JP5436821B2 - ナノ粒子の生成・吐出器具 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノ粒子の生成・吐出器具に関し、更に詳細には、医薬有効成分等の粒子を更にナノオーダーの粒子に変換するとともにこれを必要部分に吐出することを可能としたナノ粒子の生成・吐出器具に関する。
物質の大きさを小さくしていくと、その比表面積、表面エネルギー等が飛躍的に増大していき、そのために種々の物理的或いは化学的な特徴が発現することが知られている。例えば、低嵩比重、高凝集力、高吸着力、融点低下、或いはプラズモン発光等、サイズ効果が現れてくる。特に、ナノ粒子といわれる1ミクロン以下の粒子ではその効果が顕著に現れ、近年、高機能・新機能を有するナノサイズの構造物が産業分野、特に電子・電気、エネルギー、印刷、医薬、化粧品分野で大いに注目を集めている。
このようなナノ粒子の製造方法は、2つの方法に大別される。すなわち、大きいものから粉砕してつくるトップダウン法と、原子、分子を構成して創造するボトムアップ法である。このうち、トップダウン法としては、機械的粉砕方法、メカノケミカル的粉砕法、異種の物質の比溶解性を利用した分散法、相分離(アロイ)法、物質を良溶剤に溶解した溶液を貧溶剤或いは非溶剤中に滴下して粒子を沈殿させる沈殿析出法、化学反応或いは電気化学的反応により溶液中から析出させる方法、加水分解法、溶液を微細な孔より真空中或いは加熱気体中に噴出させて固化する噴霧法等が一般的に用いられている。
一方、ボトムアップ法としては、モノマーにとっては良溶剤であるが重合物に対しては貧溶解性或いは非溶解性の溶剤中で重合して重合物を析出させる重合法、物質を加熱蒸発、減圧蒸発、スパッター、プラズマ化、レーザアブレーション等の方法により一旦分子状に気化した後、凝集固化して粒子を製造する気相法、チタンアルコラート、シランアルコラート等の金属アルコラートを加水分解・重合してチタネート或いはシリケート他の金属酸化物ナノ粒子等を合成する加水分解法、各種の界面活性剤の自己組織化を利用したテンプレート法等各種の方法が目的と必要性能によって選択・使用されている(非特許文献1,2)。
しかし、上述の方法は、必ずしもナノ粒子のすべての用途・品質性能・コストを満足するものはなく、それぞれ工夫して使用されているのが現状である。このナノ粒子の製造方法における、大きな問題としては、コンタミネーション、粒子のサイズ、粒度分布、コスト、品質劣化、或いは製造方法などの点で十分ではないことである。
近年、レーザの熱によって物質の一部を加熱し、その歪を利用してナノ粒子化する方法が提案されている(特許文献1−5)。この方法はレーザを吸収する物質に好ましく適用され、且つ分散媒を適宜選択すれば、ナノ粒子の欠点である再凝集も界面活性剤等の分散剤を使用しないで達成できるとされており、純粋に物質そのもののナノ粒子の合成には優れた方法といえる。しかし、上記の提案では、レーザ照射にビーカー等の大きな容器を使用し、そこで分散させるという提案にとどまっており、ナノ粒子の二次凝集を考慮すると、実際の投与においてナノ粒子の有する効果が得られるかどうかには、大きな疑問のあるものである。
一方、代表的な難病のひとつである癌の治療に関しては、新薬や遺伝子治療など大きな医学的な進歩はあるが、まだ十分な検出、治療方法や、副作用の低減方法の確立には至っていない。この原因の一つが、強い副作用を有する抗癌剤を、経口や血液を介して投与せざるを得ない点であり、癌細胞のみに投与することが難しく、正常細胞にも多大な悪影響をあたえることである。従って、抗癌剤の必要量を癌組織に直接投与することが出来れば、癌治療効果も格段に上がり、かつ副作用も格段に低減できることになるが、まだこうした治療法は確立されていない。
超微粒子の技術と応用における最新動向II(住ベリサーチ(株) 2002年2月) 新機能微粒子材料の開発とプロセス技術((株)シーエムシー 出版2006年8月) 特開2001−113159号公報 特開2005−238342号公報 特開2006−273623号公報 特開2007−045674号公報 特開2007−306950号公報
