿ガスの流量、りん酸形燃料電池に導入前及び導入後の加湿ガスの露点から、りん酸形燃料電池内のりん酸濃度をほぼ正確に算出できる。このため、りん酸濃度を常時モニタリングすることが可能であり、該算出値が設定値に達したら加湿ガスの供給を停止することで、りん酸が過剰に希釈されることを防止できる。これによって、より短時間でりん酸濃度の希釈作業を完了でき、更には、過剰希釈によって電池単セル内のりん酸体積が増大してりん酸がセル外に漏出するなどのトラブルの発生を防止できる。
また、りん酸形燃料電池に加湿ガスを流通させながら、前記りん酸形燃料電池の温度を、その時点でのりん酸濃度におけるりん酸凍結温度以上に維持しつつ、前記りん酸形燃料電池の温度を降下させるので、りん酸の凍結を防止しつつ、りん酸濃度の希釈時間をより短縮できる。
本発明のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止方法は、前記りん酸電解質層の温度が、算出されたりん酸濃度におけるりん酸凍結温度を下回る場合は前記りん酸形燃料電池を加温する制御を行うことが好ましい。
また、本発明のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置は、
りん酸電解質層を燃料極電極層及び酸化剤電極層で挟持したりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置において、
加湿ガス生成装置と、
前記加湿ガス生成装置から生成される加湿ガスを、前記りん酸形燃料電池に導入する加湿ガス導入路と、
前記加湿ガス生成装置から生成される加湿ガスを、前記りん酸形燃料電池から排出する加湿ガス排出路と、
前記加湿ガス導入路に配置された流量計及び第1露点計と、
前記加湿ガス排出路に配置された第2露点計と、
前記りん酸形燃料電池の温度を制御する温度調整装置と、
りん酸形燃料電池発電装置の停止時において、前記りん酸形燃料電池に前記加湿ガス生成装置で生成された加湿ガスを流通させ、前記流量計で計測される加湿ガスの流量と、前記第1露点計で計測されるりん酸形燃料電池に導入前の加湿ガスの露点と、前記第2露点計で計測されるりん酸形燃料電池から排出される加湿ガスの露点とに基づいて、りん酸形燃料電池内に残存する水分量を求め、該水分量に基づいてりん酸濃度を算出し、前記りん酸電解質層の温度が、算出されたりん酸濃度におけるりん酸凍結温度に対して所定値だけ高い設定温度を超える場合は、前記温度調整装置により前記りん酸形燃料電池を冷却して前記りん酸形燃料電池の温度を降下させ、算出されたりん酸濃度が所定値に達したら前記加湿ガスの供給を停止するように制御を行う制御装置と、を備えることを特徴とする。
本発明のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置によれば、りん酸形燃料電池を停止して長期間保管などする際に、加湿ガス生成装置からりん酸形燃料電池に加湿ガスを流通させるので、りん酸濃度が希釈されて、りん酸の凍結温度を下げることができる。そして、前記制御装置によって、前記流量計で計測される加湿ガスの流量と、前記第1露点計で計測されるりん酸形燃料電池に導入前の加湿ガスの露点と、前記第2露点計で計測されるりん酸形燃料電池から排出される加湿ガスの露点とに基づいて、りん酸形燃料電池内に残存する水分量を求め、該水分量に基づいてりん酸濃度を算出し、算出されたりん酸濃度が所定値に達したら前記加湿ガスの供給を停止することができる。このため、りん酸濃度を常時モニタリングすることが可能であり、該算出値が設定値に達したら加湿ガスの供給を停止することで、りん酸が過剰に希釈されることを防止できる。これによって、より短時間でりん酸濃度の希釈作業を完了でき、更には、過剰希釈によって電池単セルが膨張してりん酸がセル外に漏出するなどのトラブルの発生を防止できる。
また、りん酸形燃料電池の温度調整装置を更に備えりん酸形燃料電池の温度を、その時点でのりん酸濃度におけるりん酸凍結温度以上に維持しつつ低下させるように、前記温度調整装置を制御するのでりん酸の凍結を防止しつつ、りん酸濃度の希釈時間をより短縮できる。
