JP5431488B2 - 安全システム用トリガー型ストロークアクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、トリガー型ストロークアクチュエータに関し、詳細には、自動車両の安全システム、より詳細には、自動車両との正面衝突の際にそのボンネットを持ち上げることで歩行者を保護することができるシステムに組み込まれる、アクチュエータに関する。本発明はそのようなアクチュエータの改良に関し、その改良とは、アクチュエータのロッドに連結されている機械部品が定位置に堅固に保持されるようにピストンをその初期位置にロックし、その一方で、アクチュエータがトリガーされた場合には、いかなる追加の命令も必要とせずに、ピストンをロック解除可能にすることにある。
自動車両に衝突されたときに歩行者を保護するための数多くの安全システムが知られている。たとえば、仏国特許出願公開第2878212号の文献では、衝突のときに素早く自動車両のボンネットを持ち上げることを可能にする機構を備えるシステムが記載されている。衝突の際には、歩行者の頭部が車両のボンネットに打ち付けられることがしばしばある。この衝撃により、ボンネットが変形する。変形の度合いがある程度を超えると、ボンネットは、エンジンおよびその周辺の全ての剛性部品に接触する。歩行者の頭部が最も激しく減速されるのはこの瞬間であり、これにより、重大な結果が生じ得る。そのため、上述の文献に記載のシステムは、歩行者、特には歩行者の頭部が、ボンネットの変形後にエンジンに打ち付けられることを回避するように、ボンネットを突如としてある高さだけ持ち上げるように設計されている。ボンネットは、自動車両の前部に蝶番式に固定されたままで、その後部すなわちフロントガラス側が持ち上げられる。
したがって、このような安全装置は、適切な検知手段によって遅れずに作動されることを前提に、差し迫る衝突を検知後30ミリセカンド(ms)程度という極めて短い時間内に、ボンネットを少なくとも80ミリメートル(mm)だけ持ち上げるように働く。
この種の安全システムの動作、とりわけアクチュエータの動作を改善しようとする数多くの改良が記載されてきている。特には、衝撃の際に速度を鈍らせつつボンネットを戻すことを追求する改良、衝突が起こっていないのにトリガーされてしまった後にボンネットを再配置する可能性を追求する改良、アクチュエータが連結されている機構が破損するのを避けるためにトリガーストロークの終端でピストンの運動を減衰させることを追求する改良、が挙げられる。
可能な限り、これらの改良は全て、アクチュエータそのものに組み込むことが望ましい。
この方針に沿って、設計者の別の関心事は、アクチュエータのピストンが、(トリガー前は、その初期位置に)適切にロックされていることを確実にすること、および、その結果として、アクチュエータの端部から突出し、ボンネット持ち上げ機構または直接連結の場合はボンネットそのものに連結されたピストンロッドが適切にロックされていることを確実にすることである。このようにロックされることで、安全システムがトリガーされない限り、この機構ひいてはボンネットが強固に保持されるようになる。このロック機能をアクチュエータそのものの本体内に組み込むことにより、全体の寸法縮小および原価低減につながる。
たとえば、国際公開第2005/085014号の文献には、アクチュエータ本体の壁に形成された溝内に周方向に配置された複数のボールから構成されるロック装置を備えるアクチュエータが記載されている。これらのボールは、バネによりピストンに連結された中央のフィンガによって径方向に保持されている。これらのボールは、アクチュエータのピストンに固定されている。この位置では、アクチュエータはロックされている。アクチュエータを動作させるには、電磁石により駆動される打撃部がフィンガを押圧し、このフィンガがピストンに向かって移動し、それにより、ボールが周方向の溝から解放されてピストンがロック解除される。その後、圧力を受けたガスがピストンに押し当たり、アクチュエータを展開させる。アクチュエータロッドに戻り作用をかけることにより、アクチュエータを再ロックすることが可能である。このような装置は、アクチュエータをロック解除するためだけに特別な制御部材(電磁石および打撃部)を必要とし、その結果、この装置が複雑かつ高価になっているという欠点がある。さらに、ロック手段として複数のボールを使用することで、(特にその配置場所のために)多くの機械加工部分が必要となり、それにより、アクチュエータの組み立てが複雑になり、ロボットによる組立ラインへの適合性が低くなる。
