JP5452036B2 - 金属ナノ粒子分散液及び金属膜の製造方法 - Google Patents

金属ナノ粒子分散液及び金属膜の製造方法 Download PDF

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本発明は金属ナノ粒子分散液及びそれを用いる金属膜の製造方法に関する。
近年、薄層の塗膜導電膜は、電子部品の小型化に寄与するため、広く用いられるようになってきた。かような薄膜は主として(1)真空蒸着法、スパッタリング等の乾式成膜法、(2)金属微粒子が分散したペーストを塗布して焼成し、金属膜を形成する方法、などで製造されている。
ところが、前記(1)のスパッタリング等の乾式成膜法は、減圧もしくは真空条件で行われることが多く、量産化を図ろうとすると装置の大型化が不可避であり、初期の導入コストが甚大なものとなる。
また、前記(2)の焼成による金属膜の形成法では、従来のような粒子を使用する場合には、粒子を焼結させて膜を形成するときに高温で処理することを必要とするため、焼成時に基板が熱により変形したり、割れたりするおそれがある。したがってその問題を解決するために耐熱性の高い基板を選択しなければならず、基板の選択性に制限がかかるという実用上の問題があった。
大量の製品を得るためには上述のうち(2)を採ることが簡便であるが、使用できる条件に制限があっては汎用性に欠けることになる。そこで最近では、金属粒子を微細化し粒子の融点を下げることで、低温でも金属間結合を生じさせ、金属膜を形成させる試みがなされている。
このような金属ナノ粒子分散液の塗膜による金属膜の形成においては、以下の2つの問題点が存在した。その二つとは、(ア)金属ナノ粒子分散液の基板に対する濡れ性が悪いことに起因して表面に液滴が形成された状態になること(以下、はじきと言う。)(イ)塗膜の乾燥、焼成時にクラックや突起状異物が生じること(以下、ブツ形態物と言う。)である。
更に詳述すると(ア)は、金属ナノ粒子の塗膜を薄膜状に均一に形成するためには、基板と分散液やペーストの相性が大きく影響するが、特に基板表面/分散媒の組み合わせの選択を誤ると、粒子が基板上で水滴状になってしまうことで、膜自体が形成されないという現象を指す。
また(イ)については、分散液を塗布して乾燥させる際に、塗膜にヒビやクラックが生じる状態や、粒子の凝集に起因すると考えられるブツ形態物が形成された状態のことをいい、表面が平滑であることが要求される用途に利用されがたい状態のことを指す。
本発明者らは、これまでに上記の問題を解決するため、スピンコート法によって濡れ性の低い基板に対しても塗膜が形成でき、且つ塗膜の乾燥、焼成時にもクラックやブツ形態物が少ない金属ナノ粒子分散液が得られることを見いだし、特許文献1に開示した。
特願2008−333792号
導電膜の形成法には、前記のスピンコート法の他にもバーコート法やインクジェット法などの塗布・印刷法が存在する。スピンコート法の場合、大型化できないため量産に向かない他、厚膜を形成することができないという問題がある。そのため、金属ナノ粒子分散液にはスピンコート以外の様々な塗布・印刷法にも適用できることが求められる。
その点で、本発明者らが開発してきた上記特許文献1の金属ナノ粒子分散液はクラックやブツ形態物の抑制に優れているものの、スピンコート法以外の方法による塗布の場合には、濡れ性の低い基板に対する塗布性が十分ではないことが分かってきた。
本発明は、金属配線形成などに用いられる塗布・印刷法によらず、濡れ性の低い基板に対しても塗膜形成に優れた金属ナノ粒子分散液を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、金属ナノ粒子と、イソパラフィン及び流動パラフィンからなる群より選ばれる1種以上を含む分散液に、炭素数8以下のアルカンを含ませることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
具体的には、本発明を構成する金属ナノ粒子分散液は、炭素数8以下のアルカンと、イソパラフィン及び流動パラフィンのいずれか一方を少なくとも含み、金属と有機物から構成される粒子径100nm以下の金属ナノ粒子とを含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる金属ナノ粒子分散液は、前記炭素数8以下のアルカンが、ヘプタン又はオクタンであることを特徴とする。
