以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。以下の各実施形態によるレーザリペア装置は、レーザ光の断面形状を、複雑な形状の照射領域に対応して整形できる空間変調デバイスを利用しており、CCDカメラ等の画像入力部から入力される画像を処理し、画像処理の結果を用いて、リペア対象となる箇所の状況を推定し、推定した結果に基づいて効率よく、かつ正確にリペア処理を行うことを実現する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるレーザリペア装置の構成を示している。本実施形態では、レーザ光の整形を行う空間変調デバイスとして、複数の微小ミラー(微小デバイス)が1次元または2次元方向に配列された微小デバイス群を有するデジタルマイクロミラーデバイス(以下DMDと称す)を利用する。また、レーザ光照射時におけるDMDの制御に関しては、DMDを構成する微小ミラーの角度を変更することで照射の有無を制御するものとする。
XYステージ1上には、被検査対象としてLCDのガラス基板2(被検査基板)が載置されている。被検査対象は、半導体ウェハ、プリント基板、LCD用カラーフィルタ、パターンマスク等、微細なパターンが形成された基板であれば何でもよく、本実施形態においては一例としてLCDのガラス基板であるとする。XYステージ1は、移動駆動制御部3が行う駆動制御によってXY方向に移動する。
移動駆動制御部3には基板検査装置4が接続されている。基板検査装置4は、例えばパターン検査装置であり、ガラス基板2に対する欠陥検査を行い、ガラス基板2上の欠陥部の座標、大きさ、欠陥の種類などを含む検査結果データを作成したり、検査に必要な情報を検査条件読取部26に伝送したり等の処理を行う。移動駆動制御部3は基板検査装置4から検査結果データを受け取り、この検査結果データ中の各欠陥部の座標データに従って、XYステージ1のXY方向の移動を制御し、ガラス基板2上の各欠陥部をリペア位置L、すなわち後述するリペア用光源14から出射されるリペア光rの照射位置に自動的に位置決
めする。
照明光源5は、ガラス基板2を照明するための照明光を出射する。照明光の光路上には、リレーレンズ6を介してビームスプリッタ7が設けられている。ビームスプリッタ7の反射光路上にビームスプリッタ8を介して対物レンズ9が設けられている。対物レンズ9、ビームスプリッタ7、およびビームスプリッタ8を通る光軸pの延長上には、リレーレンズ10を介してCCDカメラ11(撮像手段)が設けられている。CCDカメラ11は、リレーレンズ10および対物レンズ9を通してガラス基板2を撮像し、画像情報を生成して出力する。
画像処理部12(画像処理手段)は、CCDカメラ11から出力された、画像情報としての欠陥画像データを取得し、さらに、検査条件読取部26から検査に必要な情報を取得する。検査条件読取部26から取得する情報としては、例えば正常状態の被検査対象からなる基準画像データ等である。基準画像データは、例えば特開2005−10042号公報に記載の方法によって作成されたものである。画像処理部12は、この欠陥画像データと基準画像データとを比較して得られる差画像データから、ガラス基板2上の欠陥部を抽出し、2値化処理を行って、欠陥形状を示す欠陥抽出画像データを作成する。また、画像処理部12は、欠陥画像データまたは差画像データから欠陥部の輪郭を求めて、欠陥形状を示すデータを作成することもできる。欠陥画像データ、欠陥抽出画像データ、またはそれらから求められた、レーザ光の照射領域の形状を示す欠陥形状画像データはモニタ13(画像表示手段)に表示される。
リペア用光源14(レーザ光源)は、ガラス基板2の欠陥部をリペアするためのレーザ光rを出射する。リペア用光源14としては、例えば波長355nmの1ショットのレーザ光rを出射するYAGレーザ発振器が用いられる。また、リペア用光源14は、画像処理部12から出力される情報(後述する、照射時のレーザ光の設定を示すレーザ光源設定情報)を受けて、レーザ光rのパワー(単位面積当たりのエネルギー強度等)を任意の値に設定する、または予め決められた値から選択する等といった制御ができるようになっており、本発明のレーザ光整形手段の一部を構成している。
リペア用光源14から出射されるレーザ光rの光路上には、ミラー15を介してDMDユニット16(レーザ光整形手段、空間変調デバイス)が設けられている。DMDユニット16は、図2に示されるようなDMD17(微小デバイス)を複数、図3に示されるように2次元に縦横方向に配列して構成されている。DMD17は、図2に示されるように、駆動用メモリセル18の上部に微小ミラー19が、例えば角度±10°と0°(水平)にデジタル制御可能に設けられている。
DMD17は、各微小ミラー19と駆動用メモリセル18との間のギャップに働く電圧差
によって起こる静電引力によって角度±10°と0°に高速に切り替えられるものであり、例えば特開2000−28937号公報に開示されたものが知られている。微小ミラー19の回転は、例えばストッパにより角度±10°に制限されており、駆動用メモリセル18の“ON”で角度±10°に回転し、“OFF”で水平角度0°に復帰する。なお、微小ミラー19は、例えば半導体製造技術を用いて数μm〜数十μmオーダの矩形状に形成されたマイクロミラーであり、駆動用メモリセル18上に、図3に示されるように微小ミラー19を2次元に配列することでDMDユニット16が構成される。
DMDユニット16の基準反射面16a(各微小ミラー19の角度が0°のときの反射面)は、入射光軸に対するレーザ光rの出射角をθiに設定し、各微小ミラー19が“ON”で角度+10°に傾いたとき、レーザ光rの出射角をθoに設定するように、XY平面に対して傾斜角θaに傾斜している。基準反射面16aは、ミラー15や、リレーレンズ20、ビームスプリッタ8等の配置位置の関係から、レーザ光rの入射角光軸に対する反射角をθoに設定するために傾斜角θaに傾斜している。DMDユニット16は、レーザ光rの入射方向や出射方向に応じて、基準反射面16aの傾斜角θaをXYθ方向に調整可能な支持台16bに取り付けられている。
