以下、本発明の実施形態を図1〜図10を用いて説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略構成)
まず、図1を用いて、本発明に係る給紙装置1を含む電子写真方式の複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明を行う。即ち、複合機100は、本発明に係る給紙装置1を含む。図1は本発明の実施形態に係る複合機100の模型的正面断面図である。
本実施形態の複合機100は、最上部に原稿搬送部3Aを有する。又、図1に破線で示す位置に、正面上方に、コピー等の印刷の設定や、複合機100の状態を表示する操作パネル2(報知部に相当)が設けられる。又、複合機100本体に、画像読取部3B、給紙装置1、搬送路4、画像形成部5A、定着部5B等が設けられる。
画像読取部3Bは、原稿を読み取り画像データを生成する。そして、画像読取部3Bの上面にコンタクトガラス(送り読取用コンタクトガラス31と載置読取用コンタクトガラス32の2種)が設けられ、その内部には、水平方向(図1で言えば、左右方向)で移動する移動枠(露光ランプ、ミラー等を具備)、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(いずれも不図示)が設けられる。例えば、原稿搬送部3Aで連続的に搬送される原稿を読み取る場合、送り読取用コンタクトガラス31の下方に移動枠を固定し、原稿の反射光をレンズ、イメージセンサに導く。又、載置読取用コンタクトガラス32に載置された原稿を読み取る場合には、移動枠を水平方向に移動させて、原稿の反射光をレンズ、イメージセンサに導く。
そして、画像読取部3Bは、これら光学系部材を用い、原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し画像データを生成する。そして、複合機100は読取られた画像データに基づき印刷可能である(コピー機能)。
本実施形態の複合機100では、画像形成用の用紙を収容、供給する給紙装置1が、計2つ垂直方向に積まれる。各給紙装置1の一部は、用紙補給や用紙サイズ変更のため、挿脱可能とするため、カセット状である。尚、各給紙装置1の構成は、同様であるので共通する部材には同じ符号を付す。
各給紙装置1は、カセット11内に、各種(例えば、普通紙、コピー用紙、再生紙等)、各サイズ(例えば、A4、A3、B4、B5、レターサイズ等)の用紙を複数(例えば、500〜1000枚程度)積載して収容する。
各給紙装置1内には、用紙搬送方向と垂直な方向で挟むように用紙を規制する規制ガイド12と、用紙の後端と接して規制する後端規制ガイド13の2種の規制ガイドが設けられる。規制ガイド12は、一対で設けられ(図1では、一方のみ可視)、連動してスライドする。実際に用紙位置を規制する場合、規制ガイド12をスライドさせ用紙を挟む。後端規制ガイド13もスライドされ、用紙の後端位置を規制する。
又、各給紙装置1内には、積載される用紙のサイズを検知するための用紙サイズセンサS1が設けられる。例えば、用紙サイズセンサS1は、後端規制ガイド13とつながりスライド位置により抵抗値が変化する可変抵抗(不図示)と、規制ガイド12とつながりスライド位置によって抵抗値が変化する可変抵抗(不図示)とを有する。そのため、用紙サイズセンサS1は、各規制ガイドの位置に応じ、異なる電圧を出力する。尚、用紙サイズセンサS1は、複数設けられた光センサによって各規制ガイドの位置を検知するものでもよく、積載された用紙のサイズが認識できればよい。
又、各カセット11には、図1に示すように、用紙束を載置可能な昇降板14が設けられる。例えば、昇降板14に用紙が存在するか検知するための用紙載置センサS2(例えば、反射型又は透過型の光センサ)を昇降板14の下方に設けることができる。
又、昇降板14に載置された用紙の内、最上位の用紙と接する給紙ローラ15(回転体に相当)が設けられる。給紙ローラ15は、用紙供給のため給紙モータM1(図3参照)により回転駆動される。これにより、印刷のための用紙供給がなされる。尚、各給紙ローラ15は、上下方向に移動(揺動)可能である。