本発明は、これらの欠点全てを回避することができる別の解決策、すなわち、組み立てが容易で、安価で、特別な制御部材に頼らずともアクチュエータを動作可能にロック解除可能で、アクチュエータロッドに戻り作用をかけることで選択的に再ロック可能な、内部にロック装置を有するアクチュエータを提案する。
より正確には、本発明は、本体と、前記本体中を移動可能な作動ピストンと、前記ピストンを推進させる推進手段と、内側当接部と協働して前記ピストンを所定位置に静止保持し、前記ピストンをロックするロック機構とを備える、安全システム用のトリガー型ストロークアクチュエータであって、前記ロック機構が、円筒形のワッシャの形状で前記ピストンを解除するために前記アクチュエータの前記推進手段によって前記ピストンに向かって移動可能なラッチと、前記ピストンの前記推進手段近傍の周縁部に取り付けられており、前記内側当接部と係合するフックを含む、少なくとも1つの可撓性の舌片とを備えていること、および、前記ラッチが、前記内側当接部と係合している前記フックに接して後退している後方位置と、前記後方位置よりも前記ピストンの横断壁の近くであって、前記フックから離れた前方位置との間を移動可能であることを特徴とする、アクチュエータを提供する。
一実施形態では、前記ロック機構が、ピストンの移動軸に関して対称に配置されラッチの移動のためのガイドを形成する、少なくとも2つの舌片を有する。たとえば、これらの舌片は、円筒の一部分の形状をした内面を有していてもよく、厚みのあるワッシャの形状をした前記ラッチは、作動時に、これらの舌片がアクチュエータ本体の内側方向に引き込まれる前に、これらの2つの面の間を摺動することができる。
好ましい実施形態では、ロック機構が4つの舌片を備え、それにより、ラッチの周縁部のまわりのガスの流動域(flow section)を制限する。
前記推進手段は、本体内に収容された火薬式発生器により構成されることが好ましい。
発生器がトリガーされると、発生器はまずラッチを移動させ、その結果、ピストンそのものを移動させる前にピストンをロック解除する。このように、ロック解除を開始するのが非常に簡単であり、いかなる追加の費用も伴わない。
一実施形態では、このような可撓性の舌片が薄肉部を含む。
このピストンは、スカート、たとえば円筒形のスカートを含み、一または複数の可撓性の舌片は、そこからの一または複数の延長部となっていてもよい。スカートの端壁は、ロック解除ストロークの終端でラッチが接近して押圧する当接部を構成している。
この当接部が円錐台または同様の形状であれば、ロック解除ストロークの終端で、ラッチはピストンのスカートの端部に当たって止まったままになる。この場合、システムは不可逆的である。
対照的に、別の可能な実施形態では、トリガーされた後にピストンが再ロックされることを可能にするために、ラッチとピストンとの間にバネが介在している。
上述の構成は、簡単である点と低原価である点で注目に値する。このアクチュエータを構成する部品の組み立ての最中に、一または複数のフックがアクチュエータの本体内で内側当接部と係合するまで、一または複数の舌片を含むピストンをアクチュエータの本体に直接挿入することができる。この当接部は、単に、ピストンを一の移動方向について保持する、アクチュエータの本体の拡張部と、反対の移動方向についてピストンを保持する、火薬式作動装置の端部とによって構成されてよい。
構成要素の数は、従来技術の装置と比べて少ない。
トリガー前の、本発明によるアクチュエータの概略部分縦断面図である。 図1のII−IIに沿った断面図である。 火薬式トリガー後の、図1に類似の図である。 変形例を示す、図1と同様の図である。 火薬式トリガー後の、図4に類似の図である。 舌片を1つだけ有するピストンに関する別の実施形態の斜視図である。 図6のピストンをラッチとともに示す断面図である。
純粋に例として示し、添付の図面を参照して行う、本発明の原理によるトリガー型ストロークアクチュエータの複数の実施形態についての以下の記述を参照することで、本発明はよりよく理解され、本発明の他の利点がより明確になる。