本発明のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置の前記制御装置は、前記りん酸電解質層の温度が前記りん酸凍結温度を下回る場合は、前記温度調整装置により前記りん酸形燃料電池を加温する制御を行なうことが好ましい。
本発明によれば、より短時間でりん酸濃度の希釈作業を完了でき、更には、過剰希釈によって電池単セルが膨張してりん酸がセル外に漏出するなどのトラブルの発生を防止できる。
本発明のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置の第1の実施形態の概略構成図である。 同装置における制御装置のフローチャートである。 加湿時間とりん酸濃度との関係図である。 加湿ガスの水蒸気分圧と、50℃のりん酸が吸湿できる飽和水分量との関係図である。 本発明のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置の第2の実施形態の概略構成図である。 同装置における制御装置のフローチャートである。 りん酸濃度とりん酸凍結温度との関係図である。 加湿ガスを一定流量でりん酸形燃料電池に投入しつつ、入口露点、出口露点を連続的に測定して、りん酸形燃料電池内の残留水分量及びセル内りん酸濃度を算出した結果を示す図である。
以下、本発明について、図面を参照して更に詳細に説明する。図1には、本発明のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置の第1の実施形態が示されている。
図中の10は、りん酸形燃料電池であって、りん酸を保持したマトリックスからなる電解質層11を挟持する燃料電極層12及び空気電極層13からなる単位セルを複数積層して形成されている。
燃料電極層12の入口側には、開閉弁V1が介装された、燃料ガス供給源から伸びる配管L1が接続している。また、燃料電極層12の出口側からは、開閉弁V2が介装された配管L2が伸びており、燃料電極層12を通過したガスがオフガスとして電池外に排気できるように構成されている。
空気電極層13の入口側には、ブロア等の空気供給減から伸びた配管L3が接続している。この配管L3には、上流側から、加湿器21、開閉弁V3、流量計22、第1露点計23が配置された配管L3が接続している。また、空気電極層13の出口側からは、第2露点計24、開閉弁V4が介装された配管L4が接続しており、燃料電極層12を通過したガスをオフガスとして電池外に排気できるように構成されている。
流量計22、第1露点計23、第2露点計24の測定値は、制御装置30に送られ、該測定値に基づいて、りん酸形燃料電池10内のりん酸濃度が算出される。すなわち、制御装置30では、第1露点計23の測定値から、りん酸形燃料電池10に導入する加湿ガスの水蒸気分圧(以下、「入口水蒸気分圧」ともいう)が求められ、この入口水蒸気分圧と、流量計22の測定値および加湿ガス供給時間とから、下記数式(1)によって、tin℃の加湿ガスがりん酸形燃料電池10に導入される場合の水分量が算出される。
同様にして、第2露点計24の測定値から、りん酸形燃料電池10から排気される加湿ガスの水蒸気分圧(以下、「出口水蒸気分圧」ともいう)が求められ、この出口水蒸気分圧と、流量計22の測定値から、下記数式(2)によって、りん酸形燃料電池10から排出されるtOUT℃のガス中の水分量が算出される。
そして、りん酸形燃料電池10に導入される水分量の算出値と、りん酸形燃料電池10から排出される水分量の算出値との差分が、下記数式(3)によって求められる。
この水分量の差分値は電解質層11中のりん酸が吸湿した水分量であり、また、りん酸形燃料電池10内の初期のりん酸量は、仕込み量(製作時に燃料電池本体に含浸させたりん酸電解液重量)と含浸させたりん酸電解液のりん酸濃度(当初りん酸濃度)から決定される値であって既知の値であるので、前記水分量の差分値に基づいて、下記数式(4)によって希釈後のりん酸濃度が算出される。
また、制御装置30は、開閉弁V1〜V4の開閉、加湿器21の出力を、後述する図2に示すフローチャートに従って制御するようになっている。