又、各カセット11内の各昇降板14は、搬送方向上流側の端部が支点となり、用紙搬送方向下流側の端部が自由端となり、自由端が上下方向に移動する。この昇降板14を上昇させるため、各給紙装置1には、シャフト16、押し上げ部材17、リフトモータ6(図3参照)等が設けられる。シャフト16は、各昇降板14の下方に設けられ、用紙搬送方向と垂直な方向に伸びる。そしてシャフト16には、板状で、昇降板14の下面に接する押し上げ部材17が取り付けられる。リフトモータ6は、シャフト16を回転させ、押し上げ部材17の角度を変化させ昇降板14を上昇させる。
例えば、カセット11が複合機100から外されると、押し上げ部材17は倒れ付す。一方、カセット11が複合機100に取り付けられると、リフトモータ6が回転し、昇降板14が押し上げられる。尚、カセット11の取り外し、取り付けを検知するための取付検知スイッチS3が設けられる。取付検知スイッチS3は、例えば、カセット11の壁面と接するインターロックスイッチであり、カセット11が取り付けられているときと、取り付けられていないときで出力が変わる。
図1や図3に示すように、例えば、各給紙ローラ15に対し、上限位置に到っていることを検知するための上限検知センサS4(上限検知部に相当)が設けられる。尚、給紙ローラ15は、ある程度、上下方向に揺動(移動)可能である。そして、上限検知センサS4が、給紙ローラ15の上限到達を検知するまで、リフトモータ6が回転し、昇降板14が押し上げられる。
又、印刷により用紙が消費されて、上限検知センサS4が給紙ローラ15の上限到達を検知しなくなると、リフトモータ6が回転し、昇降板14が押し上げられる。その結果、常時、最上位の用紙と給紙ローラ15とが接する状態となる。尚、図1では、最上位の用紙と給紙ローラ15が当接する上限位置まで昇降板14を上昇させた状態を示している。
次に、搬送路4は、装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送路4には、用紙搬送時に回転駆動する複数の搬送ローラ対41(図1では、上流側から41a〜41gの計7つを図示)や、搬送される用紙を画像形成部5Aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせ送り出すレジストローラ対42等が設けられる。又、排出口から排出される用紙を受け止める排出トレイ43も設けられる。
画像形成部5Aは、画像データに基づき給紙装置1から給紙された用紙に画像(トナー像)を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。尚、画像データには、画像読取部3Bで取得された原稿の画像データや、複合機100に接続されるコンピュータ200(図3参照)からの送信画像データが利用される。そして、画像形成部5Aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム51や、その周囲に配設された帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラ55、清掃装置56等を備える。
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部5Aの略中心で、所定方向に回転駆動する感光体ドラム51を、図1において、感光体ドラム51の上方の帯電装置52が所定電位に帯電させる。露光装置53は、画像データに基づき、レーザ光を出力し、図1において、帯電装置52の右側から感光体ドラム51表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。
そして、図1において、感光体ドラム51の右の現像装置54は、感光体ドラム51に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム51の下方の転写ローラ55は感光体ドラム51に圧接し、ニップを形成する。そして、レジストローラ対42がタイミングを図り用紙をニップに進入させる。用紙とトナー像のニップ進入時、転写ローラ55には所定電圧が印加され、用紙に感光体ドラム51上のトナー像が転写される。清掃装置56は、転写後に感光体ドラム51に残留するトナー等を除去する。
