JP5429082B2 - 車両の左右輪駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の左右輪駆動力配分制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両、特に四輪駆動車両に有用な、左右輪駆動力配分制御装置の改良提案に関するものである。
車両の左右輪駆動力配分制御装置としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
この提案技術は、原動機からの動力を主駆動輪としての左右前輪と、副駆動輪としての左右後輪へ分配出力可能な四輪駆動車両において、後輪への駆動力を左右後輪へ、これら左右後輪間回転速度差に応じた制御下に分配出力するというものである。
特開平09−328021号公報
ところで昨今は、車両の左右輪駆動力配分制御に際し、車両の旋回挙動が運転状態に応じたものとなるよう左右輪の駆動力を異ならせる左右輪駆動力配分制御(所謂トルクベクトリング制御)を行うことが提案されている。
しかし、上記した従来の左右輪駆動力配分制御装置を当該トルクベクトリング制御に用い、運転状態に応じた車両旋回挙動となるよう左右輪の駆動力間に差を持たせる制御を行うと、以下のような問題を生ずる。
つまり、左右後輪への合計駆動力が左右後輪の駆動力差以上である場合は、合計駆動力の左右振り分けにより左右後輪駆動力差を実現可能であるが、
左右後輪への合計駆動力が左右後輪の駆動力差未満である場合は、合計駆動力の左右振り分けによっても左右後輪駆動力差を実現し得ず、結果として駆動力が小さい方の旋回方向内側後輪の駆動力が0になる。
このことは、左右後輪のうち一方が駆動力を伝達しないことを、従って車両が三輪駆動状態で走行することを意味する。
この三輪駆動走行は、車両の旋回性能を高くする反面、旋回安定性を悪化させるという問題を生ずる。
本発明は、特許文献1におけるような左右輪間回転速度差に応じた左右輪駆動力配分制御ではなく、車両挙動が運転状態に応じたものとなるようにするため左右輪の駆動力を異ならせる左右輪駆動力配分制御中(トルクベクトリング制御中)、上記のような状況に至った場合でも三輪駆動走行状態になることのないよう制限を付与することにより、上記旋回安定性の悪化に関する問題を回避し得るようにした車両の左右輪駆動力配分制御装置を提案することを目的とする。
この目的のため、本発明による車両の左右輪駆動力配分制御装置は、
対をなす左右副駆動輪に向かう駆動力を個別制御することにより、主駆動輪および副駆動輪間の主副駆動力配分を制御すると同時に前記左右副駆動輪間の左右輪駆動力配分を制御するようにした車両の左右輪駆動力配分制御装置に対し、
前記左右副駆動輪に向かう駆動力の目標値として、これら左右副駆動輪への合計駆動力の目標値である左右輪合計目標駆動力を設定する左右輪合計目標駆動力設定手段と、
前記左右輪駆動力配分の目標値として、前記左右副駆動輪間における駆動力差の目標値である左右輪目標駆動力差を設定する左右輪目標駆動力差設定手段と、
これら手段により設定された左右輪合計目標駆動力および左右輪目標駆動力差を共に実現する前記左右駆動輪の目標駆動力をそれぞれ演算して、対応する左右副駆動輪の前記駆動力制御に供する左右輪目標駆動力演算手段と、
前記左右輪合計目標駆動力が前記左右輪目標駆動力差よりも小さいか否かを判定する目標値比較手段と、
目標値比較手段で左右輪合計目標駆動力が左右輪目標駆動力差よりも小さいと判定する時、前記左右輪目標駆動力演算手段により演算した左右駆動輪の目標駆動力のうち、小さい方の目標駆動力許容下限値に置換して、前記左右副駆動輪のうち対応する副駆動輪の前記駆動力制御に供する目標駆動力制限手段とを設けて構成したことを特徴とするものである。
かかる本発明の左右輪駆動力配分制御装置にあっては、左右輪合計目標駆動力が左右輪目標駆動力差より小さい場合であっても、左右駆動輪への目標駆動力のうち、小さい方の駆動力が許容下限値を下回らないため、
左右駆動輪のうち、駆動力が小さい方の旋回方向内側における駆動輪であっても、その駆動力が許容下限値を下回って、車両を旋回安定性の悪い三輪駆動走行状態にすることがない。
