JP5447007B2 - マスキング治具 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンのシリンダブロックに複数備えられる筒状のシリンダボア部において、該シリンダボア部の内周面を防錆し、あるいは該シリンダボア部の内周面に表面処理を施すべく、該シリンダボア部の開口部を閉塞するマスキング治具の技術に関する。
従来から、エンジンのシリンダブロックに対して表面処理を施す場合の前処理工程において、前記シリンダブロックの洗浄液や脱脂用処理液(温水)が、シリンダブロックに複数備えられる筒状のシリンダボア部の内部へ流入しないように、マスキング治具を用いてシリンダボア部の開口部を閉塞し、シリンダボア部に錆びが発生することを防止している。
また、シリンダボア部の内周面は、ピストンの摺動面となることから耐摩耗性が要求され、ニッケルなどのめっき処理が施される。このようなめっき処理を施す際にも、マスキング治具を用いてシリンダボア部の開口部を閉塞し、シリンダボア部の内部に封入された処理液が該シリンダボア部の外部へ漏出しないようにすることとしている。
一方、一般的に、これら複数のシリンダボア部は、互いに平行に配設されるとともに、その一端部(下方側の端部、つまり、開口部と対向する側の端部)において、スカート状に形成されるクランク室によって連結され、該クランク室と一体的に形成されている。
このような複数のシリンダボア部について、該シリンダボア部の内周面を防錆し、あるいは該シリンダボア部の内周面に表面処理を施すべく、該シリンダボア部の開口部を閉塞するために用いられるマスキング治具としては、例えば、以下に示される構成からなるものが知られている。
即ち、マスキング治具は、シリンダブロックの上端部全体に渡って当接されるプレートと、各シリンダボア部におけるクランク室との連通箇所に係止される複数の係止板と、これら係止板の下方に位置する複数のシール押え板と、各シリンダボア部の内径寸法に応じた所定の外形寸法を有して形成され、前記係止板の外周部と前記シール押え板の外周部との間に挟持される複数のOリングと、前記プレートと前記シール押え板とを連結する複数のロッドと、を有して構成される(例えば「特許文献1」を参照。)。
このような構成からなるマスキング治具を用いて、シリンダボア部の開口部を閉塞するには、シリンダブロックを車両への搭載状態に対して上下反転した状態で、略矩形状からなる支持ブロックの上部に載置し、該シリンダブロックの上方よりこれら係止板や、シール押え板や、Oリングを、各シリンダボア部に内装するのである。
そして、各シリンダボア部の内周部に、これら係止板やシール押え板やOリングが内装された後、ロッド部を介してシール押え板が上方に引き上げられることで、シリンダボア部の上端部(シリンダボア部において、クランク室と連通される側の端部)に係止される係止板と、シール押え板とによってOリングが上下方向(軸心方向)に圧縮される。これにともなって、該Oリングは外周方向に膨出し、シリンダボア部の内周面に圧接される。
つまり、シリンダボア部は、クランク室に邪魔されることなく、一方の端部においては、これら係止板やシール押え板やOリングによって、また、他方の端部においては、前記支持ブロックによって、開口部が閉塞されるのである。
特開平7−118891号公報
しかし、このようなマスキング治具を用いて、複数のシリンダボア部の開口部を閉塞(シール)するには、以下に示すような問題点があった。
即ち、従来のマスキング治具は、各シリンダボア部に内装される係止板や、シール押え板や、Oリングの位置を固定保持するための機構として、シリンダブロックを搭載する支持ブロックや、該シリンダブロックの上端部全体に渡って当接されるプレートなどを有している。
つまり、これら係止板や、シール押え板や、Oリングによるシリンダボア部内のシール位置を確保するためには、シリンダブロックの外部より、支持ブロックやプレートなどからなる固定保持機構を設ける必要がある。
従って、マスキング治具全体として構造が大型化し、経済的にも不利なものとなっていた。
また、前記固定保持機構は、各構成部品も大型であり、これら部品間を固定するボルトなどの締結部品も多く、各シリンダボア部内へのマスキング治具の着脱作業に関して、組み付け工数が多くかかった。
さらに、従来のマスキング治具において、各シリンダボア部の開口部の閉塞については、該シリンダボア部内にて、係止板と、シール押え板とを用いてOリングを上下方向(軸心方向)に圧縮し、該Oリングを外周方向に膨出させることでおこなわれることから、前記Oリングの外径寸法は、予め各シリンダボア部の内径寸法に比べてやや大きく設定されている。
よって、各シリンダボア部に係止板や、シール押え板とともにOリングを内装する際、該Oリングは、その外周部をシリンダボア部の内周面に摺接しながら、該シリンダボア部内に挿入されることとなる。
従って、これら係止板や、シール押え板や、Oリングを各シリンダボア部内に挿入する際に、Oリングが破損したり、あるいは、Oリングの材質が硬質のものである場合にはシリンダボア部の内周面を傷付けたりすることがあった。
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、筒状のシリンダボア部の開口部を閉塞するためのマスキング治具であって、コンパクトな構成からなり、シリンダボア部の内周面を傷付けることもなく、該シリンダボア部への着脱作業を容易におこなうことができるマスキング治具を提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、筒状のシリンダボア部の開口部を閉塞するためのマスキング治具であって、前記開口部を塞ぐ閉塞板と、該閉塞板に対する直交方向の軸心と同軸上、且つ該閉塞板に対して該閉塞板の厚み方向に離間して配設され、弾性部材にて構成される環状のシール部材と、前記閉塞板および前記シール部材を連結し、前記シール部材の外径寸法を拡径可能な拡径手段と、を有し、前記シール部材の外径寸法は、前記シリンダボア部の内径寸法に比べて小さく形成され、前記シリンダボア部の内部において、前記シール部材を前記シリンダボア部と同軸上に配設するとともに、前記拡径手段によって前記シール部材の外径寸法を拡径して、前記シール部材を前記シリンダボア部の内周面に圧接させることで、前記閉塞板が前記開口部の縁部に固定保持され、前記拡径手段は、前記閉塞板の軸心方向へ移動可能な円盤状の移動板を備え、前記移動板の外周面には、外周側から中心側へ向かって傾斜するテーパー面が形成され、前記シール部材は、前記テーパー面に面して前記移動板に環装され、前記移動板が前記軸心方向へ移動することにより、前記テーパー面に沿って拡径されるものである。
