JP5456265B2 - 重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、重合体の製造方法に関する。
レジスト用重合体としては、極性基を有する単量体に基づく構成単位および酸脱離性基を有する単量体に基づく構成単位を有する重合体が知られている。
該レジスト用重合体には、該重合体を含むレジスト組成物からなるレジスト膜に要求される性能(現像液への溶解性、感度、解像度等)の点から、質量平均分子量(Mw)が低く、分子量分子量分布(Mw/Mn)が狭いことが要求される。
ラジカル重合で分子量分布の狭い重合体を製造する方法としては、マイクロリアクタを用いた下記の方法が提案されている。
単量体および重合開始剤を、内径が2mm以下の反応管に導入し、該反応管において重合反応を行う重合体の製造方法(特許文献1)。
具体的には、メチルメタクリレート、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと記す)および溶媒を、内径が0.5mmの反応管に導入し、100℃にて重合反応を行い、ポリメチルメタクリレートの溶液を得ている。
しかし、この方法では、レジスト用途に適した分子量および分子量分布を有する重合体を、連続的に収率良く得ることが困難であった。
国際公開第2005/010055号パンフレット
本発明は、極性基を有する単量体に基づく構成単位および酸脱離性基を有する単量体に基づく構成単位を有する重合体の製造方法であって、質量平均分子量が低く、分子量分布が狭い重合体を、高い収率で得ることができる製造方法を提供する。
本発明の重合体の製造方法は、流路を有する反応器を用い、前記流路の始端から単量体成分、重合開始剤および溶媒を連続的に供給し、前記流路内にて単量体成分をラジカル重合させて重合体とし、前記流路の終端から重合体溶液を排出する、重合体の製造方法において、前記単量体成分が、極性基を有する単量体および酸脱離性基を有する単量体を含み、前記重合開始剤の5分間半減期温度が、60〜120℃であり、前記流路が、前記5分間半減期温度以上の温度とされた領域を有し、前記領域における、下記式から求めた滞在時間が、5〜60分であり、前記領域における流路の断面積は、1.0×10 −4 〜1.0cm であることを特徴とする。
滞在時間(分)=前記領域における流路の容積(mL)/前記流路への単量体成分、重合開始剤および溶媒の供給速度(mL/分)
本発明の重合体の製造方法によれば、極性基を有する単量体に基づく構成単位および酸脱離性基を有する単量体に基づく構成単位を有する重合体であっても、質量平均分子量が低く、分子量分布が狭い重合体を、高い収率で得ることができる。
本発明の重合体の製造方法は、流路を有する反応器を用い、流路の始端から単量体成分、重合開始剤および溶媒を連続的に供給し、流路内にて単量体成分をラジカル重合させて重合体とし、流路の終端から重合体溶液を排出する、重合体の製造方法において、単量体成分が特定の単量体を含み、重合開始剤の5分間半減期温度が、特定の温度範囲であり、重合開始剤の5分間半減期温度以上の温度とされた領域で、特定の時間範囲で重合反応を行うことを特徴とする方法である。
(反応器)
図1は、本発明の製造方法にて用いられる反応器の一例を示す概略構成図である。反応器1は、流路2と;流路2の途中を加熱する加熱手段3と;加熱手段3よりも下流側で流路2の途中を冷却する冷却手段4と;流路2の始端に接続された供給手段5と;流路2の終端に設置された回収容器6とを有する。
流路2は、始端から単量体成分、重合開始剤および溶媒が供給され、終端から重合体溶液が排出されるものである。
流路2の形態としては、管、溝等が挙げられる。管の断面形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形等が挙げられ、円形が好ましい。管の断面の寸法(円形の場合は内径)は、後述の断面積の範囲を満足するように適宜決定すればよい。溝の幅および深さは、後述の断面積の範囲を満足するように適宜決定すればよい。
なお、流路2の本数は、1本でもよく、複数本であってもよい。また、複数の流路2を途中で合流させてもよく、1本の流路2を途中で複数に分岐してもよい。
流路2は、後述の重合開始剤の5分間半減期温度以上の温度とされた領域(R)を有する。該領域(R)は、単量体成分の重合反応が行われる反応領域である。
領域(R)における流路2の長さは、後述する滞在時間等に応じて適宜決定すればよく、通常、0.1〜100mである。
領域(R)における流路2の1本あたりの断面積は、1.0×10−4〜1.0cmが好ましく、5.0×10−4〜0.25cmがより好ましく、1.0×10−3〜4.0×10−2cmが特に好ましい。該断面積が1.0cmを超えると、領域(R)内に温度分布が生じ、分子量分布の狭い重合体が得られない。該断面積が1.0×10−4cm未満では、流路の詰まりなど圧力損失が増大し、原料の送液に不具合が生じる。
流路2は、領域(R)よりも下流側に、重合反応を停止させるための冷却領域である、領域(C)を有する。
