JP5435718B2 - 電磁継続器、電磁継続器の組み立て方法 - Google Patents
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Description
電磁継続器において、励磁コイルおよびアーマチュアからなる一次側回路と、可動接触片および固定接触片からなる二次側回路は非接触であるが、その間隔(絶縁距離)が小さすぎると、過大な電圧が印加された場合にこれらが短絡(トラッキング)してしまうことがある。
そこで、一次側回路と二次側回路の絶縁距離を確保するため、可動接触片および固定接触片と、アーマチュアとの間を遮断する絶縁壁(絶縁物)を設け、絶縁壁に形成された孔を介して可動接触片を押圧することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
ここで絶縁壁を形成する材料によって、要求される沿面の絶縁距離(以下、「沿面距離」と称する。)が異なる。このような沿面距離の違いにつながる材料の評価指数として、比較トラッキング指数 (comparative tracking index; CTI)が用いられている。CTIが高いほど、沿面距離が小さくても高い耐トラッキング性能を得ることができる。したがって、CTIの高い材料を選択して絶縁壁を形成すれば、電磁継続器の小型化を図りつつ、高い耐トラッキング性能を得ることができる。
しかし、熱可塑性樹脂においてのCTIが一般的には600以上、時には400より高く、かつ継電器の小型化に必要とされるUL規格における難燃性が0.38mm以下の厚みでV-0を取得している材料は、ベースとなる樹脂に強度を上げることが出来る添加物が入れる事ができず、材料自体は弱くなる傾向があり、電磁継続器の製造工程において、作業者が強くつかんだだけで壊れることもあり、慎重な取り扱いが要求されている。また、このような材料自体、高価となるため、材料コストの抑制という視点においては、さらなる改善が望まれる。
これら第一絶縁壁、第二絶縁壁、第三絶縁壁のうちの少なくとも一つをベースハウジングに形成することができる。また、第三絶縁壁は、上方に行くに従いその幅が漸次小さくなる台形状とすることができる。
本発明の電磁継続器では、第一絶縁壁、第二絶縁壁、第三絶縁壁、外周壁、および端壁により、励磁コイルと可動接触片との間の絶縁距離を、例えば5.5mm以上と、大きく確保することができる。また、このような構成とすることで、ベースハウジングは、第一絶縁壁、第二絶縁壁、第三絶縁壁、外周壁、および端壁を備えるとともに、比較トラッキング指数が400未満の低い材料で形成されつつも、長い沿面距離を伴って、高い耐トラッキング性能に関連する高い使用電圧範囲で安全に電磁継電器を使用する性能を有するものとすることができる。
また、ベースハウジングに、励磁コイルを有した継鉄、アーマチュア、固定接触片、可動接触片をセットする工程を経た後、第三絶縁壁と外周壁と端壁の外側に、ケースを被せてベースハウジングにセットするときには、第三絶縁壁と外周壁と端壁が励磁コイルの外側に位置しているので、ケースが励磁コイルに干渉するのを防ぎ、スムーズにケースの装着作業を行える。
図1、図2に示すように、電磁継続器100は、絶縁性のベースハウジング10と、ベースハウジング10に組み付けられる操作電磁石30と、可動接触片21および固定接触片22と、ケース70とから構成されている。
前方延出壁14aは、前壁14bよりも前方に突出し、励磁コイル56とアーマチュア60の胴部61間を延びる絶縁壁14gを有する。
絶縁壁14gに連続して、ベースハウジング10の前方側において折れ曲がり、励磁コイル56に沿って後壁12と平行に、かつアーマチュア60から離間する側に立ち上がる立ち上がり壁(第三絶縁壁)14hが一体に形成されている。立ち上がり壁14hは、上方に行くに従いその幅が漸次小さくなる台形状とされている。
図2、図5、図6に示すように、可動接触片21は、リン青銅等の銅合金板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成され、一端部21a側がベースハウジング10に固定されるとともに、一端部21aからベース板部11側に向けて、回路基板(図示せず)に接続される基板接続部21bが突出形成されている。また、可動接触片21は、一端部21aから他端側に向けて、接触片収容空間14の前壁14bに近接して沿うように延びる弾性ばね片21cが形成されている。弾性ばね片21cの一面側には、可動接点21dが設けられている。
