JP6075999B2 - 管端溶接機及び管端溶接方法 - Google Patents
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一方、このよう側板の内側表面から奥まった位置で管端溶接を行う構成以外に、法令上の要請から、図12に示すように伝熱管108を側板101から突き出し、この突出部分の角部(より詳しくは伝熱管の突出部分の外周囲及び伝熱管が挿通された側板の管孔周縁)を溶接する構成も存在している。このように突出部分の角部を溶接するのは以下の理由による。即ち、一般的な側板の内側表面位置で管端溶接を行う場合、法令上における強度計算は、管の端から側板の端までの長さに基づいて行う。そのため、側板の内側表面位置で管端溶接する場合、側板の端から管の端までの長さがどうしても側板の厚みよりも小さくなるため、側板の厚みそのものを厚くすることによって側板の端から管の端までの長さを大きくし、強度を保つようにしている。しかし、予め側板を厚くすることは、無駄な材料を必要として、コストの上昇を招来する。これに対して、伝熱管の突出部分の角部を溶接する場合は、側板の厚みそのものを厚くする必要がなく、無駄な材料の抑制が図れるという利点を有することから、突出部分の角部を溶接することが要請されている。
また、請求項5記載の発明は、対向する一対の側板のうちの一方の側板には管孔が形成され、他方の側板には前記管孔に対応したプラグ孔が形成された箱型のヘッダーにおいて、前記管孔に伝熱管の端部を挿入して前記一方の側板から突出させ、この伝熱管の突出部分の外周囲と、伝熱管が挿通された前記一方の側板の管孔の周縁とを、請求項2記載の管端溶接機を用いて周溶接する管端溶接方法であって、伝熱管を管孔に挿入し、伝熱管の端部が前記一方の側板の内側表面から突出するまで押し込む第1ステップと、前記管端溶接機の前記回転部及び前記溶接トーチを、溶接する部分の管孔に対応したプラグ孔から挿入し、前記溶接トーチが当該管孔の手前側近傍位置に達するまで押し込む第2ステップと、前記一対のガイド部材を、溶接する部分の管孔に対応したプラグ孔以外のプラグ孔からそれぞれ挿入し、各ガイド部材の先端が、溶接する部分の管孔以外の管孔内又は既に管端溶接が行われた伝熱管内に到達するまで押し込む第3Aステップと、前記各ガイド部材が前記管孔内又は既に管端溶接が行われた伝熱管内にそれぞれ挿入された状態で、前記各ガイド部材を管端溶接機本体に装着する第4Aステップと、前記溶接トーチからのアークにより前記伝熱管の突出部分の外周囲と、前記伝熱管が挿通された前記一方の側板の管孔の周縁とを周溶接する第5ステップと、を含むことを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の管端溶接方法であって、前記第2ステップに先立ち、前記第3Aステップを行うことを特徴とする。
図1は本発明に係る管端溶接方法を用いて製造された空冷式熱交換器の正面図、図2は空冷式熱交換器に備えられるヘッダー付近の分解斜視図、図3は図2とは反対方向から見たヘッダー付近の分解斜視図、図4は空冷式熱交換器に備えられるヘッダーの縦断面図である。本実施の形態に係る空冷式熱交換器1は、後述するように、管端自動溶接機を用いた管端溶接方法により製造されたものである。この空冷式熱交換器1は、一対の箱型のヘッダー2,2と、一対のヘッダー2,2間を連結する多数のフィン付伝熱管(いわゆるフィンチューブ)3とを有する。ヘッダー2における一対の側板2a,2bのうちの一方の側板2a(一対の箱型のヘッダー2の対向する側の側板)には、図2に示すように、多数の管孔4が千鳥格子状に配列されて形成されている。本実施の形態では、管孔4は千鳥格子状に配列されているが、本発明はこれに限定されず、例えば碁盤目状或いはその他の配列であってもよい。この各管孔4には、伝熱管3の端部3aが挿入され側板2aから突出しており、図4に示すように伝熱管の該突出部分(端部3aに相当)の外周囲と、伝熱管3が挿通された側板2aの管孔4の周縁とが周溶接されている。これにより、多数の伝熱管3は側板2aに支持固定されている。
