JP5440670B2 - 電動機 - Google Patents
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Description
これに対し、本出願人は、例えば、異なる極対数の複数の回転子を一体に統合し、一つのモータの体格に小型化した「同期電動機」(特願2005−338874号明細書参照)を提案している。
この発明の目的は、磁石設置スペースを新たに確保することなくトルクの向上が可能であり、更に、小型化を実現することができる電動機を提供することである。
このため、磁石設置スペースを新たに確保することなくトルクの向上が可能であり、更に、小型化を実現することができる。
(第1実施の形態)
図1は、この発明の第1実施の形態に係る電動機の回転子と固定子の構成を概略的に示す断面説明図である。図2は、図1の磁石における他の着磁方向の例を示す断面説明図である。なお、図中の矢印は磁石の着磁方向を示しており、他の図においても同様である。
図1に示すように、電動機(モータ)10は、周期が異なる二つの磁極数に相当する磁石磁束を合算して発生させる回転子(ロータ)11を有する複合磁束モータであり、第1の磁束発生部材の磁石磁束の合算による磁束の減少部であるフラックスバリア部に、着磁方向を持つ第2の磁束発生部材としての磁石12a,12bからなる第2の磁石12を配置している。
図3は、12スロットの固定子に4極対の回転子を有するモータの回転子と固定子の構成を概略的に示す断面説明図である。図4は、12スロットの固定子に8極対の回転子を有するモータの回転子と固定子の構成を概略的に示す断面説明図である。図5は、4極対の回転子と8極対の回転子を重ね合わせたモータの回転子と固定子の構成を概略的に示す断面説明図である。
ここで、複合磁束モータについて説明する。
この固定子は、分割されたコアで説明されているが、分割されていないコアでも同様の動作ができ、また、スロットレス型モータでも本発明を適用することが可能である。また、巻線は、集中巻に限らず分布巻でも適用可能である。
図7(B)を見ると、回転子24Aは、着磁方向の異なる2種類の磁石(N極、S極)が幾つかの位置で互いに接している。周知のように、着磁方向の異なる磁石を張り合わせた場合、双方の磁力が同じであれば磁石が無い物と等価である。
本発明は、更に、このような構成に改良を加えた、不要な磁石を除去した図7(C)の構成を対象とするものであり、削除した磁石分の慣性の低減によるトルクの向上、モータの軽量化、削除した磁石分の経費節減等の効果がある。
図8は、2つの正弦波の複合状態の一例を示す波形図である。つまり、3極対と6極対の回転子を駆動させるための正弦波(振幅1)の各電流、及びこれらを複合させた複合電流の一例としての各波形を示している。この両者を複合させる場合、双方の位相によって波形が変化することは容易に想像でき、位相を変化させた場合の絶対値のピーク、絶対値の平均値、二乗平均値を示したのが、図9の(A),(B),(C)である。
この図を見ると、双方の位相差が0(又は30°)の場合に絶対値ピークと絶対値の平均値とが最小になり、二乗平均値は位相に関係なく一定となることが分かる。また、各図には、3極対と6極対のそれぞれで求めた値の和が別の線で示されており、いずれも複合させた場合の方が小さくなっていることが分かる。従って、電流を位相差が0となるように制御することが、スイッチング素子の容量・IGBT等の損失・抵抗の損失、全てに優位な条件といえる。
なお、この位相差については、回転子の磁界の磁気飽和を緩和する目的で用いるならば、上記の位相差0での構成を回転子の磁石に適用することが考えられる。位相差に関しては、このように目的によって最適の位相差があり、それぞれ設定されるものとする。
一方、6極対の磁石の組に対しては、6周期の正弦波を発生させるので、正弦波1周期を3分割した位置での電流指令値として求め、6相インバータの第1と第4相、第2と第5相、第3と第6相の指令値とする。この後、3極対と6極対の指令値それぞれを足し合わせ、6相インバータの指令値として電流制御を行う。このことで回転子がトルクを発生し回転する。
更に、そのときに流れる電流で発生する損失は、前述のように、複合された電流の絶対値平均・二乗平均共に、単独の平均値の和より減少しているため、損失は明らかに小さい。以上より、1つ分の体格のモータで略2つ分のトルクを発生しつつ、電流による損失はモータ2つ分より小さいという効果が得られる。
このように、そもそも磁石を配置しない領域(複合磁束を作るためには必要な磁束空白領域)に補助磁極を配置しているので、補助磁極の配置によるスペース効率が悪化することはない。つまり、複合磁束ロータと補助磁極モータの組み合わせは、補助磁極モータにおいて確保しなければならない磁石設置スペースが必然的に存在するので、補助磁極モータにとって不利となる点が構成上発生しないので、より効果的である。
(第2実施の形態)
つまり、モータ25には、ロータ26の磁石磁束合算による磁束減少部であるフラックスバリア部26aと見なされる部分の少なくとも一部を、この部分に隣接する磁石磁束合算による磁束増加部の方向に磁束が集中する角度に設置した磁石27a,27b(図10参照)から構成される第2の磁束発生部材としての磁石27に、置き換えている。
これにより、磁石27に一般的な形状の磁石を用いれば、磁石設置スペースを新たに確保することなく低コストでトルクを向上させることができ、或いは同等のトルクを少ない磁石量で発生させることができる。
(第3実施の形態)
