実施例1の平滑化手段として、透明トナーを用いる実施例を示す。図1は、本発明の実施例1のシステム構成を示す。図1において、100は、給紙部21、書き込み光学系24、電子写真プロセスに従ったプロセス工程により感光体ドラムにトナー画像を形成し、記録材に転写する作像部103などを有する画像形成部、110は、所定の定着条件の制御、例えば所定の定着温度になるようにヒータへの通電などを行うドライバ111、定着条件などを記憶する記憶部112などを有する定着条件制御部、120は、画像形成装置全体を制御するメイン制御部、130は、各種の画像処理を実行する画像処理部、140は、各種の入力設定や装置の状態などを表示する機能を有する操作表示部、150は、後述するデータを記憶するメモリ151、表面拡散光やトナー付着量などを算出する算出部152を有する画像特性取得部、30は、定着ローラ31、加圧ローラ32などを有する定着装置、41は、後述する分光測色計、33、34はヒータ、35a、bは定着温度を検知するためのサーミスタである。また、本実施例では、画像形成部100および定着装置30を組み合わせた構成が、トナー像表面の平滑化処理を行う平滑処理部を兼ねる。
図2は、図1に示す画像形成部100、定着装置30、分光測色計41の構成を詳細に示す。図2に示す装置は、電子写真方式のカラー画像形成装置の一例である中間転写体27を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置であるが、リボルバー方式のカラー画像形成装置など他の構成でもよい。
このカラー画像形成装置は、給紙部21、現像色分並置したステーション毎の感光体(22W、22Y、22M、22C、22K)、一次帯電手段としての注入帯電手段(23W、23Y、23M、23C、23K)、トナーカートリッジ(25W、25Y、25M、25C、25K)、現像手段(26W、26Y、26M、26C、26K)、中間転写体27、転写ローラ28、クリーニング手段29、定着装置30、分光測色計41などを備える。
次に、図1、2のカラー画像形成装置の動作について説明する。この動作はメイン制御部120によって統括的に制御される。画像形成部100は、画像処理部130が変換した露光時間に基づいて書込光学系24により露光光を帯電後の感光体ドラムに照射して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成し、この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録材11へ転写し、その記録材11上の多色トナー像を熱および圧力の作用によって定着させる。
図2において、感光体ドラム22W、22Y、22M、22C、22Kは、アルミニウムシリンダの外周に有機光伝導層を塗布して構成し、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光体ドラム22W、22Y、22M、22C、22Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。
一次帯電手段として、ステーション毎に透明(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光体ドラムを帯電させるための5個の帯電器23W、23Y、23M、23C、23Kを備える構成で、各帯電器にはスリーブ23WS、23YS、23MS、23CS、23KSが備えられている。
感光体ドラム22W、22Y、22M、22C、22Kへの露光光は書込光学系24W、24Y、24M、24C、24Kから送られ、感光体ドラム22W、22Y、22M、22C、22Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像が形成されるように構成されている。
現像手段として、前記静電潜像を可視化するために、ステーション毎に透明(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う5個の現像器26W、26Y、26M、26C、26Kを備える構成で、各現像器にはスリーブ26WS、26YS、26MS、26CS、26KSがそれぞれ設けられている。それぞれの現像器は着脱可能に取り付けられている。
中間転写体27は、感光体ドラム22W、22Y、22M、22C、22Kに接触しており、カラー画像形成時に時計周り方向に回転し、感光体ドラム22W、22Y、22M、22C、22Kの回転に伴って回転し、単色トナー像が転写される。その後、中間転写体27に後述する転写ローラ28が接触して記録材11を狭持搬送し、記録材11に中間転写体27上の多色トナー像が転写する。
転写ローラ28は、記録材11上に多色トナー像を転写している間、位置28aで記録材11に当接し、印字処理後は位置28bに離間する。
