JP5429013B2 - 物理量センサ及びマイクロフォン - Google Patents
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Description
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、検出感度の向上を図ることの可能な磁界検出型の物理量センサ及びマイクロフォンを提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る物理量センサは、空間に被検出磁界を形成する磁界形成部と、前記被検出磁界の第1方向成分に応じた電気信号を出力する磁界検出部と、外部からの変位入力に応じて、前記第1方向と交差する第2方向に前記磁界形成部と前記磁界検出部とを相対変位させる可動部とを備えた物理量センサであって、前記磁界形成部が、前記磁界検出部の前記第2方向一方側に配置された磁極間に第1磁界を発生する第1磁界発生部と、前記磁界検出部の前記第2方向他方側に配置された磁極間に第2磁界を発生する第2磁界発生部とを備え、前記被検出磁界は、前記第1磁界発生部と前記第2磁界発生部との間における前記第1磁界と前記第2磁界との合成磁界であって、該被検出磁界における前記第1磁界及び前記第2磁界のそれぞれの前記第1方向成分が互いに逆向きとされていることを特徴とする。
このような構成の物理量センサによれば、第1磁界及び第2磁界のそれぞれの第1方向成分は、それぞれの磁界発生部から遠ざかるに従って小さくなる磁界勾配を有する傾斜磁界となる。そして、第1磁界及び第2磁界のそれぞれの第1方向成分が互いに逆向きとされているので、第1磁界と第2磁界との合成磁界である被検出磁界の第1方向成分は、各磁界発生部の近傍において磁界強度が最も大きい逆向きの磁界となる。そのため、被検出磁界の第1方向成分の磁界勾配は急峻になる。これにより、磁界検出部が変位した際に検出する磁界強度の変化量を大きくすることができる。また、第1方向成分は各磁界発生部の中間付近においてゼロとなるので、磁界強度の低い範囲に磁界検出部を配置することができ、検出感度が高い領域で磁界検出部を使用することができる。したがって、物理量センサの検出感度の向上を図ることが可能となる。
これにより、磁界強度が最も低い領域に磁界検出部を配置することになるため、周囲の磁界強度が高くなるに従って検出感度が低下してしまう磁界検出部を検出感度高く使用することができる。これに伴って、磁界検出部の配置箇所の磁界強度と磁界検出部が磁気的に飽和する磁界強度との差を大きくとることができるため、検出可能な磁界強度の範囲を広くすることができる。
これにより、第1磁気ギャップからの漏洩磁界である第1磁界と第2磁気ギャップからの漏洩磁界である第2磁界とによって被検出磁界が形成され、この被検出磁界における第1方向成分の磁界勾配が急峻かつ磁界強度の小さい領域に磁界検出部を配置することになるため、検出感度をより向上させることができる。
これにより、第1磁界及び第2磁界それぞれの第1方向成分の磁界強度を最大とすることができるため、これら第1磁界及び第2磁界が互いに相殺されることで、被検出磁界の磁界勾配をより大きくすることが可能となる。また、この磁界勾配は、第1方向に直交する第1磁界発生部及び第2磁界発生部の離間方向において最も急峻となるため、当該方向を磁界検出部が相対移動する第2方向とすることで、磁界強度の検出感度をより向上させることができる。
このような構成のマイクロフォンによれば、上記物理量センサを用いているため、磁界形成部と磁界検出部とが相対移動した際に、磁界検出部によって感度高く磁界変化を検出することができる。また、可動部及び磁界発生部がそれぞれ薄膜から構成されているため、MEMS技術を用いて容易に製造することができ、製造コストの削減や品質の安定化、製造効率向上を図ることができる。
なお、以下では、図1及び図2における左右方向を第1方向x、該第1方向xに直交する図1の紙面奥行き方向(図2の上下方向)を第2方向yと称する。
磁界形成部10は、詳しくは図2に示すように、第1磁気ギャップG1を介して対向配置された一対の永久磁石12A,12Bからなる第1磁界発生部11と、第2磁気ギャップG2を介して対向配置された一対のヨーク14A,14Bからなる第2磁界発生部13と、これら第1磁界発生部11と第2磁界発生部13とを接続する一対の接続ヨーク15A,15Bとから構成されている。
