JP5461251B2 - 固形pH調整剤 - Google Patents

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Description

本発明は、戸建住宅、集合住宅、学校、事務所などの建築施設から排出されるし尿排水、生活雑排水、またはこれらを併せた生活排水、あるいは有機系成分を含む事業場排水を処理する、特に槽内水もしくは放流水のpHが低下する浄化槽もしくは廃水処理施設などへ用いられる、炭酸カルシウムを錠剤などの塊状物に成形してなる固形pH調整剤に関する。
なお、前記浄化槽もしくは廃水処理施設などを以下、単に処理施設と略す。また、前記排水もしくは廃水を以下、単に排水と略す。
上記の建築施設などから排出される排水は、多くの場合、好気処理、もしくは嫌気処理を併用した生物処理機能を主体とする処理施設によって処理された後、河川などに放流される。これらの処理施設は、排水中の固形物や有機物を除去して汚濁指標のBODを低減(除去)する。しかし、アンモニアなどの窒素化合物を含む排水が処理施設に流入する場合は、窒素化合物の分解により、酸が生じ、槽内水もしくは放流水のpHが低下する可能性がある。特に処理施設の流入水量が設計計画値よりも少ない、あるいは流入排水中の窒素化合物の濃度が高い施設では、窒素化合物の分解によって、pHの低下(3〜6)を招きやすい。槽内水のpHが低下すると、生物処理の機能が悪化し、BODの除去性能が低下することもある。また、放流水のpHが低下した場合、放流先の生態系に悪影響を及ぼす可能性がある。
そこで、従来のpH低下対策としては、苛性ソーダ、消石灰などのアルカリ剤を槽内水へ供給して、酸を中和する手法がとられている。そして、酸を中和する場合、例えば、槽内水のpHを測定して、その値が許容範囲を下回った場合には、苛性ソーダの水溶液を添加する方法がある。しかし、この方法では、pH計、薬注ポンプなどの特別な装置を備え付ける必要があり、そのために設備費の負担を招くことになる。また、設備の取付け工事が必要となるため、迅速な対応が難しい。さらに、苛性ソーダは、アルカリ性が非常に強く、慎重な取り扱いも要求される。
さらに、苛性ソーダの添加による酸の中和処理は、急激なpH変化も伴うことから、上記の課題を解決するとともに、pHの緩やかな調整を行う方法も提案されている。その方法としては、酸の生成または流入により中性域から酸性域へ移行する状態を緩和する緩衝剤を用いる方法が挙げられる。このような緩衝剤としては、例えば、1価、2価もしくは3価の金属炭酸塩または金属炭酸水素塩100重量部あるいは1価、2価もしくは3価の金属水酸化物塩の合計100重量部に対し、水1〜25重量部を混練合し、得られた混練合物を圧縮成形して成型物とし、次いで、得られた成型物を乾燥することにより得られた固形緩衝剤が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−214090号公報
しかしながら、上記の固形緩衝剤は、中性付近で溶解し難くなる性質を有しているため、槽内水および放流水のpHを連続的に中性(ここでは、5.8〜8.6とする)に維持し、かつ槽内で生成する酸を中和するためには、添加量を増やすか、または固形緩衝剤の比表面積を大きくする必要がある。そのため、排水の性状、処理施設の構造または固形緩衝剤の添加頻度によっては、槽内水および放流水のpHを中性に維持できない可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、浄化槽などの槽内水に対して1〜120日に1回の頻度で添加することにより、処理施設の槽内水、または、処理施設からの放流水のpHを中性付近に容易に維持することができる固形pH調整剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決することを目的として検討を進める中で、炭酸カルシウムと、水と、水溶性高分子物質とを含む固形pH調整剤は、pHが低下する処理施設の槽内水中で徐々に崩壊し、槽内水中に炭酸カルシウム粒子を分散させることにより、槽内水および放流水のpHを容易に中性に維持できることを見出した。また、水溶性高分子物質の種類および配合量を調整することにより、固形pH調整剤の崩壊する速度(以下、「崩壊速度」と言う。)を調節できることを見出した。さらに、槽内水が中性のときには、固形pH調整剤の崩壊粒が溶解することなく、槽内に滞留するため、固形pH調整剤を過剰に添加した場合でも無駄にならないことを見出した。なお、ここでいう崩壊とは、塊状物が砕けていく様子を指し、崩壊粒とは、塊状物が崩壊したときの、砕けた方の物質を示す。
