JP5440759B2 - 変倍式望遠光学系及びこれを備える光学装置 - Google Patents

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Description

本発明は、変倍式望遠光学系及びこれを備える光学装置に関するものである。
近年、デジタルカメラやテレビカメラなどに使用する望遠光学系において、変倍のための機構が簡単で、全長が短く、広い波長域にて良好な結像性能を有するものが望まれている。
例えば、レンズの変倍方式として、レンズ光路切換方式(例えば、特許文献1を参照)を採用することにより、例えばミラーなど、光学系を構成する一つの光学素子を移動させるという簡単な構成で変倍切り換えができるとともに、変倍のために光学系を繰り出す必要がないため、光学系全長を短くすることができる。
しかしながら、長焦点距離化を進めつつ、特許文献1の技術をそのまま適用しようとすると、次のような問題が生じていた。まず、焦点距離が長いレンズを利用するため、レンズの色収差による色にじみが、撮影された画像に出てしまうおそれがあった。また、光学系の長焦点距離化に伴い、(上記変倍方式を採用しても)光学系全長が長くなってしまうおそれがあった。
こうした問題点に対処するために、反射光学系を利用するという方法がある。反射光学系は、原理的に色収差の発生がなく、かつ光学系全体の小型化を図りながら長焦点距離を得易いという長所がある。しかしながら、撮影画角の増大を図ることが難しく、また光束を往復して使用するために光軸近傍の光束がケラレてしまい、光学系全体の実質的な明るさが低下してしまうという短所がある。
そこで、レンズ光路切換方式を採用しつつ、望遠用光学系として屈折光学系を、より長い焦点距離を有する超望遠用光学系として反射光学系を採用するという案が考えられる。
特開平4−39637号公報
上記のような望遠用光学系を構成するレンズには、広い波長域で発生する色収差を除去するため、凸レンズに、螢石やED(Extra-low Dispersion)ガラス等の異常分散性を有する硝材が用いられることが多い。しかしながら、異常分散性を有する硝材は、屈折率の温度依存係数dn/dTが負であることが多く、かつその絶対値も他の一般的な硝材のものと比較して大きい。したがって、こうした硝材を用いた凸レンズは、温度上昇時に焦点距離を大幅にのばすという働きを持つ。
逆に、異常分散性を持たない一般の硝材は、屈折率の温度依存係数dn/dTが正であることが多い。しかしながら、こうした硝材は、上記のような望遠用光学系において凹レンズに用いられることが多いため、先の場合と同様に、温度上昇時に望遠光学系の焦点距離をのばす働きを持つ。
すなわち、従来の望遠用光学系では、温度上昇に伴い、凸レンズと凹レンズの両方が焦点距離の増大に寄与して、大きな焦点距離変動を生じる。そのため、反射系の超望遠と屈折系の望遠を切り換えると、大きなデフォーカス(合焦ずれ)が発生するおそれがあった。
それに対して、超望遠用光学系に利用される、カセグレン光学系のような主鏡が凹面で、副鏡が凸面である反射光学系では、主鏡と副鏡が共に極低膨脹部材で作成されている場合、温度上昇に伴い、焦点距離が短くなるという特徴を持つ。
したがって、望遠用光学系として屈折光学系を、超望遠用光学系として反射光学系を備えた変倍式望遠光学系において、特許文献1のようなレンズ光路切換方式を採用しようとすると、温度変動時に、大きなデフォーカスずれを生じるおそれがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、変倍のための駆動機構が簡単で、光学系の全長が短く、温度変動時に発生するデフォーカス量を最小限に抑えることが可能である、変倍式望遠光学系及びこれを備える光学装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明を例示する第一の態様に従えば、第1の光軸を有した屈折面を含む屈折光学系と、前記第1の光軸と並列配置された第2の光軸を有した反射面を含む反射光学系と、前記屈折光学系もしくは前記反射光学系の後方に配置され、前記第1の光軸もしくは前記第2の光軸をもう一方の光軸に向けて屈曲させる反射部材と、前記屈折光学系もしくは前記反射光学系の後方で、前記屈曲された光軸と、もう一方の光軸との交点上に配置され、前記屈折光学系からの光のみを後方の光路に向ける第1の状態と、前記反射光学系からの光のみを当該後方の光路に向ける第2の状態とを選択的に取り得る光路変換部材とを備え、記屈折光学系には、屈折率の温度依存係数dn/dTが負である硝材を用いたレンズが含まれ、前記反射光学系では、温度上昇に伴って前記後方の光路における近軸の像面位置の移動する方向が、温度上昇に伴って前記屈折光学系の前記近軸の像面位置の移動する方向と同じになるように、線膨脹係数が負である材料を用いた連結部材により、前記反射面を構成する主鏡と副鏡とが繋がれていることを特徴とする変倍式望遠光学系が提供される。
また、本発明を例示する第二の態様に従えば、第一の態様の変倍式望遠光学系を備えることを特徴とする光学装置が提供される。
本発明の変倍式望遠光学系及びこれを備える光学装置によれば、変倍のための駆動機構が簡単で、光学系の全長が短く、温度変動時に発生するデフォーカス量を最小限に抑えることが可能である。
本実施形態に係る変倍式望遠光学系の構成を概略的に示す図である。 屈折光学系の縦の球面収差と軸上色収差を示す図である。 反射光学系の縦の球面収差と軸上色収差を示す図である。 上記変倍式望遠光学系を備える光学装置(カメラ)の構成を概略的に示す図である。 本実施形態に係る変倍式望遠光学系の他の構成を概略的に示す図である。 屈折光学系を使用した時におけるズーム概略図である。 反射光学系を使用した時におけるズーム概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、光路は光軸に代表させて説明する。図1は、本実施形態に係る変倍式望遠光学系の構成を概略的に示す図である。本実施形態に係る変倍式望遠光学系は、図1に示すように、焦点距離の異なる、望遠用の光学系である屈折光学系G1と、超望遠用の光学系である反射光学系G2とを有し、それぞれの光軸がほぼ平行となるように並列配置し、これら二つの光路を切り換えて使用することにより、変倍を行うように構成されている。
屈折光学系G1と反射光学系G2との間には、折り返しミラーM1と、光路切り換えミラーM2とが設けられている。
折り返しミラーM1は、屈折光学系G1の後方に配置され、屈折光学系G1を通過した光路Aを反射光学系G2の光軸に向けて屈曲させるために、反射面を反射光学系G2側に向けて傾斜させている。
光路切り換えミラーM2は、折り返しミラーM1によって屈曲された光路A´と、反射光学系G2の光軸と一致させるため、反射光学系G2の後方に、具体的には光路A´と光学系G2を通過した光路Bとの交点P上に、反射面が折り返しミラーM1の反射面と対向するように設けられている。なお、光路切り換えミラーM2は、ミラー駆動装置M2mにより光路A´に沿って上下方向に移動可能であり、屈折光学系G1からの光のみを後方の光路に向ける第1の状態(図1中の実線で示す位置)と、反射光学系G2からの光のみを後方の光路に向ける第2の状態(図1中の点線で示す位置)とを選択的に取り得る。
したがって、本実施形態における望遠光学系では、図1中の実線で示すように、光路切り換えミラーM2が反射光学系G2の光路内にある場合、屈折光学系G1により得られる結像光束は、折り返しミラーM1で反射され、光路A´を通り、光路切り換えミラーM2で反射され、該ミラーM2の後方で光路Bの延長上に設けられた像面Iにて物体像を形成する。この際、反射光学系G2によって得られる像は、光路切り換えミラーM2によって妨げられ、像面Iに導くことができないようになっている。
また、図1中の点線で示すように、ミラー駆動装置M2mを駆動して、光路切り換えミラーM2を移動させ、反射光学系G2の光路B外に退出させた場合、反射光学系G2を通った光束は、屈折光学系G1と同様に、像面Iにて物体像を形成する。この際、屈折光学系G1によって得られる像は、光路切り換えミラーM2によって妨げられ、像面Iに導くことができないようになっている。
