本発明に係る携帯端末の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る携帯端末の一例であるスライド型の携帯電話機1の外観の構成を示す図である。図1(A)は、携帯電話機1が伸ばされて第二操作部21が露出した状態(開状態)のときの正面から見た外観の構成を示す。図1(B)は、携帯電話機1が縮められて下部筐体12の主表面と上部筐体13の背面とが重なり合った状態(閉状態)のときの正面から見た外観の構成を示す。
図1に示す携帯電話機1は、上部筐体13の主表面上のディスプレイ14が常に露出される。携帯電話機1は、図1(B)に示す上部筐体13を下部筐体12に重ねた閉状態から、上部筐体13が下部筐体12に対して矢印X方向にスライドされることにより、図1(A)に示す開状態となり、下部筐体12上の第二操作部21が現れる。この開状態と閉状態は、それぞれ「第一の状態」と「第二の状態」、または「第二の状態」と「第一の状態」に該当する。
上部筐体13の主表面上の大半のエリアはディスプレイ14が占めている。ディスプレイ14は、電波の受信状態、電池残量の他、電子メールの内容、簡易ホームページなどを表示することができる。ディスプレイ14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイにより構成されるディスプレイである。
ディスプレイ14の下側のエリアには、限られた操作を行うための第一操作部15が配置される。第一操作部15には、上下左右方向キーを備えた十字キー16、確定キー17、タッチセンサ18からなる入力手段が設けられる。
十字キー16は、上下左右方向に操作されることによりディスプレイ14に表示されたカーソルなどを上下左右方向に移動させることができる。また、確定キー17が押下されることにより、種々の処理の確定処理が実行される。
タッチセンサ18は、所定数(例えば4個)配置されており、十字キー16の周囲を囲むように配置されている。タッチセンサ18は、制御部(図2の制御部41)と共に、接触の開始および終了を検出することにより指示の入力を受け付ける接触式入力手段として機能する。タッチセンサ18には、静電容量方式、抵抗膜方式、音響パルス方式、超音波方式、表面弾性波方式、赤外遮光方式、電磁誘導方式などの種々の方式を適用することができる。
図1(A)に示すように、下部筐体12の主表面上には例えば押下により入力操作される第二操作部21が配置されている。第二操作部21は、閉状態では上部筐体13の背後に隠れる。第二操作部21には、操作キー22からなる入力手段が設けられる。操作キー22は、「0」から「9」の数字や「あ」行から「わ」行のかな文字、「A」から「Z」のアルファベットの入力が可能である。
なお、第一操作部15と第二操作部21とに構成される各種入力手段は一例であって、他の機能が割り当てられたキーなどをさらに配置してもよい。
下部筐体12または上部筐体13には、図示しないマイクロフォン(図2のマイクロフォン25)、レシーバ(図2のレシーバ26)が所定位置に設けられており、通話機能を実現することができる。マイクロフォンは通話時のユーザの音声を集音し、電気信号に変換する。レシーバは、電気信号を可聴な音声に変換する。また、下部筐体12には、背面側に図示しないバッテリパックが挿着されている。携帯電話機1は、所定の入力操作により電源がオン状態になると、バッテリパックから各回路部に対して電力が供給されて動作可能な状態に起動する。
携帯電話機1には、筐体12、13の開状態および閉状態を検出するための磁気センサ24a、24b、24cおよび24d(磁気センサ24)が設けられる。磁気センサ24a、24bは、上部筐体13の所定の位置に配置される。磁気センサ24c、24dは下部筐体12の内部の所定の位置に配置される。磁気センサ24は、筐体12、13の開状態と閉状態との間での遷移動作の開始および終了を検出する検出手段として機能する。
図2は、本実施形態における携帯電話機1の内部の構成を示す図である。図示せぬ基地局から送信されてきた無線信号は、アンテナ31で受信された後、アンテナ共用器(DUP)32を介して受信回路(RX)33に入力される。受信回路33は、受信された無線信号を周波数シンセサイザ(SYN)34から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、受信回路33は、このダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号の周波数は、制御部41から出力される制御信号SYCによって指示される。