一方、処理施設の使用形態から、固形pH調整剤は、1〜120日に1回の頻度で処理施設の槽内水中に添加される可能性が高いため、固形pH調整剤の崩壊速度も、その添加頻度の範囲内に調整できることが望まれる。そこで、本発明者等は、固形pH調整剤の成分に常温で固体の撥水性物質を含ませることにより、固形pH調整剤の崩壊速度を遅くできることを見出した。また、固形pH調整剤の成分に有機酸または有機酸塩を含ませることにより、固形pH調整剤の崩壊速度を速くできることを見出した。
本発明は、上記の固形pH調整剤の検討結果を踏まえて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の固形pH調整剤は、酸を中和するための固形の薬剤であって、炭酸カルシウムと、水と、水溶性高分子物質とを含んでなることを特徴とする。
本発明の固形pH調整剤において、常温で固体の撥水性物質をさらに含むことが好ましい。
本発明の固形pH調整剤において、有機酸または有機酸塩をさらに含むことが好ましい。
なお、水溶性高分子物質としては、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンオキサイドなどのオレフィン系オキサイド樹脂類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ヒドラジンなどのカルモバイル基を有する樹脂などが挙げられる。
また、常温で固体の撥水性物質としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの高級脂肪酸塩類、シリコーン類、ワックス類、タルクなどが挙げられる。
本発明の固形pH調整剤によれば、炭酸カルシウムと、水と、水溶性高分子物質とを含んでなる固形の薬剤であるので、排水の性状、処理施設の構造に関わらず、処理施設の槽内水、または、処理施設からの放流水のpHを中性付近に容易に維持することができる。
また、本発明の固形pH調整剤に、常温で固体の撥水性物質、有機酸または有機酸塩をさらに配合し、かつ、その配合量を調整することにより、本発明の固形pH調整剤の崩壊速度を調節できる。したがって、処理施設の槽内水、または、処理施設からの放流水のpHを中性付近に維持するために、固形pH調整剤の添加頻度を調節できる。
本発明の実施例7において、一定時間毎に、曝気槽の水および沈殿槽の上澄み液のpHを測定した結果を示すグラフである。 本発明の実施例8において、一定時間毎に、曝気槽の水および曝気槽からの放流水のpHを測定した結果を示すグラフである。
本発明の固形pH調整剤の実施の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明の固形pH調整剤の目的とする点は、処理施設の槽内水および放流水のpHを容易に中性に維持することができる薬剤の供給手段として機能する点である。また、本発明の固形pH調整剤は、1〜120日に1回の頻度で添加すれば、その性能を保持できることが求められる。
本発明の固形pH調整剤は、酸を中和するための固形の薬剤であって、炭酸カルシウムと、水と、水溶性高分子物質とを含んでなるものである。
炭酸カルシウムとしては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、または、これらの混合物が挙げられる。
また、炭酸カルシウムの形状は、特に限定されないが、通常扱われている顆粒、細粒、粉末といわれる程度の粒子が挙げられる。これらの中でも、本発明の固形pH調整剤を槽内水に浸漬した場合、炭酸カルシウムと排水(槽内水)中の酸との接触面積を大きくするためには、炭酸カルシウムの形状は、粒子径の小さい粉末状であることが好ましい。