定着部5Bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部5Bは、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ57と加圧ローラ58で構成される。加熱ローラ57と加圧ローラ58は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は排出トレイ43に排出される。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
まず、複合機100本体内に、複合機100の動作の制御を司る部分として、本体制御部7が設けられる。本体制御部7は、制御用素子として、例えば、CPU71を有する。本体制御部7は、複合機100の制御全体を統括する。本体制御部7は、例えば、外部との通信制御や、画像処理など、他の処理を行ってもよい。
本体制御部7は、記憶部72と接続される。記憶部72は、複合機100の制御用のプログラムやデータの他、画像データ等を記憶できる。例えば、記憶部72は、RAM、ROM、HDD、フラッシュROM等の揮発性と不揮発性の記憶装置を組み合わせてなる。CPU71は、記憶部72に記憶されるプログラムやデータに基づき、演算処理の実行や制御信号の発信、受信を行って、複合機100の制御を行う。
又、本体制御部7は、画像形成や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を行い、印刷やスキャンの動作を実際に制御するエンジン制御部50等と通信可能に接続される。尚、本体制御部7とエンジン制御部50を一体化して、1つの制御部を設けるようにしてもよいが、本説明では、エンジン制御部50を別途設ける形態を説明する。
そして、エンジン制御部50は、制御を行うため、CPU501や、制御用プログラムやデータや各種パラーメータのデータを記憶する記憶部502を含む。そして、エンジン制御部50は、原稿搬送部3A、画像読取部3B、給紙装置1、搬送路4、画像形成部5A、定着部5Bの各部と通信可能に接続され、各部の制御を行う。エンジン制御部50は、本体制御部7の指示に基づき、印刷や画像の読み取り制御を行う。
又、本体制御部7は、操作パネル2と通信可能に接続される。操作パネル2への使用者の入力内容は、本体制御部7に伝達される。本体制御部7は、使用者の入力した設定内容を認識する。そして、本体制御部7は、設定内容に合わせて各部が動作するように、エンジン制御部50等に指示を与え、複合機100に含まれる各部を動作させる。
更に、本体制御部7は、コンピュータ200(例えば、パーソナルコンピュータ)や相手方FAX装置300とネットワークやケーブルや通信網により通信を行うためのインターフェイスである通信部73と接続される。これにより、複合機100は、コンピュータ200から画像データ等を受け取って印刷することや(プリンタ機能)、画像読取部3Bで読み取られた画像データを記憶部72に蓄積し、コンピュータ200に送信することや(スキャナ機能)、外部のFAX装置300と画像データの送受信を行うことができる(FAX機能)。
(給紙装置1のハードウェア構成)
次に、図3を用いて、本発明の実施形態に係る給紙装置1のハードウェア構成の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る給紙装置1の構成の一例を示すブロック図である。尚、各給紙装置1は同様のものであるので、図3では、給紙装置1は、1台分のみ図示している。
まず、給紙装置1は、本体制御部7やエンジン制御部50と信号線等で接続される。尚、本体制御部7は、エンジン制御部50を介して給紙装置1と通信可能に接続されてもよい。そして、給紙装置1には、本体制御部7やエンジン制御部50の指示を受けて、給紙装置1の動作制御や各種検知を行う給紙制御部10(検知処理部に相当)が設けられる。給紙制御部10は、CPU、マイコン、制御用チップ等を含む基板である。