なお、管孔4の穴効率は、45%〜70%の範囲であり、好ましくは52%〜64%の範囲である。プラグ孔5の開口率は、40%〜65%の範囲であり、好ましくは45%〜60%の範囲である。ここで、穴効率とは、図5に示すように、穴のピッチがpで、穴の直径がdとすると、穴効率(%)={(p−d)/p}×100で示される。
なお、図7に示すように、支持軸16は管芯出し金具15の中心から偏心した位置で支持する構成であってもよい。このように支持軸16が偏心した位置で支持する構成とすることにより、回転部12の先端(即ち溶接トーチ14)のぶれを少なくでき、溶接の精度が向上する。この点について以下に詳述する。支持軸16は回転部12に固定されているので、支持軸16の軸芯と溶接トーチ14との間隔は一定である。一方、管芯出し金具15の外壁と伝熱管3の内壁との間には隙間が存在している。そして、支持軸16の軸芯と溶接トーチ14との間隔は、支持軸16を管芯出し金具15の中心位置に配置した場合よりも管芯出し金具15の中心から偏心した位置に配置した場合の方が小さい。従って、溶接トーチ14が伝熱管3の外周囲を1回転する際の径方向に関する変位は、支持軸16を偏心した位置に配置する構成の方が少ない。この結果、回転部12の先端(即ち溶接トーチ14)のぶれを少なくでき、溶接の精度が向上することになる。さらに、偏心位置を適宜変化させれば、伝熱管3の外周に最も近接した位置から最も離れた位置までの希望する領域に溶接範囲を設定することが可能となる。
先ず、ヘッダー2の側板2aにおける管孔4に伝熱管3を挿入し、側板2aから2〜4mm程度突出させておく。一方、管端自動溶接機10の溶接トーチ14及び管芯出し金具15をプラグ孔5から挿通させる。このとき、回転部12は折曲部分12bを有することから、プラグ孔5に回転部12を進入させる角度を適宜変えつつ、回転部12を徐々に進入させることにより、溶接トーチ14及び管芯出し金具15をプラグ孔5から挿通させることが可能となる。そして、図6に示すように管芯出し金具15を伝熱管3内に挿入させた状態とする。なお、吸盤20及びピン21が側板2bの外側面に接触することにより、溶接トーチ14の進入方向に関する位置決めがなされる。このような状態で、回転部12の回転により、溶接トーチ14が回転部本体12aの軸線L1回りに回転し、これにより、タングステン電極13からのアークが伝熱管3の突出部分3aの外周上に沿って移動し、伝熱管3の突出部分3aの外周囲と、伝熱管3が挿通された側板2aの管孔4の周縁とが周溶接されることになる。なお、管端自動溶接機10は溶加材としての溶接ワイヤを自動供給する構成を含んでいてもよい。
図8は実施の形態2に係る管端自動溶接機の縦断面図である。この図8は管端自動溶接機がヘッダーに挿入された状態を示している。本実施の形態に係る管端自動溶接機10Aは、実施の形態1に係る管端自動溶接機10に備えられていた管芯出し金具15、吸盤20及びピン21等は省略されている。また、回転部12は、回転部本体12aと複数(本実施の形態では2個)の折曲部分12bとで構成されている。このような極めてシンプルな構造の管端自動溶接機10Aであっても、実施の形態1に係る管端自動溶接機10と同様な方法で箱型ヘッダーを備えた空冷式熱交換器における伝熱管3の管端溶接を行うことができる。
