JP5438960B2 - 絶縁シート - Google Patents

絶縁シート Download PDF

Info

Publication number
JP5438960B2
JP5438960B2 JP2008328048A JP2008328048A JP5438960B2 JP 5438960 B2 JP5438960 B2 JP 5438960B2 JP 2008328048 A JP2008328048 A JP 2008328048A JP 2008328048 A JP2008328048 A JP 2008328048A JP 5438960 B2 JP5438960 B2 JP 5438960B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
paper
resin composition
mpa
insulating sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008328048A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010153121A (ja
Inventor
靖之 木原
淳 藤木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Shinko Corp
Original Assignee
Nitto Shinko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Shinko Corp filed Critical Nitto Shinko Corp
Priority to JP2008328048A priority Critical patent/JP5438960B2/ja
Publication of JP2010153121A publication Critical patent/JP2010153121A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5438960B2 publication Critical patent/JP5438960B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Insulating Of Coils (AREA)
  • Insulating Bodies (AREA)

Description

本発明は、絶縁シートに関し、特には、回転電機のコアと巻線コイルと間、又は巻線コイルどうしの間の絶縁等に好適に用い得る絶縁シートに関する。
従来、モーターやジェネレーターなどの回転電機やトランスなどにおいてコアに巻き掛けられた状態で装着される巻線コイルとコアとの間、あるいは、相の異なる電流が流される巻線コイルどうしの間には、絶縁シートが介装されて絶縁信頼性を向上させることが行われている。
このような絶縁シートは、適度なコシと表面のすべり性が求められるような場合においては紙状のシートがその表面を構成する部材として用いられており、この紙状シートとしては、全芳香族ポリアミド繊維やポリエステル繊維などが用いられている。
例えば、下記特許文献1には、3層の積層構造を有する積層シートを絶縁シートに用いることが記載されており、芳香族ポリアミド樹脂系の樹脂組成物を介して紙状シートである全芳香族ポリアミド紙(アラミド紙)を2枚貼り合わせた積層シートが絶縁シートに好適に用いられることが記載されている。
この積層シートは、全芳香族ポリアミド紙が表面に配されていることによって優れたすべり性を有し、しかも、この全芳香族ポリアミド紙が芳香族ポリアミド樹脂系の樹脂組成物によって貼り合わされていることから優れた絶縁信頼性と耐熱性とを有し、特に自動車用モーターなど高負荷な用途における絶縁シートに好適に用いられうるものである。
ところで、絶縁シートは、通常、金属製の部材などの硬質な部材と接する状態で用いられるとともに狭小な箇所に介装された状態で用いられており、鋭角に折り曲げられた状態で用いられることが多いことから、この折り曲げによって裂けてしまうおそれを有している。