又、給紙装置1は、給紙装置1の制御に要するプログラムやデータを記憶する記憶部8を有する。本発明に関し、給紙装置1の記憶部8は、昇降板14上の用紙残量を検知を行ううえで参照される残量検知用データを記憶する(詳細は後述)。
図3に示すように、例えば、リフトモータ6、給紙モータM1が、制御を行う対象として、給紙制御部10に接続される。
リフトモータ6は、負荷に比例し、電流が増えるモータであり、例えば、DCモータである。そして、リフトモータ6は、昇降板14を昇降させる駆動源であり、正逆回転可能である。給紙モータM1は、用紙を供給するため、給紙ローラ15を回転させるモータである。給紙制御部10は、エンジン制御部50の指示に従い、リフトモータ6や給紙モータM1を動作させる。
又、給紙装置1の状態を知るために設けられる各種センサの出力が、給紙制御部10に入力される(図3に示す例では、用紙サイズセンサS1、用紙載置センサS2、取付検知スイッチS3、上限検知センサS4等)
給紙制御部10は、用紙サイズセンサS1の出力(電圧値)を受けて、給紙装置1に収容される用紙サイズを認識する。そして、給紙装置1は、認識した用紙サイズをエンジン制御部50や本体制御部7に伝達する。尚、用紙サイズセンサS1の出力電圧値に対して、用紙サイズを定めるためのデータが記憶部8に記憶される。
用紙載置センサS2は、昇降板14に用紙があるかを検知するためのセンサである。言い換えると、用紙載置センサS2は、用紙があるときと、用紙切れのときと、で出力が異なる。給紙制御部10は、用紙載置センサS2の出力に基づき、用紙の有無を判断し、エンジン制御部50や本体制御部7に判断結果を伝える。
取付検知スイッチS3は、給紙装置1の取り外し、取り付けを検知するためのセンサである。取付検知スイッチS3は、カセット11が取り付けられているときと、取り付けられていないときで出力が異なる。給紙制御部10は、取付検知スイッチS3出力に基づき取付状態を判断し、エンジン制御部50や本体制御部7に判断結果を伝える。
上限検知センサS4は、リフトモータ6を動作させ昇降板14を上昇させたとき、給紙ローラ15と最上位の用紙が当接し、昇降板14が上限位置に達したことを検出するためのセンサである。上限検知センサS4は、例えば、光センサを含み、給紙ローラ15が持ち上げられ、上限位置に達すると、出力が切り替わる。給紙制御部10は、上限検知センサS4の出力切替により、上限到達を認識し、リフトモータ6を停止させる。
本実施形態の給紙装置1では、リフトモータ6を動作させ、昇降板14を上昇させたとき、時間に対するリフトモータ6で流れる電流の傾きに基づき、用紙残量検知を行う(詳細は後述)。そのため、リフトモータ6で流れる電流を測定するための電流測定回路部9が設けられる。
電流測定回路部9は、リフトモータ6で流れる電流を電圧に変換する。例えば、電流測定回路部9は、電流量が大きくなるに従い、出力する電圧が大きくなる。例えば、電流測定回路部9は、リフトモータ6とグランド間に設けられた抵抗でもよいし、オペアンプなどを用いた電流電圧変換回路でもよく、給紙制御部10が、リフトモータ6で流れる電流を測定できる回路であればよい。
(給紙装置1の残量報知の一例)
次に、図4、図5を用いて、本発明の実施形態に係る給紙装置1の用紙残量報知の一例を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る操作パネル2の一例を示す説明図である。図5は、本発明の実施形態に係る操作パネル2での用紙残量表示画面R1の一例を示す説明図である。
本実施形態の複合機100は、例えば、各種設定を行うための入力部として操作パネル2を含む。そして、操作パネル2には、複合機100内の各部の状態を表示できる液晶表示部21を含む。尚、液晶表示部21は、タッチパネル式である。
そして、使用者は、操作パネル2やタッチパネルを操作し、図5に示すような、用紙残量表示画面R1を表示させることができる。言い換えると、液晶表示部21は、操作パネル2に対し一定の入力がなされると、用紙残量表示画面R1を表示する。