受信回路33からの受信ベースバンド信号は、CDMA信号処理部36に入力される。CDMA信号処理部36は、図示せぬRAKE受信機を備える。このRAKE受信機では、受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(すなわち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相が調停された後、コヒーレントRake合成される。Rake合成後のデータ系列は、デインタリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが得られる。この受信パケットデータは、圧縮伸張処理部37に入力される。
圧縮伸張処理部37は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、CDMA信号処理部36から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によりメディアごとに分離し、分離されたメディアごとのデータに対してそれぞれ復号処理を行う。例えば通話モードにおいては、受信パケットデータに含まれる通話音声などに対応するオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。また、例えばテレビ電話モードなどのように、受信パケットデータに動画像データが含まれていれば、この動画像データをビデオコーデックにより復号する。さらに、受信パケットデータがダウンロードコンテンツであれば、このダウンロードコンテンツを伸張した後、伸張されたダウンロードコンテンツを制御部41に出力する。
復号処理により得られたディジタルオーディオ信号はPCMコーデック38に供給される。PCMコーデック38は、圧縮伸張処理部37から出力されたディジタルオーディオ信号をPCM復号し、PCM復号後のアナログオーディオデータ信号を受話増幅器39に出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器39にて増幅された後、レシーバ26により出力される。
圧縮伸張処理部37によりビデオコーデックにて復号されたディジタル動画像信号は、制御部41に入力される。制御部41は、圧縮伸張処理部37から出力されたディジタル動画像信号に基づく動画像を、図示せぬビデオRAM(例えばVRAMなど)を介してディスプレイ14に表示させる。
また、圧縮伸張処理部37は、受信パケットデータが電子メールである場合、この電子メールを制御部41に供給する。制御部41は、圧縮伸張処理部37から供給された電子メールを記憶部42に記憶させる。そして、制御部41は、ユーザによる入力部としての操作キー22の操作に応じて、記憶部42に記憶されているこの電子メールを読み出し、読み出された電子メールをディスプレイ14に表示させる。
一方、通話モードにおいて、マイクロフォン25に入力された話者(ユーザ)の音声信号(アナログオーディオ信号)は、送話増幅器40により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック38によりPCM符号化される。このPCM符号化後のディジタルオーディオ信号は、圧縮伸張処理部37に入力される。さらに、制御部41にて作成されたテキストデータである電子メールも、圧縮伸張処理部37に入力される。
圧縮伸張処理部37は、PCMコーデック38から出力されたディジタルオーディオ信号を所定の送信データレートに応じたフォーマットで圧縮符号化する。これにより、オーディオデータが生成される。また、圧縮伸張処理部37は、制御部41から出力されたディジタル動画像信号を圧縮符号化して動画像データを生成する。そして、圧縮伸張処理部37は、これらのオーディオデータや動画像データを図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化した後にパケット化し、パケット化後の送信パケットデータをCDMA信号処理部36に出力する。なお、圧縮伸張処理部37は、制御部41から電子メールが出力された場合にも、この電子メールを送信パケットデータに多重化する。
CDMA信号処理部36は、圧縮伸張処理部37から出力された送信パケットデータに対し、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理を施し、スペクトラム拡散処理後の出力信号を送信回路(TX)35に出力する。送信回路35は、スペクトラム拡散処理後の信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのディジタル変調方式を使用して変調する。送信回路35は、ディジタル変調後の送信信号を、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして、送信回路35は、制御部41により指示される送信電力レベルとなるように、このアップコンバートにより生成された無線信号を高周波増幅する。この高周波増幅された無線信号は、アンテナ共用器32を介してアンテナ31に供給され、このアンテナ31から図示せぬ基地局に向けて送信される。また、携帯電話機1には、現在の正確な時刻や所定の時間を測定する時計回路45が設けられている。
