JP5453261B2 - 生物活性ペプチドの発現および精製のための可溶性タグ - Google Patents

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Description

本願は、2007年7月25日出願の米国特許出願第11/782,836号明細書の優先権を主張するものである。
本発明は、微生物細胞からのタンパク質の発現および精製の分野に関する。より詳細には、不溶性融合タンパク質の生成において有用な小さいペプチドタグのファミリーが提供される。
生物活性タンパク質およびペプチドの効率的生成が生物医学および工業生化学産業の顕著な特徴となっている。生物活性ペプチドおよびタンパク質は、種々の疾患用の治療剤として用いられ、糖尿病(インスリン)、ウイルス感染症および白血病(インターフェロン)、免疫系の疾患(インターロイキン)、ならびに赤血球欠乏(エリスロポエチン)などの数例が挙げられる。さらに、大量のタンパク質およびペプチドが、例えば、紙パルプおよびパルプ産業、繊維、食品産業、パーソナルケアおよび化粧品産業、砂糖精製、排水処理、アルコール飲料の生産を含む様々な産業用途において、また新しい医薬品の生成用触媒として必要である。
細菌ディスプレイ(非特許文献1;酵母ディスプレイ(非特許文献2))、コンビナトリアル固相ペプチド合成(特許文献1;2;3および4)、ファージディスプレイ技術(特許文献5;6;7および8)、リボソームディスプレイ(特許文献9;10および11)、およびmRNAディスプレイ技術(PROFUSION(商標);特許文献12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23および24)などのコンビナトリアルなペプチドスクリーニング技術の発見および実施の到来とともに、特異的な結合親和性を有するペプチドにおける新用途が開発されている。特に、ペプチドは、診断剤および薬剤の表面への結合における生物医学分野(特許文献25および26)とともに、効果剤の毛髪および皮膚などの体表面への結合におけるパーソナルケア産業(同一所有者による特許文献27、および28を参照)、および色素の印字媒体への付着における印刷産業(同一所有者による特許文献29を参照)におけるリンカーとして見なされている。
場合によっては、商業的に有用なタンパク質およびペプチドは、天然供給源から合成的に生成または単離されうる。しかし、これらの方法は、費用や時間がかかり、制限された生成能力により特徴づけられることが多い。タンパク質およびペプチド生成の好ましい方法は組み換えにより作成された生物の発酵によるものであり、改変により目的のタンパク質またはペプチドが過剰発現される。ペプチドの組換え発現は、合成または単離より好ましいが、生成の費用効果的な手段であるように克服されるべき多数の障害を有する。例えば、細胞環境内で生成されるペプチド(および特に短いペプチド)は天然の細胞プロテアーゼの作用からの分解を受けやすい。さらに、精製は困難であり、目的のタンパク質またはペプチドの性質に応じて収量の低下がもたらされうる。
上記の困難を緩和するための一手段が、タンパク質およびペプチドの発現における遺伝子キメラの使用である。キメラタンパク質または「融合タンパク質」は、ペプチドタグを含む少なくとも一部に融合された所望のタンパク質産物の少なくとも一部を含むポリペプチドである。ペプチドタグは、タンパク質フォールディングの補助、発現後精製の補助、分解酵素の作用からのタンパク質の保護、および/またはタンパク質の細胞膜透過の補助に用いられうる。
多くの場合、不溶性形態でのタンパク質またはペプチドを発現することは、特に目的のペプチドがやや短く、通常では可溶性であり、および/または宿主細胞内でのタンパク質分解を受ける場合には有用である。不溶性形態でのペプチドの生成は、単純な回収を促進するとともにペプチドを望ましくないタンパク質分解から保護する。不溶性形態でのペプチドを生成するための一手段は、ペプチドを、融合コンストラクト内に封入体形成を誘発する少なくとも1つのペプチドタグ(すなわち封入体タグ(inclusion body tag))を含ませることにより、不溶性融合タンパク質の一部として組み換え的に生成することである。典型的には、融合タンパク質は、目的のペプチドが以後に融合タンパク質から回収されうるように少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーを含むように設計される。融合タンパク質は、複数の封入体タグ、切断可能なペプチドリンカー、および目的のペプチドをコードする領域を含むように設計されうる。
不溶性タンパク質の発現を促進するペプチドタグを含む融合タンパク質は当該技術分野で周知である。典型的には、キメラまたは融合タンパク質のタグ部分は大規模であり、それにより融合タンパク質が不溶性となる可能性が増大する。典型的に用いられる大きいペプチドの例として、限定はされないが、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(Dykesら、Eur.J.Biochem.、174:411頁(1988年)、β−ガラクトシダーゼ(Schellenbergerら、Int.J.Peptide Protein Res.、41:326頁(1993年);Shenら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 281:4627頁(1984年);およびKempeら、Gene、39:239頁(1985年))、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(Rayら、Bio/Technology、11:64頁(1993年)およびHancockら(国際公開第94/04688号パンフレット))、L−リブロキナーゼのN末端(米国特許第5,206,154号明細書およびLaiら、Antimicrob.Agents & Chemo.、37:1614頁(1993年)、バクテリオファージT4 gp55タンパク質(Grammら、Bio/Technology、12:1017頁(1994年)、細菌のケトステロイドイソメラーゼタンパク質(Kuliopulosら、J.Am.Chem.Soc.116:4599頁(1994年)、ユビキチン(Pilonら、Biotechnol.Prog.、13:374−79頁(1997年)、ウシプロキモシン(Haughtら、Biotechnol.Bioengineer.57:55−61頁(1998年)、および殺菌/透過性増強タンパク質(「BPI」;Better M.D.およびGavit PD.、米国特許第6,242,219号明細書)が挙げられる。当該技術分野にはこの技術の具体例が豊富であり、例えば、タンパク性タグと可溶性タンパク質の融合タンパク質およびその後の細胞溶解液からの精製について記載する米国特許第6,613,548号明細書;特定のプロテアーゼから発現されたキメラタンパク質を保護するタグについて教示する米国特許第6,037,145号明細書;所望のタンパク質の容易な精製のためのタグおよび切断可能なリンカーを有する融合タンパク質の合成について教示する米国特許第5,648,244号明細書;および米国特許第5,215,896号明細書;米国特許第5,302,526号明細書;米国特許第5,330,902号明細書;ならびにキメラタンパク質またはペプチドの不溶性を増大することに特定して設計されたアミノ酸組成物を有する融合タグについて記載する米国特許出願公開第2005/221444号明細書を参照のこと。
最近、より短い封入体タグが、トウモロコシ(Zea mays)ゼインタンパク質(同一所有者による米国特許出願第11/641936号明細書)、ニンジン(Daucus carota)シスタチン(同一所有者による米国特許出願第11/641273号明細書)、および線虫(Caenorhabditis elegans)由来のアミロイド様仮想タンパク質(同一所有者による米国特許出願第11/516362号明細書)から開発されている。短い封入体タグの使用により、組換え宿主細胞内で生成される標的ペプチドの収量が増加する。
米国特許第5,449,754号明細書 米国特許第5,480,971号明細書 米国特許第5,585,275号明細書 米国特許第5,639,603号明細書 米国特許第5,223,409号明細書 米国特許第5,403,484号明細書 米国特許第5,571,698号明細書 米国特許第5,837,500号明細書 米国特許第5,643,768号明細書 米国特許第5,658,754号明細書 米国特許第7,074,557号明細書 米国特許第6,258,558号明細書 米国特許第6,518,018号明細書 米国特許第6,281,344号明細書 米国特許第6,214,553号明細書 米国特許第6,261,804号明細書 米国特許第6,207,446号明細書 米国特許第6,846,655号明細書 米国特許第6,312,927号明細書 米国特許第6,602,685号明細書 米国特許第6,416,950号明細書 米国特許第6,429,300号明細書 米国特許第7,078,197号明細書 米国特許第6,436,665号明細書 Grinstaffら、米国特許出願公開第2003/0185870号明細書 Linter、米国特許第6,620,419号明細書 米国特許出願第10/935642号明細書 Janssenら、米国特許出願公開第2003/0152976号明細書 米国特許出願第10/935254号明細書
1Kemp,D.J.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA78(7):4520−4524頁(1981年) Chienら、Proc Natl Acad Sci USA 88(21):9578−82頁(1991年)
解決されるべき課題は、目的のペプチドを含む融合タンパク質の調製に有効な可溶性タグを提供することである。
述べられた課題は、短いペプチド(「目的のペプチド」)の発現の増大および簡単な精製のための融合タンパク質の合成に有用な構造的に類似の短い封入体タグ(IBT)のセットの発見により解決されている。
本発明は、発現されるペプチドの不溶性およびその後の回収を促進するための、発現されるべき目的のペプチドに連結されうる封入体タグのペプチドセットに関する。
したがって、本発明は、構造:Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln−スペーサー−[[Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln]−[スペーサー]
(式中、
Xaa1=Arg、His、またはLys;
Xaa2=Gln、His、またはLys;
Xaa3=Gln、His、またはLys;
Xaa4=GluまたはGln;
Xaa5=GlnまたはLys;
n=1〜10;
m=n−1;かつ
スペーサーはプロリン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、およびシステインからなる群から選択されるアミノ酸を含むペプチドである)
を含む封入体タグを提供する。
さらなる実施形態では、本封入体タグは、コア配列(Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln;配列番号58)(式中、Xaa1=Arg、His、またはLys;Xaa2=Gln、His、またはLys;Xaa3=Gln、His、またはLys;Xaa4=GluまたはGln;およびXaa5=GlnまたはLys;ここでコア配列は上で定義した少なくとも1つのスペーサーにより分離される)の少なくとも2つのコピーを含む。
別の実施形態では、封入体タグは、少なくとも1つの架橋可能なテトラシステイン部分(CCPGCC;配列番号33)をさらに含む。さらなる実施形態では、架橋可能なシステイン部分は、上で定義の封入体タグのアミノおよび/またはカルボキシ末端上に位置する。
別の実施形態では、封入体タグは、IBT103(配列番号15)、IBT138(配列番号19)、IBT139(配列番号21)、IBT139.CCPGCC(配列番号31);IBT139(5C)(配列番号265);IBT182(配列番号39)、IBT183(配列番号41)、IBT184(配列番号43)、IBT185(配列番号45)、IBT186(配列番号27)、IBT187a(配列番号47)、およびIBT187b(配列番号49)からなる群から選択される。
別の実施形態では、目的のペプチド(POI)に作動可能に連結されかつ少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカー配列(CS)により分離される本封入体タグ(IBT)を含む不溶性融合ペプチドが提供される。
別の実施形態では、目的のペプチドは、毛髪結合ペプチド、爪結合ペプチド、皮膚結合ペプチド、歯結合ペプチド、ポリマー結合ペプチド、クレー結合ペプチド(clay−binding peptide)、抗菌ペプチド、色素結合ペプチド、およびセルロース結合ペプチドからなる群から選択される。
さらに別の実施形態では、目的のペプチドはマルチブロックペプチドである。
さらなる実施形態では、本発明は、不溶性形態での目的のペプチドを発現するための方法であって、
a)目的のペプチドをコードする第2の部分に作動可能に連結された、本発明の封入体タグをコードする第1の部分を含む、融合ペプチドをコードする遺伝子コンストラクトを合成するステップと、
b)発現宿主細胞を(a)の遺伝子コンストラクトで形質転換するステップと、
c)(b)の形質転換宿主細胞を、遺伝子コンストラクトが発現されかつコードされた融合ペプチドが不溶性形態で生成される条件下で成長させるステップと、
d)前記不溶性形態での前記融合ペプチドを回収するステップと、
を含む、方法を提供する。
別の実施形態では、目的のペプチドを生成するための方法であって、
a)目的のペプチドを含む第2の部分に作動可能に連結された、本封入体タグを含む第1の部分を含む、融合ペプチドをコードする遺伝子コンストラクトを合成するステップであって、前記第1の部分および前記第2の部分は少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーにより分離されるステップと、
b)発現宿主細胞を(a)の遺伝子コンストラクトで形質転換するステップと、
c)(b)の形質転換宿主細胞を、遺伝子コンストラクトが発現されかつコードされた融合ペプチドが不溶性形態で生成される条件下で成長させるステップと、
d)前記不溶性形態での融合ペプチドを回収するステップと、
e)融合ペプチドの前記第1の部分がもはや前記第2の部分に融合されないように、前記少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーを切断するステップと、
f)前記目的のペプチドを回収するステップと、
を含む、方法が提供される。
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの本封入体タグと少なくとも1つの目的のペプチドを含む融合タンパク質をコードするキメラ遺伝子コンストラクトを提供する。
さらに別の実施形態では、本発明は、本キメラ遺伝子コンストラクトを含む発現ベクターおよび微生物宿主細胞を提供する。
本封入体タグのいくつかのCLUSTALWアラインメントである。コア配列を示す領域は下線で示される。 発現プラスミドpLX121の図面である。pLX121の作成は、米国特許出願第11/516362号明細書(参照により本明細書中に援用される)中に記載されている。 発現プラスミドpSF032の図面である。 発現プラスミドpLR186の図面である。 発現プラスミドpSF043の図面である。
生物学的配列の簡単な説明
以下の配列は、米国特許施行規則第1.821−1.825条(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を有する特許出願の要件−配列の規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」)に従い、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)(WIPO)基準ST.25(1998年)、ならびにEPCおよびPCTの配列表の要件(規則5.2および49.5(aの2)、ならびに実施細則の第208節および付録C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データにおいて用いられる記号および形式は、米国特許施行規則第1.822条に示される規則に従う。
配列番号1はプラスミドpLX121のヌクレオチド配列である。
配列番号2はプラスミドpSF032のヌクレオチド配列である。
配列番号3は毛髪結合ペプチドA09のアミノ酸配列である。
配列番号4は毛髪結合ペプチドKF11のアミノ酸配列である。