この用紙残量表示画面R1には、各給紙装置1での用紙サイズの検知結果や、用紙残量の検知結果が表示される。そして、各給紙装置1内の用紙残量は、状態の欄に表示される。例えば、状態の欄には、最大で、10個の目盛が表示される。そして、1つの目盛に対し、用紙残量の約10%が割り当てられる。そして、液晶表示部21は、目盛数に応じたパーセント表示も行う。尚、用紙切れが検知されていると用紙切れの旨が表示される(例えば、「0%」や「用紙切れ」の表示)。
例えば、本実施形態の各給紙装置1の給紙制御部10は、目盛数に対応して用紙残量を10段階刻みで検知する。尚、更に多段階で検知してもかまわない。例えば、100段階で刻めば、1%単位で用紙残量の検知と、残量表示がなされることになる。
尚、図5に示す例では、一方の給紙装置1(例えば、下方の給紙装置1)は、エラーが表示されている。例えば、給紙装置1がリフトモータ6を動作させ、昇降板14を持ち上げるときに引っかかりなどの異常が検知された場合や、用紙切れが検知されたとき、液晶表示部21は、エラーの表示を行う。
又、図2や図4に示すように、操作パネル2には、インジケータ22(例えば、LED)や発音部23(スピーカ)が設けられる。そのため、インジケータ22や発音部23を用いて、用紙残量の報知や、給紙装置1での異常発生の報知がなされてもよい。
このように、操作パネル2は、複合機100に関する各種報知を行う部分として機能するが、給紙装置1の状態を報知する部分としても機能する。そのため、操作パネル2は、給紙装置1の報知部とも言える。
(リフトモータ6の特性)
次に、図6乃至図8を用いて、本発明の実施形態に係るリフトモータ6の特性の一例を説明する。図6は、本発明の実施形態に係るリフトモータ6で流れる電流の時間的変化の一例を示すグラフである。図7は、本発明の実施形態に係るリフトモータ6の時間に対する電流の傾きと、用紙残量の関係の一例を示すグラフである。図8は、本発明の実施形態に係るリフトモータ6の時間に対する電流の傾きと、用紙サイズの関係の一例を示すグラフである。
まず、図6を用いて、リフトモータ6で流れる電流を説明する。図6は、リフトモータ6をONしてから、リフトモータ6で流れる電流の時間的変化を示す。そして、図6内のグラフ線のうち、実線のグラフ線は、ある用紙残量(第1用紙残量)のときのものである。破線のグラフ線は、第1用紙残量よりも、用紙残量が多いときのものである。二点鎖線のグラフ線は、用紙の引っかかり等、昇降板14の上昇で異常が生じているときのものである。
まず、図6に示すようにリフトモータ6をONすると(給紙制御部10がリフトモータ6を駆動させると)、リフトモータ6には、突入電流(一時的な大電流)が流れる。そして、一定時間が経過すると、リフトモータ6で流れる電流が減少し、落ち着く(図6に落ち着く時点をT1として例示)。そして、リフトモータ6を流れる電流は、落ち着いた後、昇降板14が上限位置に達するまで、徐々に増える。
又、図6に示すように、実線と破線を対比すると、リフトモータ6で流れる電流は、昇降板14上の用紙残量が多いほど多くなることがわかる。又、リフトモータ6で流れる電流は、昇降板14上の用紙残量が多いほど上昇しやすく、昇降板14上の用紙残量が多いほど傾きが大きくなる。これは、昇降板14上の用紙残量が多いほど、負荷が大きくなる(出力すべきトルクが大きくなる)ためと考えられる。
尚、2点鎖線で示すように、異常があるとき、リフトモータ6がロックした状態、あるいは、昇降板14を持ち上げに大きなトルクが必要となり、リフトモータ6で流れる電流量が多くなる。
次に、図7を用いて、本発明の給紙装置1での、時間に対するリフトモータ6で流れる電流の傾き(電流値の微分)を説明する。
図7は、同じサイズ、同じ厚さの用紙の残量を変化させ、用紙残量に対し、リフトモータ6で流れる電流が落ち着いた後のある時点(例えば、図6での時点T2)での電流の傾きをプロットしたグラフの一例を示す。この図7に示すように、例えば、用紙残量が多いほど、電流の傾きが大きくなる。従って、用紙残量に応じて、電流の傾きが変わるので、電流の傾きを測定、認識することで、用紙残量を求めることができる。