定着装置30は、記録材11を搬送させながら、転写された多色トナー像を溶融定着させるものであり、図1、2に示すように記録材11を加熱する定着ローラ31と記録材11を定着ローラ31に圧接するための加圧ローラ32、またこれらのローラ表面にはサーミスタ(温度計)35a、bが微圧で接触された状態で配置されている。定着ローラ31と加圧ローラ32は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ33、34が内蔵されている。すなわち、多色トナー像を保持した記録材11は定着ローラと加圧ローラにより搬送されるとともに、熱および圧力を加えられ、トナーが表面に定着される。また、そのときの定着温度はサーミスタ35により逐次モニタされている。サーミスタの個数が2個であるが、装置構成や精度向上などの理由により複数個配置してもよい。このモニタされた温度値は定着条件制御部110にフィードバックされる。
トナー像が定着された後の記録材11は、図示しない排紙ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。クリーニング手段29は、中間転写体27上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体27上に形成された5色のトナー像を記録材11に転写した後の廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。
次に、図1を参照して、画像形成装置における定着条件の制御動作の概要を説明する。この画像形成装置は、画像形成条件、パッチ画像を記憶するメモリや、画像処理を行うICなどを含む、画像処理部130、定着条件を記憶し、また制御する定着条件制御部110、画像形成部100および定着装置30からなる平滑処理部を含んでいる。
前述したように、トナー像の記録材11への転写と定着を行うが、本実施例では、記録材11にパッチ画像(図6(a)を参照)を形成し、転写・定着を行い、この定着後のパッチ画像の分光反射率1を分光測色計41で測定する。続いて、このパッチ画像に重ねるように、透明トナー像(図6(b)を参照)を転写・定着することでパッチ画像の表面を平滑化した後、分光測色計41で分光反射率2を測定する。そして、これら分光反射率1、2を画像特性取得部150に入力し、表面拡散光を算出する。続いて、定着条件制御部110は画像特性取得部150からの情報に従って定着条件の制御を行う。
表面拡散光獲得までの各部の動作を、図2を用いてより詳細に説明する。感光体ドラム22上に作成された各色のパッチ画像は、転写ベルト27を介して記録材11に転写される。そして、定着装置30により加熱定着された後、分光測色計41により分光反射率1が測定される。その後、搬送ローラ35が逆回転することにより、記録材11は転写ローラ28より手前に戻される。続いて、感光体ドラム22W上に、今度は透明トナー像が作成され、転写ベルト27を介して記録材11に転写される。そして、再び記録材11が定着装置30を通過することにより、透明トナー像がパッチ画像上に定着される。その後、分光測色計41により分光反射率2が測定され、測定された分光反射率1、2が、画像特性取得部150に入力され、表面拡散光が算出される。
記録材11は、分光測色計41により分光反射率1が測定された後、定着装置30を逆向きに通過し、このとき、定着装置30から加わる熱や圧力により、パッチ画像の表面が溶融し、表面形状が変化する可能性がある。しかし、このパッチ画像の表面には、透明トナー像が形成され、その表面を平滑化した後、鏡面状態の分光反射率2を測定する。つまり、パッチ画像の表面には透明トナー層が形成されているため、分光反射率2の測定にはパッチ画像のトナー層の厚みのみが関係し、パッチ画像の表面形状は関係がない。従って、記録材11が定着装置30を逆方向に通過する際に、パッチ画像の表面状態が変化しても問題はない。
本実施例では、作成したパッチ画像表面の平滑化処理として、パッチ画像上にさらに透明トナーからなる層を形成している。パッチ画像のCMYKのトナー層の上に、さらに透明トナーを重ねることにより、トナー層の厚みを増し、表面を平滑化するものである。パッチ画像の上に透明トナー像を重ねた状態が、表面拡散光の測定原理を表す図18の(b)に相当する。すなわち、図18において、分光反射率1は201に、分光反射率2は202にそれぞれ相当する。したがって、前述のように、両者の差分をとることにより表面拡散光を算出できる。
表面拡散光を算出する際に、正確には、図18(b)の反射光202(本実施例の分光反射率2)が透明フィルム層(本実施例の透明トナー層)を通過するため、反射率202は透明フィルム層の透過率分を補正する(除算する)必要がある。すなわち、本実施例の分光反射率2を、透明トナー層の透過率で補正する必要がある。上記したように、パッチ画像の上に重ねて形成する透明トナー像は、その付着量が変動する可能性があるが、一般に透明トナーは透過率が高いため、透明トナーの付着量が多少変動しても透明トナー層の透過率はほとんど変化しないので、本実施例では、透明トナーの基準となる付着量における透過率のみをメモリ152に記憶し、それを用いて分光反射率2を補正する。
すなわち、分光反射率2をR、透明トナー層の透過率をT、補正後の分光反射率2をR’とするとき、R’=R/T^(1+√2)である(^はべき乗)。これは、0°方向から入射光がパッチ画像(透明トナー像)に入射して透明トナー層を通過し、パッチ画像内部で反射された後、45°方向に反射された反射光が再び透明トナー層を通過することを表している。