配列番号5は毛髪結合ペプチドD21’のアミノ酸配列である。
配列番号6はHC77607をコードする核酸配列である。
配列番号7はHC77607のアミノ酸配列である。
配列番号8はHC77638をコードする核酸配列である。
配列番号9はHC77638のアミノ酸配列である。
配列番号10はHC77643をコードする核酸配列である。
配列番号11はHC77643のアミノ酸配列である。
配列番号12はHC77681をコードする核酸配列である。
配列番号13はHC77681のアミノ酸配列である。
配列番号14はIBT103をコードする核酸配列である。
配列番号15はIBT103のアミノ酸配列である。
配列番号16はIBT136をコードする核酸配列である。
配列番号17はIBT136およびAggeliら(PNAS 98(21):11857−11862頁(2001年))に記載のP11−IIペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号18はIBT138をコードする核酸配列である。
配列番号19はIBT138のアミノ酸配列である。
配列番号20はIBT139をコードする核酸配列である。
配列番号21はIBT139のアミノ酸配列である。
配列番号22はHC776124をコードする核酸配列である。
配列番号23はHC776124のアミノ酸配列である。
配列番号24は融合ペプチドIBT139.HC776124をコードする核酸配列である。
配列番号25はIBT139.HC776124のアミノ酸配列である。
配列番号26はIBT186をコードする核酸配列である。
配列番号27はIBT186のアミノ酸配列である。
配列番号28は融合ペプチドIBT186.HC776124をコードする核酸配列である。
配列番号29はIBT186.HC776124のアミノ酸配列である。
配列番号30はIBT139.CCPGCCをコードする核酸配列である。
配列番号31はIBT139.CCPGCCのアミノ酸配列である。
配列番号32は架橋可能なシステイン部分CCPGCCをコードする核酸配列である。
配列番号33は架橋可能なシステイン部分CCPGCCのアミノ酸配列である。
配列番号34〜35はIBT139.CCPGCCの調製に用いられるオリゴヌクレオチドの核酸配列である。
配列番号36は融合ペプチドIBT139.CCPGCC.HC776124の核酸配列である。
配列番号37は融合ペプチドIBT139.CCPGCC.HC776124のアミノ酸配列である。
配列番号38はIBT182をコードする核酸配列である。
配列番号39はIBT182のアミノ酸配列である。
配列番号40はIBT183をコードする核酸配列である。
配列番号41はIBT183のアミノ酸配列である。
配列番号42はIBT184をコードする核酸配列である。
配列番号43はIBT184のアミノ酸配列である。
配列番号44はIBT185をコードする核酸配列である。
配列番号45はIBT185のアミノ酸配列である。
配列番号46はIBT187aをコードする核酸配列である。
配列番号47はIBT187aのアミノ酸配列である。
配列番号48はIBT187bをコードする核酸配列である。
配列番号49はIBT187bのアミノ酸配列である。
配列番号50はプラスミドpSF043の核酸配列である。
配列番号51はプラスミドpLR186の核酸配列である。
配列番号52はKSI(C4)の核酸配列である。
配列番号53はKSI(C4)のアミノ酸配列である。
配列番号54は融合ペプチドKSI(C4)−HC7643をコードする核酸配列である。
配列番号55は融合ペプチドKSI(C4)−HC77643のアミノ酸配列である。
配列番号56〜57は本封入体タグ中で用いられるスペーサーのアミノ酸配列である。
配列番号58は本封入体タグ中に見出されるコア配列のアミノ酸配列である。
配列番号59〜147は毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号148〜155は皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号156〜157は爪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号158〜186は抗菌ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号187〜211は色素結合ペプチドのアミノ酸配列である。詳細には、配列番号187〜190はカーボンブラックに結合し、配列番号191〜199はCROMOPHTAL(登録商標)イエロー(Ciba Specialty Chemicals(Basel、Switzerland))に結合し、配列番号200〜202はSUNFAST(登録商標)マゼンタ(Sun Chemical Corp.(Parsippany、NJ))に結合し、かつ配列番号203〜211はSUNFAST(登録商標)ブルーに結合する。
配列番号212〜217はセルロース結合ペプチドである。
配列番号218〜244はポリマー結合ペプチドのアミノ酸配列である。詳細には、配列番号218はポリ(エチレンテレフタレート)に結合し、配列番号219〜229はポリ(メチルメタクリレート)に結合し、配列番号230〜235はナイロンに結合し、かつ配列番号236〜244はポリ(テトラフルオロエチレン)に結合する。
配列番号245〜260はクレー結合ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号261はカスパーゼ−3切断配列のアミノ酸配列である。
配列番号262はスペーサーを含む本発明の好ましい封入体タグのアミノ酸配列である。
配列番号263はプラスミドpLR435の核酸配列である。
配列番号264は封入体タグIBT139(5C)をコードする核酸配列である。
配列番号265は封入体タグIBT139(5C)のアミノ酸配列である。
配列番号266は融合ペプチドIBT139(5C).HC776124をコードする核酸配列である。
配列番号267は融合ペプチドIBT139(5C).HC776124のアミノ酸配列である。
配列番号268〜307は歯結合ペプチド(米国特許出願第11/877,692号明細書)のアミノ酸配列である。
本発明は、目的のペプチドとの共役により融合ペプチドを形成可能なペプチドタグ(封入体タグ)のセットについて記載する。そのように構築される融合ペプチドは、発現宿主細胞内で不溶性形態で発現され、封入体で蓄積される。封入体は回収され、次いで切断され、目的のペプチドが封入体タグから分離される。好ましい実施形態では、融合タンパク質は、封入体タグを目的のペプチドから分離する少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーを含む。別の好ましい実施形態では、切断可能なペプチドリンカーは、少なくとも1つの酸切断可能なアスパラギン酸−プロリン部分を含む。
さらなる実施形態では、封入体タグは、封入体タグを目的のペプチドから分離するためのその後の処理の間で有用な架橋可能なシステイン残基の有効数を含む。さらなる実施形態では、封入体タグは、IBTのアミノおよび/またはカルボキシ末端上に少なくとも1つの架橋可能なシステイン部分CCPGCC(配列番号33)を含む。
本発明は、組み換え的に発現される任意の生物活性ペプチドおよびタンパク質の発現および回収にとって有用である。かかるタンパク質は、典型的には、限定はされないが、医学的用途、生物医学的用途、診断的用途、パーソナルケア用途、および目的のペプチドが様々な表面に対するリンカーとして用いられる場合の親和性用途を含む多数の用途において高い価値を有する。
以下の定義は本明細書で用いられ、かつ特許請求の範囲および本明細書の解釈のために参照されるべきである。特に断りのない限り、本明細書中で言及されるすべての米国特許および米国特許出願はそれら全体が参照により援用される。
本明細書で用いられる「含む」という用語は、特許請求の範囲の中で言及される規定の特徴、整数、ステップ、または成分の存在を意味するだけでなく、それが1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、成分またはこれらの群の存在または添加を除外しないことを意味する。
本明細書で用いられる「約」という用語は、本発明のまたは用いられる原料または反応物の量を加減することを示し、例えば、濃縮物の作製に用いられる典型的な測定および液体の取扱手順または現実世界における解決法の使用により、これらの手順における不注意による誤りにより、また組成物の作製または方法の実行に用いられる原料の製造、供給源、または純度の相違などにより生じうる数量のばらつきを示す。「約」という用語はまた、特定の初期の混合から得られる組成物における異なる平衡条件に起因して異なる量を包含する。特許請求の範囲は、「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらずその量に対する等価物を含む。
本明細書で用いられる「単離核酸分子」という用語は、場合により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を有する一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAの高分子である。DNAの高分子の形態での単離核酸分子は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つ以上のセグメントからなる場合がある。
本明細書で用いられる「色素」という用語は、不溶性、有機または無機着色剤を示す。
本明細書で用いられる「毛髪」という用語は、ヒト毛髪、眉、および睫毛を示す。
本明細書で用いられる「皮膚」という用語は、ヒト皮膚またはヒト皮膚に対する代替物、例えばブタ皮膚、VITRO−SKIN(登録商標)およびEPIDERM(商標)を示す。本明細書で用いられる皮膚は、一般には上皮細胞層を含む体表面を示すことになり、それに加えて内皮細胞層を含みうる。
本明細書で用いられる「爪」という用語は、ヒトの指の爪および足の爪を示す。
本明細書で用いられる「TBP」は、歯結合ペプチドを意味する。歯結合ペプチドは高親和性に哺乳類またはヒトの歯の表面に結合するペプチドである。本明細書で用いられる「歯結合ペプチド」という用語は、歯のエナメル質または歯の外皮に結合するペプチドを示すことになる。一実施形態では、歯結合ペプチドは約7アミノ酸長〜約50アミノ酸長、より好ましくは約7アミノ酸長〜約25アミノ酸長、最も好ましくは約7〜約20アミノ酸長である。好ましい実施形態では、歯結合ペプチドはコンビナトリアルに生成されるペプチドである。
歯結合ペプチドの例が、同時係属中で同一所有者による米国特許出願第11/877,692号明細書中に開示されている。好ましい実施形態では、歯結合ペプチドは配列番号268〜307からなる群から選択される。
「歯の表面」という用語は、(典型的には専門的な清浄または研磨後に暴露される)歯のエナメル質または歯の外皮(唾液糖タンパク質を含む後天性の表面)からなる表面を示すことになる。ハイドロキシアパタイトは、唾液糖タンパク質でのコーティングによって天然の歯の外皮表面が模倣されうる(歯のエナメル質は主にハイドロキシアパタイトからなる)。
本明細書で用いられる「外皮」および「歯の外皮」という用語は、歯冠の表面上に形成する唾液糖タンパク質に由来する(典型的には約1μm〜約200μmの範囲の厚みの)薄膜を示すことになる。日常の歯磨きはあくまで外皮表面の一部を除去することが多い一方、(典型的には歯医者による)摩擦を伴う歯の清浄および/または研磨により、歯のエナメル質表面の暴露が増えることになる。
本明細書で用いられる「エナメル質」および「歯のエナメル質」という用語は、歯の外皮を形成する高度に鉱化された組織を示すことになる。エナメル質層は、主として水および一部の有機材料とともに結晶性リン酸カルシウム(すなわちハイドロキシアパタイト;Ca(POOH)からなる。一実施形態では、歯の表面は歯のエナメル質および歯の外皮からなる群から選択される。
本明細書で用いられる「PBP」はポリマー結合ペプチドを意味する。本明細書で用いられる「ポリマー結合ペプチド」という用語は、特定のポリマーに対して高親和性に結合するペプチド配列を示す(米国特許出願第11/516362号明細書)。例として、ポリ(エチレンテレフタレート)(配列番号218)、ポリ(メチルメタクリレート)(配列番号219〜229)、ナイロン(配列番号230〜235)、およびポリ(テトラフルオロエチレン)(配列番号236〜244)に結合するペプチドが挙げられる。
本明細書で用いられる「HBP」は毛髪結合ペプチドを意味する。本明細書で用いられる「毛髪結合ペプチド」という用語は、毛髪に対して高親和性に結合するペプチド配列を示す。毛髪結合ペプチドは単一の毛髪結合ドメイン、または結合ドメインの少なくとも1つが毛髪に結合する複数の結合ドメイン(すなわちマルチブロックペプチド)からなりうる。毛髪結合ペプチドの例が報告されている(Huangらの米国特許出願第11/074473号明細書;国際公開第0179479号パンフレット;Murrayらの米国特許出願公開第2002/0098524号明細書;Janssenら、米国特許出願公開第2003/0152976号明細書(Janssenら);国際公開第2004048399号パンフレット;米国特許出願第11/512910号明細書、および米国特許出願第11/696380号明細書)。毛髪結合ペプチドの例が配列番号3〜5、7、9、11、13、23、および59〜147として提供される。
本明細書で用いられる「SBP」は皮膚結合ペプチドを示す。本明細書で用いられる「皮膚結合ペプチド」という用語は、皮膚に対して高親和性に結合するペプチド配列を示す。皮膚結合ペプチドの例が報告されている(Buseman−Williamsの米国特許出願第11/069858号明細書;Rotheら、国際公開第2004/000257号パンフレット;および米国特許出願第11/696380号明細書)。体表面として本明細書で用いられる皮膚は、一般に上皮細胞層を含むことになり、それに加えて内皮細胞層を含みうる。皮膚結合ペプチドの例が配列番号148〜155として提供される。
本明細書で用いられる「NBP」は爪結合ペプチドを意味する。本明細書で用いられる「爪結合ペプチド」という用語は、爪に対して高親和性に結合するペプチド配列を示す。爪結合ペプチドの例が報告されている(米国特許出願第11/696380号明細書)。爪結合ペプチドの例が配列番号156〜157として提供される。
本明細書で用いられる「抗菌ペプチド」は、微生物細胞集団を殺滅する能力を有するペプチドである(米国特許出願第11/516362号明細書)。抗菌ペプチドの例が配列番号158〜186として提供される。
本明細書で用いられる「セルロース結合ペプチド」は、セルロースに対して高親和性に結合するペプチドを示す。セルロース結合ペプチドの例が配列番号212〜217として提供される。
本明細書で用いられる「クレー結合ペプチド」は、クレーに対して高親和性に結合するペプチドを示す(米国特許出願第11/696380号明細書)。クレー結合ペプチドの例が配列番号245〜260として提供される。
本明細書で用いられる「マルチブロックペプチド」は、少なくとも2つの結合部分を含むペプチドを示す。各結合部分は、標的基質(例えば毛髪、皮膚、色素など)に対して親和性を有する。結合部分は同じまたは異なる基質に対して親和性を有しうる(例えば、色素の毛髪への標的送達のために色素結合部分に融合された毛髪結合部分または複数の毛髪結合部分を有するペプチド)。
本明細書で用いられる「封入体タグ」という用語は「IBT」と略記され、目的のペプチドと融合される場合での封入体の形成を促進するポリペプチドを示すことになる。目的のペプチドは、典型的には、封入体タグと融合されない場合には宿主細胞内および/または宿主細胞溶解液中に可溶性である。封入体タグに対する目的のペプチドの融合により、宿主細胞内の細胞内物質(intracellular body)(封入体)中に凝集する融合タンパク質が生成される。
本明細書で用いられる「スペーサー」という用語は、コア配列(配列番号58)の分離に用いられる本封入体タグ中のペプチドを示すことになる。一実施形態では、スペーサーは、2〜10アミノ酸長、好ましくは3〜6アミノ酸長、および最も好ましくは3〜4アミノ酸長であり、プロリン、グリシン、システイン、アルギニン、およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸からなる。一実施形態では、スペーサーは、Pro−Arg−Gly、Pro−Cys−Gly、Pro−Arg−Cys−Gly(配列番号56)、Pro−Glu−Gly、およびPro−Glu−Cys−Gly(配列番号57)からなる群から選択される。