制御部41は、CPU(central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなる。CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部42からRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯電話機1を統括的に制御する。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。また、制御部41はビデオRAMも備え、ディスプレイ14に表示される映像に関する情報が一時的に格納される。制御部41は、本実施形態においては制御手段として機能する。
記憶部42は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部41のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群を格納している。電源回路44は、バッテリ43の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。
図3は、本実施形態における携帯電話機1の閉状態から開状態への遷移動作を説明する図である。なお、携帯電話機1の開状態から閉状態への遷移動作の説明については、図3の閉状態から開状態への遷移動作の逆であるため、説明を省略する。
図3に示すように、下部筐体12と上部筐体13とをスライドさせて閉状態から開状態に遷移させる場合、図3(A)に示すように操作者は指を上部筐体13のいずれかの位置に(図ではタッチセンサ18が配置された領域)に押し当てる可能性が高い。その後、図3(B)に示すように、操作者は上部筐体13を矢印X方向にスライドさせる動作を行うことにより、図3(C)に示す開状態へと携帯電話機1の状態を遷移させる。このとき、上部筐体13をスライドさせる操作者の指は、タッチセンサ18に接触する可能性が非常に高い。
本実施形態における携帯電話機1は、筐体12、13が開状態と閉状態との間での遷移動作中における、意図しないタッチセンサ18の接触による誤動作が発生することを好適に防止することができる。
以下に説明する筐体遷移動作時の入力処理においては、携帯電話機1は、筐体12、13の遷移動作の開始を検出した後から遷移動作の終了を検出するまでの間、タッチセンサ18の電源をオフ状態にすることにより、意図しないタッチセンサ18に対する接触による誤動作の発生を防止することができる。
ここで、携帯電話機1は、図1に示す下部筐体12の磁気センサ24c、24dにより、上部筐体13に設けられた磁気センサ24a、24bの検出のレベルを検出し、遷移動作の開始および終了や、筐体12、13の現在の状態(開状態および閉状態)を検出する。
本実施形態における閉状態から開状態への遷移動作の開始時は、磁気センサ24dにより検出される磁気センサ24aの検出信号が、所定レベル以下に移行した時が該当する。また、閉状態から開状態への遷移動作の終了時は、磁気センサ24cにより検出される磁気センサ24bの検出信号が、所定レベル以上に移行した時が該当する。開状態から閉状態への遷移動作の開始時は、磁気センサ24cにより検出される磁気センサ24bの検出信号が、所定レベル以下に移行した時が該当する。また、開状態から閉状態への遷移動作の終了時は、磁気センサ24dにより検出される磁気センサ24aの検出信号が、所定レベル以上に移行した時が該当する。なお、磁気センサ24a乃至24dの配置はこれに限定されない。また数も限定されない。また、機構的に図3の(A)の状態か(C)の状態かを判断するようにしてもよい。
図4は、本実施形態における携帯電話機1の制御部41により実行される筐体遷移動作時の入力処理を説明するフローチャートである。この筐体遷移動作時の入力処理は、携帯電話機1が、所定の入力操作により電源をオン状態にする指示を受け付けた後や、第一操作部15および第二操作部21の操作ロックが解除(一部の操作部のロックの解除の場合に適用しても良いし、ジョグダイヤル17のロック解除、タッチセンサ18のロック解除に適用しても良い、以下同じ。)されることにより、入力処理の実行が開始された場合に開始される。また、タッチセンサの動作は接触するだけでは、入力したことにならず、接触から所定時間経過すること(長押し動作)または接触から所定時間経過前に接触の終了を検出すること(短押し動作)で動作するものとする。