請求項2においては、請求項1に記載のマスキング治具であって、前記拡径手段は、前記閉塞板に対する直交方向の軸心と同軸上に配設され、前記閉塞板に対して前記軸心方向へ移動可能な円盤状の移動板と、該移動板に対して、前記閉塞板側に対向して配設される固定板と、前記閉塞板に対して、前記移動板を軸心方向に移動させる可動手段と、を有し、前記移動板の外周面には、前記閉塞板側へ向かうにつれて縮径するテーパー面が形成されるとともに、該テーパー面に面して、前記シール部材が環装され、前記固定板には、前記移動板側に突出しつつ、軸心方向視において、前記シール部材と重なるように設けられる凸部が形成され、前記可動手段によって、前記移動板を前記閉塞板側に向かって移動させることで、前記シール部材の外径寸法は、前記テーパー面に沿って拡大されるものである。
請求項3においては、請求項2に記載のマスキング治具であって、前記固定板は、前記閉塞板側に向かって延出する筒状のガイド部を有し、前記移動板は、前記閉塞板側に向かって延出する棒状のシャフト部を有し、前記ガイド部の延出端部は、前記閉塞板に挿嵌され、前記シャフト部は、前記ガイド部の内周部において、前記ガイド部と同軸上に配設されるとともに、軸心方向に向かって摺動移動可能に設けられるものである。
請求項4においては、請求項3に記載のマスキング治具であって、前記可動手段は、前記シャフト部の軸心と同軸上に配設されるとともに、前記閉塞板に回転可能に軸支されるロッド部を有し、前記シャフト部の延出端面には、螺子穴が形成され、前記ロッド部の延出端部には、螺子山が形成され、前記ロッド部の延出端部を、前記シャフト部の延出端面に螺挿することで、前記シャフト部は、軸心方向の前記ロッド部側に向かって移動されるものである。
請求項5においては、請求項3、または請求項4に記載のマスキング治具であって、前記ガイド部には、内周部に突出するストッパーピンが挿嵌され、前記シャフト部の側面部には、軸心方向に延出する凹部が形成され、前記ストッパーピンの突出端部は、前記凹部に対して前記シャフト部の軸心方向へ摺動移動可能に挿嵌されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明におけるマスキング治具に拠れば、筒状のシリンダボア部の開口部を閉塞するためのマスキング治具であって、コンパクトな構成からなり、シリンダボア部の内周面を傷付けることもなく、該シリンダボア部への着脱作業を容易におこなうことができるマスキング治具を提供することができる。
本発明の一実施例に係るマスキング治具の全体的な構成を示した断面図。 同じく、マスキング治具のOリング近傍を示した図であり、(a)はOリングが縮径状態にある場合を示した拡大断面図、(b)はOリングが拡径状態にある場合を示した拡大断面図。 別実施例に係るマスキング治具の全体的な構成を示した断面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
[マスキング治具1]
本実施例におけるマスキング治具1の構成について、図1を用いて説明する。
マスキング治具1は、エンジンのシリンダブロック51に複数備えられる筒状のシリンダボア部52・52・・・(図1においては、一部のみ記載)の開口部52a・52a・・・を各々単独に閉塞するための治具であり、マスキング治具1により開口部52a・52a・・・閉塞することで、例えばエンジンのシリンダブロック51に対して表面処理を施す場合の前処理工程において、シリンダブロック51の洗浄液や脱脂用処理液(温水)が、シリンダボア部52・52・・・の内部へ流入することを防止して、シリンダボア部52・52・・・に錆びが発生することを抑制するものである。
マスキング治具1は、主に閉塞板2や、Oリング3や、拡径機構4などを有して構成される。
先ず始めに、閉塞板2について説明する。
閉塞板2は、各シリンダボア部52において、開口部52aの縁部に係止され、該開口部52aを閉塞するための部位である。
閉塞板2は、円盤状の基部2Aと、該基部2Aの一方の平面部(以下、「裏面部」と記す)より突設される第一ボス部2Bと、該第一ボス部2Bの突出面よりさらに突設される第二ボス部2Cとにより形成される。
即ち、第一ボス部2Bおよび第二ボス部2Cは、基部2Aの裏面部において、該基部2Aから離間する方向に向かって順に配置されるとともに、該基部2Aと同軸上に設けられる。そして、これら基部2A、第一ボス部2B、および第二ボス部2Cによって、閉塞板2が一体的に形成される。
なお、基部2Aの他方の平面部(以下「表面部」と記す)には、後述する拡径機構4の可動装置43が着脱可能に固設されている。
閉塞板2の軸心方向視において、基部2Aの外径寸法は、シリンダボア部52の開口部52aの内径寸法に対して大きく形成される。
また、第一ボス部2Bの外径寸法は、前記開口部52aの内径寸法と略同程度に形成される。
さらに、第二ボス部2Cの外径寸法は、前記開口部52aの内径寸法に対して小さく形成される。
そして、閉塞板2は、第一ボス部2Bと第二ボス部2Cが開口部52aからシリンダボア部52の内部に挿入され、第一ボス部2Bが開口部52aの内周面に嵌合するとともに、基部2Aがシリンダブロック51の外面における開口部52aの周縁部に係止することで、開口部52aを閉塞する。
なお、閉塞板2の基部2Aと第一ボス部2Bとの境界部には、第一ボス部2Bの外周面に沿ってOリング7が環装されている。