本明細書で用いられる「切断可能なリンカー因子」、「ペプチドリンカー」、「切断可能なペプチドリンカー」、および「切断部位」は同義的に用いられ、かつ封入体タグと目的のペプチドの間に位置する切断可能なペプチドセグメントを示すことになる。封入体の細胞溶解液からの分離および/または部分精製または精製の後、切断可能なリンカー因子の化学的切断および/または酵素的切断により、封入体タグが目的のペプチドから分離されうる。融合ペプチドはまた、1つ以上の切断可能なペプチドリンカーにより分離された1つ以上の目的のペプチドをコードする複数の領域を含みうる。次いで、目的のペプチドは必要に応じて封入体タグから単離されうる。一実施形態では、封入体タグおよび目的のペプチドは、所定の培地(典型的には水性培地)中で異なる可溶性を示し、封入体タグの目的のポリペプチドからの分離を促進する。好ましい実施形態では、封入体タグは水溶液中に不溶性である一方、目的のタンパク質/ポリペプチドは水溶液中での可溶性が高い。水溶液のpH、温度、および/またはイオン強度を調節することで、目的のペプチドの回収が促進されうる。好ましい実施形態では、5〜10のpHおよび15℃〜50℃の温度範囲を有する水溶液中で、封入体タグと目的のペプチドの間に示差溶解度が生じる。切断可能なペプチドリンカーは、1〜約50アミノ酸長、好ましくは1〜約20アミノ酸長でありうる。酵素的に切断可能なペプチドリンカーの例が配列番号261(カスパーゼ−3切断配列)で提供される。好ましい実施形態では、切断部位は酸切断可能なアスパラギン酸−プロリンジペプチド(D−P)部分である。切断可能なペプチドリンカーは、当該技術分野で周知の多数の技術を用いて融合タンパク質中に取り込まれうる。さらなる実施形態では、本封入体タグは架橋可能なシステイン残基の有効数を含むことで、酸化架橋を用い、IBTが一旦POIから切断されると選択的に沈殿されうる。
本明細書で用いられる「システイン残基の有効数」および「架橋可能なシステイン残基の有効数」という用語は、IBTが酸化条件に従う場合、酸化架橋を得るのに必要なシステイン残基の数を表すのに用いられる。当業者は、(融合ペプチドの切断後)IBTをPOIから選択的に沈殿させるための酸化架橋の使用には、システイン残基が存在しないPOIが必要となることを理解するであろう。本プロセスを実行するため、融合ペプチド内のシステイン残基の数および/または位置を変化させることは十分に当業者の能力の範囲内である。一実施形態では、システイン残基の有効数は、少なくとも3、好ましくは少なくとも4である。別の実施形態では、有効数のシステイン残基とは、3〜20、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜約6、および最も好ましくは4または5の架橋可能なシステイン残基である。
本明細書で用いられる「架橋」、「酸化架橋」、および「システイン架橋」という用語は、酸化条件下でのシステイン残基のチオール基を架橋する(すなわち分子間および分子内でジスルフィド結合を形成する)プロセスを示す。定義によると、有効数の架橋可能なシステイン残基を含む2つ以上(すなわち「複数」)の分子間で分子間ジスルフィド結合の形成が生じる。あるいは、本明細書で用いられる「複数」の分子は本明細書中で分子の「集団」と称されることになる。分子間架橋を促進するため、有効数(すなわち少なくとも3つ)の架橋可能なシステイン残基が、POIを含む部分に架橋可能なシステイン残基が存在しないという条件下で封入体タグ中に取り込まれる。好ましい実施形態では、架橋可能なシステイン残基は、(架橋可能なシステイン残基を有しない)目的のペプチドが不溶性の架橋された封入体タグから可溶性ペプチドとして単離されるように、封入体タグ中に改変される。
本明細書で用いられる「酸化条件」という用語は、システイン残基間でのジスルフィド結合の形成を補助し、促進する反応条件を示す。ジスルフィド結合の形成は、限定はされないが、架橋可能なシステイン残基と酸素(すなわち二原子および/または三原子酸素)からなる気体との接触および/または化学酸化剤の添加を含む、当該技術分野で周知の多数の手段により誘発されうる。分子酸素を含む気体の使用は好ましい。さらなる実施形態では、二原子および/または三原子酸素を含む気体は、水性反応溶液で発泡および/または散布がある期間なされることで有効な酸化架橋がなされる。酸化架橋ステップは、最適な結果を得るため、場合により水性反応混合物の混合および/または撹拌という処理を含みうる。化学酸化剤の例は当該技術分野で周知であり、限定はされないが、数例を挙げると、過酸化化合物、次亜塩素酸塩、ハロゲン、および過マンガン酸塩を含みうる。
本明細書で用いられる「還元条件」という用語は、システイン残基間のジスルフィド結合の還元を補助し、促進する(すなわち架橋に用いられるジスルフィド結合を破壊する)反応条件を示す。ジスルフィド結合は、窒素散布および/またはNaSO、DTT(ジチオトレイトール)、TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、およびこれらの混合物などの化学還元剤の使用などの周知の多数の手段により還元されうる。一般に、還元剤は、チオール基を有するもの、ホスフィンおよびその誘導体ならびに亜硫酸塩およびチオ硫酸塩であるものを含む。
本明細書で用いられる「作動可能に連結される」という用語は、一方の機能が他方により影響を受けるような核酸配列の単一の核酸断片上への結合を示す。例えば、プロモーターが、そのコード配列の発現に効果を及ぼすことが可能である(すなわちコード配列がプロモーターの転写調節下にある)場合、コード配列に作動可能に連結されている。さらなる実施形態では、「作動可能に連結される」の定義はまた、キメラ遺伝子の産物、例えば融合ペプチドへと拡大解釈されうる。したがって「作動可能に連結される」はまた、封入体タグの生成および回収がなされるべき目的のペプチドへの連結を示すことになる。封入体タグは、発現時に融合タンパク質が不溶性でありかつ発現宿主細胞内で封入体として蓄積する場合、目的のペプチドに「作動可能に連結される」。
本明細書で用いられる「融合タンパク質」、「融合ペプチド」、「キメラタンパク質」、および「キメラペプチド」という用語は同義的に用いられ、少なくとも2つの部分(各部分は異なる機能を含む)を含むアミノ酸の重合体(ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質)を示すことになる。融合ペプチドの少なくとも1つの第1の部分は少なくとも1つの本封入体タグを含む。融合ペプチドの少なくとも1つの第2の部分は少なくとも1つの目的のペプチドを含む。
本ペプチド(封入体タグ、切断可能なペプチドリンカー、目的のペプチド、スペーサーペプチド、および融合ペプチド)を調製するための手段は、当該技術分野で周知である(例えば、Stewartら、「Solid Phase Peptide Synthesis」、Pierce Chemical Co.(Rockford,IL)、1984年;Bodanszky、「Principles of Peptide Synthesis」、Springer−Verlag(New York)、1984年;およびPenningtonら、「Peptide Synthesis Protocols」、Humana Press(Totowa,NJ)、1994年を参照)。本明細書中に記載の融合ペプチドの様々な成分(封入体タグ、目的のペプチド、および切断可能なリンカー/切断配列)は、カルボジイミド共役剤(例えば、Hermanson、Greg T.、「Bioconjugate Techniques」、Academic Press(New York)(1996年)を参照)、塩化二酸、ジイソシアン酸塩、およびペプチド上の末端のアミンおよび/またはカルボキシル酸基に反応性を示す他の二官能性共役試薬を用いて結合されうる。しかし、化学合成は、コストおよび/または不純物が原因で約50未満のアミノ酸長のペプチドに限定されることが多い。好ましい実施形態では、本明細書中に記載の生体分子(IBT、POI、融合ペプチドなど)は、標準の組換えDNAおよび分子クローニング技術を用いて調製される。
本明細書で用いられる「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は同義的に用いられ、ペプチド結合により互いに結合される2つ以上のアミノ酸の重合体を示すことになり、ここでペプチドは不特定の長さを有することから、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は本定義の範囲内に含まれる。一態様では、本用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体または標識アミノ酸を有するペプチドおよびペプチド模倣体は本定義の範囲内に含まれる。好ましい実施形態では、本IBTはL−アミノ酸からなる。
本明細書で用いられる「目的のタンパク質」、「目的のポリペプチド」、「目的のペプチド」、「標的タンパク質」、「標的ポリペプチド」、「標的ペプチド」、「発現可能なタンパク質」、および「発現可能なポリペプチド」という用語は同義的に用いられ、生物活性がありかつ宿主細胞の遺伝的機構により発現されうるタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを示すことになる。
本明細書で用いられる「生物活性」または「目的のペプチドの活性」という用語は、目的のペプチドおよび/またはタンパク質に関連した活性または特性を示す。生物活性ペプチドは、限定はされないが、疾患用の治療剤(例えば、インスリン、インターフェロン、インターロイキン、抗血管新生ペプチド(米国特許第6,815,426号明細書))、ならびに、(目的のペプチドが抗体または抗体のFab断片でないという条件で)限定された細胞標的(数例を挙げると、受容体、チャネル、脂質、細胞質内タンパク質、および膜タンパク質など)に結合するポリペプチド、抗菌活性を有するペプチド、効果剤の標的送達を意図した、特定の材料に対して親和性を有するペプチド(例えば、毛髪結合ポリペプチド、皮膚結合ポリペプチド、爪結合ポリペプチド、セルロース結合ポリペプチド、ポリマー結合ポリペプチド、クレー結合ポリペプチド、ケイ素結合ポリペプチド、カーボンナノチューブ結合ポリペプチド、および特定の動物または植物組織に対して親和性を有するペプチド)を含む種々の用途で用いられうる。目的のペプチドは、典型的には300以下のアミノ酸長、好ましくは200未満のアミノ酸長、および最も好ましくは100未満のアミノ酸長である。好ましい実施形態では、目的のペプチドは、コンビナトリアルに生成されたライブラリーから選択されるペプチドであり、ここでペプチドは標的基質に対する特異的な親和性に基づいて選択される。
本明細書で用いられる「効果剤」は、限定的用途での目的のペプチドを含む複合体に所望の機能性を与える分子を示す。効果剤は、単独で目的のペプチドであるか、あるいは目的のペプチドに(共有または非共有)結合されるかまたは関連する1つ以上の分子である場合があり、ここでは標的ポリペプチドの結合親和性を用い、効果剤が標的材料に選択的に標的化される。別の実施形態では、標的ポリペプチドは、少なくとも1つの標的材料(例えば、生体分子、ポリマー、毛髪、皮膚、爪、クレー、他のペプチドなど)に対して親和性を有する少なくとも1つの領域と、効果剤(例えば、薬剤、色素、コンディショナー、染料、香料など)に対して親和性を有する少なくとも1つの領域とを含む。別の実施形態では、目的のペプチドは、標的材料に対して親和性を有する複数の領域と効果剤に対して親和性を有する複数の領域とを含む。さらに別の実施形態では、目的のペプチドは、標的材料に対して親和性を有する少なくとも1つの領域と、種々の効果剤(同じまたは異なる場合がある)に対して親和性を有する複数の領域とを含む。効果剤の例は、限定はされないが、数例を挙げると、パーソナルケア製品用のコンディショナー、色素、染料、香料、薬剤(例えば癌治療剤の標的送達)、診断/標識化剤、紫外線遮断剤(すなわち日焼け止め剤(sunscreen protectant)における活性剤)、および抗菌剤(例えば抗菌ペプチド)を含む。
本明細書で用いられる「封入体」は、細胞の細胞質内に見出される凝集タンパク質を含む細胞内の不定形沈着物(amorphous deposit)である。典型的には宿主細胞および/または細胞溶解液の場合に可溶性である目的のペプチドの1つ以上の本封入体タグへの融合により、不溶性融合タンパク質の形成が促進されうる。他の実施形態では、目的のペプチドは、宿主細胞内で部分的に不溶性でありうるが、有意な封入体形成が生じない場合、相対的に低いレベルで生成されうる。したがって、封入体の形成によりペプチドの生成が増大することになる。さらなる実施形態では、1つ以上の封入体タグ(IBT)に対する目的のペプチドの融合により、宿主細胞内で生成されるタンパク質の量が増加する。封入体の形成により、遠心分離および濾過などの当該技術分野で周知の技術を用い、融合ペプチドの細胞溶解液からの単純かつ効率的な精製が促進される。別の実施形態では、封入体タグは、目的のペプチドにシステイン残基が存在しないという条件下での(ペプチド断片の混合物への切断後の)IBTの目的のペプチドからの分離にとって有用な架橋可能なシステイン残基の有効数を含む。融合タンパク質は、典型的には、目的のタンパク質/ポリペプチドの封入体タグからの分離に用いられる1つ以上の切断可能なペプチドリンカーを含む。切断可能なペプチドリンカーは、封入体タグと目的のタンパク質/ポリペプチドがリンカー要素の切断により容易に分離されうるように設計される。ペプチドリンカーは、化学的に(例えば酸加水分解)または酵素的に(すなわち、切断可能なペプチドリンカー内のアミノ酸切断部位および/または配列を優先的に認識するプロテアーゼ/ペプチターゼの使用)切断されうる。
「コドン縮重」は、コードポリペプチドのアミノ酸配列に作用することなくヌクレオチド配列の変異を可能にする遺伝子コードにおける性質を示す。したがって、本発明は、本アミノ酸配列をコードする任意の核酸断片に関する。当業者は、所与のアミノ酸を特定するための、ヌクレオチドコドンの使用時に特定の宿主細胞により示される「コドンバイアス」について十分に理解している。したがって、宿主細胞内での発現の改善を意図して遺伝子を合成する場合、遺伝子を、そのコドン使用頻度が宿主細胞での好ましいコドン使用頻度に近づくように設計することが望ましい。
本明細書で用いられる「可溶性」という用語は、特定の条件下での液体の単位体積中に溶解されうる物質の量を示す。本願では、「可溶性」という用語は、ペプチド(封入体タグ、目的のペプチド、または融合ペプチド)の、溶媒、例えば生物学的緩衝液のある体積中に再懸濁される能力を表すのに用いられる。一実施形態では、生成のために標的化されるペプチド(「目的のペプチド」)は、通常、正常な生理的条件下で細胞内および/または細胞溶解液中に可溶性である。標的ペプチドに対する1つ以上の封入体タグ(IBT)の融合により、正常な生理的条件下で不溶性である融合ペプチドの形成がもたらされ、結果として封入体が形成される。一実施形態では、目的のペプチドは、5〜12、好ましくは6〜10のpH範囲、および5℃〜50℃、好ましくは10℃〜40℃の温度範囲を有する水性マトリックス中で不溶性である。
「アミノ酸」という用語は、タンパク質またはポリペプチドの基本的化学構造単位を示す。以下の略語は本明細書中で特定のアミノ酸を同定するために用いられる。
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「遺伝子」は、コード配列の上流(5’非コード配列)および下流(3’非コード配列)の調節配列を含む、特定のタンパク質を発現する核酸断片を示す。「天然遺伝子」は、それ自体の調節配列を有する天然に見出される遺伝子を示す。「キメラ遺伝子」は、天然遺伝子でない任意の遺伝子を示し、天然に見出されることのない調節およびコード配列(融合ペプチドをコードするように操作されたコード領域を含む)を含む。したがって、キメラ遺伝子は、異なる供給源に由来する調節配列およびコード配列または同じ供給源に由来する調節配列およびコード配列を含みうるが、天然に見出されるものとは異なる様式で配列されている。「外来」遺伝子は、通常は宿主生物内に見出されることはないが宿主生物に遺伝子導入によって導入される遺伝子を示す。外来遺伝子は、非天然の生物に導入される天然遺伝子またはキメラ遺伝子を含みうる。
本明細書で用いられる「コード配列」という用語は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を示す。「適切な調節配列」は、上流(5’非コード配列)またはコード配列の下流(3’非コード配列)内に位置するヌクレオチド配列を示し、関連のコード配列の転写、RNAのプロセシングまたは安定性あるいは翻訳に作用する。調節配列は、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造を含みうる。当業者は、適切な調節配列の選択が用いられる宿主細胞および/または発現系に依存することを理解している。
