JP5435609B2 - 新規癌マーカーおよびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、癌特異的に発現変動する内在性アンチセンスRNA、それをマーカーとする癌の診断方法およびそのための試薬などに関する。
アンチセンスRNAとは、mRNAに対して、相補的な塩基配列を持ったRNAであり、具体的には、センス遺伝子をコードするDNA鎖の逆鎖から読まれるRNAである。センス−アンチセンスRNA間には、2本鎖形成能があり、例えば、2本鎖RNAはRNA干渉が働く際に必要であること、及びマイクロRNAと呼ばれる小さなRNAによるタンパク質の翻訳制御に2本鎖RNAが関与することなどが知られている。
マウスでは、約2,500対のセンス−アンチセンス遺伝子が同定されており、それらにはタンパク質をコードしない非翻訳性の遺伝子が多く含まれている(非特許文献1)。センス−アンチセンス遺伝子対の約半数が翻訳性−非翻訳性の遺伝子対であると考えられている。またヒトでも、約2,600対のセンス−アンチセンスRNAペアが存在することが示唆されているが(非特許文献2)、それらの構造や発現に関する実験的検証は限られていた。
本発明者らの一人及びその共同研究者らはこれまで、マウスで同定されたセンス遺伝子及びアンチセンス遺伝子1947対を識別して解析可能なオリゴDNAチップを開発し、センス−アンチセンス遺伝子の網羅的な発現解析を行った(非特許文献3)。その結果、これらのセンス−アンチセンス遺伝子の9割以上が実際の組織で発現しており、その発現には組織特異性があることを見出した。また、センス−アンチセンス遺伝子座からは様々なサイズのRNAが転写され、それらの多くがポリ(A)鎖を欠き、核内に蓄積される傾向があることも発見した。さらにシロイヌナズナで行った解析からもポリ(A)鎖のないRNAが見つかり、この性質が動植物で共通であることがわかった。
しかし、このような非翻訳性アンチセンスRNAの生理的な役割については、これまで全く解明されていなかった。
ところで、いくつかの癌で、癌特異的に発現が変動する遺伝子(癌マーカー遺伝子)が数多く報告されている。しかしながら、内在性のアンチセンスRNA、特に非翻訳性のアンチセンスRNAの発現が、癌などの各種疾患において特異的に変動することは、これまで全く知られていない。
Kiyosawa et al,Genome Res.13:1324−1334(2003) Yelin et al,Nat.Biotechnol.21:379−386(2003) Kiyosawa et al,Genome Research,15:463−474(2005)
本発明の目的は、内在性アンチセンスRNA、特に非翻訳性アンチセンスRNAの生理機能を解明することであり、該生理機能に基づくアンチセンスRNAの新規用途を提供することである。本発明の別の目的は、新規な癌マーカー遺伝子を同定し、より正確な癌診断法を提供することである。
本発明者らは、既知cDNAの配列から推認されるアンチセンス鎖配列を仮想アンチセンスRNAとして人工的に想定し、該アンチセンス鎖配列(Artificial Antisense Sequence:AFAS)に対してプローブを設計し、該プローブ(AFASプローブ)をcDNA配列(センス鎖配列)に対するプローブとともに搭載したマイクロアレイを構築した。さらに、本発明者らは、癌患者の試料をランダムプライミングによってラベルし、該マイクロアレイを用いて、各試料中のセンス−アンチセンス遺伝子対の発現を網羅的に解析した結果、癌遺伝子として知られる20遺伝子において、センス鎖とアンチセンス鎖の発現バランスが癌組織と周辺の正常組織との間で逆転していることを見出した。これらの結果は、これら癌遺伝子の発現がアンチセンスRNAによって調節されており、該調節機構の異常が癌と密接に関わっていることを示しており、内在性アンチセンスRNAが対応するセンス鎖にコードされる遺伝子の発現を調節する生理機能を有していることを、初めて明確に実証したものである。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、上記癌遺伝子に対するアンチセンスRNAが、癌マーカーとして有用であることを実証して、本願発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである:
〔1〕哺乳動物から採取したRNA含有試料における、センスRNAに対する相対的発現が癌特異的に変動する内在性アンチセンスRNAを測定することを含む、癌診断のための検査方法。
〔2〕センスRNAの発現を測定することをさらに含む、上記〔1〕記載の方法。
〔3〕内在性アンチセンスRNAが以下の(C1)〜(C15)から選択される、大腸癌診断のための上記〔1〕または〔2〕記載の方法。
(C1)配列番号1に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のCDK4遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C2)配列番号2に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMAPK9遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C3)配列番号3に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C4)配列番号4に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のサイクリンB1遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C5)配列番号5に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のpLK遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C6)配列番号6に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のRHAMM遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C7)配列番号7に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のβ3−エンドネキシン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C8)配列番号8に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBRCA2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C9)配列番号9に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBRCA2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C10)配列番号10に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBBP/53BP2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C11)配列番号11に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のタイプIVコラーゲンα3遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C12)配列番号12に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMMP11遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C13)配列番号13に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C14)配列番号14に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C15)配列番号15に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