そして、閉塞板2を開口部52aに嵌装する際に、開口部52aの縁部と基部2AとによりOリング7が圧縮され、開口部52aと第一ボス部2Bとの嵌合部の機密性が保持されるようになっている。
第二ボス部2Cの突出面において、その中央部には、軸心方向断面視円形状の凹部2aが形成される。また、凹部2aの底面中央部には、閉塞板2を軸心方向に貫通する軸心方向断面視円形状の貫通孔2bが形成される。
凹部2aの内径寸法は、押え板41が有する円筒形状の部分であるガイド部41Bの外径寸法と略同程度に形成される。
また、貫通孔2bの内径寸法は、後述する移動板42が有する円柱形状の部分であるシャフト部42Bの外径寸法と略同程度に形成される。
そして、ガイド部41Bの延出端部が凹部2aの内周部(内周面によって囲まれた空間部。以下同じ。)に挿嵌されることで、押え板41は閉塞板2と連結される。
また、シャフト部42Bの端部が貫通孔2bの内周部に挿入されることで、移動板42は、貫通孔2bの内周面に沿って軸心方向に摺動移動可能に支持される。
なお、第二ボス部2Cの外周面には、軸心に対して直交方向、且つ凹部2aと連通する複数の螺子孔2c・2c・・・が形成される。
そして、後述するように、これら複数の螺子孔2c・2c・・・には、移動板42の移動範囲を規制するためのストッパーピン5や、凹部2aからのガイド部41Bの脱落を防止するための固定螺子6が螺挿される。
次に、Oリング3について説明する。
Oリング3は、マスキング治具1によりシリンダボア部52の開口部52aを閉塞する際に、シリンダボア部52に内挿され、該シリンダボア部52の開口部52aより閉塞板2が脱落しないように該閉塞板2を固定保持するための部材である。
Oリング3は環状のシール部材であり、弾性部材から形成される。また、Oリング3の外径寸法は、シリンダボア部52の内径寸法に比べてやや小さくなるように形成される。
そして、後述するように、Oリング3は、移動板42が有する第二板状部42Aの外周面部に沿って環装されるとともに、移動板42の軸心方向への移動にともなって、Oリング3の外径寸法は拡縮される。
即ち、シリンダボア部52の内部において、Oリング3は該シリンダボア部52と同軸上に配設されるとともに、移動板42によってOリング3の外径寸法が拡径されることで、Oリング3の外周部がシリンダボア部52の内周面に圧接される。
つまり、前記圧接面の抵抗によって、Oリング3は軸心方向の移動を規制され、Oリング3に内設される移動板42を介して、閉塞板2は、シリンダボア部52の開口部52aの縁部に固定保持されるのである。
次に、拡径機構4について説明する。
拡径機構4は、閉塞板2とOリング3とを連結するとともに、Oリング3の外径寸法を拡径するための拡径手段として設けられる機構である。
拡径機構4は、押え板41や移動板42や可動装置43などにより構成される。
拡径機構4は、押え板41と移動板42とでOリング3を挟持することでOリング3を拡径するものであり、押え板41は、Oリング3を挟持する際に、閉塞板2に対する位置が固定されている固定側の部材である。
押え板41は、略円盤状の第一板状部41Aと、該第一板状部41Aの一方の平面部から軸方向へ向かって、該第一板状部41Aと同軸上に延設される筒状のガイド部41Bとを備えており、第一板状部41Aとガイド部41Bとは一体的に形成されている。
第一板状部41Aの外径寸法は、シリンダボア部52の開口部52aの内径寸法に比べてやや小さく形成される。
第一板状部41Aの他方の平面部には、その外縁部に沿って軸心方向に突出する凸部41aが形成される。
また、第一板状部41Aの平面視中央部には、軸心方向に貫通する貫通孔41bが形成され、該貫通孔41bは、ガイド部41Bの内周部と連通される。
ガイド部41Bの内径寸法は、貫通孔41bの内径寸法に比べてやや大きく形成される。
つまり、貫通孔41bは、移動板42が有するシャフト部42Bの外径寸法と同程度の内径寸法を有しており、ガイド部41Bの内周部は、シャフト部42Bの外径寸法に対してやや大きな内径寸法を有している。
そして、押え板41は、ガイド部41Bの延出端部を第二ボス部2Cの凹部2aに挿嵌することで、閉塞板2に連結される。
換言すれば、押え板41は、閉塞板2側に向かって延出する筒状のガイド部41Bを有し、該ガイド部41Bの延出端部が、閉塞板2に挿嵌されることで、第一板状部41Aは、閉塞板2の軸心と同軸上に配設されることとなる。
そして、押え板41は、第二ボス部2Cの螺子孔2c・2c・・・に螺挿される複数の固定螺子6・6・・・により、ガイド部41Bの延出端部が前記凹部2aから脱落しないように固定保持される。
なお、ガイド部41Bの延出端部において、その側面部には、軸心に対する直交方向、且つガイド部41Bの内周部と連通する螺子孔41cが形成される。
また、螺子孔41cは、ガイド部41Bの延出端が前記凹部2aに挿嵌された状態において、一部の螺子孔2cと同軸上に配設されるようになっている。
そして、これら螺子孔2c・41cには、ストッパーピン5が、ガイド部41Bの内周部に向かって突出するように挿嵌(螺挿)される。
このようにして閉塞板2に連結される押え板41において、ガイド部41Bの内周部には、移動板42のシャフト部42Bが、貫通孔41bを介して前記ガイド部41Bと同軸上に挿入される。
移動板42は、押え板41に対して軸方向へ移動可能に構成されており、Oリング3を挟持して拡径する際には閉塞板2側へ移動される、移動側の部材である。
移動板42は、略円盤状の第二板状部42Aと、該第二板状部42Aの一方の平面部から軸方向へ向かって、該第二板状部42Aと同軸上に延設される円柱状のシャフト部42Bとを備えており、第二板状部42Aとシャフト部42Bとは一体的に形成されている。
第二板状部42Aの外径寸法は、シリンダボア部52の開口部52aの内径寸法に比べてやや小さく、且つ押え板41が有する第一板状部41Aの外径寸法と同程度に形成される。
第二板状部42Aの外周面には、テーパー面42a(図2を参照)が形成される。
