これまでに言及した従来技術の医療用具の欠点は、本発明の新規な医療用具によって対応される。本発明の医療用具は、医療用具の手技上の成功率が向上するように、治療部位に挿入するためにデザインされうる。本発明の医療用具による手技上の成功率の向上は、治療領域への医療用具の挿入後の、積極的な抗血小板および/または抗凝固療法を必要とすることなしに、または積極的な抗血小板および/または抗凝固療法の必要性を著しく低下させて達成することができる。本発明の向上した医学的手技は、1)医療用具の物理的特性を高める1つ以上の材料で形成される、および/または2)治療部位で、治療部位の近傍に、および/または治療部位内へ、医療用具によって制御可能におよび/または制御不可能に送達されうる1つ以上の生物学的製剤(例、抗血小板薬等)を含む医療用具の使用によって少なくとも部分的に得られる。本発明による医療用具は、多種多様な用具、例えば限定されないが、ステント、グラフト、外科用グラフト(例、血管用グラフト)、弁、整形外科用インプラント、シース、ガイドワイヤー、バルーンカテーテル、ハイポチューブ、カテーテル(例、電気生理学カテーテル、ガイドカテーテル、ステントカテーテル等)、切断用具、PFO(卵円孔開存症)用器具、縫合糸、ステイプル、包帯、ラップ材、生体接着剤等の形態でありうる。1つの限定されない実施形態では、医療用具は身体通路内での使用を目的としている。
本明細書で用いられる用語“身体通路”は、生体内のあらゆる通路または腔(例、胆管、細気管支、鼻腔、血管、心臓、食道、気管、胃、卵管、子宮、尿管、尿道、腸管、リンパ管、鼻道、耳管、耳道、くも膜下腔、および中枢および末梢神経管等)であると定められる。治療領域へ用具を送達するために用いられるテクニックには、血管形成術、血管吻合、移植術、インプランテーション、外科的インプランテーション、皮下導入、低侵襲外科的手技、介入手技、およびこれらのあらゆる組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。血管への応用では、用語“身体通路”は主に血管および心臓内の腔を意味する。用具は、血管内送達に適する、バルーンおよび/またはその他の手段(例、それ自体の内力による“自己拡張型”)によって拡張される拡張型ステントおよび/またはグラフトであってよい。ステント、グラフト、および/またはその他の適当な用具は、多くの形状および形態をとりうる。そのような形状には、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)、(特許文献8)、(特許文献9)、(特許文献10)、(特許文献11)、(特許文献12)(特許文献13)、(特許文献14)、(特許文献15)、(特許文献16)、(特許文献17)、(特許文献18)、(特許文献19)、ならびにこれらの特許および特許出願公開において引用されている全ての従来技術で開示されているステント、グラフト、および/またはその他の用具が含まれうるがこれらに限定されない。そのような特許および特許出願公開における用具のこれらの各種デザインおよび構造は、参考として本明細書で援用される。用具がステントおよび/またはグラフトの形態であるとき、治療領域(例、身体通路等)内に導かれた後で、身体通路内の流量の改善または適正化を可能にするために治療領域内で拡張するように用具がデザインされる。用具は、ステント、グラフト、血管用グラフト、弁、整形外科用インプラント、シース、ガイドワイヤー、バルーンカテーテル、ハイポチューブ、カテーテル、神経再生用のポリマーの足場等の形態でありうるが、これらに限定されない。
本発明の1つの限定されない態様では、医療用具は、医療用具が治療領域内に設置された後の血栓症の抑制または予防を少なくとも部分的にもたらす1つ以上の特徴を有する。これらの特徴には、1)医療用具の形状および/またはプロファイル、2)医療用具を少なくとも部分的に形成するために使用される1つ以上の材料、および/または3)少なくとも部分的に、医療用具上にコーティングされる、その内部に含有される、および/または医療用具に含まれる1つ以上の生物学的製剤が含まれるがこれらに限定されない。結果として、血栓症の発生を抑制または予防するための、長期間にわたる標準的な全身性の積極的抗血小板および/または抗凝固療法の必要性または使用は、本発明の医療用具と併用する必要はない。従来は、患者が病院またはその他の種類の医療機関を退院してからしばらくの間、患者によって全身療法の使用が行われた。この全身療法は、手術から数日間、数週間、数ヶ月間、または時には1年以上続くこともあった。本発明の医療用具は治療領域に適用可能または挿入可能で、1)医療用具の適用または挿入後、全身療法の短縮された使用のみを必要とする、または2)医療用具の適用または挿入後、全身療法の使用を必要としない。そのため、本発明の医療用具は、医療用具が治療領域に挿入された後の全身性の積極的な抗血小板および/または抗凝固療法の一時的な使用および/または長期使用なしで、治療領域内に挿入されるようにデザインされうる。治療領域におけるまたはその付近の血栓症の発生を抑制または予防しながら医療用具で治療領域を治療するこの方法は、従来の治療手技に優る著しい改善である。1つの限定されない例では、患者体内への医療用具の挿入後、全身療法は必要ない。別のおよび/または代わりの限定されない例では、患者体内への医療用具の挿入後、全身療法の短期間の使用が必要である、または使用される。そのような短期間の使用は、病院またはその他の種類の医療機関から患者が退院した後で、または病院またはその他の種類の医療機関から患者が退院してから1〜2日または週後に終了することが可能であるが、その他の期間の全身療法が使用されうることが理解されるであろう。本発明の医療用具を使用した結果、医療用具の治療領域への挿入を伴う医学的手技後の全身療法の使用は、著しく短縮または排除されうる。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具は、1つ以上の臨床的事象および/または生物学的事象を予防、抑制、および/または治療するため、および/または治癒を促進するために、別に処方された、および/またはデザインされた物質、医薬品、生物学的製剤、動物用製品、薬、およびアナログまたは誘導体を含むがこれらに限定されない1つ以上の化学物質を含む、含有する、および/またはこれらでコーティングされうる。1つ以上の物質で対応されうる臨床的事象の限定されない例には、ウイルス、真菌、および/または細菌感染、血管の病気および/または疾患、消化器系の病気および/または疾患、生殖器系の病気および/または疾患、リンパ系の病気および/または疾患、癌、インプラント拒絶反応、疼痛、悪心、腫脹、関節炎、骨の病気および/または疾患、臓器不全、免疫系の病気および/または疾患、コレステロールの問題、血液の病気および/または疾患、肺の病気および/または疾患、心臓の病気および/または疾患、脳の病気および/または疾患、神経痛の病気および/または疾患、腎臓の病気および/または疾患、潰瘍、肝臓の病気および/または疾患、腸管の病気および/または疾患、胆嚢の病気および/または疾患、膵臓の病気および/または疾患、精神的疾患、呼吸器系の病気および/または疾患、腺の病気および/または疾患、皮膚の病気および/または疾患、聴力の病気および/または疾患、口腔の病気および/または疾患、鼻の病気および/または疾患、眼の病気および/または疾患、疲労、遺伝的病気および/または疾患、火傷、瘢痕および/または傷痕、外傷、体重の病気および/または疾患、依存的病気および/または疾患、頭髪減少、けいれん、筋けいれん、組織修復、神経修復、神経の再生および/または同様のものが含まれるがこれらに限定されない。1つの限定されない実施形態では、医療用具とともに含まれる、医療用具中に含有される、および/または医療用具上にコーティングされうる1つ以上の化学物質には、抗血小板化合物および/または抗凝固化合物、限定されないが例えば、ワルファリン(クマジン)、ワルファリン誘導体、アスピリン、アスピリン誘導体、クロピドグレル、クロピドグレル誘導体、チクロパジン(ticlopadine)、チクロパジン誘導体、ヒルダン(hirdun)、ヒルダン誘導体、ジピリダモール、ジピリダモール誘導体、トラピジル、トラピジル誘導体、タキソール、タキソール誘導体、サイトカラシン、サイトカラシン誘導体、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、GM−CSF、GM−CSF誘導体、ヘパリン、ヘパリン誘導体、低分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン誘導体、またはこれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。医療用具とともに含まれる、医療用具中に含有される、および/または医療用具上にコーティングされうる抗血栓性阻害薬の1つの限定されない具体例には、1)ヒリジン(huridin)および/または誘導体、および/または2)、アラゴルズ(alagors)(例えばビバリルジン等)および/または誘導体が含まれる。理解されるように、1つ以上のその他の抗血栓性化学物質が医療用具と一緒に使用されうる。使用されうる化学物質の限定されない例には、5−フルオロウラシルおよび/またはその誘導体、ACE阻害剤および/またはその誘導体、アセノクマロールおよび/またはその誘導体、アシクロビルおよび/またはその誘導体、アクチリーゼ(Actilyse)および/またはその誘導体、副腎皮質刺激ホルモンおよび/またはその誘導体、アドリアマイシンおよび/またはその誘導体、細胞内Ca2+輸送をモジュレートする化学物質、例えばL型(例、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル等)またはT型Ca2+チャネル遮断薬(例、アミロリド等)、αアドレナリン遮断薬および/またはその誘導体、アルテプラーゼおよび/またはその誘導体、アミノグリコシドおよび/またはその誘導体(例、ゲンタマイシン、トブラマイシン等)、アンギオペプチンおよび/またはその誘導体アンギオスタテックステロイド(angiostatic steroid)および/またはその誘導体、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストおよび/またはその誘導体、アニストレプラーゼおよび/またはその誘導体、血管上皮成長因子のアンタゴニストおよび/またはその誘導体、抗生物質、抗凝固化合物および/またはその誘導体、抗線維症化合物および/またはその誘導体、抗真菌化合物および/またはその誘導体、抗炎症化合物および/またはその誘導体、抗浸潤因子および/またはその誘導体、代謝拮抗性化合物および/またはその誘導体(例、スタウロスポリン、トリコテセン、および改変ジフテリアおよびリシン毒素、緑濃菌外毒素等)、抗マトリックス化合物および/またはその誘導体(例、コルヒチン、タモキシフェン等)、抗微生物薬および/またはその誘導体、抗遊走剤および/またはその誘導体(例、コーヒー酸誘導体、ニルバジピン)、有糸分裂阻害化合物および/またはその誘導体、抗悪性腫瘍化合物および/またはその誘導体、抗酸化物質および/またはその誘導体、抗血小板化合物および/またはその誘導体、抗増殖性物質および/またはその誘導体、抗血栓薬および/またはその誘導体、アルガトロバンおよび/またはその誘導体、ap−1阻害剤および/またはその誘導体(例、チロシンキナーゼ、プロテインキナーゼC、ミオシン軽鎖キナーゼ、Ca+/カルモジュリンキナーゼII、カゼインキナーゼIIに対するもの等)、アスピリンおよび/またはその誘導体、アザチオプリンおよび/またはその誘導体、$エストラジオールおよび/またはその誘導体、β−1−抗コラゲナーゼおよび/またはその誘導体、カルシウムチャネル遮断薬および/またはその誘導体、カルモジュリンアンタゴニストおよび/またはその誘導体(例、H7等)、CAPTOPRILおよび/またはその誘導体、軟骨由来の阻害剤および/またはその誘導体、ChIMP−3および/またはその誘導体、セファロスポリンおよび/またはその誘導体(例、セファドロキシル、セファゾリン、セファクロル等)、クロロキンおよび/またはその誘導体、化学療法化合物および/またはその誘導体(例、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シスプラチン、ドキソルビシン、アドリアマイシン、タモキシフェン等)、キモスタチンおよび/またはその誘導体、CILAZAPRILおよび/またはその誘導体、クロピジグリル(clopidigrel)および/またはその誘導体、クロトリマゾールおよび/またはその誘導体、コルヒチンおよび/またはその誘導体、コルチゾンおよび/またはその誘導体、クマジンおよび/またはその誘導体、クラシン−Aおよび/またはその誘導体、シクロスポリンおよび/またはその誘導体、サイトカラシンおよび/またはその誘導体(例、サイトカラシンA、サイトカラシンB、サイトカラシンC、サイトカラシンD、サイトカラシンE、サイトカラシンF、サイトカラシンG、サイトカラシンH、サイトカラシンJ、サイトカラシンK、サイトカラシンL、サイトカラシンM、サイトカラシンN、サイトカラシンO、サイトカラシンP、サイトカラシンQ、サイトカラシンR、サイトカラシンS、カエトグロボシンA、カエトグロボシンB、カエトグロボシンC、カエトグロボシンD、カエトグロボシンE、カエトグロボシンF、カエトグロボシンG、カエトグロボシンJ、カエトグロボシンK、デオキサホミン、プロキシホミン、プロトホミン、ジゴスポリンD、ジゴスポリンE、ジゴスポリンF、ジゴスポリンG、アスポカラシンB、アスポカラシンC、アスポカラシンD等)、サイトカインおよび/またはその誘導体、デシルジンおよび/またはその誘導体、デキサメタゾンおよび/またはその誘導体、ジピリダモールおよび/またはその誘導体、エミナーゼおよび/またはその誘導体、エンドセリンおよび/またはその誘導体、内皮細胞増殖因子および/またはその誘導体、上皮増殖因子および/またはその誘導体、エポチロンおよび/またはその誘導体、エストラムスチンおよび/またはその誘導体、エストロゲンおよび/またはその誘導体、フェノプロフェンおよび/またはその誘導体、フルオウラシルおよび/またはその誘導体、フルシトシンおよび/またはその誘導体、ホルスコリンおよび/またはその誘導体、ガンシクロビルおよび/またはその誘導体、グルココルチコイドおよび/またはその誘導体(例、デキサメタゾン、ベタメタゾン等)、糖蛋白IIb/IIIa血小板細胞膜受容体抗体および/またはその誘導体、GM−CSFおよび/またはその誘導体、グリセオフルビンおよび/またはその誘導体、増殖因子および/またはその誘導体(例、VEGF、TGF、IGF、PDGF、FGF等)、成長ホルモンおよび/またはその誘導体、ヘパリンおよび/またはその誘導体、ヒルジンおよび/またはその誘導体、ヒアルロン酸塩および/またはその誘導体、ヒドロコルチゾンおよび/またはその誘導体、イブプロフェンおよび/またはその誘導体、免疫抑制剤および/またはその誘導体(例、副腎皮質ステロイド、シクロスポリン等)、インドメタシンおよび/またはその誘導体、ナトリウム/カルシウム交換輸送体の阻害物質および/またはその誘導体(例、アミロリド等)、IP3受容体の阻害物質および/またはその誘導体、ナトリウム/水素交換輸送体の阻害物質および/またはその誘導体(例、アミロリドおよびその誘導体等)、インスリンおよび/またはその誘導体、インターフェロンα2マクログロブリンおよび/またはその誘導体、ケトコナゾールおよび/またはその誘導体、レピルジンおよび/またはその誘導体、リシノプリルおよび/またはその誘導体、ロバスタチンおよび/またはその誘導体、マレバンおよび/またはその誘導体、メフロキンおよび/またはその誘導体、メタロプロテイナーゼおよび/またはその誘導体、メトトレキサートおよび/またはその誘導体、メトロニダゾールおよび/またはその誘導体、ミコナゾールおよび/またはその誘導体、モノクローナル抗体および/またはその誘導体、ムタマイシン(mutamycin)および/またはその誘導体、ナプロキセンおよび/またはその誘導体、酸化窒素および/またはその誘導体、ニトロプルシドおよび/またはその誘導体、核酸アナログおよび/またはその誘導体(例、ペプチド核酸等)、ナイスタチンおよび/またはその誘導体、オリゴヌクレオチドおよび/またはその誘導体、パクリタキセルおよび/またはその誘導体、ペニシリンおよび/またはその誘導体、ペンタミジンイセチオナートおよび/またはその誘導体、フェニンジオンおよび/またはその誘導体、フェニルブタゾンおよび/またはその誘導体、ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその誘導体、プラスミノゲン活性化因子阻害剤−1および/またはその誘導体、プラスミノゲン活性化因子阻害剤−2および/またはその誘導体、血小板第4因子および/またはその誘導体、血小板由来増殖因子および/またはその誘導体、プラビックスおよび/またはその誘導体、POSTMI75および/またはその誘導体、プレドニゾンおよび/またはその誘導体、プレドニゾロンおよび/またはその誘導体、プロブコールおよび/またはその誘導体、プロゲステロンおよび/またはその誘導体、プロスタサイクリンおよび/またはその誘導体、プロスタグランジン阻害薬および/またはその誘導体、プロタミンおよび/またはその誘導体、プロテアーゼおよび/またはその誘導体、プロテインキナーゼ阻害薬および/またはその誘導体(例、スタウロスポリン等)、キニンおよび/またはその誘導体、放射性医薬品および/またはその誘導体(例、Cu−64、Ca−67、Cs−131、Ga−68、Zr−89、Ku−97、Tc−99m、Rh−105、Pd−103、Pd−109、In−111、I−123、I−125、I−131、Re−186、Re−188、Au−198、Au−199、Pb−203、At−211、Pb−212、Bi−212、H3P32O4等)、ラパマイシンおよび/またはその
誘導体、ヒスタミンの受容体アンタゴニストおよび/またはその誘導体、レフルダンおよび/またはその誘導体、レチノイン酸および/またはその誘導体、リバスク(Revasc)および/またはその誘導体、リファマイシンおよび/またはその誘導体、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/またはその誘導体(例、DNA、RNA、プラスミドDNA、プラスミドRNA等)、セラミンおよび/またはその誘導体、ステロイド、セラミンおよび/またはその誘導体、セロトニンおよび/またはその誘導体、セロトニンブロッカーおよび/またはその誘導体、ストレプトキナーゼおよび/またはその誘導体、スルファサラジンおよび/またはその誘導体、スルホンアミドおよび/またはその誘導体(例、スルファメトキサゾール等)、硫酸化キチン誘導体、硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体および/またはその誘導体、TH1および/またはその誘導体(例、インターロイキン−2、インターロイキン−12、およびインターロイキン−15、γインターフェロン等)、チオプロテーゼe阻害薬および/またはその誘導体、タキソールおよび/またはその誘導体(タキソテール、バッカチン、10−デアセチルタキソール、7−キシロシル−10−デアセチルタキソール、セファロマンニン、10−デアセチル−7−エピタキソール、7−エピタキソール、10−デアセチルバッカチンIII、10−デアセチルセファロマンニン等)、チクリドおよび/またはその誘導体、チクロピジンおよび/またはその誘導体、ダニ抗凝固ペプチドおよび/またはその誘導体、チオプロテーゼ(thioprotese)阻害剤および/またはその誘導体、甲状腺ホルモンおよび/またはその誘導体、メタロプロテイナーゼ−1の組織阻害剤および/またはその誘導体、メタロプロテイナーゼ−2の組織阻害剤および/またはその誘導体、組織プラズマ活性体、TNFおよび/またはその誘導体、トコフェロールおよび/またはその誘導体、トキシンおよび/またはその誘導体、トラニラストおよび/またはその誘導体、トランスホーミング増殖因子αおよびβおよび/またはその誘導体、トラピジルおよび/またはその誘導体、トリアゾロピリミジンおよび/またはその誘導体、バピプロストおよび/またはその誘導体、ビンブラスチンおよび/またはその誘導体、ビンクリスチンおよび/またはその誘導体、ジドブジンおよび/またはその誘導体が含まれるがこれらに限定されない。理解されるように、化学物質は、上述の化合物および/またはその他の化合物の1つ以上の誘導体を含みうる。1つの限定されない実施形態では、化学物質には、トラピジル、トラピジル誘導体、タキソール、タキソール誘導体(例、タキソテール、バッカチン、10−デアセチルタキソール、7−キシロシル−10−デアセチルタキソール、セファロマンニン、10−デアセチル−7−エピタキソール、7−エピタキソール、10−デアセチルバッカチンIII、10−デアセチルセファロマンニン等)、サイトカラシン、サイトカラシン誘導体(例、サイトカラシンA、サイトカラシンB、サイトカラシンC、サイトカラシンD、サイトカラシンE、サイトカラシンF、サイトカラシンG、サイトカラシンH、サイトカラシンJ、サイトカラシンK、サイトカラシンL、サイトカラシンM、サイトカラシンN、サイトカラシンO、サイトカラシンP、サイトカラシンQ、サイトカラシンR、サイトカラシンS、カエトグロボシンA、カエトグロボシンB、カエトグロボシンC、カエトグロボシンD、カエトグロボシンE、カエトグロボシンF、カエトグロボシンG、カエトグロボシンJ、カエトグロボシンK、デオキサホミン、プロキシホミン、プロトホミン、ジゴスポリンD、ジゴスポリンE、ジゴスポリンF、ジゴスポリンG、アスポカラシンB、アスポカラシンC、アスポカラシンD等)、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、GM−CSF誘導体、脂質低下薬のクラスを形成するスタチンまたはHMG−CoA還元酵素阻害薬、その組み合わせまたはアナログ、またはこれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。用具に含まれるおよび/または用具上にコーティングされる化学物質の種類および/または量は変化しうる。2つ以上の化学物質が用具に含まれるおよび/または用具上にコーティングされるとき、2つ以上の化学物質の量は同じ、または異なっていてよい。用具上に含まれる、用具中に含まれる、および/または用具と併用される化学物質の種類および/または量は通常、1つ以上の臨床的事象に対応するように選択される。典型的には、用具上に含まれる、用具中に含まれる、および/または用具と併用される化学物質の量は約0.01〜100μg/mm2および/または少なくとも用具の約0.01重量パーセントであるが、その他の量が使用されうる。本発明の1つの限定されない実施形態では、特定の医学的手技の成功を促進するため、1つ以上の化学物質で、部分的または完全に用具がコーティングされうるおよび/または含漬されうる。用具上の、用具中の、または用具と併用される2つ以上の化学物質の量は同じ、または異なっていてよい。1つ以上の化学物質は、様々なメカニズム、限定されないが例えば、吹付け塗装(例、霧化吹き付けテクニック等)、火炎溶射塗装、パウダーデポジション、ディップコーティング、フローコーティング、ディップスピンコーティング、ロールコーティング(ダイレクトおよびリバース)、超音波処理、はけ塗り、プラズマ蒸着、蒸着によるデポジット、MEMS技術、および回転モールドデポジションによって用具上にコーティングされうるおよび/または用具に含漬される。本発明の別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、用具上に含まれる、用具中に含まれる、および/または用具と併用される化学物質の種類および/または量は通常、1つ以上の臨床的事象の治療のために選択される。典型的には、用具上に含まれる、用具中に含まれる、および/または用具と併用される化学物質の量は、約0.01〜100μg/mm2および/または少なくとも用具の約0.01〜100重量パーセントであるが、その他の量が使用されうる。用具上の、用具中の、または用具と併用される2つ以上の化学物質の量は同じまたは異なっていてよい。例えば、a)用具が身体通路内に挿入されたおよび/または身体通路に接続された後の、血栓症、ステント内再狭窄、血管の狭窄、および/または再狭窄を抑制または予防するため、b)身体通路内にある脂質、線維芽細胞、フィブリン等を少なくとも部分的に不動態化、除去、封入、および/または溶解して、用具の領域内および/または用具の下流にある身体通路内のそのような物質を少なくとも部分的に除去するおよび/またはそのような脆弱な物質(例、不安定プラーク等)を少なくとも部分的に不動態化するための、身体通路内および/または身体通路への1つ以上の化学物質の局所的および/または全身性送達を提供するための用具の部分である。理解されるように、1つ以上の化学物質は、多くのその他のまたは追加の用途を有しうる。さらに別のおよび/または代わりの限定されない実施例では、用具は、1つ以上の化学物質、限定されないが例えば、血栓溶解剤、血管拡張剤、抗高血圧薬、抗微生物薬または抗生物質、抗有糸分裂薬、抗増殖薬、抗分泌薬、非ステロイド性抗炎症薬、免疫抑制剤、増殖因子および増殖因子アンタゴニスト、内皮細胞増殖因子および増殖因子アンタゴニスト、抗腫瘍薬およびまたは化学療法剤、抗ポリメラーゼ、抗ウイルス薬、抗体標的療法剤、ホルモン、抗酸化剤、生体成分、放射線療法剤、放射線不透過物質および/または放射性標識物質と関連する化学物質でコーティングされる、および/またはこれらを含む。これらの化学物質の他に、用具は、用具の障害につながる可能性がある、用具によるおよび/または用具に対するあらゆる有害な生物学的反応、および/またはヒトまたは動物組織による有害な反応を抑制または予防することができる1つ以上の化学物質でコーティングされうるおよび/またはそれらを含みうる。故に、幅広い化学物質が使用されうる。