領域(C)における流路2の長さは、重合体溶液を十分に冷却できる長さであればよく、通常、0.1〜10mである。
領域(C)における流路2の断面積は、領域(R)における流路の断面積と同程度であればよい。
流路2は、供給手段5が複数の場合、各供給手段から延びる複数の流路2の合流地点よりも下流側、かつ領域(R)よりも上流側に、各供給手段から供給された各液を混合する混合領域である、領域(M)を有する。
領域(M)における流路2の長さは、各液を十分に混合できる長さであればよく、通常、0.1〜10mである。
領域(M)における流路2の断面積は、領域(R)における流路2の断面積と同程度であればよい。
また、供給手段が2つ以上の場合、各供給手段から延びる複数の流路2の合流地点に、ミキサ7を設けてもよい。
加熱手段3は、領域(R)の温度を所定の温度に加熱するものである。
加熱手段3としては、オイルバス、リボンヒーター、マントルヒーター等が挙げられる。
加熱手段3は、領域(R)の温度を所定の温度に保持するための温調手段を有することが好ましい。温調手段としては、温度計と、ヒータと、温度計からの温度情報に基づいてヒータの出力を調整する制御装置とを有するものが挙げられる。
冷却手段4は、領域(C)の温度を所定の温度まで冷却するものである。
冷却手段4としては、氷浴、水浴、循環式冷却器等が挙げられる。
供給手段5は、流路2の始端に単量体成分、重合開始剤および溶媒を供給するものである。
供給手段5としては、シリンジポンプ、プランジャーポンプ、チューブポンプ、ダイアフラムポンプ等が挙げられる。
供給手段5は、1つの供給手段からなるものであってもよく、複数の供給手段からなるものであってもよい。供給手段5内での重合反応を抑える点から、溶媒中に単量体成分を含む液または溶媒を含まず単量体成分を含む液を供給する第1の供給手段5aと、溶媒中に重合開始剤を含む液を供給する第2の供給手段5bとからなるものが好ましい。
回収容器6は、流路2の終端から排出される、重合体溶液を回収するものである。
回収容器は、冷却手段によって冷却されていることが好ましい。
(製造条件)
本発明では、重合開始剤が効率よく分解しラジカルを発生し、かつ短時間で単量体成分を重合させることが必要である。このためには、5分間半減期温度が60〜120℃である重合開始剤を用いて、5分間半減期温度以上の温度に保持された領域(R)で、滞在時間が5〜60分で重合することが必要である。
領域(R)の温度は、重合開始剤の5分間半減期温度以上であり、5分間半減期温度+10℃以上が好ましい。領域(R)の温度は、140℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。領域(R)の温度が重合開始剤の5分間半減期温度以上であれば、分子量分布が狭い重合体を、高い収率で得ることができる。また、領域(R)の温度が140℃以下であれば、重合体の熱分解が抑えられるため、分子量分布が十分に狭い重合体を得やすい。
領域(R)における、下記式から求めた滞在時間(すなわち反応時間)は、5〜60分であることが必要である。
該滞在時間が5分以上であれば、重合開始剤が効率よく分解し十分なラジカルを発生し質量平均分子量(Mw)が低く、分子量分布分子量分布(Mw/Mn)が狭い重合体が得られる。該滞在時間が60分以内であれば、重合時間が短縮でき生産性が向上する。
滞在時間(分)=領域(R)における流路2の容積(mL)/流路2への単量体成分、重合開始剤および溶媒の供給速度(mL/分)。
式中、単量体成分、重合開始剤および溶媒の供給速度は、供給手段5が1つの場合は、溶媒中に重合開始剤および溶媒を含む液の供給速度であり、供給手段5が2つの場合は、溶媒中に単量体成分を含む液または溶媒を含まず単量体成分を含む液の供給速度と、溶媒中に重合開始剤を含む液の供給速度との合計である。
領域(C)の温度は、10℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。領域(C)の温度は、溶媒の凝固点以上が好ましい。
領域(C)における、重合体溶液の滞在時間は、重合体溶液を十分に冷却できる時間であればよく、通常、0.5〜10分である。
領域(M)の温度は、0〜30℃が好ましく、5〜25℃がより好ましい。
領域(M)における各液の滞在時間は、各液を十分に混合できる時間であればよく、通常、1〜20分である。
流路2への単量体成分、重合開始剤および溶媒の供給速度は、8×10−6〜1000mL/分が好ましく、3×10−5〜1.0mL/分がより好ましい。
(単量体成分)
極性基を有する単量体としては、親水性基を有する単量体、ラクトン骨格を有する単量体が挙げられる。
親水性基を有する単量体:
親水性基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、メトキシ基、アミノ基等が挙げられる。
親水性基を有する単量体としては、親水性基を有するアクリル系単量体が好ましい。親水性基を有するアクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸;アルコール残基が、親水性基を有するアルキル基である(メタ)アクリレート;アルコール残基が、親水性基を有する環式炭化水素基である(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