また、パッチ画像の上に透明トナー像を重ねたときの表面状態は、図18(b)に示すように、鏡面状態に近い状態にする必要があるので、透明トナー像を定着する際の定着条件は、パッチ画像の定着条件とは異なる条件とする。すなわち、できる限り鏡面状態に近くなる値を予め求め、その値を記憶部112に記憶しておく。
「鏡面状態に近い値」とは、例えば、図8に示すように、横軸に定着温度を、縦軸に表面拡散光をとったとき、グラフは下に凸の曲線を描く(理由は後述)が、表面拡散光が小さいほど表面は鏡面状態に近くなるので、図8における極小点が、鏡面状態に最も近くなる定着温度となる。従って、実験によって極小点における定着温度を予め求め、その値を記憶部112に記憶しておけばよい。
画像特性取得部150は、記録材に定着された画像からの分光反射率1、2を測定する分光測色計41の測定値を入力し、算出部152は分光反射率1と分光反射率2との差分値を計算し、表面拡散光を算出する。差分を計算した時点では、表面拡散光は分光データであるが、後述するように上限値と比較する都合上、単一の値にするため、パッチ画像のトナーの吸収帯域における値の平均値を計算し、その値を表面拡散光とする。吸収帯域を用いるのは、吸収帯域が透明トナー層の透過率の影響を最も受けにくいからである。
また、画像特性取得部150は、前記入力された(透明トナー層の透過率補正後の)分光反射率2より、パッチ画像のトナー付着量を算出する。トナー付着量を求めるのは、パッチ画像のトナー付着量によって、表面拡散光の適正値が異なるためである(図7を参照)。したがって、前述のように画像特性取得部150において表面拡散光を算出し、同時にパッチ画像のトナー付着量から表面拡散光の目標値(上限値)を取得し、両者を比較することで、表面拡散光が適正であるか否かを判定する。
図3は、トナー付着量と鏡面状態の濃度との関係を示す。平滑化処理後の表面状態が理想的な鏡面状態であれば、図の実線の関係となるが、実際には平滑化処理後もある程度の凹凸が残ってしまうため、図の破線のような関係となる。
画像特性取得部150では、透明トナーによりパッチ画像の表面を平滑化した際の図3の関係を予め測定してメモリ152に記憶しておき、その実測関係を用いて、前記入力された分光反射率2より鏡面状態の濃度を求め、濃度に対応したトナー付着量に変換する方法を用いる。
分光測色計41は、記録材搬送路の定着装置30より下流に、記録材11の画像形成面に向けて配置され、記録材11上に形成された定着後の画像からの分光反射率1、2を検知する。分光測色計41は、カラー画像形成装置内部に配置することにより、定着後の画像を排紙部に排紙する前に、自動的に検知することが可能となる。
図4(a)は、分光測色計41の構成例を示す。分光測色計41は、ハロゲンランプ等の光源51、コリメータレンズなど整形用のレンズ52、スリット53、凹面回折格子等の分光素子54、C−MOSセンサ等の受光素子55、受光データを処理する図示しないICなどにより構成される。
光源51およびレンズ52は、記録材11の面に垂直な直線上に配置され、記録材11に対し垂直に照射する。スリット53および分光素子54は記録材面の垂直方向に対し45°方向に配置されており、測定対象からの反射光の内、45°方向に反射された光がスリット53を通過した後、分光素子54により分光され、受光素子55で受光される。また、ライトトラップは入射方向と反対側に設置されており、記録材11を透過した光を吸収する。なお、本実施例では、0/45°を用いたが、前述のように0/d(SCE)のような積分球を用いても良い。
このように、記録材11上に定着されたパッチ画像に対し、分光測色計41により分光反射率1が測定され、算出部152に送られる。その後、記録材11上のパッチ画像に重ねて、透明トナー像が転写・定着され、定着後の画像に対し、分光測色計41により分光反射率2が測定され、算出部152に送られる。算出部152では、分光反射率1と分光反射率2との差分をとることで、表面拡散光を算出する。そして、その算出結果を定着条件制御部110に送り、定着条件制御部110では、送られたデータに基づき定着条件を制御する。
上記透明トナーとしては、カラートナーの製造に使用される結着樹脂を用いて形成する微粒子が使用される。具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、その他のビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレア系樹脂などの一般トナー用に用いられる公知の樹脂とその重合体が使用可能である。前述のように、透明トナーを定着した際の表面はできるだけ鏡面状態に近いことが望ましいので、透明トナーとしては、カラートナーと同様の材質を用いてもよいが、同じ定着条件でより溶融しやすいような構成にしてもよい。
図5は、実施例1に係る、定着条件の制御動作のフローチャートを示す。定着条件の制御動作は、記録材11上に形成されたパッチ画像を用いて定着条件を制御するものであり、メイン制御部120、定着条件制御部110によって制御される。