〔4〕内在性アンチセンスRNAが以下の(H1)〜(H12)から選択される、肝臓癌診断のための上記〔1〕または〔2〕記載の方法。
(H1)配列番号16に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMAPK7遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H2)配列番号17に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のFGFR4遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H3)配列番号18に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のトロンボスポンジン2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H4)配列番号3に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H5)配列番号19に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H6)配列番号20に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H7)配列番号21に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のPCNA遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H8)配列番号22に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のPDGFR遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H9)配列番号23に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のサイクリンB1遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H10)配列番号24に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のERCC3遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H11)配列番号25に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のCD34抗原遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H12)配列番号26に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のインテグリンα6遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
〔5〕以下の(C1)〜(C15)から選択される内在性アンチセンスRNAであって、
(C1)配列番号1に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のCDK4遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C2)配列番号2に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMAPK9遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C3)配列番号3に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C4)配列番号4に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のサイクリンB1遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C5)配列番号5に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のpLK遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C6)配列番号6に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のRHAMM遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C7)配列番号7に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のβ3−エンドネキシン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C8)配列番号8に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBRCA2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C9)配列番号9に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBRCA2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C10)配列番号10に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBBP/53BP2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C11)配列番号11に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のタイプIVコラーゲンα3遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C12)配列番号12に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMMP11遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C13)配列番号13に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C14)配列番号14に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C15)配列番号15に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
哺乳動物における大腸癌マーカーである内在性アンチセンスRNA。
〔6〕以下の(H1)〜(H12)から選択される内在性アンチセンスRNAであって、