従って、抗癌剤などの医薬有効成分を高機能なナノサイズとし、これを速やかに癌組織等の目的部位に到達させることにより、治療効果を高めると共に副作用を低下させることのできる手段の開発が求められていた。
本発明者は、抗癌剤等の医薬有効成分の副作用の問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、非水溶性あるいは難水溶性の医薬有効成分をナノ粒子化した後、直ぐに、癌組織等、生体内の目的部位に直接投与すればそれらの副作用は大幅に減るであろうことを着想した。
そしてそのためには、カテーテルや内視鏡のようなチューブ状器具の内部で医薬有効成分等の粒子を更にナノ粒子とし、そのまま目的の患部に投与すればよいことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
先端部に吐出口、内部にレーザ照射室を有するチューブ状の本体、
前記レーザ照射室と連通し、医薬粒子分散液を供給する医薬粒子液供給手段、
前記レーザ照射室と前記吐出口を連通し、レーザ照射室でナノ化されたナノ粒子含有液を送出するナノ医薬粒子液吐出管、および
前記レーザ照射室にレーザ光を導入、照射するレーザ照射手段
を有するナノ粒子の生成・吐出器具である。
本発明のナノ粒子の生成・吐出器具は、その本体中に医薬粒子分散液にレーザ光を照射し、当該粒子をナノ粒子化するレーザ照射室を有するため、例えば、医薬化合物の粒子の懸濁液をナノ粒子化し、短時間で必要組織に注入することが可能である。
特に、抗癌剤は非水溶性または難溶性のものも多く、水に十分に溶解・分散しないために、経口的にも、また、静脈注射液としてもそのまま用いることは出来ないものが多かったが、例えば、本発明のナノ粒子の生成・吐出器具を公知の内視鏡に応用することにより、視覚により癌組織を確認しながら当該組織あるいはその近傍(on site)に、ナノ粒子化され、水への分散性が向上した抗癌剤を直接投与することが可能となる。このように、ごく少量の抗癌剤を必要部位に直接、投与する治療が可能であり、従来のような副作用は殆どない治療が可能となるなど、医療方法や患者の苦痛の改善に大きな効果が期待できる。
本発明は、医薬粒子などの粒子、特に水に対する溶解性が低い医薬粒子の分散液を、患部等生体の目的部位近くでレーザ光を照射してナノ粒子化し、そのまま極短時間内に生体目的部に放出、投与するというものである。
ナノ粒子化に用いられるレーザ光としては、通常、フェムト秒レーザ、あるいはナノ秒レーザが使用されるが、好ましくはナノ秒レーザ、さらに好ましくは波長変換装置(OPO: Optical Parametric Oscillation)を備えたナノ秒レーザである。
また、ナノ粒子化される医薬粒子としては、生体内への放出、注入が期待されるものであれば特に制約はないが、一般には水溶性がないかあるいは極めて低い医薬粒子(難溶性医薬粒子)が挙げられる。このような難溶性医薬粒子の例としては、他のものを排除するものではないが、例えば、シクロホスファミド、チオテバ、カルボコン等のアルキル化剤、5−フルオロウラシル、ドキシフルリジン、テガフール、シタラビン等の代謝拮抗剤、ドキソルビシン、マイトマイシン等の抗生物質、パクリタキセル、ドセタキセル等の微小管阻害剤、シスプラチン、等の白金製剤等の抗癌剤が挙げられる。
更に、癌細胞の有無を検出する検出薬等も、癌組織あるいは癌が疑われる組織に直接、或いは近傍に集中的に投与可能であり、そうした薬剤を使用した場合は、検査薬の使用量の低減や検出感度の改善につなげることができる。
次に、本発明のナノ粒子の生成・吐出器具について、いくつかの実施態様を挙げ、更に詳しく説明する。
図1は、本発明のナノ粒子の生成・吐出器具の基本的態様を示す正面図、図2はその先端部3を示す斜視図、図3は先端部3付近の縦断面図である。図中、1は、ナノ粒子の生成・吐出器具、2は本体チューブ、3は先端部、4は手元部、5は医薬粒子液注入部、6はレーザ光導入部、7は吐出口、8は導管口、9はナノ粒子吐出管、10は導管、11はレーザ照射室、12は光学窓、13は医薬粒子液供給管をそれぞれ意味する。