本明細書で用いられる「遺伝子コンストラクト」という用語は、生物の遺伝子型または表現型の調節に有用な一連の隣接核酸を示す。遺伝子コンストラクトの非限定例として、限定はされないが、核酸分子、およびオープンリーディングフレーム、遺伝子、プラスミドなどが挙げられる。
本明細書で用いられる「発現ランキング(expression ranking)」という用語は、視覚的に評価され、かつ、0(不溶性融合ペプチドなし)〜3(不溶性融合ペプチドの最高収量)の相対スケールでスコアリングされる不溶性融合タンパク質の相対収量を意味する。組換え宿主細胞の場合での封入体形成を評価するため、多数の手段が当業者により用いられうる。本実施例で記載のように、不溶性融合ペプチドの相対収量は染色されたポリアクリルアミドゲルから視覚的に評価された。0超(すなわち1、2、または3)の発現ランキングを生成可能な任意のIBTは有効な可溶性タグであると考えられる。それに対し、有効な可溶性タグはまた、定量評価(すなわち観察される封入体)を用いて同定されうる。
本明細書で用いられる「宿主細胞」という用語は、外因性ポリヌクレオチド配列により形質転換または形質移入されているかあるいは形質転換または形質移入可能な細胞を示す。
本明細書で用いられる「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」という用語は、細胞の中央代謝の一部でない、遺伝子を保有することが多く、通常は環状二本鎖DNA分子の形態である余分な染色体要素を示す。かかる要素は、任意の供給源に由来する線状または環状の一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAにおける自己複製配列、ゲノム結合(integrating)配列、ファージまたはヌクレオチド配列である場合があり、ここでは多数のヌクレオチド配列が適切な3’未翻訳配列を有する選択された遺伝子産物におけるプロモーター断片およびDNA配列を細胞に導入可能な固有の作成物に連結されるかまたは組換えられている。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を有し、かつ特定の宿主細胞の形質転換を促進する、外来遺伝子に加わる要素を有する特定のベクターを示す。「発現カセット」は、外来遺伝子を有し、かつ外来遺伝子に加え、外来宿主内でのその遺伝子の発現の増大を可能にする因子を有する特定のベクターを示す。
本明細書で用いられる標準の組み換えDNAおよび分子クローン化技術は、当該技術分野で周知であり、Sambrook, J.およびRussell, D.、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY)(2001年);Silhavy, T.J.、Bennan, M.L.およびEnquist, L.W.、「Experiments with Gene Fusions」、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY)(1984年);およびAusubel, F.M.ら、「Short Protocols in Molecular Biology」、第5版、John Wiley and Sons,Inc.(N.Y.)、2002年に記載されている。
封入体タグ
アミロイド様タンパク質はアミロイド線維の形態を有する傾向があり、かつ凝集タンパク質はβシートテープ構造を示すことが多い。水中でβシートテープ、リボン、微小繊維、および線維に自己組織化可能な11のアミノ酸合成ペプチド(すなわちペプチド「PII−2」;ペプチド「DN1」としても知られる)についての記載がなされている(Aggeliら、J.Amer.Chem.Soc.、125:9619−9628頁(2003年);Aggeliら、PNAS、98(21):11857−11862頁(2001年);Aggeliら、Nature、386:259−262頁(1997年);およびAggeliら、J.Mater Chem、7(7):1135−1145頁(1997年))。
P11−2ペプチド(IBT−136に一致;配列番号17)は、コア配列Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln(配列番号58)(式中、Xaa1=Arg、His、またはLys;Xaa2=Gln、His、またはLys;Xaa3=Gln、His、またはLys;Xaa4=GluまたはGln;およびXaa5=GlnまたはLys(下記の式1の太字部分を参照))の少なくとも2つのコピーを含む構造的に関連した封入体タグのファミリーを調製するための出発材料として選択された。
一連のIBT−136類似体が調製され、評価された。コピー数の変化、タグの付加(charge)の改変、コア配列を分離するスペーサー要素の組成物の改変、および架橋可能なシステイン残基/部分の数の改変を含むいくつかのアプローチが採用された。短いスペーサー配列がコア配列の間に挿入された。一実施形態では、式1の「スペーサー」は、2〜10アミノ酸長、好ましくは3〜6アミノ酸長、および最も好ましくは3〜4アミノ酸長のペプチドであり、かつプロリン、グリシン、システイン、アルギニン、およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸からなる。さらなる実施形態では、「スペーサー」配列はPro−Arg−Gly、Pro−Cys−Gly、Pro−Arg−Cys−Gly(配列番号56)、Pro−Glu−Gly、およびPro−Glu−Cys−Gly(配列番号57)からなる群から選択される。
本封入体タグの構造は式1により定義される(特に断りのない限り、様々なアミノ酸の3文字の略語が用いられる)。
式1
Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln−スペーサー−[[Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln]−[スペーサー]
(配列番号262)
(式中、
Xaa1=Arg、His、またはLys;
Xaa2=Gln、His、またはLys;
Xaa3=Gln、His、またはLys;
Xaa4=GluまたはGln;
Xaa5=GlnまたはLys;
n=1〜10;
m=n−1;かつ
スペーサーはプロリン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、およびシステインからなる群から選択されるアミノ酸を含むペプチドである)
好ましい実施形態では、nは1〜3である。
本封入体タグの各々は、正常な生理的条件下、宿主細胞内で可溶性が高い目的の短いペプチド(POI)に作動可能に連結された。得られる融合タンパク質/ペプチドは不溶性の封入体として生成された。各融合ペプチドは、適切な宿主細胞内で組み換え的に発現され、不溶性融合ペプチドの形成について評価された。封入体形成を測定するための手段は当該技術分野で既知であり、限定はされないがゲル分離および分析技術(例えばSDS−PAGE)を含む。
別の実施形態では、封入体タグは、少なくとも1つの架橋可能なシステイン部分(CCPGCC;配列番号33)をさらに含む。さらなる実施形態では、少なくとも1つの架橋可能なシステイン部分は、式1により定義される封入体タグのアミノおよび/またはカルボキシ末端に位置する。
別の実施形態では、封入体タグは、IBT103(配列番号15)、IBT138(配列番号19)、IBT139(配列番号21)、IBT139(5C);IBT139.CCPGCC(配列番号31)、IBT182(配列番号39)、IBT183(配列番号41)、IBT184(配列番号43)、IBT185(配列番号45)、IBT186(配列番号27)、IBT187a(配列番号47)、およびIBT187b(配列番号49)からなる群から選択される。本封入体タグの一部のCLUSTALWアラインメントは図1に提供される(繰り返しコア配列は下線で示される)。
別の実施形態では、目的のペプチド(POI)に作動可能に連結され、かつ少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカー配列(CS)により分離された本封入体タグ(IBT)の少なくとも1つを含む不溶性融合タンパク質が提供される。好ましい態様では、切断可能なペプチドリンカー(CS)は少なくとも1つの酸切断可能なアスパラギン酸−プロリン(Asp−Pro)部分を含む。
IBT−CS−POI
または
POI−CS−IBT
別の実施形態では、融合ペプチドは、有効数の架橋可能なシステイン残基を含む封入体タグを含む。有効数の架橋可能なシステイン残基の封入は、プロセシングの間に封入体タグを選択的に沈殿させかつ目的のペプチドから分離するのに有用である。融合ペプチドの切断時、断片の混合物(IBTおよびPOI)は、IBTに取り込まれる有効数のシステイン残基を架橋するのに十分な期間、酸化条件に従う。酸化架橋により、目的のペプチドに架橋可能なシステイン残基が存在しないという条件下で、IBTが可溶性の目的のペプチドから選択的に沈殿される。
システイン残基を含むIBTは、架橋可能なシステイン残基を有する目的のペプチドと併せて可溶性タグとして有効に用いられうる。しかし、かかる状況では、酸化架橋ステップは、典型的には以降のPOIの単離の間に省略されることになる。
発現可能な目的のペプチド
本方法を用いる生成のために標的化される目的のペプチド(「発現可能なペプチド」)は、正常な生理的条件下、宿主細胞内および/または宿主細胞溶解液中で可溶性が高い線状ペプチドである。好ましい態様では、目的のペプチドは一般に短く(300未満のアミノ酸長)、タンパク質分解により十分な量で生成することが困難である。タグを形成する本封入体の少なくとも1つに対する目的のペプチドの融合により、正常な生理的条件下、宿主細胞内および/または宿主細胞溶解液中で不溶性である融合ペプチドが作成される。目的のペプチドの生成は、典型的には、不溶性封入体の形態で発現され蓄積される場合、ペプチドが一般にタンパク質分解からより十分に保護されることから増大する。さらに、不溶性融合タンパク質は、遠心分離または濾過を用い、宿主細胞溶解液から容易に分離されうる。
一般に、本封入体タグは、(1)典型的には典型的な生理的条件下、細胞内および/または細胞溶解液中で可溶性であり、および/または(2)封入体の形態で発現される場合よりも有意に高いレベルで生成されうる任意の目的のペプチドを生成するためのプロセスで用いられうる。好ましい実施形態では、目的のペプチドは、正常な生理的条件および/またはプロセス条件、宿主細胞内および/または対応する細胞溶解液中で可溶性が高い。
目的のペプチドの長さは、(1)ペプチドが宿主細胞内および/または細胞溶解液中で可溶性が高く、および/または(2)生成される標的ペプチドの量が不溶性の融合ペプチド/封入体の形態で発現される場合に有意に増加する(すなわち、融合タンパク質の形態での発現により目的のペプチドがタンパク質分解から保護される)限り、変化しうる。典型的には、目的のペプチドは、300未満のアミノ酸長、好ましくは100未満のアミノ酸長、より好ましくは75未満のアミノ酸長、さらにより好ましくは50未満のアミノ酸長、および最も好ましくは25未満のアミノ酸長である。
目的のペプチドの機能は本方法により限定されるものではなく、限定はされないが、疾患用の治療剤(例えば、インスリン、インターフェロン、インターロイキン、ペプチドホルモン、抗血管新生ペプチド)、ならびに、(目的のペプチドが抗体または抗体のFab部分または一本鎖可変断片抗体;scFvでないという条件で)受容体、チャネル、脂質、細胞質内タンパク質、および膜タンパク質などの限定された細胞標的に結合し、作用するペプチド(米国特許第6,696,089号明細書を参照)、少なくとも1つの効果剤の標的送達を意図した、特定の材料に対して親和性を有するペプチド(例えば、生体組織、生体分子、毛髪結合ペプチド(米国特許出願第11/074473号明細書;国際公開第0179479号パンフレット;米国特許出願公開第2002/0098524号明細書;米国特許出願公開第2003/0152976号明細書;国際公開第04048399号パンフレット;米国特許出願第11/512910号明細書;米国特許出願第11/516362号明細書;および米国特許出願第11/696380号明細書)、皮膚結合ペプチド(米国特許出願第11/069858号明細書;国際公開第2004/000257号パンフレット;米国特許出願第11/516362号明細書;および米国特許出願第11/696380号明細書)、爪結合ペプチド(米国特許出願第11/074473号明細書;米国特許出願第11/696380号明細書)、セルロース結合ペプチド、ポリマー結合ペプチド(米国特許出願第11/607723号明細書、米国特許出願第11/607792号明細書、米国特許出願第11/607734号明細書、米国特許出願第11/607672号明細書、および米国特許出願第11/607673号明細書)、およびクレー結合ペプチド(米国特許出願第11/696380号明細書))(米国特許出願第10/935642号明細書;米国特許出願第11/074473号明細書;および米国特許出願第11/696380号明細書を参照)などの生物活性分子を含みうる。
好ましい態様では、目的のペプチドは、コンビナトリアルに生成されたペプチドライブラリーから同定される親和性ペプチドである。さらなる態様では、ペプチドは、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、リボソームディスプレイおよびmRNAディスプレイからなる群から選択される技術を用いて調製された、コンビナトリアルに生成されたライブラリーから選択される。
好ましい態様では、目的のペプチドは、毛髪結合ペプチド、皮膚結合ペプチド、爪結合ペプチド、歯結合ペプチド、抗菌ペプチド、色素結合ペプチド、クレー結合ペプチド、およびポリマー結合ペプチドからなる群から選択される。別の好ましい態様では、目的のペプチドは、配列番号3、4、5、7、9、11、13、23、および59〜147からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む毛髪結合ペプチド、配列番号148〜155からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む皮膚結合ペプチド、配列番号156および157からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む爪結合ペプチド、および配列番号268〜307からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む歯結合ペプチドからなる群から選択される。さらなる実施形態では、目的のペプチドはマルチブロック毛髪結合ペプチドである。マルチブロック毛髪結合ペプチドの例として、限定はされないが、HC77607(配列番号7)、HC77638(配列番号9)、HC77643(配列番号11)、HC77681(配列番号13)、およびHC776124(配列番号23)が挙げられる。
親和性ペプチドは、限定的用途での標的材料(例えば毛髪、皮膚など)に所望の機能性を与える効果剤の標的化に特に有用である(コンディショナー、色素/着色剤、香料などの典型的な効果剤を挙げると、米国特許出願第10/935642号明細書;米国特許出願第11/074473号明細書;米国特許出願第11/512910号明細書;および米国特許出願第11/696380号明細書)。効果剤は、単独で目的のペプチドであるか、あるいは目的のペプチドに(共有または非共有)結合されるかまたは関連する1つ以上の分子である場合があり、ここでは目的のペプチドの結合親和性を用い、効果剤が標的材料に選択的に標的化される。別の実施形態では、目的のペプチドは、少なくとも1つの標的材料(例えば、生体分子、ポリマー、毛髪、皮膚、爪、クレー、他のペプチドなど)に対して親和性を有する少なくとも1つの領域と、効果剤(例えば、薬剤、抗菌剤、色素、コンディショナー、染料、香料など)に対して親和性を有する少なくとも1つの領域とを含む。別の実施形態では、目的のペプチドは、標的材料に対して親和性を有する複数の領域と1つ以上の効果剤に対して親和性を有する複数の領域とを含む。さらに別の実施形態では、目的のペプチドは、標的材料に対して親和性を有する少なくとも1つの領域と、種々の効果剤(同じかまたは異なる場合がある)に対して親和性を有する複数の領域とを含む。効果剤の例は、限定はされないが、数例を挙げると、パーソナルケア製品用のコンディショナー、色素、染料、香料、薬剤(例えば癌治療剤の標的送達)、診断/標識化剤、紫外線遮断剤(すなわち日焼け止め剤における活性剤)、および抗菌剤(例えば抗菌ペプチド)を含む。