また、一般に磁気抵抗素子4aは、例えば図8に示すように、周囲の磁界強度の絶対値が増大するに連れて抵抗変化率が小さくなるため検出感度が低下し、磁界強度があまりに大きくなれば磁気的に飽和して磁界強度を検出することができなくなってしまう。これに対して、マイクロフォン1においては、上記のように被検出磁界の第1方向成分Hxの磁界強度の絶対値を低く抑えることができるため、磁気抵抗素子4aを検出感度の高い領域で使用することができ、音波の検出感度を向上させることが可能となる。また、磁気抵抗素子4aが磁気的に飽和しにくくなるため、検出可能な磁界強度の範囲を広くすることができる。
また、振動薄膜3や磁界形成部10がそれぞれ薄膜から構成されているため、MEMS技術を用いてマイクロフォン1を容易に製造することができ、製造コストの削減や製造効率向上を図ることができる。
図9及び図10に示すように、第2実施形態のマイクロフォン30における磁界形成部40は、一対の永久磁石12A,12Bからなる第1磁界発生部11と、一対のヨーク14A,14Bからなる第2磁界発生部13が、直接的に第2方向yに積層された構成とされている。これにより、第1磁気ギャップG1と第2磁気ギャップG2とは永久磁石12A,12Bの上記屈曲のみによって第2方向yに離間して配置される。
このような構成の第2実施形態のマイクロフォン30においても、第1実施形態と同様、被検出磁界の第1方向成分Hxの磁界勾配を大きくしながら磁界強度の絶対値を低く抑えることができるため、磁気抵抗素子4aによる磁界検出感度を高めて、音波の検出感度を向上させることができる。
例えば、変形例として、図12及び図13に示すように磁界形成部60(図13参照)が磁気抵抗素子4aに対して変位する構成とされたマイクロフォン50であってもよい。このマイクロフォン50においては、支持基板2上にヨークメッキ51が形成されており、該ヨークメッキ51上面に平面視円形をなす振動薄膜52の周縁が固着され、この振動薄膜52の第2方向y他方側を向く面の中央に磁界形成部60が固着されている。磁界形成部60は、第2実施形態と同様、一対の永久磁石12A,12Bからなる第1磁界発生部11と一対のヨーク14A,14Bからなる第2磁界発生部13が直接的に上下に積層された構成とされている。また、支持基板2の中央には磁気抵抗素子4aを載置するための素子載置部2bが形成されており、これにより磁界形成部60における第1磁気ギャップG1と第2磁気ギャップG2との間の領域に磁気抵抗素子4aが位置することになる。
さらに、磁気抵抗素子4aは必ずしも磁界ゼロ点Pに配置されてなくともよいが、磁気抵抗素子4a周囲の磁界強度を最小限に抑えるには、磁気抵抗素子4aの振幅の範囲内に、即ち、磁気抵抗素子4aが磁界形成部10に対して変位する際の該磁気抵抗素子4aの軌跡上に磁界ゼロ点Pが含まれるように配置されていることが好ましい。
即ち、図16(a)に示すように、第1磁界発生部11及び第2磁界発生部13がそれぞれ分極方向を第2方向yに沿わせて対向配置した一対の永久磁石71,71から構成されていてもよい。また、この際、図16(b)に示すように、第1磁界発生部11の永久磁石71と第2磁界発生部13の永久磁石71同士が接続ヨーク73により連結されていてもよい。さらに、図16(c)のように、一部の永久磁石71に代えてヨーク72を配置してもよい。
図14〜図16の各図に示した構成の場合であっても、方向及び磁界勾配が互いに逆向きの第1磁界H1の第1方向成分H1x及び第2磁界H2の第2方向成分H2xを形成することができ、磁界勾配が急峻かつ磁界強度の絶対値の小さい被検出磁界の第1方向成分Hxを形成することが可能となる。
また、実施形態のマイクロフォン1,30においては、磁界形成部10,40に永久磁石12A,12Bを用いたが、これに代えて電磁石を用いた構成であってもよい。
また、例えば図19に示すように、磁界形成部10において、第1磁界発生部11及び第2磁界発生部13それぞれが単一の永久磁石71からなり、これら永久磁石71が分極方向を互いに逆向きとして配置された構成であってもよい。この場合であっても、図19(a)に示すように、永久磁石71,71の外部に互いに方向及び磁界勾配が逆向きの第1磁界H1の第1方向成分H1x及び第2磁界H2の第2方向成分H2xを形成することができる。したがって、図19(b)に示すように、磁界勾配が大きく、かつ、磁界強度の絶対値の低い被検出磁界の第1方向成分Hxを形成することができる。
さらに、磁界検出部4における磁気抵抗素子4aに代えてホール素子やフラックスゲート等の磁気センサを用いてもよい。そして、本発明はマイクロフォン1,30,50に限らず、加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ、振動センサ、変位センサ等のあらゆる物理量センサに広く適用することが可能である。