(H1)配列番号16に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMAPK7遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H2)配列番号17に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のFGFR4遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H3)配列番号18に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のトロンボスポンジン2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H4)配列番号3に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H5)配列番号19に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H6)配列番号20に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H7)配列番号21に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のPCNA遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H8)配列番号22に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のPDGFR遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H9)配列番号23に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のサイクリンB1遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H10)配列番号24に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のERCC3遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H11)配列番号25に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のCD34抗原遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H12)配列番号26に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のインテグリンα6遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
哺乳動物における肝臓癌マーカーである内在性アンチセンスRNA。
〔7〕上記〔5〕記載の内在性アンチセンスRNAとハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸を含有してなる、大腸癌の診断薬。
〔8〕上記〔6〕記載の内在性アンチセンスRNAとハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸を含有してなる、肝臓癌の診断薬。
本発明の内在性アンチセンスRNAは、癌患者においてその発現が顕著に減少しているか、少なくともセンスRNAに対する相対的発現が顕著に減少するので、該アンチセンスRNAの発現量、および必要に応じて対応するセンスRNAの発現量を測定することにより、癌を効率よく診断することができる。
本発明の癌マーカーである内在性アンチセンスRNAは、下記(C11)〜(C15)および(H1)〜(H12)から選ばれるいずれかである。
(C1)配列番号1に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のCDK4遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C2)配列番号2に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMAPK9遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C3)配列番号3に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C4)配列番号4に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のサイクリンB1遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C5)配列番号5に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のpLK遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C6)配列番号6に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のRHAMM遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C7)配列番号7に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のβ3−エンドネキシン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C8)配列番号8に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBRCA2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C9)配列番号9に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBRCA2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C10)配列番号10に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のBBP/53BP2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C11)配列番号11に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のタイプIVコラーゲンα3遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C12)配列番号12に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMMP11遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C13)配列番号13に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C14)配列番号14に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(C15)配列番号15に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のP−カドヘリン遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H1)配列番号16に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のMAPK7遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H2)配列番号17に