本発明の一実施例になる左右輪駆動力配分制御装置を具えた四輪駆動車両の車輪駆動系を車両上方から見て、四輪駆動制御システムと共に示す概略平面図である。 図1における四輪駆動コントローラを示す機能別ブロック線図である。 図2における左右後輪目標駆動力演算部が左右後輪目標駆動力を演算するときのプロセスを示すフローチャートである。 図2における左右後輪目標駆動力演算部が左右後輪目標駆動力を演算するに先立って求める外輪側目標駆動力TcOUTおよび内輪側目標駆動力TcINの決定要領を、後輪合計駆動力TcLRが後輪駆動力差ΔTcLRよりも大きい場合につき示す説明図で、 (a)は、目標とすべき後輪合計駆動力TcLRおよびその左右均等配分量のレベルを示す説明図、 (b)は、目標とすべき後輪駆動力差ΔTcLRと、(a)における後輪合計駆動力TcLRの左右均等配分量とから求めた、外輪側駆動力暫定値tTcOUT(外輪側目標駆動力TcOUT)および内輪側駆動力暫定値tTcIN(内輪側目標駆動力TcIN)を示す説明図である。 図2における左右後輪目標駆動力演算部が左右後輪目標駆動力を演算するに先立って求める外輪側目標駆動力TcOUTおよび内輪側目標駆動力TcINの決定要領を、後輪合計駆動力TcLRが後輪駆動力差ΔTcLRよりも小さい場合につき示す説明図で、 (a)は、目標とすべき後輪合計駆動力TcLRおよびその左右均等配分量のレベルを示す説明図、 (b)は、目標とすべき後輪駆動力差ΔTcLRと、(a)における後輪合計駆動力TcLRの左右均等配分量とから、従来の要領で求めた、外輪側目標駆動力TcOUTおよび内輪側目標駆動力TcINを示す説明図、 (c)は、目標とすべき後輪駆動力差ΔTcLRから、図3のプロセスにより求めた、外輪側目標駆動力TcOUTおよび内輪側目標駆動力TcINを示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<実施例の構成>
図1は、本発明の一実施例になる左右輪駆動力配分制御装置を具えた四輪駆動車両の車輪駆動系を車両上方から見て、四輪駆動制御システムと共に示す概略平面図である。
図中、1L,1Rはそれぞれ、主駆動輪としての左右前輪を示し、2L,2Rはそれぞれ、副駆動輪としての左右後輪を示す。
なお、本明細書中において「駆動力」と称するは、パワーに非ず、「トルク値」を意味するものとする。
3は、原動機としてのエンジンで、エンジン3からの回転動力は変速機(ディファレンシャルギヤ装置4aを含むトランスアクスル)4により変速して、左右アクスルシャフト5L,5Rを介し左右前輪1L,1Rに向かわせ、これら左右前輪1L,1Rの駆動に供する。
変速機4により変速された後に左右前輪1L,1Rへ向かう駆動力の一部を、トランスファー6により方向変換して左右後輪2L,2Rに向かわせるが、そのための伝動系を以下のような構成となす。
トランスファー6は入力側ハイポイドギヤ6aおよび出力側ハイポイドギヤ6bより成る傘歯車組を具える。
入力側ハイポイドギヤ6aは、ディファレンシャルギヤ装置4aの入力回転メンバであるディファレンシャルギヤケースと共に回転するようこれに結合する。
出力側ハイポイドギヤ6bにはプロペラシャフト7の前端を結合し、このプロペラシャフト7を左右後輪駆動力配分ユニット8に向け後方へ延在させる。
なおトランスファー6は、左右前輪1L,1Rに向かう駆動力の一部を増速してプロペラシャフト7へ出力するよう、ハイポイドギヤ6aおよび出力側ハイポイドギヤ6bより成る傘歯車組のギヤ比を決定する。
プロペラシャフト7への増速回転動力は、左右後輪駆動力配分ユニット8による後述の制御下で左右後輪2L,2Rへ分配出力する。
そのため左右後輪駆動力配分ユニット8は、左右後輪2L,2Rのアクスルシャフト9L,9R間において、これらシャフト9L,9Rの軸線方向に延在するセンターシャフト10を具える。
左右後輪駆動力配分ユニット8は更に、センターシャフト10および左後輪アクスルシャフト9L間にあって、これらシャフト10,9L間を結合制御するための左後輪側クラッチ(左副駆動輪側摩擦要素)11Lと、
センターシャフト10および右後輪アクスルシャフト9R間にあって、これらシャフト10,9R間を結合制御するための右後輪側クラッチ(右副駆動輪側摩擦要素)11Rとを具える。
トランスファー6から車両後方へ延在するプロペラシャフト7の後端と、センターシャフト10との間は、入力側ハイポイドギヤ12aおよび出力側ハイポイドギヤ12bより成る傘歯車式終減速機12を介して駆動結合する。
なお該終減速機12の減速比は、トランスファー6の前記した増速ギヤ比(ハイポイドギヤ6aおよび出力側ハイポイドギヤ6bより成る傘歯車組の増速ギヤ比)との関連において、左右前輪1L,1Rに向かう駆動力の一部をセンターシャフト10へ増速下に向かわせるようなギヤ比とし、
本実施例においては、左右前輪1L,1Rに対してセンターシャフト10が増速回転されるように、トランスファー6および終減速機12のトータルギヤ比を設定する。
かようにトランスファー6および終減速機12のトータルギヤ比を決定する理由を以下に説明する。
上記センターシャフト10の増速回転を行わせない場合、左右後輪2L,2Rのうち、旋回走行中に外輪となる後輪2L(または2R)の回転速度がセンターシャフト10の回転速度よりも高速となる。
この状態で旋回方向外輪となる後輪2L(または2R)側におけるクラッチ11L(または11R)を締結するとき、当該後輪の高い回転速度が、低速回転しているセンターシャフト10に引き摺られ、センターシャフト10の回転速度まで低下されることとなる。
