JP5440898B2 - 高周波伝送線路およびそれを用いた回路基板 - Google Patents

高周波伝送線路およびそれを用いた回路基板 Download PDF

Info

Publication number
JP5440898B2
JP5440898B2 JP2009058999A JP2009058999A JP5440898B2 JP 5440898 B2 JP5440898 B2 JP 5440898B2 JP 2009058999 A JP2009058999 A JP 2009058999A JP 2009058999 A JP2009058999 A JP 2009058999A JP 5440898 B2 JP5440898 B2 JP 5440898B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric layer
conductor
line
line conductor
frequency transmission
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009058999A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009273112A (ja
Inventor
健児 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2009058999A priority Critical patent/JP5440898B2/ja
Publication of JP2009273112A publication Critical patent/JP2009273112A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5440898B2 publication Critical patent/JP5440898B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Waveguides (AREA)

Description

本発明は、準ミリ波帯域やミリ波帯域等の高周波信号を取り扱う伝送線路構造およびそれを用いた高周波部品に関する。
準ミリ波帯域(10GHz〜30GHz)やミリ波帯域(30GHz〜300GHz)の高周波信号を取り扱う回路部品に用いられる伝送線路には、従来から図13に示すマイクロストリップ線路、コプラーナ線路などが用いられてきた。図13に示すようにマイクロストリップ線路では、線路導体43が誘電体層41を介して接地導体42に対向している。かかる構造はセラミックス、樹脂等の基板の一方の主面に信号線路、他方の主面に接地導体を形成して得られる。送受信システムの配線基板、フロントエンドモジュールなどのように、設置空間が限られる用途に用いられる回路部品には小型化・高集積化が要求され、それに用いられる伝送線路構造も小型化・高集積化に対応したものが要求されている。
しかしながら伝送線路の小型化が進むと、直流抵抗の増加等によって伝送損失が増加してしまう。これに対して、特許文献1には、伝送損失の抑制を目的として、第1の誘電体層と、第1の誘電体層よりも誘電率の高い第2の誘電体層を用い、第2の誘電体層を地導体側に配置した構成が開示されている。
特開平11−261306号公報
準ミリ波帯域やミリ波帯域用の伝送線路では、信号線路の寸法誤差や形状の不均一性が伝送損失に大きく影響する。例えば、電界は信号線路のエッジ部分に集中するため、該エッジ部分の影響が大きいため、信号線路と接地導体に挟まれる誘電体層の構成を変更するだけでは伝送損失の低減は十分ではない。特に、基板表面に設けられた信号線路を、めっき等によって複層の導体層として形成すると、複層化によって信号線路のエッジ部分の性状が変わってしまい、伝送損失が大きくなってしまう。また、基板表面に設けられた信号線路全体にめっき膜等を形成すると、成膜に関するコストが増加してしまう。
本発明は上述の問題点に鑑み、準ミリ波帯域やミリ波帯域用の伝送線路において、コスト的に有利であり、伝送損失の低減にも好適な構成を提供することを目的とする。
本発明の高周波伝送線路は、第1の誘電体層に形成された線路導体と、前記第1の誘電体層を介して前記線路導体に対向する接地導体とを備える準ミリ波帯またはミリ波帯用の高周波伝送線路であって、前記線路導体を挟んで前記第1の誘電体層とは反対側に前記線路導体を被覆する第2の誘電体層が設けられ、前記線路導体は、前記接地導体と対向する方向に垂直な方向の異なる位置に他の導体との接続部を複数有し、前記複数の接続部のうち少なくとも一つは、前記第2の誘電体層の非形成部を用いて構成され、前記第2の誘電体層の比誘電率をεrとしたとき、前記第2の誘電体層の厚さd2(μm)が、 d2<−125×εr+175 を満たすことを特徴とする。該構成では、線路導体の大部分を誘電体層で覆うために、該線路導体部分には保護等の目的で導体層を形成する必要がない。さらに、例えば電気抵抗率の高い他の導体が形成されることがないため、電気抵抗率の高い他の導体が接地導体に対向すること、およびそれによって伝送損失が増加することを抑制することができる。また、第2の誘電体層を設けることの損失低減への実効を確保するためには、第2の誘電体層の厚さd2を、かかる構成とするのが好ましい。