次に、上記りん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置を用いた、本発明のりん酸凍結防止方法について説明する。
りん酸形燃料電池10の通常運転時には、燃料電極層12に供給された燃料ガス中の水素と、空気電極層13に供給された空気中の酸素とが電気化学反応して発電し、その電力が図示しない電力系統に供給される。
りん酸形燃料電池10内のりん酸濃度は、およそ90質量%程度であるが、りん酸形燃料電池10の運転温度はおよそ170〜200℃であるので、通常運転時はりん酸が凍結することが無い。しかしながら、りん酸形燃料電池発電装置の運転を停止して、雰囲気温度が室温レベルまで低下すると、りん酸が凍結し、凍結したりん酸により電解質に亀裂が生じたり、りん酸の偏在化が生じて、その後の燃料特性に重大な悪影響を及ぼす危険性がある。
本発明では、りん酸形燃料電池発電装置の運転を停止して、長期間保管したり、ユーザ元に搬送する際に、りん酸形燃料電池10に加湿ガスを供給してりん酸濃度を希釈することにより、りん酸の凍結温度を低下させて、りん酸の凍結を防止する。
すなわち、図2に示すように、燃料電池発電装置の運転が停止して、制御装置30に停止信号が入力されると(ステップS1)、制御装置30は、開閉弁V1,V2を閉じて燃料ガスの供給を停止する(ステップS2)と共に、加湿器21を作動させて、空気電極層13に加湿した空気(加湿ガス)を供給する(ステップS3)。こうして、加湿ガスを流通させることにより、りん酸形燃料電池10中のりん酸に水を吸湿させてりん酸濃度を低下させることができる。
その際、制御装置30に、加湿ガスの流量(流量計22の測定値)と、りん酸形燃料電池10に導入される加湿ガスの露点(第1露点計23の測定値)と、りん酸形燃料電池10を通過後の加湿ガスの露点(第2露点計24の測定値)とがそれぞれ入力され、前述した数式(1)〜(4)に基づいて、りん酸形燃料電池10のりん酸濃度が算出される(ステップS4)。
そして、算出されたりん酸濃度と、あらかじめ定めた設定値とを比較して(ステップS5)、該設定値を下回ったら加湿器21を停止させ(ステップS6)、開閉弁V3,V4を閉じてりん酸形燃料電池10を封止する(ステップS7)。
りん酸の吸湿速度は図3に示すように、初期的には速く、飽和点が近づくにつれて遅くなる。投入する加湿ガスの水蒸気分圧と飽和りん酸濃度には図4のような関係がある。図4は、りん酸の温度が50℃の場合の関係図であるが、例えば、50℃のりん酸に、露点26℃で加湿した水蒸気分圧3.34kPaの加湿ガスを投入し続ければ、りん酸濃度は図4のX点の75質量%で飽和する。但し、平衡に達するには40時間を要する。この時の加湿時間とりん酸濃度との関係を図3のAのラインとすると、りん酸濃度が飽和濃度である目標とするりん酸濃度Caに達するまでの時間はtaである。
一方、例えば、露点36℃で加湿した水蒸気分圧5.9kPaの加湿ガスを投入し続ければ、りん酸濃度は65質量%で飽和となるが、約10時間で目標のリン酸濃度75%に達する。投入する加湿ガスの水蒸気分圧を高くすることで、図のラインB,CのようにラインAで目標としたりん酸濃度Caに達する時間は早くなるが、りん酸濃度がCaに達した点b、を過ぎても加湿を続けていると、りん酸濃度が目標とする濃度よりも低くなり、体積が増大してセル内に保持出来なくなり、セルからりん酸が溢れ出し、燃料電池寿命を低下させるおそれがある。
本発明では、前述したように、りん酸濃度を監視しながら加湿ガスを流通させるので、露点の高い(水蒸気分圧の高い)加湿ガスを用いても、りん酸を過剰に希釈し過ぎることが無い。このため、より短時間で、かつ、確実に目的の濃度まで希釈でき、りん酸の凍結を防止できる。また、りん酸の希釈に要する時間をより短縮できるので、加湿ガスの消費量をより低減でき、運転コストを削減できる。