このことは、センターシャフト10から旋回方向外側の後輪2L(または2R)へ駆動力を伝達することができないことを意味し、結果として狙い通りの駆動力配分制御が不可能になり、四輪駆動制御にとって不都合を生ずる。
そこで本実施例においては、かかる旋回走行中もセンターシャフト10の回転速度が旋回方向外側後輪2L(または2R)の回転速度未満になって駆動力配分制御が不能になることのないよう、トランスファー6および終減速機12のトータルギヤ比を上記のごとくに決定して、センターシャフト10を上記の通り増速回転させるようになす。
かかるセンターシャフト10の増速回転により、後述する駆動力配分制御を狙い通りに遂行し得る。
上記した四輪駆動車両の車輪駆動系にあっては、エンジン3からの回転動力が変速機(トランスアクスル)4による変速下で左右前輪1L,1Rに達し、これら左右前輪1L,1Rを駆動する。
この間、左右前輪1L,1Rに向かう駆動力の一部がトランスファー6から順次、プロペラシャフト7、および終減速機12を経てセンターシャフト10へ増速下に達し、
この増速分だけクラッチ11L,11Rがスリップするようこれらクラッチ11L,11Rを締結力制御しつつ、左右後輪2L,2Rを駆動する。
かくて車両は、左右前輪1L,1Rの駆動、および、左右後輪2L,2Rの駆動により、四輪駆動走行が可能である。
従って上記の四輪駆動車両においては、左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rの締結力制御が必要である。
上記の四輪駆動車両においては更に、車両の発進性能や加速性能を向上させるために、左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rの合計締結力制御を介して前後輪駆動力配分制御を行い得るようになすほか、
車両の旋回性能を向上させたり、車両の実挙動(実ヨーレートなど)が車両の運転状態や走行条件に応じた目標通りのものとなるようにする挙動制御を行うために、左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rの締結力制御を介して左右輪駆動力配分制御を行い得るようになす。
そのため、左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rの締結力制御システムを以下のようなものとする。
左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rはそれぞれ、供給電流に応じて締結力を決定される電磁式とし、これらクラッチ11L,11Rの締結力がそれぞれ、四輪駆動(4WD)コントローラ21で後述のごとくに求めた左右後輪2L,2Rの目標駆動力TcL,TcRに対応した締結力となるよう当該クラッチ11L,11Rへの供給電流を電子制御することで、上記の前後輪駆動力配分制御および左右輪駆動力配分制御を行うものとする。
四輪駆動コントローラ21には、上記した左後輪2Lの目標駆動力TcLおよび右後輪2Rの目標駆動力TcRを演算するために、
車輪1L,1R,2L,2Rの車輪速Vwを個々に検出する車輪速センサ群22からの信号と、
アクセルペダル踏み込み量であるアクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ23からの信号と、
ステアリングホイール操舵角θを検出する操舵角センサ24からの信号と、
変速機出力回転数Noを検出する変速機出力回転センサ25からの信号と、
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ26からの信号と、
車両の重心を通る鉛直軸線周りにおけるヨーレートφを検出するヨーレートセンサ27からの信号と、
車両の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサ28からの信号と、
車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサ29からの信号とをそれぞれ入力する。
四輪駆動コントローラ21は、これら入力情報を基に、後で詳述する前後輪駆動力配分制御および左右輪駆動力配分制御用の左後輪目標駆動力TcLおよび右後輪目標駆動力TcRを演算し、
左右後輪2L,2Rの駆動力がこれら目標駆動力TcL,TcRに一致するよう、左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rの締結力(電流)を電子制御するものとする。
<駆動力配分制御>
四輪駆動コントローラ21が実行する前後輪駆動力配分制御および左右輪駆動力配分制御、つまり左後輪目標駆動力TcLおよび右後輪目標駆動力TcRの決定要領を、以下に説明する。