前記アルキル基、環式炭化水素基は、さらに置換基(アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等)を有していてもよい。
環式炭化水素基としては、シクロヘキシル、1−イソボルニル、アダマンチル、トリシクロデカニル、ジシクロペンチル、2−メチル−2−アダマンチル、2−エチル−2−アダマンチル等が挙げられる。
親水性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシアダマンチルメタクリレート等が挙げられる。
親水性基を有する単量体としては、重合体の基板に対する密着性の点から、3−ヒドロキシアダマンチル−1−メタクリレート(1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、以下、HAdMAと記す)が好ましい。
親水性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
親水性基を有する単量体は、レジストパターン矩形性の点から、単量体成分(100モル%)中、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
ラクトン骨格を有する単量体:
ラクトン骨格を有する単量体としては、ラクトン骨格を有するアクリル系単量体が好ましい。ラクトン骨格を有するアクリル系単量としては、重合体の基板に対する密着性の点から、置換あるいは無置換のδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリレート、または置換あるいは無置換のγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリレートが好ましく、無置換のγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−メタクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、パントイルラクトンメタクリレート、メタクリロイルオキシこはく酸無水物等が挙げられる。
ラクトン骨格を有する単量体としては、重合体の基板に対する密着性の点から、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン(以下、GBLMAと記す)が好ましい。
ラクトン骨格を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラクトン骨格を有する単量体は、重合体の基板に対する密着性の点から、単量体成分(100モル%)中、30モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましい。また、感度および解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
酸脱離性基を有する単量体:
酸脱離性基は、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が重合体の主鎖から脱離する基である。
酸脱離性基としては、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有する酸脱離性基が好ましい。
酸脱離性基を有する単量体としては、酸脱離性基を有するアクリル系単量体が好ましい。酸脱離性基を有するアクリル系単量体としては、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、(メタ)アクリロイルオキシ基との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリレート;炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、該脂環式炭化水素基に−COOR基(Rは、置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す)が直接または連結基を介して結合している(メタ)アクリレート等が挙げられる。脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリロイルオキシ基と直接結合していてもよく、連結基(アルキレン基等)を介して結合していてもよい。
酸脱離性基を有する単量体の具体例としては、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(以下、MAdMAと記す)、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート等が挙げられる。