ここで、例えば、昇降板14に積載できる用紙には限度がある。言い換えると、昇降板14には満杯以上には、用紙を積載できない。そのため、図7に示すように、昇降板14に最大まで用紙を積載したときの傾きよりも大きな傾きが検出されれば、リフトモータ6への負荷が異様に大きい状態となっていることになる。例えば、用紙の引っかかりや、昇降板14の昇降機構に異常があり、ほとんど、あるいは、全く動かない状態となっている可能性がある。この状態でリフトモータ6を動作させ続けると、リフトモータ6や、リフトモータ6の駆動を伝達する部材が破損してしまう可能性がある。
そこで、図7に示すように、例えば、昇降板14に最大まで用紙を積載したときの傾きよりも大きな値を閾値として決めておき、電流の傾きが、閾値となったとき、あるいは、閾値を越えたとき、給紙制御部10は、昇降板14の上昇に支障があることによるエラー発生と認識してもよい。
次に、図8を用いて、本発明の給紙装置1での、用紙サイズに対するリフトモータ6で流れる電流の傾き(電流値の微分)を説明する。
図8は、同じ枚数で同じ厚さの用紙を、用紙のサイズを変化させつつ載置したときの、用紙サイズに対するリフトモータ6で流れる電流が落ち着いた後のある時点(例えば、図6での時点T2)での電流の傾きをプロットしたグラフの一例を示す。この図8に示すように、例えば、用紙サイズが大きいほど、電流の傾きが大きくなる。
例えば、A3サイズの用紙は、A5サイズの用紙よりも何倍も大きい。そのため、用紙のサイズが異なれば、昇降板14上の枚数が同じでも、リフトモータ6が持ち上げるべき重さが異なる。そのため、電流の傾きに着目し、電流の傾きを測定、認識して、用紙残量を求めるにしても、用紙サイズを考慮しなくてはならない。
(用紙残量検知処理の流れ)
次に、図9、図10を用いて、本発明の実施形態に係る給紙装置1での用紙残量検知処理の流れの一例を説明する。図9は、本発明の実施形態に係る給紙装置1での用紙残量検知処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10は、本発明の実施形態に係る給紙装置1での用紙残量検知に用いる残量検知用データの一例を示す説明図である。
まず、図9に示すスタートは、給紙装置1で用紙残量検知を行う時点である。例えば、給紙制御部10は、起動したとき、用紙残量検知を行う。複合機100の主電源がONされたとき、省電力モード等により給紙装置1に対する電力供給が停止されている状態から、給紙装置1に対する電力供給が再開されたとき、給紙制御部10は、起動する。あるいは、取付検知スイッチS3により、給紙装置1の取り外しと取り付けが行われたときや、一定時間ごとに行われてもよい。
次に、給紙制御部10は、用紙載置センサS2の出力を確認し、用紙があるか(用紙切れであるか)否かを確認する(ステップ♯1)。もし、用紙切れであれば(ステップ♯1のYes)、給紙制御部10は、用紙無しと、認識する(ステップ♯2)。そして、認識結果がエンジン制御部50や本体制御部7に伝達され、その結果、操作パネル2で用紙切れの報知がなされる(液晶表示部21での表示等、ステップ♯3)。そして、本制御は終了する(エンド)。例えば、用紙補給のため、給紙装置1の出し入れがなされたとき、再度、本制御が行われる。
一方、用紙切れで無ければ(ステップ♯1のNo)、給紙制御部10は、用紙サイズセンサS1の出力を確認し、給紙装置1に収容されている(昇降板14に載置されている)用紙のサイズを認識する(ステップ♯4)。
そして、給紙制御部10は、記憶部8から、収容されている用紙サイズに対応する残量検知用データを読み出す(ステップ♯5)。即ち、給紙装置1は、昇降板14に載置された用紙の大きさを検知する用紙サイズセンサS1を含み、記憶部は、残量検知用データを用紙サイズに応じて複数種記憶し、検知処理部(給紙制御部10)は、記憶される残量検知用データのうち、用紙サイズセンサS1に基づき検知された用紙サイズに対応する残量検知用データを選択し、選択した残量検知用データを用いて用紙残量を検知する。