このような“裂け”が生じてしまうと、本来期待される絶縁性が発揮されなくなることから、従来、裂け難さの向上された絶縁シートが求められている。
しかし、全芳香族ポリアミド紙を用いた絶縁シートは、従来、折り曲げ等によって裂けてしまいやすく、裂け難さを向上させることが困難な状況となっている。
特開2006−321183号公報
本発明は、優れたすべり性を有するとともに裂け難さの向上された絶縁シートの提供を課題としている。
本発明は、前記課題を解決すべく、ポリフェニレンスルフィド繊維が用いられて形成された紙状シートどうしが樹脂組成物を介して貼り合わされてなり、折り曲げられた状態で回転電機のコアと巻線コイルとの間又は巻線コイルどうしの間の絶縁に用いられ、前記紙状シートが前記樹脂組成物よりも低弾性率で、該紙状シートの弾性率が1000MPa以上2000MPa以下であり、前記樹脂組成物は、芳香族ポリアミド樹脂と分子内にエポキシ基を有するエポキシ基含有フェノキシ樹脂とを含有し、含有される樹脂成分に占める前記エポキシ基含有フェノキシ樹脂の割合が30〜50質量%の内のいずれかで、且つ2000MPaを超え3000MPa以下の弾性率を有していることを特徴とする絶縁シートを提供する。
なお、本明細書中における“紙状シート”との用語は、狭義の“紙”を意図するものではなく、いわゆる“不織布”などと呼ばれるものまでをも含む広義の意味で用いている。
本発明によれば、繊維が用いられて形成された紙状シートが絶縁シートに用いられていることから、この紙状シートを表面に露出させることで優れたすべり性を絶縁シートに発揮させることができる。
しかも、本発明の絶縁シートは、この紙状シートが樹脂組成物を介して貼り合わされており、前記紙状シートが前記樹脂組成物よりも低弾性率であることから、絶縁シートに裂ける方向への応力が加えられた場合に、この紙状シートがその応力を緩和させるように作用して“裂け”が発生することを防止する。
すなわち、本発明によれば、優れたすべり性を有するとともに裂け難さの向上された絶縁シートを提供し得る。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について、説明する。
図1は、本実施形態における絶縁シートの断面図であり、この図にも示しているように本実施形態の絶縁シート1は、3層構造を有しており、二枚の紙状シート2がその表面側と裏面側との最外層に配され、この紙状シート2の間には樹脂組成物で形成された中間層3を有している。
本実施形態の絶縁シート1は、この二枚の紙状シート2が中間層3を形成している樹脂組成物によって貼り合わされて形成されたものであり、しかも、前記紙状シート2には、前記樹脂組成物よりも低弾性率なものが用いられて形成されている。
前記紙状シート2としては、弾性率が樹脂組成物よりも低弾性率となるように形成されているものであれば、特に限定されるものではないが、通常、合成繊維や天然繊維などが用いられて形成された弾性率が1000〜2000MPaのいずれかであり、10μm〜300μmのいずれかの厚みを有するものが好ましい。
紙状シート2の厚みが上記のような範囲内であることが好ましいのは、紙状シートの厚みが10μm未満の場合には、絶縁シート1に適度なコシや表面のすべり性を付与することが困難となるおそれがあり、300μmを超える厚みとしても、必要以上に絶縁シート1の厚みを増大させるばかりでなくコシが強くなりすぎるおそれを有するためである。
この紙状シート2の形成に用いられる繊維としては、全芳香族ポリアミド繊維、ポリエーテルスルフィド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アリレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの有機繊維や、ガラス繊維、ロックウール、アスベスト、ボロン繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維などの無機繊維が挙げられる。