以上のように、本実施形態においては、本光学系を構成する光学素子の一つである光路切り換えミラーM2を光路A´に沿って上下方向に移動させるという簡単な構成で変倍切り換えができる。
屈折光学系G1について説明する。本実施形態に係る屈折光学系G1は、図1に示すように、物体側から順に並んだ、正レンズL1と、負レンズL2と、正レンズL3と、折り返しミラーM1と、光路切り換えミラーM2と、補正レンズL4とを有し、焦点距離が長い、望遠結像機能を持つ。
こうした焦点距離が長い望遠結像機能を持つ屈折光学系は、一般に大きな色収差を持つ。しかしながら、本実施形態においては、屈折光学系G1を構成する正レンズL1,L3の硝材として、屈折率の温度依存係数dn/dTが負であるEDガラス(オハラ社製のS-FPL51)を用いることにより、図2に示すように、軸上色収差を小さく抑えている。
表1に屈折光学系G1を構成するレンズL1〜L3が、環境温度20℃の状態にある場合の光学系データを、表2に屈折光学系G1を構成するレンズL1〜L3が、環境温度40℃の状態にある場合の光学系データを示す。
なお、表中の[全体諸元]において、fは全系の焦点距離を、FはF値を、ωは画角を示す。また、[レンズデータ]において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率半径[単位mm]を、dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔[単位mm]を、ndはd線(波長587.6nm)に対する屈折率と硝材名を示す。また、空気の屈折率「1.000000」の記載は省略している(以上、表の説明は、表4、表5、表6及び表7についても同様である)。
(表1)
屈折光学系G1を構成するレンズL1〜L3が環境温度20℃の状態にある場合の光学系データ
[全体諸元]
f=750.0017mm、F/10、ω=1.97°
[レンズデータ]
面番号 r d nd(硝材名)
1(入射瞳面) 536.6950 15.0000 1.496999(S-FPL51) L1
2 -156.6481 8.0000
3 -144.3743 10.0000 1.516330(S-BSL7) L2
4 228.5594 9.0000
5 199.8953 15.0000 1.496999(S-FPL51) L3
6 -1082.4363 718.9946(=近軸像面位置)
(表2)
屈折光学系G1を構成するレンズL1〜L3が環境温度40℃の状態にある場合の光学系データ
[全体諸元]
f=751.8754mm、F/10、ω=1.97°
[レンズデータ]
面番号 r d nd(硝材名)
1(入射瞳面) 536.8356 15.0039 1.496875(S-FPL51) L1
2 -156.6891 7.9986
3 -144.3951 10.0014 1.516384(S-BSL7) L2
4 228.5923 8.9961
5 199.9477 15.0039 1.496875(S-FPL51) L3
6 -1082.7198 720.7989(=近軸像面位置)
表1及び表2の光学系データを算出するにあたり、使用したデータ(レンズL1〜L3の線膨脹係数α及び屈折率の温度依存係数dn/dt)を表3に示す。また、空気間隔の変化に関しては、レンズ鏡筒は極低膨張部材で構成されており、レンズL1〜L3は、それぞれ像側レンズ面の側部が、胴付面、押え環がない状態で、レンズ鏡筒に接着・保持されているものと考えて、数値を計算した。
(表3)
硝材名 線膨張係数[K-1] 温度依存係数dn/dT[K-1]
S-FPL51 13.1×10-6 -6.2×10-6 L1,L3
S-BSL7 7.2×10-6 2.7×10-6 L2
表1と表2の光学系データを基に近軸光線追跡を行うと、屈折光学系G1を構成するレンズL1〜L3において、環境温度が20℃から40℃に変化すると、レンズL1〜L3からなる光学系の焦点距離が1.8737mm長くなり、レンズL1〜L3からなる光学系の近軸像面位置が1.8543mm像側へ移動(=ΔBF)することが分かる。
続いて、反射光学系G2について説明する。反射光学系G2は、図1に示すように、光路順に並んだ、主鏡M3と、副鏡M4と、補正レンズL4とを有し、焦点距離が極めて長い、超望遠結像機能を持つ。
