JP5449853B2 - 集合管液封防止機構 - Google Patents

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本発明は、例えば、集合住宅などで用いられるLPガス供給システムにおいて、複数のLPガス容器から集合したLPガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas:液化ガス)を自動切替調整器に供給する集合管の液封を防止する集合管液封防止機構に関する。
特許文献1に「高圧ガス容器の安全装置」が記載されている。この装置はガス容器へのガスの逆流を防止する逆止弁上で実施されている。
図3は、業務用、あるいは、集合住宅などにおいて、複数のLPガス容器から集合管と自動切替調整器とを介してLPガスを消費側に供給するLPガス供給システムに用いられている逆止弁101を示している。この逆止弁101は、弁体103と、弁座105と、弁体103を弁座105から離れる方向に付勢するスプリング107とを備えている。この逆止弁301は、各LPガス容器に設けられた開閉弁に一端が連結された高圧ホースの他端と集合管との間に設置され、開閉弁と高圧ホースとが未接続状態の時に逆止弁の上流側と下流側に所定の差圧が生じると、弁体303がスプリング307の付勢力に抗して弁座305に押圧され、LPガスが大気放出することを防止する。
実開昭57−139800号公報
上記の逆止弁101を用いたLPガス供給システムでは、消費側がLPガスを使用していない場合、下記のような不具合の発生する恐れがある。
例えば、晴天の昼間にLPガス供給システムが日光に晒されると、集合管より集熱面積の広いLPガス容器の温度と圧力(蒸気圧)が先に上昇し、集合管との間に温度差と圧力差が生じる。LPガスの場合は、温度差が3°以上になると飽和蒸気圧を超えた分だけガスが液化する再液化現象が生じることが知られており、LPガス容器より低温の集合管では、再液化現象によって生じたLPガスが下部に滞留し、この状態が30分〜1時間続くと、集合管は内部がLPガスで充満した状態になる恐れがある。
LPガス供給システムにおいて、LPガス容器は所定の配送計画に従って交換されるから、上記のように集合管がLPガスで充満した状態でLPガス容器の交換作業が行われることがあり、その際は、手動の開閉弁109を閉止し、高温の使用済みLPガス容器を取り外し、新しいLPガス容器を取り付けた後、開閉弁109を開放して交換作業を終了する。
使用済みのLPガス容器のように長時間日光に晒されていない新しいLPガス容器は集合管より低温で低圧の状態にあり、一般に、逆止弁101は集合管とLPガス容器との圧力差が0.01MPa以上になると閉止されるように設定されており、開閉弁109を開放した瞬間に、高圧側の集合管から低圧側のLPガス容器に向かって流入するLPガスによって逆止弁101が閉止される。逆止弁101は集合管と各LPガス容器との間にそれぞれ取り付けられており、交換に当たっては全てのLPガス容器側で逆止弁101が閉止されるから、集合管は全逆止弁101によって閉塞され、LPガスが充満した液封状態になる。
閉塞されて液封状態になった集合管は、日光に晒され続けると内圧(液圧)が異常に上昇して5MPaを超える高圧に達する恐れがあり、集合管に接続された自動切替調整器にこのような高圧が掛かると、精密な調整部がダメージを受けて圧力調整機能や切替機能などに不具合が生じることがある。
そこで、この発明は、LPガス供給システムにおいて、複数のLPガス容器から集合したLPガスを自動切替調整器に供給する集合管の液封を防止する集合管液封防止機構の提供を目的としている。
請求項1の集合管液封防止機構は、複数のLPガス容器と、各LPガス容器の流出ポート側に配置された逆止弁と、前記逆止弁からのLPガスを集める集合管と、前記集合管上に配置されLPガスを消費側に供給する自動切替調整器とを有するLPガス供給システムにおいて、前記集合管の液封状態を防止する液封防止機構であって、前記逆止弁は、集合管側の圧力が第1の設定値を超えると作動してLPガスの逆流を防止するように設定されており、前記集合管の内部には、前記圧力が第1の設定値より大きい第2の設定値まで上昇すると、その圧力を受けて容積が縮小することにより、前記圧力上昇分を吸収する内圧吸収手段が設けられている。
請求項2の発明は、請求項1に記載された集合管液封防止機構であって、前記内圧吸収手段が、移動自在に配置された弁体と、前記弁体によって区画された密封室と、前記弁体を集合管の内圧に抗する方向に付勢する付勢手段とを有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載された集合管液封防止機構であって、前記付勢手段が、スプリングであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2に記載された集合管液封防止機構であって、前記付勢手段が、前記密封室を満たす気体であることを特徴とする。