また、絹、木綿などの天然繊維や、セルロースなどの半合成繊維などもアラミド紙の形成に用いられうる。
なお、紙状シートは、これらの繊維の内の1種類のみが用いられたものであっても良く、これらの内の複数種類のものが混抄されたものであってもよい。
なかでも、全芳香族ポリアミド樹脂繊維を主たる材料とした、いわゆる、“アラミド紙”などと呼ばれる紙状シートは、すべり性にも優れており好適である。
このアラミド紙としては、フェニレンジアミンとフタル酸との縮合重合物のごとく、アミド基以外がベンゼン環で構成された樹脂材料からなる繊維(全芳香族ポリアミド繊維)を主たる構成材として形成されたシート状物を用いることができる。
このアラミド紙としては、厚みが、50〜250μmのものが絶縁シート1に高い機械的特性を付与することができるとともに折り曲げ加工された際の保形性に優れることなどから紙状シート2として好適に用いられうる。
また、後述する中間層3に用いられる樹脂組成物にもよるが、通常、アラミド紙が紙状シート2として好適に用いられうる。
なお、アラミド紙などの紙状シートの“弾性率”は、JIS K7113における“引張弾性率”の測定方法に準じて求めることができ、例えば、幅15mm×長さ250mmの試料を作製し、チャック間180mmとなるように引っ張り試験機にセットして200mm/minの引張速度で引張り試験を実施し、得られる「引張応力−ひずみ曲線」の初めの直線部分を用いて、以下のようにして算出することができる。
Figure 0005438960
(ただし、「Δσ」は、「直線上の2点間の元の平均断面積による応力の差」であり、「Δε」は、「同じ2点間のひずみの差」である。)
アラミド紙やその他の紙状シートの弾性率を1000〜2000MPaとするためには、紙状シートを構成する繊維の密度や太さなどを調整する方法を採用することができる。
また、通常、アラミド紙などを製造する際には、カレンダー工程が行われているが、このときの条件を調整する方法を繊維の密度や太さなどを調整する方法に代えて、あるいは、これらの方法とともに採用することで1000〜2000MPaの弾性率を有する紙状シートを得ることができる。
なお、一般的に市販されているアラミド紙は、2500MPa以上の弾性率を有している。
したがって、1000〜2000MPaの弾性率を有するアラミド紙を得るためには、通常、カレンダー工程における温度や圧力を一般に市販されているアラミド紙の製造条件よりも低く設定してアラミド紙を作製する方法を採用することができる。
前記中間層3の形成に用いられる樹脂組成物は、前記紙状シート2を貼り合わせ可能で、しかも、紙状シート2よりも高い弾性率を有するものであれば特に限定されるものではなく、用いられる紙状シートとの親和性や特性のバランス等によって適宜選択されうる。
例えば、紙状シートにアラミド紙が用いられるような場合においては、その優れた特性が絶縁シート1に十分発揮されるべく、樹脂組成物にもアラミド紙に匹敵する高い耐熱性、耐加水分解性などを有することが好ましい。
このような点において、アラミド紙とともに絶縁シート1に用いられる樹脂組成物は、芳香族ポリアミド樹脂を含む樹脂組成物が好適である。
例えば、芳香族ポリアミド樹脂とエポキシ基含有フェノキシ樹脂とが含有されている芳香族ポリアミド樹脂組成物が中間層3を形成させる樹脂組成物として好適である。
この樹脂組成物に用いられる芳香族ポリアミド樹脂としては、例えば、ジアミンとジカルボン酸との脱水縮合により重合されたものが挙げられ、このジアミン及びジカルボン酸の何れかに芳香族系のものが用いられたものが挙げられる。
前記ジアミンとしては、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミンなどが例示され、脂肪族ジアミンあるいは脂環族ジアミンとしては、下記一般式(1)で表されるものの内、一種類を単独で、又は複数種類のものを混合して用いることができる。
なお、下記式中のR1は、Cn2n(n=6〜12)であらわされる脂肪族または脂環族のアルキルを示している。

