JP5446401B2 - リチウムヨウ素電池、及びリチウムヨウ素電池の製造方法 - Google Patents
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Description
その安全性の高さは、ヨウ化リチウムという無機固体電解質を採用したということだけでなく、正極及び負極と固体電解質との組み合わせにある。すなわち、リチウムヨウ素電池の電池反応は、負極ではリチウムのイオン化反応が起き、正極ではリチウムイオンとヨウ素とが化合してヨウ化リチウムからなる固体電解質が形成される。
このため、携帯電子機器、カメラ、時計、電動工具、ハイブリッド自動車用バッテリーなどでは、電解質に有機電解質を用いたリチウム電池が用いられているが、リチウム電池は、負極と正極とが短絡した際の安全性の確保に課題を残している。
また、ヨウ化リチウムを含む電解質層と、前記電解質層の複数の領域の中の第1の領域に接する、ヨウ素を正極活物質とする正極と、前記電解質層の前記複数の領域の中の前記第1の領域とは異なる第2の領域に接する、リチウムを負極活物質とする負極と、を備え、前記負極の前記第2の領域に接する部分は、複数の突起を有している、ことを特徴とする。
この構成によれば、突起を有することによって負極と正極との対向面積を増大させることができる。したがって、負極及び正極における反応が促進され出力を向上させたリチウムヨウ素電池を提供することができる。また、電池容量を向上させているので、出力を向上させつつ長時間使用に耐えるリチウムヨウ素電池を提供することができる。
この構成によれば、突起が規則的に配列されていることで、電流密度のむらが抑えられるので、負極のリチウムが一様に消費される。したがって、負極を有効に使用することができ、製品寿命を延ばすことができる。
この構成によれば、基部の材料としてリチウム以外の金属を用いることができ、機械的強度に劣るリチウムのみで負極を形成する場合に比して負極の機械的強度を向上させることができるので、耐衝撃性を向上させたリチウムヨウ素電池を提供することができる。
この構成によれば、基部とリチウム膜との反応を防止することができるので、負極の劣化を抑え、信頼性を向上させたリチウムヨウ素電池を提供することができる。
この構成によれば、ニッケル及び銅はリチウムとの反応性が弱いので、負極の劣化を抑え、信頼性を向上させたリチウムヨウ素電池を提供することができる。また、ニッケル及び銅は広く工業的に使用され入手しやすいため、量産化に適した材料である。
この製造方法によれば、第1の工程で作製した型に融解させた負極材料を鋳込むことで負極を形成するので、複数の凸部を有する負極を確実に形成することができるリチウムヨウ素電池の製造方法を提供することができる。
これによれば、突起に対応する凹部の形状を高精度に作製することができ、高精度な突起を作製することができる。
これによれば、リチウムを鋳造して負極を作製するが、リチウムは一般的な他の金属に比して融点が低く、容易に融解させることができる。したがって、リチウムを融解させるための特別な装置を必要とせず、コストを抑えたリチウムヨウ素電池の製造方法を提供することができる。
この製造方法によれば、リチウムよりも優れた機械的強度を有する基部を形成し、基部にリチウム膜を被覆して負極を形成するので、負極の機械的強度を向上させたリチウムヨウ素電池の製造方法を提供することができる。
なお、本実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、図面を見やすくするために実際の構成とは適宜異ならせている。
図1は、本発明のリチウムヨウ素電池100の断面図である。図2は、負極10の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、リチウムヨウ素電池100は、負極10、電解質層20、及び陽極30を有する。
正極30は、ヨウ素を含有する混合物からなり、ヨウ素を正極活物質とする電極である。本実施形態の正極30は、ヨウ素とポリ−2−ビニルピリジン(P2VP)とからなる、常温で液状の混合物である。
負極10の反応は以下に示す式(1)で表され、陽極30の反応は以下に示す式(2)で表される。
2Li→2Li++2e− …(1)
2Li++2e−+P2VP・nI2→P2VP・(n−1)I2+LiI …(2)
次に、リチウムヨウ素電池100の製造方法について説明する。図3は、本実施形態ののリチウムヨウ素電池100の製造方法に係るフローチャート図である。図4は、負極用の型を作製する工程図である。図5は、本実施形態に係る、リチウムヨウ素電池100の製造工程図である。
そして、ネガ構造体60にポリマーを鋳込み固化させることで、ネガ構造体60の突起61に対応する凹部71を有するダイス(型)70を作製する(図4(c))。
このようにダイス70を形成すると、次の工程S20に移行する。
工程S30では、固化させたリチウムをダイス70から引き剥がすことで、負極10を取り出す(図5(b))。このように負極10を作製すると、次の工程S40に移行する。
なお、本実施形態では、電解質層20を形成する工程を有していない。これは、上述したように、負極10と正極30とを短絡させることによって、電解質層20となるヨウ化リチウムを形成できるからである。
以上の工程を実行することによってリチウムヨウ素電池100を製造する。