四輪駆動コントローラ21は、機能別ブロック線図で示すと図2に示すごときもので、入力信号処理部31と、後輪合計駆動力演算部32と、左右後輪駆動力差演算部33と、フィードバック制御部34と、左右後輪目標駆動力演算部35とで構成する。
入力信号処理部31は、車輪速センサ群22、アクセル開度センサ23、操舵角センサ24、変速機出力回転センサ25、エンジン回転センサ26、ヨーレートセンサ27、前後加速度センサ28、 横加速度センサ29の検出信号からノイズを除去すると共に、後述の演算に用い得るよう前処理する。
かように前処理した信号のうち、エンジン回転数Neおよびアクセル開度APOを用いて、エンジントルク推定部36でエンジントルクTeを推定し、
またエンジン回転数Neおよび変速機出力回転数Noを用いて、変速機ギヤ比演算部37で変速機ギヤ比γを演算する。
後輪合計駆動力演算部32は、左右後輪2L,2Rへの合計駆動力目標値rTcLR(以下、合計駆動力rTcLRと言う)を例えば以下のように求める。
先ずエンジントルクTeおよび変速機ギヤ比γからディファレンシャルギヤ装置4aへの入力トルクTiを演算する。
次いで、車輪速センサ群22からの信号(車輪速Vw)を基に左右前輪平均速および左右後輪平均速をそれぞれ求め、両者の比較により推定した左右前輪1L,1Rの駆動スリップ程度や、前後加速度Gxや、アクセル開度APOに応じ、上記入力トルクTiのうちのどの程度を左右後輪2L,2Rに向かわせるべきかを決定して、これら後輪への合計駆動力rTcLRとする。
なお後輪への合計駆動力rTcLRは、上記前輪スリップの程度が高いほど、この駆動スリップ抑制のために大きくする必要があり、また前後加速度Gxおよびアクセル開度APOが大きいほど、運転者が大きな駆動力を要求していることから、これに応えるため後輪への合計駆動力rTcLRを大きくする。
左右後輪駆動力差演算部33は、定常制御演算部33aおよび過渡制御演算部33bを具え、左右後輪2L,2R間の駆動力差目標値rΔTcLR(以下、駆動力差rΔTcLRと言う)を例えば以下のように求める。
定常制御演算部33aは、運転者が定常的に要求している車両旋回挙動のための左右後輪駆動力差定常制御分cΔTcLRを以下のようにして求める。
エンジントルクTeと、変速機ギヤ比γとから、車両に発生している前後加速度Gxを推定し、操舵角θおよび車輪速Vw(車速VSP)から車両に発生している横加速度Gyを推定し、これら推定した前後加速度Gxおよび横加速度Gyの組み合わせから判る車両のアンダーステア状態(目標旋回挙動に対し実旋回挙動が不足する状態)を解消するのに必要な左右後輪駆動力差を、左右後輪駆動力差定常制御分cΔTcLRとして定める。
ここで、前後加速度Gxの検出値ではなく推定値、また横加速度Gyの検出値ではなく推定値を用いる理由は、定常制御演算部33aがフィードフォワード制御系であって、結果値である検出値よりも、推定値の方が制御の実態にマッチしているためである。
かくして左右後輪駆動力差定常制御分cΔTcLRは、操舵角θが0近辺を示す(車輪非転舵状態である)間は、横加速度Gy=0に起因して0に保たれ、また、
操舵角θが0近辺でない(車輪転舵状態である)間は、操舵角θが大きいほど、また車速VSPが高いほど、横加速度Gyが大きくなって車両のアンダーステア傾向が強くなることから、左右後輪駆動力差定常制御分cΔTcLRは大きくなり、更に、
前後加速度Gxが大きいほど、車両のアンダーステア傾向が強くなることから、左右後輪駆動力差定常制御分cΔTcLRは大きくなる。
過渡制御演算部33bは、運転者が操舵角θの変化速度により過渡的に要求している旋回応答のための左右後輪駆動力差過渡制御分dΔTcLRを以下のようにして求める。
つまり操舵角θおよび車速VSPから、運転者が希望している目標ヨーレートを演算し、該目標ヨーレートの変化速度が高いほど、高い旋回応答を希望していることから、これに対応して左右後輪駆動力差過渡制御分dΔTcLRを大きく設定する。
ここで、ヨーレート検出値φではなく目標ヨーレートを用いる理由は、過渡制御演算部33bがフィードフォワード制御系であって、結果値である検出値よりも、推定値である目標ヨーレートの方が制御の実態にマッチしているためである。
そして左右後輪駆動力差演算部33は、定常制御演算部33aで前記のごとくに求めた左右後輪駆動力差定常制御分cΔTcLRと、過渡制御演算部33bで上記のごとくに求めた左右後輪駆動力差過渡制御分dΔTcLRとの和値を、車両旋回挙動時の目標とすべき左右後輪駆動力差rΔTcLRと定める。
ただし、かかる左右後輪駆動力差rΔTcLRの付与により車両が実際に発生する実旋回挙動(実ヨーレートφ)は、横風などの外乱により、運転者がステアリング操作により要求している上記の目標旋回挙動(目標ヨーレートtφ)と一致しないことがある。
