JP5451115B2 - 多管式熱交換器の作製方法、その作製方法により溶接固定された多管式熱交換器及びその作製装置 - Google Patents
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Description
多管式熱交換器においては、上記複数の小径管の両端部が複数の貫通孔部を有する固定板に挿通された後に固定されることにより並列に配置され、固定された上記複数の小径管が上記収納管の内部に収納されている。
従来、上記複数の小径管の軸方向における外方端部と上記固定板の外方端部とは溶接されていることから、上記小径管の軸方向端部と上記固定板の厚さ方向における外方端部とは間隙が形成されることなく固定されているため、上記小径管と上記固定板との間からの液体の漏洩は生じない。
しかしながら、上記固定板の厚さ方向における内方端部において、上記小径管はいわゆるエキスパンダにより拡開されて上記固定板に固定されていることから、上記小径管と上記固定板との間には僅かな間隙が形成される可能性があった。
収納管内に熱交換媒体として、蒸気や温水や冷水を流通させた場合には、上記小径管と上記固定板との間隙から熱交換媒体が侵入しても衛生的観点からは問題とはならない。
しかしながら、上記小径管と上記収納管との双方に飲料としての液体を流通させる場合、上記小径管と上記固定板との間に形成された僅かに形成された間隙に液体が流入する可能性を有することから、液体が上記小径管と上記固定板との間隙に残留する可能性があり、特に、飲料としての液体を流通させる場合には衛生上問題となる。
また、上記小径管と上記固定板との間の間隙に液体が残留した場合には、残留液体を洗浄により除去した場合であっても洗浄効率が悪く、残留液体を完全に除去できない可能性がある。
従って、上記小径管と上記固定板との間に間隙が形成されないようにする必要があるが、上記固定板の内方端部においては、上記小径管と上記固定板との間を閉止する溶接を行おうとした場合、上記固定板には複数の細径の小径管が密集して配置されていることから、上記小径管の外方からの溶接によっては上記小径管と上記固定板の内方端部とを溶接することは困難であった。
しかしながら、特許文献1に記載されている技術においては、小径管71に固定板72を溶接する際に、上記固定板72の貫通孔部74周縁75に沿って上記フランジ状の突部76を形成する加工を施す必要があり、その結果、加工コストが増大するという問題を有している。
また、上記ガイド棒は、上記溶接棒に対して平行に配設され、上記溶接棒を挿入する当該小径管に隣接する他の小径管に挿入しうるので、溶接棒を当該小径管に挿入すると共にガイド棒を他の小径管に挿入することにより、より容易かつ確実に上記溶接棒を当該小径管の中心軸に沿って配置させることができる。
図1に示すように、本発明に係る多管式熱交換器10の作製方法及びその作製方法により溶接固定された多管式熱交換器10は、両端部11,11が固定板12,12により閉止され、第一の液体製品Aが内部を流通する収納管13と、両端部14,14が上記固定板12,12に固定されて上記収納管13内に幅方向に並置されて、長さ方向に沿って複数配設され、第二の液体製品Bが内部を流通し、上記第一の液体製品Aとの間で相互に熱交換が行われるように構成された小径管15とを有し、図2に示すように、上記小径管15の先端部16と上記固定板12の表面側端面部17とを全周方向において溶接固定する共に、上記固定板12の厚さ方向の裏面側端面部18の一般面19よりも固定板12内方20部位において上記小径管15と上記固定板12とを全周方向において溶接固定する。
また、図2に示すように、上記小径管15は、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19から固定板12内方への距離寸法L1が0.5mmから3.5mmの範囲の部位において溶接固定されている。
また、図2に示すように、上記小径管15と上記固定板12の裏面側端面部18との溶接固定部位において、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19から上記小径管15に傾斜する傾斜面部21が形成されている。