ここで、図10を用いて、本実施形態に係る残量検知用データを説明する。図6、図7を用いて説明したように、用紙残量と、時間に対するリフトモータ6で流れる電流の傾き(時間による電流値の微分値)には、対応する関係がある。そこで、残量検知用データは、傾きの値に対し、用紙残量を定めたデータテーブルとされる。例えば、給紙制御部10は、求められた傾きがいずれの範囲に収まるかを定めるために残量検知用データを参照し、給紙制御部10は、求めた傾きに基づき、段階的に用紙残量を求める。
又、図8を用いて説明したように、リフトモータ6で流れる電流の傾きは、用紙サイズにより差が生じ得る。そこで、図10に示すように、残量検知用データは、用紙サイズに応じて用意される。そして、給紙制御部10は、収容されている用紙サイズに対応する残量検知用データに基づき、用紙残量の検知処理を行う。尚、図10では、a+数字という形態で、用紙残量の段階(レベル)を定めるうえでの傾きの境界値を例示している。
更に、残量検知用データに、用紙サイズごとに、昇降板14の上昇での異常発生と判断するための閾値(図10に置いて、b1〜b4として例示)を含めておく。
そして、給紙制御部10は、リフトモータ6を駆動させる(ステップ♯6、リフトモータ6をONする)。そして、給紙制御部10は、リフトモータ6の突入電流が落ち着く時間を目安として、予め定められた待機時間(図6における時間T1)が、リフトモータ6の駆動開始から経過したか否かを確認する(ステップ♯7)。例えば、待機時間は、リフトモータ6のONから0.5秒と設定される(リフトモータ6の特性に基づき待機時間を設定すればよい)。尚、待機時間の経過の確認は、待機時間が経過するまで続けられる(ステップ♯7のNo→ステップ♯7のループ)。即ち、検知処理部(給紙制御部10)は、リフトモータ6を駆動させてから突入電流が落ち着く目安として予め定められた待機時間を経過した後、傾きを求める。
待機時間が経過すると、給紙制御部10は、電流測定回路部9を用い、リフトモータ6で流れる電流を一定時間ごとにサンプリングする(ステップ♯8)。例えば、給紙制御部10は、電流値のサンプリング(測定)を、一定時間ごとに(例えば、0.5秒ごとに)、予め定められた回数(例えば、2〜10回程度)行う。尚、予め定められた回数は、例えば、満杯状態で用紙を載置して、昇降板14の上限到達までの時間が最短のときでも、カウントできる回数とする。
そして、例えば、予め定められた一定時間を分母とし、各サンプリング時点での電流の大きさの差を分子として、リフトモータ6を流れる電流の傾きを求める(ステップ♯9)。そして、給紙制御部10は、例えば、電流の傾きを複数求め、平均をとり、傾きの平均値を求めておく(ステップ♯10)。
そして、給紙制御部10は、求めた複数個の傾きのうち、残量検知用データとして定められた閾値を越える閾値があるかを確認して、昇降板14が正常に昇降しているか(正常動作しているか)を確認する(ステップ♯11)。即ち、本発明に係る給紙装置1は、傾きについて予め定められた閾値を記憶する記憶部を含み、傾きが閾値を越えるとき、検知処理部(給紙制御部10)は、昇降板14の異常発生と判断する。
もし閾値を越え、異常と認められれば(ステップ♯11のNo)、給紙制御部10は、異常発生と認識する(ステップ♯12)。そして、認識結果がエンジン制御部50や本体制御部7に伝達され、その結果、操作パネル2で異常発生の報知がなされる(液晶表示部21での表示等、ステップ♯13)。そして、本制御は終了される(エンド)
一方、昇降板14が正常に昇降していれば(ステップ♯11のYes)、給紙制御部10は、求めた傾きの平均値と、残量検知用データを比較して、用紙残量を検知する(ステップ♯14)。即ち、給紙装置1は、用紙が載置される昇降板14と、昇降板14を持ち上げるリフトモータ6と、リフトモータ6で流れる電流を測定する電流測定回路部9と、リフトモータ6を回転させたとき、電流測定回路部9の出力に基づき、時間に対してのリフトモータ6を流れる電流の傾きを求め、傾きに基づいて用紙残量を検知する検知処理部(給紙制御部10)と、を含む。具体的に、給紙装置1は、データを記憶する記憶部を含み、記憶部は、傾きに対する用紙残量を予め定めた残量検知用データを記憶し、検知処理部(給紙制御部10)は、残量検知用データを参照し、傾きに対する用紙残量を検知する