また、本発明にかかる金属ナノ粒子分散液は、前記炭素数8以下のアルカンの分散媒全体に対する割合が40〜99質量%の範囲であることを特徴とする。
また、本発明にかかる金属ナノ粒子分散液における、前記有機物は、窒素、炭素、酸素を含んで構成されることを特徴とする。
また、本発明にかかる金属ナノ粒子分散液は、前記有機物の分子量が100〜1000の範囲にあり、前記金属の表面を被覆することを特徴とする。
また、本発明にかかる金属ナノ粒子塗布膜の製造方法は、前記金属ナノ粒子分散液を塗布・印刷法で塗布することを特徴とする。
上述の構成をとることで、濡れ性の低い基板に対しても塗布・印刷法によらず、容易に金属薄膜を構成できるような金属ナノ粒子分散液が得られる。
本発明の金属ナノ粒子分散液は少なくとも、
(イ)少なくとも1つの炭素数8以下のアルカン
(ロ)イソパラフィン及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つ
(ハ)金属と有機物とから構成される粒子径100nm以下の金属ナノ粒子
を含んでなる。以下、それぞれについて詳細に説明する。
(イ)少なくとも1つの炭素数8以下のアルカン
炭素数8以下のアルカンを加えることによって濡れ性の低い基板に対する金属ナノ粒子分散液の塗布性が著しく改善される。ここで炭素数8以下のアルカンとは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンを指すが、特にヘプタン又はオクタンを用いることが好ましい。また、前記炭素数8以下のアルカンは1種のみを用いても、2種以上の混合液を用いてもよい。
炭素数が6以下のアルカンを用いる場合、本発明の効果を損ねることはないが、労働安全衛生法による規制によって、使用量が制限されることがある。また、炭素数が1〜4のアルカンの場合、常温常圧下で気体として存在するため、使用が困難となる場合がある。また、炭素数が9以上の場合は濡れ性の低い基板への塗布性が劣り、金属ナノ粒子分散液を塗布・印刷した際に基板に対するはじきが発生することがある。
また、前記炭素数8以下のアルカンは、分散媒全体に対して40〜99質量%含まれることが好ましい。ここで分散媒とは、金属ナノ粒子分散液中に存在する液相成分全体のことを意味し、金属ナノ粒子は含まれない。好ましくは50〜99質量%であり、更に好ましくは60〜95質量%、最も好ましくは70〜95質量%である。
(ロ)イソパラフィン及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つ
イソパラフィン及び流動パラフィンは、それぞれ塗膜の乾燥・焼成時のブツ形態物、クラックの発生を抑制する効果がある。イソパラフィンはブツ形態物の発生と、クラックの発生とを抑制する効果があり、流動パラフィンにはクラックの発生を抑制する効果があり、目的に応じてどちらか1つ、又は両方を使用することができる。
また、イソパラフィンは本発明の効果を害さない範囲であればどのようなイソパラフィンであっても使用できる。例えば市販のものでは、アクア化学株式会社製のアクアソルベントG、出光興産株式会社製のIPクリーンLX、IPクリーンHX、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント1016、IPソルベント2835等が容易に入手可能である。使用できるイソパラフィンは上記に限られるものではないが、これらの中でも、低分子量系のIPソルベント1016、IPソルベント1620、IPクリーンLXはブツ形態物の発生を抑制する効果が顕著であり、また、高分子量系のIPソルベント2028、IPソルベント2835、IPクリーンHXはクラック発生の抑制効果が顕著である。
また、流動パラフィンは本発明の効果を害さない範囲であればどのような流動パラフィンであっても使用することができる。例えば、日本薬局方に記載されているものが広く知られているが、本発明ではそのような規格に相当するものを使用してもよいし、それ以外のものを使用してもよい。