まず、負極10には正極30側に複数の突起11が形成され、隣り合う突起11の間の領域に正極30が形成されている。
このような構成によれば、負極10と正極30との対向面積を増大させることができるので、負極10及び正極30における反応を促進させることができる。したがって、リチウムイオンの伝導性が向上し、出力を向上させることができる。また、負極10と正極30との対向面積が向上することで電池容量を向上させることができ、出力を向上させても長時間使用することができる。
これによれば、負極10の平面領域よりもはるかに広い表面積を有効に得ることができるので、出力及び電池容量を大幅に向上させることができる。
リチウムは、一般的な金属に比して融点が低く、リチウムを融解させるための特別な装置を必要としないので、製造コストを抑えることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述の実施形態と重複する箇所についての説明は適宜省略する。
図6に示すように、リチウムヨウ素電池200は、負極110、電解質層20、及び陽極30を有する。
負極110は、正極30側に複数の突起110を有し、複数の突起111が2次元的に規則的に配置されている。負極110は、ニッケル又は銅からなる基部112と、基部112の突起側の面を被覆するリチウム膜113とが積層された構成となっている。
次に、本実施形態に係るリチウムヨウ素電池200の製造方法について説明する。図7は、本実施形態のリチウムヨウ素電池200の製造方法に係るフローチャート図である。図8は、本実施形態に係るリチウムヨウ素電池200の製造工程図である。
このようにしてダイス70を作製すると、次の工程S120に移行する。
そして、工程S130に移行して、基部112をダイス70から引き剥がす(図8(b))。このように作製された基部112は、ダイス70の凹部70に対応する突起が複数形成されている。
このように基部112を作製すると、工程S140に移行する。
リチウム膜113を形成して負極110を作製すると、次の工程S150に移行する。
以上の工程を実行することによって、リチウムヨウ素電池200を製造する。
まず、本実施形態のリチウムヨウ素電池200において、負極110が基部112とリチウム膜113とが積層された構成とされており、基部112がリチウムより高い機械的強度を有するニッケル又は銅で形成されている。
リチウムヨウ素電池200がこのような構成を有することで、リチウムのみで負極を作製するよりも機械的強度を向上させることができるので、耐衝撃性を備えたリチウムヨウ素電池とすることができる。
また、電極同士が短絡した際の安全性が確保されているので、神経刺激装置、細動除去器、心臓ペースメーカー、心収縮モジュール、心収縮モジュレータ、電気除細動器、薬物投与装置、蝸牛インプラント、補聴器、センサー、テレメトリーデバイス、及び診断レコーダーなどの医療機器に使用することができる。
また、電池容量を向上させているので、各種デバイスのバックアップ用電池としても使用することができる。
Claims (8)
- 正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されるヨウ化リチウムを含む電解質層と、
を備え、
前記負極は前記電解質層の側に突起を有し、
前記突起は、凸部を有する基部と、前記基部を被覆するリチウムを含む膜からなる
ことを特徴とするリチウムヨウ素電池。 - 複数の前記突起は、第1の方向及び前記第1の方向に交差する第2の方向に配列されることを特徴とする請求項1に記載のリチウムヨウ素電池。
- 前記基部が、前記リチウム膜に対して不活性な金属で形成されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムヨウ素電池。
- 前記基部が、ニッケル又は銅を含むことを特徴とする請求項3に記載のリチウムヨウ素電池。
- リチウムヨウ素電池の製造方法であって、
複数の突起を有する負極を形成する工程と、
前記負極の前記複数の突起を有する側に電解質層および正極を形成する工程と、
を備え、
前記負極を形成する工程は、
複数の凸部の反転形状を有するポリマーからなる型を作製する第1の工程と、
前記型を用いて前記負極を形成する第2の工程と、
を含むことを特徴とする、リチウムヨウ素電池の製造方法。 - 前記第1の工程において、前記型はLIGAプロセスを用いて作製されることを特徴とする請求項5に記載のリチウムヨウ素電池の製造方法。
- 前記第2の工程が、
前記型にリチウムを鋳込み固化させる工程と、
固化された前記リチウムを前記型から引き剥がす工程と、
を含むことを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載のリチウムヨウ素電池の製造方法。 - 前記第2の工程が、
前記型上に電鋳法によりニッケル又は銅からなる基部を形成する工程と、
前記基部を前記型から引き剥がす工程と、
前記基部の前記型に面していた側にリチウム膜を被覆する工程と、
を含むことを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載のリチウムヨウ素電池の製造方法。
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