また、前記高周波伝送線路において、前記非形成部は、前記線路導体上に形成された、前記第2の誘電体層の開口部であるとともに、前記開口部は前記線路導体の外縁よりも内側に形成されていることが好ましい。かかる構成は、開口部内に位置する線路導体上にさらに導体層を設けても、線路導体の方が大きいため、該導体層が接地導体と対向することを防ぐうえで好ましい。また、接続部に用いるはんだ等が接地導体と対向することを抑制することができる。
さらに、前記高周波伝送線路において、前記開口部内に位置する前記線路導体上には、前記線路導体よりも電気抵抗率の高い導体層が設けられ、前記開口部の深さ方向において、前記導体層の表面の高さが前記第2の誘電体層の表面の高さと同じか、それよりも低いことが好ましい。かかる構成によれば、電気抵抗率が高い導体層が開口部からはみ出て接地導体と対向することを防ぐことができる。
さらに、前記高周波伝送線路において、前記線路導体は、前記開口部よりも末端側に、他の部分よりも幅の大きい拡張部を有することが好ましい。かかる構成によれば、線路導体と他の導体とをボンディングワイヤで接続する際のインピーダンス整合が容易になる。
さらに、前記高周波伝送線路において、前記第2の誘電体層の比誘電率は、前記第1の誘電体層の比誘電率よりも低いことが好ましい。かかる構成によれば、第2の誘電体層に起因する損失を抑制し、第2の誘電体層を設けることの実効を高めることができる。
本発明の回路基板は、準ミリ波帯またはミリ波帯の信号を取り扱う回路を誘電体基板に構成した回路基板であって、前記回路の少なくとも一部に前記高周波伝送線路を用いたことを特徴とする。前記高周波伝送線路を用いて構成した回路基板は、準ミリ波帯またはミリ波帯の信号を取り扱う際の線路損失を低減するうえ好適である。
本発明によれば、準ミリ波帯域やミリ波帯域用の伝送線路において、コスト的に有利な構成、さらには伝送損失の低減に好適な構成を提供することが可能となる。
本発明に係る高周波伝送線路の一実施形態を示す図である。 本発明に係る高周波伝送線路の他の実施形態を示す図である。 本発明に係る高周波伝送線路の一実施形態における開口部の拡大図である。 本発明に係る高周波伝送線路の一実施形態における誘電体層の寸法関係を示す図である。 本発明に係る高周波伝送線路における誘電体層の厚さと線路損失との関係を示す図である。 比誘電率と第2の誘電体層の厚さとの関係を示す図である。 本発明に係る高周波伝送線路における誘電体層の厚さと線路損失との関係を示す図である。 本発明に係る高周波伝送線路における誘電体層の厚さと線路損失との関係を示す図である。 本発明に係る回路基板の一実施形態を示す図である。 本発明に係る回路基板の他の実施形態を示す図である。 本発明に係る高周波伝送線路の他の実施形態を示す図である。 本発明に係る回路基板の他の実施形態を示す図である。 従来の高周波伝送線路を示す図である。 従来の高周波伝送線路を示す図である
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る準ミリ波帯またはミリ波帯用高周波伝送線路の第1の実施形態を示す。図1(a)は高周波伝送線路の構造のうち、第1の誘電体層に設けられた線路導体と、それを被覆する第2の誘電体層を、第2の誘電体層側から見た平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’の部分での断面構造を拡大して示した図である。図1に示す実施形態は、第1の誘電体層5に形成され、帯状に延設された線路導体1と、第1の誘電体層5を介して線路導体1に対向する接地導体6とを備えるマイクロストリップライン構造である。また、比較のために従来例としての高周波伝送線路を図13に示す。
図13に示す従来の高周波伝送線路では、誘電体層41を介して接地導体42と対向して配置された線路導体43は回路基板等の表面に露出している。該線路導体の酸化防止や端子電極の電気的接続性向上を目的として回路基板をめっき処理すると、めっき膜44は被めっき物表面全体に形成されてしまう。このため、めっき膜に高価なAu等を使う場合、材料コストが増加してしまう。さらに、めっき膜44は被めっき物表面に等方的に析出するため、線路導体43の縁端部の側面側にもめっき膜44が回り込み、めっき膜44の一部が接地導体42に対向する構造となってしまう(図14)。導体損失を抑えるために、線路導体としてはAgなどの電気抵抗率の低い材料が使用される一方、めっき膜には上述の目的から下地にNi膜および表層にAu膜が用いられることが多い。そのため、電気抵抗率の高いNi膜が、高周波電流の電流密度が高くなる、線路導体43の縁端部に形成されるとともに、接地導体42に対して対向する構成となるため、線路損失が大きくなる。
これに対して、図1に示す実施形態は、線路導体1を挟んで第1の誘電体層5とは反対側に線路導体1を被覆する第2の誘電体層2が設けられている。線路導体1を被覆する第2の誘電体層2を設けることで、被覆された部分では図14に示すようなめっき等の保護膜を形成する必要がなくなる。そのため、めっき等の導体膜の材料コストが低減されるとともに、伝送損失が低減される。線路導体1は、接地導体6に対向する方向に垂直な方向、すなわち線路導体の延設方向の異なる位置に、他の導体との接続部を複数(接続部3、4)有する。複数の接続部3、4は、第2の誘電体層2の非形成部を用いて構成されている。接続部、すなわち該非形成部に露出した線路導体1を用いて、他の回路素子、基板等の導体との接続を行う。図1に示す実施形態では、接続部3、4は線路導体1の両端に形成されており、線路導体の大部分は第2の誘電体層2によって被覆されている。