レーザ光rの出射角θoは、例えば駆動用メモリセル18を“ON”にしたときの各微小ミラー19の回転角度+10°で決まる。出射角θoで出射されるレーザ光rは、リレーレンズ20を介してビームスプリッタ8に入射する。また、駆動用メモリセル18を“OFF”にすれば、レーザ光rはh方向に反射し、リレーレンズ20を介してビームスプリッタ8に入射しない。なお、リペア用光源14から出射されたレーザ光rは、ミラー15で反射してDMDユニット16に入射角θiで入射しているが、ミラー15をなくして、リペア用光源14から出射されたレーザ光rを直接DMDユニット16に入射させてもよい。リペア用光源14とミラー15の光路中に挿脱可能に設けられたミラー24を介して、可視光を照射して照射範囲を事前に確認するためのリペア位置確認用光源25が設けられている。
このような構成の光学系において、ガラス基板2からビームスプリッタ8を介してCCDカメラ11が配置されると共に、ガラス基板2からビームスプリッタ8を介してDMDユニット16が配置されており、これらCCDカメラ11とDMDユニット16の配置位置は、ガラス基板2に対して共役な位置関係になっている。レーザ形状制御部21(空間変調デバイス制御手段)は、画像処理部12によって作成されたガラス基板2の各欠陥部の欠陥形状画像データを読み取り、この欠陥形状画像データに対応して、レーザ光を照射する領域に配置されているDMDユニット16の各微小ミラー19の駆動用メモリセル18を“ON”にし、他の領域に配置されている各微小ミラー19の駆動用メモリセル18を“OFF”にする制御情報をDMDドライバ22(空間変調デバイス制御手段)に出力する。
レーザ形状制御部21には、画像処理部12によって作成された欠陥形状画像データにおいて、例えば欠陥部に対して全欠陥領域を抽出できなかったり、または正常な領域を欠陥部として誤抽出したりした場合に、これら抽出された欠陥部の領域をマニュアルで修正するレタッチ部23が接続されている。レタッチ部23は、描画ツールを用いたマニュアル操作により、抽出できなかった欠陥領域を領域設定して欠陥部として登録し、または欠陥部として誤抽出した領域を領域設定して正常な領域として登録する。レタッチ部23の操作によって、ガラス基板2の欠陥部にレーザ光rの断面形状を一致させるために、支持
台16bをXYθ方向に微動制御することも可能である。DMDドライバ22は、レーザ形状制御部21から送出された制御情報に従って、DMDユニット16の各駆動用メモリセル18を“ON”および“OFF”に駆動する。
画像処理部12は、ガラス基板2の欠陥部にレーザ光rを照射してリペアした後に、CCDカメラ11から同一位置の画像データを取得し、この画像データと、検査条件読取部26から取得した基準画像データとを比較して得られる差画像データから、欠陥部のリペアが完全であるか否かを判断することも行う。この判断の結果、リペアが不完全であった場合には、画像処理部12はリペア後の差画像データから欠陥部の欠陥形状画像データを再度作成する。レーザ形状制御部21は、再度画像処理部12によって作成された欠陥形状画像データを読み取り、この欠陥形状画像データに対応するDMDユニット16の各微小ミラー19の駆動用メモリセル18を“ON”にする。
次に、図4を参照して、画像処理部12の構成を説明する。CCDカメラ11から出力された欠陥画像データaaと、検査条件読取部26から出力された基準画像データbbは欠陥抽出部31に入力される。欠陥抽出部31は、最初に欠陥画像データaaと基準画像データbbのそれぞれのパターンを利用した照合処理(パターンマッチング)により位置合わせを行う。位置合わせができたところで、欠陥抽出部31は欠陥画像データaaと基準画像データbbのそれぞれの明るさ(輝度)を合わせる。輝度合わせができたところで、欠陥抽出部31は両者を比較して、差画像データ(各画素における輝度差の絶対値からなる画像)を生成する。
続いて、欠陥抽出部31は、差画像データに関して、輝度差の絶対値が閾値Th1(例えば画像データが256階調からなる場合、Th1=30等とする)以上である部分は、基準画像データbbと欠陥画像データaaが異なる、すなわち欠陥画像データ上の欠陥部であるという判断に基づいて、領域が欠陥部か否かを示す、あるいは言い換えると、欠陥の形状を示す欠陥抽出画像データccを生成して出力する。例えば、図5(a)に示される欠陥画像データaaと、図5(b)に示される基準画像データbbとから、図5(c)に示す欠陥抽出画像データccが生成される。
欠陥状態判定部32には、欠陥画像データaa、基準画像データbb、および欠陥抽出部31から出力された欠陥抽出画像データccが入力される。欠陥状態判定部32は、これらの画像データから、欠陥がどのような種類であるか(例えば異物の巻き込みなのか、レジストパターンの膜残りなのか等)、欠陥がどのような形状をしているか、欠陥がどのような位置にあるか(例えば異なる電位間でショートを起こしているか、どの電位にも接触せずに孤立しているのか等)、リペア処理が必要であるか否か等といった、欠陥の特徴を示す項目に関して判断を行う。その結果として、欠陥状態判定部32は、欠陥を含む照射対象領域の特徴および状態を示す照射対象画像データddおよび欠陥判定情報eeを出力する。照射対象画像データddは、欠陥画像における照射対象の領域を画像で示したものであり、欠陥判定情報eeは、欠陥の状態を、画像ではない情報で示したものである。
例えば、図5(a)〜(c)から、図6(a)に示される照射対象画像データddは次のように生成される。欠陥部は、画像の中央付近で異なる電位を持つ長方形のレジストパターンの間、および異なる電位を持つ横方向のバスラインの間でそれぞれ電気的なショートを起こしているので、リペア対象と判断される。また、欠陥部には本来存在すべきレジストパターンやバスラインも含まれることから、これらにはレーザ照射をしないようにするため、図6(a)は、欠陥部のうち正常なレジストパターンや、バスラインにある部分を取り除いたものとなる。欠陥判定情報eeの詳細は後述する。
照射条件設定部33には、欠陥状態判定部32から出力された照射対象画像データddおよび欠陥判定情報eeが入力される。照射条件設定部33は、被検査対象に対するレーザ光の照射条件を決定する。照射条件とは具体的には、レーザ光の照射回数、およびそれぞれの照射に対応した照射の形状、レーザ光のパワー、レーザ光の発振周期である。例えば欠陥が、異なる電位間でショートしている位置にあり、「レジスト膜残り」である場合には、レーザ光のパワーがあまりなくても欠陥を除去できる。この場合、照射回数を2回、レーザ光のパワーを5段階レベルの3(中間レベル)、レーザ光の発振周期を3Hz(1秒間にレーザ光を3回照射するの意)として、さらに1回目の照射では欠陥部全体に対してレーザ光を照射するような形状にし、2回目の照射では欠陥部の外側輪郭にかかる部分を照射するような形状にするといった照射条件にする。