また、前記イソパラフィン及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つの合計添加量としては、溶媒全体に対して1〜60質量%であることが好ましい。1質量%未満の場合、分散液全体に対する割合が少なすぎるため、塗膜の乾燥、焼成時におけるブツ形態物やクラックの発生が多くなる可能性がある。また、60質量%以上の場合、分散液中の炭素数8以下のアルカンの割合が少なすぎるため、基板に塗布した際にはじきが多くなる可能性がある。なお、イソパラフィンと流動パラフィンとの混合割合は、前記合計添加量範囲内において目的に応じて適宜設定することができる。該合計添加量は溶媒全体に対して好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%、最も好ましくは5〜30質量%の範囲である。
(ハ)金属ナノ粒子
本発明で用いる金属ナノ粒子は、金属と有機物とから構成されており、平均粒子径は100nm以下というものである。平均粒子径が100nmを超える場合、低温焼結性が損なわれる可能性がある。また、平均粒子径が1nm未満である場合、粒子同士の凝集や焼結が過度に発生することにより溶媒中に分散できなくなる可能性がある。そのため、好ましい粒子径範囲は1〜50nmであり、更に好ましい範囲は1〜30nmである。ここで、該金属は一般的に導電性ペーストなどに用いられる金属であれば制限はなく、代表的には金、銀、銅、ニッケルなどが挙げられる。
また、該有機物は分子量が100〜1000、好ましくは100〜500、より好ましくは100〜300の有機化合物からなる。例えば、窒素(N)、炭素(C)及び酸素(O)を含んで構成されるものが挙げられ、例えばアミン化合物などを用いることができる。このような有機物は、金属表面に被覆されていることで、粒子同士の融着を防ぐ保護剤としての役割を果たす。
このような金属ナノ粒子の代表的な製造方法としては、例えば公知のアルコール還元法を採用することができる。これは、還元作用も有するイソブチルアルコールやポリオールなどのアルコール類を反応溶媒として、その溶媒中で金属化合物(金属塩など)を還元する手法である。その際、上述した保護材の役割を果たす有機物を反応溶媒中に共存させておくと、該有機物に被覆された金属粒子を合成することができる。
本発明の金属ナノ粒子分散液は以上の構成からなるものである。また、その製造方法は、一般に用いられている方法によって作製することができ、例えば3本ロールミルや攪拌脱泡器、ビーズミルなどを用いることができる。
また、本発明の金属ナノ粒子分散液を基板に塗布した後、乾燥、焼成することによって金属ナノ粒子膜を作製することができる。ここで、該基板は直鎖状構造を有し且つ表面張力が3.0×10−2N/m(30dyn/cm)未満の有機化合物に対して濡れ性を有する低表面エネルギーのものが好ましい。
また、本発明の金属ナノ粒子分散液は、低表面エネルギーの基材に対して均一に塗膜を形成出来ることに加えて、塗膜後に長時間湿潤状態を維持することができるため、印刷のインターバルを取らないといけないような印刷法にも適用することができる。そのため、インクジェット法、フレキソ法、グラビア法、反転法のような量産性に優れた各種の印刷法にも適用できる。
(実施例1)
反応媒体兼還元剤としてイソブタノール(和光純薬株式会社製の特級試薬)321.8gに、有機保護剤としてオレイルアミン(和光純薬株式会社製試薬Mw=267)553.3gと、銀化合物としての硝酸銀結晶(関東化学株式会社製)68.9gとを添加し、攪拌して硝酸銀を溶解させる。
容器内に不活性ガスとして窒素ガスを400mL/minの流量で吹込みながら、該溶液を攪拌しつつ加熱した。110℃に至るまでの昇温速度は1℃/minとした。加熱開始6時間経過後、還元補助剤として2級アミンのジエタノールアミン(和光純薬株式会社製試薬Mw=105.64)43.0gを添加した。その後、2時間保持した後、反応を終了した。反応終了後のスラリーについて以下の方法で洗浄を行った。
(1)反応後のスラリーを日立工機株式会社製の遠心分離器CF7D2を用い、3000rpmで30分固液分離を実施し、上澄みを廃棄する。
(2)沈殿物にメタノールを加えて超音波分散機で分散させる。
(3)前記の(1)→(2)を3回繰り返す。
(4)前記の(1)を実施して上澄み廃棄し沈殿した粒子凝集物を得る。
得られた粒子の金属占有割合は熱分析による減少割合から90mass%程度と算出された。また、TEM写真により粒子の平均粒子径を算出したところ、分散している銀粒子の平均粒子径は7〜15nmの範囲であった。