フィードバック制御部34は、これら実ヨーレートφと目標ヨーレートtφとが一致しない場合に、上記の後輪合計駆動力rTcLRおよび後輪駆動力差rΔTcLRを以下のごとくに補正して最終的な後輪合計駆動力TcLRおよび後輪駆動力差ΔTcLRとなすもので、以下のように構成する。
つまりフィードバック制御部34は、目標ヨーレート演算部34aと、ヨーレート偏差演算部34bと、フィードバック制御係数演算部34cとを具え、
目標ヨーレート演算部34aは、操舵角θ、車輪速Vw(車速VSP)および横加速度Gyから、運転者が希望している目標ヨーレートtφを演算する。
ヨーレート偏差演算部34bは、この目標ヨーレートtφと、検出した実ヨーレートφとの間におけるヨーレート偏差Δφ(=φ−tφ)を演算する。
フィードバック制御係数演算部34cは、上記のヨーレート偏差Δφを基に、目標ヨーレートtφに対し実ヨーレートφが不感帯を超えて過剰なオーバーステア状態か、目標ヨーレートtφに対し実ヨーレートφが不感帯を超えて不足しているアンダーステア状態か、実ヨーレートφが目標ヨーレートtφに対し前後不感帯内にあるニュートラルステア状態かを判定し、
この判定結果を基に後輪合計駆動力rTcLR用のフィードバック制御係数K1(0または1)、および後輪駆動力差rΔTcLR用のフィードバック制御係数K2(0または1)をそれぞれ決定する。
フィードバック制御係数K1は、後輪合計駆動力rTcLRに乗じて補正後の最終的な後輪合計駆動力TcLRを求めるのに用い、
フィードバック制御係数K2は、後輪駆動力差rΔTcLRに乗じて補正後の最終的な後輪駆動力差ΔTcLRを求めるのに用いる。
これらフィードバック制御係数K1,K2の決定に際しフィードバック制御係数演算部34cは、オーバーステア状態(φ>tφ+不感帯)と判定するとき、四輪駆動走行による弊害を排除するために、後輪合計駆動力rTcLR用のフィードバック制御係数K1を0とし、後輪駆動力差rΔTcLR用のフィードバック制御係数K2も0とする。
フィードバック制御係数K1=0は、補正後の最終的な後輪合計駆動力TcLRを0となし、フィードバック制御係数K2=0は、補正後の最終的な後輪駆動力差ΔTcLRも0となして、車両を二輪駆動走行させることを意味し、これにより、オーバーステア状態で四輪駆動走行されることによる弊害を排除することができる。
フィードバック制御係数演算部34cは、アンダーステア状態(φ<tφ−不感帯)と判定するとき、四輪駆動走行によっても弊害を生ずることがないものの、左右後輪間に駆動力差を設定することによる弊害を排除するために、後輪合計駆動力rTcLR用のフィードバック制御係数K1を1とし、後輪駆動力差rΔTcLR用のフィードバック制御係数K2を0とする。
フィードバック制御係数K1=1は、補正後の最終的な後輪合計駆動力TcLRをTcLR=rTcLRとなし、フィードバック制御係数K2=0は、補正後の最終的な後輪駆動力差ΔTcLRを0となして、車両を四輪駆動走行させるも左右後輪間に駆動力差を設定しないことを意味し、これにより、アンダーステア状態で四輪駆動走行による優れた走破性を享受しつつ、左右後輪間に駆動力差が設定されることによる弊害を排除することができる。
フィードバック制御係数演算部34cは、ニュートラルステア状態(tφ−不感帯≦φ≦tφ+不感帯)と判定するとき、四輪駆動走行によっても弊害を生ずることがないし、左右後輪間に駆動力差を設定することによる弊害もないため、後輪合計駆動力rTcLR用のフィードバック制御係数K1を1とし、後輪駆動力差rΔTcLR用のフィードバック制御係数K2も1とする。
フィードバック制御係数K1=1は、補正後の最終的な後輪合計駆動力TcLRをTcLR=rTcLRとなし、フィードバック制御係数K2=1は、補正後の最終的な後輪駆動力差ΔTcLRをΔTcLR=rΔTcLRとなして、車両を四輪駆動走行させると共に、左右後輪間に駆動力差を設定することを意味する。
左右後輪目標駆動力演算部35は、図3に示すプロセスにより、上記した補正後の最終的な目標とすべき左右後輪合計駆動力TcLRと左右後輪駆動力差ΔTcLRとの双方を満足するための左後輪目標駆動力TcLおよび右後輪目標駆動力TcRを求める。
ステップS11においては、前記のフィードバック制御により補正した最終的な後輪合計駆動力TcLRを読み込み、
ステップS12においては、前記のフィードバック制御により補正した最終的な左右後輪駆動力差ΔTcLRを読み込む。
従ってステップS11は、本発明における左右輪合計目標駆動力設定手段に相当し、またステップS12は、本発明における左右輪目標駆動力差設定手段に相当する。
ステップS13においては、ステップS11で読み込んだ後輪合計駆動力TcLRの左右均等配分量TcLR/2を求め、ステップS14においては、ステップS12で読み込んだ後輪駆動力差ΔTcLRの左右均等配分量ΔTcLR/2を求める。