(実施例)
図21(a)に示すように、永久磁石81a,81bの磁極(一方のN極と他方のS極)間距離を2xdμmとして第1方向xに対向配置し、第1磁界発生部81を構成した。また、第1磁界発生部81の第2方向y(y方向)他方側に2ydμm離間した箇所に、一対の永久磁石82a,82bの磁極(一方のS極と他方のN極)を第1方向xに対向配置させて第2磁界発生部82を構成し、接続ヨーク83により第1磁界発生部81と接続した。そして、磁気抵抗素子84を第2方向yに変位させた際の第1方向xの磁界強度を測定した。その結果を図21(b)に示す。
図22(a)に示すように、永久磁石85,86を第1方向xに2xdμmの間隔をあけて配置した。そして、磁気抵抗素子84を永久磁石85,86の磁極面から第2方向yにydμm離間させて磁気抵抗素子84を配置し、第2方向yに磁気抵抗素子84を変位させた際の第1方向xの磁界強度を測定した。その結果を図22(b)に示す。なお、この比較例及び上記実施例においては、(xd,yd)=(1.5μm,1.5μm),(2.5μm,2.5μm)として測定を行なった。
図21(b)及び図22(b)から、実施例の方が比較例に比べて磁界勾配が大きくなったことが分かる。また、磁気抵抗素子84の周囲の磁界勾配の絶対値は、比較例に比べて実施例の方が非常に小さい値を示すことが分かる。さらに、比較例では永久磁石85,86間の距離を短くした場合でも磁気抵抗素子84の配置箇所の磁界強度は大きいが、実施例においては永久磁石81a,81b、82a,82b間の距離に関わらず磁気抵抗素子84の配置箇所の磁界強度は0となった。したがって、本発明に対応する実施例においては、磁界勾配の増大及び磁界強度の低減を両立できることが判明した。これにより、実施形態において前述した作用効果を立証することができた。
Claims (5)
- 空間に被検出磁界を形成する磁界形成部と、
前記被検出磁界の第1方向成分に応じた電気信号を出力する磁界検出部と、
外部からの変位入力に応じて、前記第1方向と交差する第2方向に前記磁界形成部と前記磁界検出部とを相対変位させる可動部とを備えた物理量センサであって、
前記磁界形成部が、
前記磁界検出部の前記第2方向一方側に配置された磁極間に第1磁界を発生する第1磁界発生部と、
前記磁界検出部の前記第2方向他方側に配置された磁極間に第2磁界を発生する第2磁界発生部とを備え、
前記被検出磁界は、前記第1磁界発生部と前記第2磁界発生部との間における前記第1磁界と前記第2磁界との合成磁界であって、該被検出磁界における前記第1磁界及び前記第2磁界のそれぞれの前記第1方向成分が互いに逆向きとされていることを特徴とする物理量センサ。 - 前記被検出磁界内に、前記第1磁界と前記第2磁界とが相殺されることにより前記被検出磁界の第1方向成分が0となる磁界ゼロ点が形成され、
前記磁界検出部が前記磁界形成部に対して相対変位する際の前記磁界検出部の軌跡上に、前記磁界ゼロ点が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の物理量センサ。 - 前記第1磁界発生部における一対の前記磁極は、前記第2方向一方側に位置する第1磁気ギャップを介して対向配置され、
前記第2磁界発生部における一対の前記磁極は、前記第2方向他方側に位置する第2磁気ギャップを介して対向配置されており、
前記磁界検出部が、前記第2方向矢視において、前記第1磁気ギャップ及び前記第2磁気ギャップのギャップ内に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の物理量センサ。 - 前記第1方向は、前記第1磁界発生部及び前記第2磁界発生部のそれぞれにおける一対の前記磁極の離間方向であって、
前記第2方向は、前記第1方向に直交する方向であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の物理量センサ。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の物理量センサを用いたマイクロフォンであって、
前記可動部は、前記磁界形成部及び前記磁界検出部のいずれか一方に対して前記第2方向に相対振動可能に張架された振動薄膜であって、
前記第1磁界発生部及び第2磁界発生部は、それぞれ前記振動薄膜に沿って配置される一対の磁性体薄膜からなり、
前記磁界形成部及び前記磁界検出部のいずれか他方が前記振動薄膜に固着されていることを特徴とするマイクロフォン。
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