このように、照射対象の状態を考慮した上でレーザ光の照射条件が決定されるため、常に同じ照射条件でレーザ光が照射される従来の方法と比較して、少ない照射回数で済ませることができるものは照射回数を少なくする、照射の度に照射する領域を狭めていく、レーザ光のパワーを小さくする等といった効率化を図ることができる。そして、照射条件設定部33は、照射の形状を画像データで示す欠陥形状画像データff、および照射時のレーザ光の設定を示すレーザ光源設定情報ggをそれぞれ出力する。欠陥形状画像データffはレーザ形状制御部21へ、レーザ光源設定情報ggはリペア用光源14へそれぞれ送られる。
例えば、図6(a)に示される照射対象画像データddから、照射回数を2回としたときの欠陥形状画像データffは、1回目の照射時には図6(b)に示される画像データで、2回目の照射時は図6(c)に示される画像データでそれぞれ表される。ここで、図6(b)では、照射対象となる領域全体に対してレーザ光を照射するようにしているのに対して、図6(c)では、電気的なショートを引き起こしている箇所、すなわちレジストパターンやバスラインの周辺部にレーザ光を照射するようにして、レジストパターンやバスラインから離れた位置には照射しないようにしている。図6(c)は、電気的なショートを確実にリペアすることを狙いとしている。
画像処理部12で扱われる画像データのうち、欠陥画像データaa、欠陥抽出画像データcc、および欠陥形状画像データffは、セレクタ34を介して、モニタ表示情報hhとしてモニタ13へ出力され、それらの画像データに基づいた画像をモニタ13に表示できるようになっている。セレクタ34は、図示しないマニュアルのスイッチにより、表示する画像データを選択する、または新たに生成された画像データが入力された際に自動的にモニタ13に画像が表示されるようにする等の動作を行う。さらに、セレクタ34で選択される画像データは必ずしも1つである必要はなく、例えば欠陥画像データaaに対して、欠陥抽出画像データccや欠陥形状画像データffを重ねてスーパーインポーズ表示できるようにモニタ表示情報hhが生成されるとしてもよい。
次に、図7を参照して、画像処理部12の動作を説明する。CCDカメラ11から欠陥画像データaaが、検査条件読取部26から基準画像データbbが欠陥抽出部31および欠陥状態判定部32に入力される。欠陥抽出部31は最初に欠陥画像データaaと基準画像データbbの画面上位置および明るさを合わせたところで、差画像データ(各画素における輝度差の絶対値からなる画像)を生成する(ステップS701)。続いて、欠陥抽出部31は、差画像データの各画素の輝度差と、欠陥抽出部31の説明で示した欠陥抽出のための閾値Th1とを比較して、2値の欠陥抽出画像データccを生成し、欠陥状態判定部32へ出力する(ステップS702)。欠陥抽出画像データccは、図5(c)に示されるように、欠陥部、すなわち差画像の画素値が閾値Th1以上の画素は白画素となり、欠陥部以外、すなわ
ち差画像の画素値が閾値Th1より小さい画素は黒画素となる。
続いて、欠陥状態判定部32は、欠陥抽出画像データccに基づいて、欠陥部が存在するか否かを判断する(ステップS703)。ステップS703の判断基準は、単に欠陥部を示す白画素が存在するか否かというだけではなく、白画素が連結している箇所の面積が所定の値以上か否かといったものが含まれる。欠陥部が存在しないと判断されると、処理はステップS709に進み、欠陥部が存在すると判断されると、処理はステップS704に進む。
ステップS703において、欠陥部が存在すると判断された(YES)場合、欠陥状態判定部32は欠陥抽出画像データccと、基準画像データbbに付随するパターン領域データとを比較して、欠陥部に接触するパターン領域数を算出する(ステップS704)。パターン領域データは、修正対象となる(=最新の製造工程で生成された)パターンの領域を2値画像で示したものであり、例えば基準画像データbbが図8(a)の場合なら、図8(b)のように設定される。
図8(b)に示されるパターンで構成される領域(黒領域)が、修正対象となるパターン領域である。このパターン領域は、異なる電位を持つ箇所が異なる領域となるように設定されている。すなわち、欠陥部が異なるパターン領域に跨って存在する場合、本来なら電位差がある場所に同じ電流が流れるために電気的なショートを引き起こすということになる。したがって、既に位置合わせが行われた欠陥画像データaaと基準画像データbbに基づいて、欠陥部とパターン領域の位置関係が分かることを利用して、電気的なショートを引き起こすか否かを判断するためにステップS704の処理が行われる。
例えば、図8(c)のような欠陥画像データに対しては、図9(a)に示されるように、欠陥部901とパターン領域をスーパーインポーズさせると、欠陥部901はどのパターン領域にも接触していないことから、この場合には、接触するパターン領域数は0となる。また、図9(b)のような欠陥画像データに対しては、図9(c)に示されるように、欠陥部902とパターン領域をスーパーインポーズさせると、欠陥部902は、画面中
央に存在する2つの電極パターン903aおよび903b、各電極パターンの間にあるバスライン904にかかっていることから、この場合、接触するパターン領域数は3となる。
欠陥状態判定部32は以下のようにしてパターン領域数を算出する。欠陥状態判定部32は、欠陥抽出画像データccから欠陥部の個数“Nc1”を、また、パターン領域データからパターン領域の個数“Np1”をそれぞれ求める。続いて、欠陥状態判定部32は、欠陥抽出画像データccを白黒反転させたデータ(=欠陥部を黒画素にしたもの)とパターン領域データの論理積をとり、その結果に対して黒領域の個数“Nb1”を求める。そして、欠陥状態判定部32は、(1)式を用いて、接触するパターン領域数“Nt1”を算出する。
Nt1=(Nc1+Np1)−Nb1 ・・・(1)
例えば図8および図9において、図8(b)からパターン領域の個数“Np1”は16である。また、欠陥画像データが図8(c)の場合および図9(b)の場合はどちらも1個の欠陥であるから、欠陥部の個数“Nc1”は両者の場合とも1である。このことを踏まえてパターン領域数“Nt1”を算出する。