反射光学系G2の全長は副鏡M4の裏面から像面まで736mmであり、反射光学系G2の焦点距離である3302mmに対して1/4以下に抑えられている。また、反射光学系G2は、上記のように焦点距離が極めて長い超望遠結像機能を持つ光学系であるが、主鏡M3と副鏡M4が光束を集光させる大半のパワーを有しているので、図3に示すように、原理的に色収差をほとんど生じない。
なお、主鏡M3と副鏡M4は極低膨張部材で、主鏡M3、副鏡M4及び補正レンズL4を保持するレンズ鏡筒は極低膨張部材でそれぞれ構成されている。また、本実施形態においては、温度変動時に生じるデフォーカス量を屈折光学系G1と反射光学系G2で同じ値とするために、主鏡M3と副鏡M4との間を負の線膨張係数αを持つ連結部材S1で繋いでいる。その線膨張係数αの値は、以下のようにして求めることができる。
一般に、超望遠光学系に利用されるカセグレン光学系のような、主鏡が凹面、副鏡が凸面となっている反射光学系について、主鏡と副鏡との間隔をdとした場合、近軸計算の結果により、以下の(1)式が成立する。
d={−B+(B2−4C)(1/2)}/2 …(1)
但し、B及びCは、R1、R2をそれぞれ主鏡、副鏡の曲率半径(R1<0,R2<0)とし、BFを主鏡の反射面から近軸像面までの距離(BF>0)としたとき、以下の(2)式及び(3)式で示される。
B=(R1/2)+BF−R2 …(2)
C=(R1−R2)×BF/2−(R12/4) …(3)
したがって、本実施形態のように、温度変動時に主鏡M3と副鏡M4との間隔をdからd´へと変化させて近軸像面位置を調整する場合には、目標とする主鏡M3の反射面から近軸像面までの距離BF´を(2)式と(3)式にそれぞれ代入し、定数B´とC´を求める。そして、この定数B´とC´を(1)式に代入し、温度変動後の主鏡M3と副鏡M4との距離d´を求める。なお、温度変化をΔTとすると、距離dとd´との間には下記の(4)式の関係式が成立している。よって、(4)式に、dとd´を代入することで、主鏡M3と副鏡M4との間を繋ぐ連結部材S1の線膨張係数αを求めることができる。
d´=d(1+αΔT) …(4)
本実施形態に係る線膨張係数αを具体的に求める。表4に反射光学系G2を構成する主鏡M3と副鏡M4が環境温度20℃の状態にある場合の光学系データを示す。
表中、非球面については、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をrとし、円錐係数をκとしたとき、その形状を以下の(5)式で示している(以上、表の説明は、表4、表5及び表7についても同様である)。
z=(y2/r)/[1+{1−(κ+1)y2/r21/2] …(5)
(表4)
反射光学系G2を構成する主鏡M3と副鏡M4が環境温度20℃の状態にある場合
[全体諸元]
f=3000.0000mm、F/10、ω=0.49°
[レンズデータ]
面番号 r d 円錐係数κ nd(硝材名)
1(入射瞳面) -1200.0000 -460.0000 -1.0481 (反射) M3
2 -350.0000 460.0000(=d) -2.6586 (反射) M4
3 240.0000(=BF)
先に述べたように、環境温度が20℃から40℃に変化すると、屈折光学系G1を構成するレンズL1〜L3からなる光学系の近軸像面位置がΔBF=1.8543mm像側へ移動するので、目標とする反射光学系G2の主鏡M3の反射面から近軸像面までの距離はBF´=BF+ΔBF=240+1.8543=241.8543mmとなる。このBF´の値と、主鏡M3の曲率半径R1=-1200mmと、副鏡M4の曲率半径R2=-350mmを用いて、(1)式〜(3)式から、温度変動後の主鏡M3と副鏡M4との距離d´=459.9288mmを求めることができる。したがって、連結部材S1の線膨張係数αは、(4)式に、先のd´=459.9288mmと、d=460.0000mmと、ΔT=20Kとを代入することにより、α=-7.737×10-6-1と求まる。