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のFGFR4遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H3)配列番号18に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のトロンボスポンジン2遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H4)配列番号3に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H5)配列番号19に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H6)配列番号20に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のカドヘリン13遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H7)配列番号21に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のPCNA遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H8)配列番号22に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のPDGFR遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H9)配列番号23に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のサイクリンB1遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H10)配列番号24に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のERCC3遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H11)配列番号25に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のCD34抗原遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
(H12)配列番号26に示される塩基配列と同一もしくは実質的に同一の塩基配列を含む、哺乳動物のインテグリンα6遺伝子に対する内在性アンチセンスRNA
本発明の内在性アンチセンスRNAにより診断が可能な癌は、癌特異的に該アンチセンスRNAの対応するセンスRNAに対する相対的発現が有意に変動する、好ましくは減少するものである限り特に制限はないが、好ましくは、前記(C1)〜(C15)のアンチセンスRNAの場合、大腸癌などが、前記(H1)〜(H12)のアンチセンスRNAの場合、肝臓癌などがそれぞれ挙げられる。
本発明の癌マーカーにより癌の診断が可能な動物は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ハムスター等)であれば特に制限はないが、好ましくはヒト、マウス、ラット、サル、イヌ等、より好ましくはヒトまたはマウスである。
配列番号1に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.M14505として登録されているヒトCDK4遺伝子のcDNA配列の244〜303番目の塩基配列のアンチセンス鎖配列である。後記実施例に示される通り、本発明のヒトアンチセンスCDK4(CDK4遺伝子に対するアンチセンスRNA;以下、他の遺伝子に対するアンチセンスRNAについても同様の略称を用いる場合がある)は、配列番号1に示される塩基配列に相補的な60merの塩基配列とハイブリダイズし得るものである。従って、該ヒトアンチセンスCDK4は配列番号1に示される塩基配列の全部もしくは一部を少なくとも含む塩基配列を有するRNAである。
配列番号16に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.U25278として登録されているヒトMAPK7遺伝子のcDNA配列の1709〜1768番目の塩基配列のアンチセンス鎖配列である。後記実施例に示される通り、本発明のヒトアンチセンスMAPK7は、配列番号16に示される塩基配列に相補的な60merの塩基配列とハイブリダイズし得るものである。従って、該ヒトアンチセンスMAPK7は配列番号16に示される塩基配列の全部もしくは一部を少なくとも含む塩基配列を有するRNAである。
同様に、配列番号2に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.L31951として登録されているヒトMAPK9(mitogen-activated protein kinase 9)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号3に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.L34058として登録されているヒトカドヘリン13(cadherin 13, H-cadherin (heart))遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号4に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.M25753として登録されているヒトサイクリンB1(Cycline B1)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号5に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.U01038として登録されているヒトpLK(Polo-like kinase (Drosophila))遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号6に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.U29343として登録されているヒトRHAMM(hyaluronan-mediated motility receptor)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号7に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.U37139として登録されているヒトβ3−エンドネキシン(integrin beta 3 binding protein (beta3-endonexin))遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号8および9に示される塩基配列はそれぞれ、GenBankデータベースにAccession No.U43746として登録されているヒトBRCA2(Breast cancer 2, early onset)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号10に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.U58334として登録されているヒトBBP/53BP2(tumor protein p53 binding protein, 