上記態様のナノ粒子の生成・吐出器具1は、図3に示すレーザ照射室11およびここにレーザ光を照射するためのレーザ光導入光ファイバーライン等(図3では図示せず)を有する以外は、通常のカテーテルと同様の構成から成るものである。
まず、本体チューブ2は、通常のカテーテルで使用される、ある程度の柔軟性と弾性を有する材料で構成されており、このチューブ2中には、更に細いガイドや鉗子(いずれも図示せず)を通すための導管10が設けられている。
この本体チューブ3の先端部3には、吐出口7と導管口8が設けられ、また、ナノ粒子の生成・吐出器具1の手元部4には、医薬粒子液注入部5と、レーザ光導入部6が設けられている。
この吐出口7は、後記するようにしてナノ粒子化されたナノ粒子含有液を生体内の目的部位に吐出、注入するものである。上記態様では、平坦な孔となっているが、この部分を中空な注射針状としても良く、そうすることが、例えば癌組織内にナノ粒子化された医薬粒子液を注入する場合に有利である。また、導管口8は、前記したように、導管10を通した細いガイドや鉗子の出口となるものである。
一方、手元部4の医薬粒子液注入部5からは、医薬粒子液供給管13を介してナノ粒子化される医薬粒子分散液がレーザ照射室11に送られ、レーザ光導入部6からは、レーザ光がレーザ照射室に導入される。
医薬粒子液注入部5において、原料となる医薬粒子液を送液するに当たっては、通常の定容量ポンプ等の供給ポンプ(図示せず)が好ましく使用できる。具体的な例としては、チューブ式ポンプ、ギヤポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどが挙げられる。このポンプの送液能力は用途、性能や目的に応じて適宜選定することができるが、例えば医療用内視鏡に組み込んで使用する場合は、通常10mL/分以下、好ましくは5mL/分程度であるが必ずしもこれに限定はされない。
また、医薬粒子液供給管13としては、チューブ状のポリマーチューブが好ましく使用できる。この材質としては、塩化ビニル、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、テフロン(登録商標)、フッ素系共重合体等、通常カテーテルや医用チューブに使用されているチューブが使用可能である。更に、レーザ照射室11と吐出口7を連通するナノ粒子吐出管9としても、上記と同じ材質のものが使用される。更に、医薬粒子液供給管13や、ナノ粒子吐出管9の大きさは、目的や用途によって適宜選定できるが、通常医療用では内径は5mm以下、好ましくは2−4.5mmである。
次に、レーザの照射状態を模式的に示す図4を参酌しながら、レーザ照射室11におけるレーザ光の照射について説明する。図中、20はレーザ光導入光ファイバーライン、21はレンズ、22はプリズムを示す。
レーザ発生装置(図示せず)で発生したレーザ光は、レーザ光導入部6からレーザ光導入光ファイバーライン20、光学窓12を介してレーザ照射室11に導入される。
ここで用いられるレーザ光導入光ファイバーライン20としては、通信用または工業用内視鏡に使用される光ファイバーを使用することができ、通常石英系、合成石英系の光ファイバー、プラスチック光ファイバー等が利用される。光ファイバーの直径は、目的や用途によって適宜選定できるが、本発明のナノ粒子の生成・吐出器具1では、通常5mm以下、好ましくは2−5mm程度である。光ファイバーはモノフィラメントでもよくマルチフィラメントでもよい。光ファイバーの表面はレーザ光の外部への透過を抑えるために光ファイバーより屈折率の低いフッ素ドープ石英、紫外線硬化(UV)樹脂、あるいはプラスチックのクラッド層で覆うことが好ましい。
ところで、レーザ照射室11においては、レーザ光の照射方向を、目的や性能に応じて長さ方向あるいは短軸方向等任意に設定することが可能である。例えば、ナノ粒子の生成・吐出器具1の先端部3の近傍にレーザ照射室11を設ける場合、その大きさは、通常、幅10mm以下、長さ30mm以下であり、好ましくは幅5mm以下、長さ10mm以下である。