そして、認識結果がエンジン制御部50や本体制御部7に伝達され、その結果、操作パネル2で用紙残量の報知がなされる(液晶表示部21での表示等、ステップ♯15)。このように、給紙装置1は、検知された用紙残量、及び/又は、昇降板14の異常を報知する報知部(操作パネル2)を含む。そして、本制御は終了される(エンド)
リフトモータ6の電流値は、用紙残量(負荷の大きさ)により変化するので、電流値の傾きも、用紙残量により変化する。そこで、本発明では、検知処理部(給紙制御部10)は、リフトモータ6で流れる電流の傾きを求め、傾きに基づいて用紙残量を検知する。これにより、用紙残量を検知するうえで、電流値そのものよりも、測定のタイミングへの依存性が少ない値に基づき、用紙残量を検知することができる。従って、正確に用紙残量を検知することができる。又、用紙残量に応じた昇降板14の上昇速度の変化や、上限位置までの上昇量の差等、従来、電流値の大きさに基づき用紙残量を検知するとき考慮されていた事項に対して考慮する必要も無くなる。
又、検知処理部(給紙制御部10)は、残量検知用データを参照し、傾きに対する用紙残量を検知する。これにより、残量検知用データを参照することにより、容易に用紙残量を求めることができる。尚、残量検知用データは、予め、実験等で得た用紙残量と、各用紙残量に応じた傾きの結果(対応関係)を示すデータである。
又、例えば、用紙が引っかかり、昇降板14の上昇が上限位置まで上がりきる成る前に上昇が止まったときなど、リフトモータ6がロックしたような状態となることがある。このとき、リフトモータ6で流れる電流は、急激に増えることがある。そこで、傾きが閾値を越えるとき、検知処理部(給紙制御部10)は、昇降板14の異常を検知する。これにより、昇降板14が上昇しないような異常が生じていることを検知することができる。又、過負荷状態でリフトモータ6を動作させ続けることによる、リフトモータ6や駆動伝達機構の破損を防ぐことができる。
又、用紙サイズにより、1枚当たり用紙の重さは異なる。用紙の厚さは同じであれば、A3用紙の重さは、A4用紙の約2倍となる。そのため、用紙残量が同じでも、用紙サイズが異なれば、リフトモータ6への負荷が異なるので、リフトモータ6で流れる電流の傾きは異なり得る。そこで、用紙サイズごとに残量検知用データが用意され、検知処理部(給紙制御部10)は、選択した残量検知用データを用いて用紙残量を検知する。これにより、用紙サイズに応じて、用紙残量を正確に検知することができる。
又、検知処理部(給紙制御部10)は、リフトモータ6を駆動させてから突入電流が落ち着く目安として予め定められた待機時間を経過した後、電流の傾きを求める。これにより、突入電流の影響を取り除いた測定結果(傾き)に基づき、用紙残量を正確に検知することができる。又、報知部(操作パネル2)は、検知された用紙残量、及び/又は、昇降板14の異常を報知する。これにより、使用者は、用紙残量や、給紙装置1での異常発生を認識できる。又、異常発生を検知し、正確に用紙残量を検知できる画像形成装置(例えば、複合機100)を提供することができる。
次に、他の実施形態についてのべる。上述の実施形態では、給紙装置1内の給紙制御部10が用紙の残量検知を行う例を説明した。しかし、例えば、電流測定回路部9の出力をエンジン制御部50や、本体制御部7に伝え、エンジン制御部50や本体制御部7が傾きを求め、残量検知処理を行うようにしてもよい。例えば、エンジン制御部50の記憶部502や、本体側の記憶部72に残量検知用データを記憶させておく。これらの場合、エンジン制御部50や本体制御部7が、給紙装置1における用紙残量を検知する検知処理部として機能する。言い換えると、エンジン制御部50や本体制御部7など、給紙制御部10以外の部分も、給紙装置1の用紙残量を検知する検知処理部として用いることができる。
又、上述の実施形態では、給紙装置1の用紙残量や、給紙装置1での異常発生を報知する報知部として、操作パネル2を用いる例を説明した。しかし、液晶パネルや複数のLEDで構成されるインジケータ22など、給紙装置1自体に報知する部分として設けるようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。