本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、用具上のおよび/または用具中の1つ以上の化学物質は、用具に使用される場合、問題になっている治療されるべき領域に長期間にわたって望ましい用量の化学物質が提供されるよう、制御されつつ放出されうる。理解されるように、用具上の1つ以上の化学物質の制御放出が必ずしも必要ではないおよび/または望ましいわけではない。そのため、用具上のおよび/または用具中の化学物質の1つ以上は、治療領域への用具の挿入の際および/または挿入後に、制御不可能に用具から放出されうる。用具上のおよび/または用具中の1つ以上の化学物質が制御可能に用具から放出され、用具上のおよび/または用具中の1つ以上の化学物質が制御不可能に用具から放出されうることも理解されうる。用具の1つの領域上のおよび/または用具の1つの領域中の1つ以上の化学物質が制御可能に用具から放出され、用具上のおよび/または用具中の1つ以上の化学物質が用具上の別の領域から制御不可能に放出されうることも理解されうる。そのため、用具は、1)用具上のおよび/または用具中の全ての化学物質が制御可能に放出される、2)用具上のおよび/または用具中の化学物質のいくつかが制御可能に放出され、用具上の化学物質のいくつかが制御不可能に放出される、または3)用具上のおよび/または用具中の化学物質が制御可能に放出されないようにデザインされうる。用具はさらに、用具からの1つ以上の化学物質の放出の速度が同じ、または異なるようにデザインされうる。用具はさらに、用具上の1つ以上の領域からの1つ以上の化学物質の放出の速度が同じ、または異なるようにデザインされうる。用具からの1つ以上の化学物質の放出を制御するために使用されうる限定されないアレンジには、a)1つ以上の化学物質を1つ以上のポリマーで少なくとも部分的にコーティングすること、b)1つ以上の化学物質を1つ以上のポリマー内におよび/または1つ以上のポリマーで少なくとも部分的に取り込むおよび/または少なくとも部分的に封入すること、c)1つ以上の化学物質を用具内の孔、通路、空洞等に挿入し、そのような孔、通路、空洞等を1つ以上のポリマーで少なくとも部分的にコーティングするまたは覆う、および/または用具を少なくとも部分的に形成する1つ以上のポリマー内に1つ以上の化学物質を取り込むことが含まれる。理解されるように、用具からの1つ以上の化学物質の放出を制御するために、その他のまたは追加のアレンジが使用されうる。用具からの1つ以上の化学物質の放出を少なくとも部分的に制御するために使用される1つ以上のポリマーは、多孔性または非多孔性であってよい。1つ以上の化学物質は、用具上の1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造に挿入されうるおよび/または適用されうる、および/または用具上の1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造を少なくとも部分的に形成するために使用されうる。そのため、用具上の1つ以上の化学物質は、1)用具の1つ以上の表面領域上にコーティングされうる、2)用具の1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造等に挿入されうるおよび/または含漬されうる、および/または3)少なくとも一部分を形成できる、あるいは用具の構造の少なくとも一部分に含まれうる。1つ以上の化学物質が用具上にコーティングされるとき、1つ以上の化学物質は、必須ではないが、1)用具の1つ以上の表面上に直接コーティングされうる、2)1つ以上のコーティングポリマーまたはその他のコーティング材と混合された後で、用具の1つ以上の表面上に少なくとも部分的にコーティングされうる、3)用具上に少なくとも部分的にコーティングされた別のコーティング材の表面上に少なくとも部分的にコーティングされうる、および/または4)a)用具の表面または領域と1つ以上のその他のコーティング材の間に、b)2つ以上のその他のコーティング材の間に少なくとも部分的に封入されうる。理解されるように、その他多くのコーティングのアレンジが追加としてまたは代わりに使用されうる。用具の1つ以上の部分、用具の1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造、および/または用具の1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造に1つ以上の化学物質が挿入されるおよび/または含漬されるとき、1)1つ以上のその他のポリマーが、用具の1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造、複数の表面構造および/または複数のミクロ構造に少なくとも部分的に適用されうる、2)1つ以上のポリマーが、1つ以上の化学物質と組み合わされうる、および/または3)1つ以上のポリマーが、用具の本体の1つ以上の部分にコーティングされうるが、これは必須ではない。そのため、1つ以上の化学物質は、1)用具の構造中に組み込まれうる、2)用具の1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造内に配置されうる、3)2つのポリマーコーティングの間に封入されうる、4)ベース構造とポリマーコーティングの間に封入されうる、5)少なくとも1つのポリマーコーティングを含む用具のベース構造内に混合されうる、または6)1、2、3、4、および/または5の1つ以上の組み合わせでありうる。加えてまたは代わりに、用具上の1つ以上のポリマーの1つ以上のコーティングには、1)非多孔性ポリマーの1つ以上のコーティング、2)1つ以上の多孔性ポリマーと1つ以上の非多孔性ポリマーの組み合わせの1つ以上のコーティング、3)多孔性ポリマーの1つ以上のコーティング、または4)選択肢1、2、および3の1つ以上の組み合わせが含まれうる。理解されるように、異なる化学物質が、異なるポリマーコーティング層の中および/または間に、および/または用具の構造上に存在しうる。さらに理解されるように、多くのその他のおよび/または追加のコーティングの組み合わせおよび/または配置が使用されうる。本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない実施形態では、非多孔性および/または多孔性ポリマーコーティングおよび/または用具の構造の多孔性を一時的および/または恒久的に増大させるために、溶媒を使用して1つ以上の化学物質が用具に組み込まれるおよび/または含漬され、用具のマトリックス内に1つ以上の化学物質を運ぶために使用されうる。1つ以上の化学物質を運ぶのに1つ以上の溶媒が使用されうる。溶媒の適合性は、1つ以上の化学物質および用具の1つ以上の材料との親和性によって変わる。溶媒の限定されない例には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、エチレン、メタノール、酢酸エチル、および幅広いクラスの生体適合性または非生体適合性溶媒が含まれる。1つ以上の化学物質の濃度、ポリマーの種類、用具中の表面構造および/またはミクロ構造の種類および/または形状、および/または1つ以上の化学物質のコーティングの厚さは、1つ以上の化学物質の放出時間、放出速度、および/または投与量を制御するために使用されうるが、その他のまたは追加の組み合わせが使用されうる。そのため、化学物質とポリマー系の組み合わせと用具上の場所は多数存在する。さらに理解されるように、1)1つ以上の非多孔性ポリマーを含むポリマー系の1つ以上の層を介した1つ以上の化学物質の制御放出の前、および/または2)ポリマー系の1つ以上の層を介した1つ以上の化学物質の制御されない放出の前に、1つ以上の化学物質の制御されない初期バースト効果を提供するために、用具の上面に1つ以上の化学物質がデポジットされうる。1つ以上の化学物質および/またはポリマーは、様々なメカニズム、限定されないが例えば、吹付け塗装(例、霧化吹き付けテクニック等)、火炎溶射塗装、パウダーデポジション、ディップコーティング、フローコーティング、ディップスピンコーティング、ロールコーティング(ダイレクトおよびリバース)、超音波処理、はけ塗り、プラズマ蒸着、蒸着によるデポジット、MEMS技術、および回転モールドデポジションによって用具上にコーティングされるおよび/または用具に含漬される。各ポリマー層および/または化学物質の層の厚さは一般に、少なくとも約0.01μmであり、一般に約150μm未満である。1つの限定されない実施形態では、ポリマー層および/または化学物質の層の厚さは、約0.02〜75μm、より詳細には約0.05〜50μm、さらにより詳細には約1〜30μmである。化学物質の少なくとも1つが少なくとも部分的に制御可能に用具から放出されるように、用具が1つ以上の化学物質を含むおよび/または1つ以上の化学物質でコーティングされる場合、長期間の全身療法の必要性または使用は短縮または排除されうる。従来は、患者が病院またはその他の種類の医療機関を退院してからしばらくの間、患者によって全身療法の使用が行われた。この全身療法は、手術から数日間、数週間、数ヶ月間、または時には1年以上続くこともあった。本発明の用具は治療領域内に適用可能または挿入可能で、1)用具の適用または挿入後、全身療法の短縮された使用および/または長期間の使用のみ必要とする、または2)用具の適用または挿入後、全身療法の使用および/または長期使用を必要としない。理解されるように、全身性治療の使用および/または長期使用は、治療領域での用具の適用または挿入後に使用されうる。1つの限定されない例では、患者体内へ用具を挿入した後、全身療法は必要ない。別のおよび/または代わりの限定されない実施例では、患者体内に用具が挿入された後、短期間の全身療法の使用が必要である、または使用される。そのような短期間の使用は、病院またはその他の種類の医療機関から患者が退院した後で、または病院またはその他の種類の医療機関から患者が退院してから1〜2日または週後に終了することが可能であるが、その他の期間の全身療法が使用されうることが理解されるであろう。本発明の用具を使用した結果、医療用具の治療領域への挿入を伴う医学的手技後の全身療法の使用は、著しく短縮または排除されうる。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、用具からの1つ以上の化学物質の制御放出は、制御放出が望ましい場合、1つ以上の非多孔性ポリマー層の使用によって、および/または用具を少なくとも部分的に形成するために使用される1つ以上の生分解性ポリマーの使用によって達成されうるが、1つ以上の化学物質を制御可能に放出するためにその他のおよび/または追加のメカニズムが使用されうる。1つ以上の化学物質は、1つ以上の非多孔性ポリマー層を介した分子拡散によって、および/または用具を少なくとも部分的に形成するために使用される1つ以上の生分解性ポリマーから少なくとも部分的に制御可能に放出されうる。1つ以上の非多孔性ポリマー層が使用されるとき、1つ以上のポリマー層は典型的には生体適合性ポリマーであるが、これは必須ではない。1つ以上の非多孔性ポリマーは、化学物質、溶媒、および/または触媒を使用せずに用具に適用されうるが、これは必須ではない。1つの限定されない実施例では、非多孔性ポリマーは、限定されないが、蒸着および/またはプラズマ蒸着によって少なくとも部分的に適用されうる。蒸気相からの縮合の際にのみ重合し、硬化するような非多孔性ポリマーが選択されうるが、これは必須ではない。1つ以上の非多孔性ポリマー層の適用は、温度を周辺温度(例、65〜95°F)より上昇させずに達成されうるが、これは必須ではない。非多孔性ポリマー系は、用具の少なくとも一部分に形成される前におよび/または用具上にコーティングされる前に1つ以上の化学物質と混合されうる、および/またはあらかじめ1つ以上の化学物質を含む用具上にコーティングされうるが、これは必須ではない。1つ以上の非多孔性ポリマーの使用によって、用具からの化学物質の正確な制御放出が可能になる。非多孔性ポリマーを介した1つ以上の化学物質の制御放出は、非多孔性ポリマーを介した化学物質の拡散の運動性を利用することによって、分子レベルで少なくとも部分的に制御される。1つの限定されない実施例では、1つ以上の非多孔性ポリマー層は、ポリアミド、パリレン(例、パリレンC、パリレンN)および/またはパリレン誘導体を含みうるがこれらに限定されない。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、用具からの1つ以上の化学物質の制御放出は、制御放出が望ましい場合、1つ以上の化学物質と化学結合を形成する1つ以上のポリマーを使用することで達成されうる。1つの限定されない実施例では、少なくとも1つの化学物質には、少なくとも1つのポリマー、限定されないが例えば、エチレン−アクリル酸コポリマーと共有結合するトラピジル、トラピジル誘導体、またはその塩が含まれる。エチレンは疎水基であり、アクリル酸は親水基である。コポリマー中のエチレンのアクリル酸に対するモル比は、コポリマーの疎水性を制御するために使用されうる。1つ以上のポリマーの疎水性の度合いは、1つ以上のポリマーからの1つ以上の化学物質の放出速度を制御するためにも使用されうる。1つ以上のポリマーとともにロードされうる化学物質の量は、1つ以上のポリマー中の陰イオン性基および/または陽イオン性基の濃度に応じて変化してよい。陰性である化学物質では、1つ以上のポリマー上にロードされうる化学物質の濃度は一般に、1つ以上のポリマー中の陽イオン性基(例、アミン基など)の濃度、および1つ以上の化学物質の陰イオン性型にイオン結合できるこれらの陽イオン性基の割合によって変わる。陽イオン性である化学物質(例、トラピジル等)では、1つ以上のポリマー上にロードされうる化学物質の濃度は一般に、1つ以上のポリマー中の陰イオン性基(すなわち、カルボキシレート基、リン酸基、硫酸基、および/またはその他の有機陰性基)の濃度、および1つ以上の化学物質の陽イオン性型にイオン結合できるこれらの陰イオン性基の割合によって変わる。そのため、1つ以上のポリマーに結合できる1つ以上の化学物質の濃度は、1つ以上のポリマー中の疎水性および親水性モノマーの量を制御することによって、化学物質、および/または1つ以上のポリマー中の陰イオン性基/陽イオン性基の間の塩の形成効率を制御することによって変化させることができる。本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、用具からの1つ以上の化学物質の制御放出は、制御放出が望ましい場合、1つ以上の誘発された架橋を含む1つ以上のポリマーを使用することによって達成されうる。これらの1つ以上の架橋は、1つ以上のポリマーからの1つ以上の化学物質の放出の速度を少なくとも部分的に制御するために使用されうる。1つ以上のポリマー中の架橋は、多くのテクニック、限定されないが例えば、触媒の使用、放射線の使用、熱の使用、および/または同様のものによって開始されうる。1つ以上のポリマー中に形成される1つ以上の架橋によって、1つ以上の化学物質が架橋内に部分的にまたは完全に取り込まれるようになる、および/または架橋と結合を形成する。そのため、部分的にまたは完全に化学物質が自身を架橋から放出する時間が長くなるため、1つ以上のポリマーからの1つ以上の化学物質の放出速度が遅くなる。結果として、化学物質の量、および/または時間とともに用具から化学物質が放出される速度は、1つ以上のポリマー中の架橋の量または度合いによって少なくとも部分的に制御されうる。さらに本発明のさらなるおよび/または代わりの態様では、様々なポリマーが用具上にコーティングされうる、および/または用具の少なくとも一部分を形成するために使用されうる。1つ以上のポリマーは、様々な理由、限定されないが例えば、1)用具の一部分を形成すること、2)用具の物理的特性を向上させること(例、強度を向上させる、耐久性を向上させる、生体適合性を向上させる、摩擦を軽減する等)、3)用具上の1つ以上の表面構造上に保護コーティングを形成すること、4)医療用具上の1つ以上の表面構造を少なくとも部分的に形成すること、および/または5)用具からの1つ以上の化学物質の放出速度を少なくとも部分的に制御することのために医療において使用されうる。理解されるように、1つ以上のポリマーは、用具に関してその他のまたは追加の用途を持つ。1つ以上のポリマーは、多孔性、非多孔性、生体安定性、生分解性(すなわち、体内で溶解する、分解する、吸収される、またはこれらのあらゆる組み合わせ)、および/または生体適合性でありうる。用具が1つ以上のポリマーでコーティングされるとき、ポリマーは、1)非多孔性ポリマーの1つ以上のコーティング、2)1つ以上の多孔性ポリマーと1つ以上の非多孔性ポリマーの組み合わせの1つ以上のコーティング、3)1つ以上の多孔性ポリマーの1つ以上のコーティングおよび1つ以上の非多孔性ポリマーの1つ以上のコーティング、4)多孔性ポリマーの1つ以上のコーティング、または5)選択肢1、2、3、および4の1つ以上の組み合わせを含みうる。ポリマー層の1つ以上の厚さは同じ、または異なっていてよい。ポリマーの1つ以上の層が用具の少なくとも一部分にコーティングされるとき、1つ以上のコーティングは、様々なテクニック、限定されないが例えば、蒸着および/またはプラズマ蒸着、吹付け塗装、ディップコーティング、ロールコーティング、超音波処理、霧化、はけ塗り、および/または同様のものによって適用されうるが、その他のまたは追加のコーティングテクニックが使用されうる。用具上にコーティングされうるおよび/または用具を少なくとも部分的に形成するために使用されうる1つ以上のポリマーは、生分解性であると考えられるポリマー、生体安定性であると考えられるポリマー、および/または生分解性にされるおよび/または修飾によって生分解性にされうるポリマーであってよい。生分解性であると考えられるポリマーの限定されない例には、脂肪族ポリエステル、ポリ(グリコール酸)、および/またはそのコポリマー(例、ポリ(グリコリドトリメチレンカーボネート)、ポリ(カプロラクトングリコリド))、ポリ(乳酸)および/またはその異性体(例、ポリ−L(乳酸)および/またはポリ−D乳酸)および/またはそのコポリマー(例、DL−PLA)、添加剤あり/添加剤なし(例、リン酸カルシウムガラス)、および/またはその他のコポリマー(例、ポリ(カプロラクトンラクチド)、ポリ(ラクチドグリコリド)、ポリ(乳酸エチレングリコール))、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(ラクチド)、ポリアルキレンスクシナート、ポリブチレンジグリコレート、ポリヒドロキシブチラート(PHB)、ポリヒドロキシバレラート(PHV)、ポリヒドロキシブチラート/ポリヒドロキシバレラートコポリマー(PHB/PHV)、ポリ(ヒドロキシブチラート−コバレレート)、ポリヒドロキシアルカオエート(PHA)、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン−ポリエチレングリコール)コポリマー、ポリ(バレロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリ(オルトエステル)および/またはポリ酸無水物とのブレンド、ポリ(無水物−コ−イミド)、ポリカーボネート(脂肪族)、ポリ(ヒドロキシル−エステル)、ポリジオキサノン、ポリ酸無水物、ポリ酸無水物エステル、ポリシアノアクリレート、ポリ(アルキル2−シアノアクリレート)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(プロピレンフマラート)、ポリ(プロピレンフマラート−コ−エチレングリコール)、ポリ(フマラート無水物)、フィブリノゲン、フィブリン、ゼラチン、セルロースおよび/またはセルロース誘導体および/またはセルロースポリマー(例、セルロースアセタート、セルロースアセタートブチラート、セルロースブチラート、セルロースエーテル、セルロースニトラート、セルロースプロピオナート、セロファン)、キトサンおよび/またはキトサン誘導体(例、キトサンNOCC、キトサンNOOC−G)、アルギン酸塩、ポリサッカライド、スターチ、アミラーゼ、コラーゲン、ポリカルボン酸、ポリ(エチルエステル−コ−カルボキシラートカーボネート)(および/またはその他のチロシン由来ポリカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(BPA−イミノカーボネート)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート−アミド)コポリマーおよび/またはその他のプソイドポリ(アミノ酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)/ポリ(ブチレンテレフタラート)コポリマー、ポリ(ε−カプロラクトン−ジメチルトリメチレンカーボネート)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(アミノ酸)およびその従来の合成ポリマー、ポリ(アルキレンオキサラート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(アジピン酸無水物)、ナイロンコポリアミド、NO−カルボキシメチルキトサンNOCC)、カルボキシメチルセルロース、コポリ(エーテル−エステル)(例、PEO/PLAデキストラン)、ポリケタール、生分解性ポリエーテル、生分解性ポリエステル、ポリジヒドロピラン、ポリデプシペプチド、ポリアリレート(L−チロシン由来)および/または遊離酸ポリアリレート、ポリアミド(例、ナイロン66、ポリカプロラクタム)、ポリ(プロピレンフマラート−コ−エチレングリコール)(例、フマラート無水物)、ヒアルロン酸塩、ポリ−p−ジオキサノン、ポリペプチドおよびタンパク質、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリサッカライド、プソイド−ポリ(アミノ酸)、スターチ、ターポリマー、(グリコリド、ラクチド、またはジメチルトリメチレンカーボネートのコポリマー)、レーヨン、レーヨントリアセタート、ラテックス、および/上記のコポリマー、ブレンド、および/またはコンポジットが含まれるがこれらに限定されない。生体安定性であると考えられポリマーの限定されない例には、パリレン、パリレンc、パリレンf、パリレンn、パリレン誘導体、マレイン酸無水物ポリマー、ホスホリルコリン、ポリn−ブチルメタクリラート(PBMA)、ポリエチレン−コ−ビニルアセタート(PEVA)、PBMA/PEVAブレンドまたはコポリマー、ポリテトラフルオロエタン(Teflon(登録商標))および誘導体、ポリ−パラフェニレンテレフタルアミド(Kevlar(登録商標))、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−ブチレン))(Translute(商標))、テトラメチルジシロキサン(側鎖またはコポリマー)、ポリイミドポリスルフィド、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(エチレン−コ−メチルメタクリラート)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー、ABS、SAN、アクリル酸ポリマーおよび/またはコポリマー(例、n−ブチル−アクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリル−アクリレート、2−ヒドロキシ−プロピルアクリレート、ポリヒドロキシエチル、メタクリレート/メチルメタクリレートコポリマー)、グリコサミノグリカン、アルキド樹脂、エラスチン、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂、ポリ(オキシメチレン)、ポリオレフィン、シリコーンのポリマー、メタンのポリマー、ポリイソブチレン、エチレン−αオレフィンコポリマー、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、フルオロシリコーン、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリビニル芳香族化合物(例、ポリスチレン)、ポリ(ビニルエーテル)(例、ポリビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニリデンハライド)(例、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンクロリド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピロリドン)/ビニルアセタートコポリマー、ポリビニルピリジンプロラスチンまたは絹−エラスチンポリマー(SELP)、シリコーン、シリコーンゴム、ポリウレタン(ポリカーボネートポリウレタン、シリコーンウレタンポリマー)(例、ChronoFlex各種、Bionate各種)、ビニルハライドポリマーおよび/またはコポリマー(例、ポリビニルクロリド)、ポリアクリル酸、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンビニルアセタートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシルアルキルメタクリラート)、ポリビニルエステル(例、ポリビニルアセタート)