まず、パッチ画像を記録材11に転写し、定着する(ステップS1)。続いて、この定着したパッチ画像からの分光反射率1を測定する(ステップS2)。次いで、このパッチ画像上に、透明トナー像を転写・定着し(ステップS3)、分光反射率2を測定する(ステップS4)。そして、分光反射率1、2より、表面拡散光およびパッチ画像のトナー付着量を算出する(ステップS5)。
続いて、S5において算出したトナー付着量に応じた表面拡散光の上限値を記憶部112から読み出し、上記獲得された表面拡散光が上限値以下であるか否かを判断する(ステップS6)。表面拡散光が上限値以下である場合、一連の本処理を終了する。一方、表面拡散光が上限値以下でない場合、さらに定着条件の制御の余地があるか否かを判断し(ステップS7)、定着条件の制御の余地がある場合、定着条件を制御し(ステップS8)、ステップS1に戻り、上述の動作を繰り返し実行する。
上記のように、獲得した表面拡散光に基づき定着条件を制御する動作は、ユーザーから定着条件制御の要求を受けて開始されるか、もしくは一定枚数以上印刷した場合に、自動で定着条件制御を開始してもよい。また、工場出荷時の定着調整時、サービスマンの保守点検時(特に、定着装置、ローラ交換時)などに定着条件の制御を開始してもよい。また、この定着条件の制御(設定)については操作表示部140からの指示、あるいは特定の技術を有したサービスマンなどにより特殊な操作などにより行うようにしてもよい。
上記ステップS1およびステップS3において、記憶部112から制御用パッチデータが画像処理部130に送られ、記録材11上にパッチが形成され、定着装置30によりトナーが加熱定着される。ここで、ステップS1において加熱定着に用いられる定着条件は、記憶部112に記憶された最新の定着条件である。一方、ステップS3において透明トナー像の加熱定着に用いられる定着条件は、前述のようにステップS1における定着条件とは異なり、一定である。
図6(a)は、記録材11上に加熱定着されるパッチ画像例を示す。図6(a)は、C、M、Y、K各単色面積率100%のパッチが記録材11の搬送方向に一列に配置されたものである。面積率100%のパッチのみを用いる理由は、定着性の変動を確認するには面積率100%のパッチが最適であるからである。もちろん、単色でなく、R、G、Bなど2次色の面積率100%のパッチを用いても良い。また、記録材11の搬送方向に一列に配置しているのは、定着器30に、記録材11の搬送方向と垂直な方向(主走査方向)に定着ムラがある場合を考慮しているためである。なお、図6(a)ではパッチは各色に一つ配置したが、測定精度を上げるため、同色のパッチを複数配置し、パッチごとに後述する方法で表面拡散光を獲得し、平均をとってもよい。
図6(b)は、記録材11上に加熱定着される透明トナー像の一例を示す。図6(b)は、図6(a)の各色のパッチと位置・形状が同じパッチが配置されたものであり、図6(a)のパッチ画像に重なるように透明トナー像が形成される。
図5において、表面拡散光を獲得し、上限値と比較するステップS2〜S6についてさらに説明する。ステップS2において、記録材11上に加熱定着された各色のパッチに対し、分光測色計41により分光反射率1が測定される。ステップS4において、記録材11上のパッチ画像の上に加熱定着された透明トナー像に対し、分光測色計41により分光反射率2が測定される。ステップS5では、算出部152において分光反射率1と分光反射率2との差分をとることにより、表面拡散光を算出する。ステップS6では、前記算出した表面拡散光を、メモリ151に予め記憶された表面拡散光の上限値と各色ごとに比較する。そして比較の結果、表面拡散光が上限値以下であれば、図5の一連の処理は終了する。一方、表面拡散光が上限値以下でないと判断された場合には、表面拡散光と上限値、あるいはその差分値が、定着条件制御部110に送られる。
図7は、図5のステップS6においてメモリ112から読み込まれるデータテーブルの一例を示す。図7のデータテーブルは、記録材の種類および、各トナー付着量における表面拡散光の上限値を含む。前述のように、画像特性取得部150がパッチ画像のトナー付着量を算出し、その算出結果に応じて、図7のデータテーブルより表面拡散光の上限値を得る。図7のテーブルでは、一種類の記録材についてデータを保持しているが、利用者の利便性を高めるため、複数の記録材に対してデータを保持してもよい。
図5のステップS7、S8では、送られたデータを基に定着条件を制御する。まず、ステップS7では、定着条件に制御の余地があるか否かを判断する(通常、一回目のサイクルでは、余地有りと判断する)。ここで、定着条件に制御の余地があるとは、定着条件を適切に制御することで、表面拡散光をさらに小さくすることが可能な状態を意味する。そして制御の余地が有ると判断されれば、ステップS8において定着条件の制御を行う。そして記憶部112に記憶されている定着条件を最新の値に更新した後、ステップS1に戻り、再度制御フローを実行する。