酸脱離性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸脱離性基を有する単量体は、感度および解像度の点から、単量体成分(100モル%)中、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、重合体の基板に対する密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
単量体成分は、必要に応じて、極性基を有する単量体および酸脱離性基を有する単量体以外の、他の単量体を含んでいてもよい。
単量体成分の割合は、単量体成分、重合開始剤および溶媒の合計100質量%のうち、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。単量体成分の割合が5質量%以上であれば、領域(R)内の温度分布が均一になり、分子量分布がより狭い重合体を生成することができる。単量体成分の割合が50質量%以下であれば、重合体を含む液の粘度が高くなりすぎず、流路2の詰まりが抑えられる。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、5分間半減期温度が60〜120℃のものを用いる。5分間半減期温度が60℃以上であれば、重合開始剤が効率よく分解しラジカルを発生し、より反応速度を速め、分子量分布がより狭い重合体を生成することができる。5分間半減期温度が120℃以下であれば、領域(R)の温度が低く抑えられ、重合体の分解が発生しない。
5分間半減期温度は、重合開始剤の分解率が5分で50%となる温度である。5分間半減期温度は、重合開始剤の10時間半減期温度と活性化エネルギーをもとに反応速度定数、Arrheniusの式から求めることができる。
5分間半減期温度が60〜120℃の重合開始剤としては、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(5分間半減期温度:107℃、以下、V−601と記す)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(5分間半減期温度:90℃、以下、V−65と記す)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(5分間半減期温度:66℃、以下、V−70と記す)、AIBN(5分間半減期温度:104℃)等が挙げられる。
重合開始剤の量は、単量体成分の100モル%に対して、0.1〜30モル%が好ましく、1〜25モル%がより好ましい。
(溶媒)
溶媒としては、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アミド類(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素(ヘキサン等)、脂環式炭化水素(シクロヘキサン等)等が挙げられる。
(他の原料)
本発明においては、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1−オクタンチオール、1−デカンチオール、1−テトラデカンチオール、シクロヘキサンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−ヒドロキシエチルメルカプタン等が挙げられる。
(後処理)
得られた重合体溶液を、必要に応じて、良溶媒で適当な溶液粘度に希釈した後、多量の貧溶媒(メタノール、水、ヘキサン、ヘプタン等)中に滴下し、重合体を析出させることが好ましい。該工程は、再沈殿と呼ばれ、重合体溶液中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等を取り除くために非常に有効である。これら未反応物は、そのまま残存しているとレジスト膜の性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ取り除くことが好ましい。再沈殿工程は、場合により不要となることもある。
その後、析出物を濾別し、十分に乾燥して重合体を得る。また、濾別した後、乾燥せずに湿粉のまま用いてもよい。
また、重合体溶液をそのままレジスト組成物として用いてもよく、重合体溶液を適当な溶媒で希釈してレジスト組成物として用いてもよく、重合体溶液を濃縮してレジスト組成物として用いてもよい。その際、保存安定剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
重合体の質量平均分子量(Mw)は、溶剤に対する溶解性が向上し、レジストとしての感度や解像度は向上する点で、1000〜4000が好ましい。
重合体の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(以下、GPCと記す)で測定される、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、レジストとしての感度や解像度が向上する点で、1.0〜1.8が好ましい。
重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、GPCで測定される、ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から求める。