図11は、この発明の第3実施の形態に係る電動機の回転子と固定子の構成を概略的に示し、(a)は磁石を表面配置した場合の断面説明図、(b)は磁石を埋め込み配置した場合の断面説明図である。図11に示すように、モータ30は、ロータ31の磁石磁束の合算による磁束の減少部であるフラックスバリア部(図5参照)を、第1の磁束発生部材の磁石磁束の合算による磁束の増加部方向に磁束が集中するような合成ベクトルが形成できるように、2つ以上の磁石32(第2、第3の磁束発生部材)を配置している。
そのため、本実施例では、第2の磁束発生部材としての磁石32a,32bの磁束と第3の磁束発生部材としての磁石32cの磁束との合成により形成された磁束が、半径方向成分の大きさが0以上であり、かつ、周方向成分の大きさが0より大きくなる。
これにより、磁石の表面積を稼げることから、磁石設置スペースを新たに確保することなくより一層、トルクを向上させることができ、或いは同等のトルクを少ない磁石量で発生させることができる。
(第4実施の形態)
つまり、モータ35には、ロータ36の磁石磁束合算による磁束減少部であるフラックスバリア部と見なされる部分の少なくとも一部を、この部分に隣接する磁石磁束の合算による磁束の増加部方向に磁束を集中させた磁石37a,37bと、両磁石37a,37bの外周側に位置するフラックスバリア部38に、置き換えている。
これにより、磁石の容易な配置で、且つ、一般的な形状の磁石を用いれば低コストで、磁石設置スペースを新たに確保することなくトルクを向上させることができ、或いは同等のトルクを少ない磁石量で発生させることができる。
上述したように、この発明に係る電動機は、周期が異なる二つの電流を複合した複合電流を固定子の巻線に供給し、複合電流を構成する一方の電流に対応する第1の磁束と、当該複合電流を構成する他方の電流に対応する第2の磁束とを合算した合算磁束を発生させる第1の磁束発生部材を備えた回転子を駆動する電動機において、半径方向に配置した異なる複数の磁極数に相当する合算磁束を発生させる回転子の、着磁方向が相反する異極同士が重なる部分に、隣接する前記第1の磁束発生部材の位置にある半径方向の磁束が増加するように磁束を発生させる第2の磁束発生部材を配置している。
また、着磁方向が相反する異極同士が重なる部分の少なくとも一部に配置する磁石(第2の磁束発生部材)の磁束を、一以上の着磁方向によって、第1の磁束発生部材と隣接する位置にある半径方向の磁束を増加させている。つまり、磁石磁束の合算による磁束の減少部であるフラックスバリア部の一部又は全部を、第1の磁束発生部材と隣接する位置にある半径方向の磁束が増加するように磁束を発生させる磁石(第2の磁束発生部材)に置き換えることで、簡易な磁石配置で、磁石設置スペースを新たに確保することなくトルクを向上させることができ、或いは同等のトルクを少ない磁石量で発生させることができる。
11,16,18,20,24,24A,26,31,32,36 ロータ
15 磁石(第1の磁束発生部材)
12,12a,12b,15,27,27a,27b,32a,32b,37,37a,37b,N1〜N3,S1〜S6 磁石(第2の磁束発生部材)
32c 磁石(第3の磁束発生部材)
14a スロット
14,21 ステータ
11a,20a,26a,31a,38 フラックスバリア部
22 コア
23 巻線
Claims (3)
- 周期が異なる二つの電流を複合した複合電流を固定子の巻線に供給し、前記複合電流を構成する一方の電流に対応する第1の磁束と、当該複合電流を構成する他方の電流に対応する第2の磁束とを合算した合算磁束を発生させる第1の磁束発生部材を備えた回転子を駆動する電動機において、
半径方向に配置した異なる複数の磁極数に相当する前記合算磁束を発生させる前記回転子の、着磁方向が相反する異極同士が重なる部分に、隣接する前記第1の磁束発生部材の位置にある半径方向の磁束が増加するように磁束を発生させる第2の磁束発生部材を配置したことを特徴とする電動機。 - 前記第1の磁束発生部材の半径方向における磁束の向きを該半径方向における正方向とし、
前記第1の磁束発生部材の半径方向における磁束の向きが前記回転子から前記固定子に向いている場合は前記第2の磁束発生部材から前記第1の磁束発生部材に向かう方向を周方向における正方向とし、前記第1の磁束発生部材の半径方向における該磁束の向きが前記回転子の中心に向いている場合は前記第1の磁束発生部材から前記第2の磁束発生部材に向かう方向を周方向における正方向としたときに、
前記第1の磁束発生部材に隣接配置された前記第2の磁束発生部材により形成された磁束は、半径方向成分の大きさが0以上であり、かつ、周方向成分の大きさが0より大きい請求項1に記載の電動機。 - 前記第2の磁束発生部材に隣接配置され、該第2の磁束発生部とともに前記第1の磁束発生部材の位置にある半径方向の磁束が増加するように磁束を発生させる合成磁束ベクトルを形成する第3の磁束発生部材をさらに有し、
前記第1の磁束発生部材の半径方向における磁束の向きを該半径方向における正方向とし、
前記第1の磁束発生部材の半径方向における磁束の向きが前記回転子から前記固定子に向いている場合は前記第2の磁束発生部材から前記第1の磁束発生部材に向かう方向を周方向における正方向とし、前記第1の磁束発生部材の半径方向における該磁束の向きが前記回転子の中心に向いている場合は前記第1の磁束発生部材から前記第2の磁束発生部材に向かう方向を周方向における正方向としたときに、
前記第1の磁束発生部材に隣接配置された前記第2の磁束発生部材の磁束と、前記第2の磁束発生部材に隣接した前記第3の磁束発生部材の磁束との合成により形成された磁束は、半径方向成分の大きさが0以上であり、かつ、周方向成分の大きさが0より大きい請求項1に記載の電動機。
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