以下、ステップS7、S8における定着条件制御の具体例を示す。定着条件制御の狙いは、表面拡散光を小さくし、上限値以下に抑えることである。制御対象となる定着条件とは、例えば定着温度やニップ圧、記録材の搬送速度が挙げられる。ここではニップ圧、搬送速度は一定とし、サーミスタ35a、bで検知される定着ローラ31、加圧ローラ32の表面温度である定着温度を制御対象として考える。
図8は、定着温度に対する表面拡散光の変化を示す。図8に示すように、定着温度に対し表面拡散光は下に凸の曲線を描く。その理由は、定着温度が低い領域では、トナーが十分に溶融せず、表面に凹凸が多く残るため、表面拡散光は大きくなる。定着温度を上げていくと、トナーが十分に溶融するようになり、表面の凹凸が減少し、表面拡散光は小さくなる。しかし、一定以上定着温度を上げると、今度はホットオフセットが起こり始め、トナー表面に剥離が生じ、凹凸が生じる結果、表面拡散光は大きくなる。したがって、表面拡散光を小さくするには、図8の曲線の極小点に近づけるよう、定着温度を制御すればよい。
図5のステップS7において、定着条件に制御の余地があるか否かを判断する意義を説明する。定着装置30を構成する各部品の経年劣化などにより定着性が悪化し、後述する方法で表面拡散光を可能な限り小さくしたとしても(図8における極小点に達したとしても)、その表面拡散光の値が、前述のメモリ151に記憶された表面拡散光の上限値を上回ってしまうケースが考えられる。ステップS7はそうした場合を考慮した処理ステップであり、ステップS6で表面拡散光が上限値を上回っていると判断された場合でも、ステップS7で表面拡散光が極小点に達したと判断されれば、図5の定着条件の制御フローは終了とする。
前述のように、定着温度の制御とは、図8において極小点に近づけるよう、定着温度を制御することであるであるが、定着ローラ31や加圧ローラ32は経年劣化するため、定着温度が同じでも、表面拡散光の値が常に同じとは限らない。また、サーミスタ35a、bにより測定される定着温度も、常に同じように測定できるわけでなく、測定値はその時々で変動する。したがって、図8の曲線はあくまで相対的なものであり、その時々で変動するものである。すなわち、定着温度を制御するということは、その時点での図8における極小点に相当する温度に近づけるということである。よって、例えば図8における極小点の温度を予め記憶しておき、その温度を目標値として定着温度を制御する、といったことには意味がなく、あくまで表面拡散光の大小から、図8の極小点に対する現在の位置を判断し、制御する必要がある。
以下、定着温度制御方法の一例を説明する。まず、図8の曲線の大まかな特性(微分係数の大きさなど)は変わらないことを考え、定着温度制御時に変化させる所定の温度ΔTをあらかじめ記憶部112に記憶しておく。そして、一度記憶部112に記憶された最新の定着条件(定着温度)でパッチ画像を出力し、表面拡散光を測定し、この測定された表面拡散光を、記憶部112に一時的に記憶する。そして、図5のステップS6において表面拡散光が上限値を上回った場合には、定着温度を前記ΔTだけ変化させ、ステップS1に戻り、再度パッチ画像を出力し、表面拡散光を測定する。そして、測定した表面拡散光と、記憶部112に記憶した直前のサイクルでの表面拡散光を比較する。このとき表面拡散光が減少していれば、図8における極小点に近づいたことが分るので、その方向に定着温度を制御すればよい。一方、表面拡散光が増加していれば、極小点から遠ざかったことが分るので、今度は逆方向に定着温度を制御すればよい。このようにして図8における極小点との現時点での相対的な位置、つまり定着温度を制御する方向を求め、以上のサイクルを、表面拡散光が十分小さくなるまで、つまりメモリ151に記憶された上限値を下回るか、あるいは図8における極小点に達するまで、繰り返せばよい。
なお、所定の温度ΔTは、過大でも過小でもない温度である。つまり、一度、定着温度をΔTだけ変化させただけで、極小点を飛び越えてしまうようでは、ΔTは大きすぎるし、反対に、ΔTが小さすぎると、定着条件の制御フローが終了するまで何度もサイクルを繰り返さなくてはならず、時間とコストを無駄に浪費してしまう。また、ΔTは、定着温度が極小点から離れているときは大きく、反対に極小点に近いときには小さいことが望ましい。よって、このΔTは、図5に示す制御フローのサイクルの度に例えばサービスマンなどが逐次手動で入力してもよく、また自動制御の場合には、このΔTの制御方法として予め最適なものを記憶部112に記憶しておくことが望ましい。
定着装置30の経年劣化などにより、表面拡散光がメモリ151に記憶された表面拡散光の上限値を常に上回るようになった場合(ステップS7で、定着条件に制御の余地がないと判断された場合)、メモリ151に記憶された表面拡散光の上限値を、図8の極小点における値あるいはその近傍の値に更新する方法が考えられる。これにより、表面拡散光が常に(更新前の)上限値を上回るようになったとき、更新をしない場合に、定着条件の制御フローを開始するたびに毎回行うことになる、前述のように定着温度を変化させて図8における極小点を探す、といったサイクルを省略することができる。なぜならば、表面拡散光の上限値を更新しておけば、次に図5のフローを実行したとき、表面拡散光が増えていなければ、ステップS6において上限値を下回っていると判断されるためである。こうすることで、無駄にパッチ画像を何度も出力し、時間とコストを浪費することを避けることができる。