欠陥画像データが図8(c)の場合は、欠陥抽出画像データccの白黒反転と、図8(b)に示されるパターン領域データの論理積の結果が図9(a)の白以外の領域で示されることから、白以外の領域(=黒領域に相当)の個数“Nb1”は17となる。したがって、パターン領域数“Nt1”は(Nc1+Np1)−Nb1=(1+16)−17=0となる。
一方、欠陥画像データが図9(b)の場合は、欠陥抽出画像データccの白黒反転と、図8(b)に示されるパターン領域データの論理積の結果が図9(c)の白以外の領域で示されることから、白以外の領域(=黒領域に相当)の個数“Nb1”は14となる。したがって、パターン領域数“Nt1”は(Nc1+Np1)−Nb1=(1+16)−14=3となる。
ステップS704の処理が終わると、欠陥状態判定部32は、接触するパターン領域数が1より大きいか否かを判定する(ステップS705)。接触するパターン領域数が1より大きい場合には、処理はステップS706に進み、1以下の場合には処理はステップS709に進む。
例えば図8および図9において、欠陥画像データが図8(c)のときには、パターン領域数“Nt1”は0であるから、ステップS705では“NO”となり、次の処理はステップS709となる。また、欠陥画像データが図9(b)のときには、パターン領域数“Nt1”は3であるから、ステップS705では“YES”となり、次の処理はステップS706となる。
接触するパターン領域数が1より大きいとは、電気的なショートが起こることを示す。本実施形態では、被検査対象の機能に対して異常を起こす箇所を修正領域としているために、ステップS705のような判断を行っているが、さらに厳しい条件として、パターンの形状を維持する目的で修正領域を設定するのであれば、ステップS705の判断基準を「接触するパターン領域数が1以上か否か」、すなわち欠陥部がパターン領域に接触しているか否かとすればよい。
ステップS705において、接触するパターン領域数が1より大きい(YES)場合、欠陥状態判定部32は、欠陥画像データaa、基準画像データbb、および欠陥抽出画像データccから、欠陥部に関する特徴量(例えば面積、輝度の分布等の欠陥特徴情報)を抽出し、特徴量の結果から、照射対象画像データddおよび欠陥判定情報eeを生成して照射条件設定部33へ出力する(ステップS706)。照射対象画像データddは、前述した方法で生成される。欠陥判定情報eeの生成方法については後述する。
ステップS706の処理が終了した場合、照射条件設定部33は、照射対象画像データddおよび欠陥判定情報eeに基づいて、照射条件の1つである照射回数を決定すると共に、欠陥形状画像データffで示されるレーザ光の各照射時の照射形状を生成する(ステップS707)。さらに、照射条件設定部33は、他の照射条件として、各照射時のレーザパワーやレーザ光発振の周期等といった情報をレーザ光源設定情報ggとして生成する(ステップS708)。レーザ光源設定情報ggの生成方法については後述する。ステップS708の処理が終了すると、全体の処理が終了する。
一方、ステップS703で欠陥部が存在しなかった(NO)場合、およびステップS705で接触するパターン領域数が1以下であった(NO)場合、欠陥状態判定部32は、照射領域に該当する箇所がないと判断し、照射条件設定部33は欠陥形状画像データffおよびレーザ光源設定情報ggをNULLとして(ステップS709)、全体の処理を終了する。
図10〜図12は、ステップS707およびステップS708の処理で生成された照射条件に基づいたレーザ光照射方法の例を示している。図10は、被検査対象のパターンの膜がパターン以外の箇所で剥離されずに残った様子を示すものであり、図10(a)に示される、欠陥画像データaaに基づいた画像に関して、ステップS706の処理から「膜残り/ショート」と判定される。欠陥部が、パターンの膜によるものである場合には、レーザパワーをあまり大きくしなくても、少ない照射回数で欠陥部を除去することが可能であるから、ステップS707およびステップS708で、図10(b)に示される照射対象領域1001に対して、レーザパワー=小、照射回数=2、発振周期=2Hzという照射条件が生成される。
このうち照射形状(=欠陥形状画像データff )に関して、1回目の照射では図10(c)に示されるように、欠陥部全体を照射するように照射形状領域1002が設定され(欠陥部にはパターン領域が存在しないので欠陥部全体を照射しても問題ない)、2回目の照射では図10(d)に示されるように欠陥部の輪郭部、すなわちパターン領域と電気的ショートを引き起こしている箇所だけを照射するように、照射形状領域1003が設定される。このように、照射回数によって照射形状を変更して設定することは、電気的ショートを引き起こす箇所を確実に修正すること、既に欠陥が除去された領域に対してさらに照射するということをなくして被検査対象のダメージを極力抑えること、およびレーザスポットの周縁部では中心部よりもレーザ光の強度が落ちるため、それによって生じる残渣を確実に除去することを理由とする。
図11〜図12は、横方向のバスライン上に、電極パターンと電気的ショートを起こすように異物が巻き込まれている様子を示すものであり、図11(a)に示される、欠陥画像データaaに基づいた画像に関して、ステップS706の処理から「異物/ショート」と判定される。欠陥部が異物の場合、レーザパワーが小さいと欠陥部が除去されないことがあり、完全に除去するためには照射回数を多くする必要があることから、ステップS707およびステップS708で、図11(b)に示される照射対象領域1101に対して、レーザパワー=大、照射回数=3、発振周期=3Hzという照射条件が生成される。
このうち、照射形状(=欠陥形状画像データff )に関して、1回目の照射では図12(a)に示されるように、欠陥部全体のうち最新の工程で生成されたパターン部(図12(a)ではバスライン)を除いた領域を照射するように照射形状領域1102が設定され、2回目の照射では図12(b)に示されるように、欠陥部の輪郭部、すなわちパターン領域と電気的ショートを引き起こしている箇所だけを照射するように照射形状領域1103が設定される。さらに、3回目の照射では図12(c)に示されるように、図12(b)の照射形状領域1103の輪郭部を照射するように、照射形状領域1104が設定される。図11〜図12の照射形状の設定の理由も図10の理由と同等である。