前記テーパー面42aは、第二板状部42Aの外周面において、シャフト部42B側へ向かうにつれて縮径する、即ち、内側(第二板状部42Aの外周側から中心側へ向かって)へ傾斜する面に形成される。つまり、第二板状部42Aのテーパー面42aが構成されている部分は、シャフト部42B(移動板42)側へ向かうに従って縮径するように形成されている。
そして、第二板状部42Aのテーパー面42a上にはOリング3が環装され、該Oリング3は、前記テーパー面42aに面した状態で、軸心方向に摺動移動されることで、その外径寸法が拡縮されるようになっている。
即ち、第二板状部42Aのテーパー面42a上において、第二板状部42Aの軸心方向中央部側にOリング3が位置する場合、Oリング3はテーパー面42aによって拡径され、該Oリング3の外径寸法は、シリンダボア部52の内径寸法に比べてやや大きくなっている。
一方、第二板状部42Aのテーパー面42a上において、シャフト部42B側にOリング3が位置する場合、Oリング3は自然状態にあって、該Oリング3の外径寸法は、シリンダボア部52の内径寸法に比べて小さくなっている。
このような形状からなる移動板42は、該押え板41と同軸上に設けられつつ、押え板41に対して軸心方向へ摺動可能に配設される。
即ち、閉塞板2に連結される押え板41において、移動板42のシャフト部42Bは、該押え板41の貫通孔41bを介して、ガイド部41Bの内部に同軸上に挿入される。
ここで、シャフト部42Bの軸心方向の長さ寸法は、押え板41の軸心方向の全長寸法に比べて十分大きく形成される。
そして、ガイド部41Bに挿入されたシャフト部42Bの延出端部は、ガイド部41Bの内周部を貫通し、閉塞板2の貫通孔2bに挿入される。
つまり、移動板42は、シャフト部42Bを押え板41の貫通孔41bおよび閉塞板2の貫通孔2bに摺動自在に挿入することで、押え板41および閉塞板2に対して、軸心方向へ摺動可能に支持されるのである。
換言すれば、移動板42は、閉塞板2側に向かって延出する棒状のシャフト部42Bを有し、該シャフト部42Bは、ガイド部41Bの内周部において、該ガイド部41Bと同軸上に配設されるとともに、軸心方向に向かって摺動移動可能に設けられる。
また、第二板状部42Aの外周面に形成されるテーパー面42aは、閉塞板2側に向かうにつれて縮径する、即ち内側へ傾斜する形状に構成されている。
そして、Oリング3は、前記テーパー面42aに面して環装されることで、閉塞板2に対して直交する方向の軸心と同軸上に、且つ該閉塞板2に対して該閉塞板2の厚み方向に離間して配設されるとともに、拡径機構4の有する移動板42により閉塞板2と連結されることとなる。
一方、移動板42の第二板状部42Aと押え板41の第一板状部41Aとは、同軸上、且つ互いに対向して配設される。即ち、移動板42の第二板状部42Aは、押え板41の第一板状部41Aに対して、凸部41aの突出側に対向して配設される。
換言すれば、移動板42の第二板状部42Aは、閉塞板2の直交方向の軸心と同軸上に配設され、押え板41の第一板状部41Aは、第二板状部42Aに対して、閉塞板2側に対向して配設される。
そして、第一板状部41Aの凸部41aは、第二板状部42A側に突出しつつ、軸心方向視において、第二板状部42Aの外周面(より詳しくは、テーパー面42a)に沿って環装されるOリング3と重なるように形成される。
よって、Oリング3は、前記第二板状部42Aのテーパー面42aと、前記凸部41aとによって挟持されることとなる。
従って、移動板42が軸心方向の閉塞板2側に摺動移動しても、Oリング3は、押え板41の凸部41aに当接され、移動板42の第二板状部42Aに追従して閉塞板2側に移動することなく、前記テーパー面42aに沿って拡径されるのである。
シャフト部42Bの延出端面には、同軸上に穿孔される螺子穴42bが形成される。
そして、後述する可動装置43のロッド部43Bが前記螺子穴42bに螺着されることで、移動板42は可動装置43と連結される。
また、シャフト部42Bの延出端部の側面部には、軸心方向を長手方向とする長円形状の凹部42cが形成される。
そして、シャフト部42Bの延出端部が閉塞板2の貫通孔2bに挿入された状態において、第二ボス部2Cの螺子孔2cにストッパーピン5を螺挿すると、閉塞板2の軸心に向かって突出する該ストッパーピン5の突出端部は、前記凹部42c内に挿嵌される。
このように、ストッパーピン5の突出端部が前記凹部42c内に挿嵌されることで、移動板42の軸心方向に関する移動は規制される。
即ち、ストッパーピン5は、閉塞板2に対して固定保持される一方、移動板42は、閉塞板2に対して軸心方向に摺動移動可能となっている。
そして、シャフト部42Bが軸心方向に摺動移動すると、ストッパーピン5の突出端部は、前記凹部42cの軸心方向両側面部に当接されることとなり、移動板42の軸心方向への移動は規制されるのである。
可動装置43は、閉塞板2に対して、移動板42を軸心方向に移動させるための可動手段として設けられる装置である。
可動装置43は、摘み部43Aやロッド部43Bや鍔部43Cなどにより構成される。
摘み部43Aは円柱状の部材からなり、その側面部には既知のローレット加工が施されている。また、摘み部43Aの一方の端面には、丸棒状の部材からなるロッド部43Bが、該摘み部43Aと同軸上、且つ軸心方向に向かって延出するよう固設される。
なお、ロッド部43Bの側面部には螺子山が形成され、該ロッド部43Bは、移動板42のシャフト部42Bに形成される螺子穴42bと螺着可能となっている。
鍔部43Cは円盤状の部材からなり、その平面視中央部には、貫通孔43aが該鍔部43Cと同軸上に形成される。また、前記貫通孔43aの内周部には、軸受け43bが貫通孔43aと同軸上に嵌設される。
なお、鍔部43Cの外径寸法は、摘み部43Aの外径寸法、および閉塞板2の貫通孔2bの内径寸法に比べて大きく形成される。
そして、軸受け43bの内周部にロッド部43Bを貫設することで、摘み部43Aは鍔部43Cの一方の平面部において、また、ロッド部43Bは鍔部43Cの他方の平面部において、各々該鍔部43Cと同軸上、且つ軸心方向に向かって延出するようにして設けられるとともに、これら摘み部43Aとロッド部43Bは、鍔部43Cに対して軸心を中心に回動可能に配設される。