したがって、このような制約の中で、十分な量のレーザ光照射が必要となる。このため、例えば、図4に示す態様では、レーザ照射室11近傍に至ったレーザ光は、プリズム22により、それまでの進行方向から90゜曲げられ、さらにレンズ21で集束された後、短軸方向で医薬粒子分散液に照射される。このようにすることで、レーザの照射幅が短くても十分なナノ粒子化が可能となる。ここで、レンズ21およびプリズム22は、これらとの均等物で置き換えられることはいうまでもない。
なお、レーザ照射室11で粒子に吸収されず、残存したレーザ光は光ファイバーを通じて外部へ戻すこともできる。また、レーザ光をレーザ照射室11に導入する光学窓12としては、石英系ガラスから選ばれたものが好ましく使用される。
図5は、図4とは別のレーザの照射状態を模式的に示す図面である。このレーザ照射室11は、軸方向にレーザ光を照射するものであり、図4に比べ構造が簡単であるとともに、光路長が長くなるため、ナノ粒子化の効率が高くなる。
この構成では、医薬粒子液供給管13の中にレーザ光導入光ファイバーライン20が通る二重構造になっており、レーザ照射室11に至ったレーザ光は、レンズ21により集束され、医薬粒子分散液を照射する構造となっている。または、光ファイバー先端をレンズ状に加工することで、レンズを省くこともできる。
本発明において、レーザ光による医薬粒子分散液に対するレーザ照射は、医薬粒子分散液を流した状態で連続的に照射しても良い(連続処理)し、処理室に処理液を送液して一旦ため、これに所定時間レーザ光を照射しても良い(バッチ処理)。また、レーザ照射室11内に、反射板等を設置し、照射したレーザ光を繰り返し反射させてナノ粒子化の効率を上げることも好ましい方法である。更に、レーザ光導入光ファイバーライン20、プリズム22、レーザ照射室11などレーザが漏れる恐れのある部分には吸収材(図示せず)を備えることも好ましい。
なお、本発明において必須ではないが、ナノ化されなかった粒子が、吐出されることを防ぐためのフィルター23をレーザ照射室11あるいはその先のナノ粒子吐出管9に設けることができる。このフィルター23は、固定式でも、また着脱式であっても良く、その材質は、ポリマー(中でもポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、などが親水性や、化学的安定性、ろ過性能の点で好ましい)、多孔性セラミック、多孔性金属等、通常のミクロフィルター用に使用されるものが適用可能である。フィルターの性能は目的に応じて選定できるが、通常1μm以下のろ過性能、好ましくは0.5μm以下、さらに用途によっては0.2μm以下のフィルターが使用できる。
更に、これも必須ではないが、レーザ照射室11や、その先のナノ粒子吐出管9あるいはその手前の医薬粒子液供給管13に超音波発生手段(図示せず)を設けることも可能である。このような超音波発生手段を設けることにより、医薬粒子分散液の分散が良くなってレーザ光照射によるナノ粒子化の効率が上がり、また、一旦ナノ粒子化したものの二次的な凝集を防ぐことが可能となる。なお、ここで使用する超音波発生手段は、通常超音波分散や洗浄に使用される高周波電源やその導入ガイド、あるいは振動子チップを用いることができる。この超音波処理室は1個でも、また複数個でもよい。
更にまた、必要に応じ、レーザー照射室11から残留した医薬粒子液を回収するための返送手段(図示せず)を医薬粒子液供給管13に平行して設置しても良い。この返送手段の材質も、医薬粒子液供給管13と同じものでよい。
また更に、以上説明した図4および5の態様では、先端部3にレーザ照射室11を設けていたが、レーザ室11は、手元側に設けることもできる。このようにすることにより、レーザ照射室11の大きさに制約が無くなり、十分なレーザ光の照射により、確実なナノ分子化が図れる。しかし一方、一旦ナノ粒子化したものがナノ粒子吐出管9中で二次凝集を起こしたり、管壁に付着するおそれもある。このような場合には、ナノ粒子吐出管9に超音波発生手段を設けたり、途中に超音波処理室を設けることも必要となる。