図10〜図12に示されるような、レーザ光の各照射回における照射形状は、画像処理におけるモルフォロジ(Morphology)演算を利用することで生成可能である。例えば2回目の照射形状については、1回目の照射形状を2値画像で表し、これに対して複数回の収縮処理(Erosion)を行った中間画像を得て、1回目の照射形状の2値画像から中間画像を差し引くことで生成すればよい。さらに、3回目の照射形状については、2回目の照射形状を2値画像で表し、これに対して複数回の収縮処理を行った2回目の中間画像を得て、2回目の照射形状の2値画像から2回目の中間画像を差し引くことによって生成すればよい。収縮処理の回数は適宜設定可能であり、照射形状を細い輪郭線で表すなら回数を少なく、太い輪郭線で表すなら回数を多くすればよい。
次に、欠陥判定情報eeおよびレーザ光源設定情報ggの生成方法を説明する。図13は、画像中の欠陥部の特徴量から欠陥判定情報eeおよびレーザ光源設定情報ggを決定する際に用いられるテーブルの内容を示している。図13(a)は、欠陥画像データaaと基準画像データbbの色情報(RGBで表す)に関する相関から、色情報に依存して照射回数を設定するための制御係数を定義するテーブルを示している。ここで、欠陥画像データaaと基準画像データbbとの間では、パターンの位置とそれぞれの画像の明るさが既に合っているものとする。
色情報の相関に関する係数をそれぞれRc、Gc、Bcとして、欠陥状態判定部32は各色別に係数を算出する。本実施形態で示す色情報の相関に関する係数は、欠陥が存在せず、かつパターンが存在しない領域(非パターン領域;例えば下地領域等)における各画像の相違と、欠陥が存在するパターン領域における各画像の相違とを比較することによって算出される。すなわち、パターンが存在しない領域での相違を踏まえて、欠陥が存在するパターン領域での相違をみることになる。
例えば、R(赤)の色情報に関して、欠陥画像データaaにおける、欠陥が存在しない非パターン領域の平均輝度をDef_NP_ND(R)、欠陥が存在するパターン領域の平均輝度をDef_P_D(R)、基準画像データbbにおける、欠陥画像データaaの欠陥部に相当する箇所を除いた非パターン領域の平均輝度をRef_NP(R)、欠陥画像データaaの欠陥部に相当する箇所のパターン領域の平均輝度をRef_P(R)とすると、Rの色情報の係数Rcは(2)式から算出される。
Rc=||(Def_NP_ND(R)/Ref_NP(R))−(Def_P_D(R)/Ref_P(R))|| ・・・(2)
他の色情報(G、B)に関しても同様の定義でそれぞれの係数Gc、Bcが算出される。(2)式によれば、係数Rcが小さいほど、欠陥部の色がパターン領域の色に近い(相関が大きい)、すなわち欠陥部はパターンの膜によるものであるという推定につながる。そして、算出された係数Rc、Gc、Bcに対して、閾値Th_Rc、Th_Gc、Th_Bcと比較する条件が適用さ
れる。係数が閾値以下であれば、欠陥状態判定部32は、照射回数を設定するための制御係数αRc、αGc、αBcをそれぞれ1に設定し、係数が閾値より大であれば、欠陥状態判定部32は制御係数αRc、αGc、αBcをそれぞれ0に設定する。閾値Th_Rc、Th_Gc、Th_Bcは0以上の数値であり、例えばそれぞれが0.1〜0.2程度に設定される。
図13(b)は、図13(a)に基づいて設定された制御係数αRc、αGc、αBcを用いて欠陥部の種類を推定し、結果として、欠陥種に依存した照射回数に関するゲイン係数βdを定義する際に用いられるテーブルである。条件は、制御係数αRc、αGc、αBcの論理演算によるものであり、全ての制御係数が1であれば、欠陥状態判定部32は、欠陥が「膜残り」型であると判定し、ゲイン係数βdを1.0にする。また、1つ以上の制御係数が0であれば、欠陥状態判定部32は、欠陥が「異物」型であると判定し、ゲイン係数βdを1.5にする。欠陥種の判定結果は照射条件設定部33へ出力される。
図13(b)における欠陥の判定基準は、全ての色に関する色情報の相関があるかないかによるものである。すなわち欠陥がパターン領域と同じ「膜」によるものであれば、各色の相関に関する係数Rc、Gc、Bcが小さく(色の相関が大きく)なり、制御係数αRc、αGc、αBcが全て1となる。一方、欠陥がパターン領域と異なる色、例えば黒や白といった色であれば、各色の相関に関する係数Rc、Gc、Bcは少なくとも1つの色で大きく(色の相関が小さく)なるため、制御係数αRc、αGc、αBcの少なくとも1つは0となる。ゲイン係数βdは、欠陥の種類に応じてレーザ光の照射回数を変更するための係数であり、図13(b)では、「異物」型の欠陥に対する照射回数が増加するようになっている。
図13(c)は、欠陥画像データaaから得られる欠陥部の面積に基づいて、レーザ光の照射回数Taを定義するテーブルである。図13(c)では、欠陥部の面積を、画像データのサイズ(画素数)に対する欠陥部の画素の割合AApとして表す。面積の割合AApに関して、閾値Th_Asおよび閾値Th_Alとの大小関係を条件として、欠陥状態判定部32は欠陥部の面積を「Small」、「Medium」、「Large」の3種類に分類する。閾値Th_As、Th_Alは面積の割合に関する0以上1以下の数値であり、Th_As<Th_Alである。欠陥状態判定部32は、例えばTh_As=0.1、Th_Al=0.25程度に設定する。
条件に関して欠陥状態判定部32は、面積の割合AApが閾値Th_As未満であれば、欠陥部の面積を「Small」、面積の割合AApが閾値Th_As以上で閾値Th_Al未満であれば、欠陥部の面積を「Medium」、面積の割合AApが閾値Th_Al以上であれば、欠陥部の面積を「Large」に分類する。面積の分類結果は照射条件設定部33へ出力される。照射条件設定部33は、面積の分類結果に基づいてレーザ光の面積照射回数Taを設定する。図13(c)では、欠陥部の面積が「Small」なら照射回数Taは1、欠陥部の面積が「Medium」なら照射回数Taは2、欠陥部の面積が「Large」なら照射回数Taは3となる。すなわち、欠陥部の面積に比例して、レーザ光の照射回数が増加するようになっている。
照射条件設定部33は、図13(b)に基づいて設定された、照射回数に関するゲイン係数βdと、図13(c)で設定された面積照射回数Taとに基づいて、実際のリペア処理
におけるレーザ光の照射回数STを(3)式により決定する。