切断可能なペプチドリンカー
切断可能なペプチドリンカー(すなわち切断部位または切断配列)の使用は当該技術分野で周知である。本封入体タグを含む融合ペプチドは、典型的には、封入体タグを目的のポリペプチドから分離する少なくとも1つの切断可能な配列を含むことになる。切断可能な配列は、封入体タグの目的のペプチドからの分離を促進する。一実施形態では、切断可能な配列は、封入体タグおよび/または目的のペプチドの一部により提供されうる(例えば、酸切断可能なアスパラギン酸−プロリン部分の封入)。好ましい実施形態では、切断可能な配列は、(融合ペプチド内に)封入体タグと目的のペプチドの間に少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーを含むことで提供される。
ペプチドリンカーを切断するための手段は、当該技術分野で周知であり、化学的加水分解、酵素切断剤、およびこれらの組み合わせを含みうる。一実施形態では、1つ以上の化学的に切断可能なペプチドリンカーは、目的のペプチドの封入体融合タンパク質からの回収を促進するための融合コンストラクト内に含まれる。化学切断試薬の例として、臭化シアノゲン(メチオニン残基を切断)、N−クロロスクシンイミド、ヨード安息香酸またはBNPS−スカトール[2−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−3−メチルインドール](トリプトファン残基を切断)、希酸(アスパルチル−プロリル結合を切断)、およびヒドロキシルアミン(pH9.0、アスパラギン−グリシン結合で切断)が挙げられ、Gavit, P.およびBetter, M.、J.Biotechnol.、79:127−136頁(2000年);Szokaら、DNA、5(1):11−20頁(1986年);およびWalker, J.M.、「The Proteomics Protocols Handbook」、2005年、Humana Press(Totowa,NJ)を参照のこと。好ましい実施形態では、1つ以上のアスパラギン酸−プロリン酸の切断可能な認識部位(すなわち1つ以上のD−Pジペプチド部分を含む切断可能なペプチドリンカー)は、封入体タグの目的のペプチドからの分離を促進するための融合タンパク質コンストラクト内に含まれる。別の実施形態では、融合ペプチドは、1つ以上の切断可能なペプチドリンカーにより分離される目的のペプチドをコードする複数の領域を含みうる。
別の実施形態では、1つ以上の酵素切断配列は、目的のペプチドの回収を促進するための融合タンパク質コンストラクト内に含まれる。タンパク質分解酵素およびそれらの各切断部位の特異性は当該技術分野で周知である。好ましい実施形態では、タンパク質分解酵素は、封入体タグおよび目的のペプチドを分離するペプチドリンカーのみを特異的に切断するように選択される。ペプチドリンカーの切断に有用な酵素の例として、限定はされないが、Arg−Cプロテイナーゼ、Asp−Nエンドペプチターゼ、キモトリプシン、クロストリパイン、エンテロキナーゼ、因子Xa、グルタミルエンドペプチターゼ、グランザイムB、アクロモバクター(Achromobacter)プロテイナーゼI、ペプシン、プロリンエンドペプチターゼ、プロテイナーゼK、ブドウ球菌(Staphylococcal)ペプチターゼI、サーモリシン、トロンビン、トリプシン、およびタンパク質分解酵素のカスパーゼファミリーのメンバー(例えばカスパーゼ1〜10)(Walker, J.M.、上記)が挙げられる。切断部位配列の一例が、配列番号261(カスパーゼ−3切断部位;Thornberryら.J.Biol.Chem.、272:17907−17911頁(1997年)およびTyasら、EMBO Reports、1(3):266−270頁(2000年))により提供される。
典型的には、切断ステップは、不溶性封入体および/または不溶性融合ペプチドの細胞溶解液からの単離後に行われる。細胞は、当該技術分野で周知の多数の手段(例えば機械的および/または化学的溶解)を用いて溶解されうる。不溶性封入体/融合ペプチドを細胞溶解液から単離するための方法は当該技術分野で周知である(例えば、遠心分離、濾過、およびそれらの組み合わせ)。不溶性封入体および/または融合ペプチドは、一旦、細胞溶解液から回収されると、切断剤(化学的または酵素的)で処理され、封入体タグが目的のペプチドから切断されうる。一実施形態では、融合タンパク質および/または封入体は、切断剤での処理に先立ち、適切な溶媒中への希釈および/または溶解がなされる。さらなる実施形態では、切断ステップは、封入体タグが目的のペプチドの活性に干渉しない場合、省略可能である。
切断ステップ後、また好ましい実施形態では、目的のペプチドは、成分の示差溶解度に基づき、融合タンパク質および封入体タグからの分離および/または単離がなされうる。pH、塩濃度、および温度などのパラメータは、封入体タグの目的のペプチドからの分離を促進するように調節されうる。一実施形態では、所定のプロセスマトリックス(典型的には水性マトリックス)において、目的のペプチドは可溶性である一方、封入体タグおよび/または融合タンパク質は不溶性である。別の実施形態では、所定のプロセスマトリックスにおいて、目的のペプチドは不溶性である一方、封入体タグは可溶性である。
好ましい実施形態では、封入体タグは、目的のペプチドにシステイン残基が存在しないという条件下で架橋可能なシステイン残基の有効数を含む。切断時、酸化架橋の使用により、IBT(典型的には不溶性)が選択的に架橋される。条件は、架橋IBTが不溶性である一方、目的のペプチドが可溶性を維持するように制御される。次いで、可溶性の目的のペプチドは、遠心分離および/または濾過などの簡単な分離技術を用いて架橋IBTから分離される。
任意の実施形態では、目的のペプチドは、数例を挙げると、イオン交換、ゲル精製技術、およびカラムクロマトグラフィー(米国特許第5,648,244号明細書)など、多数の当該技術分野で周知の精製技術を用いてさらに精製されうる。
融合ペプチド
本封入体タグの使用により、宿主細胞内で不溶性のキメラポリペプチド(「融合ペプチド」または「融合タンパク質」)が作成され、封入体が形成される。本封入体タグを所与とすると、本融合ペプチドをコードする発現可能な遺伝子コンストラクトの合成および発現は当業者に周知である。
本融合ペプチドは、少なくとも1つの目的のペプチドに作動可能に連結された本封入体タグ(IBT)の少なくとも1つを含むことになる。典型的には、融合ペプチドはまた、封入体タグと目的のペプチドの間に切断部位を有する少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーを含むことになる。一実施形態では、封入体タグは切断部位を含む場合があり、それ故に別々の切断可能なペプチドリンカーの封入が必要でない場合がある。好ましい実施形態では、切断方法は、目的のペプチドが用いられる切断剤による悪影響を受けないことを保証するように選択される。さらなる実施形態では、目的のペプチドの修飾により、ペプチドの所望の活性が悪影響を受けない限り、ペプチドで生じうる切断部位が除去されうる。
当業者は、融合タンパク質の因子が種々の方法で構築されうることを理解するであろう。典型的には、融合タンパク質は、少なくとも1つのIBT、少なくとも1つの目的のペプチド(POI)、およびIBTとPOIの間に位置する切断部位(CS)を含む少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカー(CL)を含むことになる。封入体タグは、融合ペプチド内での目的のペプチドの位置に相対的なリーダー配列またはターミネーター配列として構築されうる。別の実施形態では、複数のIBT、POI、およびCLは、融合ペプチドを設計する場合に用いられる。さらなる実施形態では、融合ペプチドは、(本明細書中で定義の)複数のIBT、POI、およびCL(同じかまたは異なる)を含みうる。
融合ペプチドは、10℃〜50℃、好ましくは10℃〜40℃の温度の水性マトリックス中で不溶性である必要がある。水性マトリックスは、典型的には、5〜12、好ましくは6〜10、および最も好ましくは6〜8のpH範囲を含む。水性マトリックスの温度、pH、および/またはイオン強度は、融合ペプチド/封入体の所望の可溶特性を得るように調節されうる。
不溶性融合ペプチドを用いて目的のペプチドを作成するための方法
本封入体タグを用い、生成宿主内で封入体を形成する融合ペプチドが作成される。この方法は、(1)細胞溶解液の他の可溶性成分からの単離が困難であり、および/または(2)標的生成宿主内での有意な量での生成が困難である、有意な量の可溶性の目的のペプチドの生成にとって特に興味深い。
本方法では、目的のペプチドは本封入体タグの少なくとも1つに融合され、不溶性融合タンパク質が形成される。融合タンパク質をコードする遺伝子コンストラクトの発現により、宿主細胞内で封入体の形態で蓄積する不溶性形態の目的のペプチドが形成される。宿主細胞は、不溶性融合ペプチドが細胞内で蓄積するのに十分な期間にわたり成長される。
次いで、宿主細胞は当該技術分野で周知の多数の技術を用いて溶解される。次いで、不溶性融合ペプチド/封入体は、遠心分離および/または膜濾過などの簡単かつ経済的な技術を用い、細胞溶解液の可溶性成分から分離される。次いで、不溶性融合ペプチド/封入体は、目的のペプチドを単離するため、さらなる処理を受けうる。典型的には、これは融合ペプチドの切断、封入体タグの目的のペプチドからの分離に適する液体マトリックス中への融合ペプチド/封入体の再懸濁を含むことになる。融合タンパク質は、典型的には封入体タグを目的のペプチドから分離する切断可能なペプチドリンカーを含むように設計される。切断ステップは、当該技術分野で周知の多数の技術(化学的切断、酵素切断、およびこれらの組み合わせ)を用いて行われうる。次いで、目的のペプチドは、当該技術分野で周知の多数の技術(遠心分離、濾過、沈殿、カラムクロマトグラフィーなど)を用いて封入体タグおよび/または融合ペプチドから分離されうる。好ましくは、目的のペプチド(一旦、融合ペプチドから切断される場合)は、封入体タグおよび/または残存する融合ペプチドの可溶性とは有意に異なる可溶性を有する。さらなる好ましい実施形態では、酸化架橋の使用により(架橋可能なシステイン残基の有効数を含む)IBTが目的のペプチド(架橋可能なシステイン残基が存在しない場合)から選択的に沈殿される。本明細書で示されるように、IBT−136の誘導体(すなわちIBT139.CCPGCC、IBT139(5C)、IBT185、およびIBT186)が架橋可能なシステイン残基の有効数を含むように設計された。
形質転換および発現
一旦、封入体タグが同定され、適切な目的のペプチドと対を成していると、適切な発現宿主に形質転換されているカセットおよびベクターの作成は、当該技術分野で一般的で周知である。典型的には、ベクターまたはカセットは、関連キメラ遺伝子の転写および翻訳を誘導する配列、選択可能マーカー、および自己複製または染色体組み込みを可能にする配列を有する。適切なベクターは、転写開始制御を有する遺伝子の5’領域および転写終結を制御するDNA断片の3’領域を含む。両方の制御領域が形質転換宿主細胞に対して相同な遺伝子に由来する場合が最も好ましいが、かかる制御領域は生成宿主として選択される特定種に固有の遺伝子に由来する必要がないことを理解されるべきである。
所望の宿主細胞内での融合ペプチドをコードする遺伝子コンストラクトの発現の駆動に有用な転写開始制御領域またはプロモーターは、極めて多数存在し、当業者に周知である。実質的には、これらのコンストラクトを駆動可能な任意のプロモーターは、本発明に適し、それは、限定はされないが、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス(Saccharomyces)内での発現に有用);AOX1(ピキア(Pichia)内での発現に有用);およびlac、ara、(pBAD)、tet、trp、lP、lP、T7、tac、およびtrc(大腸菌(Escherichia coli)内での発現に有用)、ならびにバチルス(Bacillus)内での発現に有用なamy、apr、nprプロモーターおよび様々なファージプロモーターを含む。
終結制御領域についても好ましい宿主に対して天然の様々な遺伝子から誘導されうる。場合により終結部位は不要でありうるが、含められる場合が最も好ましい。
本融合ペプチドの発現にとって好ましい宿主細胞は、真菌または細菌ファミリーの範囲内で広範に見出される可能性があり、かつ広範囲にわたる温度、pH値、および溶媒耐性で成長する微生物宿主である。例えば、細菌、酵母、および糸状真菌のいずれかが融合ペプチドをコードする本核酸分子の発現に適する宿主になると考えられる。転写、翻訳、およびタンパク質生合成装置が細胞供給原料(cellular feedstock)に無関係に同じである故、細胞バイオマスの生成に用いられる炭素供給原料に無関係に遺伝子が発現される。大規模な微生物成長および機能的遺伝子発現では、広範囲の単純または複雑な炭水化物、有機酸およびアルコール(すなわちメタノール)、メタンなどの飽和炭化水素、あるいは光合成または化学合成独立栄養宿主の場合の二酸化炭素が用いられうる。しかし、機能的遺伝子は、窒素、リン、硫黄、酸素、炭素または小さい無機イオンを含む任意の微量栄養素の形態および量を含みうる特定の成長条件により、調節、抑制、弱体化がなされうる。さらに、機能的遺伝子の調節は、培養物に添加され、かつ典型的には栄養素またはエネルギー源と考えられない特定の調節分子の存在または不在により行われうる。成長速度もまた、遺伝子発現における重要な調節因子でありうる。宿主株の例として、限定はされないが、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia)、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)などの真菌または酵母種、またはサルモネラ(Salmonella)、バチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、緑色硫黄細菌(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリキア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パンテア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロサイナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバチルス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミキソコッカス(Myxococcus)などの細菌種が挙げられる。好ましい細菌宿主株は、エシェリキア(Escherichia)、シュードモナス(Pseudomonas)、およびバチルス(Bacillus)を含む。極めて好ましい態様では、細菌宿主株は大腸菌(Escherichia coli)である。
発酵培地
本発明における発酵培地は、適切な炭素基質を含有する必要がある。適切な基質が、限定はされないが、グルコースおよびフルクトースなどの単糖、乳糖またはスクロースなどのオリゴ糖、デンプンまたはセルロースなどの多糖、あるいはそれらの混合物、ならびに乳清透過液、コーンスティープリカー(cornsteep liquor)、砂糖液(sugar beet molasses)、および大麦モルト(barley malt)などの再生可能な原料由来の未精製混合物を含みうる。さらに、炭素基質はまた二酸化炭素または主要な生化学的中間体への代謝変換が実証されているメタノールなどの1炭素基質でありうる。メチロトローフ(methylotrophic)生物が、1炭素基質および2炭素基質に加え、メチルアミン、グルコサミンおよび代謝活性における種々のアミノ酸などの化合物を含有する他の多数の炭素を用いることでも知られている。例えば、メチロトローフ酵母がメチルアミン由来の炭素を用いてトレハロースまたはグリセロールを形成することで知られている(Bellionら、Microb.Growth C1 Compd.、[Int.Symp.]、7th(1993年)、415−32頁、Murrell J.Collin;Kelly,Don P.編、Intercept(Andover、UK)発行)。同様に、カンジダの様々な種がアラニンまたはオレイン酸を代謝することになる(Sulterら、Arch.Microbiol. 153:485−489頁(1990年))。それ故、本発明で用いられる炭素源が基質を有する多種多様な炭素を包含する場合があり、生物の選択によってのみ限定されうると考えられる。
上記の炭素基質およびそれらの混合物のすべてが本発明において適切であると考えられるが、好ましい炭素基質はグルコース、フルクトース、およびスクロースである。