次に、分散媒を準備する。イソパラフィンとしてIPクリーンLX(出光興産株式会社製)を4.5g、IPクリーンHX(出光興産株式会社製)を1.5g、流動パラフィン(和光純薬工業株式会社製特級試薬)を8.0g、炭素数8以下のアルカンとしてヘプタンを33.0gを準備した。溶媒中の質量割合としては、(IPクリーンLX:IPクリーンHX:流動パラフィン:ヘプタン)=(10:3:17:70)となる。その後、これらと上記で得られた銀粒子凝集物とを、銀粒子分散液中の銀濃度が53.0質量%となるように混合して銀粒子分散液を調製した。
一方、コーニング社製の1737無研磨ガラス(事前の試験により、ヘキサデカンに対して濡れ性が生じることを確認している)をウシオ電機株式会社製紫外線ランプによりUV照射することにより親水化処理した基板を用意した。
銀粒子分散液を自動バーコーターワイヤーバー#3を用いて、インク滴下量7.0μL、塗膜速度60.0mm/sで基板上に塗布した。塗膜を観察し、基板に対するはじき、クラック、ブツ形態物の発生状況を調べた。
また、分散液保管による影響を調べるため、分散液作製後7、14日後の該分散液を上記と同様に基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の発生状況を調べた。これらの結果を表1に示した。
(実施例2)
(IPクリーンHX:流動パラフィン:ヘプタン)=(8:15:77)に変更した以外は実施例1と同じ操作で基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。また、実施例1同様に分散液作製後7、14日後の分散液も同様に基板上に塗布し、評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例3)
(IPクリーンLX:IPクリーンHX:流動パラフィン:ヘプタン)=(40:3:17:40)に変更した以外は実施例1と同じ操作で基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の発生状況を調べた。結果を表1に示した。
(実施例4)
炭素数8以下のアルカンとしてオクタンを使用し、(IPクリーンHX:流動パラフィン:オクタン)=(5:15:80)の比となるようにして分散液を作製した。その後、実施例1と同様の操作で基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例5)
(IPクリーンLX:IPクリーンHX:流動パラフィン:オクタン)=(30:5:15:50)に変更した以外は実施例4と同様の操作で基板上に塗布し、はじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例6)
炭素数8以下のアルカンとして、ヘプタンとオクタンを併用した。(IPクリーンHX:流動パラフィン:ヘプタン:オクタン)=(3:17:20:60)となるように分散液を作製し、実施例1と同様の操作で基板上に塗布した。また、塗布膜のはじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例7)
イソパラフィンとしてIPクリーンLXに変えてIP−2835(出光興産株式会社製)を用い、(IPクリーンHX:IP−2835:オクタン)=(5:40:55)となるように分散液を作製した。その後、実施例1と同様の操作で基板上に塗布し、塗布膜のはじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例8)
実施例1と同様の銀粒子を用いて(イソパラフィンとしてアクアソルベントG(アクア化学株式会社製):流動パラフィン:オクタン)=(40:20:40)に変更し、銀濃度を75質量%となるように銀粒子分散液を作製した。この銀粒子分散液をグラビアオフセット印刷機(RK Print Coat Instruments Ltd製 Kプリンティング ルーファー)を用いて印刷した。なお、ブランケットは接触角法で測定した表面エネルギーが2.2×10−2N/m(22dyn/cm)であるシリコーンブランケット(フジクラゴム製シリコーンブランケット#700−STD)を用いた。また、グラビア版はガラス製ライン幅50μm、スペース400μm、ライン深さ5μmを用い、基材には酸素プラズマ処理した水接触角2.5×10−2N/m(25dyn/cm)のポリイミドフィルム(東レデュポン社製カプトン700V)を用いた。印刷の結果、銀粒子分散液は版から表面エネルギーの低いシリコーンブランケットに問題なく受理され、次いでポリイミドフィルムへ転写された。また、焼成前のライン幅は50.1μmであった。この転写された配線を熱風オーブンで200℃、1時間焼成して得られた焼成膜を、デジタルマイクロスコープで観察した結果、焼成ライン幅は51.2μmで目標どおりのラインが描画されていた。