このように、本実施形態においては線膨張係数が負であり、比較的その絶対値が大きな(〜10-5-1)物質が必要となる。従来は、こうした大きな負の線膨張係数を持ち、かつ大型反射鏡を保持できるような大きな機械的強度を持つ物質は存在しなかった。しかしながら、近年「逆ペロフスカイト」という構造を持つマンガンの窒化物で、その構成元素の亜鉛やガリウム、銅の一部をゲルマニウム元素に置き換えた物質が、-3×10-6〜-25×10-6-1という比較的大きな負の線膨張係数を示し、その上大きな機械的強度を持つことが報告されている。こうした物質を主鏡M3と副鏡M4とを繋ぐ連結部材S1に採用することにより、本実施形態は実現可能となった。
表5に、先に求めた線膨脹係数α(=-7.737×10-6-1)を持つ連結部材S1で繋がれた主鏡M3と副鏡M4が、環境温度40℃の状態にある場合の光学系データを示す。
(表5)
反射光学系G2を構成する主鏡M3と副鏡M4が、負の線膨脹係数を持つ連結部材S1で繋がれ、環境温度40℃の状態にある場合の光学系データ
[全体諸元]
f=3006.1136mm、F/10、ω=0.49°
[レンズデータ]
面番号 r d 円錐係数κ nd(硝材名)
1(入射瞳面) -1200.0000 -459.9288 -1.0481 (反射) M3
2 -350.0000 459.9288 -2.6586 (反射) M4
3 241.8543
表4と表5の光学系データを基に近軸光線追跡を行うと、反射光学系G2を構成する主鏡M3と副鏡M4において、環境温度が20℃から40℃に変化すると、主鏡M3と副鏡M4からなる光学系の焦点距離が6.1136mm長くなり、主鏡M3と副鏡M4からなる光学系の近軸像面位置が1.8543mm像側へ移動することが分かる。
以上より、反射光学系G2が温度変動時に生じるデフォーカス量は、屈折光学系G1が温度変動時に生じるデフォーカス量と等しくなり(共に1.8543mm像側へ移動)、温度変動時に屈折光学系G1と反射光学系G2との切り換えを行っても、デフォーカスが問題となることはないと考えられる。
しかしながら、屈折光学系G1の近軸像面位置、つまり反射光学系G2の近軸像面位置でもある場所に撮像素子を配置して撮像を行う場合、温度変動時に屈折光学系G1と反射光学系G2で等しいデフォーカスを生じてしまう。これを補正するために、本実施形態では、光路切り換えミラーM2と像面Iとの間に配置した補正レンズL4を、光軸に沿って平行に移動させている。表6と表8に、環境温度が20℃の際の補正レンズL4を含む屈折光学系G1及び反射光学系G2の光学系データを示し、表7と表9に、環境温度が20℃から40℃に変化した際に、補正レンズL4を光軸に沿って平行に像面側へ移動させて近軸像面位置を補正した、屈折光学系G1及び反射光学系G2の光学系データを示す。
(表6)
屈折光学系G1を構成するレンズL1〜L4が環境温度20℃の状態にある場合の光学系データ
[全体諸元]
f=825.5588mm、F/11、ω=1.97°
[レンズデータ]
面番号 r d nd(硝材名)
1(入射瞳面) 536.6950 15.0000 1.496999(S-FPL51) L1
2 -156.6481 8.0000
3 -144.3743 10.0000 1.516330(S-BSL7) L2
4 228.5594 9.0000
5 199.8953 15.0000 1.496999(S-FPL51) L3
6 -1082.4363 680.1810
7 -31.6505 10.0000 1.516330(S-BSL7) L4
8 -34.6918 40.0000
(表7)
環境温度が20℃から40℃に変化した際に、補正レンズL4によって近軸像面位置が補正された屈折光学系G1の光学系データ
[全体諸元]
f=828.9804mm、F/11、ω=1.97°
[レンズデータ]
面番号 r d nd(硝材名)
1(入射瞳面) 536.8356 15.0039 1.496875(S-FPL51) L1
2 -156.6891 7.9986
3 -144.3951 10.0014 1.516384(S-BSL7) L2
4 228.5923 8.9961
5 199.9477 15.0039 1.496875(S-FPL51) L3
6 -1082.7198 690.7209
