JP5457223B2 - 穴開け種まき兼用装置 - Google Patents
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また、この発明は上記装置等を用いた種まき方法に関する。
そのため、まず穴開け装置を用いてマルチシートに種まき用の穴を開けておき(特許文献1参照)、ついで種まき装置を用いてこの穴から畝に種子をまくことが一般的におこなわれている。
このように穴径を大きくすればするほど、それだけ畝の露出部分が大きくなり、その部分から雑草が多く繁殖して野菜の生育が阻害されてしまう。
このように種子が穴の縁部に片寄っていると、マルチシートが邪魔になって野菜の生育が阻害されてしまう。
さらに詳細には、前記種まきパイプは、上端部から投入された種子を内部通路を経て下端部の外周に設けられた排出口から排出可能な芯パイプと、前記芯パイプと独立に昇降動可能であり芯パイプとの相対的な下降位置で前記芯パイプの排出口を閉塞し芯パイプとの相対的な上昇位置で前記芯パイプの排出口を開放する鞘パイプと、を有する構成としたのである。
この状態から、環状カッタと種まきパイプの鞘パイプのみを上昇させると、下降位置にとどまる芯パイプの排出口が土中において鞘パイプによる閉塞から開放され、芯パイプ内に投入された種子が排出口を経て土中へとまかれる。
車両を走行させてフレームを畝に沿って移動させながら、所定の間隔をおいてこの一連の動作をおこなっていくと、マルチシートの穴開けおよびその穴への種まき作業の自動化が図られる。
このようにすると、土中では排出口は閉塞されたままであるから、排出口から芯パイプ内に土等が侵入するのを簡単に防止できる。
なお、環状カッタとしては、ポンチカッタ、熱カッタ、およびレーザーカッタのいずれを採用することもできる。
したがって、環状カッタの径をたとえば20mm〜30mmのように小さいものとして、マルチシートの穴を従来の45mm〜50mmよりもはるかに小さくすることができる。その結果、穴から露出する畝の面積が小さくなって、雑草の繁殖を抑えることが可能となる。
さらにこの穴開け種まき兼用装置は、前記鞘パイプを前記芯パイプとの相対的な下降位置に付勢するばねを備えるものとすると、種まき後に芯パイプの排出口は鞘パイプによりすばやく閉塞されるため、排出口から芯パイプ内に土や塵埃が侵入するのを抑制できる。
図示のように、フレーム10は、水平部11と、水平部11の両端から起立する起立部12と、を有して側面視コの字型の外観をなしている。その起立部12が図示省略のトラクタの後部に固定されることで、フレーム10は畝に沿って移動可能となっている。
環状カッタ20および種まきパイプ30は、平面視千鳥状に配置されており、たとえば9つがフレーム10に固定されている。
図2および図3のように、各カッタ20の下端部は波刃からなる刃部21になって、カッタ20の下降位置においてマルチシートMを切断して、円形の穴Hを開けられるようになっている。
カッタ20の外径は、たとえば20mm〜30mmであり、刃部21の厚みは、たとえば0.2mm〜1.5mmである。
芯パイプ31の外径はたとえば約7.5mmであり、鞘パイプ32の内径はたとえば約8mm、外径はたとえば約12mmとなっている。
また、芯パイプ31は、図2のように、その上端部が漏斗状に広がって種子Sを投入するホッパ31aとなっており、下端部の外周面には排出口31bを有している。したがって、パイプ内部の空洞が通路31cとなって種子Sはホッパ31aから下端部に案内され(落下して)、排出口31bから排出されるようになっている。
また、トラクタには、公知の薬液散布機構も搭載されており(図示省略)、そのノズルが芯パイプ31のホッパ31aの上方に臨んでいる。種子供給機構から芯パイプ31のホッパ31aに供給された種子Sは、この薬液散布機構のノズルからの薬液噴射により殺菌等される。それとともに、その薬液の噴射力により芯パイプ31の内部通路31cを通じて速やかに下端部へと送られるようになっている。