ST=βd×Ta ・・・(3)
このように、実際のレーザ光照射回数STは、面積が同じであっても、欠陥の種類が異なれば、照射回数が変わるようになる。例えば、欠陥部の面積が「Medium」と分類される場合、欠陥の種類が「膜残り」型であれば図13(b)(c)および(3)式からST=1.0
×2=2回となり、欠陥の種類が「異物」型であれば同様にST=1.5×2=3回となる。
図13(d)は、欠陥部の分類結果(種類、面積)から、レーザ光に関する照射条件であるレーザパワーL_Pwおよびレーザのショット発振時の周波数L_Frを定義するテーブルである。既に、図13(b)(c)から、欠陥部の面積が3種類、欠陥の種類が2種類に分類されているため、3×2=6種類に対応して、照射条件設定部33はレーザパワーL_Pwおよび周波数L_Frを決定する。図13(d)において、レーザパワーL_Pwに関しては、欠陥部の面積が大きいほど大きく設定し、「膜残り」型よりも「異物」型を大きく設定し、周波数L_Frに関しては、「異物」型の場合は「膜残り」型よりも大きいが、欠陥部の面積によらず同じ値として設定するように定義されている。
なお、欠陥判定情報eeは、図13に示される各情報のうち欠陥部の種類(レーザ光照射回数のゲイン係数βdも含まれる)および面積に相当し、レーザ光源設定情報ggは実際のレーザ光の照射回数ST、レーザパワーL_Pw、および発振周波数L_Frに相当する。欠陥状態判定部32は、図13(a)〜(b)のテーブル、および図13(c)の欠陥部の面積分類のテーブルを使用し、照射条件設定部33は、図13(c)の照射回数Taの分類テーブルと図13(d)のテーブルを使用する。
次に、DMD17を構成する微小ミラー19の配置を説明する。図14は画像データの画素と、DMD17を構成する微小ミラー19のサイズおよび配置との関係を示している。図14(a)〜(c)の各図において、上部が画像データの画素、下部が微小ミラー19の配列を示している。本実施形態では、画素と微小ミラー19とが対応付けられるように、それぞれが配置されている。例えば図14(a)は、観察時とレーザ光の照射時の倍率が同じときを示している。このとき、画素サイズと微小ミラー19の面積比が1:1の関係(両者が同サイズ)にある、すなわち1画素につき微小ミラー19が1個対応付けられる。これにより、1画素単位でレーザ光の照射を制御することができる。
図14(b)は、観察時の倍率に対してレーザ光の照射時の倍率が2倍のとき、つまり面積比で4倍のときを示している。このとき、画素サイズと微小ミラーの面積比が1:4の関係にある、すなわち2×2画素につき微小ミラー19が1個対応付けられる。これにより、図14(a)の場合より微小ミラー19の密度は粗くなるものの、DMDユニット16の
構成は簡単になり、更なる処理の高速化を図ることができる。
実際のDMDではミラー間に隙間があるが、図14(c)はこの場合を示している。図14(c)では、画素サイズと微小ミラーの面積比が例えば1:0.8の関係にある、すなわち1画素のサイズよりも微小ミラー19のサイズが小さい場合における配置関係が示されている。この場合、微小ミラー19の周辺ではレーザ光が反射されないことになるが、実際に照射される被検査対象に対して僅かなデフォーカスを持たせる設定にすれば、1個の微小ミラーから反射したレーザ光は1画素の領域に照射されるようになる。つまり、隙間があっても、デフォーカスにより、隙間を埋めて照射することができる。微小ミラー19が図14(a)のように1画素のサイズと同じであっても、1画素全体にきれいに照射されないような(ムラが発生する)特性を持つ場合、あえて周辺部では反射しないような配置をさせることで、照射領域全体のムラを抑制することができる。具体的には周辺部の反射率を落とす、周辺部に曲率を付け、反射方向を変える等が考えられる。
図14では、照射対象となる画素に対応する微小ミラー19に対して、レーザ光を反射させるように制御することを前提としているが、制御の方法はこれに限らず、例えば微小ミラーを1画素分間引いた制御を行う、すなわち1回目の照射では各行の奇数番目の微小ミラーでレーザ光を反射させ、2回目の照射では各行の偶数番目の微小ミラーでレーザ光を反射させる等といった制御を行うようにしてもよい。これによりDMDユニット16の耐久性を延ばすことが可能になる。
なお、本実施形態では空間変調デバイスとして反射型のDMDを用いたが、他の空間変調デバイス、例えば透過型デバイスである液晶シャッタや、微小シャッタを2次元的に配列した微小シャッタアレイ等を用いても同様の効果を得ることができる。
上述したように、本実施形態によるレーザリペア装置は、被検査対象を撮像して生成した画像情報から、欠陥の特徴を示す欠陥特徴情報(欠陥の種類や面積等)を生成し、欠陥特徴情報によって示される修正対象領域の状態に応じてレーザ光の照射条件を決定し、レーザ光の整形を行ってレーザ光を照射する。これによって、高精度なリペア処理を自動で行うことができる。特に、本実施形態によるレーザリペア装置は、画像情報から抽出される修正対象領域の特徴(欠陥画像データaaと基準画像データbbの色情報相関や、欠陥画像データaaの全画素数に対する欠陥部の画素数(欠陥面積)の割合)を用いて修正対象領域の状態(欠陥部の種類が膜残り型であるか異物型であるか、また、欠陥部の面積が「Small」「Medium」「Large」のいずれであるか)を分類し、分類結果から照射条件を決定する。これによって、修正対象の状態に応じた適切な照射条件を実現可能にし、確実なリペア処理を効率よく行うことができる。
また、微小デバイスからなる空間変調デバイスを用いて、レーザ光の断面形状を、照射領域に対応して整形することによって、修正対象が微細な箇所を含む場合でも、それに適合したリペア処理を行うことができる。さらに、照射条件から空間変調デバイスを制御することによって、修正対象の状態が変化しても高速に対応できることから、リペア処理時間の短縮を図り、一箇所の修正領域に対して無駄なく高速にリペア処理を行うことができる。
また、修正対象領域の形状に合わせて微小デバイスの状態(本実施形態においては微小ミラー19の角度)が制御されるので、修正対象領域が複雑な形状であっても、形状に適合した照射領域を設定することができ、確実なリペア処理を行うことができる。さらに、図5および図6を用いて説明したように、被検査対象中の正常なパターン等をレーザ光照射禁止領域として、修正対象領域にマスクをかけるように微小デバイスを制御することによって、本来は照射すべきでない領域が除去された修正対象領域にレーザ光が照射されるので、誤った照射のないリペア処理を行うことができる。