発酵培地は、適切な炭素源に加え、培養物の成長および本融合ペプチドの発現の促進に適する、当業者に既知の、適切なミネラル、塩、共同因子、緩衝液および他の成分を含有する必要がある。
培養条件
適切な培養条件は、選択される生成宿主に応じて選択されうる。典型的には細胞が、適切な培地内、約25℃〜約40℃の範囲内の温度で成長される。適切な成長培地としては、ルリア・ベルターニ(Luria Bertani)(LB)培養液、サブロー・デキストロース(Sabouraud Dextrose)(SD)培養液または酵母培地(YM)の培養液などの一般的な商業的に調製された培地が挙げられる。他の限定または合成された成長培地が用いられる場合があり、かつ特定の微生物の成長に適した培地について微生物学または発酵科学に関する当業者は知っているであろう。異化代謝産物抑制を直接的または間接的に調節することで知られる作用物質、例えば環状アデノシン2’:3’一リン酸(cAMP)の使用についても発酵培地内に取り込まれうる。
発酵に適するpH範囲は典型的にはpH5.0〜pH9.0であり、pH6.0〜pH8.0が好ましい。
発酵は好気性または嫌気性条件下で実施可能であり、好気性条件が一般に好ましい。
工業用バッチおよび連続発酵
バッチ発酵は、培地の組成物が発酵開始時に設定され、発酵の間に人工的な改変が施されることがない閉鎖系である。したがって、発酵開始時に培地に望ましい生物が接種され、系に何も添加しなくても発酵の生成が可能である。典型的には「バッチ」発酵は炭素源の添加に関連したバッチであり、pHおよび酸素濃度などの要素を制御する試みがなされることが多い。バッチシステムでは、システムの代謝産物およびバイオマス組成物は、最大で発酵が停止する時間まで常時変化する。バッチ培養物内では、細胞が、変化のない誘導期(lag phase)から高成長の対数期(log phase)、最終的に成長率が減少または停止する定常期(stationay phase)にかけて抑制される。定常期における細胞が、未処理の場合、最終的に死滅することになる。対数期における細胞が、一般に最終生成物または中間体の生成の大部分に関与する。
標準のバッチシステムに対する変形がフェドバッチシステムである。フェドバッチ発酵プロセスは本発明においても適切であり、基質が発酵プロセスごとに添加されること以外では典型的なバッチシステムを含む。フェドバッチシステムは、異化代謝産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向がある場合や培地内に限られた量の基質を有することが望ましい場合に有用である。フェドバッチシステム内での実際の基質濃度の測定は困難であることから、それはpH、溶解酸素およびCOなどの排ガスの分圧などの測定可能な要素の変化に基づいて評価される。バッチおよびフェドバッチ発酵は一般的で、当該技術分野で周知であり、例がThomas D.「Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版(1989年)Sinauer Associates,Inc.(Sunderland、MA)(以下、「Brock」)、またはDeshpande,Mukund V.Appl.Biochem.Biotechnol.、36:227頁(1992年)において見出されうる。
本発明は典型的にはバッチモードで実施されるが、本方法は連続発酵方法に適合可能であろうことが考えられる。連続発酵は、限定された発酵培地がバイオリアクターに連続的に添加されかつ等量の条件培地が処理と同時に除去される場合の開放系である。細胞が主に対数増殖(log phase growth)期にある場合、連続発酵は一般に一定の高密度で培養物を維持する。
連続発酵では、細胞成長または最終生成物濃度に作用する1つの要素またはいくつかの要素の調節が可能になる。例えば、1つの方法では、炭素源などの限られた栄養素または一定速度での窒素レベルが維持され、あらゆる他のパラメータの抑制が可能になる。他のシステムでは、培地の濁度により測定される細胞濃度が一定に保持される間、成長に作用する多数の要素を連続的に改変することが可能である。連続システムでは、恒常的成長条件を維持するように試みることで、培地の除去(drawn off)に起因する細胞欠損を発酵における細胞成長率に対して均衡させなければならない。連続発酵プロセス用の栄養素および成長因子を調節する方法ならびに生成物形成の速度を最大化するための技術については産業微生物学における当該技術分野で周知であり、かつ種々の方法がBrock、上記で詳述されている。
本発明がバッチ、フェドバッチまたは連続プロセスを用いて実施可能であり、かつ発酵における既知のモードであればいずれであっても適することが考えられる。
量、濃度、または他の値もしくはパラメータがある範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値のリストとして与えられる場合、これは、任意の上限の範囲もしくは好ましい値と任意の下限の範囲もしくは好ましい値との任意のペアから形成される全範囲を、範囲が別々に開示されるか否かに無関係に具体的に開示するものとして理解されるべきであることに留意されたい。数値の範囲が本明細書中で列挙される場合、他に指定のない限り、その範囲はその端点とこの範囲内のすべての整数および分数を含むように意図されている。本発明の範囲が範囲を限定する場合に列挙される特定の値に限定されることは意図されていない。
本発明はさらに以下の実施例にて定義される。これらの実施例が本発明の好ましい実施形態を示す一方であくまで例示目的で与えられることは理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴により、その趣旨および範囲から逸脱することなく本発明に対して様々な変更および改良を行うことで、本発明の様々な利用および条件への適合が可能であることが確認できる。
用いられる略語の意味は以下のとおりである。「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmol」はマイクロモルを意味し、「pmol」はピコモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「g」は重力定数を意味し、「rpm」は毎分回転数を意味し、「DTT」はジチオトレイトールを意味し、かつ「cat#」はカタログ番号を意味する。
一般的方法:
本明細書で用いられる標準の組換えDNAおよび分子クローン化技術は当該技術分野で周知であり、Sambrook, J.およびRussell, D.、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor、NY)(2001年);およびSilhavy, T.J.、Bennan, M.L.およびEnquist, L.W.、「Experiments with Gene Fusions」、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY)(1984年);およびAusubel, F.M.ら、「Short Protocols in Molecular Biology」、第5版、John Wiley and Sons,Inc.(N.Y.)(2002年)により記載がなされている。
細菌培養物の維持および成長に適する材料および方法もまた当該技術分野で周知である。以下の実施例での使用に適する技術は、「Manual of Methods for General Bacteriology」、Phillipp Gerhardt、R.G.E.Murray、Ralph N.Costilow、Eugene W.Nester、Willis A.Wood、Noel R.KriegおよびG.Briggs Phillips編、American Society for Microbiology(Washington,DC.)、1994年、またはBrock(上記)において見出されうる。細菌細胞の成長および維持に用いられるすべての試薬、制限酵素および材料は、他に規定がない限り、BD Diagnostic Systems(Sparks,MD)、Invitrogen(Carlsbad,CA)、Life Technologies(Rockville,MD)、Qiagen(Valencia,CA)またはSigma−Aldrich Chemical Company(St.Louis,MO)から入手した。
実施例1
発現プラスミドの作成
いくつかの発現系を用い、大腸菌(E.coli)宿主細胞内で融合タンパク質を生成した。1つの発現系は、T7に基づく発現ベクター(pLX121;配列番号1;図2)を伴う大腸菌(E.coli)株BL21−AI(Invitrogen)に基づくものであり、ここでT7 RNAポリメラーゼの発現はaraBADプロモーターにより制御される。別の発現系は、pBADに基づく発現ベクター(pSF032、図3、配列番号2およびpLR186、図4、配列番号51)を伴う大腸菌(E.coli)MG1655(ATCC46076(商標))由来の株に基づくものであり、ここでaraBADオペロンの内因性染色体のコピーは欠失された(内因性araBADオペロンにおける破壊を含む修飾された大腸菌(E.coli)MG1655株は本明細書中で大腸菌(E.coli)株KK2000と称される)。各ベクター内で各プロモーターの下流でそれに作動可能に連結される3’領域を、各封入体タグおよび/または目的のペプチドをコードするDNAの単純なスワッピングを促進するように設計した。NdeIおよびBamHI制限部位を封入体タグ(IBT)をコードする領域に隣接させた。BamHIおよびAscI制限部位を目的のペプチド(POI)をコードする領域に隣接させた。
様々な融合ペプチドをコードする核酸分子を、目的のペプチド(POI)に連結された封入体タグ(IBT)をコードする少なくとも1つの領域を含むように設計した。上記のように、融合ペプチドの成分をコードする核酸分子を、発現ベクター内での挿入の促進に適するNdeI/BamHI(封入体タグをコードする領域)およびBamHI/AscI制限部位(目的のペプチドをコードする領域)を含むように設計した。核酸分子の挿入により、各プロモーターに作動可能に連結された融合ペプチドをコードするキメラ遺伝子を作成した。融合ペプチドを、目的のペプチド(POI)に連結された封入体タグ(IBT)を有するように設計し、ここで2つの成分は切断可能なペプチドリンカー(CS;例えば酸切断可能なDP部分)により分離した。
pLX121発現プラスミド(T7に基づく発現)の作成
封入体タグが可溶性の目的のペプチドに融合される場合にその性能を評価するため、遺伝子コンストラクトを調製した。pBR322複製起点およびアンピシリン耐性を付与するためのbla遺伝子を有するプラスミド(pLX121;図2;配列番号1)を用いた。キメラ遺伝子の発現をT7プロモーターにより駆動した。このプラスミドの作成については、同時係属中の米国特許出願第11/516362号明細書(参照により本明細書中に援用される)中に過去に記載がなされている。
つまり、pLX121発現ベクターを目的プラスミドpDEST17(Invitrogen(Carlsbad,CA))から設計した。発現ベクターを、融合タンパク質をコードするキメラ遺伝子がT7プロモーターの制御下で発現されるように修飾した。NdeIおよびBamHI制限部位を様々な封入体タグの簡単なスワッピング用に用いた。BamHIおよびAscI制限部位を用い、様々な目的のペプチドのスワッピングを促進した。封入体タグと目的のペプチドの間の連結部位をコードする配列を、酸切断可能なD−P部分をコードするように設計した。
発現ベクターpSF043の作成
ベクターpKSI(C4)−HC77623は市販のベクターpDEST17(Invitrogen)に由来するものであった。このベクターの作成については、同時係属中の米国特許出願第11/389948号明細書(参照により本明細書中に援用される)中に過去に記載がなされている。それは、酵素ケトステロイドイソメラーゼ(KSI;Kuliopulos, A.およびWalsh, C.T.、J.Am.Chem.Soc.116:4599−4607頁(1994年))の断片をコードする市販のベクターpET31b(Novagen(Madison,WI))に由来する配列を含む。KSI断片を封入体タグとして用い、大腸菌(E.coli)内でペプチドの不溶性封入体への分割を促進した。pET31b由来のKSI配列をコードする核酸分子を、標準の突然変異誘発方法(QuickChange II、Stratagene(La Jolla,CA))を用い、野生型KSI配列内に見出される1つのシステインコドンに加えて3つの追加的なシステインコドンを含むように修飾した結果、封入体タグKSI(C4)(配列番号52および53)を得た。プラスミドpKSI(C4)−HC77623を当業者に周知の標準の組換えDNA方法を用いて作成した。BamHIおよびAscI制限部位は様々な目的のペプチドをコードする核酸分子のスワッピングを促進した。挿入物を、封入体タグの目的のペプチドからの分離において有用な酸切断可能なDP部分をコードするように設計した。
HC77643遺伝子を、いずれかの末端上に適切な制限部位とともに、DNA2.0により合成し、上記のKSI(C4)−HC77623ベクターにクローン化し、pSF043(配列番号50;図5)を作成した。キメラ遺伝子および対応する遺伝子産物(融合ペプチドKSI(C4)−HC77643)の配列をそれぞれ配列番号54および55として提供する。
pSF032発現プラスミド(pBADに基づく発現)の作成
プラスミドpSF032(配列番号2;図3)は、ColE1タイプの複製起点およびアンピシリン耐性を付与するためのbla遺伝子を有する。タグ/ペプチド融合コンストラクトをaraBADプロモーターにより駆動する。プラスミドはまた、araC調節因子における遺伝子をコードする。
プラスミドpSF032は市販のプラスミドpBAD−HisA(Invitrogen)に由来するものであった。つまり、修飾された複数のクローニング部位(MCS)をpBAD−HisAにクローン化し、位置2844でのNdeI制限部位を除去し、pBADプロモーターの下流に単一のNdeI部位を作成した。得られたプラスミドをpBAD−HisA_MCSmodと称した。プラスミドpKSIC4−HC77623のNdeI/EcoRI断片をpBAD−HisA_MCSmodのNdeI/EcoRI部位に挿入し、プラスミドpSF004_pBAD−KSIC4−HC77623を作成した。プラスミドpSF032を、HC77623ペプチドにおけるコード領域を除去し、ペプチドHC77638におけるコード領域を挿入することにより、プラスミドpSF004から作成した(実施例2を参照)。
pLR186発現プラスミド(araBADに基づく発現)の作成
プラスミドpLR186(配列番号51;図4)は、ColE1タイプの複製起点、アンピシリン耐性を付与するためのbla遺伝子、およびスペクチノマイシン(Spec)耐性を付与するためのaadA−1遺伝子を有する。タグ/ペプチド融合コンストラクトをaraBADプロモーターにより駆動する。プラスミドはまた、araC調節因子における遺伝子をコードする。
プラスミドpLR186は市販のプラスミドpBAD−HisA(Invitrogen)に由来するものであった。つまり、修飾された複数のクローニング部位(MCS)をpBAD−HisAにクローン化し、位置2844でのNdeI制限部位を除去し、pBADプロモーターの下流に単一のNdeI部位を作成した。得られたプラスミドをpBAD−HisA_MCSmodと称した。プラスミドpKSIC4−HC77623(米国特許出願第11/389948号明細書)のNdeI/EcoRI断片をpBAD−HisA_MCSmodのNdeI/EcoRI部位に挿入し、プラスミドpSF004_pBAD−KSIC4−HC77623を作成した。スペクチノマイシン耐性遺伝子(aadA−1)を含むプラスミドpCL1920(LernerおよびInouye、Nucleic Acids Research、18:4631頁(1990年);GENBANK(登録商標)登録番号AB236930)のHindIII断片をpSF004_pBAD−KSI4−HC77623に挿入し、プラスミドpLR042を作成した。プラスミドpLR186(図4;配列番号49)を、KSIC4−HC77623融合ペプチドにおけるコード領域を除去し、融合ペプチドIBT139−HC776124(すなわち目的のHC776124ペプチドに連結された封入体タグIBT−139を含む融合ペプチド;実施例4を参照)におけるコード領域を挿入することにより、プラスミドpLR042から作成した。
実施例2
様々な目的のペプチドの作成