さらに、芯パイプ31の内部通路31cの底31eは、排出口31bに向けて下り勾配に傾斜しており、その傾斜方向の左右方向(両側方向)にかけては、中央が高く両側が低い中高形状、すなわち中央から両側に向けて下り勾配となっている。
そして、鞘パイプ32が芯パイプ31から見て相対的に上昇位置にあるときには、芯パイプ31の排出口31bは開放されるようになっている。また、鞘パイプ32が芯パイプ31から見て相対的に下降位置にあるときには、芯パイプ31の排出口31bは鞘パイプ32により閉塞されているようになっている。
トラクタを走行させながら、マルチシートで覆われた畝上の所定位置でフレーム10から、まず図4(a)のように、カッタ20、芯パイプ31、鞘パイプ32のすべてを同時に下降させる。
カッタ20の下降により、図4(b)のようにマルチシートMが切断され、外径が20mm〜30mmのカッタ20とほぼ同径の円形の小さな穴Hが形成される。
ここで芯パイプ31と鞘パイプ32は同時に同速度で下降しているため、芯パイプ31の排出口31bは鞘パイプ32により閉塞されたままである。
すると、芯パイプ31だけが下降位置にとどまることになり、鞘パイプ32の上昇により、芯パイプ31の排出口31bが畝Rの土中において開放される。
また、カッタ20の切断でできたマルチシートMの抜きカスDが、鞘パイプ32の膨出部32aとカッタ20内周に挟み込まれてこれらとともに上昇して畝上から取り除かれ、回収される。
ここで、芯パイプ31の内部通路31cの底は、排出口31bに向けて傾斜しているため、芯パイプ31に供給された種子Sは、この傾斜に沿って排出口31bからスムーズに畝Rの土中に排出される。
なおこのとき、芯パイプ31の内部通路の底31eはその傾斜方向の左右方向に中高となっているため、種子Sは左右いずれか一方に片寄った状態に位置決めされた上で、排出口31bから排出されることになる。
このようにして、種子S,マルチシートMの穴Hのほぼ中央部分に自動的に種まきされる。なお種まきの後に、トラクタに付属するローラなどで、畝Rの上を押えて種子Sが定着しやすいようにしてもよい。
最後に、図4(d)のように、芯パイプ31も上昇させると、種まき作業が完了し、最初の図(a)の状態に戻る。
この兼用装置1を用いて開けたマルチシートMの穴Hは、上述のように小さいため畝に雑草が繁殖し難くなっている。
またこの兼用装置1によりまかれた種子Sは、上述のように穴Hのほぼ中央に位置するため、穴縁のマルチシートMが風でばたついたりしても、野菜生育の妨げとなることがない。
まず、芯パイプ31と鞘パイプ32を同時に下降させて畝Rに突き刺し、次いで両パイプ31、32を同時に上昇させて畝Rから抜く。ついで、鞘パイプ32だけを上昇させて空中において芯パイプ31の排出口31bを開放させ、両パイプ31、32の突き刺しにより畝Rに出来た凹部に排出口31bから種子Sを落下させる。
このようにすると、土中において排出口31bは閉塞されたままであるから、排出口31bから芯パイプ31内に土や塵埃が侵入するのを防止することができる。
この兼用装置1では、芯パイプ31の尖鋭部31dが片刃となっており、芯パイプ31の底31eは排出口31bに向けて下り勾配に傾斜しているが、左右方向に中高とはならず平坦(水平)になっている。
この実施形態の兼用装置1においても、第1実施形態と同様にマルチシートMの穴Hが小さいため畝Rに雑草が繁殖し難く、また種子Sが穴Hのほぼ中央にまかれるためマルチシートMが野菜生育の妨げとなることもない。
この兼用装置1では、芯パイプ31の尖鋭部31dが円錐形となっている。
このように尖鋭部31dが円錐形であるため、芯パイプ31が畝Rの土中にスムーズに突き刺さるようになっている。
芯パイプ31の排出口31bはパイプ長手方向に細長く形成されており、底31eは排出口31bに向けてなだらかに下り勾配に傾斜している。また、上記実施形態と同様にパイプ32は膨出部32aを有している。
この兼用装置1では、芯パイプ31の尖鋭部31dが円錐形となっており、またその排出口31bはパイプ長手方向に細長く形成され、下部が尖鋭部31dにまで延びている。底31eは排出口に向けてなだらかに下り勾配に傾斜している。