次に内視鏡として利用される、本発明の別の態様であるナノ粒子の生成・吐出器具1について説明する。
図6は内視鏡として利用できるナノ粒子の生成・吐出器具1の全体の斜視図、図7はその先端部3の斜視図であり、図8は図6におけるA−A'断面図(A)およびB−B'断面図(B)を示す図面である。図中、50は観察用窓、51は照明灯、52は観察用光ファイバーライン、53は照明用配線、54は鉗子(手元部)、55は鉗子ガイドを示す。
この態様のナノ粒子の生成・吐出器具1も、図1ないし3で示した態様と同様、レーザ照射室11およびここにレーザ光を照射するためのレーザ光導入ファイバーライン20等を有する以外は、通常の内視鏡と同様の構成から成るものである。
したがって、この態様のナノ粒子の生成・吐出器具1の先端部3には、吐出口7および導管口8の他、観察用窓50および照明灯51を有する。このうち、吐出口7は、前記したようにナノ粒子含有液を生体内の目的部位に吐出、注入するものであり、導管口8は、鉗子の出口となるものである。なお、吐出口7を中空な注射針状としても良いことは前記の通りである。
また、観察用窓50は、照明灯51により照射された生体内部を直接あるいは間接的に観察するためのものであり、観察用光ファイバーライン52により観察部あるいはビデオカメラ(いずれも図示せず)等に結合されている。
そして、この態様のナノ粒子の生成・吐出器具1の好ましい使用態様を、癌組織を例に挙げて説明すると、まず通常の内視鏡の使用状態で生体臓器内、例えば胃や直腸・大腸内を観察する。そして、癌組織あるいはこれと疑われる部分を発見した場合、医薬粒子液注入部5から抗癌剤の懸濁液をレーザ照射室11に注入すると共に、レーザ光導入部6からレーザ光を導入する。そして、抗癌剤がナノ粒子化された後に、発見した癌組織あるいは癌組織と疑われる部分にナノ化医薬粒子液を吐出、注入するのである。
このようにすることにより、癌組織または癌組織と疑われる部分のみに、ナノ粒子化し、効力が増加した抗癌剤が投与されるので、癌を従来に比べ極めて有効に治療することが可能となるのである。
有機分子結晶のバナジルフタロシアニンを0.01質量%の濃度で蒸留水に分散させた。これに波長351nm、パルス幅30ns、照射周期5Hz、パルスエネルギー340mJ/cmのレーザ光を20分照射したところ、平均粒子径36nmのナノ粒子が生成した。このナノ粒子は時間の経過とともに凝集し、2次粒子として沈殿していくが、ナノ粒子の3分の1はレーザ照射から6日間後も水への分散を保っている。即ち、照射後短時間内では、ほとんどの粒子がナノサイズの粒子として水中に分散することがわかり、得られたナノ粒子は内径が2mmのチューブでも良好に透過することができることがわかる。
本発明のナノ粒子の生成・吐出器具は、医薬粒子を投与すべき部分のすぐ近くで、より医療効果の高いナノ粒子の形とした上で吐出、注入することが可能なものである(一般に、抗癌剤をナノ化することにより、その薬効が3〜100倍向上するとされている)。特に、内視鏡として利用しうるナノ粒子の生成・吐出器具では、治療対象となる部分を観察した画像に基づいて、目的部位のみに医薬ナノ粒子を吐出、注入できるため、極めて治療効率の良いものである。
したがって本発明のナノ粒子の生成・吐出器具の利用により、抗癌剤の使用量も大きく低減可能になり、副作用による患者の苦痛を大幅に低減できるメリットが生まれる。また、癌細胞の診断においても、癌組織あるいは癌が疑われる部分において、直接検査課脳となるため、診断薬の利用を大きく低減させることが可能であり、また、より確実な検出が可能になり、癌治療や診断に大きく貢献できるものである。
本発明のナノ粒子の生成・吐出器具の基本的態様を示す正面図である。 図1の先端部3を拡大して示す斜視図である。 図1の先端部3付近の拡大縦断面図である。 レーザ光の照射状態を模式的に示す図面である。 レーザ光の別の照射状態を模式的に示す図面である。 内視鏡として利用できる態様のナノ粒子の生成・吐出器具の斜視図である。 図6の先端部3を拡大して示す斜視図である。 図6におけるA−A'断面およびB−B'断面を拡大して示す断面図である。