ステップS1において、制御部41は、タッチセンサ18の電源をオン状態にする。タッチセンサ18は、接触の開始(以下、タッチという。)および接触の終了(以下、リリースという。)を検出することにより、入力操作の受け付けが可能となる。
ステップS2において、制御部41は、入力処理が終了したか否かの判定を行う。入力処理は、携帯電話機1が所定の入力操作により電源をオフ状態にする指示を受け付けた場合や、第一操作部15や第二操作部21の操作ロックが設定された場合に終了される。制御部41は、入力処理が終了したと判定した場合、筐体遷移動作時の入力処理を終了する。
一方、制御部41は、入力処理が終了していないと判定した場合、ステップS3において、所定のイベントの発生を検出したか否かの判定を行う。所定のイベントには、筐体12、13の遷移動作の開始および終了イベント、タッチセンサ18のタッチおよびリリースイベントが該当する。なお、本実施形態においては、他のイベント処理(例えば、操作キー22の押下、通話着信)が発生した場合についての説明は省略する。制御部41は、所定のイベントを検出していないと判定した場合、入力処理終了判定ステップS2に戻る。
制御部41は、イベント発生判定ステップS3において筐体12、13の遷移動作の開始イベントの発生を検出した場合、ステップS4において、筐体動作フラグをオンにセットする。ステップS5において、制御部41は、タッチセンサ18の電源をオフ状態にして、タッチセンサ18の入力を受け付けないオフ状態にさせる。ここで、タッチセンサ18がオフ状態になることにより、制御部41はタッチセンサ18のタッチおよびリリースを検出しない。このため、携帯電話機1は、筐体12、13の遷移動作中に意図しないタッチセンサ18に対する接触が発生しても、タッチセンサ18に割り当てられた処理を誤動作することがない。
ステップS6において、制御部41は、タッチフラグをオフする。このタッチフラグは、通常、イベント発生判定ステップS3においてタッチセンサ18のタッチイベントを検出した後に、フラグONステップS9においてオンにセットされるものである。制御部41は、筐体12、13の遷移動作の開始に伴い、このタッチフラグをオフにすることにより、既に発生し検出されたタッチセンサ18のタッチイベントを破棄する。なお、制御部41は、ステップS6においてタッチフラグがオフであった場合には、そのままオフの状態を維持する。制御部41は、入力処理終了判定ステップS2に戻り、以降の処理を繰り返す。
次に、制御部41は、イベント発生判定ステップS3において筐体12、13の遷移動作の終了イベントを検出した場合、ステップS7において、筐体動作フラグをオフにする。ステップS8において、制御部41は、タッチセンサ18の電源をオン状態にして、タッチセンサ18の入力を受け付けるオン状態にさせる。本処理は、筐体12、13の遷移動作の開始の検出に伴い、タッチセンサOFFステップS5においてオフ状態になっていたタッチセンサ18をオン状態にし、入力操作の受け付けが可能な状態に復帰させる処理である。制御部41は、入力処理終了判定ステップS2に戻り、以降の処理を繰り返す。
一方、制御部41は、イベント発生判定ステップS3においてタッチセンサ18のタッチイベントを検出した場合、ステップS9において、タッチフラグをオンにセットする。制御部41は、入力処理終了判定ステップS2に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、制御部41は、イベント発生判定ステップS3においてタッチセンサ18のリリースイベントの発生を検出した場合、ステップS10において、タッチフラグがオンにセットされているか否かの判定を行う。制御部41は、タッチフラグがオフであると判定した場合、ステップS11において、リリースイベントを破棄する。対応するタッチイベントが発生していないためである。タッチフラグがオフであるにも関わらずリリースが検出される場合は、筐体12、13の遷移動作の開始前および遷移動作中(タッチセンサ18はオフ状態)にタッチセンサ18がタッチされたまま、筐体12、13の遷移動作が終了(タッチセンサ18はオン状態)した後に、タッチセンサ18がリリースされた場合などが該当する。
制御部41は、タッチフラグがオンにセットされていると判定した場合、ステップS12において、タッチフラグをオフにする。また、ステップS13において、タッチセンサ18のリリースイベントの発生を検出したことに伴う所定の処理を実行する。すなわち、制御部41は、タッチセンサ18より入力を受け付けた指示に基づき所定の処理を実行する。なお、前述の通り、制御部41は、検出されたタッチに対応するリリースが検出された時点で、タッチセンサ18に割り当てられた所定の処理を実行するようになっている。タッチセンサ18は、タッチからリリースまでの時間(接触時間)に応じて異なる入力操作を受け付けることができる。タッチセンサ18は上述した動作に限らず、タッチを検出した時点で所定の処理を実行するように構成してもよい。制御部41は、入力処理終了判定ステップS2に戻り、以降の処理を繰り返す。