(実施例9)
銀濃度を20質量%〔粘度13mP・s〕となるように変更した以外は実施例8と同様の銀粒子分散液を作製した。この銀粒子分散液を、実施例8と同じ種類のポリイミドフィルムに対して、インクジェット印刷機〔株式会社スリーテック製UJ200型〕を用いてライン幅20μm、膜厚3μmの20ラインを印刷した。その結果、ノズル詰まりもなく液の吐出性は良好であった。また、銀粒子分散液のポリイミドフィルムに対するはじきもなく、インク広がり性も適正なものであった。
(比較例1)
炭素数8以下のアルカンを含まない場合について調べた。(IPクリーンLX:IPクリーンHX:流動パラフィン)=(80:5:15)となるように分散液を作製し、実施例1と同様の操作で基板上に塗布した。その後、塗布膜のはじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
(比較例2)
炭素数9のアルカンであるノナンを用いた場合について調べた。(IPクリーンHX:流動パラフィン:ノナン)=(5:15:80)となるように分散液を作製し、実施例1と同様の操作で基板上に塗布した。その後、塗布膜のはじき、クラック、ブツ形態物の評価を行った。結果を表1に示した。
表1で実施例1〜7と比較例1を比較すると、炭素数8以下のアルカンを分散液中に含ませた場合に基板に対するはじきが改善されていることが分かる。また、7、14日間保存した後でも分散液作製直後と同様の結果となっており、本願発明の金属ナノ粒子分散液が保存安定性にも優れていることが分かる。また、実施例6より複数の炭素数8以下のアルカンを併用した場合でも、その効果は変わらず得られることが分かる。一方、比較例2のように炭素数が9のノナンを用いた場合、基板に対するはじきが見られた。このことから、炭素数が8以下であることがはじきを改善するために必要な要件であることが分かる。
また、実施例8及び9より、本願発明の金属ナノ粒子分散液がグラビアオフセット印刷やインクジェット印刷のような印刷法に適用可能であることが分かる。
本発明の金属ナノ粒子分散液は、大型化が容易で厚膜化も可能な塗布・印刷法に適用することができるため、各種電子部品用に用いられる金属膜や金属配線、また、有機ELのようなディスプレイ装置や太陽電池などの電極を作製するための分散液として好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. 炭素数8以下のアルカンと、イソパラフィン及び流動パラフィンの少なくとも一方と、金属と有機物から構成される粒子径100nm以下の金属ナノ粒子とを少なくとも含む金属ナノ粒子分散液。
  2. 前記炭素数8以下のアルカンが、ヘプタン又はオクタンである請求項1に記載の金属ナノ粒子分散液。
  3. 前記炭素数8以下のアルカンの分散媒全体に対する割合が40〜99質量%の範囲である請求項1又は2に記載の金属ナノ粒子分散液。
  4. 前記金属は、金、銀、銅及びニッケルからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜3の何れかに記載の金属ナノ粒子分散液。
  5. 前記有機物は、窒素、炭素、及び酸素を含んで構成される請求項1〜4の何れかに記載の金属ナノ粒子分散液。
  6. 前記有機物は、分子量が100〜1000の範囲である請求項1〜5の何れかに記載の金属ナノ粒子分散液。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のナノ粒子分散液を印刷法で塗布する金属ナノ粒子塗布膜の製造方法。
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