図9は実施の形態3に係る管端自動溶接機がヘッダーに挿入された状態を示す横断面図である。実施の形態3は、管端自動溶接機の固定を別の方法で行ったものである。つまり、溶接する部分の管孔に対応したプラグ孔以外のプラグ孔に、ガイド部材35を挿入することにより、管端自動溶接機を固定するものである。
実施の形態3に係る管端自動溶接機10Bは、実施の形態2の管端自動溶接機10Aに類似すると共に、本体11の左右両側部に取付部34がそれぞれ設けられ、この取付部34に長手状のガイド部材35が着脱自在に装着できるようになっている。なお、図9では管端自動溶接機10Bを上方から見ている図のため、回転部12が折曲していることが明確でないが、実際は回転部12は折曲した形状である。即ち、本実施の形態3の管端自動溶接機10Bにおける回転部12は、実施の形態1,2と同様に回転部本体12aと、少なくとも1以上の折曲部分12bとで構成されている。
ガイド部材35は、プラグ孔5を挿通可能な本体部35aと、先端部35bとを有する。
管端溶接を行うに際しては、先に回転部12をプラグ孔5から挿入し、次いで、ガイド部材35を、回転部12が挿入されたプラグ孔5の横隣のプラグ孔5から挿入し、その状態でガイド部材35を取付部34に装着する。なお、先にガイド部材35をプラグ孔5から挿入し、次いで、回転部12を挿入するようにしてもよい。
なお、当該溶接する部分の管孔4の隣の管孔4に伝熱管3が溶接されている場合に、当該伝熱管3内にガイド部材35の先端を挿入して回転部12の支持状態を安定化するようにしてもよく、また、当該溶接する部分の管孔4の隣の管孔4に伝熱管3が溶接されていない場合に、当該隣の管孔4内にガイド部材35の先端を挿入して回転部12の支持状態を安定化するようにしてもよい。
次いで、ガイド部材35を回転部12の挿通したプラグ孔5の右横隣りのプラグ孔5から挿入し、その先端35bが当該溶接する部分の管孔4の右横隣りの管孔4内に到達するまで押し込まれる。これにより、ガイド部材35が管孔4及びプラグ孔5で支持固定されることにより、回転部12の支持状態は安定しており、回転部12の先端(即ち溶接トーチ)が、ぶれることはなく、安定した支持状態が維持される。
なお、プラグ孔5にはプラグ6が装着され、漏れのない程度の締め付けトルクで締め付けられ、プラグ孔5が密閉され、空冷式熱交換器1が得られることになる。
さらに、上記実施の形態では、ガイド部材35は回転部12が挿入されるプラグ孔の1つ横隣のプラグ孔5に挿入されるように構成されていたが、2つ若しくはそれ以上離れたプラグ孔5に挿入されるように構成されていてもよい。
上記実施の形態ではフィン付伝熱管3を使用したが、フィンのない伝熱管3を使用してもよい。
3:伝熱管 3a:伝熱管3の突出部分
4:管孔 5:プラグ孔
6:プラグ 10,10A,10B:管端自動溶接機
12:回転部 12a:回転部本体
12b:折曲部分 14:溶接トーチ
15:管芯出し金具 16:支持軸
34:取付部 35:ガイド部材
Claims (6)
- 対向する一対の側板のうちの一方の側板には管孔が形成され、他方の側板には前記管孔に対応したプラグ孔が形成された箱型のヘッダーにおいて、前記管孔に伝熱管の端部を挿入して前記一方の側板から突出させ、この伝熱管の突出部分の外周囲と、伝熱管が挿通された前記一方の側板の管孔の周縁とを周溶接するために使用される管端溶接機であって、
管端溶接機本体と、
前記管端溶接機本体の先端側に回転可能に設けられ、駆動手段により回転する回転部と、
前記回転部の先端に設けられると共に、前記周溶接が可能なように前記伝熱管の突出部分に対して外側で且つ所定角度傾斜して配置される溶接トーチとを備え、