ステップS15においては、後輪合計駆動力左右均等配分量TcLR/2に後輪駆動力差左右均等配分量ΔTcLR/2を加算して、旋回方向外側後輪の駆動力暫定値tTcOUT(=TcLR/2+ΔTcLR/2)を求める。
ステップS16においては、後輪合計駆動力左右均等配分量TcLR/2から後輪駆動力差左右均等配分量ΔTcLR/2を減算して、旋回方向内側後輪の駆動力暫定値tTcIN(=TcLR/2−ΔTcLR/2)を求める。
かようにして求めた旋回方向外側後輪の駆動力暫定値tTcOUTおよび旋回方向内側後輪の駆動力暫定値tTcINは、後輪合計駆動力TcLRが後輪駆動力差ΔTcLR以上である場合において、つまり後輪合計駆動力TcLRの左右振り分けにより後輪駆動力差ΔTcLRを実現可能である場合において、後輪合計駆動力TcLRと後輪駆動力差ΔTcLRとの双方を達成するための旋回方向外側後輪の目標駆動力および旋回方向内側後輪の目標駆動力である。
従ってステップS15およびステップS16は、本発明における左右輪目標駆動力演算手段に相当する。
ステップS17以降においては、上記のごとくに求めた旋回方向外側後輪の外輪側駆動力暫定値tTcOUTおよび旋回方向内側後輪の内輪側駆動力暫定値tTcINを基に、左後輪目標駆動力TcLおよび右後輪目標駆動力TcRを以下の要領により決定する。
先ずステップS17において、ステップS11で読み込んだ後輪合計駆動力TcLRが、ステップS12で読み込んだ後輪駆動力差ΔTcLR以上であるか否かを、つまり後輪合計駆動力TcLRの左右振り分けにより後輪駆動力差ΔTcLRを実現可能であるか否かをチェックする。
従ってステップS17は、本発明における目標値比較手段に相当する。

ステップS17でTcLR≧ΔTcLRと判定する場合、ステップS15で決定した外輪側駆動力暫定値tTcOUT、およびステップS16で決定した内輪側駆動力暫定値tTcINが前記した通り、目標である左右後輪合計駆動力TcLRおよび左右後輪駆動力差ΔTcLRをともに満足する外輪側駆動力および内輪側駆動力であることから、ステップS18において、外輪側駆動力暫定値tTcOUTをそのまま外輪側目標駆動力TcOUTとし、内輪側駆動力暫定値tTcINをそのまま内輪側目標駆動力TcINと定める。
ステップS18で上記のように外輪側目標駆動力TcOUTおよび内輪側目標駆動力TcINが決定されるまでの手順を図4に基づき説明する。
図4(a),(b)の最左端はそれぞれ、ステップS11およびステップS12でそれぞれ読み込んだ後輪合計駆動力TcLRおよび後輪駆動力差ΔTcLRのレベルを示し、同図(a)には更に、後輪合計駆動力TcLRの左右均等配分量TcLR/2(ステップS13)を示す。
図4(a)の左右均等配分量TcLR/2(ステップS13)と、ステップS14で求めた、図4(b)の最左端に示す後輪駆動力差ΔTcLRの左右均等配分量ΔTcLR/2とから、図4(b)に示すように、外輪側駆動力暫定値tTcOUT(=TcLR/2+ΔTcLR/2)を求め(ステップS15)、内輪側駆動力暫定値tTcIN(=TcLR/2−ΔTcLR/2)を求める(ステップS16)。
ところで図4の場合、同図(a),(b)の最左端に示すごとくTcLR≧ΔTcLRであって、合計駆動力TcLRの左右振り分けにより駆動力差ΔTcLRを実現可能であることから、ステップS17は制御をステップS18に進め、
図4(b)に示すごとく外輪側駆動力暫定値tTcOUTをそのまま外輪側目標駆動力TcOUTとし、内輪側駆動力暫定値tTcINをそのまま内輪側目標駆動力TcINと定める。
これら外輪側目標駆動力TcOUTおよび内輪側目標駆動力TcINは、両者の合計が図4(a)における後輪合計駆動力TcLRと一致し、両者の差が図4(b)から明らかなように、後輪駆動力差ΔTcLRに一致し、
目標とすべきこれら後輪合計駆動力TcLRおよび後輪駆動力差ΔTcLRが共に満足される駆動力配分制御を行うことができる。
上記のように外輪側目標駆動力TcOUTおよび内輪側目標駆動力TcINが決定された後は、ステップS21において、操舵角θやヨーレートφに基づき、車両の旋回走行が左旋回か、右旋回かを判定する。
左旋回であれば、ステップS22において、旋回方向内側輪となる左後輪の目標駆動力TcLに上記の内輪側目標駆動力TcINをセットすると共に、旋回方向外側輪となる右後輪の目標駆動力TcRに上記の外輪側目標駆動力TcOUTをセットする。
逆に右旋回であれば、ステップS23において、旋回方向外側輪となる左後輪の目標駆動力TcLに上記の外輪側目標駆動力TcOUTをセットすると共に、旋回方向内側輪となる右後輪の目標駆動力TcRに上記の内輪側目標駆動力TcINをセットする。
図1の四輪駆動コントローラ21は左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rの締結力がそれぞれ、図2の演算部35で上記のごとく決定した左後輪目標駆動力TcLおよび右後輪目標駆動力TcRに対応したものとなるよう、左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rへの供給電流を制御する。