2)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号11に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.X52022として登録されているヒトタイプIVコラーゲンα3(collagen, type VI, alpha 3)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号12に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.X57766として登録されているヒトMMP11(matrix metalloproteinase 11 (stromelysin 3))遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号13、14および15に示される塩基配列はそれぞれ、GenBankデータベースにAccession No.X63629として登録されているヒトP−カドヘリン(cadherin 3, type 1, P-cadherin (placental))遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号17に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.L03840として登録されているヒトFGFR4(fibroblast growth factor receptor 4)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号18に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.L12350として登録されているヒトトロンボスポンジン2(thrombospondin 2)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号19および20に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.L34058として登録されているヒトカドヘリン13(cadherin 13, H-cadherin (heart))遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号21に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.M15796として登録されているヒトPCNA(proliferating cell nuclear antigen)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号22に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.M21616として登録されているヒトPDGFR(platelet-derived growth factor receptor, beta polypeptide)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号23に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.M25753として登録されているヒトサイクリンB1(Cyclin B1)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号24に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.M31899として登録されているヒトERCC3(excision repair cross-complementing rodent repair deficiency, complementation group 3 (xeroderma pigmentosum group B complementing))遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号25に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.M81104として登録されているヒトCD34抗原(CD34 antigen)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
配列番号26に示される塩基配列は、GenBankデータベースにAccession No.X53586として登録されているヒトインテグリンα6(integrin, alpha 6)遺伝子のcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の一部である。
後記実施例に示される通り、本発明のヒトアンチセンスRNAは、各配列番号に示される塩基配列に相補的な60merの塩基配列とハイブリダイズし得るものである。従って、該ヒトアンチセンスRNAは各配列番号に示される塩基配列の全部もしくは一部を少なくとも含む塩基配列を有するRNAである。
「配列番号n(n=1〜26;以下同様)に示される塩基配列と実質的に同一な塩基配列」とは、配列番号nに示される塩基配列のフラグメントであるか、あるいはヒト以外の哺乳動物における各遺伝子オルソログのcDNA配列に対するアンチセンス鎖配列の、配列番号nに対応する領域の塩基配列、あるいはそれらの天然のアレル変異体もしくは多型を意味する。
本発明の癌マーカーアンチセンスRNAは、それらとハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸をプローブもしくはプライマーとして用いて、自体公知のRNA検出法により検出することができる。
従って、本発明はまた、本発明の癌マーカーアンチセンスRNAとハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸を含有してなる癌の診断薬を提供する。該診断薬により診断可能な癌は、癌特異的に上記アンチセンスRNAの対応センスRNAに対する相対的発現が有意に変動する、好ましくは減少するものである限り特に制限はないが、好ましくは、前記(C1)〜(C15)のいずれかのアンチセンスRNAとハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸を含有する試薬の場合、大腸癌などが、前記(H1)〜(H12)のいずれかのアンチセンスRNAとハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸を含有する試薬の場合、肝臓癌などがそれぞれ挙げられる。
本発明の癌マーカーアンチセンスRNAの検出用核酸は、通常の遺伝子発現解析において使用され得るハイブリダイゼーション条件の下で、標的アンチセンスRNA配列とハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸であれば、特に制限されない。好ましくは、該プローブは、標的アンチセンスRNA配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸である。「ストリンジェントな条件」とは、目的とする核酸配列に対して完全相補的な塩基配列と95%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列のみがハイブリダイズし得る条件を意味する。当業者は、ハイブリダイゼーション溶液の塩濃度、ハイブリダゼーション反応の温度、プローブ濃度、プローブの長さ、ミスマッチの数、ハイブリダイゼーション反応の時間、洗浄液の塩濃度、洗浄の温度等を適宜変更することにより、所望のストリンジェンシーに容易に調節することができる。