この筐体遷移動作時の入力処理では、筐体12、13の遷移動作開始から終了までタッチセンサ18の電源をオフ状態にする。このため、タッチセンサ18のタッチおよびリリースイベントは、筐体12、13の遷移動作開始から終了まで発生することがないため、筐体12、13の遷移動作に伴う誤動作の発生を好適に防止することができる。
また、1.タッチセンサ18のタッチイベント、2.筐体12、13の遷移動作開始イベント、3.筐体12、13の遷移動作終了イベント、4.タッチセンサ18のリリースイベントの順にイベントが発生した場合には、2.筐体12、13の遷移動作開始イベント発生後のフラグOFFステップS6でタッチフラグがオフにセットされる。このため、筐体12、13の遷移動作開始前に意図しないタッチセンサ18のタッチが発生しても、4.タッチセンサ18のリリースイベント発生後のフラグON判定ステップS10においてタッチフラグはオフであると判定され、リリースの検出が破棄されて、誤動作が発生しないようになっている。
さらに、筐体12、13の遷移動作時においては、タッチセンサ18をオフ状態にするため、省電力化にも有効である。
次に、本実施形態における携帯電話機1により実行される、他の筐体遷移動作時の入力処理について説明する。
以下に説明する他の筐体遷移動作時の入力処理においては、携帯電話機1は、筐体12、13の遷移動作の開始を検出した後から遷移動作の終了を検出するまでの間にタッチセンサ18のタッチまたはリリースイベントが発生した場合、イベントを破棄することによりタッチセンサ18が入力を受け付けた指示を無視する。このため、携帯電話機1は、意図しないタッチセンサ18に対する接触による誤動作の発生を防止することができる。以下、他の筐体遷移動作時の入力処理の詳細について説明する。
図5は、本実施形態における携帯電話機1の制御部41により実行される他の筐体遷移動作時の入力処理を説明するフローチャートである。この他の筐体遷移動作時の入力処理は、携帯電話機1が、所定の入力操作により電源をオン状態にする指示を受け付けた後や、第一操作部15や第二操作部21の操作ロックが解除されることにより、入力処理の実行が開始された場合に開始される。
タッチセンサ電源ONステップS21〜イベント発生判定ステップS23の処理は、図4の筐体遷移動作時の入力処理のタッチセンサ電源ONステップS1〜イベント発生判定ステップS3の処理とほぼ同様であるため、説明を省略する。
制御部41は、イベント発生判定ステップS23において筐体12、13の遷移動作の開始イベントの発生を検出した場合、ステップS24において、筐体動作フラグをオンにセットする。また、ステップS25において、制御部41は、タッチフラグをオフにセットする。制御部41は、筐体12、13の遷移動作の開始に伴い、このタッチフラグをオフにすることにより、既に発生したタッチセンサ18のタッチイベントを破棄する。なお、制御部41は、ステップS25でタッチフラグがオフであった場合には、そのままオフの状態を維持する。制御部41は、入力処理終了判定ステップS22に戻り、以降の処理を繰り返す。
次に、制御部41は、イベント発生判定ステップS23において筐体12、13の遷移動作の終了イベントを検出した場合、ステップS26において、筐体動作フラグをオフにする。制御部41は、入力処理終了判定ステップS22に戻り、以降の処理を繰り返す。
一方、制御部41は、イベント発生判定ステップS23においてタッチセンサ18のタッチを検出した場合、ステップS27において、筐体動作フラグがオンにセットされているか否かの判定を行う。制御部41は、筐体動作フラグがオフであると判定した場合、ステップS28において、タッチフラグをオンにセットする。制御部41は、入力処理終了判定ステップS22に戻り、以降の処理を繰り返す。
一方、制御部41は、筐体動作フラグがオンにセットされていると判定した場合、ステップS29において、タッチイベントを破棄する。筐体12、13の遷移動作中であるにも関わらず発生したタッチセンサ18のタッチであるため、発生したタッチイベントを意図しないタッチであるとみなすことができるためである。