前記回転部は、駆動手段に連結され前方に向けて真っ直ぐに延びる回転部本体と、該回転部本体に連なり前記溶接トーチが前記プラグ孔から挿入可能なように1箇所若しくは複数個所で折れ曲げられた折曲部分とで構成され、
前記管端溶接機本体には、前記回転部本体に平行に延びるガイド部材が着脱自在に装着され、
管端溶接に際しては、前記ガイド部材の先端部を、溶接する部分の管孔以外の管孔内又は既に管端溶接が行われた伝熱管内に挿入することにより、前記回転部を支持するように構成されていることを特徴とする管端溶接機。 - 前記ガイド部材は、前記管端溶接機本体の左右両側に一対、又は斜め上側及び下側に一対設けられている請求項1記載の管端溶接機。
- 対向する一対の側板のうちの一方の側板には管孔が形成され、他方の側板には前記管孔に対応したプラグ孔が形成された箱型のヘッダーにおいて、前記管孔に伝熱管の端部を挿入して前記一方の側板から突出させ、この伝熱管の突出部分の外周囲と、伝熱管が挿通された前記一方の側板の管孔の周縁とを、請求項1記載の管端溶接機を用いて周溶接する管端溶接方法であって、
伝熱管を管孔に挿入し、伝熱管の端部が前記一方の側板の内側表面から突出するまで押し込む第1ステップと、
前記管端溶接機の前記回転部及び前記溶接トーチを、溶接する部分の管孔に対応したプラグ孔から挿入し、前記溶接トーチが当該管孔の手前側近傍位置に達するまで押し込む第2ステップと、
前記ガイド部材を、溶接する部分の管孔に対応したプラグ孔以外のプラグ孔から挿入し、ガイド部材の先端が溶接する部分の管孔以外の管孔内又は既に管端溶接が行われた伝熱管内に到達するまで押し込む第3ステップと、
前記ガイド部材が前記管孔内又は既に管端溶接が行われた伝熱管内に挿入された状態で、前記ガイド部材を管端溶接機本体に装着する第4ステップと、
前記溶接トーチからのアークにより前記伝熱管の突出部分の外周囲と、前記伝熱管が挿通された前記一方の側板の管孔の周縁とを周溶接する第5ステップと、
を含むことを特徴とする管端溶接方法。 - 前記第2ステップに先立ち、前記第3ステップを行う請求項3記載の管端溶接方法。
- 対向する一対の側板のうちの一方の側板には管孔が形成され、他方の側板には前記管孔に対応したプラグ孔が形成された箱型のヘッダーにおいて、前記管孔に伝熱管の端部を挿入して前記一方の側板から突出させ、この伝熱管の突出部分の外周囲と、伝熱管が挿通された前記一方の側板の管孔の周縁とを、請求項2記載の管端溶接機を用いて周溶接する管端溶接方法であって、
伝熱管を管孔に挿入し、伝熱管の端部が前記一方の側板の内側表面から突出するまで押し込む第1ステップと、
前記管端溶接機の前記回転部及び前記溶接トーチを、溶接する部分の管孔に対応したプラグ孔から挿入し、前記溶接トーチが当該管孔の手前側近傍位置に達するまで押し込む第2ステップと、
前記一対のガイド部材を、溶接する部分の管孔に対応したプラグ孔以外のプラグ孔からそれぞれ挿入し、各ガイド部材の先端が、溶接する部分の管孔以外の管孔内又は既に管端溶接が行われた伝熱管内に到達するまで押し込む第3Aステップと、
前記各ガイド部材が前記管孔内又は既に管端溶接が行われた伝熱管内にそれぞれ挿入された状態で、前記各ガイド部材を管端溶接機本体に装着する第4Aステップと、
前記溶接トーチからのアークにより前記伝熱管の突出部分の外周囲と、前記伝熱管が挿通された前記一方の側板の管孔の周縁とを周溶接する第5ステップと、
を含むことを特徴とする管端溶接方法。 - 前記第2ステップに先立ち、前記第3Aステップを行う請求項5記載の管端溶接方法。
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