また、空間変調デバイスを構成する各々の微小デバイスにおけるレーザ光の照射の有無を制御することによって、微小デバイス単位でレーザ光の照射を制御することができるので、修正対象領域が、微細な箇所や複雑な形状を持つ箇所を含んでいても、正常な箇所を損傷させず確実にリペア処理を行うことができる。
また、修正対象領域に含まれる欠陥の特徴を表す欠陥特徴情報を用いて照射条件を決定することによって、欠陥の状態に合わせて照射条件が決定される。したがって、修正対象に適した照射条件で確実なリペア処理を行うことができる。本実施形態における欠陥特徴情報には、欠陥の種類や面積の他、修正対象領域内の欠陥の形状(欠陥抽出画像データcc)、輝度、位置(異なる電位間でショートを起こしているのか、どの電位にも接触せずに孤立しているのか等)、および個数(欠陥部が接触するパターン領域数を算出する際に用いられる、欠陥抽出画像データccから求められる欠陥部の個数)等が含まれる。
また、画像情報に基づいてレーザ光の照射回数を設定し、さらに照射の度に照射形状やレーザ光の環境を変化させることによって、欠陥の状態を考慮した照射条件で効率的なリペア処理を行うことができる。
また、基準画像情報(基準画像データbb)を用いて、検査対象となる画像情報(欠陥画像データaa)と比較することによって、両者が異なる箇所(欠陥部)を修正対象領域とすることができる。さらに、基準画像情報を利用して、修正対象領域の中から正常な箇所を除去することができるので、修正対象領域に対して誤った照射をせずに確実なリペア処理を行うことができる。
また、被検査対象を表示しながら、リペア処理に関係する情報(本実施形態では、欠陥の形状を示す欠陥抽出画像データcc、およびレーザ光の照射領域の形状を示す欠陥形状画像データff)をスーパーインポーズ表示することによって、作業者がいる場合にリペア処理の状況を的確に把握することができる。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態においては、過去の照射条件を記憶する照射条件履歴記憶部を画像処理部12に設け、必要に応じて、記憶されている照
射条件を読み出すようにしている。以降では、第1の実施形態と異なる箇所についてのみ述べる。図15は、本実施形態における画像処理部12の構成を示している。第1の実施形態と異なるのは、照射条件履歴処理部41および照射条件履歴記憶部42が設けられ、それに対応して、第1の実施形態における照射条件設定部33が照射条件設定部43に変更されていることである。
照射条件履歴処理部41には、欠陥状態判定部32から出力された欠陥判定情報eeが入力される。その後、同じ内容の欠陥判定情報eeを利用して、照射条件設定部43によって生成された照射条件に関する情報として、照射条件設定部43から出力された照射条件履歴情報jjが照射条件履歴処理部41に入力される。ここで、照射条件履歴情報jjは、以降の履歴を検索する際に参照しやすいようなフォーマットを有しており、欠陥形状画像データffおよびレーザ光源設定情報ggを基にして生成される。そのフォーマットは例えば図16に示されるようなものであり、照射条件を表すインデックスLS_Cxがあり、それに付随する照射回数X1、それぞれの照射時(n回目の照射時)のレーザパワーCx_n_P、形状変化量Cx_n_S、レーザショットの周波数Cx_n_Fからなる可変のリスト形式となっている。照射条件履歴処理部41は、入力された照射条件履歴情報jjを上記の形式で照射条件履歴記憶部42に格納する。
形状変化量Cx_n_Sは、例えば元の照射対象画像データddに示される照射領域に対して、図10〜図12を用いて説明したモルフォロジ演算の収縮処理(Erosion)の繰り返し回
数等のように、形状を変化させる際に用いる(前回の結果に対する相対的、または最初の状態からみた絶対的)情報を表す。照射条件履歴記憶部42は、入力された欠陥判定情報eeと照射条件履歴情報jjとを対応付けて記憶する。具体的には、欠陥判定情報eeを構成する各特徴量を軸とした空間において、欠陥判定情報eeを「重心」とした一定の大きさを持つクラスタを形成し、1つのクラスタに対して、図16に示されるインデックスLS_Cxを結びつけるようにする。
これにより、以降のリペア処理において、新たな照射対象画像に対する照射条件を決定する際には、照射対象画像に対応する欠陥判定情報eeを照射条件履歴処理部41に入力し、欠陥判定情報eeと、現時点までに欠陥判定情報eeの特徴空間で形成された各クラスタの重心とのユークリッド距離またはマハラノビス距離(クラスタの分散を考慮した距離)を算出し、距離が最小となるクラスタに結び付けられたインデックスLS_Cxの照射条件を照射条件履歴記憶部42から読み出して、照射条件履歴情報jjとして照射条件設定部43に送るようにすることで、効率的なリペア処理を行うことができる。このときの欠陥判定情報eeが、距離最小となるクラスタに含まれない場合には、欠陥判定情報eeが含まれるようにクラスタを大きくする等の更新も行われるようにすると、より一層の効果を出すことができる。
一方、実際の処理においては、画像情報の特徴量を完全には取り出すことができない等の理由から、決定した照射条件が作業者の意図する修正とは異なることもあり、その場合には、必要に応じてレタッチ部23による照射条件の修正が行われる。このとき、さらに修正が必要とされる被検査対象がくると、作業者はその都度修正を行わなければならず、労力を伴う。そこで、本実施形態では、作業者がレタッチ部23により修正した情報をレーザ形状制御部21経由でレタッチ情報kkとして照射条件履歴処理部41に入力し、作業者の修正内容と被検査対象の画像情報とを関連付けて照射条件履歴記憶部42に記憶できるようにする。
具体的には、現在の画像情報から求められた欠陥判定情報eeと対応する照射条件履歴情報jjのうち、レタッチ情報kkから照射条件に関する情報を取り出して、照射条件履歴情報jjの該当する情報を書き換える。これにより、以降の検査で類似する被検査対象が現れても、作業者がレタッチした照射条件によりリペア処理が行われるので、再度作業者がレタッチすることなく、検査を効率的に行うことができる。