1 … … ナノ粒子の生成・吐出器具
2 … … チューブ
3 … … 先端部
4 … … 手元部
5 … … 医薬粒子液注入部
6 … … レーザ光導入部
7 … … 吐出口
8 … … 導管口
9 … … ナノ粒子吐出管
10 … … 導管
11 … … レーザ照射室
12 … … 光学窓
13 … … 医薬粒子液供給管
20 … … レーザ光導入光ファイバーライン
21 … … レンズ
22 … … プリズム
23 … … フィルター
24 … … 光ファイバー支柱
50 … … 観察用窓
51 … … 照明
52 … … 観察用光ファイバーライン
53 … … 照明用配線
54 … … 鉗子(手元部)
55 … … 鉗子ガイド

Claims (12)

  1. 先端部に吐出口、内部にレーザ照射室を有するチューブ状の本体、
    前記レーザ照射室と連通し、医薬粒子分散液を供給する医薬粒子液供給手段、
    前記レーザ照射室と前記吐出口を連通し、レーザ照射室でナノ化されたナノ粒子含有液を送出するナノ医薬粒子液吐出管、および
    前記レーザ照射室にレーザ光を導入、照射するレーザ照射手段
    を有するナノ粒子の生成・吐出器具。
  2. レーザ光がパルスレーザである請求項1記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  3. パルスレーザの照射時間が調整可能である請求項1は2のナノ粒子の生成・吐出器具。
  4. パルスレーザの照射周期が1〜1000Hzである請求項1〜3の何れか一項に記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  5. レーザ光として、波長300〜1500nmのレーザ光の1m当たりの光ファイバーでの透過率が80%以上である請求項1〜4の何れか一項に記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  6. さらに、粒子供給手段、レーザ照射室またはナノ粒子吐出管中に超音波・衝撃波処理手段を設けた請求項1〜5の何れか一項に記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  7. さらに、レーザ照射室と吐出口の間にフィルターを設けた請求項1〜6の何れか一項に記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  8. 吐出されるナノ粒子含有液が、200nm以下のナノ粒子の含有液である請求項7記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  9. レーザ照射室への分散液の導入及び吐出が連続的には非連続的に行うことが可能な請求項1〜8の何れか一項に記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  10. 前記レーザ照射室へのレーザ光の導入が、石英系ガラスから選ばれる材質で形成されたレーザ照射室の光学窓から行われる請求項1〜9の何れか一項に記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  11. レーザ照射室への医薬粒子液供給手段の少なくとも一部がポリマー管、ガラス管若しくは金属管、はそれらの併用物である請求項1〜10の何れか一項に記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
  12. レーザ照射室と吐出口がポリマー管、ガラス管若しくは金属管、はそれらの併用物で連通される請求項1〜10の何れか一項に記載のナノ粒子の生成・吐出器具。
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