また、上記ガイド棒25,25,25は、上記溶接棒23に対して平行に配設され、上記溶接棒23を挿入する図4及び図5に示すような当該小径管15aに隣接する他の小径管15b,15b,15bに挿入しうるように形成されている。
図1に示すように、本実施例に係る多管式熱交換器10は、両端部11,11が固定板12,12により閉止され、第一の液体製品Aが内部を流通する収納管13と、両端部14が上記固定板12,12に固定されて上記収納管13内に幅方向に並置されて、長さ方向に沿って複数配設され、第二の液体製品Bが内部を流通し、上記第一の液体製品Aとの間で相互に熱交換が行われるように構成された小径管15とにより構成されている。
また、上記収納管13、上記複数の小径管15及び上記固定板12はステンレス材により形成されている。
また、上記収納管13は、いわゆるシェルと呼ばれ、図1に示すように、大径の円筒状に形成され、両端部11,11に開口部26,26が形成されており、上記両端部11,11の内方位置には、径方向に開口する第一の液体製品Aを入出しうる短円筒状の導通管27a,27bが上記収納管13上面方向及び下面方向に夫々延設されて形成されている。
また、本実施例においては、上記収納管13は外径寸法が165.2mm、厚さ寸法が3.5mmの円筒状に形成され、上記導通管27a,27bは内径寸法が133.8mmの円筒状に形成されている。
そして、上記導通管27a,27bは、夫々、他の管路(図示せず)に接合可能に形成されており、導通管27aを介して第一の液体製品Aを上記収納管13の内部に導入し、導通管27bを介して導出させることにより、上記収納管13の内部に第一の液体製品Aが流通するように構成されている。
また、上記収納管13の両端部11,11には上記複数の小径管15の両端部14,14が固定された固定板12,12が固定されている。
また、上記小径管15は、いわゆるチューブと呼ばれ、例えば、本実施例においては、外径寸法が14mm、厚さ寸法が1mm、長さ寸法が3900mmの細径円筒形のパイプ状に形成されている。
また、図6に示すように、上記固定板12は、厚さ寸法が64mmからなる短円筒状に形成され、外径寸法は上記収納管13の開口部26に挿入しうる径寸法に形成され、上記固定板12には、上記小径管15を挿通しうる径寸法が略14mmの貫通孔部28が所定間隔寸法をおいて厚さ方向に沿って55個設けられている。
そして、図5に示すように、上記貫通孔部28に上記小径管15を挿通させた後に、図2に示すように、上記小径管15の先端部16と上記固定板12の表面側端面部17とが全周方向において溶接固定されている。
この上記固定板12の表面側端面部17において行う溶接は、従来から行われている小径管15の外方からの溶接であり、上記固定板12の表面側端面部17に沿って小径管15の先端部16が配置されることから、溶接する場合に、溶接工具に接触する小径管等が存在しないため、外方からの溶接により上記小径管15の先端部16と上記固定板12の表面側端面部17とを溶接固定することができる。
このように、図1に示すように、上記固定板12に固定された複数の小径管15は上記収納管13内の長さ方向に沿って平行に複数配設され、小径管15の内部に第二の液体製品Bが内部を流通させると共に収納管13と上記小径管15との間に第一の液体製品Aを流通させることにより相互に熱交換が行われるように構成されている。
この上記固定板12の厚さ方向の裏面側端面部18において行う溶接は、上記固定板12に複数の小径管15が密集して配置されており溶接が困難であることから、上記小径管15の内側からの溶接により、上記固定板12の厚さ方向の裏面側端面部18の一般面19よりも固定板12内方20への距離寸法L1が0.5mmから3.5mmの範囲の部位20において溶接固定されている。
また、図2に示すように、上記小径管15と上記固定板12の裏面側端面部18との溶接固定部位において、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19から上記小径管15に傾斜する傾斜面部21が全周方向において形成されて、上記小径管15と上記固定板12との間に間隙がないように閉止されると共に、溶接固定部位の外表面は、より液体製品の残留を低減しうる滑らかなR形状の上記傾斜面部21により形成されている。