一方、端壁13Bも、後壁12に連続して形成され、継鉄40、アーマチュア60の側方を覆うよう形成されている。
これにより、図8(b)に示すように、巻枠50および継鉄40を、ベースハウジング10のベース板部11に対してほぼ直交する方向に接近させていき、係止突起59の直交面59bを抜け止め孔48に係止させると、巻枠50および継鉄40がベースハウジング10に対して係止され、不用意に抜けてしまうのを防ぐことができる。
アーマチュア60は、一端側の軸部62a、62bが、凹部18b、空間16aに受容されて支持されることで、軸部62a、62bを中心に回動可能になる。
ここで、ビーム部60は、突起45に突き当たる構成であるため、図3中に二点鎖線で示すように、ビーム部16が、成形時の誤差等により、継鉄40側に倒れている場合、これを正規の位置に矯正することができる。
このうち、継鉄40は金属製であることから、変形等も少なく、高精度な位置規制が可能である。一方、ベースハウジング10は樹脂製であるが、端壁13Aの内側の表面突き当てるように、継鉄40をベースハウジング10に圧入する構成とすることで、端壁13Aやビーム部16の位置を補正することができる。したがって、ベースハウジング10側においても、アーマチュア60の位置を高精度に規制できる。
一方、アーマチュア60が継鉄40から離間するときのアーマチュア60の回動範囲は、図5に示したように、端壁13Bに連続してアーマチュア60側に突出した突出壁19にアーマチュア60の吸引部63側の端部が突き当たることによって規制される。
励磁コイル56を励磁すると、アーマチュア60は磁力により引き寄せられて軸部62a、62bを中心に回転し、吸引部63が継鉄40の脚部43に接触する。すると、作動片64の背面にある突起部65が可動接触片21の弾性ばね片21cを押圧して弾性ばね片21cが弾性変形し、可動接点21dが固定接点22bに接触するようになっている。
また、固定接触片22と励磁コイル56との沿面距離は、図6、図7に示したように、後壁12に連続して形成され、継鉄40、巻枠50に接続されたコイル端子57、アーマチュア60の側方を覆うよう形成された端壁13Aを設けることで、端壁13Aの表面に沿った経路Bとなり、端壁13Aが無い場合に比較して延長されている。ここで、端壁13Aには、抜け止め孔48が形成されているため、固定接触片22と励磁コイル56とを結ぶ経路Bは、抜け止め孔48を通るものとなるが、それでも後壁12を固定接触片22から斜め上方に向かうため、沿面距離を稼ぐことができる。
このほか、可動接触片21とアーマチュア60との間においては、接触片収容空間14の前壁14bの略中央部に形成された矩形孔15を通った経路C、または、端壁13Bを回り込んだ経路Dが沿面距離となる。
ここで、上記の経路A〜Dは、いずれも、絶縁距離における最短の経路(空間距離)を示している。したがって、沿面距離は空間距離を確実に上回る。
例えば、アーマチュア60を回動自在に保持するための構造は、いかなるものであっても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (8)
- ベースハウジングと、
前記ベースハウジングに固定された平板状の継鉄と、
前記継鉄に巻き回された励磁コイルと、
前記継鉄に対向して配置されて、一端側が回動自在に軸支され、前記励磁コイルによる励磁・非励磁の切り替えにより他端側が前記継鉄に接近・離間可能とされたアーマチュアと、
前記ベースハウジングに固定された固定接触片と、
前記固定接触片と対向して設けられ、前記アーマチュアが前記一端側を中心として回動したときに前記アーマチュアに押圧されて前記固定接触片に対して断続される可動接触片と、
前記ベースハウジングに装着され、前記ベースハウジングとの間に形成される内部空間に、前記継鉄、前記アーマチュア、前記固定接触片、および前記可動接触片を収容するケースと、
前記励磁コイルと前記アーマチュア間に設けられた第一絶縁壁と、