重合体の収率は、60質量%以上が好ましい。
重合体の収率は、液体クロマトグラフ(以下、LCと記す。)によって、重合体溶液に含まれる未反応の単量体成分の量を測定し、計算により求める。
以上説明した本発明の重合体の製造方法にあっては、極性基を有する単量体および酸脱離性基を有する単量体を含む単量体成分を重合させるに際して、重合開始剤として、5分間半減期温度が60〜120℃のものを用い、かつ単量体成分および重合開始剤を、重合開始剤の5分間半減期温度以上の温度とされた領域(R)を有する流路(管、溝等)に連続的に供給することによって、該領域(R)にて重合開始剤の存在下に単量体成分を5〜60分の滞在時間で重合させ、かつ該重合によって得られた重合体を連続的に排出しているため、分子量分布が狭い重合体を、比較的短い反応時間であっても高い収率で得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(質量平均分子量、分子量分布)
溶媒に重合体を含む液について、東ソー社製のGPCを用いて、重合体の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。該測定は、分離カラムとして昭和電工社製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列にしたものを用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(流量:1.0mL/分)を用い、検出器として示差屈折計を用い、標準ポリマーとしてポリスチレンを用い、測定温度40℃、注入量0.1mLの条件で行った。分子量分布は、Mw/Mnとした。
(収率)
重合体の収率は、LCによって、重合体溶液に含まれる未反応の単量体成分の量を測定し、計算により求めた。
(反応器)
反応器としては、図2に示す反応器を用いた。反応器10は、溶媒中に単量体成分を含む液が充填された第1のシリンジポンプ12(供給手段)と;溶媒中に重合開始剤を含む液が充填された第2のシリンジポンプ14(供給手段)と;第1のシリンジポンプ12から延びる第1の供給管16(流路)と;第2のシリンジポンプ14から延びる第2の供給管18(流路)と;第1の供給管16と第2の供給管18との合流地点に設けられたT字管20(流路)と;T字管20から延びる反応管22(流路)と;反応管22の途中を加熱するオイルバス24(加熱手段)と;オイルバス24よりも下流側で反応管22の途中を冷却する第1の氷浴26(冷却手段)と;反応管22から排出される重合体溶液を回収するメスシリンダ28(回収容器)と;メスシリンダ28を冷却する第2の氷浴30(冷却手段)とを有する。
反応管22(流路)は、T字管20で合流した単量体成分を含む液と重合開始剤を含む液とを混合する領域(M)と;領域(M)よりも下流側にあり、オイルバス24で加熱されることによって単量体成分の重合反応を行う領域(R)(すなわち、オイルバス24に浸っている領域)と;領域(R)よりも下流側にあり、第1の氷浴26で冷却されることによって重合反応を停止させる領域(C)(すなわち、第1の氷浴26に浸っている領域)とを有する。
反応管22は、領域(M)および領域(R)において螺旋状に曲げられている。
第1の供給管16、第2の供給管18、T字管20および反応管22の材料は、ステンレス鋼(SUS316)である。
第1の供給管16および第2の供給管18の長さ、内径は、下記の通りである。また、T字管20内径は、下記の通りである。また、各領域における反応管22の長さ、および領域(R)における反応管22の中空部の断面積、容積は、下記の通りである。
各供給管:長さ0.5m、内径0.5mm、
T字管:内径、0.5mm、
領域(M):長さ5m、内径0.5mm、
領域(R):長さ10m、内径0.5mm、中空部の断面積0.0020cm、容積2.0mL、
領域(C):長さ0.5m、内径1.0mm。
オイルバス24は、温度調節器32(温調手段)を有する。温度調節器32は、温度計34と、ヒータ36とから構成され、温度計34からの温度情報に基づいてヒータ36の出力を調整する。
〔実施例1〕
GBLMAの5.9g、MAdMAの8.1g、HAdMAの4.1g、乳酸エチルの13.7gを混合し、撹拌溶解し、窒素バブリングを5分以上実施し、溶媒中に単量体成分を含む液を調製した。
乳酸エチルの28.6gに、V−65(5分間半減期温度:90℃)の2.4gを溶解し、窒素バブリングを5分以上実施し、溶媒中に重合開始剤を含む液を調製した。
単量体成分の割合は、単量体成分、重合開始剤および溶媒の合計100質量%のうち、30質量%であった。
溶媒中に単量体成分を含む液を第1のシリンジポンプ12のマイクロシリンジに窒素雰囲気下で充填した。
溶媒中に重合開始剤を含む液を第2のシリンジポンプ14のマイクロシリンジに窒素雰囲気下で充填した。
オイルバス24の温度を100℃に加熱し、領域(R)の温度を100℃に保持した。