このような構成からなる可動装置43は、閉塞板2の基部2Aにおいて、第一ボス部2B(あるいは、第二ボス部2C)と対向する側の平面部(表面部)に、該閉塞板2と同軸上に固設される。
即ち、可動装置43は、基部2Aの表面部において、閉塞板2の貫通孔2bと同軸上、且つロッド部43Bを該貫通孔2bに内挿して配設される。
換言すれば、ロッド部43Bは、シャフト部42Bの軸心と同軸上に配設されるとともに、鍔部43Cを介して閉塞板2に回転可能に軸支される。
この際、鍔部43Cにおいて、ロッド部43B側の平面部は、基部2Aの表面部に当接されることとなり、図示せぬボルトや螺子などの締結部材を用いて、鍔部43Cが基部2Aの表面部に締結されることで、可動装置43は閉塞板2に着脱可能に固設される。
また、貫通孔2bの内周部において、ロッド部43Bの先端部が、シャフト部42Bの延出端面に形成される螺子穴42bに螺挿されることで、可動装置43は、移動板42と同軸上に連結(螺着)される。
そして、例えば、鍔部43Cにおいて、軸心方向の摘み部43A側から見て、反時計回りの方向(図1における矢印Aの方向)に摘み部43Aを回転させ、ロッド部43Bを螺子穴42bに捩じ込むと、シャフト部42Bは、可動装置43側に向かって軸心方向(図1における矢印Xの方向)に引き上げられる。
一方、鍔部43Cにおいて、軸心方向の摘み部43A側から見て、時計回りの方向(図1における矢印Bの方向)に摘み部43Aを回転させ、ロッド部43Bを螺子穴42bより抜脱すると、シャフト部42Bは、第二板状部42A側に向かって軸心方向(図1における矢印Yの方向)に押し込まれる。
このように、可動装置43の摘み部43Aが、軸心を中心にして時計回り、あるいは反時計回りに回転されることで、移動板42は、軸心方向に沿って容易に摺動移動されるのである。
なお、基部2Aと鍔部43Cとの締結部には、Oリング8が貫通孔2bの外縁部に沿って配設される。
そして、鍔部43Cが基部2Aの表面部に締結されることで、Oリング8は、基部2Aの表面部と、鍔部43Cのロッド部43B側の平面部とにより圧縮され、基部2Aと鍔部43Cとの締結部の機密性が保持されるようになっている。
[マスキング治具1の使用方法]
次に、本実施例におけるマスキング治具1の使用方法について、図1、および図2を用いて説明する。
マスキング治具1は、閉塞板2によってシリンダボア部52の開口部52aを閉塞するための治具であって、拡径機構4の押え板41、および移動板42とともにOリング3をシリンダボア部52に内挿し、その後、これら押え板41、および移動板42によってOリング3の外径寸法を拡径することで、閉塞板2を開口部52aの縁部に固定保持するものである。
このような構成からなるマスキング治具1を用いて、シリンダボア部52の開口部52aを閉塞する際には、先ず、可動装置43を用いて移動板42を操作し、Oリング3の外径寸法を、シリンダボア部52の内径寸法よりも小さい寸法に縮径する。
即ち、可動装置43において、ロッド部43Bが移動板42の螺子穴42bから抜脱する方向(図1における矢印Yの方向)に移動するように、摘み部43Aは軸心を中心にして回転される。
摘み部43Aが回転されると、移動板42は、閉塞板2と押え板41の内部において、軸心方向に沿って、閉塞板2と離間する側に向かって摺動移動される。
すると、第二板状部42Aは、押え板41の第一板状部41Aに対して離間され、第二板状部42Aが第一板状部41Aに対して離間するに従って、第一板状部41Aの凸部41a近傍に位置する第二板状部42Aのテーパー面42aの外径寸法は、徐々に小さくなる。
よって、第二板状部42Aのテーパー面42aに面して環装されるOリング3は、前記凸部41aによって軸心方向への移動を規制されるとともに、該Oリング3の外径寸法は自己の弾性力によって復元し、徐々に縮径されるのである。
なお、移動板42の閉塞板2と離間する側への摺動移動にともなって、シャフト部42Bに形成される凹部42cは、ストッパーピン5の突出端部を内挿しつつ、軸心方向の第二板状部42A側(図1における矢印Yの方向)に向かって移動される。
換言すれば、前記凹部42cの内部において、ストッパーピン5の突出端部は、移動板42の軸心方向の閉塞板2側に向かって摺動移動されることなる。
やがて、ストッパーピン5の突出端部は、前記凹部42cの内周面において、軸心方向の閉塞板2側における側面部に当接され、移動板42の摺動移動が規制される。
このように、ストッパーピン5によって移動板42の第二板状板42A側への摺動移動を規制することで、可動装置43の摘み部43A(より具体的には、ロッド部43B)が過度に回転され、ロッド部43Bが、シャフト部42Bの螺子穴42bから完全に抜脱されるのを防止するようになっている。
Oリング3の外径寸法に関する縮径作業が完了すれば、マスキング治具1は、シリンダボア部52に挿着される。
この際、マスキング治具1は、押え板41の第一板状部41A、および移動板42の第
二板状部42AとともにOリング3をシリンダボア部52の開口部52a側に向けつつ、該シリンダボア部52と同軸上となる姿勢を維持しながら、該シリンダボア部52に徐々に挿入される。
シリンダボア部52の内部におけるOリング3の挿入位置が、シリンダボア部52の内周面に形成されるアンダーカット面52bの近傍にまで到達すると、閉塞板2の第一ボス部2Bにおける突出端部は、開口部52aに挿嵌される。
なお、前記アンダーカット面52bとは、砥石を用いてシリンダボア部52の内周面を研磨する際における、該砥石の逃がし面として形成される部位である。
即ち、アンダーカット面52bは、シリンダボア部52の内周面における奥側(開口部52aと軸心方向に対向する側)端部に形成される。また、軸心方向視においてアンダーカット面52bの内径寸法は、シリンダボア部52の内周面における他の領域の内径寸法に比べて、やや大きくなるように形成される。
その後さらに、閉塞板2をシリンダボア部52の開口部52a内に押し込むと、第一ボス部2Bの外周面に面して環装されるOリング7は、開口部52aの縁部と、基部2Aとにより圧縮され、開口部52aと第一ボス部2Bとの嵌合部に関する機密性が保持される。