水としては、特に限定されないが、水道水、自然水、蒸留水、イオン交換水などが挙げられる。
水溶性高分子物質としては、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンオキサイドなどのオレフィン系オキサイド樹脂類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ヒドラジンなどのカルモバイル基を有する樹脂などが挙げられる。
水溶性高分子物質は、配合材料の1つである水に溶解して、固形pH調整剤中でマトリックスを形成し、固形pH調整剤を槽内水に浸漬したときに、その機械的強度を保つことができる。すなわち、本発明の固形pH調整剤では、水溶性高分子物質が形成するマトリックス内に、炭酸カルシウムの粒子が均一に分散している。それとともに、水溶性高分子物質は、固形pH調整剤を槽内水に浸漬したときに、徐々に水に溶解することによって、固形pH調整剤が崩壊し、槽内水中に配合材料の1つである炭酸カルシウムが放出される。
水溶性高分子物質の形状は、特に限定されないが、通常扱われている液状および顆粒、細粒、粉末といわれる程度の粒子が挙げられる。
また、水の配合割合は、炭酸カルシウム100重量部に対して0.5〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20重量部であり、かつ、水溶性高分子物質の配合割合は、炭酸カルシウム100重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2重量部である。
炭酸カルシウム100重量部に対する水の配合割合および水溶性高分子物質の配合割合がこの範囲内であれば、固形pH調整剤を槽内水に浸漬しても、その機械的強度を保つことができるとともに、槽内水にて固形pH調整剤を徐々に崩壊させることができる。
本発明の固形pH調整剤は、上記の物質以外にも、さらに常温で固体の撥水性物質を含んでいてもよい。
常温で固体の撥水性物質としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの高級脂肪酸塩類、シリコーン類、ワックス類、タルクなどが挙げられる。
これらの常温で固体の撥水性物質を本発明の固形pH調整剤に散在させることにより、固形pH調整剤を槽内水に浸漬した場合、上記の炭酸カルシウムおよび水溶性高分子物質と槽内水との接触が抑制されるので、固形pH調整剤の崩壊速度を遅くすることができる。
常温で固体の撥水性物質の形状は、特に限定されないが、通常扱われている顆粒、細粒、粉末といわれる程度の粒子が挙げられる。
常温で固体の撥水性物質の配合割合は、炭酸カルシウム100重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2重量部である。
炭酸カルシウム100重量部に対する常温で固体の撥水性物質の配合割合を、この範囲内で調整することにより、本発明の固形pH調整剤の親水性を調整することができるから、結果として、本発明の固形pH調整剤を槽内水に浸漬した場合、その固形pH調整剤が崩壊して、消失するまでの時間を調整することができる。
また、本発明の固形pH調整剤は、さらに、有機酸または有機酸塩を含んでいてもよい。
有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸などのヒドロキシカルボン酸類、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの多価カルボン酸類などが挙げられる。
また、有機酸塩としては、上記の有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。さらに、有機酸塩としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの有機酸化合物も用いられる。