7 -31.6550 10.0014 1.516384(S-BSL7) L4
8 -34.6968 29.4586
(表8)
反射光学系G2を構成する主鏡M3、副鏡M4と補正レンズL4が環境温度20℃の状態にある場合の光学系データ
[全体諸元]
f=3302.2278mm、F/11、ω=0.49°
[レンズデータ]
面番号 r d 円錐係数κ nd(硝材名)
1(入射瞳面) -1200.0000 -460.0000 -1.0481 (反射) M3
2 -350.0000 460.0000 -2.6586 (反射) M4
3 201.2364
4 -31.6505 10.0000 1.516330(S-BSL7) L4
5 -34.6918 40.0000
(表9)
環境温度が20℃から40℃に変化した際に、補正レンズL4によって近軸像面位置が補正された反射光学系G2の光学系データ
[全体諸元]
f=3314.3914mm、F/11、ω=0.49°
[レンズデータ]
面番号 r d 円錐係数κ nd(硝材名)
1(入射瞳面) -1200.0000 -459.9288 -1.0481 (反射) M3
2 -350.0000 459.9288 -2.6586 (反射) M4
3 211.7763
4 -31.6550 10.0014 1.516384(S-BSL7) L4
5 -34.6968 29.4586
先に述べたように、環境温度が20℃から40℃に変化した際の屈折光学系G1と反射光学系G2で発生するデフォーカス量は等しいので、表6〜表9から分かるように、補正レンズL4の移動量は屈折光学系G1と反射光学系G2の双方において等しい値(10.5414mm)となっている。
なお、本実施形態において、補正レンズL4は、1枚の負メニスカスレンズで構成されていることが望ましい。このような構成により、像面湾曲を補正することができる。
図4に、本実施形態に係る望遠光学系、すなわち上述の屈折光学系G1及び反射光学系G2を備えた光学装置の例として、カメラCAMの構成を示す。このカメラCAMは、ミラー駆動装置M2mを駆動して、切り換えミラーM2を光路A´に沿って移動させ、屈折光学系G1もしくは反射光学系G2のどちらかを選択する。続いて、選択された光学系によって不図示の被写体からの光が集光され、像面Iに配置された撮像素子(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。このとき、カメラCAMでは、レンズ駆動装置L4mを駆動して、補正レンズL4を光軸に沿って平行に移動させ、温度変動時に発生するデフォーカス量を最小限に抑えることができる。
図5に、屈折光学系G1と反射光学系G2の構成は(補正レンズL4は除いて)上記構成と同じであるが(図1参照)、像面Iを中間結像面I´とし、この中間結像面I´の後方に、フォーカシングレンズ群G3、バリエータレンズ群G4、コンペンセータレンズ群G5を配置した例を示す。
これらフォーカシングレンズ群G3、バリエータレンズ群G4、コンペンセータレンズ群G5は、ズーム機能を持つリレー系を構成しており、その倍率は0.5〜2倍となっている。したがって、屈折光学系G1及びレンズ群G3,G4,G5からなる光学系と、反射光学系G2及びレンズ群G3,G4,G5からなる光学系は、それぞれ4倍のズーム比を持つズームレンズを構成することになる。また、屈折光学系G1と反射光学系G2の焦点距離が4倍異なるため、リレー系のズームと、屈折光学系G1と反射光学系G2の切り換えを組み合わせることにより、焦点距離を375mmから6000mmまで16倍可変可能な変倍式望遠光学系を構成していることにもなる。
なお、フォーカシング群G3は近距離撮影時のフォーカシングに使用するレンズ群であり、かつ、温度変動時のデフォーカスを補正するためのレンズ群でもある。そのため、図1に示す例のように、補正レンズL4はなくても構わない。
また、バリエータレンズ群G4とコンペンセータレンズ群G5は、ズーミングに用いるレンズ群であり、ズーミング時には図6,図7に示すように光軸に沿って移動させる。