5種のマルチブロック毛髪結合ペプチドを以下のアミノ酸配列で消化した。マルチブロック毛髪結合ペプチドの作成については報告されている(同時係属中の米国特許出願第11/389948号明細書および米国特許出願第11/074473号明細書を参照)。可溶性のマルチブロックペプチド(すなわち「目的のペプチド」)を用い、本封入体タグを評価した。各マルチブロック毛髪結合ペプチドは1つ以上の毛髪結合ドメインを含む。機能結合ドメインを表1に提供する。毛髪結合ドメイン(太字)は、A09(IPWWNIRAPLNA;配列番号3;ポリメタクリル酸メチルに結合することも見出された)、KF11(NTSQLST;配列番号4)、およびD21’(RTNAADHP;配列番号5)を含む。マルチブロックペプチドを有する親和性ドメインは、典型的には短いペプチドスペーサーにより分離される。酸切断可能なDP部分をイタリック体で示す。
Figure 0005453261
実施例3
封入体タグの同定
いくつかの融合パートナー配列(「封入体タグ」)の、得られる融合ペプチドを(短い、一般に可溶性の目的のペプチドに作動可能に連結される場合に)細胞内の不溶性封入体へと駆動する能力について評価した。様々な毛髪結合ペプチドコンストラクト(HC77607、HC77638、HC77643、およびHC77681)をタグライブラリー(親プラスミドpLX121、下記の配列を参照)にクローン化した。融合産物の発現はT7プロモーターから駆動される。大腸菌(E.coli)BL21−AIにおいては、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子の発現はaraBADプロモーターの制御下にある(すなわちアラビノース誘発性発現)。さらに、HC77638はまた、araBADプロモーターから融合産物の発現を駆動する異なる親プラスミド(親pSF032、下記の配列を参照)ではない、同じタグからなるタグライブラリーにクローン化した。可溶性の毛髪結合ペプチド(例えば目的のペプチド)をコードする遺伝子を、制限酵素部位の、5’末端でのBamHIおよび3’末端でのAscIを用いるバッチクローニングアプローチで、タグ配列の下流にクローン化した。
親プラスミドpLX121内のすべてのコンストラクトを大腸菌(E.coli)BL21−AI細胞(Invitrogen)に形質転換し、親プラスミドpSF032内のコンストラクトを、araBADオペロンの内因性染色体のコピーにおいて欠失を有する大腸菌(E.coli)MG1655(ATCC46076(商標))に形質転換した。約1000の形質転換体を各ライブラリーについてスクリーニングした。陽性ヒットをSDS−PAGEゲル上で走らせた。結果を確認するため、LB(+100μg/mLのアンピシリン)中での成長物3mLに各コンストラクトの一晩培養物30μLを接種した。培養物を約0.4のOD600まで成長させ、0.2%アラビノースで誘発し、3時間成長させた。可溶性細胞含量対不溶性細胞含量を測定するため、細胞を溶解し、可溶性および不溶性画分をSDS−PAGEゲル上で走らせた。
結果の分析時、スクリーニングした各ライブラリーにおいては、類似配列からなる4つの封入体タグの少なくとも1つが融合タンパク質を封入体へと駆動可能であることが明らかになった(表2)。試験対象の各ペプチドの不溶性IBへの駆動は、このタグファミリーのメンバーだけでなく、異なる大腸菌(E.coli)株中で発現を駆動する異なるプロモーターの場合にも可能であった。
Figure 0005453261
実施例4
追加的な目的のペプチドの封入体への駆動のためのIBT139の使用
タグのこのファミリーがタンパク質の封入体への駆動において一般に有用であるか否かを判定するため、このファミリーの最大のメンバーであるIBT139を、タグライブラリーを用いたスクリーニングプロセスを経ていないタンパク質を用いてさらに評価した。
融合ペプチドIBT139.HC776124の作成
HC776124(配列番号23)をコードする核酸分子(配列番号22)をDNA2.0(Menlo Park,CA)から注文し、親プラスミドpLR042の制限部位BamHI(5’)およびAscI(3’)にクローン化し、プラスミドpLR186(配列番号49)を作成した。IBT139をコードする核酸分子(配列番号20)を制限部位NdeI(5’)およびBamHI(3’)にクローン化し、融合タンパク質IBT139.HC776124(配列番号25)をコードするキメラ遺伝子(配列番号24)を得た。
コンストラクト:IBT139.HC776124
ペプチドHC776124の設計を表3に提供する。ペプチドHC776124(HC77643の二量体)は、A09(配列番号3)およびKF11(配列番号4)(太字)を含むいくつかの毛髪結合ドメインからなる。酸切断可能なDP部分をイタリック体で示す(表3)。
Figure 0005453261
株の成長およびIBの分析
LB(+100μg/mLのアンピシリン)中の成長物3mLに各コンストラクトの一晩培養物30μLを接種した。培養物を約0.4のOD600まで成長させ、0.2%アラビノースで誘発し、3時間成長させた。可溶性細胞含量対不溶性細胞含量を測定するため、細胞を溶解し、可溶性および不溶性画分をSDS−PAGEゲル上で走らせた。
結果:
融合タンパク質IBT139.HC776124は不溶性封入体の形態で生成された。
実施例5
架橋可能なシステインの有効数を含む小さい封入体タグ(IBT186)は酸化架橋および沈殿による切断されたペプチド混合物から分離されうる
本実施例の目的は、架橋可能なシステイン残基の有効数を有する小さいタグの封入体タグ(例えばIBT186;配列番号26および27)(IBT186は4つのシステイン残基を有する)が、酸化架橋を用いて容易に分離される間に両方の封入体形成を駆動できることを示すことである。本実施例はまた、封入体形成の誘発に有効であることが予め示された小さい封入体タグが、封入体形成を有効に駆動するその能力を維持しつつ、架橋可能なシステイン残基の有効量を有するように修飾されうることを示す(IBT186は、配列内に4つの架橋可能なシステインが分布された小さいタグIBT139(実施例3〜4)に由来する)。4つのシステインの存在は、タグおよびペプチドの切断後でのタグの単純な沈殿を可能にする。
IBT186.HC776124の作成、クローニングおよび初期分析:
IBT186をコードする核酸分子(配列番号26)はDNA2.0(Menlo Park,CA)により合成され、それをプラスミドpLR186の制限部位NdeI(5’)およびBamHI(3’)にクローン化し(pBADプロモーターから駆動された発現)、HC776124コンストラクトとの融合体を作成し、融合ペプチドIBT186.HC776124(配列番号29)をコードするキメラ遺伝子(配列番号28)を作成した。得られたプラスミド(pLR238)を、araBADオペロンが欠失した大腸菌(E.coli)MG1655(ATCC46076(商標))に形質転換した。
LB(+100μg/mLのアンピシリン)中の成長物3mLに一晩培養物30μLを接種した。培養物を約0.4のOD600まで成長させ、0.2%アラビノースで誘発し、3時間成長させた。可溶性細胞含量対不溶性細胞含量を測定するため、細胞を溶解し、可溶性および不溶性画分をSDS−PAGEゲル上で走らせた。融合タンパク質を不溶性封入体の形態で生成した。
融合タンパク質IBT186.HC776124の大規模な調製および単離:
成長条件:
特に断りのない限り、大腸菌(E.coli)細胞を10Lの容器内で発酵させた。発酵を3段階で進行させた。
1.種子接種物125mLの調製。目的のコンストラクトを有する細胞を2YT種子培地(10g/Lの酵母抽出物、16g/Lのトリプトン、5g/LのNaClおよび適切な抗生物質)125mL中に接種し、37℃で数時間成長させた。
2.バッチ相における成長。接種物125mLを、37℃のバッチ培地(9g/LのKHPO、4g/Lの(NHHPO、1.2g/LのMgSO.7HO、1.7g/Lのクエン酸、5g/Lの酵母抽出物、0.1mL/LのBiospumex 153K消泡剤、4.5mg/Lのチアミン.HCl、23g/Lのグルコース、10mL/Lの微量元素、50mg/Lのウラシル、適切な抗生物質、pH6.7)6L中に添加した。
3.フェドバッチ相における成長。バッチ相における成長の約12時間後、フェド−バッチ相を初期化した。フェド−バッチ培地(2g/LのMgSO.7HO、4g/Lの(NHHPO、9g/LのKHPO、1〜2g/分のグルコース)を、37℃で約15時間、定速で反応装置に添加した。フェド−バッチ相の終了の4時間前、細胞を誘発し、2g/LのL−アラビノースの添加によりPOIを発現させた。
発酵培養液の処理、酸化架橋および分析
全発酵培養液を12,000psi(82,700kPa)でのAPVモデル2000 Gaulin型ホモジナイザーに3回通過させた。培養液を各均質化に先立ち5℃未満に冷却した。均質化した培養液を600mL/分および12,000相対遠心力(RCF)でのWestfalia WHISPERFUGE(商標)(Westfalia Separator Inc.(Northvale,NJ))ディスクスタック遠心分離機で直ちに処理し、封入体を懸濁された細胞残渣および溶解不純物から分離した。回収したペーストを水に15g/L(乾燥ベース)で再懸濁し、NaOHを用いてpHを約10.0に調整した。懸濁液を12,000psi(82,700kPa)でのAPV2000 Gaulin型ホモジナイザーに1回通過させ、厳密な混合を行った。均質化したpH10の懸濁液を600mL/分および12,000RCFでのWestfalia WHISPERFUGE(商標)ディスクスタック遠心分離機で直ちに処理し、洗浄した封入体を懸濁された細胞残渣および溶解不純物から分離した。回収したペーストを純水中に15gm/L(乾燥ベース)で再懸濁した。懸濁液を12,000psi(82,700kPa)でのAPV2000 Gaulin型ホモジナイザーに1回通過させ、厳密な洗浄を行った。均質化した懸濁液を600mL/分および12,000RCFでのWestfalia WHISPERFUGE(商標)ディスクスタック遠心分離機で直ちに処理し、洗浄した封入体を残留する懸濁された細胞残渣およびNaOHから分離した。回収したペーストを純水中に25gm/L(乾燥ベース)で再懸濁し、混合物のpHをHClを用いて2.2に調整した。酸性化された懸濁液を70℃に14時間加熱し、DP部位の切断を完了し、融合ペプチドを生成物ペプチドから分離した。生成物のpHを中和し(注:用いられるpHは回収されたペプチドの可溶性に応じて変化しうる)、約5℃に冷却し、12時間保持した。このステップの間、懸濁液を500mLもしくは1Lのボトル内、全量の3/4以下で保持し、酸素が十分に存在することを確認し、ジスルフィド形成によるシステイン架橋を確認した。次いで、混合物を9000RCFで30分間遠心分離し、HPLC分析のために上清をデカントした。
HPLC分析
上清を0.2ミクロン膜で濾過した。濾過生成物を、10%アセトニトリル(ACN)、90%水と0.1% v/vのトリフルオロ酢酸(TFA)で前処理(preconditioned)した10ミクロンのC18の媒体を有する22×250mmの逆相クロマトグラフィーカラムGraceVydac(登録商標)(218TP1022)に装填した。生成物を、水とアセトニトリル(ACN)の勾配が室温および約10mL/分で0.1% v/vでのTFAとともに水中で10%〜25%で可変のアセトニトリル(ACN)の場合にカラムを溶出することにより、精製状態で回収した。220nmでの分光光度的検出を用い、生成物ペプチドの溶出を監視し、追跡した。
IBTを目的のペプチドから分離するための酸化架橋
タンパク質を上記のように精製した。酸の切断およびpHの中和後、混合物を約5℃で約6時間保存し、システインにおける架橋結合を可能にした。外気への暴露により、システイン架橋を引き起こす酸素がもたらされた。混合物を9000RCFで30分間遠心分離し、沈殿した封入体タグを可溶性の目的のペプチドから分離した。
酸化架橋後の結果:
沈殿ペーストと残存する可溶性画分の双方のSDS−PAGEゲル分析によると、不溶性ペースト中にIBT186が存在し、かつHC776124が可溶性画分中に残存することが示された。これをHPLCによりさらに確認し、それから単に可溶性画分中にHC776124が存在することが示された(表4を参照)。
実施例6
架橋可能なシステインの有効量を含む小さい封入体タグIBT139(5C)は酸化架橋および沈殿により切断されたペプチド混合物から分離されうる
本実施例の目的は、架橋可能なシステイン残基の有効数を有する別の小さいタグの封入体タグ(例えばIBT139(5C);配列番号265)(IBT139(5C)は5つのシステイン残基を有する)が、酸化架橋を用いて分離が容易である間に両方の封入体形成を駆動可能であることを示すことである。本実施例はまた、封入体形成の誘発に有効であることが予め示された小さい封入体タグが、封入体形成を有効に駆動するその能力を維持しながら、架橋可能なシステイン残基の有効量を有するように修飾されうることを示す(IBT139(5C)は5つのシステインが配列内に分布された小さいタグIBT139(実施例4)に由来する)。5つのシステインの存在は、タグおよび目的のペプチドの切断後でのタグの単純な沈殿を可能にする。
コンストラクト:IBT139(5C)−HC776124(pLR435)(配列番号266〜267)
IBT139(5C).HC776124のクローニングおよび初期分析:
IBT139(5C)(配列番号265)をコードするコード配列(配列番号264)はDNA2.0(Menlo Park,CA)により合成され、それをプラスミドpLR186の制限部位NdeI(5’)およびBamHI(3’)にクローン化し(pBADプロモーターから駆動された発現)、HC776124(配列番号22)コンストラクトとの融合体を作成し、プラスミドpLR435(配列番号263)を作成した。プラスミドを、天然araBADオペロンが欠失した大腸菌(E.coli)MG1655(ATCC46076(商標))に形質転換した。5つのシステイン残基(太字)を含むIBT139(5C)の配列を下記に提供する。
IBT139(5C):
MASCGQQRFQWQFEQQPRCGQQRFQWQFEQQPRCGQQRFQWQFEQQPECGQQRFQWQFEQQPC(配列番号265)
LB(+100μg/mLのアンピシリン)中の成長物3mLに一晩培養物30μLを接種した。培養物を約0.4のOD600まで成長させ、0.2%アラビノースで誘発し、3時間成長させた。可溶性細胞含量対不溶性細胞含量を測定するため、細胞を溶解し、可溶性および不溶性画分をSDS−PAGEゲル上で走らせた。生成された融合タンパク質を再び不溶性封入体として作成した。
タンパク質生成物の生成:
上記(実施例5)のようにタンパク質を生成し、処理した。酸切断およびpH中和後、混合物を約5℃で約6時間保存し、システイン残基における酸化および架橋結合の形成を可能にした。外気への暴露により、システイン架橋を引き起こすだけの十分な酸素がもたらされた。次いで、混合物を9000RCFで30分間遠心分離し、沈殿した封入体タグを可溶性の目的のペプチドから分離した。
結果:
沈殿ペーストと残存する可溶性画分の双方のSDS−PAGEゲル分析によると、不溶性ペースト中にIBT139(5C)が存在し、かつ可溶性画分中にHC776124が残存することが示された。これをHPLCによりさらに確認し(実施例5に記載の方法を参照)、それから単に可溶性画分中にHC776124が存在することが示された。架橋実験の結果を表4にまとめる。
実施例7
封入体タグの末端への複数のシステインの導入は融合ペプチドの封入体への有効な駆動能力を保持しながら酸化架橋を促進する
本実施例の目的は、封入体タグの末端に対してシステイン残基の有効数を含む少なくとも1つの架橋可能なシステインモチーフの付加により、システイン同士の間隔が接近している場合であっても架橋可能なIBTが作成されることを示すことである。架橋可能なシステインモチーフを通常は架橋可能なシステイン残基が欠如した封入体タグ(すなわちIBT139;配列番号21)に付加し、システイン修飾タグ「IBT139.CCPGCC」(配列番号30〜31)を作成した。モチーフの付加によりIBTの封入体形成を駆動する能力が改変されなかった一方、修飾により酸化架橋を用いるタグの単純な分離が促進された。架橋実験の結果を表4にまとめる。
融合ペプチドIBT139.CCPGCC.HC776124のクローニングおよび初期分析:
架橋を促進するため、テトラシステインタグCCPGCC(配列番号32〜33)を通常はシステイン残基を有しない封入体促進配列IBT139(配列番号21)の末端に導入した結果、IBT139.CCPGCC(配列番号30および31)を得た。CCPGCCテトラシステインタグはLUMIO(商標)二ヒ素染料結合モチーフである。LUMIO(商標) Green検出キットをInvitrogen(Invitrogen(Carlsbad,CA))から入手した。