、および/または上記のコポリマー、ブレンド、および/またはコンポジットが含まれるがこれらに限定されない。修飾によって生分解性にされうるポリマーの限定されない例には、ヒアルロン酸(ヒアンルロン)、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ビニルモノマーのコポリマー、ポリアセタール、生分解性ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリイソシアナート、ポリアミド、および/または上記のコポリマー、ブレンド、および/またはコンポジットが含まれるがこれらに限定されない。理解されるように、その他のおよび/または追加のポリマーおよび/または上記のポリマーの1つ以上の誘導体が使用されうる。1つ以上のポリマーは、様々なメカニズム、例えば吹付け塗装(例、霧化吹付けテクニック等)、火炎溶射塗装、パウダーデポジション、ディップコーティング、フローコーティング、ディップスピンコーティング、ロールコーティング(ダイレクトおよびリバース)、超音波処理、はけ塗り、プラズマ蒸着、蒸着によるデポジット、MEMS技術、および回転モールドによって用具上にコーティングされるおよび/または用具中に含浸される。各ポリマー層の厚さは一般に、少なくとも約0.01μmであり、一般に約150μm未満であるが、その他の厚さが使用されうる。1つの限定されない実施形態では、ポリマー層および/または化学物質の層の厚さは、約0.02〜75μmであり、より詳細には約0.05〜50μmであり、さらにより詳細には約1〜30μmである。理解されるように、その他の厚さが使用されうる。1つの限定されない実施形態では、本体の少なくとも一部分は、パリレン、PLGA、POE、PGA、PLLA、PAA、PEG、キトサン、および/または上記のコポリマー、ブレンド、および/またはコンポジットおよび/またはこれらのポリマーの1つ以上の誘導体を含む、および/またはこれらでコーティングされる。別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、本体の少なくとも一部分は、限定されないがポリアミド、パリレンc、パリレンn、および/またはパリレン誘導体を含む非多孔性ポリマーを含むおよび/またはこれでコーティングされる。さらに別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、本体の少なくとも一部分は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、およびポリ(プロピレンオキシド)、シリコーン、メタン、テトラフルオロエチレン(TEFLONブランドのポリマーを含む)、テトラメチルジシロキサンのポリマー、および同様のものを含む、および/またはこれらでコーティングされる。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具は、1つ以上の化学物質を含むおよび/または1つ以上の化学物質でコーティングされる場合、医療用具の異なる領域において同じまたは異なる、および/または医療用具の異なる領域において異なる量および/または濃度をもつ、1つ以上の化学物質を含みうるおよび/またはこれでコーティングされうる。例えば、医療用具は、a)医療用具の少なくとも1つの部分で1つ以上の生物学的製剤でコーティングされうるおよび/または1つ以上の生物学的製剤を含むことができ、医療用具の少なくとも別の部分は生物学的製剤でコーティングされていないおよび/または生物学的製剤を含み、b)医療用具の少なくとも1つの部分で、医療用具の少なくとも別の部分にある1つ以上の生物学的製剤とは異なる1つ以上の生物学的製剤でコーティングされうるおよび/またはこれを含みうる、c)医療用具の少なくとも1つの部分で、医療用具の少なくとも別の部分にある1つ以上の生物学的製剤の濃度とは異なるある濃度で1つ以上の生物学的製剤でコーティングされうるおよび/またはこれを含みうる、等である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具上にコーティングされる1つ以上の化学物質および1つ以上のポリマーの所望のコーティング特性を得るために、医療用具の1つ以上の表面が処理されうる。そのような表面処理テクニックには、洗浄、バフ仕上げ、平滑化、エッチング(化学エッチング、プラズマエッチング等)等が含まれるがこれらに限定されない。エッチング処理が使用されるとき、そのような表面処理プロセスには各種ガス、限定されないが例えば、二酸化炭素、窒素、酸素、フレオン、ヘリウム、水素等が使用されうる。プラズマエッチングプロセスは、医療用具の表面を洗浄し、医療用具の表面特性を変化させて、医療用具の表面の接着性、潤滑性等に影響を与えるために使用されうる。理解されるように、その他のまたは追加の表面処理プロセスが、医療用具の表面上の1つ以上の化学物質および/またはポリマーのコーティングの前に使用されうる。1つの限定されない製造プロセスでは、医療用具の1つ以上の部分の洗浄が行われるおよび/またはプラズマエッチングが施されるが、これは必須ではない。プラズマエッチングは医療用具の表面を洗浄するため、および/または医療用具上の化学物質の1つ以上のコーティングおよび/またはポリマーの1つ以上のコーティングの接着を促進する目的で、医療用具上に1つ以上の平滑でない表面を形成するために使用されうる。プラズマエッチング用のガスには、二酸化炭素および/またはその他のガスが含まれうる。医療用具の1つ以上の表面領域が処理されると、ポリマーおよび/または生物学的製剤の1つ以上のコーティングが医療用具の1つ以上の領域に適用されうる。例えば、1)多孔性または非多孔性ポリマーの1つ以上の層は、医療用具の外面および/または内面にコーティングされうる、2)生物学的製剤の1つ以上の層は、医療用具の外面および/または内面にコーティングされうる、または3)1つ以上の化学物質を含む多孔性または非多孔性ポリマーの1つ以上の層は、医療用具の外面および/または内面にコーティングされうる。生物学的製剤の1つ以上の層は、様々なテクニック(例、ディップコーティング、ローリング、はけ塗り、吹付け塗装、粒子の霧化等)によって医療用具に適用されうる。1つの限定されないコーティングテクニックは、超音波ミストコーティング処理によるもので、この場合、生物学的製剤の液滴を粉砕して非常に微細な液滴のミストを形成するために超音波が使用される。これらの微細な液滴の平均直径は、約0.1〜3ミクロンである。微細な液滴のミストは、均一な厚さのコーティングの形成を容易にし、医療用具上の被覆領域を増大させることができる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具の1つ以上の部分は、1)同じまたは異なる化学物質を含みうる、2)同じまたは異なる量の1つ以上の化学物質を含みうる、3)同じまたは異なるポリマーコーティングを含みうる、4)同じまたは異なるコーティングの厚さの1つ以上のポリマーコーティングを含みうる、5)1つ以上の化学物質を制御可能に放出するおよび/または制御不可能に放出する医療用具の1つ以上の部分を有しうる、および/または6)1つ以上の化学物質を制御可能に放出する医療用具の1つ以上の部分および1つ以上の化学物質を制御不可能に放出する医療用具の1つ以上の部分を有しうる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、用具は、身体通路内への用具の適切なポジショニングを容易にするマーカー材を含みうる。マーカー材は典型的に、電磁波(例、X線、マイクロ波、可視光、赤外線波、紫外線波等)、音波(例、超音波等)、磁気波(例、MRI等)、および/またはその他の種類の電磁波(例、マイクロ波、可視光、赤外線波、紫外線波等)に対して視覚化されるようにデザインされる。1つの限定されない実施形態では、マーカー材はX線に対して視覚化される(すなわち放射線不透過性である)。マーカー材は、用具の全てまたは一部を形成できる、および/または用具の1つ以上の部分(フレア部分および/または本体部分、用具の末端部、本体部分とフレア部分の移行部または移行部周辺等)にコーティングされうる。マーカー材の場所は、用具上の1つまたは複数の場所にあってよい。マーカー材を含む1つ以上の領域の大きさは同じ、または異なっていてよい。マーカー材は、身体通路内の用具のポジショニングを容易にするために、用具上に物差し様のマーキングを形成できるように互いに規定距離の間隔を有していてよい。マーカー材は、剛性材料または柔軟な材料であってよい。マーカー材は、生体安定性の材料または生分解性の材料であってよい。マーカー材が剛性材料であるとき、マーカー材は典型的に金属材料(例、金属帯、金属めっき等)で形成されるが、他のまたは追加の材料が使用されうる。マーカー材が柔軟な材料である場合、マーカー材は典型的に、それ自体に含まれるマーカー材である1つ以上のポリマーで形成される、および/または1つ以上の金属粉末および/または金属化合物を含む。1つの限定されない実施形態では、柔軟なマーカー材には、パリレン、PLGA、POE、PGA、PLLA、PAA、PEG、キトサンおよび/またはこれらのポリマーの1つ以上の誘導体と組み合わされた1つ以上の金属粉末が含まれる。
別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、柔軟なマーカー材には、アルミニウム、バリウム、ビスマス、コバルト、銅、クロム、金、鉄、ステンレス鋼、チタン、バナジウム、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、鉛、モリブデン、白金、イットリウム、カルシウム、希土類金属、マグネシウム、レニウム、亜鉛、銀、劣化放射性元素、タンタル、および/またはタングステンの1つ以上の金属および/または金属粉末、および/またはこれらの化合物が含まれる。マーカー材はポリマー保護材料でコーティングされうるが、これは必須ではない。マーカー材がポリマー保護材料でコーティングされるとき、ポリマーコーティングは、1)体液からマーカー材料を少なくとも部分的に分離するため、2)用具上にマーカー材を保持しやすくするため、3)医学的手技の際の損傷からマーカー材を少なくとも部分的に保護するため、および/または4)用具上に所望の表面プロファイルを提供するために使用されうる。理解されるように、ポリマーコーティングはその他のまたは追加の用途を有しうる。ポリマー保護コーティングは、生体安定性ポリマーまたは生分解性ポリマー(例、溶解するおよび/または吸収される)でありうる。保護コーティングポリマー材のコーティングの厚さは、使用される場合、典型的には約300ミクロン未満であるが、その他の厚さが使用されうる。1つの限定されない実施形態では、保護コーティング材には、パリレン、PLGA、POE、PGA、PLLA、PAA、PEG、キトサンおよび/または上記のコポリマー、ブレンド、および/またはコンポジット、および/またはこれらのポリマーの1つ以上の誘導体が含まれる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの態様では、医療用具は、別の用具(例、バルーン等)の使用によって拡張されうる、および/または自己拡張型である拡張型用具でありうる。拡張型医療用具は、形状記憶特性を持たないもしくは形状記憶特性を実質的に持たない材料から作製されうる、または形状記憶特性を持つ材料から作製されうる。
本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、用具または用具の1つ以上の領域は、Micro−Electro−Mechanical Systems(MEMS、例、マイクロマシニング、レーザーマイクロマシニング、マイクロモールディング等)の作成に使用される1つ以上のマイクロ加工および/またはマイクロマシニング技術の使用によって構築されうるが、その他のまたは追加の製造技術が使用されうる。用具は、1つ以上の表面構造(例、ポア、チャネル、ピット、リブ、スロット、ノッチ、バンプ、ティース、ウェル、ホール、グルーブ等)を含みうる。これらの構造は、MEMS技術および/またはその他の種類の技術によって少なくとも部分的に形成されうる。用具は、1つ以上のミクロ構造(例、ミクロニードル、ミクロポア、ミクロシリンダー、ミクロコーン、ミクロピラミッド、ミクロチューブ、ミクロパラレロパイプド、ミクロプリズム、ミクロへミスフェア、ティース、リブ、リッジ、ラチェット、ヒンジ、ジッパー、ジップ−タイ状構造等)を、用具の内面、外面、端面上に含みうる。用具、例えばステント、グラフト、および/またはその他の適当な用具上に形成されうる構造の限定されない例は、参考として本明細書で援用される、(特許文献20)および(特許文献21)で説明されている。典型的には、ミクロ構造は、形成される場合、約1000ミクロンを超えずに、より典型的には約1000ミクロン未満で外面からまたは外面に伸びるが、その他のサイズが使用されうる。ミクロ構造は、集合している、または用具の表面全体に分散されうる。同様の形状および/または大きさを持つミクロ構造および/または表面構造が使用されうる、または異なる形状および/または大きさを持つミクロ構造が使用されうる。1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造が用具の外面および/または内面から伸びるようにデザインされるとき、1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造は、伸びている状態に形成されうる、および/または治療領域に用具を配置する際におよび/または配置した後に用具から伸びるようにデザインされうる。ミクロ構造および/または表面構造は、1つ以上の物質を含有するように、および/または1つ以上の物質を含有する通路、空洞等とつながるようにデザインされうるが、これは必須ではない。1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造は、用具が患者の身体上および/または体内に設置された後で、周囲の組織または臓器にかみ込むまたはおよび/または貫通するように使用されうるが、これは必須ではない。本発明の別のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、ミクロ構造および/または表面構造は、用具および/または追加の用具の間の表面摩擦を変化させるようにデザインされうる。例えば、用具の内面に作られたミクロ構造および/または表面構造は、送達用カテーテル上でのステント、グラフト、および/またはその他適当な用具の保持を高めるために使用されてよい。本発明の別のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、ミクロ構造および/または表面構造は組織の成長を促進するために使用される起伏および/または割れ目の領域を作るようにデザインされうる。1つの限定されない態様では、ミクロ構造および/または表面構造は、巻かれて神経再生用のシャントに作成されうるフィルム上に作られてよく、この場合、ミクロ構造および/または表面構造は神経の成長をサポートおよび/または促進するための格子を提供できる。1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造は、用具の形状の形成または維持を促進するために使用されうる(すなわち、(特許文献20)および(特許文献21)に記載の用具参照)。1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造はMEMS技術によって少なくとも部分的に形成されうるが、これは必須ではない。1つの限定されない実施形態では、1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造は、物質、ポリマー、物質ポリマーミクスチャー、および/またはポリマーと物質の層構造で少なくとも部分的に形成されうる。表面構造および/またはミクロ構造の1つ以上は、1つ以上の材料(例、物質、ポリマー等)を含みうる1つ以上の内部通路を含みうるが、これは必須ではない。本発明の別のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、1つ以上の内部通路は、部分的につながっているかおよび/または分離しているかのいずれかである。1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造は、様々なプロセス(例、マシニング、化学修飾、化学反応、MEMS技術、エッチング、レーザー切断等)によって形成されうる。用具の1つ以上のコーティングおよび/または1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造は、様々な目的、限定されないが例えば1)1つ以上の物質、接着材、マーカー材、および/またはポリマーの用具への結合および/または接着を増大させる、2)用具の外観または表面特性を変化させる、および/または3)1つ以上の物質の放出速度を制御するために使用されうる。1つ以上のミクロ構造および/または表面構造は、生体安定性、生分解性等であってよい。MEMS技術によって少なくとも部分的に形成される用具の1つ以上の領域は、生体安定性、生分解性等であってよい。用具または用具の1つ以上の領域は、用具の1つ以上の領域、および/または用具上の1つ以上のミクロ構造および/または表面構造を少なくとも部分的に損傷から保護するように、保護材料で少なくとも部分的に被覆されうるおよび/または充填されうる。用具の1つ以上の領域、および/または用具上の1つ以上のミクロ構造および/または表面構造は、用具が、1)包装されるおよび/または保存されるとき、2)開封されるとき、3)別の用具上に接続されるおよび/またはその他の方法で固定されるおよび/または設置されるとき、4)治療領域に挿入されるとき、5)ユーザーが取り扱うとき、および/または6)1つ以上のミクロ構造および/または表面構造と身体通路内の液の間に隔壁を形成するときに損傷する可能性がある。理解されるように、用具はその他のまたは追加の状況で損傷する可能性がある。保護材料は、用具および1つ以上のミクロ構造および/または表面構造をそのような損傷から保護するために使用されうる。保護材料は、上記で特定した1つ以上のポリマーを含みうる。保護材料は、1)生体安定性および/または生分解性でありうる、および/または2)多孔性および/または非多孔性でありうる。1つの限定されないデザインでは、少なくとも部分的に治療領域内に用具が挿入された後、1つ以上のミクロ構造および/または表面構造を少なくとも部分的に環境に暴露するように、ポリマーは少なくとも部分的に生分解性である。別のおよび/または追加の限定されないデザインでは、保護材料には、糖(例、グルコース、フルクトース、スクロース等)、炭水化物化合物、塩(例、NaCl等)、パリレン、PLGA、POE、PGA、PLLA、PAA、PEG、キトサン、および/または上記のコポリマー、ブレンド、および/またはコンポジット、および/またはこれらのポリマーの1つ以上の誘導体が含まれるがこれらに限定されず、その他のおよび/または追加の材料が使用されうる。さらに別のおよび/または追加の限定されないデザインでは、保護材料の厚さは一般に、約300ミクロン未満であり、典型的には150ミクロン未満であるが、保護材料の材料選択に応じてその他の厚さが使用されうる。保護材料は、本明細書でこれまでに説明した1つ以上のメカニズムによってコーティングされうる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、用具は、物理的障害物を含みうる、および/または物理的障害物と一緒に使用されうる。物理的障害物には、接着材、シース、マグネット、テープ、ワイヤー、糸等が含まれうるがこれらに限定されない。物理的障害物は、1)用具の1つ以上の領域を特定の形態またはプロファイルに物理的に保つため、2)特定の配置用具上に用具を物理的に保持するため、3)用具上の1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造を保護するため、および/または4)用具上の1つ以上の表面領域、表面構造、および/またはミクロ構造と身体通路内の液の間に隔壁を形成するために使用されうる。理解されるように、物理的障害物はその他のおよび/または追加の機能を有しうる。物理的障害物は典型的には生分解性材料であるが、生体安定性材料も使用されうる。物理的障害物は用具の滅菌に耐えられるようにデザインされうるが、これは必須ではない。物理的障害物は、1つ以上の用具に適用されうる、1つ以上の用具中に含まれうる、および/または1つ以上の用具と併用して使用されうる。