本実施例においては、屈折光学系G1の光軸を、折り返しミラーM1と光路切り換えミラーM2によって、反射光学系G2の光軸と一致させているので、図5に示すように、中間結像面I´より後方のレンズ群G3,G4,G5を共通化することが可能となっている。したがって、機構がシンプルとなり、装置全体のコストも抑えることも可能である。また、光学系全長(すなわち反射光学系G2の副鏡M4裏面から像面Iまで)は2485mmであり、最大焦点距離の6000mmに対して半分以下に抑えることができる。また、上記したように、温度変動時に発生するデフォーカス量は屈折光学系G1と反射光学系G2の両方において等しいので、温度変動時に屈折光学系G1と反射光学系G2とを切り換えてもデフォーカスずれが発生することは極めて少ない。
以上のように、本実施形態に係る変倍式望遠光学系及びこれを備える光学装置によれば、変倍のための駆動機構が簡単で、光学系の全長が短く、温度変動時に変倍しても発生するデフォーカスを最小限に抑えることが可能である。
なお、本発明を分かりやすくするために、実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
G1 屈折光学系
G2 反射光学系
G3 フォーカシングレンズ群
G4 バリエータレンズ群
G5 コンペンセータレンズ群
L1〜L3 屈折光学系の構成レンズ
L4 補正レンズ
M1 折り返しミラー(反射部材)
M2 光路切り換えミラー(光路変換部材)
M3 主鏡
M4 副鏡
CAM カメラ(光学装置)
I 像面
I´ 中間結像面

Claims (8)

  1. 第1の光軸を有した屈折面を含む屈折光学系と、
    前記第1の光軸と並列配置された第2の光軸を有した反射面を含む反射光学系と、
    前記屈折光学系もしくは前記反射光学系の後方に配置され、前記第1の光軸もしくは前記第2の光軸をもう一方の光軸に向けて屈曲させる反射部材と、
    前記屈折光学系もしくは前記反射光学系の後方で、前記屈曲された光軸と、もう一方の光軸との交点上に配置され、前記屈折光学系からの光のみを後方の光路に向ける第1の状態と、前記反射光学系からの光のみを当該後方の光路に向ける第2の状態とを選択的に取り得る光路変換部材とを備え、
    前記屈折光学系には、屈折率の温度依存係数dn/dTが負である硝材を用いたレンズが含まれ、
    前記反射光学系では、温度上昇に伴って前記後方の光路における近軸の像面位置の移動する方向が、温度上昇に伴って前記屈折光学系の前記近軸の像面位置の移動する方向と同じになるように、線膨脹係数が負である材料を用いた連結部材により、前記反射面を構成する主鏡と副鏡とが繋がれていることを特徴とする変倍式望遠光学系。
  2. 前記連結部材は、前記反射光学系と前記屈折光学系とで温度変化によるデフォーカス量が同等となるような線膨張係数の材料を用いることを特徴とする請求項1に記載の変倍式望遠光学系。
  3. 前記屈折率の温度依存係数dn/dTが負である硝材を用いたレンズは、正レンズであることを特徴とする請求項1または2に記載の変倍式望遠光学系。
  4. 前記光路変換部材よりも像側に、焦点位置補正機能を有する補正レンズを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の変倍式望遠光学系。
  5. 前記補正レンズは、負のメニスカスレンズであることを特徴とする請求項4に記載の変倍式望遠光学系。
  6. 前記光路変換部材より像側に、バリエータレンズと、コンペンセータレンズとを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の変倍式望遠光学系。
  7. 前記連結部材に用いた前記線膨脹係数が負である材料は、逆ペロフスカイト構造のマンガン窒化物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の変倍式望遠光学系。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の変倍式望遠光学系を備えることを特徴とする光学装置。
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