請求項1の集合管液封防止機構は、内圧を受けて容積が縮小することにより内圧の上昇分を吸収する内圧吸収手段を集合管の内部に設けたので、例えば、LPガス容器を交換した際に、集合管からの圧力(内圧)によって逆止弁が閉止された状態で、圧力がさらに上昇(例えば、2.6MPa以上)しても、内圧吸収手段の収縮によってそれ以上の内圧上昇が抑制される。
従って、集合管の内圧が過度に上昇することはなく、自動切替調整器は集合管からの高圧によってダメージを受けることがなくなり、圧力調整機能や切替機能などが正常に保たれる。
また、従来の集合管に内圧吸収手段を設けるだけで自動切替調整器を保護し、不具合を未然に防止することができる上に、LPガス供給システムを構成する複数個のLPガス容器側のそれぞれに対策を施すものではないから、それだけ低コストで容易に実施することができる。
請求項2の集合管液封防止機構は、内圧吸収手段が密封室と弁体と付勢手段とで構成されており、内圧が上昇すると付勢手段の付勢力に抗して弁体が移動し、密封室が縮小して内圧の上昇を抑制することにより、請求項1と同等の効果が得られる。
請求項3の集合管液封防止機構は、付勢手段がスプリングであり、内圧が上昇するとスプリングの付勢力に抗して弁体が移動し、密封室が縮小して内圧の上昇を抑制することにより、請求項1と同等の効果が得られる。
請求項4の集合管液封防止機構は、付勢手段が、密封室を気体(例えば、空気)で満たした気体バネ(例えば、空気バネ)であり、内圧が上昇すると気体バネの付勢力に抗して弁体が移動し、密封室が縮小して内圧の上昇を抑制することにより、請求項1と同等の効果が得られる。
図2のA部断面図であり、集合管液封防止機構1を切り欠いて示す断面図である。 集合管液封防止機構1が用いられたLPガス供給システム17の構成を示す上面図である。 従来例の断面図である。
以下本発明に係る集合管液封防止機構の実施形態について説明する。
図1と図2によって集合管液封防止機構1(一実施例)の説明をする。
[集合管液封防止機構1の特徴]
集合管液封防止機構1は、複数のLPガス容器3,5,7,9(図2)と、各LPガス容器3,5,7,9の流出ポート側に配置された逆止弁11と、各逆止弁11からのLPガスを集める集合管13と、集合管13上に配置されLPガスを消費側に供給する自動切替調整器15とを有するLPガス供給システム17において、集合管13が液封状態になることを防止する集合管液封防止機構1であって、逆止弁11は、集合管13側の内圧P(圧力:図1)が第1の設定値を超えると作動してLPガスの逆流を防止するように設定されており、集合管13の内部には、内圧Pが第1の設定値より大きい第2の設定値まで上昇すると、その内圧Pを受けて容積が縮小することにより、内圧Pの上昇分を吸収する内圧吸収手段19が設けられている。
内圧吸収手段19は、移動自在に配置された弁体21と、弁体21によって集合管13の内部に区画された密封室23と、弁体21を集合管15の内圧Pに抗する方向に付勢するコイルスプリング25(付勢手段:スプリング)とで構成されている。密封室23は弁体21に装着されたパッキング27によってシール性が保たれている。
図2のように、集合管13の左右端にはプラグ29,31が螺着されている。密封室23は右プラグ31の内部に形成されており、プラグ31の端部側には弁体21のストッパである止め輪33が装着され、弁体21の右端側には集合管13の内圧Pが掛かり、コイルスプリング25は内圧Pに抗して弁体21を止め輪33の方向に付勢している。
図2のように、LPガス供給システム17は、LPガス容器3,5が接続された集合管13と、LPガス容器7,9が接続された集合管13とを自動切替調整器15の左右に接続して構成されている。なお、このようなLPガス供給システムは3個、あるいは、4個以上のLPガス容器を自動切替調整器15の左右に接続して構成してもよい。
LPガス容器3,5,7,9は、開閉弁と、高圧ホース35と、手動開閉弁37と、開閉弁37に内蔵された上記逆止弁11とを介してそれぞれの集合管13に接続されている。自動切替調整器15は流出ポート39から開閉弁41を介して消費者側に接続されており、左右の集合管13(LPガス容器3,5とLPガス容器7,9)の間で切替を行うと共に、圧力調整機能によって消費者側に送られるLPガスの圧力を適正に維持している。