追加でまたは代わりに、物理的障害物は、限られた期間の間、用具とともにおよび/または併用して使用された後で、1)用具が部分的にまたは完全に配置された後で用具から外れる、2)用具が部分的または完全に配置される際におよび/または配置された後に溶解するおよび/または分解するようにデザインされうるが、これは必須ではない。追加でまたは代わりに、物理的障害物は、用具の配置を容易にするために用具とともに一時的に使用されるようにデザインされ、構築されうるが、これは必須ではない。物理的障害物の1つの限定されない使用では、物理的障害物は、治療のために用具を少なくとも部分的にある場所へ運ぶために使用される別の用具に、用具を少なくとも部分的に固定するようにデザインされ、構築される。物理的障害物の別のおよび/または代わりの限定されない使用では、物理的障害物は、用具が少なくとも部分的に治療部位に設置されるまで、用具を特定の形状または形態に少なくとも部分的に維持するようにデザインされ、構築される。物理的障害物のさらに別のおよび/または代わりの限定されない使用では、物理的障害物は、用具が少なくとも部分的に治療部位内に設置されるまで、1種類の用具を別の種類の医療機器または用具に少なくとも部分的に保持するおよび/または固定するようにデザインされ、構築される。物理的障害物はさらに、または代わりに、用具の使用を容易にするために用具と一緒に使用されるようにデザインされ、構築される。物理的障害物の1つの限定されない使用では、接着材の形態である場合、用具を治療領域に保持しやすくするように、用具を治療領域に少なくとも部分的に固定するように構築されうる。例えば、物理的障害物は、縫合糸、ステッチ、ねじ、ネイル、ロッド等によって用具が治療領域に適切に固定されるまで、治療領域上または治療領域での用具の保持を容易にするためにそのような使用において使用されうるが、これは必須ではない。追加でまたは代わりに、物理的障害物は、用具が部分的または完全にその目的を達成するまで、治療領域上または治療領域での用具の保持を容易にするために使用されうる。物理的障害物は典型的には、適切に使用された場合に予期せぬ有害事象の原因とならないような生体適合性材料である。物理的障害物は、生体安定性または生分解性(例、分解するおよび/または吸収される等)であってよい。物理的障害物が1つ以上の接着材を含むとき、または物理的障害物が1つ以上の接着材であるとき、1つ以上の接着材は、限定されないが、用具への吹付け塗装(例、霧化吹付けテクニック等)、火炎溶射塗装、パウダーデポジション、ディップコーティング、フローコーティング、ディップスピンコーティング、ロールコーティング(ダイレクトおよびリバース)、超音波処理、はけ塗り、プラズマ蒸着、蒸着によるデポジット、MEMS技術、および回転モールドデポジションによって用具に適用されうる。物理的障害物はさらに、または代わりに、用具の少なくとも一部分を形成できる。用具の1つ以上の領域および/または表面はさらに、または代わりに、物理的障害物を含みうる。物理的障害物は、1つ以上の物質および/またはその他の材料(例、マーカー材、ポリマー等)を含みうるが、これは必須ではない。物理的障害物が接着材であるとき、または物理的障害物が接着材を含むとき、接着材は、接着材中の、および/または用具にコーティングされたおよび/または用具に含有される1つ以上の物質を制御可能に放出するように構築されうるが、これは必須ではない。接着材はさらにまたは代わりに、そのような物質に対する貫通可能なまたは貫通不可能な隔壁を形成することによって、用具上に存在するおよび/または用具に含有される1つ以上の物質の放出を制御できるが、これは必須ではない。接着材は、1つ以上のポリマーを含みうるおよび/または1つ以上のポリマーと混合されうるが、これは必須ではない。1つ以上のポリマーは、1)前述の接着材によってもたらされる接着時間を制御するため、2)接着材の分解の速度を制御するため、および/または3)1つ以上の物質の接着材からの放出の速度、および/または接着層を介した拡散または貫通を制御するために使用されうるが、これは必須ではない。物理的障害物がシースを含むとき、シースは、部分的にまたは完全に用具を取り囲むようにデザインされうる。シースは、用具が治療領域に配置された後に、用具から物理的に取り除かれるようにデザインされうるが、これは必須ではない。シースは、用具の1つ以上の表面領域、ミクロ構造、および/または表面構造を少なくとも部分的に露出するために、時間とともに少なくとも部分的に分解する生分解性材料で形成されうるが、これは必須ではない。シースは、1つ以上の生物学的製剤を含みうる、および/または1つ以上の生物学的製剤で部分的にコーティングされうる。シースは1つ以上のポリマーを含むが、これは必須ではない。1つ以上のポリマーは、様々な理由、限定されないが例えば、1)シースの一部分を形成すること、2)シースの物理的特性を向上させること(例、強度を向上させる、耐久力を向上させる、生体適合性を向上させる、摩擦を軽減する等)、および/または3)シースからの1つ以上の物質の放出速度を少なくとも部分的に制御することのために使用されうる。理解されるように、1つ以上のポリマーは、シースに関してその他のまたは追加の用途を有しうる。
さらに本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具は、生体安定性または生体吸収特性を有するベース材料で完全にまたは部分的に形成されうる。医療用具は、1つ以上のポリマー、化学物質、金属(例、アルミニウム、バリウム、ビスマス、カルシウム、炭素、コバルト、銅、クロム、劣化放射性元素、金、鉄、鉛、モリブデン、マグネシウム、ニッケル、ニオブ、白金、希土類金属、レニウム、銀、タンタル、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、および/またはこれらの合金(例、ステンレス鋼、ニチノール、Cr−Co、Mo−Re、Ta−W、Mg−Zr、Mg−Zn、真ちゅう等))、セラミックス、および/または繊維強化材料(例、炭素繊維材料、グラスファイバー等)で少なくとも部分的に形成されうる。医療用具は一般に、医療用具を作製するのに必要な製造プロセスに耐えられるように、医療用具に所望の特性を与える1つ以上の材料を含む。これらの製造プロセスには、レーザー切断、エッチング、研削、ウォーター切断、放電加工、圧着、アニーリング、引抜き、ピルガ圧延、電気めっき、電解研摩、化学研摩、イオンビーム蒸着または注入、スパッタコーティング、真空蒸着等が含まれうるがこれらに限定されない。
さらに本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具は、ステンレス鋼またはコバルトクロム合金製の従来の医療用具と比較して特性が向上した、新規な金属合金で少なくとも部分的に作製されたベース材料で完全にまたは部分的に形成されうる。医療用具を少なくとも部分的に形成するために使用される新規な金属合金は、そのような医療用具の1つ以上の特性(例、強度、耐久性、硬さ、生体安定性、曲げ性、摩擦係数、半径方向の強度、柔軟性、引張り強さ、長軸方向の延伸、応力−ひずみ特性、向上したはね返り特性、放射線不透過性、熱感受性、生体適合性等)を向上させることができる。新規な金属合金のこれらの1つ以上の物理的特性は、医療用具の嵩、体積、または重量を増やさずに得ることができ、いくつかの例では、従来のステンレス鋼またはコバルトおよびクロム合金材料で少なくとも部分的に形成された医療用具と比較して、医療用具の体積、嵩、および/または重量が少ない場合であっても得ることができる。医療用具を少なくとも部分的に形成するために使用される新規な金属合金は故に、1)医療用具の放射線不透過性を高めうる、2)医療用具の半径方向の強度を高めうる、3)医療用具の引っ張り強さを高めうる、4)医療用具の応力−ひずみ特性を高めうる、5)医療用具の圧着および/または拡張特性を高めうる、6)医療用具の曲げ性および/または柔軟性を高めうる、7)医療用具の強度および/または耐久性を高めうる、8)医療用具の硬さを高めうる、9)医療用具の長軸方向の延伸特性を高めうる、10)医療用具のはね返り特性を高めうる、11)医療用具の摩擦係数を向上させうる、12)医療用具の熱感受性を向上させうる、13)医療用具の生体安定性および/または生体適合性を向上させうる、および/または14)小さい、細い、および/または軽い医療用具の作製を可能にする。より小さい、細い、および/または軽い医療用具、限定されないが例えば、ステントは身体通路内に挿入が可能で、血栓症の発生を低下させると考えられている。そのような医療用具は、医療用具が身体通路に挿入された場合の身体による有害反応を軽減すると考えられている。そのため、医療用具は、医療用具に含まれる、医療用具中に含有される、および/または医療用具にコーティングされる生物学的製剤なしでの使用が可能で、それでもなお血栓症の発生を低下させる。そのため、医療用具が治療領域に挿入された後の全身性の積極的な抗血小板および/または抗凝固療法の長期使用の必要性は、新規な合金の使用によって縮小または排除されうる。
本発明の1つの限定されない態様では、新規な金属合金を含みうる医療用具は、身体通路内で使用するためのステントであるが、その他の種類の医療用具が、新規な金属合金から少なくとも部分的に形成されうることが理解されうる。本明細書で使用される用語“身体通路”は、生体内のあらゆる通路または腔(例、胆管、細気管支、鼻腔、血管、心臓、食道、気管、胃、卵管、子宮、尿管、尿道、腸管、リンパ管、鼻道、耳管、耳道等)として定義される。医療用具を治療領域に送達するのに用いられるテクニックには、血管形成術、血管吻合、介入手技、およびこれらのあらゆる組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。血管への応用では、用語“身体通路”は、主に血管と心臓内の腔を意味する。ステントは、バルーンおよび/またはその他の手段によって拡張可能な拡張型ステントでありうる。ステントは多数の形状および形態を有しうる。そのような形状には、米国特許第6206916号および同第6436133号、ならびにこれらの特許内で引用されている全ての従来技術で開示されているステントが含まれうるがこれらに限定されない。ステントのこうした様々なデザインおよび形状は参考として本明細書で援用される。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具は一般に、少なくとも約25重量%の新規な金属合金を含むようにデザインされるが、これは必須ではない。本発明の1つの限定されない実施形態では、医療用具は、少なくとも約40重量%の新規な金属合金を含む。本発明の別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具は、少なくとも約50重量%の新規な金属合金を含む。本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具は、少なくとも約60重量%の新規な金属合金を含む。本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具は、少なくとも約70重量%の新規な金属合金を含む。本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具は、少なくとも約85重量%の新規な金属合金を含む。本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具は、少なくとも約90重量%の新規な金属合金を含む。さらに本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具は、少なくとも約95重量%の新規な金属合金を含む。さらに本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具は、約100重量%の新規な金属合金を含む。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具の全てまたは一部を形成するために使用される新規な金属合金は、1)別の金属上に被覆、金属溶射、めっき、および/または形成(例、冷間加工、高温加工、等)されていない、または2)新規な金属合金上に金属溶射、めっき、被覆、および/または形成された別の金属または金属合金を有していない。いくつかの応用では、医療用具の全てまたは一部を形成する場合、本発明の新規な金属合金が、別の金属上に被覆、金属溶射、めっき、および/または形成されてよい、または別の金属または金属合金が新規な金属合金上にめっき、金属溶射、被覆、および/または形成されてよいことが理解されるであろう。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具の全てまたは一部を形成するために使用される新規な金属合金には、レニウムおよびモリブデンが含まれる。新規な金属合金には、1つ以上のその他の金属、限定されないが例えば、ホウ素、カルシウム、クロム、コバルト、銅、金、鉄、鉛、マグネシウム、マンガン、水銀、ニッケル、ニオブ、白金、希土類金属、シリコーン、銀、硫黄、タンタル、すず、チタン、タングステン、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、および/またはこれらの合金が含まれうる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具の全てまたは一部を形成するために使用される新規な金属合金は、少なくとも約90重量%のモリブデンおよびレニウムを含む新規な金属合金である。1つの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムの含有量は少なくとも約95重量%である。別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムの含有量は少なくとも約97重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムの含有量は少なくとも約98重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムの含有量は少なくとも約99重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムの含有量は少なくとも約99.5重量%である。さらなる1つの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムの含有量は少なくとも約99.9重量%である。さらにさらなるおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムの含有量は少なくとも約99.95重量%である。さらにさらなるおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムの含有量は少なくとも約99.99重量%である。理解されるように、新規な金属合金のその他の重量パーセンテージのレニウムおよびモリブデン含有量が使用されうる。1つの限定されない組成では、新規な金属合金の純度は、新規な金属合金の固溶体をもたらすようなものである。固溶体または均質な溶液は、2つ以上の一次金属を含む金属合金として定義され、一次金属の合計重量パーセントは、少なくとも約95重量%、典型的には少なくとも約99重量%、より典型的には少なくとも約99.5重量%、さらにより典型的には少なくとも約99.8重量%、さらにより典型的には少なくとも約99.9重量%である。一次金属は、金属不純物ではない金属合金の金属成分である。レニウムおよびモリブデンを一次金属として含む新規な金属合金の固溶体は、少なくとも約95〜99重量%のレニウムとモリブデンを含む合金である。95重量%未満のモリブデンとレニウムの純度は、医療用具の形成および/または使用に有用な、または望ましい金属合金の1つ以上の物理的特性に有害な影響を与えると考えられている。本発明の一実施形態では、本発明による新規な金属合金のレニウム含有量は、少なくとも約40重量%である。1つの限定されない組成では、新規な金属合金のレニウム含有量は、少なくとも約45重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のレニウム含有量は、約45〜50重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のレニウム含有量は、約47〜48重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のレニウム含有量は、約47.6〜49.5重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のレニウム含有量は、約47.15〜47.5重量%である。理解されるように、新規な金属合金のその他の重量%のレニウム含有量が使用されうる。本発明の別のおよび/または代わりの実施形態では、本発明による新規な金属合金のモリブデン含有量は、少なくとも約40重量%である。1つの限定されない組成では、新規な金属合金のモリブデン含有量は、少なくとも約45重量%である。別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のモリブデン含有量は、少なくとも約50重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のモリブデン含有量は約50〜60%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のモリブデン含有量は約50〜56重量%である。理解されるように、新規な金属合金のその他の重量%のモリブデン含有量が使用されうる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具の全てまたは一部を形成するために使用される新規な金属合金は、少なくとも約90重量%のモリブデンおよびレニウムと、チタン、イットリウム、および/またはジルコニウムを含む少なくとも1つの追加の金属とを含む新規な金属合金である。制御された量のチタン、イットリウム、および/またはジルコニウムをモリブデンおよびレニウム合金に添加すると、モリブデンとレニウムを主に含む金属合金よりも向上した物理的特性を有する金属合金が形成されることがわかっている。例えば、制御された量のチタン、イットリウム、および/またはジルコニウムをモリブデンとレニウムの合金に添加すると、1)モリブデンとレニウムを主に含む金属合金と比較して、合金の降伏強度が増大されうる、2)モリブデンとレニウムを主に含む金属合金と比較して、合金の引張り伸びが増大されうる、3)モリブデンとレニウムを主に含む金属合金と比較して、合金の延性が増大されうる、4)モリブデンとレニウムを主に含む金属合金と比較して、合金の結晶粒度が減少しうる、5)モリブデンとレニウムを主に含む金属合金と比較して、合金中の遊離炭素、酸素、および/または窒素の量が減少しうる、および/または6)モリブデンとレニウムを主に含む金属合金からの医療用具の形成と比較して、医療用具への合金の形成の際に、微小亀裂を形成する合金の傾向が低下しうる。1つの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量は少なくとも約90重量%である。別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量は少なくとも約95重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量は少なくとも約98重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量は少なくとも約99重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量は少なくとも約99.5重量%である。さらなる1つの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量は少なくとも約99.9重量%である。さらにさらなるおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量は少なくとも約99.95重量%である。さらにさらなるおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金中のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量は少なくとも約99.99重量%である。理解されるように、新規な金属合金中のその他の重量パーセントのモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の含有量が使用されうる。1つの限定されない組成では、新規な金属合金の純度は、レニウムとモリブデンおよび少なくとも1つの追加の金属の固溶体をもたらすようなものである。レニウムとモリブデンおよびチタン、イットリウム、および/またはジルコニウムの少なくとも1つの追加の金属を一次金属として含む新規な金属合金の固溶体は、少なくとも約95〜99重量%のレニウムとモリブデンおよび少なくとも1つの追加の金属を含む合金である。95重量%未満のモリブデンとレニウムおよび少なくとも1つの追加の金属の純度は、医療用具の形成および/または使用に有用なまたは望ましい金属合金の1つ以上の物理的特性に有害な影響を与えると考えられている。本発明の1つの実施形態では、本発明による新規な金属合金のレニウム含有量は少なくとも約40重量%である。1つの限定されない組成では、新規な金属合金のレニウム含有量は少なくとも約45重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のレニウム含有量は約45〜50重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のレニウム含有量は約47〜48重量%である。理解されるように、新規な金属合金のその他の重量%のレニウム含有量が使用されうる。本発明の別のおよび/または代わりの実施形態では、新規な金属合金のモリブデン含有量は少なくとも約40重量%である。1つの限定されない組成では、新規な金属合金のモリブデン含有量は少なくとも約45重量%である。別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のモリブデン含有量は少なくとも約50重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のモリブデン含有量は約50〜60重量%である。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金のモリブデン含有量は約50〜56重量%である。理解されるように、新規な金属合金のモリブデン含有量のその他の重量%が使用されうる。新規な金属合金中のチタン、イットリウム、およびジルコニウムの合計含有量は約5重量%未満であり、典型的には約1重量%を超えず、さらに典型的には約0.5重量%を超えない。新規な金属合金中のこれより高いチタン、イットリウム、および/またはジルコニウムの重量%含有量は、新規な金属合金の脆性に有害な影響を及ぼし始める可能性がある。チタンが新規な金属合金に含まれるとき、チタン含有量は典型的には約1重量%未満であり、より典型的には約0.6重量%未満であり、さらにより典型的には約0.05〜0.5重量%であり、さらにより典型的には約0.1〜0.5重量%である。理解されるように、新規な金属合金のその他の重量%のチタン含有量が使用されうる。ジルコニウムが新規な金属合金に含まれるとき、ジルコニウム含有量は典型的には約0.5重量%未満であり、より典型的には約0.3重量%未満であり、さらにより典型的には約0.01〜0.25重量%であり、さらにより典型的には約0.05〜0.25重量%である。理解されるように、新規な金属合金のその他の重量%のジルコニウム含有量が使用されうる。