上記した実施例では、反射特性1、2として分光反射率を用いたが、より装置を簡便にするため、濃度を用いる方法も考えられる。この場合、測色計としては、分光測色計41に代わり濃度計を用いる。
図4(b)は、濃度計の構成例を示す。濃度計は、ガス充填フィラメントランプなどの光源61と、フォトダイオード等の受光素子62、受光データを処理する図示しないICなどにより構成される。光源61は、記録材11に対して垂直に設置され、記録材11上に垂直に照射する。受光素子62は、記録材11の垂直方向に対して45°方向に設置され、記録材11からの反射光を検出する。
図5のステップS6において表面拡散光を算出する際に、反射特性1、2として濃度を用いる場合には、濃度を反射率に変換した後、両者の差分をとることで、表面拡散光を算出する。濃度の変換式は、DR=−log10(R)で与えられ、DRは濃度、Rは反射率である。
本発明によれば、トナー面積率100%のパッチ画像を形成して記録材に転写する画像形成手段と、前記画像形成手段により記録材に転写されたパッチ画像を所定の定着条件で定着する定着手段と、前記定着手段により定着されたパッチ画像の表面拡散光を得る表面拡散光獲得手段と、前記パッチ画像のトナー付着量を得る付着量獲得手段と、前記獲得された表面拡散光および付着量に基づいて前記所定の定着条件を制御する制御手段とを具備することにより、トナー付着量が変化した場合でも、トナー付着量と表面拡散光に基づき定着条件を制御することが可能となる。
本発明によれば、前記表面拡散光獲得手段において、前記定着手段により定着されたパッチ画像の反射特性1を測定する測定手段1と、前記定着されたパッチ画像の表面に透過層を形成して表面を平滑化する平滑化手段と、前記平滑化手段により平滑化された後のパッチ画像の反射特性2を測定する測定手段2と、前記測定された反射特性1および2から表面拡散光を算出する算出手段とを具備することにより、トナー付着量が変化した場合でも高精度に表面拡散光を獲得することができ、またユーザーが実際に手にする記録紙を用いて表面拡散光を獲得することができる。
本発明によれば、前記透過層に透明トナー層を用い、前記平滑化手段において、透明トナー像を形成して、前記定着手段により定着されたパッチ画像に転写する透明トナー像形成手段と、前記透明トナー像形成手段によりパッチ画像表面に転写された透明トナー像を定着する透明トナー像定着手段とを具備することにより、前記平滑化手段を透明トナーを用いて実現できる。
本発明によれば、前記付着量獲得手段において、前記測定手段2により測定される反射特性2を前記透過層の透過率で補正した後、補正後の反射特性2を用いて付着量を算出することにより、前記反射特性2よりパッチ画像の付着量を獲得することができる。
本発明によれば、前記反射特性1および2として分光反射率を用い、前記算出手段は、分光反射率2を前記透過層の透過率で補正した後、両者の差分値をとり、吸収帯域の値から表面拡散光を獲得することにより、分光反射率から表面拡散光を獲得することができる。
本発明によれば、前記反射特性1および2として濃度を用い、前記算出手段は、濃度2を前記透過層の透過率で補正した後、両者を反射率に変換し、両者の差分値をとることにより表面拡散光を獲得することにより、濃度から表面拡散光を獲得することができる。
本発明によれば、前記測定手段1および2において、同一の測定光学系を用いることにより、表面拡散光を獲得することができる。
本発明によれば、前記測定光学系において、0/45°を用いることにより、色の評価に直接組み込むことのできる表面拡散光を獲得することができる。
実施例1では、平滑化手段として、作成したパッチ画像にさらに透明トナー像を転写・定着したが、平滑化手段を構成するために、CMYKの4色に加え、透明トナー分の現像装置などが新たに必要となり、装置が大型化・複雑化する。そこで、実施例2では、透明トナーの代わりに有色トナー(CMYのいずれか)を用いることで、装置を複雑化させることなく平滑化を行う実施例を示す。
図9は、実施例2のシステム構成を示す。図9は、図1の画像形成部100に、拡散反射光検知部45を追加して構成したものであり、他の構成要素は図1と同様である。
図10は、実施例2の画像形成部の構成を示す。実施例1(図2)と相違する点は、透明トナー用の感光体ドラム(22W)、注入帯電手段(23W)、書き込み光学系(24W)、トナーカートリッジ(25W)、現像手段(26W)を取り除き、拡散反射光検知部45を追加した点である。