各LPガス容器3,5,7,9側の逆止弁11は一般的な逆止弁であり、第1の設定値は内蔵スプリングの付勢力を調整することによって設定されている。また、内圧吸収手段19が作動する第2の設定値は、コイルスプリング25の付勢力を調整することによって、例えば、内圧Pが2.6MPa以上になると作動するように設定されており、この設定値はガス機器の基準で定められている高圧部の耐圧基準を超えないように選定されている。
消費者側でLPガスを使用している場合は集合管13の内圧Pが第1の設定値以下に保たれており、この間は逆止弁11が開放されてLPガス容器3,5,7,9から集合管13にLPガスが供給され、内圧Pが第1の設定値を超えると、この内圧Pによって逆止弁11が閉止され、LPガスの逆流を防止する。
この状態で、集合管13の内圧Pが第2の設定値を超えると(2.6MPa以上になると)、この内圧Pが内圧吸収手段19の弁体21をコイルスプリング25の付勢力に抗して右方に移動させ、密封室23の容積を収縮させることによって集合管13の容積をこの収縮分だけ増加させ、内圧Pの上昇分を吸収し、集合管13の内圧Pが異常に上昇することを防止する。
因みに、液化したLPガスの体積膨張係数は1.15×10−3/C°であるから、例えば、容積500cm3の集合管13の温度が10°C上昇した場合でもその容積の膨張分は、
500cm3×10°C×1.15×10−3/C°=5.75cm3
であるから、例えば、内圧吸収手段19が10cm3程度の容積吸収能力を備えていれば、LPガスの体積膨張による内圧Pの上昇を充分に吸収して、集合管13の異常な内圧上昇を防止することができる。
従って、日射によってLPガス容器3,5,7,9の温度が集合管13より高くなり(例えば、温度差が3°以上になり)、集合管13がLPガスで充満した状態になり、この状態でLPガス容器3,5,7,9の交換が行われ、集合管13と新しいLPガス容器3,5,7,9との間に生じた差圧(例えば、0.01MPa以上)によって逆止弁11が閉止され、更に集合管13に陽が当たり続け、集合管13内が高圧になっても、上記のように内圧吸収手段19がこの差圧(第2の設定値を超えた内圧P)を吸収するから、集合管13は、日光に晒されても内圧が異常に上昇することはなく、自動切替調整器15の機能がダメージを受けることもない。
[集合管液封防止機構1の効果]
集合管液封防止機構1は、内圧Pを受けて容積が縮小することにより内圧Pの上昇分を吸収する内圧吸収手段19を集合管13の内部に設けたので、例えば、LPガス容器を交換した際に、集合管13の内圧PによってLPガス容器3,5,7,9側の逆止弁11が閉止された状態で、内圧Pがさらに上昇しても、内圧吸収手段19によってそれ以上の内圧Pの上昇が抑制される。
従って、集合管13の内圧Pが過度に上昇することがなく、自動切替調整器15は高圧によってダメージを受けることがなくなり、圧力調整機能や切替機能などが正常に保たれる。
また、従来の集合管13に内圧吸収手段19を設けるだけで、自動切替調整器15を保護し、不具合を未然に防止することができる上に、LPガス供給システム17を構成する複数個のLPガス容器3,5,7,9のそれぞれに対策を施すものではないから、それだけ低コストで容易に実施することができる。
1 集合管液封防止機構
3,5,7,9 LPガス容器
11 逆止弁
13 集合管
15 自動切替調整器
17 LPガス供給システム
19 内圧吸収手段
21 弁体
23 密封室
25 コイルスプリング(付勢手段:スプリング)

Claims (4)

  1. 複数のLPガス容器と、各LPガス容器の流出ポート側に配置された逆止弁と、前記逆止弁からのLPガスを集める集合管と、前記集合管上に配置されLPガスを消費側に供給する自動切替調整器とを有するLPガス供給システムにおいて、前記集合管の液封状態を防止する集合管液封防止機構であって、
    前記逆止弁は、集合管側の内圧が第1の設定値を超えると作動してLPガスの逆流を防止するように設定されており、
    前記集合管の内部には、前記内圧が第1の設定値より大きい第2の設定値まで上昇すると、その内圧を受けて容積が縮小することにより、前記内圧上昇分を吸収する内圧吸収手段が設けられていることを特徴とする集合管液封防止機構。
  2. 請求項1に記載された集合管液封防止機構であって、
    前記内圧吸収手段が、移動自在に配置された弁体と、前記弁体によって区画された密封室と、前記弁体を集合管の内圧に抗する方向に付勢する付勢手段とを有することを特徴とする集合管液封防止機構。
  3. 請求項2に記載された集合管液封防止機構であって、
    前記付勢手段が、スプリングであることを特徴とする集合管液封防止機構。
  4. 請求項2に記載された集合管液封防止機構であって、
    前記付勢手段が、前記密封室を満たす気体であることを特徴とする集合管液封防止機構。
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