チタンおよびジルコニウムが新規な金属合金中に含まれるとき、チタンのジルコニウムに対する重量比は約1〜10:1であり、典型的には約1.5〜5:1であり、より典型的には約1.75〜2.5:1である。イットリウムが新規な金属合金に含まれるとき、イットリウム含有量は典型的には約0.3重量%未満であり、より典型的には約0.2重量%未満であり、さらにより典型的には約0.01〜0.1重量%である。理解されるように、新規な金属合金のその他の重量%のイットリウム含有量が使用されうる。チタン、イットリウム、および/またはジルコニウムを新規な金属合金中に含めることは、新規な金属合金の固溶体中に閉じ込められる酸素を減少させると考えられている。閉じ込められる酸素の減少によって、新規な金属合金中の小さい結晶粒度の形成が可能になる、および/または新規な金属合金の延性を増大させることができる。新規な金属合金中の閉じ込められる酸素の減少はさらに、モリブデンとレニウムのみの合金と比較して、新規な金属合金の降伏強度を増大させる(すなわち、2〜10%の増大)。チタン、イットリウム、および/またはジルコニウムを新規な金属合金中に含めることは、新規な金属合金中の閉じ込められる遊離炭素を減少させるとも考えられている。チタン、イットリウム、および/またはジルコニウムを新規な金属合金中に含めることは、新規な金属合金中の遊離炭素と反応して炭化物を形成すると考えられている。この炭化物形成はさらに、新規な金属合金の延性を向上させ、さらに金属合金を医療用具(例、ステント等)に形成する際の亀裂の発生率を低下させると考えられている。そのため、新規な金属合金は、モリブデンおよびレニウムのみの合金と比較して、引張り伸びの増大を示す(すなわち、1〜8%の増大)。チタン、イットリウム、および/またはジルコニウムを新規な金属合金中に含めることは、新規な金属合金中に閉じ込められる遊離窒素を減少させるとも考えられている。チタン、イットリウム、および/またはジルコニウムを新規な金属合金中に含めることは、新規な金属合金中の遊離炭素および遊離窒素と反応して炭窒化物を形成すると考えられている。この炭窒化物形成はまた、新規な金属合金の延性を向上させ、さらに金属合金の医療用具(例、ステント等)への形成の際の亀裂の発生率を低下させると考えられている。そのため、新規な金属合金は、モリブデンおよびレニウムのみの合金と比較して、引張り伸びの増大を示す(すなわち、1〜8%の増大)。新規な金属合金中の遊離炭素、酸素、および/または窒素の量の減少は、新規な金属合金の密度を増加させるとも考えられている(すなわち、1〜5%の増加)。新規な金属合金中の炭化物、炭窒化物、および/または酸化物の形成は、新規な金属合金中に分散した第2相粒子の形成をもたらし、これによって金属合金中での小さな結晶粒度の形成を促進する。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金は、約5重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。新規な金属合金の高い純度はより均質な合金の形成をもたらし、これが新規な金属合金全体のより均一な密度をもたらし、さらに新規な金属合金の望ましい降伏強度および極限引張り強さをもたらす。新規な金属合金の密度は一般に、少なくとも約12gm/ccであり、典型的には少なくとも約13〜13.5gm/ccである。この実質的に均一な高密度の新規な金属合金は、新規な金属合金の放射線不透過性を著しく向上させる。1つの限定されない組成では、新規な金属合金は、約1重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.5重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.4重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.2重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.1重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.08重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。さらに別のおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.06重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。さらなるおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.05重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。さらにさらなるおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.02重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。さらにさらなるおよび/または代わりの限定されない組成では、新規な金属合金は、約0.01重量%未満のその他の金属および/または不純物を含む。理解されるように、新規な金属合金中のその他の重量パーセントの量の金属および/または不純物が存在しうる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金は一定量の炭素および酸素を含む。これら2つの元素は、新規な金属合金の形成特性および脆性に影響を与えることがわかっている。新規な金属合金中の制御された原子比率の炭素と酸素も、新規な金属合金を医療用具に形成する際の、および/または身体通路内で医療用具を使用するおよび/または拡張する際の、新規金属合金が微小亀裂を形成する傾向を最小にするために使用されうる。新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率の制御によって、新規な金属合金を医療用具に形成する際の、および/または身体通路内で医療用具を使用するおよび/または拡張する際の、新規な金属合金中の微小亀裂の傾向を最小にするような、金属合金中の酸素の再分布が可能になる。合金中の炭素の酸素に対する原子比率は、新規な金属合金中の微小亀裂の傾向を最小にするために、新規な金属合金の伸長の度合いを高めるために重要であると考えられており、これらは2つとも医療用具の形成および/または使用に有用なまたは望ましい、金属合金の1つ以上の物理的特性に影響を与えうる。出願者らは従来、約2:1未満の炭素の酸素に対する原子比率は、限定されないがステントのような医療用具の特性に有害な影響を与えるであろうと考えていた。さらに研究を進めると、身体温度に暴露される場合のステントは、約2:1未満の炭素の酸素に対する原子比率を持つ新規な金属合金で形成されうることがわかったが、炭素の酸素に対する原子比率が約2:1より大きい場合に、ステントの特性が優れていると未だに考えられている。約40〜120°Fの温度において動作する場合の新規な金属合金の特定の応用で、酸素含有量が一定量を下回るとき、炭素の酸素に対する原子比率は低いもので約0.2:1でありうると考えられている。1つの限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、少なくとも約0.4:1(すなわち約0.3:1の重量比)である。別の限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、少なくとも約0.5:1(すなわち約0.375:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、少なくとも約1:1(すなわち約0.75:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、少なくとも約2:1(すなわち約1.5:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、少なくとも約2.5:1(すなわち約1.88:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、少なくとも約3:1(すなわち約2.25:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、少なくとも約4:1(すなわち約3:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、少なくとも約5:1(すなわち約3.75:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、約2.5〜50:1(すなわち約1.88〜37.54:1の重量比)である。さらなる限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、約2.5〜20:1(すなわち約1.88〜15:1の重量比)である。さらなる限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、約2.5〜13.3:1(すなわち約1.88〜10:1の重量比)である。さらにさらなる限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、約2.5〜10:1(すなわち約1.88〜7.5:1の重量比)である。さらにさらなる限定されない処方では、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は一般に、約2.5〜5:1(すなわち約1.88〜3.75:1の重量比)である。理解されるように、新規な金属合金中の炭素の酸素に対するその他の原子比率が使用されうる。炭素の酸素に対する比率は、所望の炭素の酸素に対する比率が得られるまで、新規な金属合金に炭素を意図的に添加することによって調整されうる。典型的には、新規な金属合金の炭素含有量は約0.2重量%未満である。炭素含有量が多すぎると、新規な金属合金の物理的特性に有害な影響を及ぼしうる。1つの限定されない処方では、新規な金属合金の炭素含有量は、新規な金属合金の約0.1重量%未満である。別の限定されない処方では、新規な金属合金の炭素含有量は、新規な金属合金の約0.05重量%未満である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金の炭素含有量は、新規な金属合金の約0.04重量%未満である。新規な金属合金に意図的に炭素が添加されない場合、新規な金属合金は、最大で約150ppmの炭素、典型的には最大で約100ppmの炭素、より典型的には約50ppm未満の炭素を含みうる。新規な金属合金の酸素含有量は、新規な金属合金の形成に使用される処理パラメータに応じて変化しうる。一般に、酸素含有量は非常に低いレベルに維持されるものである。1つの限定されない処方では、酸素含有量は新規な金属合金の約0.1重量%未満である。別の限定されない処方では、酸素含有量は新規な金属合金の約0.05重量%未満である。さらに別の限定されない処方では、酸素含有量は新規な金属合金の約0.04重量%未満である。さらに別の限定されない処方では、酸素含有量は新規な金属合金の約0.03重量%未満である。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金は、最大で約100ppmの酸素を含む。さらなる限定されない処方では、新規な金属合金は、最大で約75ppmの酸素を含む。さらにさらなる限定されない処方では、新規な金属合金は、最大で約50ppmの酸素を含む。さらにさらなる限定されない処方では、新規な金属合金は、最大で約30ppmの酸素を含む。さらにさらなる限定されない処方では、新規な金属合金は、約20ppm未満の酸素を含む。さらにさらなる限定されない処方では、新規な金属合金は、約10ppm未満の酸素を含む。理解されるように、新規な金属合金中のその他の量の炭素および/または酸素が存在しうる。新規な金属合金中の酸素含有量が一定量を上回る場合、炭素の酸素に対する比率を厳密に制御することによって、医療用具(例、ステント等)の形成の際および医療用具が患者体内に挿入された後の、新規な金属合金が微小亀裂を形成する傾向が著しく軽減されると考えられている。1つの限定されないアレンジでは、新規な金属合金中の炭素の酸素に対する原子比率は、新規な金属合金中の酸素含有量が約100ppmを上回る場合、少なくとも約2.5:1である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金は制御された量の窒素を含む。新規な金属合金中の大量の窒素は、新規な金属合金の延性に有害な影響を及ぼしうる。これが次に、新規な金属合金の伸長特性に有害な影響を及ぼしうる。新規な金属合金中の窒素含有量が大すぎると、新規な金属合金の延性の許容しがたい低下が引き起こされるようになり、故に、医療用具の形成および/または使用に有用なまたは望ましい金属合金の1つ以上の物理的特性に有害な影響を与える。1つの限定されない処方では、新規な金属合金は約0.001重量%未満の窒素を含む。別の限定されない処方では、新規な金属合金は約0.0008重量%未満の窒素を含む。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金は約0.0004重量%未満の窒素を含む。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金は約30ppm未満の窒素を含む。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金は約25ppm未満の窒素を含む。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金は約10ppm未満の窒素を含む。さらに別の限定されない処方では、新規な金属合金は約5ppm未満の窒素を含む。理解されるように、新規な金属合金中のその他の量の窒素が存在しうる。新規な金属合金中の炭素、酸素、および窒素の関係も重要であると考えられている。窒素含有量は、新規な金属合金中の炭素または酸素の含有量より少なくてはならないと考えられている。1つの限定されない処方では、炭素の窒素に対する原子比率は、少なくとも約2:1(すなわち約1.71:1の重量比)である。別の限定されない処方では、炭素の窒素に対する原子比率は、少なくとも約3:1(すなわち約2.57:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、炭素の窒素に対する原子比率は、約4〜100:1(すなわち約3.43〜85.7:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、炭素の窒素に対する原子比率は、約4〜75:1(すなわち約3.43〜64.3:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、炭素の窒素に対する原子比率は、約4〜50:1(すなわち約3.43〜42.85:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、炭素の窒素に対する原子比率は、約4〜35:1(すなわち約3.43〜30:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、炭素の窒素に対する原子比率は、約4〜25:1(すなわち約3.43〜21.43:1の重量比)である。さらなる限定されない処方では、酸素の窒素に対する原子比率は、少なくとも約1.2:1(すなわち約1.37:1の重量比)である。別の限定されない処方では、酸素の窒素に対する原子比率は、少なくとも約2:1(すなわち約2.28:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、酸素の窒素に対する原子比率は、約3〜100:1(すなわち約3.42〜114.2:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、酸素の窒素に対する原子比率は、少なくとも約3〜75:1(すなわち約3.42〜85.65:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、酸素の窒素に対する原子比率は、少なくとも約3〜55:1(すなわち約3.42〜62.81:1の重量比)である。さらに別の限定されない処方では、酸素の窒素に対する原子比率は、少なくとも約3〜50:1(すなわち約3.42〜57.1:1の重量比)である。
本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金は、新規な金属合金で少なくとも部分的に形成される場合、医療用具に有益な影響を与えるいくつかの物理的特性を有する。本発明の1つの限定されない実施形態では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金チューブの平均硬さは一般に、77°Fにおいて少なくとも約60(HRC)である。本実施形態の1つの限定されない態様では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金チューブの平均硬さは一般に、77°Fにおいて少なくとも約70(HRC)であり、典型的には77°Fにおいて約80〜100(HRC)である。本発明の別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金の平均極限引張り強さは一般に、少なくとも約60UTS(ksi)である。本実施形態の限定されない態様では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金の平均極限引張り強さは一般に、少なくとも約70UTS(ksi)であり、典型的には約80〜150UTS(ksi)であり、より典型的には約100〜150UTS(ksi)である。本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金の平均降伏強度は、少なくとも約70ksiである。本実施形態の1つの限定されない態様では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金の平均降伏強度は、少なくとも約80ksiであり、典型的には約100〜140(ksi)である。本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金の平均結晶粒度は、5ASTMを上回る(例、ASTM E112−96)。医療用具は、新規な金属合金の小さい結晶粒度によって、医療用具の形成、圧着、および/または拡張を可能にするのに有用な、所望の伸長および延性特性を有することができる。本実施形態の1つの限定されない態様では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金の平均結晶粒度は、約5.2〜10ASTMであり、典型的には約5.5〜9ASTMであり、より典型的には約6〜9ASTMであり、さらにより典型的には約6〜8ASTMであり、さらにより典型的には約6〜7ASTMであり、さらにより典型的には約6.5〜7ASTMである。本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金の平均引張り伸びは、少なくとも約25%である。新規な金属合金の少なくとも約25%の平均引張り伸びは、身体通路の治療領域内に設置されたとき、医療用具を適切に拡張させるのに重要である。少なくとも約25%の平均引張り伸びを持たない医療用具は、医療用具の形成、圧着、および/または拡張の際に微小亀裂および/または破損を形成することがある。本実施形態の1つの限定されない態様では、医療用具を形成するために使用される新規な金属合金の平均引張り伸びは、約25〜35%である。合金の所望の純度および組成の達成と組み合わされた新規な金属合金中のレニウム含有量と、新規な金属合金の所望の結晶粒度の特有の組み合わせは、1)ほぼ室温において所望の高い延性を有する医療用具、2)所望の量の引張り伸びを有する医療用具、3)高い放射線不透過性を有する金属合金の均質な溶液または固溶体、4)医療用具を形成するために金属合金チューブの大きさが調整されるおよび/またはカットされる場合の、金属合金チューブの微小亀裂の形成および/または破損の減少または予防、5)身体通路内への挿入のために、バルーンおよび/またはその他の種類の医療用具上に医療用具が圧着される場合の、医療用具の微小亀裂の形成および/または破損の減少または予防、6)身体通路内で医療用具が湾曲するおよび/または拡張する場合の、医療用具の微小亀裂の形成および/または破損の減少または予防、7)所望の極限引っ張り強さおよび降伏強度を有する医療用具、8)壁の厚さが非常に薄いが、そうであっても、医療用具が拡張された場合に、身体通路を開存状態に保つのに必要な所望の半径方向力を有する医療用具、および/または9)医療用具が送達用システム上に圧着される、および/または身体通路内で拡張される場合に、少ないはね返りを示す医療用具をもたらす。
本発明による新規な金属合金のいくつかの限定されない実施例を下記に説明する。
上記の実施例1〜10では、新規な金属合金は主にレニウムとモリブデンで形成されている。新規な金属合金は、制御された量のチタン、イットリウム、および/またはジルコニウムも含んでよい。その他の金属および/または不純物の含有量は、新規な金属合金の約0.2重量%未満である。上記の実施例1〜9では、炭素の酸素に対する比率は少なくとも約2.5:1(すなわち、炭素の酸素に対する重量比が少なくとも約1.88:1)である。実施例10では、炭素の酸素に対する比率は少なくとも約0.4:1(すなわち、炭素の酸素に対する重量比が少なくとも約0.3:1)である。実施例1〜10では、窒素含有量は炭素含有量および酸素含有量より少ない。実施例1〜10では、炭素の窒素に対する原子比率は少なくとも約4:1(すなわち、約3.43:1の重量比)である。実施例1〜10では、酸素の窒素に対する原子比率は少なくとも約3:1(すなわち、約3.42:1の重量比)である。実施例1〜10では、新規な金属合金の平均結晶粒度は約6〜10ASTMであり、金属合金の引張り伸びは約25〜35%であり、金属合金の平均密度は少なくとも約13.4gm/ccであり、金属合金の平均降伏強度は約98〜122(ksi)であり、金属合金の平均極限引張り強さは約100〜150UTS(ksi)であり、金属合金の平均硬さは77°Fにおいて約80〜100(HRC)である。
本発明による新規な金属合金のさらなる限定されない実施例を下記に説明する。