図1から図3を参照すると、ほぼ円筒形の本体12と、本体中を移動可能なアクチュエータピストン13と、一般に火薬式発生器15と称される、火薬によりトリガーされるガス発生器から構成されるピストン推進手段とを備える、本発明によるトリガー型ストロークアクチュエータ11の実施形態が見られる。
このピストンは、本体の一端から軸方向に突出するロッド17によって延長されている。一例として、このロッドは、自動車両のボンネットを持ち上げるための機構に連結されている。
重要な特徴によると、アクチュエータには、内側当接部21と協働してピストン13を所定位置に静止保持するピストンロック機構19が装着されている。この例では、ロック機構は、ピストンの推進手段側の周縁部に取り付けられた4つの可撓性の舌片23を含む。各舌片23は、内側当接部と係合するフック25を含む。この例では、内側当接部は二重当接部であり、本体の壁の円錐形の肩部27と火薬式発生器15の前方環状端部29とから構成される。各可撓性の舌片のフックは、この二重当接部21によって位置決めされているので、図示のように本体の内周で環状のハウジングに係合している。ピストンはアクチュエータ本体の(大径の)後端から挿入されてもよく、火薬式発生器15を定位置に配置することにより本体内で静止保持されるので、このロック機構の構成により組立が非常に簡単になる。
このロック機構は、(トリガー前は)舌片23の後方で2つのフック25の近傍に位置している、ラッチ30をさらに含む。このラッチ30は、ある程度の厚みがある単純な円筒形のワッシャの形であり、2つの舌片の間に保持されている。ラッチ30は、環状の内側当接部と係合しているフック25の背面に当たって位置している(図1に示す)後方位置と、フックから離れてピストンの横断壁27の近傍で当接状態にある(図3に示す)前方位置との間を移動可能である。このラッチは、具体的には火薬式発生器15の点火によって、このピストンに向かって移動する。つまり、ピストン推進手段は、ピストンを移動可能にすべくロック解除するためにラッチを移動させるようにも働く。
図1から図3の例では、ラッチ30は、トリガーの際にガスの推力をラッチの中心部に向けて伝えるように作用する後方スカート31を有する。
図示のように、舌片23は、ピストンの移動軸XXに関して対称に、対をなして配置されており、ラッチを移動させるためのガイドを形成する。2つの舌片の内面は、ラッチ30の直径に対応する直径の共通の円筒面上にある(図2)。火薬式発生器15がトリガーされると、ガス圧力がラッチの両側で平衡に達する時間があるまでにラッチが前方に推進されることを理解されたい。
ロック機構が舌片を2つだけを有する場合、これらの舌片は同様に軸XXに関して対称である。このような場合、ラッチ周縁部でのガス流動域を減少させるように、ラッチの形状が変更されてよい。ラッチは、たとえば、本体の直径に対応する大径の縁部2つを有してもよい。
図示のように、各舌片23は、有利には、ピストンがそのストロークに沿って移動している最中に舌片が曲がるのを促進する薄肉部35を含む。この例では、舌片は、前記薄肉部そのものを介してピストンの円筒形の後方スカート36に連結されてよい。図1の例では、ラッチは小さな後方縁部38を含み、これを介して2つのフックの端面と当接する。この後方縁部は、トリガーの際には破壊される。
さらに、ピストンは、ラッチに対向する当接部40を含み、ロック解除ストロークの終端でラッチがこれに押し当てられる。図1から図3の例では、このシステムは意図的に不可逆的である、すなわち、火薬式発生器が点火された後にピストンをその初期位置に再ロックすることはできない。そのため、ロック解除ストロークの終端でラッチが保持されるように、当接部40は、円錐台または同様の形状をしている。
図4および図5の例では、類似の部材には同じ参照符号が付されており、システムは再ロック可能である。言い換えると、火薬式発生器15が点火された後、またその結果ボンネットが持ち上げられた後で、ピストン13を再ロックすることによりシステムをその初期位置に復帰させることが可能である。これを行うためには、ラッチ30は、フック25と位置合わせされたその開始位置に自動的に復帰可能でなければならない。そのため、バネ42がラッチとピストンの間に介在している。