2N−R1−NH2・・・(1)

このジアミンとしては、高温においても優れた特性を発揮させ得る点においてヘキサメチレンジアミン及び2−メチルペンタメチレンジアミンの混合物が好ましい。
また、芳香族ジアミンとしては、キシリレンジアミンなどを用いることができる。
前記ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などを用いることができ、脂肪族ジカルボン酸あるいは脂環族ジカルボン酸としては、下記一般式(2)で表されるものの内、一種類を単独で、又は複数種類のものを混合して使用することができる。
なお、下記式中のR2は、Cn2n(n=4〜25)で表される脂肪族または脂環族のアルキルを示している。
HOOC−R2−COOH・・・(2)
また、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などを用いることができる。
この芳香族ジカルボン酸としては、高温においても優れた特性を発揮させ得る点においてテレフタル酸とイソフタル酸を混合して使用することが特に好ましい。
前記芳香族ポリアミド樹脂としては、これらのジアミンとジカルボン酸とを、それぞれ単独の種類のものを用いて得られるものや、それぞれ、複数の種類のものを組み合わせて用いて得られるものが挙げられる。さらに、要すれば、ジアミンとジカルボン酸以外の成分が含まれていてもよい。
前記エポキシ基含有フェノキシ樹脂としては、下記一般式(3)で表されるものの内、一種類を単独で、又は複数種類のものを混合して使用することができる。
なお、式(3)の例示におけるR3、R4は、末端基を表し、少なくとも一方には、エポキシ基が導入されている。
Figure 0005438960
なお、このエポキシ基含有フェノキシ樹脂としては、通常、重量平均分子量(Mw)が40000〜80000のものを用いることができ、該重量平均分子量(Mw)は、GPC法により、例えば、下記条件にて測定される。
標準試薬:TSK標準ポリスチレン(A−500、A−2500、F−1、F−4、
F−20、F−128;東ソー社製)
溶媒 :THF
カラム :GF−1G7B+GF−7MHQ(昭和電工社製)
また、芳香族ポリアミド樹脂との良好なる相溶性を示し分散が容易となる点ならびにポリアミド樹脂組成物の流れ性を押出し加工などに適したものに調整し得る点において前記重量平均分子量(Mw)は50000〜60000であることが好ましい。
このような範囲が好ましいのは、重量平均分子量が50000未満の場合は射出成形、押出し−Tダイ成形などにおける気泡の巻き込みが多くなり、一般的な加工方法で良好な中間層3を形成することができなくなるおそれを有し、60000を超える場合は、流れ性が不足して成形性が低下するおそれを有するためである。
また、同じ配合量で芳香族ポリアミド樹脂組成物の流れ性をより効果的に調整し得る点、ならびに芳香族ポリアミド樹脂組成物の機械的特性を向上させ得る点から、エポキシ基含有フェノキシ樹脂としては、エポキシ当量が10000g/eq以上であることが好ましい。
エポキシ当量が10000未満の場合は射出、押出し−Tダイ成形における気泡の巻き込みが多くなり、一般的な加工方法で良好な中間層3を形成することができなくなるおそれを有する。
なお、前記エポキシ当量とはJIS K 7236により求められる値を意図している。
本実施形態の絶縁シート1における前記中間層3の形成に用いられる芳香族ポリアミド樹脂組成物としては、このような芳香族ポリアミド樹脂とエポキシ基含有フェノキシ樹脂との合計量に占める前記エポキシ基含有フェノキシ樹脂が30〜50質量%であることが好ましい。
芳香族ポリアミド樹脂組成物に配合されるエポキシ基含有フェノキシ樹脂の好ましい配合量がこのような範囲とされるのは、30質量%未満の場合には、芳香族ポリアミド樹脂組成物の流れ性を抑制する効果が得られにくく中間層3に気泡などが形成されやすくなる結果、絶縁シート1の信頼性を低下させるおそれを有するためである。
また、エポキシ基含有フェノキシ樹脂を、50質量%を超えて配合した場合には、芳香族ポリアミド樹脂の優れた耐熱性、吸湿性などの特性が損なわれ絶縁シート1に経時劣化を発生させやすくなって信頼性を低下させるおそれを有する。
また、このような点に加え芳香族ポリアミド樹脂組成物の伸びや引張り強さなどの物理特性を高め得るにおいて、エポキシ基含有フェノキシ樹脂の配合量は、35質量%を超え45質量%以下であることが、さらに好ましい。
また、芳香族ポリアミド樹脂組成物には、芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂以外の成分を配合することも可能である。