図3のステップS17で、図5(a),(b)の最左端にそれぞれ示すごとく後輪合計駆動力TcLRが後輪駆動力差ΔTcLR未満と判定する場合は、つまりステップS16で求める内輪側駆動力暫定値tTcINが負値となって、後輪合計駆動力TcLRの左右振り分けにより後輪駆動力差ΔTcLRを実現することができない場合は、制御をステップS19に進める。
内輪側駆動力暫定値tTcINが負値である場合、ステップS18のごとくに内輪側目標駆動力TcINに内輪側駆動力暫定値tTcINをセットすると、この内輪側目標駆動力TcINが図5(b)のごとく0にされ、後輪駆動力差ΔTcLRを実現するために外輪側目標駆動力TcOUTが図5(b)のごとくTcOUT=ΔTcLRにされることを意味し、車両は旋回方向内側後輪が駆動力伝達を行わない不安定な三輪駆動走行状態となる。
そこで、このような場合はステップS18に代えてステップS19が選択されるようにし、このステップS19において、かかる不安定な三輪駆動走行状態を防止するのに必要な駆動力の許容下限値である初期駆動力TcMINを図5(c)に示すごとくにセットする。
ステップS19においては更に、外輪側目標駆動力TcOUTを、上記内輪側目標駆動力TcIN=初期駆動力TcMINのもとで後輪駆動力差ΔTcLRが実現されるような値、つまり図5(c)に示すごとく、上記の初期駆動力TcMINおよび後輪駆動力差ΔTcLRの和値と定める。
従ってステップS19は、本発明における目標駆動力制限手段に相当する。
かように外輪側目標駆動力TcOUTおよび内輪側目標駆動力TcINが決定された後は、これらを基にステップS21〜ステップS23につき前述した処理により、左後輪の目標駆動力TcLおよび右後輪の目標駆動力TcRを決定し、
左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rの締結力がそれぞれ、これら左後輪目標駆動力TcLおよび右後輪目標駆動力TcRに対応したものとなるよう、左後輪側クラッチ11Lおよび右後輪側クラッチ11Rへの供給電流を制御する。
ここで、上記した不安定な三輪駆動走行状態を防止するのに必要な駆動力の許容下限値である初期駆動力TcMINについて考察する。
初期駆動力TcMINを0に設定すると、上記の三輪駆動走行となって車両旋回性能が高いが、これと二律背反の関係にある車両の旋回安定性が悪くなる。
初期駆動力TcMINを0よりも大きくするにつれ、旋回方向内側後輪が駆動力を伝達するようになると共に、この伝達駆動力が大きくなって車両旋回性能の低下を生ずる反面、車両の旋回安定性が良くなり、
これら旋回性能と旋回安定性とが設計時の狙い通りにバランスするような、後輪合計駆動力TcLRごとの初期駆動力TcMINを、実験により求めて用いるのがよい。
<実施例の効果>
上述した本実施例になる四輪駆動車両の左右輪(左右後輪)駆動力配分制御によれば、以下のような効果が得られる。
(1)図5(a),(b)の最左端に示すように後輪合計駆動力TcLRが後輪駆動力差ΔTcLR未満である場合(ステップS17)、つまりステップS16で求める内輪側駆動力暫定値tTcINが負値となって、後輪合計駆動力TcLRの左右振り分けにより後輪駆動力差ΔTcLRを実現できない場合、ステップS19を通るループの選択により、図5(c)につき前述したごとく、
内輪側目標駆動力TcINに内輪側駆動力暫定値tTcINをセットする代わりに(ステップS18)、三輪駆動走行状態を防止するのに必要な駆動力の許容下限値である初期駆動力TcMINをセットする(ステップS19)。
そして外輪側目標駆動力TcOUTを、内輪側目標駆動力TcIN=初期駆動力TcMINのもとで後輪駆動力差ΔTcLRが実現されるような値、つまり上記の初期駆動力TcMINおよび後輪駆動力差ΔTcLRの和値と定める(ステップS28)。
これにより結果として、小さい方の内輪側駆動力TcINが初期駆動力(許容下限値)TcMINを下回らない左右輪駆動力配分制御が行われることとなり、
駆動力が小さい方の旋回方向内側における駆動輪の駆動力が初期駆動力(許容下限値)TcMIN未満になって車両を、旋回安定性の悪い三輪駆動走行状態にさせてしまうという問題を回避することができる。
かかる三輪駆動走行状態の回避により、特に低摩擦路面での旋回走行中において過大な旋回性能により旋回安定性が損なわれるという問題を防止することができる。
(2)しかも本実施例においては、外輪側目標駆動力TcOUTの設定に際し、上記した内輪側目標駆動力TcIN=初期駆動力TcMINのもとで後輪駆動力差ΔTcLRが実現されるよう、上記の初期駆動力TcMINおよび後輪駆動力差ΔTcLRの和値を外輪側目標駆動力TcOUTと定めたため(ステップS28)、