前記可動接触片および前記固定接触片と前記アーマチュアとの間に設けられた前記第二絶縁壁と、
前記第一絶縁壁に連続して、前記ベースハウジングの前方側において折れ曲がり、前記励磁コイルに沿い、かつ前記アーマチュアから離間するように電磁継続器の上方に延びる第三絶縁壁と、
を備え、
前記ベースハウジングに、前記第一絶縁壁に連続し、かつ前記アーマチュアに対して前記継鉄が配置された側の面を覆う外周壁と、前記外周壁に連続して、互いに対向する前記アーマチュアと前記継鉄の両側の側方に沿って延びる一対の端壁と、が形成されていることを特徴とする電磁継続器。 - 前記第一絶縁壁、前記第二絶縁壁、前記第三絶縁壁のうちの少なくとも一つが前記ベースハウジングに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁継続器。
- 前記第三絶縁壁は、上方に行くに従いその幅が漸次小さくなる台形状とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁継続器。
- 前記第一絶縁壁、前記第二絶縁壁、前記第三絶縁壁、前記外周壁、および前記端壁により、前記励磁コイルと前記可動接触片との間における空間の絶縁距離が5.5mm以上確保されていることを特徴とする請求項3に記載の電磁継続器。
- 前記ベースハウジングは、前記第一絶縁壁、前記第二絶縁壁、前記第三絶縁壁、前記外周壁、および前記端壁を備えるとともに、比較トラッキング指数が400未満の材料で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電磁継続器。
- 前記外周壁と前記第一絶縁壁と前記第三絶縁壁とにより、前記励磁コイルの三方が囲まれていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電磁継続器。
- 前記継鉄は、一対の脚部を有し、
前記固定接触片および前記可動接触片は、前記継鉄の一対の前記脚部の間に配置されて、前記可動接触片が前記第二絶縁壁を介して前記アーマチュアと対向するとともに、前記第二絶縁壁に貫通孔が形成され、前記アーマチュアに設けられた突起が前記貫通孔を通して前記可動接触片を押圧することで、前記可動接触片を前記固定接触片に対して断続させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電磁継続器。 - ベースハウジングと、
前記ベースハウジングに固定された平板状の継鉄と、
前記継鉄に巻き回された励磁コイルと、
前記継鉄に対向して配置されて、一端側が回動自在に軸支され、前記励磁コイルによる励磁・非励磁の切り替えにより他端側が前記継鉄に接近・離間可能とされたアーマチュアと、
前記ベースハウジングに固定された固定接触片と、
前記固定接触片と対向して設けられ、前記アーマチュアが前記一端側を中心として回動したときに前記アーマチュアに押圧されて前記固定接触片に対して断続される可動接触片と、
前記ベースハウジングに装着され、前記ベースハウジングとの間に形成される内部空間に、前記継鉄、前記アーマチュア、前記固定接触片、および前記可動接触片を収容するケースと、を備えるとともに、
前記ベースハウジングに、
前記励磁コイルと前記アーマチュア間に設けられた第一絶縁壁と、
前記可動接触片および前記固定接触片と前記アーマチュアとの間に設けられた前記第二絶縁壁と、
前記第一絶縁壁に連続して、前記ベースハウジングの前方側において折れ曲がり、前記励磁コイルに沿い、かつ前記アーマチュアから離間するように電磁継続器の上方に延びる第三絶縁壁と、
前記第一絶縁壁に連続し、かつ前記アーマチュアに対して前記継鉄が配置された側の側面を覆う外周壁と、
前記外周壁に連続して、互いに対向する前記アーマチュアと前記継鉄の両側の側方に沿って延びる一対の端壁と、が形成された前記電磁継続器の組み立て方法であって、
前記ベースハウジングに、前記励磁コイルを有した前記継鉄、前記アーマチュア、前記固定接触片、前記可動接触片をセットする工程と、
前記ベースハウジングに、前記第三絶縁壁と前記外周壁と前記端壁の外側に、前記ケースを被せることを特徴とする電磁継続器の組み立て方法。
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