また、制御部41は、イベント発生判定ステップS23においてタッチセンサ18のリリースイベントの発生を検出した場合、ステップS30において、筐体動作フラグがオンにセットされているか否かの判定を行う。制御部41は、筐体動作フラグがオンにセットされていると判定した場合、ステップS29においてリリースイベントを破棄する。筐体12、13の遷移動作中であるにも関わらず発生したタッチセンサ18のリリースであるため、意図しないタッチに対応するリリースであるとみなすことができるためである。
一方、制御部41は、筐体動作フラグがオフであると判定した場合、ステップS31において、タッチフラグがオンにセットされているか否かの判定を行う。制御部41は、タッチフラグがオフであると判定した場合、ステップS29においてリリースイベントを破棄する。対応するタッチイベントが発生していないためである。
タッチフラグがオフであるにも関わらずリリースが検出される場合は、筐体12、13の遷移動作の開始前および遷移動作中からタッチセンサ18がタッチされたまま(タッチフラグはオフ)、筐体12、13の遷移動作が終了した後に、タッチセンサ18がリリースされた場合などが該当する。
制御部41は、ステップS31においてタッチフラグがオンにセットされていると判定した場合、ステップS32において、タッチフラグをオフにする。また、ステップS33において、タッチセンサ18のリリースを検出したことに伴う所定の処理を実行する。すなわち、制御部41は、タッチセンサ18より入力を受け付けた指示に基づき所定の処理を実行する。制御部41は、入力処理終了判定ステップS22に戻り、以降の処理を繰り返す。
この他の筐体遷移動作時の入力処理では、筐体12、13の遷移動作開始から終了までの間で発生したタッチセンサ18のタッチおよびリリースイベントを破棄する。このため、タッチセンサ18のリリースを検出したことに伴う所定の処理の実行指示を無視し、筐体12、13の遷移動作に伴う誤動作の発生を好適に防止することができる。
また、1.タッチセンサ18のタッチイベント、2.筐体12、13の遷移動作開始イベント、3.タッチセンサ18のリリースイベント、4.筐体12、13の遷移動作終了イベントの順にイベントが発生した場合、および1.タッチセンサ18のタッチイベント、2.筐体12、13の遷移動作開始イベント、3.筐体12、13の遷移動作終了イベント、4.タッチセンサ18のリリースイベントの順にイベントが発生した場合には、制御部41は、2.筐体12、13の遷移動作開始イベント発生後のフラグOFFステップS25でタッチフラグをオフにする。すなわち、制御部41は、筐体12、13の遷移動作が開始した時点でタッチイベントの検出を破棄する。このため、筐体12、13の遷移動作前に意図しないタッチセンサ18のタッチが発生しても、4.タッチセンサ18のリリースイベント発生後のフラグON判定ステップS31においてタッチフラグはオフであると判定され、リリースの検出が破棄されて、誤動作が発生しないようになっている。
この携帯電話機1によれば、筐体12、13の遷移動作の開始を検出した後から遷移動作の終了を検出するまでの間、タッチセンサ18の電源をオフ状態にする、または検出したタッチセンサ18のタッチまたはリリースイベントに伴う指示の入力を無視することにより、筐体12、13の遷移動作中における、タッチセンサ18に対する意図しない接触による誤動作を好適に防止することができる。
なお、本実施形態における携帯電話機1では第一の状態と第二の状態との間で遷移動作可能な筐体としてスライド型の筐体を適用した例を説明したが、開閉構造などの異なる形態を構成可能な他の筐体を備えた携帯電話機を本発明に適用することができる。適用可能な筐体の一例は、ヒンジ結合されたいわゆる折りたたみ型、ヒンジの回転軸に対して垂直な回転軸周りにも回転可能なスイーベル型、ヒンジの回転軸周りに約360度回転可能なリバーシブル型のものであってもよい。
また、タッチセンサ18などの接触式入力手段の配置は、図1に示す配置に限られず、筐体の遷移動作させる操作者の指が接触する可能性がある可動範囲内にタッチセンサ18が配置されればよい。さらに、タッチセンサ18の配置は上部筐体13の主表面上に限られず、下部筐体12や、各筐体12、13の側面上であってもよい。
さらに、筐体の遷移動作の開始および終了を検出する検出手段として磁気センサ24を適用した例を説明したが、光センサなどの他の手段に代えてもよい。
本発明は携帯電話機以外にもPDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機、その他の遷移動作可能な筐体と接触式入力手段とを備えた携帯端末にも適用することができる。
さらに、本発明の各実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
さらにまた、本実施形態では、フローチャートのステップは記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。