図1に示す実施形態では、接続部3、4は二つとも第2の誘電体層2の非形成部を用いて構成されているが、接続部の構成はかかる構成に限定されるものではない。接続部のうち少なくとも一つが、第2の誘電体層2の非形成部を用いて構成されていればよい。接続部に係る他の構成として、例えば、第1の誘電体層5にビアホールを設け、該ビアホールに設けたビア電極と、線路導体1の第1の誘電体層側とを接続することもできる。この場合、線路導体1のうち該ビア電極に接続される部分が接続部となる。また、接続部を三つ以上形成してもよい。第2の誘電体層2の非形成部の構成としては、図1に示すように、線路導体1の先端全体が被覆されていない構成の他、最先端部は被覆して線路導体1の中途に非形成部を設ける構成を用いることもできる。
第2の誘電体層2の非形成部の構成が異なる、他の実施形態を図2に示す。図2(a)は、高周波伝送線路の構造のうち、第1の誘電体層に設けられた線路導体と、それを被覆する第2の誘電体層を、第2の誘電体層側から見た平面図であり、図2(b)は、図2(a)のB−B’の部分での断面構造を拡大して示した図である。図2に示す実施形態は、第1の誘電体層11に形成され、帯状に延設された線路導体7と、第1の誘電体層11を介して線路導体7に対向する接地導体12とを備える点、線路導体7を挟んで第1の誘電体層11とは反対側に線路導体7を被覆する第2の誘電体層8が設けられている点は、図1に示す実施形態と同様である。線路導体7は、接地導体12に対向する方向に垂直な方向、すなわち線路導体の延設方向の異なる位置に、他の導体との接続部を複数(接続部9、10)有する。該接続部の構成が図1の実施形態と異なる。図2の実施形態では、第2の誘電体層8の非形成部は、線路導体7上に形成された第2の誘電体層8の開口部であるとともに、該開口部は線路導体7の外縁よりも内側に形成されている。図2に示すように、矩形の開口部の各辺は帯状の線路導体7の幅よりも小さくしてあり、図2(b)に示すように、線路導体7はその接続部において縁の部分は第2の誘電体層8に覆われている。図2に示す構成では、開口部内には線路導体7の縁端部は配置されていない。したがって、線路導体7の縁端部全体が第2の誘電体層8に被覆されるので、上述のような線路導体の縁端部側面側へのめっき膜の回り込みの影響をより確実に防ぐことができる。また、接続部が線路導体7の外縁よりも内側に形成されているので、はんだ等を用いて他の導体と接続する際も、はんだ等が線路導体7の外縁からはみ出ることが抑制される。
図2に示す実施形態において、開口部内の位置する線路導体上にめっき等によって導体層を形成する場合、図3に示す構成を備えることが好ましい。図3は第2の誘電体層の開口部近傍の拡大図である。第2の誘電体層14の開口部に露出した線路導体13上に、線路導体13よりも電気抵抗率が高い導体層15および16が設けられている。線路導体にはAgやCuなど電気抵抗率が低い金属材料が用いられる。さらに、これらの材料で構成された線路導体の保護等の目的で、耐酸化性等の安定性がより優れるNi、Auなどが被覆される。被覆として形成されるNiなどの材料は、線路導体の材料よりも電気抵抗率が高い。図3に示す構成は、例えば、Agの線路導体13に対して、下地膜である導体層15としてNiを、表層である導体層16としてAuをめっきで成膜して得られる。めっきされる線路導体の接続部は周囲を開口の内面で囲まれているため、電界めっきおよび無電界めっきの場合とも、下地膜およびそれを被覆する表層は開口を埋めるように上方の堆積していく。そのため、開口部の深さ方向において、線路導体13よりも電気抵抗率が高い導体層15、16の表面の高さが第2の誘電体層14の表面の高さと同じか、それよりも低くなるようにすれば、電気抵抗率が高い導体層が線路導体13の接続部からはみ出すことを防ぐことができる。図3に示す構成では、表層のめっき膜である導体層16の高さが第2の誘電体層14の表面の高さよりも低くなるようにしてある。
なお、線路導体13よりも電気抵抗率が高い導体層は二層に限定されるものではなく、一層でもよいし、三層以上でもよい。また、線路導体13よりも電気抵抗率が高い導体層の他に、電気抵抗率が同じ導体層や電気抵抗率が低い導体層が形成されていてもよい。これら線路導体13の材料と電気抵抗率が同じか、それ以下の材料を用いた導体層が表層に形成される場合、かかる電気抵抗率が低い導体層部分については、第2の誘電体層の高さよりも高くなってもよい。但し、接続部に他の導体を接続する際に用いられるはんだ等のはみ出しを抑えるためには、開口部に設けられる導体全体の高さが第2の誘電体層の高さと同じか、それよりも低いことが好ましく、低い方が特に好ましい。
開口部の形状はこれを特に限定するものではなく、例えば矩形や円形を用いることができる。開口部の大きさは、例えば、搭載部品と線路をワイヤボンディングで接続する場合であれば、製造歩留まりを確保し、かつ、実装面積を小面積とするために、縦300μm以下、横300μm以下の矩形形状または直径300μm以下の円形形状であることが好ましい。ただし、開口部寸法の形状安定性の観点からは、縦50μm以上、横50μm以上の矩形形状または直径50μm以上の円形形状であることが好ましい。