拡開工具による上記小径管15の拡開により形成された凸面部29は、小径管15を上記固定板12に挿入した後、図7に示すように、上記小径管15の先端部16側から上記小径管15より径が小さな棒状の拡開工具を挿入して拡開工具の先端部側の所定部位を拡開することにより、上記固定板12の厚さ方向の裏面側端面部18の一般面19よりも固定板12の厚さ方向内方への長さ寸法が22mm、外方への長さ寸法が5mmからなる全体としての長さ寸法L2が27mmの範囲全域において上記小径管15を径方向に拡開することにより全周方向に亘って外周面凸形状の凸面部29が形成される。
このように、固定板12の厚さ方向の裏面側端部18の溶接部位において、上記固定板12に上記小径管15を圧接して、上記小径管15と固定板12とを密着させた後に、溶接することにより、より上記小径管15と上記固定板12との間に間隙がないように上記小径管15と上記固定板12とを溶接固定することができる。
また、上記収納管13の導通管27a,27bが形成された少し内方位置には、取り外しての洗浄を可能とするため、上記収納管13の外周面に沿って接合クランプ31が取り付けられ、収納管13は上記接合クランプ31の固定解除により分離可能に接合されている。
本実施例おいては、アーク溶接の一種であるTig溶接を用いた多管式熱交換器10の作製装置22を例に説明する。
Tig溶接は、融点の非常に高いタングステン棒からのアーク放電によりアークを発生させて、その熱で母材を溶かす溶接方法である。また、溶接部をシールドガス(アルゴンガスやヘリウムガス等の不活性ガス)で保護して溶接することにより、安定したアークを発生させる。
上記基台部33の上面には円形平面状の当接面部35が形成され、上記当接面部35は垂直になるように配置され、上記当接面部33の中心部には、上記溶接棒23を貫通しうる中心孔34が開設されている。
また、上記溶接棒23は、中心軸が上記当接面部35に対して直角に配置されるように、上記中心孔34を貫通して装置本体部32に取り付けられ、3本のガイド棒25,25,25は、当接面部35に直角に立設されている。
また、上記溶接棒23の先端部には、タングステン材からなる電極部37が上記溶接棒23の周面部から突出するように径方向に沿って固定されている。
また、上記溶接棒23は、溶接固定する当該小径管15aに挿入しうる径寸法である6.5mmに形成され、上記ガイド棒25は多管式熱交換器10の他の小径管15b,15b,15bに挿入しうる径寸法略12mmに形成されている。
また、図4に示すように、上記3本のガイド棒25,25,25は、上記溶接棒23を当該小径管15aに挿入した場合に、図5に示すような隣接する他の3本の小径管15b,15b,15bに挿入しうるように上記溶接棒23を包囲して配置するように上記基台部33の当接面部35から立設されて固定されている。
また、図3に示すように、上記溶接棒23の内部には軸中心に沿って軸方向略全域に亘って形成されたシールドガスを導入しうる細長空洞状の中空孔36が形成され、上記溶接棒23の固定側端部38に開口する注入孔46と、上記溶接棒23の先端部に開口する排出孔47とを有している。
また、上記電極部37は、図8に示すように、上記溶接棒23を軸中心を中心に回転させた場合に、常に、上記小径管15の内周面からの距離寸法L3が1.6mmとなるように、上記溶接棒23の先端部に径方向に突出するように固定され、上記溶接棒23の回転により上記電極部37は上記小径管15の内周面に沿って移動するように構成されている。
このように構成されることにより、上記電極部37の先端部と上記小径管15の内周面から1.6mmの距離寸法L3が確保されることから、上記電極部37から安定してアークを発生させることができる。
また、図3(b)に示すように、上記溶接棒23の固定側端部38の注入孔46には、上記中空孔36にシールドガスを注入しうる注入チューブ39がエアジョイント40を介して接続されている。
このため、固定板12の厚さ方向の裏面側端面部18において小径管15の内側から溶接する場合には、小径管15の内方及び外方にシールドガスを充填する。
この場合、図4に示すような上記溶接棒23の中空孔36を介して小径管15に注入される第一のシールドガスを上記小径管15の内部に充填するために、図9に示すように、小径管15の内周面に当接して小径管15を閉止する閉止部材41を使用する。