例えば、アルキルフェノール樹脂、アルキルフェノール−アセチレン樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、ロジンなどの粘着付与剤、ポリブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素化合物、塩素化パラフィン、パークロロシクロデカンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステルなどのリン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物、または三酸化アンチモン、ホウ素化合物などの難燃剤、フェノール系、リン系、硫黄系の酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などの一般的なプラスチック用配合薬品や、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、酸化アルミ、酸化マグネシウム、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウムといった無機フィラーなどが挙げられる。
また、特にナノメーターレベル粒径のモンモリロナイトもしくは0.6mmのケブラーを、芳香族ポリアミド樹脂組成物100重量部に対して0.1〜5重量部入れることにより樹脂強度を、例えば、3倍以上に向上させることもできる。
さらに、トリアリルイソシアネート、テトラ−n−ブトキシチタン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアネートの何れかを芳香族ポリアミド樹脂組成物100重量部に対して0.1〜5重量部入れることにより樹脂強度を、例えば、3倍以上に向上させることもできる。なお、このトリアリルイソシアネートとしては、日本化成社から「TAIC」の商品名で市販のもの、テトラ−n−ブトキシチタンとしては、日本曹達社から「B−1」の商品名で市販のもの、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアネートとしては、日産化学社から商品名「TEPIC−G」で市販のものなどを例示できる。
これらの配合物を用いて中間層3を形成させる芳香族ポリアミド樹脂組成物を得るには、ニーダー、加圧ニーダー、混練ロール、バンバリーミキサー、二軸押し出し機など一般的な混合手段を用いることができる。
この芳香族ポリアミド樹脂組成物は、1000〜2000MPaの弾性率を有するアラミド紙が前記紙状シート2に用いられる場合には、2000MPaを超え、3000MPa以下の弾性率となるようにその配合が調整されていることが好ましい。
また、紙状シート2に50〜250μmの厚みのアラミド紙が用いられる場合には、この芳香族ポリアミド樹脂組成物によって形成される中間層3は、1〜400μmの厚みに形成されることが好ましい。
この紙状シートと樹脂組成物とを用いて絶縁シートを形成するには、例えば、一枚の紙状シートの上に樹脂組成物を熱溶融させるかあるいは溶剤に溶解させるかして塗工し、もう一方の紙状シートを重ね合わせることにより、樹脂組成物を介して2枚の紙状シートを貼り合わせる方法を採用することができる。
また、前記紙状シートを上記例示のアラミド紙に代えて、ポリフェニレンスルフィド繊維が用いられてなる紙状シートとすることで、アラミド紙が用いられた場合と同様に優れた表面すべり性ならびに耐熱性を絶縁シートに付与させることができる。
このポリフェニレンスルフィド繊維が用いられてなる紙状シートもアラミド紙と同様に、繊維密度や繊維太さ、カレンダー条件などによって1000〜2000MPaの弾性率となるように調整することができる。
また、アラミド紙が用いられた場合と同様に前記芳香族ポリアミド樹脂組成物を熱溶融させるかあるいは溶剤に溶解させるかしてポリフェニレンスルフィド繊維が用いられてなる紙状シートどうしを貼り合わせて絶縁シートを形成させることができる。
なお、例えばシートを二つ折りにした場合には、折り目となる箇所に折り目と略直交する方向への張力が発生し、このシートが厚み方向に均質なものである場合には、通常、折り目の外側に位置する部分の方が内側に位置する部分よりも伸長度合いが高くなる。
このとき外側表面に加わる張力が部材の破断応力を超えた場合に表面にクラックが生じ、そのクラックが厚み方向に進展してシートが裂けてしまうこととなる。
このことについて表裏両面がより弾性率の高い素材で構成された場合、すなわち、本発明の絶縁シートとは、弾性率の関係が逆となるシートを例に考えると、折り目の最も伸長されやすい箇所が高い弾性率の素材で形成されていると、シートに加わる張力を外表面側に集中させることとなりシートが裂け易い状態となってしまう。
一方で、本実施形態の絶縁シートのごとく表裏両面が中間層よりも弾性率の低い紙状シートで形成されている場合には、シートに加わる張力が、主として折り目の外側に位置する紙状シートと中間層との界面部に作用することとなるが、この界面部に加わる張力は、紙状シートの弾性変形によって緩和された状態となっており、この応力緩和作用によって、折り曲げ時などにおける“裂け”の発生が抑制される。