本発明の癌マーカーアンチセンスRNAの検出用核酸としては、検出対象であるアンチセンスRNAと特異的にハイブリダイズし得る核酸プローブや、該アンチセンスRNAの一部もしくは全部を増幅するプライマーとして機能し得る一対のオリゴヌクレオチド(プライマー)などが挙げられる。該核酸はDNAであってもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。好ましくはDNAが挙げられる。
プローブとして用いられる核酸は、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。該核酸の長さは標的アンチセンスRNAと特異的にハイブリダイズし得る限り特に制限はなく、例えば約15塩基以上、好ましくは約30塩基以上である。該核酸は、標的核酸の検出・定量を可能とするために、標識剤により標識されていることが好ましい。標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔32P〕、〔H〕、〔14C〕などが用いられる。酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、プローブと標識剤との結合にビオチン−(ストレプト)アビジンを用いることもできる。一方、プローブとなる核酸を固相上に固定化する場合には、試料中の核酸を上記と同様の標識剤を用いて標識することができる。
プライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドのセットとしては、配列番号nに示される塩基配列を含むアンチセンスRNAから、自体公知の方法を用いて合成される二本鎖DNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖とそれぞれ特異的にハイブリダイズすることができ、それらに挟まれるDNA断片を増幅し得るものであれば特に制限はなく、例えば、各々約15〜約100塩基、好ましくは各々約15〜約50塩基の長さを有し、約100bp〜数kbpのDNA断片を増幅するようにデザインされたオリゴDNAのセットが挙げられる。
本発明の癌マーカーアンチセンスRNAを検出し得るプローブとして機能する核酸は、該アンチセンスRNAの一部もしくは全部を増幅し得るプライマーセットを用い、哺乳動物の任意の細胞[例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など]もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織[例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、脂肪組織、骨格筋など]由来の全RNAを鋳型として、RT−PCR法により、所望の長さの核酸を増幅することにより取得することができる。あるいは、該核酸は、本発明の癌マーカーアンチセンスRNAに対応するセンスRNA(cDNA)の各塩基配列情報(例えば、ヒトCDK4およびヒトMAPK7の場合、GenBankデータベースにそれぞれAccession No.M14505およびU25278として登録されている)に基づいて、該塩基配列および/またはその相補鎖配列の一部もしくは全部を市販のDNA/RNA自動合成機等を用いて化学的に合成することによっても得ることができる。また、シリコンやガラス等の固相上で該核酸を直接in situ(on chip)合成することにより、該核酸が固相化されたチップ(アレイ)を作製することもできる。
これらの核酸は、乾燥した状態もしくはアルコール沈澱の状態で、固体として提供することもできるし、水もしくは適当な緩衝液(例:TE緩衝液等)中に溶解した状態で提供することもできる。標識プローブとして用いられる場合、該核酸は予め上記のいずれかの標識物質で標識した状態で提供することもできるし、標識物質とそれぞれ別個に提供され、用時標識して用いることもできる。
あるいは、該核酸は、適当な固相に固定化された状態で提供することもできる。固相としては、例えば、ガラス、シリコン、プラスチック、ニトロセルロース、ナイロン、ポリビニリデンジフロリド等が挙げられるが、これらに限定されない。また、固定化手段としては、予め核酸にアミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチンなどの官能基を導入しておき、一方、固相上にも該核酸と反応し得る官能基(例:アルデヒド基、アミノ基、SH基、ストレプトアビジンなど)を導入し、両官能基間の共有結合で固相と核酸を架橋したり、ポリアニオン性の核酸に対して、固相をポリカチオンコーティングして静電結合を利用して核酸を固定化するなどの方法が挙げられるが、これらに限定されない。
核酸プローブが固相に固定化された状態で提供される好ましい一例として、DNAマイクロアレイが挙げられる。DNAマイクロアレイの作製法としては、フォトリソグラフィー法を用いて核酸プローブを基板(ガラス、シリコンなど)上で1ヌクレオチドずつ合成するAffymetrix方式と、マイクロスポッティング法、インクジェット法、バブルジェット(登録商標)法などを用いて、予め調製された核酸プローブを基板上にスポッティングするStanford方式とが挙げられるが、30mer以上のプローブを用いる場合にはStanford方式、あるいは両者を組み合わせた手法を用いるのが好ましい。
微量RNA試料を用いて本発明の癌マーカーアンチセンスRNAの発現を定量的に解析するためには、競合RT−PCRまたはリアルタイムRT−PCRを用いることが好ましい。競合RT−PCRとは、目的のDNAを増幅し得るプライマーのセットにより増幅され得る既知量の他の鋳型核酸をcompetitorとして反応液中に共存させて競合的に増幅反応を起こさせ、増幅産物の量を比較することにより、目的DNAの量を算出する方法をいう。従って、競合RT−PCRを用いる場合、本発明の試薬は、上記プライマーセットに加えて、該プライマーセットにより増幅され、目的DNAと区別することができる増幅産物(例えば、目的のDNAとはサイズの異なる増幅産物、制限酵素処理により異なる泳動パターンを示す増幅産物など)を生じる核酸をさらに含有することができる。このcompetitor核酸はDNAであってもRNAであってもよい。DNAの場合、RNA試料から逆転写反応によりcDNAを合成した後にcompetitorを添加してPCRを行えばよく、RNAの場合は、RNA試料に最初から添加してRT−PCRを行うことができる。後者の場合、逆転写反応の効率も考慮に入れているので、元のmRNAの絶対量を推定することができる。
一方、リアルタイムRT−PCRは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニタリングできるので、電気泳動が不要で、より迅速に本発明の癌マーカーアンチセンスRNAの発現を解析可能である。通常、モニタリングは種々の蛍光試薬を用いて行われる。これらの中には、SYBR Green I、エチジウムブロマイド等の二本鎖DNAに結合することにより蛍光を発する試薬(インターカレーター)の他、上記プローブとして用いることができる核酸(但し、該核酸は増幅領域内で標的核酸にハイブリダイズする)の両端をそれぞれ蛍光物質(例:FAM、HEX、TET、FITC等)および消光物質(例:TAMRA、DABCYL等)で修飾したもの等が含まれる。
本発明はまた、上記した本発明の癌マーカーアンチセンスRNAを検出し得る核酸を用いて、被験哺乳動物から採取したRNA含有試料中の該癌マーカーアンチセンスRNA量を測定することを含む、癌診断のための検査方法を提供する。