第1の誘電体層および第2の誘電体層には、絶縁体との区別を要さず、広く誘電体材料を用いることができる。例えば、樹脂やセラミックス等を用いることができる。セラミックスを用いる場合は、例えば、導体パターンが形成された誘電体シートを用いる通常のLTCC(Low Twmperature Co−fired Ceramics)技術を用いればよい。第2の誘電体層は、シートで構成してもよいし、印刷等によるオーバーコートで構成してもよい。第1の誘電体層と第2の誘電体層とで同じ組成の材料を用いてもよいし、異なる組成の材料を用いてもよい。準ミリ波帯やミリ波帯のような高周波帯域では、誘電損失の影響が大きくなる。そのため、本発明に係る構成において、第2の誘電体層の比誘電率は、第1の誘電体層の比誘電率以下であることが好ましく、第2の誘電体層の比誘電率が第1の誘電体層の比誘電率よりも低いことが特に好ましい。これは第2の誘電体層を設けることによる特性の変動を抑えるためである。比誘電率は、例えば8以下が好ましく、4以下がさらに好ましい。なお、比誘電率は便宜的に13GHz近辺での値を用いる。
図4に示すように第2の誘電体層2の厚さd2は、第1の誘電体層5の厚さd1よりも小さいことが好ましい。第2の誘電体層を薄くすることで線路損失を低減することができる。なお、ここで、第2の誘電体層2の厚さd2は、線路導体1上での厚さであり、該厚さが線路導体上で一定でない場合は、最もd2が小さくなる部分での値を用いる。一方、第1の誘電体層の厚さd1は、回路基板を構成する場合の強度を確保する観点から、100μm以上であることが好ましい。また、線路損失を減らすためにも、より厚い方が好ましい。第1の誘電体層の厚さd1の上限は特に限定する必要はないが、回路基板の大型化を防ぐため、およびパターン設計を容易にするためには500μm以下が好ましい。図5には、第2の誘電体層2の厚さd2に対する線路損失の変化を示す。第1、第2の誘電体層には同じ比誘電率εを有する誘電体を用い、比誘電率εを4、6および8と変えた場合の線路損失を示した。比誘電率4、6および8に対して、線路導体の線幅は180μm、130μmおよび100μmとした。なお、第1の誘電体層の厚さd1は100μm、線路導体の厚さは10μmとした。ここで示した線路損失は80GHzにおける線路長1cm当たりの線路損失である。第2の誘電体層の厚さd2を小さくすることで、線路損失が改善される。一方、第2の誘電体層を設けずに8μmのNi膜を設けた構成で評価した線路損失は、比誘電率を4、6および8の場合で、それぞれ−1.26dB/cm、−1.65dB/cmおよび−1.90dB/cmであった。図5のグラフから、比誘電率εが4、6および8の場合で、第2の誘電体層の厚さd2が125μm、100μmおよび75μmのとき、線路損失はそれぞれ上記Ni膜を設けた場合と同じ−1.26dB/cm、−1.65dB/cmおよび−1.90dB/cmになっている。かかる臨界的なd2を第2の誘電体層の比誘電率をεに対してプロットした結果を図6に示す。図中の点を結んだ直線の傾きは−12.5、切片は175である。したがって、第2の誘電体層の厚さd2(μm)がd2<−125×ε+175(式1)を満たせば、Ni膜を設けた場合よりも線路損失が低くなる。
図7には、第1の誘電体層5の厚さd1を100μmから125μmへと変更した際の線路損失の変化を示した。なお、線路導体の線幅も100μmから120μmへ変更した。第1、第2の誘電体層の誘電率はそれぞれ8である。図7に示すように第1の誘電体層5の厚さd1を大きくすることによって線路損失が低減される。したがって、第1の誘電体層5の厚さd1を100μm以上とすれば、上記式1を満たしつつ、いっそうの線路損失の低減が可能となる。
また、図8には、第1の誘電体層の比誘電率を8とし、第2の誘電体層の比誘電率を4、5、7、8と変化させたときの、線路損失のd2依存性を示した。第1の誘電体層5の厚さd1を100μm、線路導体の線幅は100μmである。第2の誘電体層の比誘電率を第1の誘電体層の比誘電率よりも小さくすることで、線路損失の低減が図れることがわかる。また、線路導体の形成精度が特性に与える影響を抑えるとともに、線路導体の密着性を確保する観点からは、100μm以上の線幅を有することが好ましい。また、線幅を大きくすることによって、線路損失の低減することもできる。
準ミリ波帯またはミリ波帯の信号を取り扱う回路を誘電体基板に構成した回路基板に、本発明に係る高周波伝送線路を構成した例を図9および図10に示す。図9および図10は線路導体の接続部等の構成の概略を示す回路基板の断面図である。図9に示す実施形態は、誘電体基板19に形成された線路導体17と、誘電体基板19を介して線路導体17に対向する接地導体20と、線路導体17を挟んで誘電体基板19とは反対側に線路導体17を被覆する誘電体層18を有する実施形態である。誘電体基板19が上述の高周波伝送線路における第1の誘電体層に相当する。図9に示す実施形態では、平面状の接地導体20が基板主面全体に渡って形成され、誘電体層18は他方の主面全体に渡って形成されて線路導体17を被覆している。誘電体層18の、線路導体17上の二箇所には、非形成部として開口部が形成されている。該開口部は線路導体17の外縁よりも内側に形成されている。かかる開口部に構成された接続部21および22を用いて、基板上の回路素子や他の基板等の導体との電気的接続を行う。なお、接地導体20の、誘電体基板19とは反対側に、さらに誘電体層を設けてもよい。