なお、本発明の固形pH調整剤は、適応対象が酸性排水であるので、上記の有機酸塩の中でも、水溶液がアルカリ性を示す有機酸塩を用いることが好ましい。すなわち、クエン酸塩などのようにカルシウムイオンをキレート化する有機酸塩は、中性域でも炭酸カルシウムを溶解させる効果があり、本発明の固形pH調整剤の中和性能を向上させるので、より好ましい。
有機酸または有機酸塩の形状は、特に限定されないが、通常扱われている液状および顆粒、細粒、粉末といわれる程度の粒子が挙げられる。
有機酸または有機酸塩の配合割合は、炭酸カルシウム100重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2重量部である。
炭酸カルシウム100重量部に対する有機酸または有機酸塩の配合割合を、この範囲内で調整することにより、本発明の固形pH調整剤の中和性能を調整することができる。
本発明の固形pH調整剤の形状は、特に限定されず、本発明の固形pH調整剤が適用される処理施設の仕様などに応じて適宜調整され、例えば、球体、円柱、角柱、立方体、錐体など、いかなる形状であってもよい。
また、本発明の固形pH調整剤の大きさは、特に限定されないが、10mm〜500mmであることが好ましく、より好ましくは50mm〜200mmである。なお、本発明の固形pH調整剤の大きさとは、球体の場合、その直径のことであり、立方体の場合、その一辺の長さ(縦・横・高さ)のことであり、円柱、角柱または錐体の場合、その高さのことである。
本発明の固形pH調整剤の大きさが、この範囲内であれば、これを充填するための透水性の容器や袋などの孔が、槽内水中の生物を含む浮遊物によって目詰まりするのを防ぐことができるとともに、浄化槽などの点検口や浄化槽内の構造上、固形pH調整剤を浄化槽などに浸漬することが容易である。
次に、本発明の固形pH調整剤の製造方法について説明する。
まず、炭酸カルシウムと水溶性高分子物質を混合する。
炭酸カルシウムと水溶性高分子物質の混合方法としては、特に限定されず、一般的な粉体の混合装置による混合方法が用いられる。混合方法としては、例えば、(a)粉体の入った容器本体を回転させて、粉体を混合させる方法、(b)粉体の入った容器本体は回転させず、混合羽根で粉体を攪拌することにより、粉体を混合させる方法、(c)粉体の入った容器本体は回転させず、気流で粉体を攪拌することにより、粉体を混合させる方法、(d)粉体の入った容器本体は回転させず、重量だけで粉体を混合させる方法、(e)前記の混合方法を組み合わせた方法などが挙げられる。
次いで、炭酸カルシウムと水溶性高分子物質の混合物に、水を添加し、混練合する。
炭酸カルシウムと水溶性高分子物質と水との混練合方法としては、特に限定されず、一般的な粉体の混合装置による混練合方法が用いられる。混練合方法としては、例えば、(a)粉体と液状物質とが入った容器本体を回転させて、粉体と液状物質とを混練合させる方法、(b)粉体と液状物質とが入った容器本体は回転させず、混合羽根で粉体と液状物質とを攪拌することにより、粉体と液状物質とを混練合させる方法、(c)粉体と液状物質とが入った容器本体は回転させず、気流で粉体と液状物質とを攪拌することにより、粉体と液状物質とを混練合させる方法、(d)粉体と液状物質とが入った容器本体は回転させず、重量だけで粉体と液状物質とを混練合させる方法、(e)前記の混練合方法を組み合わせた方法などが挙げられる。
次いで、炭酸カルシウム、水溶性高分子物質および水からなる混練合物を所定の形状に成形して、本発明の固形pH調整剤を得る。
固形pH調整剤の成形方法としては、特に限定されず、目的とする形状などに応じて適宜選択され、例えば、プレス成型方法、押出成形方法、射出成形方法などが用いられる。
また、成形後の固形pH調整剤は、乾燥して、その重量を減らしてもよい。このようにすれば、固形pH調整剤を取り扱い易くなる。
固形pH調整剤の乾燥方法は、特に限定されず、自然乾燥であっても、乾燥機を用いた乾燥であってもよい。
固形pH調整剤を乾燥することによって、その崩壊速度が変化する可能性がある場合、常温で固体の撥水性物質、あるいは、有機酸または有機酸塩の配合量を調整することにより、崩壊速度を調節することができる。