上記の実施例14〜23では、新規な金属合金は主にレニウムとモリブデンおよびチタン、イットリウム、および/またはジルコニウムの少なくとも1つの金属で形成されており、その他の金属および/または不純物の含有量は、新規な金属合金の約0.1重量%未満であり、炭素の酸素に対する原子比率は約2.5〜10:1であり、炭素の窒素に対する原子比率は少なくとも約4:1であり、酸素の窒素に対する原子比率は少なくとも約3:1であり、新規な金属合金の平均結晶粒度は約6〜9ASTMであり、金属合金の引張り伸びは約25〜35%であり、金属合金の平均密度は少なくとも約13.6gm/ccであり、金属合金の平均降伏強度は少なくとも約110(ksi)であり、金属合金の平均極限引張り強さは約100〜150UTS(ksi)であり、金属合金の平均硬さは77°Fにおいて約80〜100(HRC)である。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具中の新規な金属合金の使用は、ステンレス鋼またはクロム−コバルト合金と比較して医療用具の強度を高めることができ、故に、異なる材料で形成された医療用具と比較して、同等の強度を得るために少ない量の新規な金属合金が医療用具中に使用されうる。そのため、新規な金属合金を使用することによって、医療用具の強度と耐久性を犠牲にすることなく、結果得られる医療用具を小さく、嵩を少なくすることができる。そのような医療用具は小さいプロファイルを有することができるため、小さい領域、開口部、および/または通路内に挿入されうる。新規な金属合金はまた、医療用具の半径方向の強度を高めることができる。例えば、医療用具を形成するために使用される医療用具および/またはワイヤーの壁の厚さを薄くすることができ、ステンレス鋼またはコバルトおよびクロム合金で形成された厚い壁を持つ医療用具と比べて、同等または向上した半径方向の強度を得ることができる。新規な金属合金はさらに、医療用具の応力−ひずみ特性、曲げ性、および柔軟性を向上させることができ、故に医療用具の寿命を延ばすことができる。例えば、医療用具は、医療用具の曲げが起こる領域において使用されうる。新規な金属合金由来の医療用具の向上した物理的特性のため、そのように頻繁な曲げが起こる環境における破損に対する医療用具の耐性が向上している。追加でまたは代わりに、新規な金属合金の使用によって向上した医療用具の曲げ性および柔軟性によって、身体通路内への医療用具の容易な挿入が可能となる。新規な金属合金はさらに、医療用具の圧着および/または拡張の際のはね返りの度合いを低下させることができる。例えば、医療用具は、新規な金属合金の使用によって、その圧着された形態をより良好に維持するおよび/または拡張後のその拡張された形態をより良好に維持する。そのため、医療用具が圧着される場合に、医療用具が送達用具上に備え付けられるとき、身体通路内への医療用具の挿入の際に医療用具はその小さいプロファイルをより良好に維持する。さらに、治療領域内での医療用具の成功を助けるように、医療用具は拡張後のその拡張プロファイルをより良好に維持する。新規な金属合金の使用による医療用具の物理的特性の向上に加えて、ステンレス鋼またはコバルト−クロム合金のような標準的な材料と比較して、新規な金属合金の放射線不透過性は向上しており、故に医療用具上のマーカー材の使用の必要性を縮小または排除する。例えば、新規な金属合金の放射線不透過性は、ステンレス鋼またはコバルト−クロム合金よりも少なくとも約10〜20%高い。具体的には、新規な金属合金の放射線不透過性はコバルト−クロム合金よりも少なくとも約33%高く、ステンレス鋼よりも少なくとも約41.5%高い。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金から少なくとも部分的に形成される医療用具は、様々な製造テクニックによって形成されうる。本発明の1つの限定されない実施形態では、医療用具は新規な金属合金のロッドまたはチューブから形成されうる。もし新規な金属合金の固体ロッドが形成される場合、ロッドを部分的または完全に通過する空洞または通路を形成するために、ロッドの切削またはドリル穿孔が行われてよい(例、ガンドリル穿孔、EDM等)。所望の金属チューブの断面積または直径および/または壁の厚さを得るために、ロッドまたはチューブの洗浄、研磨、アニーリング、引抜き等が行われうる。所望の断面積または直径および壁の厚さに金属チューブが形成された後で、プロセス、限定されないが例えばレーザー切断、エッチング等によって金属チューブが医療用具に形成されうる。医療用具が形成された後で、医療用具の最終処理として、医療用具の洗浄、研磨、滅菌等が行われてよい。理解されるように、新規な金属合金から医療用具を少なくとも部分的に形成するために、その他のまたは追加のプロセスステップが使用されうる。
本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具を少なくとも部分的に形成するために使用される新規な合金は、新規な金属合金のロッドまたはチューブにまず形成される。新規な金属合金のロッドまたはチューブは、各種テクニック、限定されないが例えば、1)新規な金属合金および/または新規な金属合金を形成する金属を溶融(例、真空アーク溶解等)させた後、新規な金属合金を押出しておよび/または鋳造してロッドまたはチューブにすること、2)新規な金属合金および/または新規な金属合金を形成する金属を溶融させ、金属ストリップを形成した後、そのストリップを丸め、溶接してチューブにすること、または3)新規な金属合金の金属粉末および/または新規な金属合金を形成する金属の金属粉末を固化させることによって形成されうる。どのように形成されたとしても、ロッドまたはチューブの長さは一般に約48インチ以下であるが、これより長いものが形成されうる。ロッドまたはチューブの平均外径は一般に約2インチ未満(すなわち約3.14平方インチ未満の断面積)、より典型的には約1インチ未満の外径であり、さらにより典型的には0.5インチを超えない外径であるが、これより大きなロッドまたはチューブの径サイズが形成されうる。1つの限定されないチューブの構造では、チューブの内径は約0.31インチ±約0.002インチであり、外径は約0.5インチ±約0.002インチである。チューブの壁の厚さは約0.095インチ±約0.002インチである。理解されるように、これは、形成されうる多種多様なサイズのチューブの一例に過ぎない。1つの限定されないプロセスでは、ロッドまたはチューブは、1つ以上の金属または金属合金のインゴットから形成されうる。1つの限定されないプロセスでは、1つ以上のインゴットを形成するためにアーク溶解加工(例、真空アーク溶解加工等)が使用されうる。別の限定されないプロセスでは、レニウム粉末およびモリブデン粉末はるつぼ(例、シリカるつぼ等)に入れられて、制御された雰囲気下(例、真空環境、一酸化炭素環境、水素およびアルゴン環境、ヘリウム、アルゴン等)で誘導溶解炉によって加熱されうる。1つ以上のインゴットを形成するために、その他のまたは追加のプロセスが使用されうることが理解される。インゴットが形成されたら、金属インゴットの鋳造、金型を通した押出し等を行ってロッドまたはチューブを形成できる。押出しプロセス中に、インゴットは通常加熱されるがこれは必須ではない。チューブを形成するための押出しプロセスの際にクロースフィッティングロッドが使用されうるが、これは必須ではない。別のおよび/または追加の限定されないプロセスでは、新規な金属合金のチューブは、新規な金属合金のストリップまたはシートから形成されうる。新規な金属合金のストリップまたはシートは、シートまたはストリップの端を丸めてから、シートまたはストリップの端を溶接してつなげることでチューブに形成されうる。シートまたはストリップの端の溶接は、いくつかの方法、限定されないが例えば、a)端をまとめて保持し、真空中で端を電子ビーム溶接でつなげること、b)新規な金属合金の薄いストリップを、溶接を行う丸めたストリップまたはシートの端部の上側および/または下側の位置に置いた後で、丸めたストリップまたはシートの端部に沿って1つ以上のストリップを溶接し、その後外側のストリップを研削して切断すること、またはc)丸めたシートまたはストリップの端部を、真空中、酸素還元雰囲気下、または不活性雰囲気下でレーザー溶接することで達成されうる。さらに別のおよび/または追加の限定されないプロセスでは、新規な金属合金のロッドまたはチューブは、金属粉末を固化させることで形成される。このプロセスでは、粒子の均質なブレンドを形成するために、モリブデンとレニウムの微粒子が、任意の添加剤とともに混合される。典型的には、金属粉末の平均結晶粒度は、約200メッシュ未満(例、74ミクロン未満)である。これより大きな平均結晶粒度は、金属粉末の適切な混合を妨げるおよび/または金属粉末から形成されるロッドまたはチューブの1つ以上の物理的特性に有害な影響を与える可能性がある。1つの限定されない実施形態では、金属粉末の平均結晶粒度は約230メッシュ未満(例、63ミクロン未満)である。別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、金属粉末の平均結晶粒度は約2〜63ミクロンであり、より詳細には約5〜40ミクロンである。理解されるように、これより小さな平均結晶粒度が使用されうる。金属粉末の純度は、金属粉末に含まれる炭素、酸素、および窒素のレベルが非常に低くなるように選択される必要がある。典型的には、モリブデン金属粉末の炭素含有量は約100ppm未満であり、モリブデン金属粉末の酸素含有量は50ppm未満であり、モリブデン金属粉末の窒素含有量は約20ppm未満である。典型的には、レニウム金属粉末の炭素含有量は約100ppm未満であり、レニウム金属粉末の酸素含有量は50ppm未満であり、レニウム金属粉末の窒素含有量は約20ppm未満である。典型的には、純度グレードが少なくとも99.9、より典型的には少なくとも約99.95である金属粉末が、所望の純度のモリブデンおよびレニウムの粉末を得るために使用される必要がある。チタン、イットリウム、および/またはジルコニウム粉末が金属粉末ミクスチャーに添加されるとき、粉末中の炭素、酸素、および窒素の量も最小化される必要がある。典型的には、純度グレードが少なくとも99.8、より典型的には少なくとも約99.9である金属粉末が、所望の純度のチタン、イットリウム、および/またはジルコニウムの粉末を得るために使用される必要がある。新規な金属合金中において炭素の酸素に対するある原子比率を得るために炭素が意図的に添加されうるが、これは必須ではない。次に金属粉末のブレンドをプレスして、新規な金属合金の固溶体をロッドまたはチューブに形成する。典型的には、プレス加工は静水圧加工(すなわち、金属粉末に全ての側面から均一な圧力がかかる)によるものである。金属粉末が静水圧によってプレスされるとき、金属粉末を固めるために冷間静水圧プレス加工(CIP)が典型的に使用されるが、これは必須ではない。プレス加工は、不活性雰囲気、酸素還元雰囲気(例、水素、アルゴンおよび水素ミクスチャー等)および/または真空下で実施されうるが、これは必須ではない。金属粉末を一緒にプレスすることで得られるロッドまたはチューブの平均密度は、ロッドまたはチューブの最終的な平均密度の約80〜90%である、または新規な金属合金の理論最小密度の約70〜96%である。少なくとも約300MPaのプレス圧が一般に使用される。通常、プレス圧は約400〜700MPaであるが、その他の圧力が使用されうる。金属粉末が一緒にプレスされた後、金属粉末を融合させて固体金属のロッドまたはチューブを形成するために、プレスされた金属粉末は高温(例、2000〜2900℃)で焼結される。固化した金属粉末の焼結は、酸素還元雰囲気(例、ヘリウム、アルゴン、水素、アルゴンおよび水素ミクスチャー等)および/または真空下で実施されうるが、これは必須ではない。高い焼結温度では、形成されたロッドまたはチューブ中の炭素および酸素両方の量は高い水素雰囲気によって低下する。焼結された金属粉末の焼結されたままの状態の平均密度は一般に、新規な金属合金の約90〜99%の理論最小密度である。典型的には、焼結されたロッドまたはチューブの最終的な平均密度は、少なくとも約12gm/ccであり、典型的には少なくとも約12.5gm/ccであり、より典型的には約13〜14gm/ccである。圧縮され、焼結された金属粉末によって形成されたロッドまたはチューブは典型的に、アーク溶解および成形加工、押出し加工、またはシートおよび溶接加工によって形成されるロッドまたはチューブよりも低い平均同心度偏差を有するが、常にそうであるとは限らない。一般に、圧縮され、焼結された金属粉末から形成されるロッドまたはチューブの平均同心度偏差は、約20%未満であり、典型的には約1〜18%であり、より典型的には約1〜5%である。
本発明のさらにさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金の固体ロッドが形成されるとき、次に、ロッドの外側の断面積または直径を減らす前に、ロッドがチューブに形成される。ロッドは、様々なプロセス、限定されないが例えば、切削またはドリル穿孔(例、ガンドリル穿孔)によって、または切削(例、EDM等)によってチューブに形成されうる。ロッド内に形成される空洞または通路は、典型的にロッドを完全に通過するように形成されるが、これは必須ではない。
本発明のさらにさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、ロッドまたはチューブが形成された後に、ロッドまたはチューブの洗浄および/または研磨が行われうるが、これは必須ではない。典型的には、さらなる処理の前に、ロッドまたはチューブの洗浄および/または研磨が行われるが、これは必須ではない。新規な金属合金のロッドがチューブに形成される場合、さらなる処理の前に、典型的には形成されたチューブの洗浄および/または研磨が行われるが、これは必須ではない。下記で詳述するようにロッドまたはチューブの大きさの再調整および/またはアニーリングが行われるとき、それぞれの大きさの再調整および/またはアニーリングプロセスの前および/または後、または一連の大きさの再調整および/またはアニーリングプロセスの前および/または後に、大きさが再調整されたおよび/またはアニーリングが行われたロッドまたはチューブの洗浄および/または研磨が典型的に行われるが、これは必須ではない。ロッドまたはチューブの洗浄および/または研磨は、ロッドまたはチューブの表面から不純物および/または汚れを取り除くために使用される。不純物および汚染は、ロッドまたはチューブの処理の際に新規な金属合金内に取り込まれる可能性がある。不注意によって不純物および汚染がロッドまたはチューブに取り込まれると、新規な金属合金中の望ましくない量の炭素、窒素、および/または酸素、および/またはその他の不純物の原因となりうる。新規な金属合金中に不純物および汚染が含まれると、新規な金属合金の早期の微小亀裂の原因となりうるおよび/または新規な金属合金の1つ以上の物理的特性に有害な影響を与えうる(例、引張り伸びの低下、延性の増大等)。新規な金属合金の洗浄は、様々なテクニック、限定されないが例えば、1)溶媒(例、アセトン、メチルアルコール等)を使用して、キムワイプまたはその他の適切なタオルで新規な金属合金を拭くこと、2)新規な金属合金を少なくとも部分的に溶媒中に漬けるまたは浸した後で、新規な金属合金の超音波洗浄を行うこと、および/または3)新規な金属合金を酸洗い溶液に少なくとも部分的に漬けるまたは浸すことによって行われうる。理解されるように、新規な金属合金はその他のまたは追加の方法で洗浄されうる。新規な金属合金が研磨されるものであるとき、新規な金属合金は一般に、酸性溶液を典型的に含む研磨溶液の使用によって研磨されるが、これは必須ではない。1つの限定されない実施例では、研磨溶液は硫酸を含むが、その他のまたは追加の酸が使用されうる。1つの限定されない研磨溶液では、研磨溶液は、60〜95容量%の硫酸と5〜40容量%の脱イオン水(DI水)を含みうる。典型的には、酸を含む研磨溶液は、溶液の作製中および/または研磨手技の最中に温度が上昇する。そのため、溶液の作製中および/または研磨手技の最中に、研磨溶液は典型的に攪拌されるおよび/または冷却される。研磨溶液の温度は典型的には約20〜100℃であり、典型的には約25℃を上回る。使用されうる1つの限定されない研磨テクニックは電解研摩テクニックである。電解研摩テクニックが使用されるとき、研磨プロセス中に約2〜30V、典型的には約5〜12Vの電圧がロッドまたはチューブに適用されるが、その他の電圧が使用されうることが理解されるであろう。新規な金属合金の研磨に使用される時間は、ロッドまたはチューブの大きさおよびロッドまたはチューブから除去される必要がある材料の量によって変化する。2工程の研磨プロセスの使用によってロッドまたはチューブの処理が行われ、この場合、新規な金属合金片は任意の時間(例、0.1〜15分間等)、研磨溶液中に少なくとも部分的に浸され、短時間(例、0.02〜1分間等)リンス(例、DI水等)された後にひっくり返され、1回目と同じまたは同程度の時間、再度溶液に少なくとも部分的に浸されるが、これは必須ではない。新規な金属合金は、溶媒(例、アセトン、メチルアルコール等)でのリンスの前に、一定時間(例、0.01〜5分間等)リンス(例、DI水等)されうるが、これは必須ではない。新規な金属合金は清浄な表面上で乾燥されうる(例、大気へ暴露する、不活性ガス環境中に維持する等)。これらの研磨手技は、所望の量のロッドまたはチューブの研磨が達成されるまで繰り返すことができる。ロッドまたはチューブの均一な電解研摩または選択的な電解研摩が行われうる。ロッドまたはチューブの選択的な電解研摩が行われるとき、選択的な電解研摩は、ロッドまたはチューブの異なる表面特性を得るため、および/またはロッドまたはチューブの1つ以上の領域を選択的に暴露させるために使用されうるが、これは必須ではない。
本発明のさらにさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、ロッドまたはチューブの大きさは、所望の医療用具の寸法に再調整される。1つの限定されない実施形態では、ロッドまたはチューブの断面積または直径は、単一のステップまたは一連のステップによって最終的なロッドまたはチューブの寸法に縮小される。ロッドの外側の断面積または直径の縮小は、心なし研削、旋削加工、電解研摩、引抜き加工等のいずれかによって得られてよい。チューブの縮小の際、外側のチューブ断面積または直径、内側のチューブ断面積または直径、および/またはチューブの壁の厚さは典型的に縮小されるが、これは必須ではない。ロッドまたはチューブの外側の断面積または直径サイズは典型的に、1つ以上の引抜き加工の使用によって縮小される。引き抜きプロセスの際、ロッドまたはチューブの外側の断面積または直径の縮小の最中に、ロッドまたはチューブ内に微小亀裂を作らないよう注意する必要がある。一般に、ロッドまたはチューブは、ロッドまたはチューブが縮小機構(例、金型等)を通して引抜かれる毎に約25%を超える断面積が縮小されてはいけない。1つの限定されないプロセスステップでは、ロッドまたはチューブは、ロッドまたはチューブが縮小機構を通して引抜かれる毎に約0.1〜20%の断面積が縮小される。別のおよび/または代わりの限定されないプロセスステップでは、ロッドまたはチューブは、ロッドまたはチューブが縮小機構を通して引抜かれる毎に約1〜15%の断面積が縮小される。さらに別のおよび/または代わりの限定されないプロセスステップでは、ロッドまたはチューブは、ロッドまたはチューブが縮小機構を通して引抜かれる毎に約2〜15%の断面積が縮小される。さらに別の1つの限定されないプロセスステップでは、ロッドまたはチューブは、ロッドまたはチューブが縮小機構を通して引抜かれる毎に約5〜10%の断面積が縮小される。本発明の別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、新規な金属合金のロッドまたはチューブは、ロッドまたはチューブの断面積を縮小するために、金型を通して引抜かれる。チューブの引抜き加工は典型的に、金型を通る冷間引抜き加工または玉引き加工である。冷間引抜きまたはマンドレル引抜き加工が使用されるとき、潤滑剤(例、モリブデンペースト、グリース等)が典型的にチューブの外面上に塗布された後、チューブが金型を通って引抜かれる。典型的には、冷間引抜きプロセス中に熱はほとんどまたは全く使用されない。チューブが金型を通って引抜かれた後で、新規な金属合金中に取り込まれる不純物の量を制限するように、潤沢剤を除去する目的でチューブの外面が典型的に溶媒で洗浄される。この冷間引抜きプロセスは、チューブの所望の外側の断面積または直径、内側の断面積または直径、および/または壁の厚さが得られるまで数回繰り返してよい。さらにまたは代わりに、チューブの大きさを調整するために玉引きプロセスも使用されうる。玉引きプロセスは典型的に、引抜きプロセスの際に潤滑剤を使用しない。玉引きプロセスは典型的に、金型を通るチューブの引抜きの前および/または最中にチューブを加熱するための加熱ステップを含む。潤滑剤の使用をなくすと、引抜きプロセスの際に金属合金中に不純物が取り込まれる頻度を減らすことができる。玉引きプロセスの際、真空環境、無酸素環境(例、水素、アルゴンおよび水素ミクスチャー、窒素、窒素および水素等)または不活性環境を使用することでチューブが酸素から保護されうる。1つの限定されない保護環境には、アルゴン、水素、またはアルゴンおよび水素が含まれるが、その他のまたは追加の不活性ガスが使用されうる。上記のように、ロッドまたはチューブは典型的に、不純物および/またはその他の望ましくない物質をロッドまたはチューブの表面から除去するために各引抜き加工後に洗浄されるが、これは必須ではない。典型的には、ロッドまたはチューブの温度が500℃を上回る、典型的には450℃を上回る、より典型的には400℃を上回る温度まで上昇するとき、ロッドまたはチューブは、酸素および窒素から保護される必要がある。ロッドまたはチューブが約400〜500℃を上回る温度に加熱されるとき、ロッドまたはチューブは、窒素および酸素の存在下で窒化物および/または酸化物を形成し始める傾向がある。これらの高い温度環境では、水素環境、アルゴンおよび水素環境等が一般に使用される。ロッドまたはチューブが400℃〜500℃未満の温度で引抜かれるとき、チューブを大気に暴露しても有害な影響はほとんどまたは全くないが、不活性なまたはわずかに還元させた環境が一般により望ましい。
本発明のさらにさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、引抜きプロセスの際のロッドまたはチューブは窒化されうる。ロッドまたはチューブ上の窒化物層は、引抜きプロセスの際に潤滑表面として機能し、ロッドまたはチューブの引抜きを促進することができる。ロッドまたはチューブは通常、窒素または窒素ミクスチャー(例、97%N−3%H等)の存在下で少なくとも約1分間、少なくとも約400℃の温度にあると窒化される。1つの限定されない窒化プロセスでは、ロッドまたはチューブは、窒素または窒素−水素ミクスチャーの存在下で、約400〜800℃の温度に約1〜30分間加熱される。本発明の1つの限定されない実施形態では、ロッドまたはチューブの表面は、ロッドまたはチューブの少なくとも1つの引抜きステップの前に窒化される。本実施形態の1つの限定されない態様では、ロッドまたはチューブの表面は、複数の引抜きステップの前に窒化される。本発明の別の限定されない態様では、ロッドまたはチューブがアニーリングされた後で、ロッドまたはチューブは引抜かれる前に窒化される。別のおよび/または代わりの限定されない実施形態では、ロッドまたはチューブのアニーリングの前に、ロッドまたはチューブの表面上の窒化化合物を除去するためにロッドまたはチューブが洗浄される。窒化化合物は、様々なステップ、限定されないが例えば、グリットブラスト、研磨等によって除去されうる。ロッドまたはチューブのアニーリングが行われた後、1つ以上の引抜きステップの前にロッドまたはチューブが再度窒化されうるが、これは必須ではない。理解されるように、チューブの外面全体が窒化されうる、またはチューブの外面の一部分が窒化されうる。チューブの外面の特定の一部分のみの窒化は、チューブの異なる表面特性を得るために使用されうるが、これは必須ではない。