上記閉止部材41は、図9に示すように、小径管15を内側から溶接する場合には、小径管15の先端部16からの距離寸法L4が150mmとなる位置に配置することにより上記小径管15を閉止して、第一のシールドガスを小径管15の内部に充填させることができるので、安定したアークを電極部37から発生させることができる。
また、小径管15の外方においてシールドガスを充填させる場合には、図9に示すように、固定板12の径寸法と同一の内径を有する筒状部材42を使用する。
上記筒状部材42は、図10に示すように、内径寸法が69.5mm、幅寸法が50mmにより構成され、周面部には第二のシールドガスを注入しうる注入孔43が設けられている。
上記筒状部材42を使用して溶接部位の外方に第二のシールドガスを充填させるためには、図9に示すように、上記筒状部材42の幅方向の一方の端部44の内周面を固定板12に係止させると共に他方の端部45をビニール等で閉止した後に、上記筒状部材42の注入孔43から第二のシールドガスを注入することにより、溶接部位の外方に第二のシールドガスを充填させることができるので、安定したアークを電極部37から発生させることができる。
本実施例においては、固定板12の厚さ方向の裏面側端面部18において1つの小径管15を固定板12に溶接する場合に要する時間は、シールドガスを充填する工程、溶接を行う工程があり、開始してから終了するまで、約1分20秒である。
上記作製装置22を作動させた場合、まず、第一のシールドガス及び第二のシールドガスとしてのアルゴンガスを溶接部位の内方及び外方に注入してシールドガスを溶接部位の近傍に充填するように制御されている。
そして、上記シールドガスを充填した後、溶接棒23の軸中心を中心にスムーズに回転させることにより、溶接棒23の先端部に固定された電極部37は小径管15の内周面に沿って移動するように制御されている。
この場合、電極部37に電流を印加することにより、電極部37からのアーク放電により熱を発生させて、溶接部位を溶接する。
上記電極部37に印加する電流は、例えば、本実施例の場合には、ピーク電流が80A、ベース電流が65Aである電流が交互に25mS毎に印加されるパルス電流である。
また、上記溶接棒23の1回転により、電極部37が小径管15に沿って一周移動して、1つの上記小径管15の溶接が完了するように制御されている。
この場合、上記溶接棒23の1周回転を4分割して夫々の区画で印加電流条件や回転速度等の制御を行うことにより、より確実に溶接を行うように制御することができる。
なお、ピーク電流、ベース電流等は、溶接部位の溶接状態の関係で適宜変更することが可能である。
また、小径管15の内周面上部においては、溶接時に溶けた部位が重力により垂下する可能性を有することから、溶接棒23の回転速度を早くして溶け量を押さえる等の制御を行うことにより、より確実に溶接を行うように制御することも可能である。
図3に示すような多管式熱交換器10の作製装置22を使用して、図2に示すような固定板12の厚さ方向の裏面側端面部18において小径管15の内側から溶接することにより溶接固定して、多管式熱交換器10を作製する場合を例に説明する。
まず、図6に示すような固定板12の貫通孔部28の夫々に、図5に示すように、夫々の小径管15を挿入する。
上記小径管15の先端部16と固定板12の表面側端面部17を揃えて同一平面上に配置する。
その後、図7に示すように、上記小径管15の先端部16側から拡開工具を挿入して、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19の位置において、上記小径管15と上記固定板12とを密着固定させるために、拡開工具を拡開させて上記小径管15を径方向に拡開して凸面部29を形成することにより、上記固定板12に上記小径管15を圧接固定する。
この場合、上記小径管15には上記凸面部29が形成されることにより、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19の位置において、上記固定板12に小径管15は密着している。
しかしながら、溶接等により施された密閉による固定ではなく、小径管15の拡開による固定であることから、僅かに間隙が形成される可能性がある。