透明トナーに代わりに有色トナーを用いた場合の表面拡散光の測定原理について説明する。ここでは例として、パッチ画像にシアンを用い、その上に形成する有色トナー像をイエローとする。図11は、シアンとイエローの分光反射率を示す。前述の通り、表面拡散光を算出する際には、分光波形のうち吸収帯域のみを用いる。このとき、シアンの吸収帯域においては、図11よりイエローは透過帯域である。つまり、シアンの上にイエローを重ねた場合、シアンの吸収帯域だけ見たとき、イエローは透過帯域、すなわち透明トナーと同様の特性を持つことになる。したがって、この場合、イエローは透明トナーと同様に扱うことができ、実施例1における透明トナーの代わりとして用いることができる。このトナーの組み合わせは、シアンとイエローのほかに、マゼンタとイエローの組み合わせでもよい。なお、イエローをパッチ画像に用いる場合、有色トナーとしてシアンが候補となるが、シアンが透過帯域であっても透過率はイエローの場合と比較して低いため、シアンの付着量が変化すると、それに伴い透過率も大きく変動することから、透明トナーの代わりとしてシアンは不適である。しかし、定着条件の制御は、全ての色(CMY)のパッチで行う必要はなく、それらのうちいずれか最適なものを選択して用いればよいので、イエローをパッチ画像に用いても、本発明においてなんら支障はない。
ただし、有色トナー(イエロートナー)の場合、シアンよりは透過帯域の透過率が高いが、一般に、実施例1の透明トナーに比べ、透過帯域の透過率が低い。透明トナーと同様に有色トナーでも、付着量が変動する可能性があるが、前述のように透過率が低いため、付着量が変動するとその透過特性も変動し、表面拡散光の測定に影響を及ぼす。したがって、本実施例では、有色トナーの付着量を検知する機構を設け、検知された付着量に応じて有色トナーの透過率を取得し、取得した透過率を用いて分光反射率2を補正する。具体的な補正方法は実施例1と同様であり、各付着量ごとの有色トナー(イエロートナー)の透過率を、メモリ152に予め記憶しておく。
図10に示すように、実施例2では、有色トナー(イエロートナー)の付着量の検知機構として、中間転写ベルト27上に拡散反射光検知部45を設置する。ここでは、拡散光を検知する機構を設けたが、他に正反射光を検知するもの、あるいは拡散光と正反射光の双方を検知する機構でもよい。
図4(c)は、拡散反射光検知部45の構成例を示す。拡散反射光検知部は、LEDなどの光源71およびフォトダイオードなどの受光素子72、受光データを処理する図示しないICなどにより構成される。光源71は、中間転写ベルト27に対して垂直に設置され、中間転写ベルトに垂直に照射する。受光素子72は、中間転写ベルト27の垂直方向に対して45°方向に設置されており、中間転写ベルト上のパッチ画像からの反射光を検出する。
図12は、カラートナー(CMY)付着量と拡散反射光出力電圧の関係を示す。図に示すように、カラートナーの付着量に対し、拡散反射光出力電圧は単調に増加する。画像特性取得部150において、この関係を予めメモリ152に記憶しておき、拡散反射光検知部45から拡散反射光出力電圧を入力し、算出部152においてトナー付着量を算出する。そして、前述のようにメモリ152に予め記憶された、各付着量ごとの有色トナーの透過率を参照して有色トナー層の透過率を取得し、その結果に基づいて分光反射率2を補正する。
図13は、実施例2の定着条件制御のフローチャートを示す。図13において、図5の処理と相違するのは、透明トナーを有色トナーに代え、新たにステップS13とS14を追加した点である。ステップS13では、有色トナー像を中間転写ベルト上に形成し、ステップS14では、S13で形成した有色トナー像からの拡散光を検知する。
図6(c)は、実施例2のパッチ画像例を示し、パッチにシアンを用いる例である。また、図6(d)は、実施例2の有色トナー像の一例を示し、有色トナー像にイエローを用いる例である。トナー像の位置・形状は、図6(c)のシアンのパッチ画像と同一である。
本発明によれば、透過層に有色トナー層を用い、平滑化手段において、有色トナー像を形成して、前記定着手段により定着されたパッチ画像に転写する有色トナー像形成手段と、前記有色トナー像形成手段によりパッチ画像表面に転写された有色トナー像を定着する有色トナー像定着手段と、前記有色トナー像の付着量を獲得する有色トナー付着量獲得手段とを具備することにより、新たに透明トナーの現像装置等を追加することなく平滑化手段を実現できる。
本発明によれば、前記有色トナー像において、前記定着手段により定着されたパッチ画像の分光反射特性の吸収帯域に透過帯域を持つトナーであることにより、有色トナー像を前記透明トナーの代わりに用いて表面拡散光を獲得することができる。
本発明によれば、前記有色トナー付着量獲得手段において、中間転写ベルト上に形成された有色トナー像の正反射光もしくは拡散光のうち少なくとも一方を検知する有色トナー像反射特性検知手段を具備することにより、有色トナー像の付着量を獲得することができる。
実施例1、2では、平滑化手段として、記録材上に作成したパッチ画像の上に、さらに透明あるいは有色トナー像を形成し、トナー層の厚みを設けることにより平滑化を行ったが、いくら厚みを設けても、通常の転写・定着の方法で透明あるいは有色トナーを転写・定着させる以上、透明あるいは有色トナー層表面にある程度の凹凸が生じることは避けられない。また、装置が経年劣化した場合、この透明あるいは有色トナーの定着にも影響が及ぶため、表面状態が変化し、表面拡散光の測定結果にも誤差が生じる可能性がある。そこで、本実施例では、記録材上に作成したパッチ画像上に、表面の平滑な透明フィルムを密着させることで、表面の平滑化を行い、より高精度に表面拡散光を測定する実施例を示す。