被験哺乳動物から採取されるRNA含有試料としては、あらゆる細胞[例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など]もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織[例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、眼球、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、脂肪組織、骨格筋など]などが例示されるが、検出すべきアンチセンスRNAを発現し得る限り、迅速且つ簡便に採取することができ、動物への侵襲が少ないなどの点から、血液(例:末梢血)、リンパ球等が好ましい。
被験哺乳動物から採取した細胞含有試料におけるアンチセンスRNAの発現は、該試料から全RNA画分を調製し、該画分中に含まれる該マーカーアンチセンスRNAを検出することにより調べることができる。RNA画分の調製は、グアニジン−CsCl超遠心法、AGPC法など公知の手法を用いて行うことができるが、市販のRNA抽出用キット(例:RNeasy Mini Kit;QIAGEN製等)を用いて、微量試料から迅速且つ簡便に高純度の全RNAを調製することができる。RNA画分中の遺伝子転写産物を検出する手段としては、例えば、ハイブリダイゼーション(ノーザンブロット、ドットブロット、DNAチップ(マイクロアレイ)解析等)を用いる方法、あるいはPCR(RT−PCR、競合PCR、リアルタイムPCR等)を用いる方法などが挙げられる。微量試料から迅速且つ簡便に定量性よく遺伝子の発現変動を検出できる点で競合PCRやリアルタイムPCRなどの定量的PCR法が、また、複数のマーカー遺伝子の発現変動を一括検出することができ、検出方法の選択によって定量性も向上させ得るなどの点でDNAチップ(マイクロアレイ)解析が好ましい。
ノーザンブロットまたはドットブロットハイブリダイゼーションによる場合、アンチセンスRNA発現の検出は、標識プローブとして用いられる核酸を含有する上記本発明の診断用試薬を用いて行うことができる。すなわち、ノーザンハイブリダイゼーションによる場合は、上記のようにして調製したRNA画分をゲル電気泳動にて分離した後、ニトロセルロース、ナイロン、ポリビニリデンジフロリド等のメンブレンに転写し、本発明の試薬を含むハイブリダイゼーション緩衝液中、好ましくは上記「ストリンジェントな条件下で」ハイブリダイゼーションさせた後、適当な方法でメンブレンに結合した標識量をバンド毎に測定することにより、各遺伝子の発現量を測定することができる。ドットブロットの場合も、RNA画分をスポットしたメンブレンを同様にハイブリダイゼーション反応に付し(各アンチセンスRNAについてそれぞれ行う)、スポットの標識量を測定することにより、各アンチセンスRNAの発現量を測定することができる。
DNAチップ(マイクロアレイ)解析による場合、例えば、上記のようにして調製したRNA画分から、逆転写反応によりT7プロモーター等の適当なプロモーターを導入したcDNAを合成し、さらにRNAポリメラーゼを用いてcRNAを合成する(この時ビオチンなどで標識したモノヌクレオチドを基質として用いることにより、標識されたcRNAが得られる)。この標識cRNAを上記固相化プローブと接触させてハイブリダイゼーション反応させ、固相上の各プローブに結合した標識量を測定することにより、各アンチセンスRNAの発現量を測定することができる。
本発明の方法において、被験哺乳動物が癌を発症している(もしくは将来発症する可能性が高い)か否かの判定は、例えば、健常な対照哺乳動物から採取したRNA含有試料中の本発明の癌マーカーアンチセンスRNAの発現量を、同様にして測定し、被験動物と対照動物との間で該アンチセンスRNAの発現を比較することにより行うことができる。その結果、被験動物と対照動物との間で該アンチセンスRNAの発現が有意に変動、好ましくは被験動物において有意に減少していた場合に、該被験動物は癌を発症している(もしくは将来発症する可能性が高い)と判定することができる。
本発明の診断方法は、アンチセンスRNAに対応するセンス鎖より転写されるmRNAの発現を検出することを含み得る。センス−アンチセンスRNAの発現のバランスを被験動物と対照動物との間で比較し、その結果、被験動物と対照動物との間で該発現バランスが有意に変動、好ましくは対照動物でセンス鎖の発現に対してアンチセンスRNAの発現が高いのに比べて、被験動物でセンス鎖の発現に対してアンチセンスRNAの発現が減少していた場合に、該被験動物は癌を発症している(もしくは将来発症する可能性が高い)と判定することができる。
本発明の癌マーカーアンチセンスRNAは、癌遺伝子であるCDK4およびMAPK7の発現を負に制御しており、癌患者では、センス鎖の遺伝子発現が上昇するのみならず、これら内在性アンチセンスRNAの発現が顕著に減少することにより、癌遺伝子産物の発現が相乗的に増大しているものと考えられる。従って、これら内在性アンチセンスRNAの塩基配列の全部もしくは一部を含む核酸は、アンチセンス医薬やRNAi医薬と同様に、癌患者におけるCDK4およびMAPK7タンパク質の発現を抑制する効果を奏すると考えられる。このような内在性アンチセンスRNAをミミックした核酸は、配列情報から人為的にデザインされたアンチセンスまたはRNAi医薬と比較して、翻訳抑制効果、副作用低減、体内動態改善などの面で優れていることが期待される。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって本発明の範囲を何ら限定するものではない。
マイクロアレイの作製
遺伝子特異的な60merのオリゴDNAからなるプローブを用い、アジレント社のシステムを使用して、カスタムマイクロアレイを作成した。プローブとしては、癌研究に利用される遺伝子の配列(センス鎖)のプローブと共に、そのアンチセンス鎖に対するプローブをマイクロアレイ上に載せた。アンチセンス鎖プローブに関しては、遺伝子(cDNA配列)の相補鎖の配列を準備し、特異的な60merを選び、アレイ上に搭載した。アンチセンス鎖プローブは、cDNA配列解析の結果、センス鎖に対するアンチセンス鎖が発見されていない遺伝子のアンチセンス鎖側のプローブも含んでいた。
発現解析
実施例1のマイクロアレイチップを用い、癌試料の発現解析を行った。試料のオリゴdTラベルには、アジレント社指定の1色法用のラベリングキットと蛍光色素(Cy3)を用い、ターゲットcRNAを作製しハイブリダイゼーションを行った。ランダムプライミング法に関しては、Amersham社のCyScribe First−Strand cDNA Labeling Kitを用いて、ターゲットcDNAを作製しハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション及び洗浄は、アジレント社の推薦するプロトコルにしたがった。
ハイブリダイゼーション後は、アジレント社のスキャナーでスライドグラス上の蛍光強度を測定し、アジレント社の提供するソフトウェア(Feature Extraction)によりデータの補正を行い、シグナル値(processed signal)を得た。
以上のデータに基づき、センス鎖とアンチセンス鎖のシグナル比を疾患試料と正常組織間で比較することにより、疾患特異的に発現するアンチセンスRNAの同定を行った。
(1)大腸癌試料の発現解析
大腸癌で発現が上がることが知られている12遺伝子に関して、そのセンス鎖及びアンチセンス鎖の発現解析を上記方法に従って行った。プローブには、センス鎖およびアンチセンス鎖としてそれぞれ、表1に記載の各配列番号に示される塩基配列を標的化するように、それらに相補的な塩基配列を用いた。
Figure 0005435609
試料には6人の大腸癌患者の手術由来の癌組織、及びその周辺の正常組織を用い、Trizol(Invitrogen)などを用いたguanidinium−thiocyanate−phenol−chloroform法でRNAを抽出した。