なお、この実施形態で用いたりん酸形燃料電池発電装置は、空気電極層13側から加湿ガスを導入するように構成されているが、配管L1上に加湿器21を設け、燃料ガスを加湿して、燃料電極層12側から加湿ガス(加湿された燃料ガス)導入するようにしてもよく、配管L1,L3上にそれぞれ加湿器を設け、燃料電極層12及び空気電極層13の双方から同時に加湿ガスを導入するようにしてもよい。
次に、図5を参照して、本発明のりん酸形燃料電池発電装置の第2の実施形態について説明する。
この実施形態のりん酸形燃料電池発電装置は、りん酸形燃料電池10の電解質層11の温度を測定する温度計25と、りん酸形燃料電池10の温度を制御する温度調整装置26とを更に備える点で上記第1の実施形態と相違する。温度調整装置26は、発電停止時において、電解質層11の温度が、りん酸凍結温度を下回らないように維持しつつ、温度を低下させるように、制御装置30’で制御されている。
温度調節装置26としては、発電時にセルを冷却して温度調整を行うために備えられている冷却装置を用いる。具体的には、燃料電池本体に複数セル毎に積層された冷却板に循環させる冷却水の温度を制御する。循環する冷却水が貯留されたタンクには電気ヒーターが付いており、また、冷却水の循環経路上には冷却水を冷却するための熱交換器が設けられているので、セル温度を監視し、セル温度の検出値が設定値になるように、循環させる冷却水を前記電気ヒーターで加温、または前記熱交換器で冷却することにより、冷却水の温度を調整する。
この実施形態では、制御装置30’において、以下のような制御が行われる。
りん酸形燃料電池発電装置の停止信号を感知したら(ステップS11)、開閉弁V1,V2に閉止信号を送信し、開閉弁V1,V2を閉じる(ステップS12)。また、加湿器21に起動信号を送信し、加湿器21を起動させる(ステップS13)。
そして、流量計22の測定値と、第1露点計23の測定値と、第2露点計24の測定値が、それぞれ制御装置に送信され、該測定値に基づき、前述した数式(1)〜(4)に基づいて、りん酸形燃料電池10のりん酸濃度が算出される(ステップS14)。
次いで、このりん酸濃度におけるりん酸凍結温度に対して所定値だけ高い設定温度(例えば+10℃)と、温度計25で測定された電解質層11の温度とを比較して(ステップS15)、電解質層11の温度が上記設定温度より高い場合には、温度調整装置26を制御してりん酸形燃料電池10を冷却する(ステップS16)。次に、電解質層11の温度がりん酸凍結温度を下回っているか判断し(ステップS17)、りん酸凍結温度を下回っていた場合は、温度調整装置26を制御してりん酸形燃料電池10を加温する(ステップS18)
このように、りん酸形燃料電池10の温度を調整しながら加湿を継続し、ステップS14で算出されたりん酸濃度と、あらかじめ定めた設定値とを比較して(ステップS19)、該設定値を下回ったら加湿器21を停止させ(ステップS20)、開閉弁V3,V4を閉じてりん酸形燃料電池10を封止する(ステップS21)。
なお、図7には、りん酸濃度とリン酸凍結温度との関係図が示されている。この図のAの領域は溶液状態をなし、Bの領域はりん酸と水と溶液とが混在した状態をなし、Cの領域は氷と溶液とが混在した状態をなしている。上記ステップS15におけるりん酸凍結温度は、上記A領域とB領域との境界線によって求めることができる。
この実施形態によれば、加湿器21により加湿して、りん酸形燃料電池10のりん酸濃度を低下させる際、そのりん酸濃度におけるりん酸凍結温度に対して所定値だけ高い設定温度となるように温度調整装置26を制御するので、加湿に伴うりん酸濃度の低下に従って、りん酸の凍結を防止しつつ、りん酸温度を低下させることができる。これにより、りん酸は、温度が低いほど吸湿しやすい性質を有しているので、りん酸濃度の希釈時間をより短縮でき、加湿ガスの消費量や消費電力等をより削減できる。
図1のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置を用い、りん酸形燃料電池10(りん酸濃度90%の電解質含浸量:17kg)に、露点36℃(水蒸気分圧5.9kPa)の加湿ガスを470NL/minの一定流量で投入しつつ、第1露点計23による入口露点、第2露点計24による出口露点を連続的に測定し、りん酸形燃料電池10内の残留水分量を算出してリン酸濃度を求めた。結果を図8に示す。