以下、照射条件履歴処理部41が行う処理を説明する。図17(a)は、通常の照射条件に関する履歴情報の記憶および読み出しの様子を表している。図17では、欠陥判定情報eeには、欠陥部の輝度、欠陥部を含む画像情報と基準画像情報である参照画像情報との間の色相関、および欠陥部の面積が含まれており、これらを軸とした3次元の空間、すなわち画像情報の特徴空間を図17は表している。一方、照射条件履歴情報jjは、図16に示されるフォーマットに基づいた照射条件を表している。
欠陥判定情報eeと照射条件履歴情報jjの関係は1対1ではなく、1つの照射条件履歴情報jj(すなわち照射条件)に対して、欠陥判定情報ee(すなわち画像情報の特徴量)が分布している、すなわち照射条件が1つのクラスタを形成している。このことから、現在の被検査対象に関する欠陥判定情報eeに対応した照射条件の履歴が照射条件履歴記憶部42に見つからない場合、照射条件履歴処理部41は、それぞれの照射条件を構成しているクラスタの重心からの距離を算出する。最も近いクラスタの重心からの距離が所定の閾値以下であれば、照射条件履歴処理部41は、そのクラスタに該当する照射条件を照射条件履歴記憶部42から読み出して、照射条件履歴情報jjとして照射条件設定部43に送ると共に、欠陥判定情報eeを含むように、該当する照射条件のクラスタを更新(拡大)する。
一方、最も近いクラスタの重心からの距離が所定の閾値より大であれば、照射条件履歴処理部41は、新たに照射条件を設定する必要があると判断し、照射条件履歴情報jjに対して新規の照射条件を設定する指示内容の情報を含めて照射条件設定部43へ出力する。そして、照射条件設定部43によって照射条件が決定された後、照射条件履歴処理部41は、新たな照射条件を表す照射条件履歴情報jjを照射条件設定部43から受け取り、対応する欠陥判定情報eeから新たなクラスタを形成する(クラスタは点ではなく、欠陥判定情報eeを重心とした一定の大きさを持たせて形成する)。このような処理を繰り返すことで、欠陥判定情報eeにおける照射条件の決定を過去の経験から「学習させる」ことになり、知的なリペア処理を実現可能にする。
また、作業者のレタッチによる照射条件履歴情報jjの更新は、以下のようにして行われる。図17(b)は、レタッチ情報kkが入力されたときの履歴情報の更新の様子を表している。レタッチ情報kkが照射条件履歴処理部41に入力されると、照射条件履歴処理部41は、現在の欠陥判定情報eeが含まれるクラスタ(照射条件LS_C2)から、レタッチ情報kkを反映した照射条件LS_Cpを表すクラスタを新たに形成する(クラスタは、欠陥判定情報eeを構成する画像情報の特徴量を重心として、一定の大きさを持つ)。
以降のリペア処理において、この照射条件LS_Cpを表すクラスタに含まれる欠陥判定情報eeが入力された場合に、照射条件履歴処理部41は、欠陥判定情報eeがたとえ照射条件LS_C2を表すクラスタに属する場合であっても、照射条件履歴記憶部42から照射条件LS_Cpを読み出して、照射条件履歴情報jjとして照射条件設定部43に送る。このように、作業者のレタッチに基づいて生成された、照射条件を表すクラスタの優先度を、それ以前に生成された照射条件を表すクラスタの優先度よりも高くすることで、常に作業者の指示を「学習」できるようになり、さらに知的なリペア処理が実現可能となる。
図17は、作業者が既存の照射条件を新たな照射条件に変更する、すなわち既存のクラスタを分割して新たなクラスタを形成することを説明しているが、例えば作業者が、現在のリペア処理で決定された照射条件を別の既存の照射条件に置き換える(クラスタを分割して別のクラスタに併合する)等を行ってもよい。本実施形態では、一度作業者がレタッチを行えば、以降はレタッチ内容を反映したリペア処理が行われるので、作業者の労力を
大幅に軽減することができる。
図18は、本実施形態における照射条件の履歴情報の使用例を画像データに照らしたものであり、特に作業者のレタッチによる照射条件の変更を示している。図18(a)のように、欠陥画像データが異物1801を含み、かつ異物1801の周辺に透明膜がある場合には、基準画像データから欠陥部を抽出しても、透明膜までを抽出することは困難である。そのため、このままでは異物1801だけが欠陥部と見なされ、異なる電位間でショートしていないと判断されると、照射領域すら設定されない可能性がある。そこで、図18(b)に示されるように、1回目のレーザ光照射時の照射領域を、作業者のレタッチによって修正する。このとき、照射回数やレーザパワー等の他の照射条件も必要に応じて作業者が修正する。この修正結果は、現在の欠陥判定情報に対する新たな照射条件として照射条件履歴記憶部42に格納される。
その後、図18(c)のような欠陥画像データが現れたとすると、この欠陥画像データは、図18(a)の欠陥画像データと類似した特徴の欠陥部を持つため、新たな欠陥画像データの欠陥判定情報は以前の欠陥画像データの欠陥判定情報に近いものが生成される。新たな欠陥画像データの欠陥判定情報が照射条件履歴処理部41に入力されると、照射条件履歴処理部41は、図18(b)で作業者がレタッチしたときに更新した照射条件が今回の照射条件にも該当すると判断する。この場合の1回目の照射時の欠陥形状画像データが図18(d)のように表される。このように、作業者がレタッチしたときと類似の被検査対象が出てきても、レタッチ時に更新した照射条件によるリペア処理を実現することができる。類似の被検査対象が多数出てきても、作業者が1回だけレタッチを行えば、残りは自動的にレタッチの内容を踏まえたリペア処理が行われることになり、検査自体の効率化を実現することができる。
上述したように、本実施形態によるレーザリペア装置は、照射条件の決定時に利用した情報(画像情報から得られた情報)を照射条件と関連付けて記憶し、現在の修正対象に対して照射条件を決定する際に、以前の照射条件の履歴から照射条件を読み出す。これによって、照射条件と画像情報の関係を学習することになり、照射条件の決定処理の効率化を図ることができる。特に、作業者によって照射条件の修正が行われた場合、修正された条件と照射条件決定の情報とを関連付けて記憶することによって、これ以降に類似の被検査対象に対して処理を行う場合でも、作業者による再度の修正を行わずに、照射条件履歴から照射条件を読み出せばよいので、作業者の意向を踏まえた自動リペア処理を実現することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。