JP5452036B2 - 金属ナノ粒子分散液及び金属膜の製造方法 - Google Patents
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また、前記(2)の焼成による金属膜の形成法では、従来のような粒子を使用する場合には、粒子を焼結させて膜を形成するときに高温で処理することを必要とするため、焼成時に基板が熱により変形したり、割れたりするおそれがある。したがってその問題を解決するために耐熱性の高い基板を選択しなければならず、基板の選択性に制限がかかるという実用上の問題があった。
(イ)少なくとも1つの炭素数8以下のアルカン
(ロ)イソパラフィン及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つ
(ハ)金属と有機物とから構成される粒子径100nm以下の金属ナノ粒子
を含んでなる。以下、それぞれについて詳細に説明する。
炭素数8以下のアルカンを加えることによって濡れ性の低い基板に対する金属ナノ粒子分散液の塗布性が著しく改善される。ここで炭素数8以下のアルカンとは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンを指すが、特にヘプタン又はオクタンを用いることが好ましい。また、前記炭素数8以下のアルカンは1種のみを用いても、2種以上の混合液を用いてもよい。
イソパラフィン及び流動パラフィンは、それぞれ塗膜の乾燥・焼成時のブツ形態物、クラックの発生を抑制する効果がある。イソパラフィンはブツ形態物の発生と、クラックの発生とを抑制する効果があり、流動パラフィンにはクラックの発生を抑制する効果があり、目的に応じてどちらか1つ、又は両方を使用することができる。
本発明で用いる金属ナノ粒子は、金属と有機物とから構成されており、平均粒子径は100nm以下というものである。平均粒子径が100nmを超える場合、低温焼結性が損なわれる可能性がある。また、平均粒子径が1nm未満である場合、粒子同士の凝集や焼結が過度に発生することにより溶媒中に分散できなくなる可能性がある。そのため、好ましい粒子径範囲は1〜50nmであり、更に好ましい範囲は1〜30nmである。ここで、該金属は一般的に導電性ペーストなどに用いられる金属であれば制限はなく、代表的には金、銀、銅、ニッケルなどが挙げられる。
反応媒体兼還元剤としてイソブタノール(和光純薬株式会社製の特級試薬)321.8gに、有機保護剤としてオレイルアミン(和光純薬株式会社製試薬Mw=267)553.3gと、銀化合物としての硝酸銀結晶(関東化学株式会社製)68.9gとを添加し、攪拌して硝酸銀を溶解させる。
(2)沈殿物にメタノールを加えて超音波分散機で分散させる。
(3)前記の(1)→(2)を3回繰り返す。
(4)前記の(1)を実施して上澄み廃棄し沈殿した粒子凝集物を得る。
得られた粒子の金属占有割合は熱分析による減少割合から90mass%程度と算出された。また、TEM写真により粒子の平均粒子径を算出したところ、分散している銀粒子の平均粒子径は7〜15nmの範囲であった。
銀粒子分散液を自動バーコーターワイヤーバー#3を用いて、インク滴下量7.0μL、塗膜速度60.0mm/sで基板上に塗布した。塗膜を観察し、基板に対するはじき、クラック、ブツ形態物の発生状況を調べた。
(IPクリーンHX:流動パラフィン:ヘプタン)=(8:15:77)に変更した以外は実施例1と同じ操作で基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。また、実施例1同様に分散液作製後7、14日後の分散液も同様に基板上に塗布し、評価を行った。結果を表1に示した。
(IPクリーンLX:IPクリーンHX:流動パラフィン:ヘプタン)=(40:3:17:40)に変更した以外は実施例1と同じ操作で基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の発生状況を調べた。結果を表1に示した。
炭素数8以下のアルカンとしてオクタンを使用し、(IPクリーンHX:流動パラフィン:オクタン)=(5:15:80)の比となるようにして分散液を作製した。その後、実施例1と同様の操作で基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
(IPクリーンLX:IPクリーンHX:流動パラフィン:オクタン)=(30:5:15:50)に変更した以外は実施例4と同様の操作で基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