図8において、線Aは、加湿器による累積投入水分量の変化を示し、線Bは、累積排出水分量の変化を示し、線Cは、セル内残留水分量の変化を示し、線Dは、セル内りん酸濃度の変化を示している。
図8に示されるように、燃料電池内の残留水分量が3.8kgとなった約10時間で加湿作業を完了したところ、りん酸濃度を約75質量%に希釈でき、運転を停止してもりん酸が凍結することが無かった。
10:りん酸形燃料電池
11:電解質
12:燃料電極
13:空気電極
21:加湿器
22:流量計
23:第1露点計
24:第2露点計
25:温度計
26:温度調整装置
30,30’:制御装置
L1〜L4:配管
V1〜V4:開閉弁

Claims (4)

  1. りん酸電解質層を、燃料極電極層及び酸化剤電極層で挟持したりん酸形燃料電池の停止時におけるりん酸凍結防止方法であって、
    前記りん酸形燃料電池に加湿ガスを流通させ、りん酸形燃料電池に導入する加湿ガスの流量と、りん酸形燃料電池に導入する加湿ガスの露点と、りん酸形燃料電池から排出される加湿ガスの露点とを連続的に測定し、この測定値に基づいてりん酸形燃料電池内に残存する水分量を求め、該水分量に基づいてりん酸濃度を算出し、
    前記りん酸電解質層の温度が、算出された前記りん酸濃度におけるりん酸凍結温度に対して所定値だけ高い設定温度を超える場合は、前記りん酸形燃料電池を冷却する制御を行って、前記りん酸形燃料電池の温度を降下させ、
    算出された前記りん酸濃度が所定値に達したら前記加湿ガスの供給を停止することを特徴とするりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止方法。
  2. 前記りん酸電解質層の温度が、算出されたりん酸濃度におけるりん酸凍結温度を下回る場合は前記りん酸形燃料電池を加温する制御を行う請求項1に記載のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止方法。
  3. りん酸電解質層を燃料極電極層及び酸化剤電極層で挟持したりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置において、
    加湿ガス生成装置と、
    前記加湿ガス生成装置から生成される加湿ガスを、前記りん酸形燃料電池に導入する加湿ガス導入路と、
    前記加湿ガス生成装置から生成される加湿ガスを、前記りん酸形燃料電池から排出する加湿ガス排出路と、
    前記加湿ガス導入路に配置された流量計及び第1露点計と、
    前記加湿ガス排出路に配置された第2露点計と、
    前記りん酸形燃料電池の温度を制御する温度調整装置と、
    りん酸形燃料電池発電装置の停止時において、前記りん酸形燃料電池に前記加湿ガス生成装置で生成された加湿ガスを流通させ、前記流量計で計測される加湿ガスの流量と、前記第1露点計で計測されるりん酸形燃料電池に導入前の加湿ガスの露点と、前記第2露点計で計測されるりん酸形燃料電池から排出される加湿ガスの露点とに基づいて、りん酸形燃料電池内に残存する水分量を求め、該水分量に基づいてりん酸濃度を算出し、前記りん酸電解質層の温度が、算出されたりん酸濃度におけるりん酸凍結温度に対して所定値だけ高い設定温度を超える場合は、前記温度調整装置により前記りん酸形燃料電池を冷却して前記りん酸形燃料電池の温度を降下させ、算出されたりん酸濃度が所定値に達したら前記加湿ガスの供給を停止するように制御を行う制御装置と、を備えることを特徴とするりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置。
  4. 前記制御装置は、前記りん酸電解質層の温度が前記りん酸凍結温度を下回る場合は、前記温度調整装置により前記りん酸形燃料電池を加温する制御を行なう請求項3記載のりん酸形燃料電池のりん酸凍結防止装置。
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