テトラシステインタグをコードするオリゴヌクレオチドはSigma Genosysにより合成された。上鎖オリゴ5'−GATCTTGCTGTCCGGGCTGTTGCG−3'(配列番号34)および下鎖オリゴ5'−GATCCGCAACAGCCCGGACAGCAA−3'(配列番号35)を、5’末端でBglIIオーバーハングと、また3’末端でBamHIオーバーハングとアニールした。アニールされた二本鎖断片をペプチド発現プラスミドpLR186のBamHI部位にクローン化し、プラスミドpLR199を作成した。プラスミドpLR199は、PBADプロモーターにより発現された封入体促進配列IBT139に融合された目的のペプチドHC776124を有した。得られたクローンは、封入体促進配列の後でありかつ酸切断部位の前に挿入されたテトラシステインタグCCPGCC(配列番号33)を有した。融合ペプチドIBT139.CCPGCC.HC776124をコードする核酸分子を配列番号36として提供し、得られた融合ペプチドを配列番号37として提供する。
テトラシステイン部分の導入は、タンパク質ゲル上で相当数の細胞を走らせ、同レベルの発現を観察したところ、ペプチドの発現または局在化に影響しなかった。過剰発現されたタンパク質は、細胞をCELLYTIC(商標) Expressで処理し、それらが可溶性画分中に存在することを確認したところ、封入体の形態であることが示された。架橋可能なCCPGCCタグの付加を伴う封入体促進配列IBT139は、封入体タグの封入体形成能力を改変しなかった(表4)。
タンパク質生成物の生成:
実施例5に記載のようにタンパク質を生成し、精製した。酸切断およびpH中和後、混合物を約5℃で少なくとも6時間保存し、システインにおける架橋結合の形成を可能にした。外気への暴露により、システイン架橋を引き起こす酸素がもたらされた。混合物を9000RCFで30分間遠心分離し、沈殿したタグを可溶性ペプチドから分離した。
結果:
沈殿ペーストと残存する可溶性画分の双方のSDS−PAGEゲル分析によると、不溶性ペースト中に封入体タグ(IBT139.CCPGCC)が存在し、かつ可溶性画分中に目的のペプチド(HC776124)が残存することが示された。これをHPLC分析によりさらに確認し、それから単に可溶性画分中にHC776124が存在することが示された。架橋実験の結果を表4にまとめる。
Figure 0005453261
実施例8
追加的な封入体タグの調製
追加的な封入体タグをIBT136に基づいて設計した。融合パートナー配列(IBT182、IBT183、IBT184、IBT185、IBT186(さらに上記のようにHC776124で評価)、IBT187a、およびIBT187b)を試験するための全体スキームは、(アニールされる場合)試験発現ペプチドHC77643とインフレームでの融合パートナーの定方向クローニングに必要とされる付着端を生成するDNAオリゴヌクレオチドを設計することであった。
大腸菌(E.coli)のコドンバイアスがなされたコドンを有する様々な相補的合成オリゴヌクレオチドの組み合わせを構築した。IBT136の配列に基づいて様々な配列修飾を試験するようにオリゴヌクレオチド対を設計した(表5)。
推定上のIBTの生成および試験
IBT182のアミノ酸配列(QQHFHWHFQQQPRGQQHFHWHFQQQPEGQQHFHWHFQQQ;配列番号39)をコードする核酸分子(配列番号38)を、2つの大腸菌(E.coli)のコドンバイアスがなされた相補的合成オリゴヌクレオチド(Sigma−Genosys)から構築した。制限部位NdeIおよびBamHIに対応するアニール可能な末端の生成に関しては、オーバーハングを各オリゴヌクレオチド内に含めた。
オリゴヌクレオチドを、脱イオン水中の100pモルの各オリゴヌクレオチドを1つのチューブ中で結合させてアニールし、99℃に設定された水槽内で10分間加熱後、水槽の電源を切った。水槽が室温(20〜25℃)に達するまで、オリゴヌクレオチドの緩徐なアニーリングを可能にした。試験ベクターへのライゲーションに先立ち、アニールされたオリゴヌクレオチドを水100μL中に希釈した。ベクターpSF043(配列番号50)はKSI(C4)(配列番号52〜53)封入体タグに連結された目的のペプチドHC77643を含み、それは融合ペプチドKSI(C4).HC77643(配列番号54〜55)をもたらす。ベクターを、10mMトリス−HCl、10mM MgCl、50mM NaCl、1mMジチオトレイトール(DTT)(約7.9のpH)を含有するBuffer 2(New England BioLabs(Beverly,MA))中でNdeIおよびBamHI制限酵素を用いて消化し、IBT KSI(C4)に対応する381塩基対(bp)断片を放出した。
消化されたプラスミド由来のNdeI−BamHI断片をアガロースゲル電気泳動により分離し、ベクターをQiagen QIAquick(登録商標) Gel Extraction Kit(Qiagen(Valencia,CA);カタログ番号28704)を用いてゲルから精製した。
希釈、アニールされたオリゴヌクレオチド(約0.2pモル)を、T4 DNAリガーゼ(New England BioLabs(Beverly,MA);カタログ番号M0202)で、NdeI−BamHIで消化されたゲル精製プラスミド(約50ng)に12℃で18時間ライゲートした。DNA配列分析により、予想されたプラスミド配列を確認した。
目的のペプチドHC77643に融合されたIBT182をコードするキメラ遺伝子を含む発現ベクターを、アラビノース誘発性発現株の大腸菌(E.coli)BL21−A1(Invitrogen)に形質転換した。組換えタンパク質を生成するため、LB−アンピシリン培養液(10g/Lのバクト−トリプトン、5g/Lのバクト−酵母抽出物、10g/LのNaCl、100mg/Lのアンピシリン;pH7.0)3mLに形質転換細菌の1つのコロニーを接種し、培養物を37℃でOD600が0.6に達するまで振とうした。発現を、20% L−アラビノース(最終濃度0.2%、Sigma−Aldrich(St.Louis,Missouri))0.03mLの培養物への添加により誘発し、さらに3時間振とうを継続した。全細胞分析においては、0.1 OD600 mLの細胞を回収し、ペレット状にし、SDS PAGE試料緩衝液(1×LDS試料緩衝液(Invitrogenのカタログ番号NP0007)、6M尿素、100mM DTT)0.06mLを全細胞に直接添加した。試料を99℃で10分間加熱し、タンパク質を可溶化した。次いで、可溶化タンパク質を、4〜12%の勾配のMES NUPAGE(登録商標)ゲル(NUPAGE(登録商標)ゲルのカタログ番号NP0322、MES緩衝液のカタログ番号NP0002;Invitrogen)上に装填し、封入体形成については、COOMASSIE(登録商標)G−250株(SimplyBlue(商標) SafeStain;Invitrogen;カタログ番号LC6060)で画像化した。
上記のクローニングおよび発現スキームを、IBT183、IBT184、IBT185、IBT186、IBT187a、およびIBT187bに対して繰り返した。IBT187bをIBT187a由来のクローニング人工産物として生成した。封入体の形態における融合ペプチドの存在または不在について判定した。様々な封入体タグの配列ならびに通常は可溶性の目的のペプチド(HC77643)の封入体形成を駆動するそれらの能力について判定したものを表5に報告する。
Figure 0005453261
以上、本発明を要約すると下記のとおりである。
1.一般構造:Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln−スペーサー−[[Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln]−[スペーサー]
(式中、
Xaa1=Arg、His、またはLys;
Xaa2=Gln、His、またはLys;
Xaa3=Gln、His、またはLys;
Xaa4=GluまたはGln;
Xaa5=GlnまたはLys;
n=1〜10;
m=n−1;かつ
スペーサーはプロリン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、およびシステインからなる群から選択されるアミノ酸を含むペプチドである)
を含む封入体タグ。
2.配列番号33を含む少なくとも1つの架橋可能なシステイン部分をさらに含む、上記1に記載の封入体タグ。
3.封入体タグのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかに位置する少なくとも1つの架橋可能なシステイン部分をさらに含む、上記1に記載の封入体タグ。
4.配列番号15、配列番号19、配列番号21、配列番号27、配列番号31、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、および配列番号265からなる群から選択される、上記1に記載の封入体タグ。
5.少なくとも1つの関心あるペプチドに作動可能に連結された、上記1または2に記載の封入体タグを含む融合ペプチド。
6.封入体タグを少なくとも1つの関心あるペプチドから分離する少なくとも1つの切断部位をさらに含む、上記5に記載の融合ペプチド。
7.関心あるペプチドが、ポリマー結合ペプチド、毛髪結合ペプチド、爪結合ペプチド、皮膚結合ペプチド、歯結合ペプチド、抗菌ペプチド、クレー結合ペプチド、色素結合ペプチド、およびセルロース結合ペプチドからなる群から選択される、上記6に記載の融合ペプチド。
8.少なくとも1つの関心あるペプチドに作動可能に連結された、上記1または2に記載の封入体タグを含む融合ペプチドをコードする核酸分子。
9.上記8に記載の核酸分子を含む発現カセット。
10.上記9に記載の発現カセットを含むベクター。
11.上記10に記載のベクターを含む微生物宿主細胞。
12.宿主細胞が、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia)、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、サルモネラ(Salmonella)、バチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、緑色硫黄細菌(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリキア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パンテア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロサイナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバチルス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミキソコッカス(Myxococcus)からなる群から選択される、上記11に記載の微生物宿主細胞。
13.不溶性形態でのペプチドを発現するための方法であって、
a)関心あるペプチドをコードする第2の部分に作動可能に連結された、上記1または2に記載の封入体タグをコードする第1の部分を含む、融合ペプチドをコードする発現可能な遺伝子コンストラクトを合成するステップと、
b)発現宿主細胞を(a)の遺伝子コンストラクトで形質転換するステップと、
c)(b)の形質転換宿主細胞を、発現可能な遺伝子コンストラクトを発現させかつコードされた融合ペプチドを不溶性形態で産生する条件下で増殖させるステップと、
d)上記不溶性形態での上記融合ペプチドを回収するステップと、
を含む、方法。
14.関心あるペプチドを生産するための方法であって、
a)少なくとも1つの関心あるペプチドをコードする第2の部分に作動可能に連結された、上記1または2に記載の封入体タグをコードする第1の部分を含む、融合ペプチドをコードする遺伝子コンストラクトを合成するステップであって、ここで上記第1の部分および上記第2の部分を少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーにより分離するステップと、
b)発現宿主細胞を(a)の遺伝子コンストラクトで形質転換するステップと、
c)(b)の形質転換宿主細胞を、遺伝子コンストラクトを発現させかつコードされた融合ペプチドを不溶性形態で産生させる条件下で増殖させるステップと、
d)上記不溶性形態での融合ペプチドを回収するステップと、
e)上記融合ペプチドの上記第1の部分がもはや上記第2の部分に融合されないように、上記融合ペプチドから上記少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーを切断するステップと、
f)上記関心あるペプチドを回収するステップと、
を含む、方法。
15.関心あるペプチドが、ポリマー結合ペプチド、毛髪結合ペプチド、爪結合ペプチド、皮膚結合ペプチド、歯結合ペプチド、クレー結合ペプチド、色素結合ペプチド、セルロース結合ペプチド、および抗菌ペプチドからなる群から選択される、上記13または14に記載の方法。

Claims (8)

  1. 一般構造:Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln−スペーサー−[[Gln−Gln−Xaa1−Phe−Xaa2−Trp−Xaa3−Phe−Xaa4−Xaa5−Gln]−[スペーサー]
    (式中、
    Xaa1=Arg、His、またはLys;
    Xaa2=Gln、His、またはLys;
    Xaa3=Gln、His、またはLys;
    Xaa4=GluまたはGln;
    Xaa5=GlnまたはLys;
    n=1〜10;
    m=n−1;かつ
    スペーサーはプロリン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、およびシステインからなる群から選択されるアミノ酸を含むペプチドである)
    を含む封入体タグ。
  2. 配列番号33を含む少なくとも1つの架橋可能なシステイン部分をさらに含む、請求項1に記載の封入体タグ。
  3. 封入体タグのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかに位置する少なくとも1つの架橋可能なシステイン部分をさらに含む、請求項1に記載の封入体タグ。
  4. 少なくとも1つの関心あるペプチドに作動可能に連結された、請求項1または2に記載の封入体タグを含む融合ペプチド。
  5. 封入体タグを少なくとも1つの関心あるペプチドから分離する少なくとも1つの切断部位をさらに含む、請求項4に記載の融合ペプチド。
  6. 少なくとも1つの関心あるペプチドに作動可能に連結された、請求項1または2に記載の封入体タグを含む融合ペプチドをコードする核酸分子。
  7. 不溶性形態でのペプチドを発現するための方法であって、
    a)関心あるペプチドをコードする第2の部分に作動可能に連結された、請求項1または2に記載の封入体タグをコードする第1の部分を含む、融合ペプチドをコードする発現可能な遺伝子コンストラクトを合成するステップと、
    b)発現宿主細胞を(a)の遺伝子コンストラクトで形質転換するステップと、
    c)(b)の形質転換宿主細胞を、発現可能な遺伝子コンストラクトを発現させかつコードされた融合ペプチドを不溶性形態で産生する条件下で増殖させるステップと、
    d)上記不溶性形態での上記融合ペプチドを回収するステップと、
    を含む、方法。
  8. 関心あるペプチドを生産するための方法であって、
    a)少なくとも1つの関心あるペプチドをコードする第2の部分に作動可能に連結された、請求項1または2に記載の封入体タグをコードする第1の部分を含む、融合ペプチドをコードする遺伝子コンストラクトを合成するステップであって、ここで上記第1の部分および上記第2の部分を少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーにより分離するステップと、
    b)発現宿主細胞を(a)の遺伝子コンストラクトで形質転換するステップと、
    c)(b)の形質転換宿主細胞を、遺伝子コンストラクトを発現させかつコードされた融合ペプチドを不溶性形態で産生させる条件下で増殖させるステップと、
    d)上記不溶性形態での融合ペプチドを回収するステップと、
    e)上記融合ペプチドの上記第1の部分がもはや上記第2の部分に融合されないように、上記融合ペプチドから上記少なくとも1つの切断可能なペプチドリンカーを切断するステップと、
    f)上記関心あるペプチドを回収するステップと、
    を含む、方法。
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