得られた試料に関して、オリゴdTプライム法によりラベルして解析を行ったところ、いずれの遺伝子についても、センスRNAは大腸癌試料において正常組織より全般的に高い発現が見られたが、アンチセンスRNAの発現は検出されないか、あるいは低いレベルでしか検出されなかった(図1〜15のAおよびB)。一方、試料をランダムプライミング法でラベルしたところ、アンチセンスRNAのセンスRNAに対する相対的発現は、正常組織に比べて大腸癌試料で有意に低く、センス鎖/アンチセンス鎖の発現が正常と癌試料で逆転していた(図1〜15のCおよびD)。
(2)肝臓癌試料の発現解析
肝臓癌で発現が上がることが知られている10遺伝子に関して、そのセンス鎖及びアンチセンス鎖の発現解析を上記方法に従って行った。プローブには、センス鎖およびアンチセンス鎖としてそれぞれ、表2に記載の各配列番号に示される塩基配列を標的化するように、それらに相補的な塩基配列を用いた。
Figure 0005435609
また解析試料には、5人の肝臓癌患者の試料を用い、上記(1)の場合と同様にして、癌組織および周辺の正常組織からRNAを抽出した。
その結果、大腸癌試料と同様に、オリゴdTプライム法によりラベルした解析では、センスRNAは肝臓癌試料において正常組織より全般的に高い発現が見られた(図16〜27のAおよびB)。一方、試料をランダムプライミング法でラベルしたところ、アンチセンスRNAのセンスRNAに対する相対的発現は、正常組織に比べて大腸癌試料で有意に低く、センス鎖/アンチセンス鎖の発現が正常と癌試料で逆転していた(図16〜27のCおよびD)。
以上の結果から、大腸癌及び肝臓癌患者では、それぞれ表1及び表2に列挙した遺伝子が、センス鎖とアンチセンス鎖の発現が正常組織と癌試料とで逆転するという特異的な発現パターンを有することが示された。このことから、センス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAの二本鎖RNA形成などを通じた相互作用によりお互いの発現を制御していることが強く示唆された。
本発明の新規内在性アンチセンスRNAは、癌患者において健常者に比べて顕著に発現が減少しているので、癌マーカーとして有用である。また、これら内在性アンチセンスRNAは、アンチセンス医薬またはRNAi医薬と同様の作用によりセンス鎖から生じるmRNAのタンパク質への翻訳を抑制すると考えられるので、より有効かつ安全なアンチセンス医薬もしくはRNAi医薬のデザインにおいても有用であり得る。
大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるCDK4の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるMAPK9の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるカドヘリン13の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるサイクリンB1の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるpLKの発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるRHAMMの発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるβ3−エンドネキシンの発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるBRCA2の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるBRCA2の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるBBP/53BP2の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるタイプIVコラーゲンα3の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるMMP11の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるP−カドヘリンの発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるP−カドヘリンの発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 大腸癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるP−カドヘリンの発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるMAPK7の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるFGFR4の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるトロンボスポジン2の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるカドヘリン13の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるカドヘリン13の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるカドヘリン13の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるPCNAの発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるPDGFRの発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるサイクリンB1の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるERCC3の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるCD34抗原の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。 肝臓癌組織試料(A,C)および正常組織試料(B,D)におけるオリゴdTプライム法(A,B)およびランダムプライミング法(C,D)によるインテグリンα6の発現を示す図である。横軸の6つのカラムは患者個体を示し、各患者の左側バーがセンス鎖、右側バーがアンチセンス鎖の発現を示す。

Claims (3)

  1. 哺乳動物から採取したRNA含有試料における、センスRNAに対する相対的発現が大腸癌特異的に減少する、ポリ(A)鎖を有さない非翻訳性アンチセンスRNAを測定することを含む、大腸癌診断を補助するための検査方法であって、
    (a) ランダムプライミング法によって哺乳動物から採取したRNA含有試料から作製したターゲットcDNAを、(b) 配列番号29に対する相補的なオリゴDNAを含む、非翻訳性アンチセンスRNA検出用のプローブと、ハイブリダイゼーションさせることで非翻訳性アンチセンスRNAを測定し、さらに、(c) 配列番号1に対する相補的なオリゴDNAを含む、センスRNA検出用のプローブと、ハイブリダイゼーションさせることでセンスRNAの発現を測定し、(d) 前記アンチセンスRNAのセンスRNAに対する相対的発現の比較を行う、検査方法。
  2. 請求項1(b)及び(c)に記載のプローブ含む、大腸癌診断薬。
  3. 請求項1(b)及び(c)に記載のプローブ含み、前記オリゴDNAが固相化された1以上の核酸を含有してなる、大腸癌診断のためのマイクロアレイ。
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