炭素数8以下のアルカンとして、ヘプタンとオクタンを併用した。(IPクリーンHX:流動パラフィン:ヘプタン:オクタン)=(3:17:20:60)となるように分散液を作製し、実施例1と同様の操作で基板上に塗布した。また、塗布膜のはじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
イソパラフィンとしてIPクリーンLXに変えてIP−2835(出光興産株式会社製)を用い、(IPクリーンHX:IP−2835:オクタン)=(5:40:55)となるように分散液を作製した。その後、実施例1と同様の操作で基板上に塗布し、塗布膜のはじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1と同様の銀粒子を用いて(イソパラフィンとしてアクアソルベントG(アクア化学株式会社製):流動パラフィン:オクタン)=(40:20:40)に変更し、銀濃度を75質量%となるように銀粒子分散液を作製した。この銀粒子分散液をグラビアオフセット印刷機(RK Print Coat Instruments Ltd製 Kプリンティング ルーファー)を用いて印刷した。なお、ブランケットは接触角法で測定した表面エネルギーが2.2×10−2N/m(22dyn/cm)であるシリコーンブランケット(フジクラゴム製シリコーンブランケット#700−STD)を用いた。また、グラビア版はガラス製ライン幅50μm、スペース400μm、ライン深さ5μmを用い、基材には酸素プラズマ処理した水接触角2.5×10−2N/m(25dyn/cm)のポリイミドフィルム(東レデュポン社製カプトン700V)を用いた。印刷の結果、銀粒子分散液は版から表面エネルギーの低いシリコーンブランケットに問題なく受理され、次いでポリイミドフィルムへ転写された。また、焼成前のライン幅は50.1μmであった。この転写された配線を熱風オーブンで200℃、1時間焼成して得られた焼成膜を、デジタルマイクロスコープで観察した結果、焼成ライン幅は51.2μmで目標どおりのラインが描画されていた。
銀濃度を20質量%〔粘度13mP・s〕となるように変更した以外は実施例8と同様の銀粒子分散液を作製した。この銀粒子分散液を、実施例8と同じ種類のポリイミドフィルムに対して、インクジェット印刷機〔株式会社スリーテック製UJ200型〕を用いてライン幅20μm、膜厚3μmの20ラインを印刷した。その結果、ノズル詰まりもなく液の吐出性は良好であった。また、銀粒子分散液のポリイミドフィルムに対するはじきもなく、インク広がり性も適正なものであった。
炭素数8以下のアルカンを含まない場合について調べた。(IPクリーンLX:IPクリーンHX:流動パラフィン)=(80:5:15)となるように分散液を作製し、実施例1と同様の操作で基板上に塗布した。その後、塗布膜のはじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
炭素数9のアルカンであるノナンを用いた場合について調べた。(IPクリーンHX:流動パラフィン:ノナン)=(5:15:80)となるように分散液を作製し、実施例1と同様の操作で基板上に塗布した。その後、塗布膜のはじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
Claims (7)
- 炭素数8以下のアルカンと、イソパラフィン及び流動パラフィンの少なくとも一方と、金属と有機物から構成される粒子径100nm以下の金属ナノ粒子とを少なくとも含む金属ナノ粒子分散液。
- 前記炭素数8以下のアルカンが、ヘプタン又はオクタンである請求項1に記載の金属ナノ粒子分散液。
- 前記炭素数8以下のアルカンの分散媒全体に対する割合が40〜99質量%の範囲である請求項1又は2に記載の金属ナノ粒子分散液。
- 前記金属は、金、銀、銅及びニッケルからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜3の何れかに記載の金属ナノ粒子分散液。
- 前記有機物は、窒素、炭素、及び酸素を含んで構成される請求項1〜4の何れかに記載の金属ナノ粒子分散液。
- 前記有機物は、分子量が100〜1000の範囲である請求項1〜5の何れかに記載の金属ナノ粒子分散液。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のナノ粒子分散液を印刷法で塗布する金属ナノ粒子塗布膜の製造方法。
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