なお、本発明の固形pH調整剤に、常温で固体の撥水性物質、あるいは、有機酸または有機酸塩を配合する場合、炭酸カルシウムと水溶性高分子物質を混合する際に、一緒に混合することが好ましい。このようにするのは、水が存在すると、常温で固体の撥水性物質や、有機酸または有機酸塩を混合し難くなる場合があるからである。
また、本発明の固形pH調整剤の成形時の圧縮を容易にするとともに、成形後に金型からの離型を容易にするためには、金型の壁面に滑沢剤または離型剤を塗布してもよく、あるいは、あらかじめ上記の混合物および混練合物に滑沢剤または離型剤を配合してもよい。
滑沢剤としては、ステアリン酸およびその塩、ロウ類、無水ケイ酸などが挙げられる。
離型剤としては、植物油、鉱物油などが用いられる。
さらに、本発明の固形pH調整剤の機械的強度を上げるためには、固形pH調整剤中の水分と結合し、固化する無水塩を配合してもよい。
無水塩としては、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
次に、本発明の固形pH調整剤の使用方法を説明する。
本発明の固形pH調整剤の使用方法は、特に限定されないが、処理施設の曝気槽のように、内部の水が攪拌されている水槽に浸漬することが好ましい。このようにすれば、槽内水全体と、固形pH調整剤とが接触するようになり、固形pH調整剤によって槽内水全体を中和する効果が高まる。
また、本発明の固形pH調整剤は、そのまま水槽に浸漬してもよいが、固形pH調整剤の残量を把握し易くするために、網などの容器に収容した状態で、水槽に浸漬することが好ましい。この場合、容器に収容した固形pH調整剤を全て水槽に浸漬しても、一部を水槽に浸漬してもよい。
本発明の固形pH調整剤によれば、炭酸カルシウムと、水と、水溶性高分子物質とを含んでなる固形の薬剤であるので、排水の性状、処理施設の構造に関わらず、処理施設の槽内水、または、処理施設からの放流水のpHを中性付近に容易に維持することができる。
また、本発明の固形pH調整剤に、常温で固体の撥水性物質、有機酸または有機酸塩をさらに配合し、かつ、その配合量を調整することにより、本発明の固形pH調整剤の崩壊速度を調節できる。したがって、処理施設の槽内水、または、処理施設からの放流水のpHを中性付近に維持するために、固形pH調整剤の添加頻度を調節できる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
各成分の配合量を表1に示すものとし、以下の方法に従って、実施例1の固形pH調整剤を作製した。
炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム(日東粉化工業社製)を用いた。
水溶性高分子物質としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名:CMC2260、ダイセル化学工業社製)を用いた。
水としては、水道水を用いた。
まず、炭酸カルシウムとカルボキシメチルセルロースナトリウムを、ホイッパー型の攪拌器を用いて、攪拌、混合した。
次いで、上記の物質の混合物に、水を添加し、ホイッパー型の攪拌器を用いて、混練合した。
次いで、得られた混練合物を20g採取して、ハンドプレス型錠剤成型機器により、シリンダー圧2MPaでプレス成型し、直径30mm、高さ20mmの円柱状の錠剤(実施例1の固形pH調整剤)を得た。
「実施例2」
各成分の配合量を表1に示すものとし、以下の方法に従って、実施例2の固形pH調整剤を作製した。
実施例1で用いた炭酸カルシウム、水溶性高分子物質および水に加えて、常温で固体の撥水性物質として、ステアリン酸カルシウム(日油社製)を用いた。
まず、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびステアリン酸カルシウムを、ホイッパー型の攪拌器を用いて、攪拌、混合した。
次いで、上記の物質の混合物に、水を添加し、ホイッパー型の攪拌器を用いて、混練合した。
次いで、得られた混練合物を20g採取して、ハンドプレス型錠剤成型機器により、シリンダー圧2MPaでプレス成型し、直径30mm、高さ20mmの円柱状の錠剤(実施例2の固形pH調整剤)を得た。
「実施例3」