本発明のさらにさらなるおよび/または代わりの限定されない態様では、ロッドまたはチューブは、1つ以上の引抜きプロセスの後にアニーリングが行われる。金属合金ロッドまたはチューブは、それぞれの引抜きプロセスの後に、または複数の引抜きプロセスの後にアニーリングが行われうる。金属合金ロッドまたはチューブは典型的に、金属合金ロッドまたはチューブの約60%の断面積のサイズ縮小の前にアニーリングが行われる。換言すれば、ロッドまたはチューブは、アニーリングが行われる前に60%を超える断面積が縮小されてはいけない。ロッドまたはチューブのアニーリングが行われる前に、引抜きプロセスの際に金属合金ロッドまたはチューブの断面積が縮小されすぎると、ロッドまたはチューブの微小亀裂の原因となりうる。1つの限定されない処理ステップでは、金属合金ロッドまたはチューブは、金属合金ロッドまたはチューブの約50%の断面積縮小の前にアニーリングが行われる。別のおよび/または代わりの限定されない処理ステップでは、金属合金ロッドまたはチューブは、金属合金ロッドまたはチューブの約45%の断面積縮小の前にアニーリングが行われる。さらに別のおよび/または代わりの限定されない処理ステップでは、金属合金ロッドまたはチューブは、金属合金ロッドまたはチューブの約1〜45%の断面積縮小の前にアニーリングが行われる。さらに別のおよび/または代わりの限定されない処理ステップでは、金属合金ロッドまたはチューブは、金属合金ロッドまたはチューブの約5〜30%の断面積縮小の前にアニーリングが行われる。さらに別のおよび/または代わりの限定されない処理ステップでは、金属合金ロッドまたはチューブは、金属合金ロッドまたはチューブの約5〜15%の断面積縮小の前にアニーリングが行われる。ロッドまたはチューブのアニーリングが行われるとき、ロッドまたはチューブは典型的に約1200〜1700℃の温度に約2〜200分間加熱されるが、その他の温度および/または時間が使用されうる。1つの限定されない処理ステップでは、金属合金ロッドまたはチューブは、約1400〜1600℃の温度で約2〜100分間、アニーリングが行われる。アニーリングプロセスは典型的に、アニーリングプロセスの際に新規な金属合金中に自身を組み込む不純物の量を制限するように、不活性環境または酸素還元環境中で起こる。アニーリングプロセスの際に使用されうる1つの限定されない酸素還元環境は水素環境であるが、酸素還元環境を作りだすために、真空環境が使用されうる、または1つ以上のその他のまたは追加のガスが使用されうることが理解される。アニーリング温度においては、水素含有大気は、ロッドまたはチューブ中の酸素の量をさらに減らすことができる。ロッドまたはチューブのアニーリングが行われるチャンバーは、アニーリングプロセスの際に自身をロッドまたはチューブに組み込みうる不純物の量を制限するように、実質的に不純物(例、炭素、酸素、および/または窒素)を含んでいない必要がある。アニーリングチャンバーは典型的に、ロッドまたはチューブのアニーリングの際にロッドまたはチューブに不純物を付与しない材料で形成される。アニーリングチャンバーを形成するために使用されうる限定されない材料には、モリブデン、レニウム、タングステン、モリブデンTZM合金、セラミック等が含まれるがこれらに限定されない。ロッドまたはチューブがアニーリングチャンバー内に固定されるとき、新規な金属合金のロッドまたはチューブと接触するために使用される固定装置は典型的に、ロッドまたはチューブの処理の際に新規な金属合金に不純物を導入しない材料で形成される。固定装置を少なくとも部分的に形成するために使用されうる材料の限定されない例には、モリブデン、チタン、イットリウム、ジルコニウム、レニウムおよび/またはタングステンが含まれるがこれらに限定されない。さらに別のおよび/または代わりの限定されない処理ステップでは、アニーリングのパラメータは、チューブの断面積または直径、および/または壁の厚さの変化に応じて変化させてよい。チューブのパラメータの変化に従ってアニーリングパラメータが変化するとき、チューブの良好な結晶粒度特性が得られることがわかっている。1つの限定されない処理アレンジでは、壁の厚さが約0.015インチより厚いチューブのアニーリング温度は一般に、少なくとも約1480℃で、少なくとも約5分間である。別の限定されない処理アレンジでは、壁の厚さが約0.008〜0.015インチであるチューブのアニーリング温度は一般に、約1450〜1480℃で、少なくとも約5分間である。別の限定されない処理アレンジでは、壁の厚さが約0.008インチ未満のチューブのアニーリング温度は一般に、約1450℃未満で、少なくとも約5分間である。そのため、壁の厚さが薄くなると、アニーリング温度はそれに応じて低くなるが、アニーリングの時間は長くなってもよい。理解されるように、チューブのアニーリング温度は、壁の厚さが薄くなるとともに低くすることができるが、アニーリング時間は同じままでよい、または壁の厚さが薄くなるとともに短くしてもよい。各アニーリングプロセス後、チューブに含まれる金属の結晶粒度は5ASTMを超えてはいけない。7〜14ASTMの結晶粒度は、本発明のアニーリングプロセスによって得られうる。壁の厚さが薄くなるとともにアニーリング温度を低くすると、小さい結晶粒度が得られると考えられている。チューブに含まれる金属の結晶粒度は可能な限り均一でなければいけない。さらに、チューブに含まれる金属のシグマ相は可能な限り低下させる必要がある。シグマ相は、金属合金中の球状の、楕円形の、または正方形の結晶形状である。シグマ相は通常、レニウムとモリブデンの両方で形成され、典型的にはレニウムの濃度のほうが高い。チューブの最終的な引抜き後、チューブの最終的な強化のためにチューブの最終的なアニーリングを行うことができるが、これは必須ではない。この最終的なアニーリングプロセスは、使用される場合、一般に約1300〜1600℃の温度で少なくとも約5分間起こるが、その他の温度および/または時間が使用されうる。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、ロッドまたはチューブは、アニーリングの前および/または後に洗浄されうる。洗浄プロセスは、不純物、潤滑剤(例、窒化物化合物、モリブデンペースト、グリース等)、および/またはその他の物質をロッドまたはチューブの表面から除去するようにデザインされる。ロッドまたはチューブの1つ以上の表面上の不純物は、アニーリングプロセスの際にロッドまたはチューブに恒久的に組み込まれうる。これらの埋め込まれた不純物は、ロッドまたはチューブが医療用具に形成される際に新規な金属合金の物理的特性に有害な影響を与えうる、および/または医療用具の動作および/または寿命に有害な影響を与えうる。本発明の1つの限定されない実施形態では、洗浄プロセスには、潤滑剤除去またはグリース除去プロセスが含まれ、典型的にはこの後に酸洗いプロセスが続くが、これは必須ではない。酸洗いプロセスが続いて行われる潤滑剤除去またはグリース除去プロセスは典型的に、引抜きプロセスの際に潤滑剤がロッドまたはチューブに使用される場合に使用される。潤滑剤は一般に、炭素化合物、窒化化合物、モリブデンペースト、およびその他の種類の化合物を含み、これらは、もしもそのような化合物および/またはそのような化合物中の元素がアニーリングプロセスの際に新規な金属合金と結合するおよび/または新規な金属合金に取り込まれると、新規な金属合金に有害な影響を与える可能性がある。潤滑剤除去またはグリース除去プロセスは、様々なテクニック、限定されないが例えば、1)溶媒(例、アセトン、メチルアルコール等)を使用して、キムワイプまたはその他の適切なタオルで新規な金属合金を拭くこと、2)新規な金属合金を少なくとも部分的に溶媒中に漬けるまたは浸した後で、新規な金属合金の超音波洗浄を行うこと、3)新規な金属合金のサンドブラストを行うこと、および/または4)金属合金に化学エッチングを施すことによって達成されうる。理解されるように、新規な金属合金の潤滑剤除去またはグリース除去は、その他のまたは追加の方法で行われうる。新規な金属合金のロッドまたはチューブの潤滑剤除去またはグリース除去後、ロッドまたはチューブは、酸洗いプロセスの使用によってさらに洗浄されうるが、これは必須ではない。酸洗いプロセスには、使用される場合、ロッドまたはチューブの表面から不純物を除去するための1つ以上の酸の使用が含まれる。酸洗い溶液として使用されうる酸の限定されない例には、硝酸、酢酸、硫酸、塩酸、および/またはフッ化水素酸が含まれるがこれらに限定されない。これらの酸は典型的に分析用試薬(ACS)グレードの酸である。酸溶液および酸濃縮液は、ロッドまたはチューブの表面のダメージまたはオーバーエッチングを起こさずに、ロッドまたはチューブの表面上の酸化物およびその他の不純物を除去するために選択される。大量の酸化物および/または窒化物を含むロッドまたはチューブ表面は典型的に、より強い酸洗い溶液および/または長い酸洗いプロセス時間を必要とする。酸洗い溶液の限定されない実施例には、1)25〜60%のDI水、30〜60%の硝酸、および2〜20%の硫酸、2)40〜75%の酢酸、10〜35%の硝酸、および1〜12%のフッ化水素酸、および3)50〜100%の塩酸が含まれる。理解されるように、1つ以上の異なる酸洗い溶液が、酸洗いプロセス中に使用されうる。酸洗いプロセスの際、ロッドまたはチューブは、ロッドまたはチューブの表面から不純物を除去するために、十分な長さの時間、酸洗い溶液中に完全にまたは部分的に浸漬される。典型的には、酸洗いの時間は約2〜120秒であるが、その他の時間が使用されうる。ロッドまたはチューブの酸洗い後、ロッドまたはチューブから全ての酸洗い溶液を除去するためにロッドまたはチューブは典型的に水(例、DI水等)および/または溶媒(例、アセトン、メチルアルコール等)でリンスされ、その後ロッドまたはチューブを乾燥させる。ロッドまたはチューブは、ロッドまたはチューブが引抜かれるおよび/またはアニーリングが行われる前に、ロッドまたはチューブの表面上で酸化物が再び形成されるのを抑制または予防するために、リンスおよび/または乾燥プロセスの間は保護環境に維持されてよいが、これは必須ではない。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、アニーリングプロセスおよび/または引抜きプロセスの際に、新規な金属合金のロッドまたはチューブと接触するために使用される固定装置は典型的に、ロッドまたはチューブの処理の際に新規な金属合金に不純物を導入しない材料で形成される。1つの限定されない実施形態では、金属合金のロッドまたはチューブが150℃を超える温度に暴露されるとき、ロッドまたはチューブの処理の際に新規な金属合金のロッドまたはチューブと接触する材料は典型的に、モリブデン、レニウム、および/またはタングステンから形成される。新規な金属合金のロッドまたはチューブが低温(すなわち150℃以下)で処理されるとき、さらにまたは代わりにTeflonパーツ製の材料が使用されうる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金のロッドまたはチューブは、所望の外側の断面積または直径、内側の断面積または直径、および/または壁の厚さに形成された後、医療用具(例、ステント等)の所望の構造を少なくとも部分的に形成するためにカットされうるおよび/またはエッチングが施されうる。本発明の1つの限定されない実施形態では、新規な金属合金のロッドまたはチューブは、レーザーによって少なくとも部分的にカットされる。レーザーは典型的には、新規な金属合金のロッドまたはチューブを少なくとも約2200〜2300℃に加熱できるビーム強度を持つのが望ましい。本実施形態の1つの限定されない態様では、パルスNd:YAGネオジムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:Y3Al5O12)またはCO2レーザーが、新規な金属合金のロッドまたはチューブから医療用具のパターンを少なくとも部分的にカットするために使用される。本実施形態の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金のロッドまたはチューブのレーザーによるカットは、真空環境、酸素還元環境、または不活性環境で起こりうるが、これは必須ではない。保護されていない環境でロッドまたはチューブをレーザーでカットすると、カットされたロッドまたはチューブに不純物が導入され、この導入された不純物は、ロッドまたはチューブのカットの際のロッドまたはチューブの微小亀裂を誘発する可能性があることがわかっている。1つの限定されない酸素還元環境はアルゴンと水素の組み合わせを含むが、真空環境、不活性環境、またはその他のもしくは追加のガスが、酸素還元環境を作るために使用されうる。本実施形態のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金のロッドまたはチューブは、カットプロセス中のロッドまたはチューブの振動を制限するまたは防ぐように固定される。ロッドまたはチューブを固定するために使用される装置は、カットプロセスの際にロッドまたはチューブに汚染を導入しないように、モリブデン、レニウム、タングステン、モリブデンTZM合金、セラミック等で形成されうるが、これは必須ではない。ロッドまたはチューブのカット中のロッドまたはチューブの振動は、ロッドまたはチューブがカットされる際の、ロッドまたはチューブ中の微小亀裂の形成につながる可能性がある。ロッドまたはチューブのカットの際の平均振動幅は、ロッドまたはチューブの壁の厚さの約150%を超えてはいけない。本実施形態の1つの限定されない態様では、平均振動幅は、ロッドまたはチューブの壁の厚さの約100%を超えてはいけない。本実施形態の別の限定されない態様では、平均振動幅は、ロッドまたはチューブの壁の厚さの約75%を超えてはいけない。本実施形態のさらに別の限定されない態様では、平均振動幅は、ロッドまたはチューブの壁の厚さの約50%を超えてはいけない。本実施形態のさらに別の限定されない態様では、平均振動幅は、ロッドまたはチューブの壁の厚さの約25%を超えてはいけない。本実施形態のさらに別の限定されない態様では、平均振動幅は、ロッドまたはチューブの壁の厚さの約15%を超えてはいけない。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、新規な金属合金のロッドまたはチューブは、所望の医療用具に形成された後、医療用具の最終処理として洗浄、研磨、滅菌、窒化等が行われうる。本発明の1つの限定されない実施形態では、医療用具の電解研摩が行われる。本実施形態の1つの限定されない態様では、医療用具は、研磨溶液に暴露される前に洗浄されるが、これは必須ではない。洗浄プロセスは、使用される場合、様々なテクニック、限定されないが例えば、1)溶媒(例、アセトン、メチルアルコール等)を使用して、キムワイプまたはその他の適切なタオルで医療用具を拭くこと、および/または2)医療用具を少なくとも部分的に溶媒中に漬けるまたは浸した後で、医療用具の超音波洗浄を行うことによって達成されうる。理解されるように、医療用具はその他のまたは追加の方法で洗浄されうる。本実施形態の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、研磨溶液は1つ以上の酸を含みうる。研磨溶液の1つの限定されない処方は、約10〜80容量%の硫酸を含む。理解されるように、その他の研磨溶液の組成が使用されうる。本実施形態のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、電解研摩プロセスの際に医療用具に約5〜12ボルトの電圧がかけられるが、その他の電圧レベルが使用されうる。本実施形態のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具は、水および/または溶媒でリンスされ、医療用具上の研磨溶液を除去するために乾燥させる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、用具は、用具上にない1つ以上のその他の化学物質と併用して使用されうる。例えば、用具の成功は、1つ以上の化学物質を注入、注射、または経口的に摂取させることによって高められうる。そのような化学物質は、用具上のおよび/または用具中の1つ以上の化学物質と同じであってよいおよび/または異なっていてよい。1つ以上の化学物質のそのような使用は一般に医学的手技の後の患者の全身治療において使用され、例えば、用具が治療領域内に挿入された後の全身療法は新規な合金の使用によって短縮または排除されうる。本発明の用具は、用具が治療領域内に挿入された後の長期間の全身療法の必要性を低下させるまたは排除するようにデザインされうるが、1つ以上の化学物質の使用は、用具の成功を高めるためおよび/またはステント内再狭窄、血管狭窄、および/または血栓症を低下させるまたは防ぐため、および/または組織の成長(例、内皮および/または神経組織)を促進するために、用具と併用して使用されうる。例えば、経口投与用、および/またはその他の種類の投与(例、坐剤等)用の固形剤形の化学物質が使用されうる。そのような固形形態には、カプセル剤、錠剤、発泡錠、咀嚼錠、丸剤、散剤、サシェ、顆粒剤、およびゲルが含まれうるがこれらに限定されない。固形形態のカプセル剤、錠剤、発泡錠、咀嚼錠、丸剤等は、様々な形状、限定されないが例えば、球形、立方形、円筒形、三角形などを有しうる。そのような固形剤形では、1つ以上の化学物質は、少なくとも1つの賦形剤、限定されないが例えば、白糖、乳糖、またはスターチと混合されうるが、これは必須ではない。そのような剤形は、追加の物質、限定されないが例えば、不活性希釈剤(例、潤沢剤等)を含みうる。カプセル剤、錠剤、発泡錠、または丸剤が使用されるとき、剤形はさらに緩衝化学物質を含みうるが、これは必須ではない。軟ゼラチンカプセル剤は、植物油またはその他の種類の油と組み合わされた1つ以上の化学物質のミクスチャーを含むように調製されうるが、これは必須ではない。硬ゼラチンカプセル剤は、固体担体、限定されないが例えば、乳糖、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、ゼラチンのセルロース誘導体等と組み合わされた1つ以上の化学物質の顆粒を含みうるが、これは必須ではない。錠剤および丸剤は、さらなる持続放出特性のために腸溶性コーティングで調製されうるが、これは必須ではない。経口投与用の1つ以上の化学物質の液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等が含まれうるが、これは必須ではない。1つの限定されない実施形態では、1つ以上の化学物質の少なくとも一部分が治療領域に挿入される(例、ゲル形態、ペースト形態等)および/または経口的に(例、丸剤、カプセル剤等)、および/または経肛門的に(例、坐剤等)与えられるとき、化学物質の1つ以上は制御可能に放出されうるが、これは必須ではない。1つの限定されない実施例では、1つ以上の化学物質は固形剤形で患者に与えられ、そのような化学物質の1つ以上はそのような固形剤形から制御可能に放出されうる。別のおよび/または代わりの限定されない実施例では、トラピジル、トラピジル誘導体、タキソール、タキソール誘導体、サイトカラシン、サイトカラシン誘導体、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、GM−CSF、GM−CSF誘導体、またはアナログ、またはこれらの組み合わせが、用具の治療領域への挿入の前、挿入の際、および/または挿入の後に患者に与えられる。特定の種類の化学物質は、化学物質の完全なまたはほぼ完全な臨床的能力を利用するために、長時間にわたって治療領域内に存在するのが望ましい可能性がある。例えば、トラピジルおよび/またはトラピジル誘導体にはこれらに限定されないが、抗血小板作用や、平滑筋細胞および単球、線維芽細胞の増殖、MAPK−1の増加を抑制することによってキナーゼを不活性化する血管拡張性など多くの臨床上の特性がある。これらの特性は、治療領域に挿入された用具の成功を高めるのに効果的でありうる。いくつかの状況では、トラピジルおよび/またはトラピジル誘導体のこれらの有益な効果は、完全な臨床上の能力を達成するために、治療領域に長時間存在する必要がある。トラピジルおよび/またはトラピジル誘導体のin vivoでの半減期は約2〜4時間であり、肝臓のクリアランスは48時間である。トラピジルおよび/またはトラピジル誘導体の完全な臨床上の特性を利用するために、トラピジルおよび/またはトラピジル誘導体は、途切れることなく長時間にわたって代謝される必要があるが、これは必須ではない。固形剤形のトラピジルおよび/またはトラピジル誘導体を挿入することにより、完全なまたはほぼ完全なトラピジルおよび/またはトラピジル誘導体の臨床上の能力を達成するために、トラピジルおよび/またはトラピジル誘導体は長時間にわたって患者体内で制御されて放出されうる。別のおよび/または代わりの限定されない実施例では、1つ以上の化学物質は、1つ以上のポリマー中に少なくとも部分的に封入される。1つ以上のポリマーは、生分解性、非生分解性、多孔性、および/または非多孔性でありうる。1つ以上のポリマーが生分解性であるとき、1つ以上の生分解性ポリマーの分解の速度は、時間とともに1つ以上の化学物質が身体通路内および/または身体のその他の部分へ放出される速度を少なくとも部分的に制御するために使用されうる。1つ以上の化学物質は、時間とともに1つ以上の化学物質が身体通路内および/または身体のその他の部分に放出される速度を変化させるために、様々なポリマーコーティングの厚さ、様々な数のコーティング層、および/または様々なポリマーで少なくとも部分的に封入されうる。ポリマーの分解の速度は主に、1)ポリマーの水透過性および溶解性、2)ポリマーおよび/または化学物質の化学組成、3)ポリマーの加水分解のメカニズム、4)ポリマー内に封入される化学物質、5)ポリマーのサイズ、形状、および表面の体積、6)ポリマーの多孔度、7)ポリマーの分子量、8)ポリマー中の架橋の度合い、9)ポリマーと化学物質との化学結合の度合い、および/または10)ポリマーおよび/または化学物質の構造に応じて変化する。理解されるように、その他の因子もポリマーの分解速度に影響を与えてよい。1つ以上のポリマーが生体安定性であるとき、1つ以上の化学物質が生体安定性ポリマーから放出される速度は、1)ポリマーの多孔度、2)ポリマーを介する化学物質の分子拡散速度、3)ポリマー中の架橋の度合い、4)ポリマーと化学物質との化学結合の度合い、5)ポリマーおよび/または化学物質の化学組成、6)ポリマーに封入される化学物質、7)ポリマーのサイズ、形状、および表面の体積、および/または8)ポリマーおよび/または化学物質の構造に応じて変化する。理解されるように、その他の因子も生体安定性ポリマーから1つ以上の化学物質が放出される速度に影響を与えてよい。多くの種類のポリマー、限定されないが例えば、脂肪族ポリエステル化合物(例、PLA(すなわち、(ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸))、PLGA(すなわち、ポリ(ラクチド−コ−グリコシド)等)、POE、PEG、PLLA、パリレン、キトサン、および/または上記のコポリマー、ブレンド、および/またはコンポジット、および/またはこれらのポリマーの1つ以上の誘導体が使用されうる。理解されるように、少なくとも部分的に封入された化学物質は、経口的導入以外の手段、限定されないが例えば、注射、局所適用、静脈内投与、点眼薬、鼻腔スプレー、外科的挿入、坐剤、関節内投与、眼内投与、鼻腔内投与、皮内投与、舌下投与、膀胱内投与、髄腔内投与、腹腔内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、皮下投与、特定の部位への直接投与、および同様の手段によって患者の体内に導入されうる。