一方、図2(a)に示すように、Oリング3の挿入位置は、アンダーカット面52bが形成される位置にまで到達し、Oリング3は、第二板状部42Aの外周面に面して環装されつつ、シリンダボア部52と同軸上に保持される。
Oリング3の挿入位置がアンダーカット面52bに到達すれば、可動装置43を用いて移動板42が操作され、Oリング3の外径寸法が拡径される。
即ち、可動装置43において、ロッド部43Bが移動板42の螺子穴42bに捩じ込まれる方向(図1における矢印Xの方向)に移動するように、摘み部43Aは軸心を中心にして回転される。
摘み部43Aが回転されると、移動板42は、閉塞板2と押え板41の内部において、軸心方向に沿って、閉塞板2と近接する側に向かって摺動移動される。
すると、第二板状部42Aは、押え板41の第一板状部41Aに対して近接され、第一板状部41Aの凸部41a近傍に位置する第二板状部42Aのテーパー面42aは、第二板状部42Aが第一板状部41Aに対して近接するに従って、外径寸法が徐々に拡大する。
よって、図2(b)に示すように、第二板状部42Aのテーパー面42aに面して環装されるOリング3は、前記凸部41aによって軸心方向への移動を規制されとともに、該Oリング3の外径寸法はテーパー面42aによって徐々に拡径されるのである。
なお、移動板42の閉塞板2と近接する側への摺動移動にともなって、シャフト部42Bに形成される凹部42cは、ストッパーピン5の突出端部を内挿しつつ、軸心方向の閉塞板2側(図1における矢印Xの方向)に向かって移動される。
換言すれば、前記凹部42cの内部において、ストッパーピン5の突出端部は、移動板42の軸心方向の第二板状部42A側に向かって摺動移動されることなる。
やがて、ストッパーピン5の突出端部は、前記凹部42cの内周面において、軸心方向の第二板状部42A側における側面部に当接され、移動板42の摺動移動が規制される。
このように、ストッパーピン5によって移動板42の閉塞板2側への摺動移動を規制することで、可動装置43の摘み部43A(より具体的には、ロッド部43B)が過度に回転され、Oリング3の外径寸法が過度に拡径されるのを防止するようになっている。
そして、拡径されたOリング3の外周部はアンダーカット面52bに圧接され、前記圧接面の抵抗によって、Oリング3の軸心方向に関する移動は規制されるとともに、閉塞板2は、Oリング3によって、シリンダボア部52の開口部52aより脱落しないように固定保持される。
これにより、シリンダボア部52におけるマスキング治具1の挿着位置は固定され、シリンダボア部52へのマスキング治具1の挿着作業は完了するのである。
一方、シリンダボア部52に挿着されたマスキング治具1を、該シリンダボア部52より離脱するには、前記挿着作業と逆の手順によっておこなわれる。
具体的には、先ず、可動装置43を用いて移動板42が操作され、Oリング3の外径寸法が縮径される。
そして、Oリング3の外径寸法に関する縮径作業が完了すれば、マスキング治具1は、軸心方向の可動装置43側に向かって、シリンダボア部52より引き抜かれ、押え板41の第一板状部41A、および移動板42の第二板状部42AとともにOリング3が開口部52aより抜け出た時点で、シリンダボア部52からのマスキング治具1の離脱作業は完了するのである。
[マスキング治具101(別実施例)]
次に、別実施例におけるマスキング治具101の構成について、図3を用いて説明する。
マスキング治具101は、主な構成を前述のマスキング治具1と同じくし、閉塞板102にノズル110の一端部が挿嵌される点について、前記マスキング治具1と相違する。
なお、図3において、前述のマスキング治具1と同じ構成からなる部材については、図1に示す符号と同じ符号を付して表すこととする。
また以下の説明については、主に前記マスキング治具1との相違点である、閉塞板102の構成について詳述する。
即ち、閉塞板102は、前述の閉塞板2と同様に、円盤状の基部102Aと、該基部102Aの一方の平面部より突設される第一ボス部102Bと、該第一ボス部102Bの突出面よりさらに突設される第二ボス部102Cとにより形成される。
また、第二ボス部102Cの突出面中央部には、軸心方向断面視円形状の凹部102aが形成され、該凹部102aの底面中央部には、閉塞板102を軸心方向に貫通する軸心方向断面視円形状の貫通孔102bが形成される。
そして、第一ボス部102Bの突出面には、これら凹部102a、および貫通孔102bと平行して貫通する貫通孔102cが形成され、該貫通孔102cを介して、ノズル110の一方の端部に設けられる接続金具110aが閉塞板102に挿嵌される。
このような構成からなるマスキング治具101を用いることで、例えば、エンジンのシリンダブロック151に複数備えられる筒状のシリンダボア部52・52・・・(図3においては、一部のみ記載)において、これらシリンダボア部52・52・・・の開口部52a・52a・・・を各々単独に閉塞しつつ、その内周面のみについて、確実に表面処理を施すことができる。
即ち、マスキング治具101は、前述のマスキング治具1と同様の手順によって、シリンダボア部52に挿着される。
シリンダボア部52にマスキング治具101が挿着されれば、シリンダボア部52の内周部は、完全に密封された状態となる。
つまり、シリンダボア部52の開口部52aについては、閉塞板102の第一ボス部102Bが、Oリング107を介して挿嵌されることで、該嵌合部に関する機密性が保持される。
また、シリンダボア部52の内周面における奥側(開口部52aと軸心方向に対向する側)については、移動板42の第二板状部42Aと、該第二板状部42Aに環装されるOリング3と、によって閉塞されることとなり、前記内周面に形成されるアンダーカット面52bと、第二板状部42Aに形成されるテーパー面42aと、によってOリング3が圧縮されることで、前記閉塞部の機密性が保持される。