各成分の配合量を表1に示すものとし、以下の方法に従って、実施例3の固形pH調整剤を作製した。
実施例2で用いた炭酸カルシウム、水溶性高分子物質、ステアリン酸カルシウムおよび水に加えて、有機酸塩として、クエン酸三カリウム・1水和物(以下、「クエン酸カリウム」と略す。扶桑化学工業社製)を用いた。
まず、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸カルシウムおよびクエン酸カリウムを、ホイッパー型の攪拌器を用いて、攪拌、混合した。
次いで、上記の物質の混合物に、水を添加し、ホイッパー型の攪拌器を用いて、混練合した。
次いで、得られた混練合物を20g採取して、ハンドプレス型錠剤成型機器により、シリンダー圧2MPaでプレス成型し、直径30mm、高さ20mmの円柱状の錠剤(実施例3の固形pH調整剤)を得た。
「実施例4」
実施例2で得られた円柱状の錠剤(固形pH調整剤)を、乾燥機により50℃で24時間乾燥して、実施例4の固形pH調整剤を作製した。
「実施例5」
実施例3で得られた円柱状の錠剤(固形pH調整剤)を、乾燥機により50℃で24時間乾燥して、実施例5の固形pH調整剤を作製した。
「実施例6」
各成分の配合量を表1に示すものとし、以下の方法に従って、実施例6の固形pH調整剤を作製した。
実施例2で用いた炭酸カルシウム、水溶性高分子物質、ステアリン酸カルシウムおよび水に加えて、有機酸塩として、上記のクエン酸カリウムを用いた。
まず、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアリン酸カルシウムおよびクエン酸カリウムを、ホイッパー型の攪拌器を用いて、攪拌、混合した。
次いで、上記の物質の混合物に、水を添加し、ホイッパー型の攪拌器を用いて、混練合した。
次いで、得られた混練合物を用いて、押出成形機により、金型から押し出された成形物を切断して、直径60mm、高さ40mm、重量200gの円柱状の錠剤(実施例6の固形pH調整剤)を得た。
「比較例1」
各成分の配合量を表1に示すものとし、以下の方法に従って、比較例1の固形pH調整剤を作製した。
炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム(日東粉化工業社製)を用いた。
水としては、水道水を用いた。
まず、炭酸カルシウムと水を、ホイッパー型の攪拌器を用いて、混練合した。
次いで、得られた混練合物を20g採取して、ハンドプレス型錠剤成型機器により、シリンダー圧2MPaでプレス成型し、直径30mm、高さ20mmの円柱状の錠剤(比較例1の固形pH調整剤)を得た。
「比較例2」
比較例1で得られた円柱状の錠剤(固形pH調整剤)を、乾燥機により50℃で24時間乾燥して、比較例2の固形pH調整剤を作製した。
「固形pH調整剤の崩壊速度の評価」
実施例1〜6および比較例1〜2にて作製した円柱状の錠剤(固形pH調整剤)について、以下の方法に従って、崩壊速度の評価を行った。
それぞれの錠剤を網目の大きさが5mmの金網に載せて、空気量10L/分で連続曝気している容積10L、水深200mmの水槽中にて、水面下50mmで、かつ、曝気空気が直接当たらない位置に配置して、錠剤全体を水中に浸漬した。
なお、この水槽中の水は、水道水である。
そして、錠剤を水中に浸漬してから、錠剤が崩壊して、上記の金網から消失するまでの時間を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0005461251
表1の結果から、実施例1〜6の錠剤は、徐々に崩壊して、水中に浸漬してから1〜120日の間で消失することが確認された。したがって、実施例1〜6の錠剤は、水中に炭酸カルシウムを徐々に放出して、水槽中の水を中和することができると考えられる。また、材料組成または製造方法を調製することにより、崩壊速度を調節できることが確認された。すなわち、成形方法が同じであれば、炭酸カルシウム、水溶性高分子物質および水からなる基本構成に対して、ステアリン酸カルシウムのみを配合した錠剤(実施例2)、基本構成に対して、ステアリン酸カルシウムとクエン酸カリウムを配合した錠剤(実施例3)、基本構成のみの錠剤(実施例1)の順に、崩壊速度が遅くなることが確認された。また、同じ材料組成であれば、錠剤の成形後に乾燥したものの方が、崩壊速度が遅くなることが確認された。