図10に示す実施形態は、複数の誘電体層を積層した誘電体基板27を用いている。図10に示す構成は図9に示す実施形態と同様に、誘電体基板27の一方の主面側に形成された線路導体23と、誘電体基板27を構成する誘電体層を介して線路導体23に対向する接地導体28と、線路導体23を挟んで誘電体基板27とは反対側に、線路導体23を被覆する誘電体層24を有する。さらに、図10に示す構成は、誘電体基板27の他方の主面側に形成された線路導体30を有し、該線路導体30は誘電体基板27を構成する他の誘電体層を介して接地導体28と対向する。また、線路導体30を挟んで誘電体基板27とは反対側に、線路導体30を被覆する誘電体層31が形成されている。誘電体層24および31は各主面全体に渡って形成されて、それぞれ線路導体23および30を被覆している。誘電体層24の、線路導体23の一端側の一箇所には非形成部として開口部が形成されて、該開口部が接続部26を構成している。一方、誘電体層31の、線路導体30の一端側の一箇所には非形成部として開口部が形成されて、該開口部が接続部32を構成している。線路導体23の他端側の一箇所は、誘電体基板27に形成されたビア電極29に接続されている。この場合、該ビア電極29との接続に係る部分が他の接続部25となる。同様に、線路導体30の他端側の一箇所は誘電体基板27に形成されたビア電極29に接続されている。この場合、該ビア電極29との接続に係る部分が他の接続部33となる。異なる主面側に形成された線路導体23と線路導体30が、ビア電極29を介して接続されている。なお、接地導体28はビア電極29が配置されている部分の周辺は形成されていない。なお、線路導体と接地導体とに挟まれる誘電体層を複数で構成し、接地導体の片側において、線路導体を複数の誘電体層に形成することも可能である。該複数の誘電体層の層間であって、線路導体と接地導体が対向する領域以外の部分を使って、他の信号用の線路導体や電源用の線路導体を形成する。但し、準ミリ波帯またはミリ波帯の用途において、特に線路間の干渉や損失の低減を図るためには、接地導体の片側において導体線路は一つの誘電体層の主面に形成されることがより好ましい。
本発明に係る回路基板は、例えば、通信モジュール用基板、アンテナ基板、各種センサ基板のような用途に用いることができる。但し、その用途はこれらに限らず、準ミリ波帯またはミリ波帯の信号を取り扱う回路を誘電体基板に構成した回路基板に広く適用できる。
次に、図2に示す構成とは帯状に延設された線路導体の構成が異なる、他の実施形態を図11に示す。図11(a)は高周波伝送線路の線路導体を示す図であり、図11(b)は、高周波伝送線路の構造のうち、第1の誘電体層に設けられた線路導体と、それを被覆する第2の誘電体層を、第2の誘電体層側から見た平面図である。図11(a)に示す線路導体34は、その末端側に他の部分よりも幅の大きい拡張部35を有する。図11(b)に示すように、線路導体34は第2の誘電体層36によって被覆され、線路導体の延設方向の異なる位置に、他の導体との接続部を複数(接続部37、38)有する。線路導体34の末端側の構成が図2に示す構成と異なる。かかる異なる部分について説明し、図2に示す実施形態と同様の部分については説明を省略する。線路導体34は、開口部38よりも末端側に、他の部分よりも幅の大きい拡張部35を有する。拡張部35は略矩形の形状を有し、その全体が第2の誘電体層36によって覆われている。したがって、図11に示す構成の場合、かかる拡張部35は、ICチップなどに形成された他の導体との接続部としては用いない。ICチップなどに形成された他の導体と、高周波伝送線路とをボンディングワイヤで接続する場合、ボンディングワイヤのインダクタンス成分によってインピーダンスのずれが生じてしまう。これに対して拡張部35を設け、その容量成分を利用して前記インダクタンス成分を補償するようにしてインピーダンス整合を取ることができる。図11に示す実施形態では、拡張部35は矩形であるが、拡張部の形状はこれに限らず、例えば末端側に広がりを持つ五角形(ホームベース形状)や三角形でもよい。また、図11に示す拡張部35は線路導体34の幅方向の両側に突出しているが、片側に突出させてもよい。
図12には、図11に示す高周波伝送線路を用いた回路基板の、ICチップと接続した部分を拡大して示した図である。ICチップ40に形成された電極41と線路導体34とは、ボンディングワイヤ39によって接続されている。線路導体34側では、ボンディングワイヤ39は第2の誘電体層36の開口部である接続部38に接続されている。すなわち、線路導体34の拡張部35から外れた部分でボンディングワイヤ39は接続されている。なお、拡張部の形成およびボンディングワイヤの接続位置によってインピーダンス整合を図る構成は、図11および図12に示した実施形態に限らず、ボンディングワイヤによる高周波伝送線路の接続に対して広く適用できるものである。例えば、第2の誘電体層を設けない高周波伝送線路の構成にも適用することができる。
1、7、13、17、23、30、34、43:導体線路
2、8、14、18、24、31、36:第2の誘電体層
3、4、9、10、21、22、25、26、32、33、37、38:接続部
5、11、41:第1の誘電体層
6、12、20、28、42:接地導体
15、16:導体層
19、27:誘電体基板
29:ビア電極
35:拡張部
39:ボンディングワイヤ
40:ICチップ
41:電極
44:めっき膜