一方、鞘パイプ32の下端部も膨出して略円錐形(切頭円錐形)に形成されている。さらに鞘パイプ32には、その下端部から下方に延出する蓋片32bが設けられている。
ここで鞘パイプ32の芯パイプ31との相対的な下降位置においては、芯パイプ31の尖鋭部31d上に設けられた排出口31bを蓋片32bが閉塞し、相対的な上昇位置においては、排出口31bを蓋片32bが開放するようになっている。
さらに、芯パイプ31の上端側にはカラー31fがねじ止めされており、このカラー31fと鞘パイプ32の上端との間には、芯パイプ31に外嵌するばね33が装填されている。
また、ばね33により鞘パイプ32は芯パイプ31の排出口31bを閉塞する向きに付勢されているため、畝Rの土中で排出口31bを開いて種まきをおこなう場合でも、種まき作業を終えると速やかに排出口31bを閉塞することが可能である。したがって、芯パイプ31内に土が侵入するのを抑制できる。
10 フレーム
11 水平部
12 起立部
20 カッタ
21 刃部
30 種まきパイプ
31 芯パイプ
31a ホッパ
31b 排出口
31c 内部通路
31d 尖鋭部
31e 内部通路の底
31f カラー
32 鞘パイプ
32a 膨出部
32b 蓋片
33 ばね
R 畑の畝
M マルチシート
H マルチシートの穴
D マルチシートの抜きカス
S 種子
Claims (7)
- 畑の畝Rを覆うマルチシートMに対する穴開けと、その穴Hへの種まきとを行う穴開け種まき兼用装置1であって、
車両に取り付けられて畝Rに沿って移動可能なフレーム10と、
前記フレーム10に昇降動可能に固定され、その下降位置でマルチシートMに穴Hを開けることが可能な環状カッタ20と、
前記フレーム10に前記環状カッタ20の内側に同心状になるように昇降動可能に固定され、その下降位置で畝Rの土中に下端部を差込可能な種まきパイプ30と、を備え、
前記種まきパイプ30は、
上端部から投入された種子Sを内部通路31cを経て下端部の外周に設けられた排出口31bから排出可能な芯パイプ31と、
前記芯パイプ31と独立に昇降動可能であり、その芯パイプ31との相対的な下降位置で前記芯パイプ31の排出口31bを閉塞し、その芯パイプ31との相対的な上昇位置で前記芯パイプ31の排出口31bを開放する鞘パイプ32と、を有する穴開け種まき兼用装置。 - 前記芯パイプ31の内部通路の底31eが、前記排出口31bに向けて下り勾配に傾斜し、かつその傾斜方向の左右方向に中高となる請求項1に記載の穴開け種まき兼用装置。
- 前記鞘パイプ32が、前記環状カッタ20のマルチシートMの穴開けにより出る抜きカスDをカッタ20の内周と挟み込んで保持可能な膨出部32aを有する請求項1または2に記載の穴開け種まき兼用装置。
- 前記芯パイプ31は、その下端に円錐形の尖鋭部31dを有する請求項1から3のいずれかに記載の穴開け種まき兼用装置。
- 前記鞘パイプ32を、前記芯パイプ31との相対的な下降位置に付勢するばね33をさらに備える請求項1から4のいずれかに記載の穴開け種まき兼用装置。
- 前記カッタ20の環の径が、20mm〜30mmである請求項1から5のいずれかに記載の穴開け種まき兼用装置。
- 畑の畝Rに種まきをおこなう方法であって、
上端部から投入された種子を内部通路31cを経て下端部の外周に設けられた排出口31bから排出可能な芯パイプ31と、前記芯パイプ31と独立に昇降動可能でありその芯パイプ31との相対的な下降位置で前記芯パイプ31の排出口31bを閉塞しその芯パイプ31との相対的な上昇位置で前記芯パイプ31の排出口31bを開放する鞘パイプ32と、を有する種まきパイプ30を準備するステップと、
前記芯パイプ31および鞘パイプ32を前記排出口31bが閉塞されたまま同時に下降させて前記畝Rに差し込んで凹部を形成するステップと、
前記芯パイプ31および鞘パイプ32を同時に上昇させて前記畝Rの凹部から抜き出すステップと、
前記鞘パイプ32のみを上昇させて空中で前記芯パイプ31bの排出口31bを開放し、排出された種子Sを前記畝Rの凹部に向けて落下させるステップと、を含む種まき方法。
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