しかも、本実施形態の絶縁シートには紙状シートが用いられていることから、適度なコシと優れたすべり性が付与されており、しかも、本実施形態の絶縁シートは、従来の絶縁シートに比べて裂け難さが向上されていることから狭小な箇所に介挿されて用いられるような場合により顕著にその有効性が発揮される。
例えば、モーターやジュネレーターなどの回転電機のコアと巻線コイルとの間や、相の異なる巻線コイル間の絶縁に用いられる場合のように複雑に曲折された状態で配されるような用途に好適に用いられうる。
なお、本実施形態においては、詳述していないが従来公知の絶縁シートに採用されている技術事項を本発明の絶縁シートにも本発明の効果を著しく損ねない範囲において採用することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(紙状シート)
絶縁シートに用いる紙状シートとしては、下記の3通り(紙状シート1〜3)のものを用意した。
・紙状シート1:
厚み約50μmで、約3000MPaの弾性率を有している市販のアラミド紙
・紙状シート2:
紙状シート1の製造条件(カレンダー条件等)を調整することにより弾性率を約2000MPaとさせたもの(厚みは、約50μm)
・紙状シート3
全芳香族ポリアミド繊維の繊維密度を粗くして弾性率を約1200MPaとさせたもの(厚みは、約50μm)
・紙状シート4
ポリフェニレンスルフィド繊維を用いて厚み約50μmに形成されており、前記ポリフェニレンスルフィド繊維の繊維密度によって弾性率が約1500MPaに調整されたもの。
・紙状シート5
ポリフェニレンスルフィド繊維を用いて厚み約50μmに形成されており、前記ポリフェニレンスルフィド繊維の繊維密度によって弾性率が約1000MPaに調整されたもの。
(中間層:樹脂組成物)
絶縁シートの中間層の形成に用いる樹脂組成物としては、下記の2通りの配合(配合1、2)のものを用意した。
・配合1:
ポリアミド樹脂組成物として、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、テレフタル酸の3元重合された芳香族ポリアミド樹脂と、重量平均分子量約52000の末端エポキシ化されたフェノキシ樹脂(エポキシ基含有フェノキシ樹脂)とを配合し、しかも、シート状に形成させた際の弾性率が約2500MPaとなるように配合割合を調整した樹脂組成物。
・配合2:
ポリアミド樹脂組成物として、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、テレフタル酸の3元重合された芳香族ポリアミド樹脂と、エラストマー成分とを配合し、しかも、シート状に形成させた際の弾性率が約2300MPaとなるように配合割合を調整した樹脂組成物。
(絶縁シートの作製)
(比較例1)
配合1の樹脂組成物を加熱溶融して2枚の紙状シート1を貼り合わせて比較例1(紙状シート1の弾性率(3000MPa)>配合1の弾性率(2500MPa))の絶縁シートを作製した。
なお、このとき、配合1の樹脂組成物によって約70μmの厚みの中間層が形成されるように紙状シートの貼り合わせを行った。
(比較例2)
配合1の樹脂組成物に代えて配合2の樹脂組成物を用いたこと以外は、比較例1の絶縁シートと同様に比較例2(紙状シート1の弾性率(3000MPa)>配合2の弾性率(2300MPa))の絶縁シートを作製した。
参考例1)
紙状シート1に代えて紙状シート2を用いること以外は比較例1の絶縁シートと同様に参考例1(紙状シート2の弾性率(2000MPa)<配合1の弾性率(2500MPa))の絶縁シートを作製した。
参考例2)
配合2の樹脂組成物を用いたこと以外は、参考例1の絶縁シートと同様に参考例2(紙状シート2の弾性率(2000MPa)<配合2の弾性率(2300MPa))の絶縁シートを作製した。
参考例3)
紙状シート3を用いたこと以外は、参考例1の絶縁シートと同様に参考例3(紙状シート3の弾性率(1200MPa)<配合1の弾性率(2500MPa))の絶縁シートを作製した。
参考例4)
紙状シート3を用いたこと以外は、参考例2の絶縁シートと同様に参考例4(紙状シート3の弾性率(1200MPa)<配合2の弾性率(2300MPa))の絶縁シートを作製した。
(実施例5)
紙状シート4を用いたこと以外は、参考例1の絶縁シートと同様に実施例5(紙状シートの弾性率(1500MPa)<配合1の弾性率(2500MPa))の絶縁シートを作製した。
参考例6)
紙状シート5を用いたこと以外は、参考例2の絶縁シートと同様に参考例6(紙状シー
の弾性率(1000MPa)<配合2の弾性率(2300MPa))の絶縁シートを作製した。
(“裂け”評価)
各実施例、比較例、参考例の絶縁シートについて、紙状シートのカレンダー方向(MD方向)と該カレンダー方向と直交する方向(TD方向)における端裂強度を「JIS C2111.11.2 B法」によって測定した。
結果を下記表1に示す。
Figure 0005438960
この表1からも本発明の絶縁シートが裂け防止に有効であることがわかる。
一実施形態の絶縁シートを示す概略断面図。
符号の説明
1:絶縁シート、2:紙状シート、3:中間層(樹脂組成物)