Claims (6)

  1. 第1の誘電体層に形成された線路導体と、前記第1の誘電体層を介して前記線路導体に対向する接地導体とを備える準ミリ波帯またはミリ波帯用の高周波伝送線路であって、
    前記線路導体を挟んで前記第1の誘電体層とは反対側に前記線路導体を被覆する第2の誘電体層が設けられ、
    前記線路導体は、前記接地導体と対向する方向に垂直な方向の異なる位置に他の導体との接続部を複数有し、
    前記複数の接続部のうち少なくとも一つは、前記第2の誘電体層の非形成部を用いて構成され
    前記第2の誘電体層の比誘電率をεrとしたとき、前記第2の誘電体層の厚さd2(μm)が、 d2<−125×εr+175 を満たすことを特徴とする高周波伝送線路。
  2. 前記非形成部は、前記線路導体上に形成された、前記第2の誘電体層の開口部であるとともに、前記開口部は前記線路導体の外縁よりも内側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波伝送線路。
  3. 前記開口部内に位置する前記線路導体上には、前記線路導体よりも電気抵抗率の高い導体層が設けられ、
    前記開口部の深さ方向において、前記導体層の表面の高さが前記第2の誘電体層の表面の高さと同じか、それよりも低いことを特徴とする請求項2に記載の高周波伝送線路。
  4. 前記線路導体は、前記開口部よりも末端側に、他の部分よりも幅の大きい拡張部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の高周波伝送線路。
  5. 前記第2の誘電体層の比誘電率は、前記第1の誘電体層の比誘電率よりも低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高周波伝送線路。
  6. 準ミリ波帯またはミリ波帯の信号を取り扱う回路を誘電体基板に構成した回路基板であって、前記回路の少なくとも一部に請求項1〜5のいずれかに記載の高周波伝送線路を用いたことを特徴とする回路基板。
JP2009058999A 2008-04-08 2009-03-12 高周波伝送線路およびそれを用いた回路基板 Expired - Fee Related JP5440898B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009058999A JP5440898B2 (ja) 2008-04-08 2009-03-12 高周波伝送線路およびそれを用いた回路基板