従って、図1に示すように、特に、収納管13と小径管15との間に飲料としての第一の液体製品Aを流通させる場合には、上記小径管15と上記固定板12との間に液体が残留する可能性を有することから衛生上問題となるため、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19の位置において溶接固定する必要がある。
このため、図3に示すような多管式熱交換器10の作製装置22を使用して、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19よりも固定板12内方20の位置において、小径管15の内側から溶接することにより、上記小径管15と上記固定板12とを溶接固定する。
このため、図9に示すように、溶接部位の小径管15aの内方においては、溶接する小径管15aの内部に閉止部材41を挿入して、小径管15の先端部16から150mmの位置L4に上記閉止部材41を配置する。
また、溶接部位の小径管15aの外方においては、筒状部材42の幅方向の一方の端部44を固定板12に係止させると共に他方の端部45をビニール等で塞ぐことにより閉止する。
この場合、上記溶接棒23に固定された電極部37は、上記固定板12の厚さ方向の裏面側面部18の一般面19よりも固定板12内方への距離寸法L1が0.5mmから3.5mmとなるように配置される。
また、上記3本のガイド棒25,25,25が当該小径管15aに隣接する他の小径管15b,15b,15bに挿入されることにより、上記溶接棒23は上記当該小径管15aの中心軸24に沿って配置される。
この結果、上記電極部37の先端部と上記小径管15の内周面から1.6mmの距離寸法L3が確保されることから、上記電極部37から安定してアークを発生させることができる。
このように、図4に示すように、溶接棒23を溶接固定する当該小径管15aに挿入すると共に3本のガイド棒25,25,25を隣接する他の小径管15b,15b,15bに挿入して、作製装置22の基台部33に形成された当接面部35が固定板12の表面側端部17に当接するまで移動させることにより、容易かつ確実に上記電極部37を最適な上記所定位置に配置させることができる。
まず、作動直後においては、溶接部位の近傍にシールドガスとしてのアルゴンガスを充填するために、図4に示すように、溶接棒23に形成された中空孔26を介して、溶接棒23の先端部に設けられた排出孔47からアルゴンガスを上記当該小径管15aの内部に注入すると共に、図4に示すように配置された上記筒状部材42の図10に示すような注入孔43からアルゴンガスを注入するように制御されている。
この場合、当該小径管15aは、小径管15aの先端部16から150mmの位置L4において上記閉止部材41により閉止されていることから、溶接部位の小径管15aの内方においてアルゴンガスが保持される。
また、筒状部材42の幅方向の一方の端部44を固定板12に係止させると共に他方の端部45をビニール等で塞ぐことにより閉止されていることから、溶接部位の小径管15aの外方においてアルゴンガスが保持される。
このようにアルゴンガスを当該小径管15aの内方及び外方に充填することにより、安定したアーク放電を発生させることができる。
この場合、上記電極部37は、溶接棒23の回転により、上記固定板12の厚さ方向の裏面側端面部18の一般面19よりも固定板内方20部位において上記小径管15aと上記固定板12とを全周方向において溶接固定するので、小径管15aと固定板12との間に間隙が形成されることなく溶接固定することができることから、液体の残留を低減させて洗浄効率を向上させ、衛生的であると共に、従来のように固定板12にフランジ状の突部を形成する加工を施すことなく製作コストを低減しうる多管式熱交換器10の作製方法を提供することができる。
また、上記小径管15は、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19から固定板12内方への距離寸法L1が0.5mmから3.5mmの範囲の部位において溶接固定された場合に、溶接部位に固定板12の裏面側端面部18の一般面19から上記小径管15aに傾斜する滑らかなR形状の傾斜面部21が全周方向に形成される。