そして、このように密閉状態とされたシリンダボア部52の内周部に、ノズル110を介して表面処理液を注ぎ込んで充填させ、一定時間の経過後、再びノズル110を介して、前記表面処理液をシリンダボア部52の外部に放出することで、該シリンダボア部52の内周面には、確実に表面処理が施されるのである。
なお、シリンダボア部52の内周面における表面処理の完了後は、前述のマスキング治具1と同様の手順によって、マスキング治具101はシリンダボア部52より離脱されることとなる。
以上のように、本実施例におけるマスキング治具は、筒状のシリンダボア部52の開口部52aを閉塞するためのマスキング治具1(101)であって、前記開口部52aを塞ぐ閉塞板2(102)と、該閉塞板2(102)に対する直交方向の軸心と同軸上、且つ該閉塞板2(102)に対して該閉塞板2(102)の厚み方向に離間して配設され、弾性部材にて構成される環状のOリング(シール部材)3と、前記閉塞板2(102)および前記Oリング(シール部材)3を連結し、前記Oリング(シール部材)3の外径寸法を拡径可能な拡径機構(拡径手段)4と、を有し、前記Oリング(シール部材)3の外径寸法は、前記シリンダボア部52の内径寸法に比べて小さく形成され、前記シリンダボア部52の内部において、前記Oリング(シール部材)3を前記シリンダボア部52と同軸上に配設するとともに、前記拡径機構(拡径手段)4によって前記Oリング(シール部材)3の外径寸法を拡径して、前記Oリング(シール部材)3を前記シリンダボア部52の内周面に圧接させることで、前記閉塞板2(102)は、前記開口部52aの縁部に固定保持されるものである。
このような構成を有することで、マスキング治具1(101)に拠れば、筒状のシリンダボア部52の開口部52aを閉塞するためのマスキング治具1(101)であって、コンパクトな構成からなり、シリンダボア部52の内周面を傷付けることもなく、該シリンダボア部52への着脱作業を容易におこなうことができるマスキング治具1(101)を提供することができる。
即ち、マスキング治具1(101)は、従来のマスキング治具のように、シリンダボア部の開口部に配設される係止板(本実施例においては、閉塞板2(102)に相当)を固定保持するべく、シリンダブロックの外部より、支持ブロックやプレートなどからなる大掛かりな機構を必要とすることもなく、主に、閉塞板2(102)と同軸上、且つ閉塞板2(102)に対して該閉塞板2(102)の厚み方向に離間して配設されるOリング3や、閉塞板2(102)とOリング3とを連結し、Oリング3の外径寸法を拡径する拡径機構4などによって閉塞板2(102)を固定保持する構成としている。
よって、マスキング治具1(101)全体として、コンパクト化を図ることができる。
また、Oリング3の外径寸法は、シリンダボア部52の内径寸法に比べて小さく設けられており、シリンダボア部52の内部において、拡径機構4によって拡径されることとしている。
よって、Oリング3をシリンダボア部52の内部に挿入する際、該Oリング3の外周部がシリンダボア部52の内周面を摺ることもなく、シリンダボア部52の内周面を傷付ける心配もない。
さらに、本実施例におけるマスキング治具1(101)では、シリンダボア部52(152)に内装されるOリング3の外径寸法を、単に拡径機構4によって拡径するだけで、閉塞板2(102)は、シリンダボア部52の開口部52aの縁部に固定保持されることとしている。
よって、従来のマスキング治具のような大掛かりな固定保持機構を用いる場合と比べて、各シリンダボア部52内へのマスキング治具1(101)の着脱作業は、容易におこなうことができ、組み付け工数の低減化が図られ、経済的である。
また、本実施例におけるマスキング治具1において、前記拡径機構(拡径手段)4は、前記閉塞板2(102)に対する直交方向の軸心と同軸上に配設され、前記閉塞板2(102)に対して前記軸心方向へ移動可能な円盤状の移動板42(より詳しくは、第二板状部42A)と、該移動板42に対して、前記閉塞板2(102)側に対向して配設される押え板(固定板)41(より詳しくは、第一板状部41A)と、前記閉塞板2(102)に対して、前記移動板42を軸心方向に移動させる可動装置(可動手段)43と、を有し、前記移動板42の第二板状部42Aの外周面には、前記閉塞板2(102)側へ向かうにつれて縮径するテーパー面42aが形成されるとともに、該テーパー面42aに面して、前記Oリング(シール部材)3が環装され、前記押え板(固定板)41には、前記移動板42側に突出しつつ、軸心方向視において、前記Oリング(シール部材)3と重なるように設けられる凸部41aが形成され、前記渦動装置(可動手段)43によって、前記移動板42を前記閉塞板2(102)側に向かって移動させることで、前記Oリング(シール部材)3の外径寸法は、前記テーパー面42aに沿って拡大されることとしている。
このように、拡径機構4は、従来のマスキング治具のように、軸心方向に圧縮することで、Oリング3を外周方向に膨出させるのではなく、軸心方向に移動する移動板42のテーパー面42aによって、内周部全体を半径方向に向かって押圧することで、Oリング3の外径寸法を拡径する構成としている。
よって、Oリング3の外径寸法は、シリンダボア部52の内径寸法に比べて、予め大きく設定される必要もない。
従って、Oリング3をシリンダボア部52の内部に挿入する際、該Oリング3の外周部がシリンダボア部52の内周面を摺ることもなく、シリンダボア部52の内周面が、Oリング3によって傷付けられる心配もない。
また、本実施例におけるマスキング治具1において、前記押え板(固定板)41は、前記閉塞板2(102)側に向かって延出する筒状のガイド部41Bを有し、前記移動板42は、前記閉塞板2(102)側に向かって延出する棒状のシャフト部42Bを有し、前記ガイド部41Bの延出端部は、前記閉塞板2(102)に挿嵌され、前記シャフト部42Bは、前記ガイド部41Bの内周部において、前記ガイド部41Bと同軸上に配設されるとともに、軸心方向に向かって摺動移動可能に設けられることとしている。
このような構成を有することで、移動板42の移動方向は、シャフト部42Bを介して、押え板41のガイド部41Bによって規制されることとなる。