本発明の別のおよび/または限定されない態様では、ポリマーの分解および/または吸収および/または少なくとも1つの化学物質の放出を修飾するために、第2の物質が、ミクスチャー、基質層として、または少なくとも部分的に用具内の特定の場所でポリマーおよび/または化学物質と部分的に組み合わせられる。本発明の限定されない態様では、第2の物質は、限定されないが、脂肪、油、メタクリレートまたはその誘導体、両親媒性物質またはその誘導体をはじめとする、少なくとも1つの疎水性および/または親水性物質と、少なくとも1つの生分解性ポリマーとを含みうる。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの態様では、用具は、いくつかのその他の用具(例、バルーン等)の使用によって拡張されうる、および/または自己拡張型である拡張型用具でありうる。拡張型用具は、形状記憶特性を持たないまたは実質的に持たない材料から少なくとも部分的に作製されうる、または形状記憶特性を有する材料から作製されうる。典型的には、1つ以上の形状記憶材料が使用されるとき、形状記憶材料の組成は、低温(例、体温より低い温度)において形状記憶材料が拡張されていない構造および/または拘束された構造を保持するように選択されるが、これは必須ではない。形状記憶材料が加熱されるとき(例、体温まで)、拡張可能な本体部分は、身体通路内またはその他の領域内に少なくとも部分的に用具を張り付け、固定するために拡張するようにデザインされうるが、これは必須ではない。本発明の代わりの限定されない態様では、形状記憶材料は超弾性状態であり、拡張のために加熱される必要はない。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない態様では、用具はステント、グラフト、および/またはその他の適当な用具の形態である。ステント、グラフト、および/またはその他の適当な用具は、バルーンによって拡張されうるおよび/または自己拡張型である拡張型ステント、グラフト、および/またはその他の適当な用具でありうる。ステント、グラフト、および/またはその他の適合な用具を形成するために使用される材料は、ステント、グラフト、および/またはその他の適当な用具を作製するために行われる必要がある製造プロセスに耐えるように選択される。これらの製造プロセスには、電気めっき、MEMSテクノロジー、電解研摩、化学研磨、イオンビーム蒸着または注入、スパッタコーティング、真空蒸着、マスキング、鋳造、切削、エッチング、および/またはその他のコーティングプロセスが含まれうるが、これらに限定されない。用具は1つ以上の本体部材を有しうる。1つ以上の本体部材は、第1および第2の端部と、第1および第2の端部の間に配置される壁面を含みうる。典型的には、各本体部材は、本体部材の身体通路内への送達を可能にする第1の断面積と、第2の拡張された断面積を有する。用具の1つ以上の本体部材の拡張は、様々な方式で行われうる。1つの方式では、1つ以上の本体部材は、本体部材の内側領域から少なくとも部分的に適用される半径方向、外側に広がる力によって第2の断面積に拡張される(例、バルーンの使用によって、他)。本体部材は、熱に暴露されると拡張する熱感受性および/または超弾性材料(例、形状記憶材料等)を含みうるため、本体部材の内側領域から少なくとも部分的に適用される半径方向、外側に広がる力を必要としないが、そのような力はそのような本体部材とともに使用されうる。用具の第2の断面積は、固定されていてよいまたは変動してよい。用具は、本体部材の元の長軸方向の延伸を実質的に維持しながら、1つ以上の本体部材が拡張するようにデザインされうるが、これは必須ではない。1つ以上の本体部材は、実質的に筒状の本体部材を形成するように、通常は円形である第1の断面形状を有しうるが、1つ以上の本体部材はその他の断面形状を有しうる。用具が2つ以上の本体部材を含むとき、2つ以上の本体部材は少なくとも1つの接続部材によって接続されうる。用具は、用具が身体通路内に挿入される際の、および/または身体通路内で拡張される際の、身体通路への損傷を最小限にするおよび/または防ぐために、丸い、平滑な、および/または鈍的な表面を含みうるが、これは必須ではない。用具はγ線、β線、および/または電子ビーム照射によって処理されうる、および/またはその他の方法で滅菌されうるがこれは必須ではない。
本発明のさらに別のおよび/または追加の限定されない態様では、用具の1つ以上の部分は、化学物質および/またはポリマーを含みうる、または化学物質および/またはポリマーから形成されうる。用具が1つ以上のポリマーでコーティングされるとき、ポリマーは、1)非多孔性ポリマーの1つ以上のコーティング、2)1つ以上の多孔性ポリマーと1つ以上の非多孔性ポリマーの組み合わせの1つ以上のコーティング、3)1つ以上の多孔性ポリマーの1つ以上のコーティングと1つ以上の非多孔性ポリマーの1つ以上のコーティング、4)多孔性ポリマーの1つ以上のコーティング、または5)選択肢1、2、3、および4の1つ以上の組み合わせを含みうる。1つ以上のポリマー層の厚さは同じまたは異なっていてよい。様々な種類および/または厚さのポリマー層も利用されうる。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない態様では、医療用具は双安定構造を含みうる。そのようなデザインでは、医療用具は2つ以上の安定した構造を有し、第1の断面形状を持つ第1の安定した構造および第2の断面形状を持つ第2の安定した構造が含まれる。医療用具の全てまたは一部分は、双安定構造を含みうる。双安定構造は、医療用具の概して均一な形状の変化をもたらしうる、または医療用具の1つの部分は1つ以上の構造に変化することができ、医療用具の1つ以上のその他の部分は1つ以上のその他の構造に変化できる。
本発明の別のおよび/または代わりの限定しない態様では、医療用具はステントの形態である。ステントは、バルーンによって拡張されうるなおよび/または自己拡張型である拡張型ステントでありうる。ステントは1つ以上の本体部材を有しうる。1つ以上の本体部材は、第1および第2の端部と、第1および第2の端部の間に配置される壁面を含みうる。典型的には、各本体部材は、本体部材の身体通路内への送達を可能にする第1の断面積と、第2の拡張された断面積を有する。ステントの1つ以上の本体部材の拡張は様々な方式で達成されうる。1つの方式では、1つ以上の本体部材は、本体部材の内側領域から少なくとも部分的に適用される半径方向、外側に広がる力によって第2の断面積に拡張される(例、バルーンの使用によって、他)。本体部材は形状記憶材料を含みうるが、これは必須ではない。ステントの第2の断面積は固定されていてよいまたは変動してよい。ステントは、1つ以上の本体部材が本体部材の元の長軸方向の延伸を実質的に保持しながら拡張するようにデザインされうるが、これは必須ではない。1つ以上の本体部材は、実質的に筒状の本体部材を形成するように、一般的に円形である第1の断面積形状を有しうるが、1つ以上の本体部材はその他の断面形状を有しうる。ステントが2つ以上の本体部材を含むとき、2つ以上の本体部材は少なくとも1つの接続部材で一緒に接続されうる。ステントは、ステントが身体通路内に挿入される際の、および/または身体通路内で拡張される際の、身体通路への損傷の可能性を最小限にするおよび/または防ぐために、丸い、平滑な、および/または鈍的な表面を含みうるが、これは必須ではない。ステントはγ線、β線、および/または電子ビーム照射によって処理されうる、および/またはその他の方法で滅菌されうるが、これは必須ではない。
本発明の1つの限定されない応用では、医療用具が身体通路に挿入された後の血栓症を抑制または予防するための、医療用具およびそのような医療用具を使用するための方法が提供される。医療用具は、医療用具が治療領域に挿入された後に、長期間にわたる全身性の抗血小板および/または抗凝固療法の必要性を低下させるまたは排除するという1つの限定的な利点を有しうる。医療用具は、治療領域(例、身体通路等)に1つ以上の化学物質を送達するという1つの限定されない利点を有しうる。そのような医療用具は、身体通路(例、血管等)に挿入されるおよび/または接続されうるようにデザインされてよく、そのような医療用具は血栓症を抑制または予防する。医療用具は、1つ以上の化学物質を身体通路の壁におよび/または身体通路の壁内部へ、および/または医療用具の設置部位の下流に送達するための生物学的製剤送達メカニズムとして使用されるようにデザインされうる。1つの限定されないデザインでは、医療用具は、生物学的製剤の少なくとも1つの層と、医療用具からの生物学的製剤の放出を部分的に制御するために使用される少なくとも1つのポリマー層とを含むベース材料からなるステントである。1つの限定されない制御放出アレンジでは、ポリマーを介した分子拡散は、医療用具からの1つ以上の化学物質の放出速度を制御するために使用される。分子拡散メカニズムが使用されるとき、そのような分子拡散を促進するために1つ以上の非多孔性ポリマー層が使用されうるが、これは必須ではない。分子の構成、分子構造、および/または非多孔性ポリマーのコーティングの厚さが、医療用具からの1つ以上の化学物質の放出速度を制御するために選択されうる。別のおよび/または代わりの限定されないデザインでは、医療用具は、少なくとも1つの生物学的製剤の少なくとも1つの層が外科用グラフトの内面および/または外面に適用される柔軟なベース材料からなる外科用グラフトである。少なくとも1つのポリマー層は、外科用グラフトからの少なくとも1つの化学物質の放出速度を少なくとも部分的に制御するために外科用グラフトに適用されうるが、これは必須ではない。ポリマー層は、多孔性または非多孔性ポリマーを含みうる。ステントまたは外科用グラフトと併用して使用される1つ以上のポリマーおよび/または化学物質は、1)医療用具の少なくとも一部分を形成できる、2)医療用具の1つ以上の領域にコーティングされうる、および/または3)医療用具内の1つ以上の領域に含有されうる。使用されうるポリマーの限定されない例には、パリレン、PLGA、POE、PGA、PLLA、PAA、PEG、キトサン、および/またはこれらのポリマーの1つ以上の誘導体が含まれるが、その他のまたは追加のポリマーが使用されうる。多種多様な化学物質が使用されうる。そのような化学物質には、抗血小板化合物および/または抗凝固化合物、例えば限定されないが、ワルファリン(クマジン)および/または誘導体、アスピリンおよび/または誘導体、クロピドグレルおよび/または誘導体、チクロパジンおよび/または誘導体、ヒルダン(hirdun)および/または誘導体、ジピリダモールおよび/または誘導体、トラピジルおよび/または誘導体、および/またはヘパリンおよび/または低分子量ヘパリンおよび/または誘導体が含まれうる。理解されるように、1つ以上のその他の抗血栓性化学物質が医療用具と組み合わせされ、例えば、タキソール、タキソール誘導体、サイトカラシン、サイトカラシン誘導体、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、GM−CSF、GM−CSF誘導体、またはこれらの組み合わせであるがこれらに限定されない。製造の際の医療用具の構造は、医療用具上の1つ以上のポリマーおよび/または化学物質のコーティングを容易にするために前処理されうる(例、プラズマエッチング等)が、これは必須ではない。医療用具のベース構造の表面トポグラフィーは、所望の動作および/または医療用具から放出される生物学的製剤を得るために均一であってよいまたは変化していてよい。理解されるように、医療用具の1つ以上の領域は、1つ以上の微小電気機械製造テクニックの使用によって構築されうるが、これは必須ではない。微小電気機械製造テクニック技術によって使用されうる材料には、キトサン、キトサン誘導体、PLGA、PLGA誘導体、PLA、PLA誘導体、PEVA、PEVA誘導体、PBMA、PBMA誘導体、POE、POE誘導体、PGA、PGA誘導体、PLLA、PLLA誘導体、PAA、PAA誘導体、PEG、およびキトサン、キトサン誘導体、PLGA、PLGA誘導体、PLA、PLA誘導体、PEVA、PEVA誘導体、PBMA、PBMA誘導体、POE、POE誘導体、PGA、PGA誘導体、PLLA、PLLA誘導体、PAA、PAA誘導体、PEG、PEG誘導体、および/またはPEG誘導体が含まれるがこれらに限定されない。医療用具は、1つ以上の化学物質および/またはポリマーを含む、1つ以上の表面構造、ミクロ構造、内部構造を含みうるが、これは必須ではない。これらの構造は、MEMS(例、マイクロマシニング等)テクノロジーおよび/またはその他の種類のテクノロジーによって少なくとも部分的に形成されうる。構造は、1つ以上の化学物質を含む医療用具内の通路を含むように、または1つ以上の化学物質を含む医療用具内の通路と流動的につながるようにデザインされうるが、これは必須ではない。構造は、医療用具が患者の身体上および/または身体内に設置された後で、周囲組織または臓器ににかみ込むおよび/または貫通するために使用されうるが、これは必須ではない。1つ以上のポリマーおよび/または化学物質は、これらの構造に挿入されうるおよび/または少なくとも部分的に医療用具のこれらの構造を形成する。構造は、集合してよく、または医療用具の表面全体に分散していてよい。同様の形状および/または大きさの構造が使用されうる、または異なる形状および/または大きさの構造が使用されうる。典型的には、ミクロ構造は、形成される場合、外面から、または外面へと、約400ミクロンを超えずに、より典型的には約300ミクロン未満、より典型的には約15〜250ミクロン伸びるが、その他のサイズが使用されうる。1つ以上の化学物質が医療用具から放出される時間は典型的に、デザインされた医学的治療および/またはその他の因子に応じて変化する。1つの限定されないアレンジでは、1つ以上の化学物質は、患者の体内に医療用具が挿入された後、少なくとも数日間にわたって医療用具から放出されるが、これは必須ではない。別の1つの限定されないアレンジでは、1つ以上の化学物質は、患者の体内に医療用具が挿入された後、少なくとも約1週間にわたって医療用具から放出される。さらに別の1つの限定されないアレンジでは、1つ以上の化学物質は、患者の体内に医療用具が挿入された後、少なくとも約2週間にわたって医療用具から放出される。さらに別の1つの限定されないアレンジでは、1つ以上の化学物質は、患者の体内に医療用具が挿入された後、約1週間から約1年間にわたって医療用具から放出される。理解されるように、医療用具から化学物質の1つ以上が放出されうる期間は、これより長くてよい、または短くてよい。医療用具からの2つ以上の化学物質の放出の期間は同じ、または異なっていてよい。医療用具上に使用される1つ以上の化学物質の種類、医療用具からの1つ以上の化学物質の放出速度、および/または医療用具から放出される1つ以上の化学物質の濃度は、同じ、または異なっていてよい。医療用具からの1つ以上の化学物質の制御放出速度は、医療用具が治療領域に挿入された後の全身性薬物療法の量の減少および/または期間の短縮をもたらしうる。1つの限定されないアレンジでは、医療用具は、医療用具が治療領域に挿入された後の全身性薬物療法が1年未満に短縮されるように、一定の期間にわたって1つ以上の化学物質を放出する。別のおよび/または代わりの限定されないアレンジでは、医療用具は、医療用具が治療領域に挿入された後の全身性薬物療法が1ヶ月未満に短縮されるように、一定の期間にわたって1つ以上の化学物質を放出する。さらに別のおよび/または代わりの限定されないアレンジでは、医療用具は、医療用具が治療領域に挿入された後の全身性薬物療法が1週間未満に短縮されるように、一定の期間にわたって1つ以上の化学物質を放出する。医療用具は、一時的にその他の化学物質と併用して使用されうる。例えば、医療用具の成功は、1つ以上の化学物質を注入、注射、または経口的に摂取することによって高められうる。そのような化学物質は、医療用具上および/または医療用具中の1つ以上の化学物質と同じであってよいおよび/または異なっていてよい。例えば、経口投与用の化学物質の固形剤形が使用されうる。そのような固形剤形には、カプセル剤、錠剤、発泡錠、咀嚼錠、丸剤、散剤、サシェ、顆粒剤、およびゲルが含まれうるがこれらに限定されない。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない応用では、患者体内への導入および/または局所使用(例、液剤、軟膏、ゲル等)に適した医療用具が提供され、この医療用具は1つ以上の化学物質を制御しながら放出する。医療用具は、様々な用途、限定されないが例えば、血管系内部への設置などを有しうる。理解されるように、医療用具はその他のまたは追加の用途を有しうる。医療用具上および/または医療用具中の1つ以上の化学物質は、医療用具から制御可能におよび/または制御不可能に放出されうる。そのため、化学物質の全てが医療用具から制御可能に放出されうる、化学物質の全てが医療用具から制御不可能に放出されうる、または1つ以上の化学物質が制御可能に放出され、1つ以上の化学物質が医療用具から制御不可能に放出されうる。医療用具からの1つ以上の化学物質の制御放出は、1つ以上の非多孔性ポリマー層を介した分子拡散によって少なくとも部分的に制御されうるが、医療用具からの1つ以上の化学物質の放出速度を制御するために、その他のまたは追加のメカニズムが使用されうることが理解されるであろう。例えば、1つ以上の化学物質は、医療用具からの1つ以上の化学物質の放出速度を制御するために、1つ以上のポリマーに化学的に結合するように選択されうるが、これは必須ではない。1つ以上のポリマーは、医療用具からの1つ以上の化学物質の放出層度を制御するために架橋を含みうるが、これは必須ではない。1つ以上のポリマーおよび/または1つ以上の化学物質は疎水性または親水性でありうるため、医療用具からの1つ以上の化学物質の制御放出を促進するために使用されうるが、これは必須ではない。1つ以上のポリマー層の厚さは、1つ以上の化学物質の制御放出を促進するように選択されうるが、これは必須ではない。1つ以上の化学物質および/または1つ以上のポリマーの分子量および/または分子構造は、1つ以上の化学物質の放出を促進するように選択されうるが、これは必須ではない。多種多様な化学物質が使用されうる。そのような化学物質には、抗血小板化合物および/または抗凝固化合物、限定されないが例えば、ワルファリン(クマジン)および/または誘導体、アスピリンおよび/または誘導体、クロピドグレルおよび/または誘導体、チクロパジンおよび/または誘導体、ヒルダンおよび/または誘導体、ジピリダモールおよび/または誘導体、トラピジルおよび/または誘導体、および/またはヘパリンおよび/または低分子量ヘパリンおよび/または誘導体が含まれうる。理解されるように、1つ以上のその他の抗血栓性化学物質が医療用具と組み合わせされ、例えば、タキソール、タキソール誘導体、サイトカラシン、サイトカラシン誘導体、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、GM−CSF、GM−CSF誘導体、またはこれらの組み合わせであるがこれらに限定されない。さらに別の1つの限定されないアレンジでは、1つ以上の化学物質は、医療用具が患者体内に挿入された後、少なくとも約2週間にわたって医療用具から放出される。さらに別の1つの限定されないアレンジでは、1つ以上の化学物質は、医療用具が患者体内に挿入された後、少なくとも約1週間から1年間にわたって医療用具から放出される。理解されるように、医療用具から化学物質の1つ以上が放出されうる期間は、これより長くてよい、または短くてよい。医療用具からの2つ以上の化学物質の放出の期間は同じ、または異なっていてよい。医療用具上に使用される1つ以上の化学物質の種類、医療用具からの1つ以上の化学物質の放出速度、および/または医療用具から放出される1つ以上の化学物質の濃度は、同じ、または異なっていてよい。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない応用では、反管腔および管腔表面を持つステントと、該ステントに適用されるベース薬剤コーティングと、生体吸収性コーティングとを含む患者への挿入に適合した医療用具が提供される。ベース薬剤コーティングは、100%の薬剤からなってもよく、また、生体吸収性コーティングに起因する炎症を抑制するのに十分な量および/または強さで存在してもよい。ベース薬剤コーティングは、生体吸収性コーティングが完全に吸収されるまでステント上に存在してもよい。ベース薬剤コーティングは用具の反管腔表面に適用されてもよい。ステントは、ステントの管腔表面に適用される第2の薬剤コーティングを含んでもよい。第2の薬剤コーティングは、ステントの管腔表面上の内皮の成長を促進するのに十分な量および/または強さで存在してもよい。生体吸収性コーティングは、PGA、PLA、PLLA、PDLLA、PCL、PDS、85/15PDLGA、75/25PDLGA、50/50PDLGA、25/75PDLGA、15/85PDLGA、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。ステント上の薬剤に対する生体吸収性コーティングの重量%は約1から約99重量%であってもよい。ステント上の反管腔コーティングの厚さは約2から約50ミクロンの範囲で変動しうる。ステント上の管腔コーティングの厚さは約2から約50ミクロンの範囲で変動しうる。ステント上の生体吸収性コーティングの吸収時間は少なくとも約1ヶ月であってもよい。ステント上の生体吸収性コーティングの吸収時間は約12ヶ月以下であってもよい。ステント上の生体吸収性コーティングの吸収時間は約6ヶ月以下であってもよい。生体吸収性コーティングの吸収時間は、ステントから薬剤が完全に溶出するのにかかる時間以下となるように設計されてもよい。生体吸収性コーティングの吸収時間は、用具から薬剤が完全に溶出するのにかかる時間より長く設計されてもよい。ステント上の薬剤コーティングは、該薬剤の100%が生体吸収性又は管腔コーティングから約12ヶ月未満で溶出するように設計されてもよい。ステント上の薬剤コーティングは、該薬剤の100%未満が生体吸収性又は管腔コーティングから約60日以内に溶出するように設計されてもよい。ステント上の薬剤コーティングは、該薬剤の100%未満が生体吸収性又は管腔コーティングから約30日以内に溶出するように設計されてもよい。ステント上の薬剤コーティングは、該薬剤の約80%未満が生体吸収性又は管腔コーティングから約30日以内に溶出するように設計されてもよい。生体吸収性コーティングはステント上の管腔表面に適用されてもよい。生体吸収性コーティングはステント上の反管腔表面に適用されてもよい。
本発明の1つの限定されない目的は、手技の成功率が向上した医療用具の提供である。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない目的は、長期間にわたる全身性の積極的な抗血小板および/または抗凝固療法を必要とせずに、哺乳動物の血管系に設置されうる医療用具と、そのような用具を使用する方法の提供である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない目的は、医療用具が身体通路内に挿入された後の血栓症の発生を抑制または予防するステントの形態の医療用具の提供である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない目的は、少なくとも部分的に1つ以上の化学物質で形成される、1つ以上の化学物質を含む、および/または1つ以上の化学物質でコーティングされる医療用具の提供である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない目的は、1つ以上の化学物質の局所放出によって血栓症を抑制または予防する医療用具と、そのような用具を使用する方法の提供である。
本発明の別のおよび/または代わりの限定されない目的は、1つ以上の化学物質を制御可能に放出する医療用具の提供である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない目的は、医療用具が身体通路内に挿入された後のステント内再狭窄、血管狭窄、および/または再狭窄の発生を抑制または予防する医療用具の提供である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない目的は、1つ以上の表面構造および/またはミクロ構造を含む医療用具の提供である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない目的は、1つ以上の化学物質および/またはポリマーを含む、および/または1つ以上の化学物質および/またはポリマーでコーティングされる、1つ以上の内部構造、ミクロ構造、および/または表面構造を含む医療用具の提供である。
本発明のさらに別のおよび/または代わりの限定されない目的は、1つ以上の表面構造、ミクロ構造、および/または内部構造と、そのような構造を少なくとも部分的に被覆するおよび/または保護する保護コーティングとを含む医療用具の提供である。
本発明のさらなるおよび/または代わりの限定されない目的は、医療用具上または医療用具上中にない1つ以上の化学物質と併用して使用されうる医療用具の提供である。
これらの利点およびその他の利点は、添付の図面とともにこの説明を理解し、従うことで当業者に明らかになるであろう。