一方、比較例1の錠剤は、水中に浸漬してから30分で消失してしまい、実用には適さないことが分かった。
また、比較例2の錠剤は、水中に浸漬してから120日が経過しても、実質的に崩壊していなかった。したがって、この錠剤は、水中に炭酸カルシウムをほとんど放出することがなく、水槽中の水を中和する作用を示さないと考えられる。
「実施例7」
実施例3で得られた錠剤(固形pH調整剤)を用い、以下の方法に従って、この錠剤による水の中和性能の評価を行った。
排水の流入部と流出部を設けた容積10L、水深200mmの曝気槽に、廃水処理施設から採取した活性汚泥を満たし、空気量10L/分で連続曝気した。
排水の流入部からは、T−N(全窒素)100mg/Lの生活排水を、流入速度5L/日で流入した。
また、排水の流出部の後段には、活性汚泥と上澄み液とを分離し、上澄み液を自然流下させる沈殿槽を設けた。この沈殿槽に沈殿した汚泥は、水槽に戻した。
排水流入直後から、曝気槽の水および沈殿槽の上澄み液について、pHを測定し、これらのpHが一定になったところで、網目の大きさが5mmの金網に載せた錠剤を、曝気槽にて、水面下50mmで、かつ、曝気空気が直接当たらない位置に配置して、錠剤全体を水中に浸漬した。
その後、一定時間毎に、曝気槽の水および沈殿槽の上澄み液について、pHを測定した。
結果を図1に示す。
図1の結果から、曝気槽の水に錠剤を浸漬する前には、曝気槽の水および沈殿槽の上澄み液のpHが3〜4であったのに対して、曝気槽の水に錠剤を浸漬した後では、曝気槽の水および沈殿槽の上澄み液のpHが6〜7に保たれることが確認された。
したがって、この錠剤は、曝気槽の水および沈殿槽の上澄み液を中和する作用を示すことが確認された。
「実施例8」
実施例6で得られた錠剤(固形pH調整剤)を用い、以下の方法に従って、実際の浄化槽における錠剤の崩壊速度および中和性能の評価を行った。
生活排水が流入する浄化槽の曝気槽に、網目の大きさが10mmの網目状の容器に入れた錠剤15個(3kg)を浸漬し、この錠剤の崩壊速度、および、この錠剤による曝気槽の水および浄化槽放流水の中和性能を評価した。
すなわち、一定時間毎に、錠剤の消失状態の観察と、曝気槽の水および浄化槽放流水のpHの測定を行った。
試験期間中の1日当たりの平均の流入水量は200L、排水の平均T−N(全窒素)は40mg/Lであった。
結果を図2に示す。
図2の結果から、曝気槽内の水に錠剤を浸漬する前には、曝気槽の水および浄化槽放流水のpHが3〜5であったのに対して、曝気槽内の水に錠剤を浸漬した後では、120日間、曝気槽の水および浄化槽放流水のpHが6〜7に保たれることが確認された。このとき、網目状の容器内の錠剤は、20日間で崩壊して容器外へ流出したが、曝気槽内に滞留していた。
以上の結果から、本実施例の錠剤は、崩壊して容器外へ流出しても、崩壊粒が曝気槽内に滞留することにより、中和性能を維持できることが確認された。

Claims (1)

  1. 酸を中和するための固形の薬剤であって、 炭酸カルシウムと、水と、水溶性高分子物質と、常温で固体の撥水性物質と、有機酸または有機酸塩とを含んでなり、
    前記水溶性高分子物質は、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンオキサイドなどのオレフィン系オキサイド樹脂類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ヒドラジンなどのカルモバイル基を有する樹脂の群から選ばれる物質であり、
    前記撥水性物質は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの高級脂肪酸塩類、シリコーン類、ワックス類、タルクの群から選ばれる物質であることを特徴とする固形pH調整剤。
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