第1のシリンジポンプ12を作動させ、溶媒中に単量体成分を含む液を0.033mL/分の供給速度で第1の供給管16に連続的に供給した。
同時に、第2のシリンジポンプ14を作動させ、溶媒中に重合開始剤を含む液を0.033mL/分の供給速度で第2の供給管18に連続的に供給した。
領域(R)における滞在時間は、30分であった。
各液の供給開始から90分後に、メスシリンダ28を交換し、重合体溶液のサンプリングを始め、滞在時間と同じ時間(すなわち30分間)で2.05gの液を回収した。
回収した液について、GPC測定およびLC測定を行い、質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および収率を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例2〜5、10、比較例1〜4〕
領域(R)の温度、溶媒中に単量体成分を含む液の供給速度、溶媒中に重合開始剤を含む液の供給速度を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして重合体の製造を行った。なお、実施例3、6の重合体溶液のサンプリングは各液の供給開始から180分後に、比較例4の重合体溶液のサンプリングは各液の供給開始から20分後に実施した。
領域(R)における温度、滞在時間、サンプルの回収量、質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および収率を表1に示す。
〔実施例6〜9、11、比較例5〜8〕
溶媒中に重合開始剤を含む液の調製方法を下記のように変更した。
乳酸エチルの28.7gに、V−601(5分間半減期温度:107℃)の2.3gを溶解し、窒素バブリングを5分以上実施し、溶媒中に重合開始剤を含む液を調製した。なお、単量体成分、重合開始剤および溶媒の合計に対する単量体成分の割合は、実施例1と同じである。
さらに、領域(R)の温度、溶媒中に単量体成分を含む液の供給速度、溶媒中に重合開始剤を含む液の供給速度を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして重合体の製造を行った。なお、比較例8の重合体溶液のサンプリングは各液の供給開始から20分後に実施した。
領域(R)における温度、滞在時間、サンプルの回収量、質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および収率を表1に示す。
〔比較例9〕
溶媒中に重合開始剤を含む液の調製方法を下記のように変更した。
乳酸エチルの30.3gに、AIBN(5分間半減期温度:104℃)の0.7gを溶解し、窒素バブリングを5分以上実施し、溶媒中に重合開始剤を含む液を調製した。なお、単量体成分、重合開始剤および溶媒の合計に対する単量体成分の割合は、実施例1と同じである。
領域(R)における温度、滞在時間、サンプルの回収量、質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および収率を表1に示す。
Figure 0005456265
実施例1〜9では、分子量分布が狭い重合体を、高い収率で得ることができた。
実施例10では、滞在時間が短いため、収率が若干低かったが、滞在時間が同じで、領域(R)の温度が低い比較例3に比べると、収率はよかった。また、質量平均分子量が低く、分子量分布が狭い重合体を得ることができた。
実施例11では、滞在時間が短いため、収率が若干低かったが、滞在時間が同じで、領域(R)の温度が低い比較例6に比べると、収率はよかった。また、質量平均分子量が低く、分子量分布が狭い重合体を得ることができた。
本発明の製造方法で得られた重合体は、レジスト用重合体として有用である。
本発明の製造方法にて用いられる反応器の一例を示す概略構成図である。 実施例にて用いた反応器を示す図である。
符号の説明
1 反応器
2 流路
10 反応器
16 第1の供給管(流路)
18 第2の供給管(流路)
20 T字管(流路)
22 反応管(流路)

Claims (1)

  1. 流路を有する反応器を用い、前記流路の始端から単量体成分、重合開始剤および溶媒を連続的に供給し、前記流路内にて単量体成分をラジカル重合させて重合体とし、前記流路の終端から重合体溶液を排出する、重合体の製造方法において、
    前記単量体成分が、極性基を有する単量体および酸脱離性基を有する単量体を含み、
    前記重合開始剤の5分間半減期温度が、60〜120℃であり、
    前記流路が、前記5分間半減期温度以上の温度とされた領域を有し、
    前記領域における、下記式から求めた滞在時間が、5〜60分であり、
    前記領域における流路の断面積が、1.0×10 −4 〜1.0cm であ
    ことを特徴とする重合体の製造方法。
    滞在時間(分)=前記領域における流路の容積(mL)/前記流路への単量体成分、重合開始剤および溶媒の供給速度(mL/分)
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