この結果、上記小径管15aと上記固定板12の裏面側端面部18との溶接固定部位の溶接面の外表面に滑らかな傾斜面部21を形成できることから、より洗浄効率を向上させ、衛生的である多管式熱交換器10の作製方法を提供することができる。
上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19から固定板12内方への距離寸法L1が0.5mmから3.5mmより小さな距離寸法の部位において溶接固定された場合には、小径管15aの厚さ寸法が小さいことから熱伝導率が良好であり小径管15aが固定板12より早く溶解してしまう傾向がある。
また、上記距離寸法L1が3mm以上の距離寸法の部位において溶接固定された場合には、固定板12への熱伝導率が悪く固定板の溶け量が少なくなるため、溶接を安定して行えない傾向がある。
一方、上記距離寸法L1が0.5mmから3.5mmの距離寸法の部位において溶接固定された場合に最も安定した溶接がなされると共に外表面には滑らかなR形状の傾斜面部21が形成される。
このような観点から実験を行った結果、上記固定板12の裏面側端面部18の一般面19から固定板12内方への距離寸法L1が0.5mmから3.5mmの範囲の部位において上記小径管15の内側から溶接固定された場合に、最も良好に間隙を閉止すると共に、溶接部位の外表面に凹凸のない滑らかな傾斜面部21が形成することができ、洗浄効率を向上させうる多管式熱交換器10を作製することができることが明らかになっている。
そして、図5に示すような55個の小径管15の夫々に上記多管式熱交換器10の作製装置22を使用して、順次、多管式熱交換器10の固定板12の裏面側端面部18の一般面19よりも固定板12内方20部位において、小径管15の内側から溶接する。
この場合、小径管15の外方からの溶接により溶接固定する従来の溶接装置を使用して溶接することができる。
11 収納管の端部
12 固定板
13 収納管
14 小径管の端部
15 小径管
15a 当該小径管
15b 他の小径管
16 小径管の先端部
17 固定板の表面側端面部
18 固定板の裏面側端面部
19 固定板の裏面側端面部の一般面
20 固定板内方
21 傾斜面部
22 多管式熱交換器の作製装置
23 溶接棒
24 中心軸
25 ガイド棒
26 開口部
27a 導通管
27b 導通管
28 貫通孔部
29 凸面部
30 クランプ
31 接合クランプ
32 装置本体部
33 基台部
34 中心孔
35 当接面部
36 中空孔
37 電極部
38 溶接棒の固定側端部
39 注入チューブ
40 エアジョイント
41 閉止部材
42 筒状部材
43 注入孔
44 筒状部材の一方の端部
45 筒状部材の他方の端部
46 注入孔
47 排出孔
70 多管式熱交換器
71 小径管
72 固定板
73 収納管
74 貫通孔部
75 貫通孔部周縁
76 突部
A 第一の液体製品
B 第二の液体製品
L1 一般面から固定板内方への距離寸法
L2 長さ寸法
L3 距離寸法
L4 距離寸法
Claims (1)
- 両端部が固定板により閉止され、第一の液体製品が内部を流通する収納管と、両端部が上記固定板に固定されて上記収納管内に幅方向に並置されて、長さ方向に沿って複数配設され、第二の液体製品が内部を流通し、上記第一の液体製品との間で相互に熱交換が行われるように構成された小径管とを有し、上記小径管の先端部と上記固定板の表面側端面部とが全周方向において溶接固定された多管式熱交換器を作製する多管式熱交換器の作製装置であって、
上記小径管に挿入しうると共に上記固定板の厚さ方向の裏面側端面部の一般面よりも固定板内方部位において上記小径管と上記固定板とを溶接しうる溶接棒と、他の小径管に挿入しうると共に上記溶接棒を上記当該小径管の中心軸に沿って配置させうるガイド棒とを有し、上記固定板の厚さ方向の裏面側端面部の一般面よりも固定板内方部位において上記小径管と上記固定板とが全周方向において溶接固定するように構成され、
上記ガイド棒は、上記溶接棒に対して平行に配設され、上記溶接棒を挿入する当該小径管に隣接する他の小径管に挿入しうることを特徴とする多管式熱交換器の作製装置。
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