図14は、実施例3のシステム構成を示す。実施例1(図1)と相違する点は、透明フィルム供給部42を追加した点である。
図15は、実施例3の画像形成部の構成を示す。実施例2(図10)と相違する点は、拡散反射光検知部45を取り除き、透明フィルム供給部42、給紙ローラ43、レジストローラ44を追加した点である。
図15を用いて表面拡散光獲得時の各部の動作を説明する。感光体ドラム22上に作成されたパッチ画像は、転写ベルト27を介して記録材11に転写される。そして定着装置30により加熱定着された後、分光測色計41により分光反射率1が測定される。その後、ローラ35が逆回転することにより、記録材11は定着装置30より前に戻される。そして、記録材11が再び定着装置30に搬送されるのと同期をとり、透明フィルム供給部42に積載されている、低温で溶融し無色透明な接着剤を塗布した透明フィルムを、給紙ローラ43で供給し、レジストローラ44でタイミングをとって記録材11と同時に定着装置30に搬送し、加熱・圧着により透明フィルムの定着を行う。その後、分光測色計41により分光反射率2が測定される。そして、測定された分光反射率1、2が、算出部152に入力され、表面拡散光が算出される。
算出部152において表面拡散光を算出する際に、実施例1、2と同様に、透明フィルム層の透過率で分光反射率2を補正する必要がある。補正の具体的な方法は実施例1と同様である。したがって、実施例3では、透明フィルム層の透過率を予めメモリ151に記憶しておき、その値を参照して分光反射率2の補正を行い、表面拡散光を算出する。
実施例3における透明フィルムは、次の条件を満たす必要がある。すなわち、(1)表面が鏡面もしくはそれに近い状態であること、(2)屈折率がトナーの屈折率に近いこと、(3)透過性が高いことである。
透明フィルムを貼り付けるのは、鏡面状態を得るためであるので、(1)がまず必要になる。また(2)ついては、フレネル則により、境界で反射(もしくは拡散)される光は材質の屈折率に依存する。屈折率が異なる層に光が入射すると、フレネル則に従って光の反射(もしくは拡散)が起こる。そのため、(2)に示すように、透明フィルムとトナーの屈折率が近いほうが望ましい。なお、トナーの屈折率は1.5〜1.6(樹脂に依存)である。また、(3)については、透明フィルムの透過率が低いと、フィルムを貼った状態で受光される光(図18(b)の202)が内部反射光(図18(a)の201b)よりも低くなる。従って(3)に示すように、透明フィルムの透過率は1.0に近いことが望ましい。なお、上記の(2)と(3)は透明フィルムに塗布される接着層についても当てはまる。
上記の条件を満たす透明フィルムとして、さらに必要な要件は、透明フィルム定着時の加熱によって著しく熱変形を起こさない、耐熱性樹脂フィルムである。その材質としては、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)が挙げられる。PETは、屈折率が1.57とトナーに近く、また透明性も高い。
透明フィルムには、前述の通り、低温で溶融し無色透明な接着剤が塗布されている。この接着層には透明な熱融着性樹脂を用いる。前述のように、この接着層は透明フィルムが満たすべき条件の(2)と(3)を満たす必要がある。すなわち、接着層は、熱可塑性樹脂を主成分とし、必要に応じて添加剤が加えられたものを適用して形成することができる。接着層を形成する熱可塑性樹脂として例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂が挙げられる。両者とも、屈折率は1.59〜1.60と、トナーの屈折率に近い。
図16は、実施例3の定着条件制御のフローチャートを示す。図16において、図5の処理と相違するのはステップS33であり、ステップS33では、透明フィルム貼付に置き換えている。他の処理は実施例1と同様である。
本発明によれば、透過層に透明フィルム層を用い、平滑化手段において、定着手段により定着されたパッチ画像に対し透明フィルムを貼り付ける透明フィルム貼付手段を具備することにより、前記平滑化手段を透明フィルムにより実現できる。
本発明によれば、前記透明フィルム貼付手段において、透明または接着安定化後透明となる接着剤を介して、前記定着手段により定着されたパッチ画像に透明フィルムを密着させるものであり、熱もしくは圧力のうち少なくとも一方により透明フィルムを前記接着剤を介して前記パッチ画像に接着させる透明フィルム定着手段を具備することにより、前記平滑化手段を透明フィルムを用いて実現できる。
本発明は、前述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した各実施例の機能を実現することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施例の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施例の機能が実現される場合も含まれる。また、本発明の実施例の機能等を実現するためのプログラムは、ネットワークを介した通信によってサーバから提供されるものでも良い。