後輪駆動力差ΔTcLRを実現しつつ上記の作用効果が得られることとなり、後輪駆動力差ΔTcLRにより狙ったとおりの車両の旋回挙動を得ることができる。
特に旋回走行中は、荷重移動により内外輪における摩擦円の大きさが大きく異なるが、本実施例のごとく後輪駆動力差ΔTcLRを実現可能であるということは、内外輪の大きさが異なる摩擦円を有効利用し得ることに通じ、旋回安定性の向上に大いに寄与して有利である。
(3)更に本実施例においては、三輪駆動走行状態を防止するのに必要な駆動力の許容下限値である初期駆動力TcMINを前記したとおり、二律背反の関係にある車両の旋回性能と旋回安定性とが設計時の狙い通りにバランスするような、後輪合計駆動力TcLRごとの値に定めたため、
上記のごとく内輪側目標駆動力TcIN=初期駆動力TcMINにしても、車両の旋回性能および旋回安定性を共に狙い通りのものにすることができ、いずれか一方が犠牲になって、狙い通りのものでなくなるのを防止することができる。
(4)また本実施例においては、後輪合計駆動力TcLRが後輪駆動力差ΔTcLR未満である状態をもって、車両が三輪駆動走行状態になると判定し、内輪側目標駆動力TcIN=初期駆動力TcMINとなす処理を行うようにしたため、
当該判定を、四輪駆動制御用にもともと存在する後輪合計駆動力TcLRおよび後輪駆動力差ΔTcLRの比較により簡単、且つ安価に行って、上記の作用効果を簡単、且つ安価に達成することができる。
1L,1R 左右前輪(左右主駆動輪)
2L,2R 左右後輪(左右副駆動輪)
3 エンジン
4 変速機(トランスアクスル)
5L,5R 左右前輪アクスルシャフト
6 トランスファー
7 プロペラシャフト
8 左右後輪駆動力配分ユニット
9L,9R 左右後輪アクスルシャフト
10 センターシャフト
11L 左後輪側クラッチ(左副駆動輪側クラッチ)
11R 右後輪側クラッチ(右副駆動輪側クラッチ)
12 終減速機
21 四輪駆動コントローラ
22 車輪速センサ
23 アクセル開度センサ
24 操舵角センサ
25 変速機出力回転センサ
26 エンジン回転センサ
27 ヨーレートセンサ
28 前後加速度センサ
29 横加速度センサ
31 入力信号処理部
32 後輪合計駆動力演算部
33 左右後輪駆動力差演算部
34 フィードバック制御部
35 左右後輪目標駆動力演算部

Claims (3)

  1. 対をなす左右副駆動輪に向かう駆動力を個別制御することにより、主駆動輪および副駆動輪間の主副駆動力配分を制御すると同時に前記左右副駆動輪間の左右輪駆動力配分を制御するようにした車両の左右輪駆動力配分制御装置において、
    前記左右副駆動輪に向かう駆動力の目標値として、これら左右副駆動輪への合計駆動力の目標値である左右輪合計目標駆動力を設定する左右輪合計目標駆動力設定手段と、
    前記左右輪駆動力配分の目標値として、前記左右副駆動輪間における駆動力差の目標値である左右輪目標駆動力差を設定する左右輪目標駆動力差設定手段と、
    これら手段により設定された左右輪合計目標駆動力および左右輪目標駆動力差を共に実現する前記左右駆動輪の目標駆動力をそれぞれ演算して、対応する左右副駆動輪の前記駆動力制御に供する左右輪目標駆動力演算手段と、
    前記左右輪合計目標駆動力が前記左右輪目標駆動力差よりも小さいか否かを判定する目標値比較手段と、
    目標値比較手段で左右輪合計目標駆動力が左右輪目標駆動力差よりも小さいと判定する時、前記左右輪目標駆動力演算手段により演算した左右駆動輪の目標駆動力のうち、小さい方の目標駆動力許容下限値に置換して、前記左右副駆動輪のうち対応する副駆動輪の前記駆動力制御に供する目標駆動力制限手段とを設けて構成したことを特徴とする車両の左右輪駆動力配分制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両の左右輪駆動力配分制御装置において、
    前記目標駆動力制限手段は、前記目標値比較手段で左右輪合計目標駆動力が左右輪目標駆動力差よりも小さいと判定する時、前記左右輪目標駆動力演算手段により演算した左右副駆動輪の目標駆動力のうち、大きい方の目標駆動力前記許容下限値と前記左右輪目標駆動力との和値に置換して、前記左右副駆動輪のうち対応する副駆動輪の前記駆動力制御に供するものであることを特徴とする車両の左右輪駆動力配分制御装置。
  3. 請求項1または2に記載された車両の左右輪駆動力配分制御装置において、
    前記許容下限値は、二律背反の関係にある車両の旋回性能と旋回安定性とが所定のバランス状態となるような、前記車輪駆動力ごとの駆動力である車両の左右輪駆動力配分制御装置。
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