この実施形態では、単に、舌片23の厚みが、それらが連結されたピストンのスカート36の厚みよりも小さいということにより、舌片23に可撓性が付与されている。この厚みの差によって、ラッチ30のためのストローク終端の当接部を構成する、2つの肩部44が画定される。したがって、バネ42は、肩部44とピストンの横断壁27との間に位置する空洞45内で圧縮することができる(図5)。
さらに、これらの可撓性の舌片23は、バネ42からの推力を受けてラッチが押し当てられる後方当接部46を備える。トリガー前は、これらの後方当接部46により、また、バネがこれらの当接部にラッチを押し当てているという事実により、ラッチの位置がこのように決定される。
図6および図7は、単一の可撓性の舌片23aが2つの平行な長孔49によってピストン13の筒状のスカート47から切り出されている実施形態を示す。

Claims (11)

  1. 本体(12)と、前記本体中を移動可能な作動ピストン(13)と、前記ピストンを推進させる推進手段(15)と、内側当接部(21)と協働して前記ピストンを所定位置に静止保持し、前記ピストンをロックするロック機構(19)とを備える、安全システム用のトリガー型ストロークアクチュエータであって、前記ロック機構が、円筒形のワッシャの形状で前記ピストンを解除するために前記アクチュエータの前記推進手段によって前記ピストンに向かって移動可能なラッチ(30)と、前記ピストンの前記推進手段近傍の周縁部に取り付けられており、前記内側当接部と係合するフック(25)を含む、少なくとも1つの可撓性の舌片(23)とを備えていること、および、前記ラッチ(30)が、前記内側当接部(21)と係合している前記フック(25)に接して後退している後方位置と、前記後方位置よりも前記ピストンの横断壁の近くであって、前記フックから離れた前方位置との間を移動可能であることを特徴とする、アクチュエータ。
  2. 前記ロック機構(19)が、前記ピストンの移動軸に関して対称に配置され前記ラッチ(30)の移動のためのガイドを形成する、少なくとも2つの前記舌片(23)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記ロック機構が4つの前記舌片(23)を有することを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記推進手段が、前記本体(12)内に収容された火薬式発生器(15)により構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
  5. 可撓性の前記舌片(23)が、その折り曲げを促進する薄肉部(35)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
  6. 前記舌片(23)が、前記薄肉部(35)によって前記ピストンの後方スカート(36)に連結されていることを特徴とする、請求項5に記載のアクチュエータ。
  7. 前記ピストン(13)が、前記ラッチ(30)に対向しておりロック解除ストロークの終端で前記ラッチ(30)が接近して押圧する当接部を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のアクチュエータ。
  8. 前記ロック解除ストロークの終端で前記ラッチが保持されるようにするために、前記当接部(40)が円錐台または類似の形状をしていることを特徴とする、請求項7に記載のアクチュエータ。
  9. 前記ピストンがトリガー後に再ロックされることを可能にするために、前記ラッチ(30)と前記ピストン(13)との間にバネ(42)が介在していることを特徴とする、請求項7に記載のアクチュエータ。
  10. 前記舌片(23)が、前記バネからの推力を受けて前記ラッチが後退して当たる後方当接部(46)を備えることを特徴とする、請求項2と9の組み合わせに記載のアクチュエータ。
  11. 前記ラッチ(30)が後方スカート(31)を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載のアクチュエータ。
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