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008100770 2008-04-08
JP2008100770 2008-04-08
JP2009058999A JP5440898B2 (ja) 2008-04-08 2009-03-12 高周波伝送線路およびそれを用いた回路基板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009273112A JP2009273112A (ja) 2009-11-19
JP5440898B2 true JP5440898B2 (ja) 2014-03-12

Family

ID=41439224

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009058999A Expired - Fee Related JP5440898B2 (ja) 2008-04-08 2009-03-12 高周波伝送線路およびそれを用いた回路基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5440898B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5413981A (en) * 1977-07-01 1979-02-01 Toshiba Corp Micro strip line
JP3158033B2 (ja) * 1995-12-28 2001-04-23 京セラ株式会社 高周波回路基板
JP3278348B2 (ja) * 1996-05-01 2002-04-30 三菱電機株式会社 マイクロ波半導体装置
JP2003273611A (ja) * 2002-03-18 2003-09-26 Kyocera Corp 配線基板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009273112A (ja) 2009-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5431433B2 (ja) 高周波線路−導波管変換器
US5334800A (en) Flexible shielded circuit board
KR100430299B1 (ko) 다층 기판 상의 고주파 회로 모듈
EP2284882B1 (en) Multilayer wiring board
JP5842850B2 (ja) フラットケーブルおよび電子機器
US11612053B2 (en) Circuit board and electronic device
US9177697B2 (en) Flat cable and electronic device
JP6602326B2 (ja) 無線装置
US20220200116A1 (en) Transmission line and electronic device
JP5519328B2 (ja) 高周波用伝送線路基板
JP6001539B2 (ja) 配線基板及びこれを用いた高周波モジュール
US6100774A (en) High uniformity microstrip to modified-square-ax interconnect
JP5361024B2 (ja) 配線基板
JP5440898B2 (ja) 高周波伝送線路およびそれを用いた回路基板
US20140043190A1 (en) Planar inverted f antenna structure
CN213366849U (zh) 射频跨接器件
US20230068119A1 (en) Electronic device
JP3928152B2 (ja) プリント配線板
US20240243055A1 (en) Electronic-component mounting package and electronic device
JP4333659B2 (ja) フレキシブル配線基板
JP7320901B2 (ja) 高周波終端器
US20220077556A1 (en) Transmission line and electronic device
JP7036687B2 (ja) 配線基板、電子部品用パッケージおよび電子装置
JP2024017166A (ja) 高周波終端構造
JP2022085362A (ja) 高周波基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130802

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130819

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5440898

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees