JP5446164B2 - 加熱調理器 - Google Patents
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ってグリル加熱室はシールされる。また、グリル扉には取っ手が設けられ、トレーの出し入れを容易にしている。
さらにグリル扉は、表板および前板の外周と裏板の外周とを連結する外周板と、裏板の中央に形成された開口部の内周から前方へ伸びる内周板とを有し、グリル扉の上部に、表板と裏板と外周板の上部と内周板の上側で囲まれた空間と、グリル扉の下部に、前板と裏板と外周板の下部と内周板の下側で囲まれた空間とがそれぞれ形成され、グリル加熱室の壁面内側には、遠赤外線放射被覆が施されているものである。
図1および図2は本発明の実施形態に係る加熱調理器を模式的に示すものであって、図1は一部を削除した斜視図、図2は側面視の断面図である。
なお、以下のそれぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、複数の部材であって、符号に「a、b、あるいはc等」を付記するものについて、共通する内容を説明する際には、符号に付した「a、b、あるいはc等」を削除して、その一方の部材について説明する。
図1および図2において、加熱調理器100は、略直方体の函体である本体10と、本体10の内部に設けられたグリル加熱室20と、グリル加熱室20に挿入自在な載置皿30と、載置皿30の前方(図2において左側)に設置されたグリル扉40と、グリル加熱室20の後方開口部に連通する排気手段60と、本体10の上面に形成された天板70と、天板70に連続して外周に向かって突出する枠体80と、を有している。
グリル加熱室20は、薄板鋼板などを折り曲げや接合して略直方体状に形成された筐体の内部に形成された空間であって、前方(図2において左側)に前方開口部21と、後方(図2において右側)に後方開口部22が形成され、天井近くに輻射式電気ヒータである上ヒータ23と、底面近くに同じく輻射式電気ヒータである下ヒータ24と、がそれぞれ配置されている。
そして、本体10の上面の後方(天板70の後方に同じ)に排気口64が形成され、排気口64とグリル加熱室20の後方開口部22とを連通する排気風路63が設けられている。なお、排気風路63には触媒還元作用で排気を浄化する浄化フィルター61と送風機62とが配置されているから、被加熱物(たとえば、魚)の加熱によって発生した煙や臭いが分解され、発生した熱気や蒸気等は排気口64から排出されることになる。
グリル扉40はグリル加熱室20の前方開口部21を覆うものであって、前面(図2において左側の面)には、縦断面形状が庇状になっている取っ手50が設けられている。したがって、調理者は取っ手50に手を掛けて載置皿30をグリル加熱室20に出し入れすることができる。また、載置皿30を最も奥に押し込んだとき、グリル扉40はグリル加熱室20の前方開口部21の周囲に気密的に密着するものである(正確には、後記する吸気孔45a、45bに限って通気性がある)。
なお、グリル扉40にはガード体110(図7以降に図示する)が取り付けられるものであるが、これらについては別途詳細に説明する。
さらに、グリル扉40の裏板42には、金属製の載置皿30を支持する金属製の皿支持フレーム31が固定または傾動自在に設置されている。皿支持フレーム31はグリル加熱室の側壁に形成された固定側部材であるフレームガイド(図示しない)に案内されて、これの上を自在に摺動するものである。
天板70の上面には、鍋載置サークル71a、71b、71c(以下まとめて「鍋載置サークル71」と称する場合がある)が描かれ、天板70の下面でそれぞれの直下に加熱体72a、72b、72c(以下まとめて「加熱体72」と称する場合がある)が設置されている。加熱体72a、72b、72cは、本体10の前面に設けられた前面操作部11に設置されている電源スイッチ73a、73b、73cによって、あるいは枠体80の前方に設けられた天板操作部81に設置されている電源スイッチ74a、74b、74c(図1では代表符号74)によって、操作されるものである。なお、操作や調理の状態は、天板70に設けられた表示部75、例えば天板70の下方に設置された液晶画面により天板70の上へ文字、数字、記号、図形、イラスト等で表示されるから使用者は天板70の上方から視認できる。
図3〜図6は、本発明の実施形態に係る加熱調理器におけるグリル扉を模式的に示すものであり、図3の(a)は取っ手50部分を分離して示す斜め前方から後方に向かって見た斜視図、図3の(b)は平面視の断面図、図4は斜め後方から前方に向かって見た斜視図、図5は風路を示す斜視図、図6の(a)は側方から見た中央部の断面図、図6の(b)は側方から見た側部の断面図である。
図6において、グリル扉40は、前面上側の金属製又はプラスチック製表板41および前面下側にある金属製又はプラスチック製前板45と、後面にある金属製又はプラスチック製の裏板42と、表板41および前板45の外周と裏板42の外周とを連結する金属製又はプラスチック製の外周板43と、を有する函体である。
すなわち、グリル扉40には、上部ドアー空間49Uおよび下部ドアー空間49Lの2つの空間が区画形成されている。
図3の(a)において、グリル扉40の前板45の前面には前方に突出する取っ手50が設けられており、前板45の側方寄りに貫通する吸気孔45a、45bが形成されている。なお、図3において、吸気孔45a、45bは6個の丸孔を示しているが、その数量や形状はこれに限定されるものではない。また本発明を実施する上ではこの吸気孔45a、45bは必須の構成でもない。
取っ手50は、前板45の略全幅に渡って設置されるものであって、取っ手50の端部50a、50b(手掛け部52の端部52a、52bに同じ)が、それぞれ前板45の左右両側縁に設置(ネジなどで固定接続)されている。
取っ手50は、前板45の前方に向かって略水平に伸びたフランジ部51と、前板45に略平行(正確にはアーチ状)で上下方向に伸びた手掛け部52と、前板45の前面に当接する後面壁55と、が一体に形成された側面視で断面略h字状である。そして、手掛け部52と後面壁55とを連結する一対の仕切壁53a、53bが、所定間隔を空けて設置されている。
さらに、側方寄りで、取っ手50のフランジ部51と後面壁55とが交わる角部に、フランジ部51を上下に貫通するように、細長形状のスリット90が形成されている。
したがって、手掛け部52および後面壁55の中央部と一対の仕切壁53a、53bとによって囲まれ、上方をフランジ部51の中央部によって覆われた中央取っ手空間59c(略四角柱状)が形成されている。
また、手掛け部52および後面壁55の側方寄り部と一方の仕切壁53aとによって囲まれ、上方をフランジ部51の側方寄り部によって覆われた側方取っ手空間59a(略直角三角柱状)が形成され、同様に、手掛け部52および後面壁55の側方寄り部と他方の仕切壁53bとによって囲まれ、上方をフランジ部51の側方寄り部によって覆われた側方取っ手空間59b(略直角三角柱状)が形成されている。
そして、略直角三角柱状の側方取っ手空間59a、59bにおける後面壁55に、透孔56a、56bが形成されている。取っ手50が設置された状態で、透孔56a、56bはそれぞれ吸気孔45a、45bに一致し、透孔56aと吸気孔45aとによって、透孔56bと吸気孔45bとによって、それぞれ通気路が形成されるようになっている。すなわち、グリル扉40の下部ドアー空間49Lに通ずる吸気通路になる。したがって、台所等の室内の空気は、側方取っ手空間59a、59bから、前記吸気通路を経由してグリル扉40の下部ドアー空間49Lに吸引される。
そして、平面視において前方中央に行くに従って徐々に突出した「アーチ形状」であるため、手掛け部52の端部50a、50bに近い範囲は、手掛け部52と後面壁55との間隔が狭くなり、使用者が手指を掛けることが困難になっている。すなわち、使用者の手指が側方取っ手空間59a、59bに侵入しないため、調理の際、吸気孔45a、45bが塞がれるおそれがない。また、万一、グリル加熱室20の圧力が上昇して熱気が逆流し、連通している吸気孔45aおよび透孔56a、あるいは連通している吸気孔45bおよび透孔56bから側方取っ手空間59a、59bに熱気が流出した場合であっても、下方
のみが開口しているから、かかる熱気は下方に向かって流れ出し、使用者の手指に熱気が触れることがない(図6の(b)参照)。
なお、取っ手50は断面略h字状であって、下方が開口した函体であるから、大きな断面二次モーメントを具備するものであるが、仕切壁53a、53bを設けたことによって、剛性がさらに大きくなっている。また、取っ手50(含む、仕切壁53)は前板45と一体的に成形してもよい。
図4において、グリル扉40の裏板42の側縁42a、42b寄りの範囲に、貫通する側方吹出孔46a、46b(以下まとめて「側方吹出孔46」と称する場合がある)と、裏板42の中央範囲に、貫通する中央吹出孔47と、が形成されている。
図4において、裏板42の外周にそって、矩形環状にシール用パッキン48が設置されている。シール用パッキン48はグリル扉40を後方に押し込んだ際、グリル加熱室の前方開口部21の周囲に気密的に当接するものであって、吸気孔45a、45b以外の個所から空気がグリル加熱室に侵入しないようにシールしており、断面が真円形や楕円形又は2重の円形などの形状になっている。
図7〜図9は、グリル扉に任意に取り付けられるガード体を模式的に説明するものであり、図7は正面図、図8は側面視の断面図、図9は取り付け要領を示す斜視図である。
図7〜図9において、ガード体110は全体が金属線から形成されている。ガード体110は、前方にあって互いに所定(たとえば、5〜6mm)の対向間隔で平行で、かつ水平に伸びる複数(たとえば、10本)の横棒110aと、横棒110aの左右両端部を一体化する垂直に伸びる複数の縦棒110bと、各横棒110aの左右両端部にそれと直角に接読され後方に向かって水平に伸びた複数の側棒110cと、から構成されている。
すなわち、正面視および側面視において、それぞれ梯子状を呈している。
そして、側棒110cのうち最上段に位置する一対の側棒110cは、連結棒110dによって連結され、横棒110aのうち最下段に位置する横棒110aには前脚110eが連結され、前脚110eには連結片113によって後脚110fが連結されている。
すなわち、前脚110eは一対の縦片111eと1本の横片112eとから構成され、正面視でコ(U)字状を呈する。後脚110fは一対の縦片111fと1本の横片112fとから構成され、正面視でコ(U)字状を呈する。そして、左右一対の縦片111eと縦片111fとは、それぞれ上下2箇所で連結片113によって連結されている(連結片113は左右の上下に配置され、合計4本ある)。
ガード体110の後脚110fは、取っ手50に形成された細長形状の前記スリット90に上方から挿入され、このとき、前脚110eは取っ手50のフランジ部51の前面に当接する。したがって、ガード体110は、取っ手50のフランジ部51を前脚110eと後脚110fとでもって前後から弾力的に挟み込む形に設置されている。
これによりガード体110は、ネジなどを用いることなく、後脚110fをスリット90に押し込むことによりグリル扉40の前方位置に固定することができる。 なお、このとき、連結片113は取っ手50のフランジ部51の上面に当たっており、ガード体110の後脚110fをスリット90に上方に挿入した際の「位置決めストッパー」になっている。よって、ガード体110をスリット90に行き止まりまで挿入すれば丁度所定位置になり、後述する通り、グリル扉40の透明窓41wの前面全体を所定間隔を置いて覆うことになる。
また前脚110eを最下段の横棒110aだけでなく、複数あるいは全ての横棒110aに連結し、かつ、後脚110fを上方に延長して連結棒110dに連結することにより、ガード体110の全体強度(特に、前脚110eおよび後脚110fの剛性)を更に増すようにしても良い。
なお、図中、110gは1つの側棒110cの後端をU字型に折り曲げて隣合う側棒110cに連続した折り曲げ部である。
また、ガード体110は、グリル扉40の前方位置に取り付けた状態で、ガード体110がグリル扉40の透明窓41wの前面全体を所定間隔を置いて覆う大きさに形成されている。したがって、透明窓41wがグリル加熱室20内部の高熱(最高時には250℃〜350℃にもなる)を受けて高温になったとしても、このような高温部に対する使用者の不用意な接触を防止することができる。
また、ガード体110は、グリル扉40の前板45や表板41との接触面積が小さいため、前板45や表板41がグリル加熱室20からの熱で熱せられて高温なっても、ガード体110自体の温度を比較的低く抑えることができる(例えば、グリル加熱室20が300℃の状態でも、横棒110aの温度は50℃以下)。
以上、理解を容易にするため、グリル扉40は表板41、裏板42、前板45等で形成され、取っ手50は前板45に設置(接続)されるものとして説明しているが、かかる構成部材(構成する部分に同じ)は、それぞれ別体のものを相互に接続したものであっても、一枚の板材を成形したものであってもよい。たとえば、裏板42と外周板43と内周板44とは、一体的に成形(たとえば、プレス成形や鋳造)しても良い。
また、複数の加熱体72(図2参照)の一部として、高周波数電流が流れるコイルであって、被加熱物を電磁誘導によって加熱するものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、また、これを必須とするものではない。たとえば、1つの加熱体72が、電熱ヒータやガスバーナ等であってもよい。このとき、加熱体の形式に応じて、天板70が撤去され、電源スイッチ73、74の形式が変動することになる。また、グリル加熱室20のみにおいて調理し、天面に加熱手段を具備しないものであってもよい。
さらに、グリル加熱室20には、上ヒータ23および下ヒータ24が配置されたものを示しているが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、上ヒータ23および下ヒータ24の一方のみが配置されたものであってもよい。なお、上ヒータ23および下ヒータ24はシーズヒータに限定されず、例えばニクロム線やハロゲンヒータ等の他の電気発熱体であっても、またガスバーナ等の別方式の熱源であってもよい。
するとグリル加熱室20はそれらヒータ23、24により加熱される。このときグリル加熱室20の壁面に施した遠赤外線塗料は、温度上昇に伴って赤外線を放射する。ステファンボルツマンの法則の通り、物質から伝えられる放射エネルギーの量は、その物質の温度が高くなるに従って大きくなる。
同様にして食品は4μmから25μm付近に吸収帯を持ち、澱粉、油脂、糖類は3μm〜10μmの領域で高い吸収率を示した。 また水は3μmと6μmで強い吸収がある。これらの知見から有効波長領域を3μm〜25μmであると想定し、実際に赤外線塗料を塗布したグリル加熱室20で、上記波長域(3μm〜25μm)における放射率を測定、計算して赤外線放射効果の有無・良否を判定した。この結果、本発明の実施態様においては、遠赤外線効果が大きく、これによってグリル加熱室20の加熱時間(調理時間)の短縮、グリル加熱室20の温度上昇率の改善を図れることが確認できた。
発明者らは、グリル加熱室20からグリル扉40のガラス製透明窓41wを介して外部へ漏れる赤外線の量を減らせば、グリル加熱室20の加熱効率を向上させられると考えた。しかし、既に知られている熱線反射ガラスでは住宅用窓等の用途を想定しているため、太陽からの熱線(日射)を前提とした透過率データしかなかった。具体的には0.3μm〜2.1μmの波長域についてはフロート板ガラスと熱線吸収ガラスの反射率、透過率、輻射率のデータは公表されていた。
この性能を基礎として、グリル加熱室20から透明窓41wを形成する耐熱性ガラスを通して周囲まで伝わる熱モデルを作成し、熱解析を実施した結果、単位面積あたりの熱量の比較でいうと、熱線反射ガラスの透過率が71%であると仮定するとフロート板ガラスに比較して熱量は22%低減でき、また熱線反射ガラスの透過率が20%であると仮定するとフロート板ガラスに比較して熱量は35%も低減できることを知った。
Claims (6)
- 被加熱物を収納自在なグリル加熱室と、該グリル加熱室の前方に設置された開閉自在なグリル扉と、前記グリル加熱室を加熱する発熱体と、を具備する加熱調理器であって、
前記グリル扉は前面の上側に表板及び下側に前板と、前記グリル加熱室内側に対向する裏面に裏板を有し、前記表板の中央に前記グリル加熱室の内部を透視可能なガラス板の覗き窓が設けられ、前記覗き窓を除く前記表板の裏面全体に不透過性の耐熱塗装が施されており、当該覗き窓の前記ガラス板の前面側には、前記グリル加熱室内からの赤外線を反射し、前記覗き窓からの放射伝熱を抑制する熱線反射皮膜が形成され、
さらに前記グリル扉は、前記表板および前記前板の外周と前記裏板の外周とを連結する外周板と、前記裏板の中央に形成された開口部の内周から前方へ伸びる内周板とを有し、前記グリル扉の上部に、前記表板と前記裏板と前記外周板の上部と前記内周板の上側で囲まれた空間と、前記グリル扉の下部に、前記前板と前記裏板と前記外周板の下部と前記内周板の下側で囲まれた空間とがそれぞれ形成され、前記グリル加熱室の壁面内側には、遠赤外線放射被覆が施されていることを特徴とする加熱調理器。 - 前記熱線反射皮膜は、酸化チタン又は酸化スズで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
- 前記覗き窓の前記ガラス板は、2枚のガラス板をその間に断熱用の空気層が形成された二重構造にしていることを特徴とする請求項1乃至2の何れか1項に記載の加熱調理器。
- 前記グリル扉には、前記覗き窓の前方を所定の空間を置いて覆うガード体が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の加熱調理器。
- 前記グリル扉の前面には、その前方へ所定寸法突出した取っ手が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の加熱調理器。
- 前記発熱体は輻射式電気ヒータであるとともに、調理器外殻を構成する天井面に対応して誘導式電気ヒータを備え、これら両ヒータは独立して通電時間及び火力の設定が可能となっていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の加熱調理器。
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