よって、Oリング3の拡径操作は、移動板42の移動によって確実に行われることとなる。
また、本実施例におけるマスキング治具1において、前記可動装置(可動手段)43は、前記シャフト部42Bの軸心と同軸上に配設されるとともに、前記閉塞板2(102)に回転可能に軸支されるロッド部43Bを有し、前記シャフト部42Bの延出端面には、螺子穴42bが形成され、前記ロッド部43Bの延出端部には、螺子山が形成され、前記ロッド部43Bの延出端部を、前記シャフト部42Bの延出端面に螺挿することで、前記シャフト部42Bは、軸心方向の前記ロッド部43B側に向かって移動されることとしている。
このように、可動装置43は、シャフト部42Bに螺挿されるロッド部43Bの回転動作によって、移動板42を軸心方向に移動させる構成としている。
よって、他に別途、アクチュエータなどを設ける場合に比べて、可動装置43は、コンパクトに構成され、部品点数も少なく、経済的である。
また、本実施例におけるマスキング治具1において、前記ガイド部41Bには、内周部に突出するストッパーピン5が挿嵌され、前記シャフト部42Bの側面部には、軸心方向に延出する凹部42cが形成され、前記ストッパーピン5の突出端部は、前記凹部42cに対して前記シャフト部42Bの軸心方向へ摺動移動可能に挿嵌されることとしている。
このような構成を有することで、シャフト部42Bが軸心方向に移動するたびに、ストッパーピン5の突出端部は、凹部42cの内周面における軸心方向両側面部に当接され、移動板42の軸心方向に関する移動は規制されることとなる。
よって、可動装置43のロッド部43Bが過度に回転され、該ロッド部43Bがシャフト部42Bの螺子穴から抜脱され、あるいはOリング3が移動板42によって過度に拡径されるのを防止することができる。
1 マスキング治具
2 閉塞板
3 Oリング(シール部材)
4 拡径機構(拡径手段)
5 ストッパーピン
41 押え板(固定板)
41A 第一板状部
41B ガイド部
41a 凸部
42 移動板
42A 第二板状部
42B シャフト部
42a テーパー面
42b 螺子穴
42c 凹部
43 可動装置(可動手段)
43B ロッド部
52 シリンダボア部
52a 開口部
101 マスキング治具
102 閉塞板

Claims (5)

  1. 筒状のシリンダボア部の開口部を閉塞するためのマスキング治具であって、
    前記開口部を塞ぐ閉塞板と、
    該閉塞板に対する直交方向の軸心と同軸上、且つ該閉塞板に対して該閉塞板の厚み方向に離間して配設され、弾性部材にて構成される環状のシール部材と、
    前記閉塞板および前記シール部材を連結し、前記シール部材の外径寸法を拡径可能な拡径手段と、
    を有し、
    前記シール部材の外径寸法は、前記シリンダボア部の内径寸法に比べて小さく形成され、
    前記シリンダボア部の内部において、
    前記シール部材を前記シリンダボア部と同軸上に配設するとともに、前記拡径手段によって前記シール部材の外径寸法を拡径して、前記シール部材を前記シリンダボア部の内周面に圧接させることで、前記閉塞板が前記開口部の縁部に固定保持され、
    前記拡径手段は、
    前記閉塞板の軸心方向へ移動可能な円盤状の移動板を備え、
    前記移動板の外周面には、外周側から中心側へ向かって傾斜するテーパー面が形成され、
    前記シール部材は、前記テーパー面に面して前記移動板に環装され、
    前記移動板が前記軸心方向へ移動することにより、前記テーパー面に沿って拡径される、
    ことを特徴とするマスキング治具。
  2. 前記拡径手段は、
    前記閉塞板に対する直交方向の軸心と同軸上に配設され、前記閉塞板に対して前記軸心方向へ移動可能な円盤状の移動板と、
    該移動板に対して、前記閉塞板側に対向して配設される固定板と、
    前記閉塞板に対して、前記移動板を軸心方向に移動させる可動手段と、
    を有し、
    前記移動板の外周面には、前記閉塞板側へ向かうにつれて縮径するテーパー面が形成されるとともに、該テーパー面に面して、前記シール部材が環装され、
    前記固定板には、前記移動板側に突出しつつ、軸心方向視において、前記シール部材と重なるように設けられる凸部が形成され、
    前記可動手段によって、前記移動板を前記閉塞板側に向かって移動させることで、前記シール部材の外径寸法は、前記テーパー面に沿って拡大される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のマスキング治具。
  3. 前記固定板は、前記閉塞板側に向かって延出する筒状のガイド部を有し、
    前記移動板は、前記閉塞板側に向かって延出する棒状のシャフト部を有し、
    前記ガイド部の延出端部は、前記閉塞板に挿嵌され、
    前記シャフト部は、
    前記ガイド部の内周部において、前記ガイド部と同軸上に配設されるとともに、軸心方向に向かって摺動移動可能に設けられる、
    ことを特徴とする、請求項2に記載のマスキング治具。
  4. 前記可動手段は、
    前記シャフト部の軸心と同軸上に配設されるとともに、前記閉塞板に回転可能に軸支されるロッド部を有し、
    前記シャフト部の延出端面には、螺子穴が形成され、
    前記ロッド部の延出端部には、螺子山が形成され、
    前記ロッド部の延出端部を、前記シャフト部の延出端面に螺挿することで、前記シャフト部は、軸心方向の前記ロッド部側に向かって移動される、
    ことを特徴とする、請求項3に記載のマスキング治具。
  5. 前記ガイド部には、内周部に突出するストッパーピンが挿嵌され、
    前記シャフト部の側面部には、軸心方向に延出する凹部が形成され、
    前記ストッパーピンの突出端部は、前記凹部に対して前記シャフト部の軸心方向へ摺動移動可能に挿嵌される、
    ことを特徴とする、請求項3、または請求項4に記載のマスキング治具。
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