Claims (1)

  1. ポリフェニレンスルフィド繊維が用いられて形成された紙状シートどうしが樹脂組成物を介して貼り合わされてなり、折り曲げられた状態で回転電機のコアと巻線コイルとの間又は巻線コイルどうしの間の絶縁に用いられ、前記紙状シートが前記樹脂組成物よりも低弾性率で、該紙状シートの弾性率が1000MPa以上2000MPa以下であり、前記樹脂組成物は、芳香族ポリアミド樹脂と分子内にエポキシ基を有するエポキシ基含有フェノキシ樹脂とを含有し、含有される樹脂成分に占める前記エポキシ基含有フェノキシ樹脂の割合が30〜50質量%の内のいずれかで、且つ2000MPaを超え3000MPa以下の弾性率を有していることを特徴とする絶縁シート。
JP2008328048A 2008-12-24 2008-12-24 絶縁シート Expired - Fee Related JP5438960B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008328048A JP5438960B2 (ja) 2008-12-24 2008-12-24 絶縁シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008328048A JP5438960B2 (ja) 2008-12-24 2008-12-24 絶縁シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010153121A JP2010153121A (ja) 2010-07-08
JP5438960B2 true JP5438960B2 (ja) 2014-03-12

Family

ID=42572007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008328048A Expired - Fee Related JP5438960B2 (ja) 2008-12-24 2008-12-24 絶縁シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5438960B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5695937B2 (ja) * 2011-03-01 2015-04-08 日東シンコー株式会社 モータ用絶縁シート
JP5964627B2 (ja) * 2011-04-18 2016-08-03 日東シンコー株式会社 電気絶縁用立体形状物及び電気絶縁性シート材
CN103608873B (zh) * 2011-06-07 2016-12-14 3M创新有限公司 嵌套式屏蔽带状电缆
JP5458137B2 (ja) 2012-03-29 2014-04-02 日東電工株式会社 電気絶縁性樹脂シート
JP2013232463A (ja) * 2012-04-27 2013-11-14 Hitachi Ltd 静止誘導電器
JP6017948B2 (ja) * 2012-12-14 2016-11-02 東芝産業機器システム株式会社 コイル
JP6431316B2 (ja) * 2014-08-26 2018-11-28 日東シンコー株式会社 モーター用絶縁シート
KR101721581B1 (ko) * 2016-02-15 2017-03-31 주식회사 비에스피 접이식 자성플레이트와 이것의 제조장치 그리고 이것의 제조방법

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6244914A (ja) * 1985-08-23 1987-02-26 山陽国策パルプ株式会社 耐熱性電気絶縁シ−ト

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010153121A (ja) 2010-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5438960B2 (ja) 絶縁シート
JP4875855B2 (ja) 積層シート
JP5448442B2 (ja) 絶縁シート
JP6431316B2 (ja) モーター用絶縁シート
TW200823932A (en) Insulated wires for use in electronic equipment
WO2013019715A1 (en) Laminates useful for electrical insulation
US8658898B2 (en) Resin composition for heat-resistant electrical wire, and heat-resistant electrical wire
JP6487808B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JP5964627B2 (ja) 電気絶縁用立体形状物及び電気絶縁性シート材
JP4681612B2 (ja) 絶縁ラミネートおよびかかるラミネートを含む電気機器
JP4852262B2 (ja) 樹脂組成物
JP6438271B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JP2017048377A (ja) レーザーダイレクトストラクチャリング用ポリエステル系樹脂組成物
CN111234359A (zh) 一种耐裂塑料编织袋
CN103347937A (zh) 电绝缘性树脂片
JP2006219626A (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、およびこれを成形してなる成形品
JP2016173882A (ja) 絶縁シート
JP5022742B2 (ja) 自己融着性シリコーンゴムシート及び自己融着性シリコーンゴムシートの製造方法
JP2008050597A (ja) 熱接着用基材、およびそれを用いたプリフォーム
EP3835359A1 (en) Thermoplastic polyester resin composition and molded article thereof
JP7373504B2 (ja) 高耐熱性熱可塑性樹脂組成物及び、その成形物
US10982088B2 (en) Polymer composition comprising poly(butylene terephthalate)
JPH09208813A (ja) 強化ポリエステル系ブロック共重合体組成物およびその製造方法
TW202348682A (zh) 熱熔解層合造形用之熱塑性樹脂組成物、造形體及其製造方法
JP2009040840A (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いた樹脂成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111207

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20130805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130809

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5438960

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees