JP5428353B2 - 車両の駆動制御装置及び車両の駆動制御方法 - Google Patents
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Description
そして、バッテリへの入力電力がバッテリの許容値を超える場合には、消費電力が増大するように、電力授受回路の動作を制御する。
このとき、低温時のバッテリは、回生電力受け入れ量が小さいため、上記余剰電力を受け取りきれず、第1モータ及び第2モータとバッテリとの間に位置するインバータや昇圧コンバータのコンデンサが受け止める場合がある。この場合、コンデンサ電圧が過剰に上昇して耐久性に影響が出る恐れがある。
本発明は、上記のような点に着目したものであり、バッテリ低温時におけるコンデンサ電圧の過剰発生を低減可能な車両の駆動制御を課題とする。
これによって、バッテリ低温時におけるコンデンサ電圧の過剰発生を低減可能となる。
図1は、本実施形態におけるハイブリッド車両100を説明するための構成図である。
(構成)
本ハイブリッド車両100は、図1に示すように、エンジン110、動力分割機構120、第1モータMG1、MG2、減速機130、駆動軸140、及び車輪(駆動輪)150を備える。ハイブリッド車両100は、さらに、直流電圧発生部DVG、平滑コンデンサC0、第1及び第2インバータ20、30、エンジンコントローラ61、統合制御装置60、及び駆動制御装置50を備える。
アクセルペダルセンサ62は、運転者による加速指示としてのアクセル開度を検出し、検出信号を統合制御装置60に出力する。
ブレーキペダルセンサ63は、運転者による減速指示としてのブレーキ踏込み量を検出し、検出信号を統合制御装置60に出力する。
車速センサ64は、車輪の回転速度等のよって車速を検出し、検出信号を統合制御装置60に出力する。
エンジン110は、たとえば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関により構成する。エンジン110には、冷却水の温度を検知する冷却水温センサ112を設ける。冷却水温センサ112は、検出信号を駆動制御装置50に出力する。
同様に、第2モータMG2は、電動機及び発電機への機能を併せ持つ。すなわち、第2モータMG2は、その出力を、出力軸125及び減速機130を介して、駆動軸140に伝達する。すなわち、第2モータMG2は、車両駆動力発生用の電動機を構成する。さらに、第2モータMG2は、車輪150の回転方向と反対方向の出力トルクを発生することで、回生発電を行なう。
直流電圧発生部DVGは、バッテリB、平滑コンデンサC1、昇降圧コンバータ15を備える。
バッテリBとしては、ニッケル水素、リチウムイオン、鉛酸バッテリ等の二次電池を適用可能である。なお、バッテリBとして、電気二重層キャパシタ等を適用することも可能である。
昇降圧コンバータ15(以下、単にコンバータとも記載する)は、リアクトルL1と、スイッチング制御される電力用半導体素子(以下、「スイッチング素子」と称する)Q1、Q2とを備える。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1及びQ2の接続ノードと電源ライン6との間に接続する。また、平滑コンデンサC0は、電源ライン7と接地ライン5の間に接続する。
ここで、スイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1、Q2に対しては、逆並列ダイオードD1、D2を配置しておく。本実施形態では、スイッチング素子としてIGBTを使用する場合を例にして説明する。他のスイッチング素子も同様である。
第1及び第2インバータ20及び30の直流電圧側は、共通の接地ライン5及び電源ライン7を介して、昇降圧コンバータ15に接続する。昇降圧コンバータ15、平滑コンデンサC0、及び第1、第2インバータ20、30は、電力授受回路を構成する。
第2モータMG2は、第1モータMG1と同様に構成する。すなわち、第2モータMG2は、固定子に設けたU相コイル巻線U2、V相コイル巻線V2及びW相コイル巻線W2と、図示しない回転子とを備える。第1モータMG1と同様に、U相コイル巻線U2、V相コイル巻線V2及びW相コイル巻線W2の一端は、中性点N2で互いに接続する。U相コイル巻線U2、V相コイル巻線V2及びW相コイル巻線W2の他端は、第2インバータ30のU相アーム32、V相アーム34及びW相アーム36とそれぞれ接続する。
具体的には、第2インバータ30は、駆動制御装置50によるスイッチング制御に従って、電源ライン7から受ける直流電圧を3相交流電圧に変換する。そして、その変換した3相交流電圧を第2モータMG2へ出力する。これにより、第2モータMG2は、指定されたトルクを発生するように駆動される。また、第2インバータ30は、車両の回生制動時、車輪150からの回転力を受けて、第2モータMG2が発電した3相交流電圧を駆動制御装置50によるスイッチング制御に従って直流電圧に変換する。そして、その変換した直流電圧を電源ライン7へ出力する。
第1モータMG1、MG2の各々に、電流センサ27及び回転角センサ(レゾルバ)28を設ける。各電流センサ27は、第1モータMG1、MG2のモータ電流MCRT(1)、MCRT(2)を検出し、検出信号を駆動制御装置50に供給する。ここで、三相電流iu、iv、iwの瞬時値の和は零である。したがって、電流センサ27は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流iv及びW相電流iw)を検出するように配置すれば足りる。
駆動制御装置50は、所定のプログラム処理に従って、上位の統合制御装置60から入力したモータ指令に基づき第1モータMG1、MG2が動作するように、昇降圧コンバータ15及び第1及び第2インバータ20、30のスイッチング制御のためのスイッチング制御信号S1、S2(昇降圧コンバータ15)、S11〜S16(第1インバータ20)、及びS21〜S26(第2インバータ30)を生成する。このインバータ制御を行うために、駆動制御装置50は、第1インバータ20をベクトル制御する第1ベクトル制御部72及び、第2インバータ30をベクトル制御する第2ベクトル制御部73を備える。
ここで、本実施形態では、単一の駆動制御装置50によってインバータ制御におけるスイッチング周波数を切換える機構について説明したが、複数の制御装置の協調動作によって同様の制御構成を実現することも可能である。
駆動制御装置50は、昇降圧コンバータ15の昇圧動作時には、第1モータMG1、MG2の動作状態に応じて直流電圧VHの電圧指令値VHrefを設定する。ここで、上記直流電圧VHは、第1及び第2インバータ20、30の直流側電圧に相当する。この直流電圧VHを、以下「システム電圧VH」とも記載する。また、また、直流電圧VHの電圧指令値VHrefを、システム電圧指令値VHrefとも記載する。
昇降圧コンバータ15は、昇圧動作時には、バッテリBから供給された直流電圧(バッテリ電圧)Vbを昇圧したシステム電圧VHを、第1及び第2インバータ20、30へ共通に供給する。より具体的には、駆動制御装置50からのスイッチング制御信号S1、S2に応答して、スイッチング素子Q1、Q2のデューティ比(オン期間比率)を設定し、昇圧比はデューティ比に応じたものとなる。
電源ライン7からは、補機等の他の負荷170に対しても電力が供給される。たとえば、接地ライン5及び電源ライン7と負荷170との間に、システム電圧VHを補機動作電圧Vaに電圧変換するためのDC/DCコンバータ160を設ける。これによって、電源ライン7上の電力を負荷170により消費できる。負荷170は、たとえば、温水加熱用ヒータ、調温装置(エアコン)、ブロワモータ、デフロスタ用ヒータ等を含む。これらの負荷の動作状態(オンオフ設定、運転条件設定)等により、負荷170による消費電力は変化する。
このように、駆動制御装置50は、トルク指令値Tqcom(1)、Tqcom(2)に従って第1及び第2モータMG1、MG2を駆動制御する。これによって、ハイブリッド車両100では、第2モータMG2での電力消費による車両駆動力の発生、第1モータMG1での発電によるバッテリBの充電電力または第2モータMG2の消費電力の発生、及び第2モータMG2での回生制動動作(発電)によるバッテリBの充電電力の発生を、車両の運転状態に応じて適宜に実行できる。
このように、エンジン110は、走行中においても間欠駆動が行なわれることになり、頻繁に停止制御が行なわれるようになる。ここで、ハイブリッド車両100におけるエンジン停止制御について説明する。
このようなエンジン停止制御では、第1モータMG1による負トルクの発生により、トルク×回転数に応じた発電電力が発生する。この発電電力は、第1インバータ20が直流電力に変換して、電源ライン7に供給する。なお、以下、本実施形態では、消費電力を正値で示し、発電電力を負値で示すこととする。
まずステップS10にて駆動輪150に所定以上の加速スリップをしているか否かを判定する。加速スリップしていると判定した場合にはステップS20に移行する。加速スリップしていないと判定すると、そのまま復帰する。この処理は、ABS制御などの他の処理の一部であっても良い。
加速スリップか否かは、例えば駆動輪150の車速と従動輪の車速の車速差に基づき車速差が所定以上の場合に加速スリップと判定する。
ステップS20では、平滑コンデンサ保護制御部70の処理を実施する。
次に、ステップS30では位相進み処理部71の処理を実行する。
その後復帰する。
平滑コンデンサ保護制御部70は、昇圧電圧目標値制限処理部70A、第1昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70B、第2昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70C、第3昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70D、乗算部70E、加減算部70H及びIGBTキャリア周波数制限部70Gを備える。
そして、下記式に基づき昇圧電圧制限値ΔVdownを算出する。
ΔVdown = K1 × Vbo*
第1昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Bは、インバータIGBT温度、コンバータIGBT温度、平滑コンデンサ温度を入力する。ここで、インバータIGBT温度は、例えば、第2インバータのインバータIGBT温度とする。インバータIGBT温度として、第1及び第2インバータ20,30のうち、インバータIGBT温度の高い方を採用しても良い。他の処理においても同様である。
第1昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Bは、演算した係数aを第3昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Dに出力する。また、第1昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Bは、演算した係数cをIGBTキャリア周波数制限部70Gに出力する。
第2昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Cは、モータ温度を入力する。そして、図8に示すマップを使用して、補正係数bを算出する。図8に示すマップは、温度が低い場合に比べて温度が高い場合に大きな値となる。
第3昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Dでは、補正係数a及びbのセレクトハイを行い、大きい方の係数dを乗算部70Eに出力する。
ΔVdown ← d ×ΔVdown
これによって、昇圧電圧制限値ΔVdownは、インバータIGBT温度やモータ温度などが低い場合には、昇圧電圧制限値ΔVdownを小さくする。
加減算部70Hでは、昇圧電圧目標値Vbo*から補正後の昇圧電圧制限値ΔVdownを減算することで昇圧電圧目標値Vbo*を制限する。
Vbo_limit* =Vbo* −ΔVdown
また、IGBTキャリア周波数制限部70Gは、IGBTキャリア周波数目標値から係数cを減算してIGBTキャリア周波数の制限を行う。
位相進み処理部71は、位相進みと消費できる損失マップ(不図示)を、第一モータMG1と第二モータMG2でそれぞれ備える。
駆動輪150の加速スリップで発生する余剰電力をスリップ量に基づき算出する。
そして、算出した余剰電力から、上記第一モータMG1、第二モータMG2のそれぞれの損失マップを参照して、第一モータMG1、第二モータMG2のそれぞれの−d軸への位相進み量を算出する。そして、算出した位相進み量を駆動制御装置50の処理のうちの第1及び第2インバータのベクトル制御部72,73に出力する。
ここで、バッテリBの許容入力電力Pinは、電池状態(SOC及び/または電池温度等)に従って変化する。特に、バッテリ温度Tbが低温時には、内部抵抗の増大などにより、許容入力電力Pinは低下する。許容入力電力Pinは、別途設けたバッテリ制御用の制御装置から取得したり、バッテリ温度Tb、SOC等を引数とするマップを駆動制御装置50内に格納したりして、このマップの参照によって許容入力電力Pinを求めることが出来る。
Pg=Nmt1・Tqcom(1)
ここで、エンジン停止制御時ではトルク指令値Tqcom(1)<0であるため、発電電力Pgは負値(Pg<0)である。
第1及び第2インバータ20、30の各スイッチング素子におけるスイッチング動作は、基本的にパルス幅変調制御(PWM制御)に従って設定する。具体的には、PWM制御では、所定のキャリア波と電圧指令波との電圧比較に基づき、第1及び第2インバータ20、30の各相アームでのスイッチング素子のオンオフを制御する。ここで、キャリア波は、所定周波数の三角波やのこぎり波とすることが一般的である。電圧指令波は、モータMGをトルク指令値Tqcomに従って作動させるために必要な各相電流を発生させるための、モータへの印加電圧(交流電圧)を示す。そして、キャリア波が電圧指令波よりも高電圧のときと、その反対のときとで、同一アームを構成するスイッチング素子のオンオフを切換える。 スイッチング素子のオン時には、コレクタ・エミッタ間電圧vce=0となる一方で、コレクタ・エミッタ間電流iceが発生する。これに対して、スイッチング素子のオフ時には、コレクタ・エミッタ間電流ice=0となる一方で、コレクタ・エミッタ間電圧vce=VHとなる。ここで、スイッチング素子のオンオフ時には、完全にオンまたはオフとなるまでの期間、すなわち、コレクタ・エミッタ間電圧vce=0またはコレクタ・エミッタ間電流ice=0に変化するまでの期間において、コレクタ・エミッタ間電圧vce及びコレクタ・エミッタ間電流iceの積に相当するスイッチング損失Ploss(Ploss=vce・ice)が発生する。このスイッチング損失Plossの発生により、スイッチング素子が発熱してその温度が上昇する。
所定のマップの参照により、第1モータMG1の出力(回転数×トルク)またはトルク(トルク指令値Tqcom(1))ならびに、システム電圧VH及び第1インバータ20で用いられるキャリア周波数fiv1に基づき、第1インバータ20での損失電力Liv1を推定できる。上記マップは、第1モータMG1の回転数、トルク(トルク指令値Tqcom(1))、システム電圧VH及びキャリア周波数fiv1を引数として、損失電力Liv1の推定値を求めるように予め構成される。
推定した発電電力Pg及びステップS120で推定した全体消費電力Pttlの和により、バッテリBへの入力電力を推定出来る。すなわち、推定入力電力Pbは、下記式で示すことが出来る。
Pb=Pg+Pttl
低μ路や不整路を走行する際に発生する車両駆動輪150のスリップ状態からグリップによる駆動輪150の回転数急減や、スリップを抑制するトラクションコントロール作動時の駆動トルクの急制限によって、駆動輪150につながる第2モータMG2の出力が急減する。この場合、エンジン出力を駆動出力用電力として取り出す第1モータMG1の発電電力を第2モータMG2が全て消費できず、余剰分がバッテリBへの入力になる。
(a)バッテリBを暖めて回生電力の受け入れ性を高める。
具体的には、
・エンジン排熱やA/C等により外部から暖める
・バッテリBとインバータ、コンバータ間、さらに第1モータMG1、第2モータMG2を含め、駆動力に影響が小さい範囲でエネルギーの出し入れを行い、バッテリBの内部抵抗の損失による発熱により、内部から暖める。
(c)エンジントルクを制限し、第1モータMG1の発電電力を抑え、余剰電力の絶対値を抑える。
ただし、(a)〜(c)の対策では、下記のような跳ね返りがある。
すなわち、(a)では電力収支のロスと、暖機時間の遅れがある。(b)(c)では、駆動力が抑えられ、動力性能低下が大きいおそれがある。
すなわち、バッテリ温度Tbが低く回生電力の受け入れ量が小さいときに、駆動輪150が加速スリップすると昇圧電圧を低く制限する。これによって、スリップ状態とグリップ状態との移行の際に起きる第1モータMG1及び第2モータMG2間の電力収支ズレによってあふれる電力がバッテリBの回生電力受け入れ量を超過しても、昇圧電圧を抑えているため、平滑コンデンサが耐電圧内で一次的に受け止めることが出来る電力が増加する。
また、平滑コンデンサ保護制御部70の処理のうち、昇圧電圧目標値制限処理部70Aを常時実行し、また、第1〜第3昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70B〜70Dを加速スリップ時に実行するようにしても良い。
また、コンバータの昇圧機能の制御は、上記構成に限定しない。例えば、電圧F/B制御+F/F補償におる制御や、電圧F/B制御+F/F補償に電流F/B制御+F/F補償を加えた制御を例示できる。
ここで、平滑コンデンサ保護制御部70は、昇圧電圧制御手段を構成する。位相進み処理部71は、位相進め処理手段を構成する。ステップS10は、スリップ検出手段を構成する。
(1)昇圧電圧制限手段は、コンバータの昇圧電圧目標値Vbo*を、バッテリBの温度が所定値より低い場合、バッテリBの温度が高い場合に比べて低く制限する。
第1モータMG1と第2モータMG2との間の電力収支ズレによる余剰分の電力がバッテリBの回生電力受け入れ量を超過しても、昇圧電圧を抑えているため、平滑コンデンサが耐電圧内で一次的に受け止めることが出来る電力が増加する。
これによって、バッテリ低温時におけるコンデンサ電圧の過剰発生を低減可能となる。
例えば、スリップ時とグリップ時との移行の際に起きる第1モータMG1及び第2モータMG2間の電力収支ズレによってあふれる電力がバッテリBの回生電力受け入れ量を超過しても、昇圧電圧を抑えているため、平滑コンデンサが耐電圧内で一次的に受け止めることが出来る電力が増加する。
モータ温度等が低い場合には、モータ温度等などで損失を増加出来る余力がある。このため、上記昇圧電圧目標値の制限を緩和可能となる。
これによって、損失増による発熱によって余剰分を吸収可能となる。
すなわち、電流位相を進めることで、第1モータMG1の発電効率や第2モータMG2の効率を悪化させ、悪化分で余剰電力を吸収する。悪化分だけコンデンサが一時的に受け入れる電力が減少する。そして、その余力分を第1及び第2モータMG1、MG2の出力制限の緩和に使うことができ、運転性向上につながる。
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様である。
ただし、平滑コンデンサ保護制御部70の構成が、図9に示すように異なる。
次に、本実施形態の平滑コンデンサ保護制御部70の処理を、図9を参照して説明する。
平滑コンデンサ保護制御部70の処理は、昇圧電圧目標値制限処理部70A、第1昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70B、第2昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70C、第3昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70D、駆動要求駆動力制限部70H、乗算部70E、IGBTキャリア周波数補正係数算出部70K、及びIGBTキャリア周波数制限部70Gを備える。
第1昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Bは、基本的に上記第1実施形態と同様である。但し、本実施形態の第1昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Bでは、係数aだけを求める。そして、第1昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Bは、演算した係数aを第3昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Dに出力する。
第3昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Dでは、補正係数a及びbのセレクトローを行い、小さい方である係数eを乗算部70E及びIGBTキャリア周波数補正係数算出部70Kに出力する。
駆動要求駆動力制限部70Hでは、要求駆動力の目標値Power*を入力する。また、図10に示すマップを使用して、バッテリ温度Tbに基づき係数K4を算出する。そして、入力した要求駆動力の目標値Power*に係数K4を乗算することで制限値Plimit*を算出する。係数K4は、所定温度(図10ではゼロ℃)以下では温度が低いほど小さな値となる。
そして、統合制御装置60では、要求駆動力の目標値Power*から制限値Plimit_adj*値を、要求駆動力の目標値Power*として使用する。
Power* ←Power* −Plimit_adj*
入力したd軸電流の増加率から図11に示すマップを使用して制限係数K5を求める。そして、制限係数K5、および第3昇圧電圧目標値制限補正係数算出部70Dからの係数eのうちの大きい方を係数cとする。そして、係数cをIGBTキャリア周波数制限部70Gに出力する。
また、IGBTキャリア周波数制限部70Gは、IGBTキャリア周波数目標値から係数cを減算してIGBTキャリア周波数の制限を行う。
バッテリ温度が高い場合に対し低い場合には、要求駆動力の目標値Power*を制限する。これによって、昇圧電圧を抑える。
また、d軸電流の増加率が大きい場合、または、モータ温度などが高い場合、IGBTキャリア周波数を制限する。これによってインバータ発熱を相殺する。
インバータ温度から、電流位相を進めることで増加するモータやインバータ損失の許容値を算出し、許容量の大小に合わせ昇圧電圧やトルク指令値の制限を補正することで、コンデンサ容量を有効に活用しつつ、過電圧を回避できる。
また、平滑コンデンサ保護制御の処理のうち、昇圧電圧目標値制限処理部70Aだけを常時実行し、その他の処理を加速スリップ時に実行するようにしても良い。
また、上記実施形態では、内燃機関を備えたハイブリッド車両の場合を例示した。これに代えて、内燃機関を有さない電気自動車や、燃料電池自動車、及び、内燃機関を有すると共に、外部電源からの充電を可能とする、所謂、プラグイン・ハイブリッド車両にも適用することができる。
(1)要求駆動力の目標値を、バッテリBの温度が所定値より低い場合、バッテリBの温度が高い場合に比べて低く制限すると共に、当該要求駆動力の目標値の制限を、インバータ温度及びモータ温度の少なくとも一方の温度が高い場合に比べて低い場合に小さくする。
バッテリ温度が高い場合に対し低い場合には、要求駆動力の目標値Power*を制限する。これによって、昇圧電圧を抑えて、平滑コンデンサが耐電圧内で一次的に受け止めることが出来る電力が増加する。
但し、インバータ温度及びモータ温度の少なくとも一方の温度が低い場合には、制限を小さくすることで、要求駆動力の目標値Power*の制限を緩和出来る。
インバータIGBTスイッチングキャリア周波数を低く制限することで、インバータ自体の損失を低減させることが出来る。
(3)上記キャリア周波数の制限量を、モータ温度とインバータ温度の少なくとも一方の温度が高い場合に比べて低い場合に小さくする。
インバータ温度等が高い場合は、モータ制御の電流位相を進めることによる損失増インバータ耐熱の許容値が制限される。この場合は、インバータIGBTスイッチングキャリア周波数を低くし、インバータ自体の損失を低減させる。
C0 平滑コンデンサ
C1 平滑コンデンサ
DVG 直流電圧発生部
MG1 第1モータ
MG2 第2モータ
Tb バッテリ温度
Vbo* 昇圧電圧目標値
15 昇降圧コンバータ
20 第1インバータ
30 第2インバータ
50 駆動制御装置
60 統合制御装置
61 エンジンコントローラ
62 アクセルペダルセンサ
63 ブレーキペダルセンサ
64 車速センサ
70 平滑コンデンサ保護制御部
70A 昇圧電圧目標値制限処理部
70B 昇圧電圧目標値制限補正係数算出部
70C 昇圧電圧目標値制限補正係数算出部
70D 昇圧電圧目標値制限補正係数算出部
70E 乗算部
70G キャリア周波数制限部
70H 加減算部
70H 駆動要求駆動力制限部
70K キャリア周波数補正係数算出部
71 位相進め処理部
72 第1ベクトル制御部
73 第3ベクトル制御部
110 エンジン
150 駆動輪
Claims (8)
- 駆動輪を駆動可能と共に駆動輪によって回生可能なモータと、
バッテリと、バッテリとモータとを電気的に接続するインバータと、インバータとバッテリとの間に介装する昇圧機能を有するコンバータ及び平滑コンデンサと、
上記コンバータの昇圧電圧目標値を、バッテリの温度が所定値より低い場合、バッテリの温度が高い場合に比べて低く制限すると共に、バッテリの温度が上記所定値より低くなるほど上記昇圧電圧目標値を低く制限する昇圧電圧制限手段と、
を備えることを特徴とする車両の駆動制御装置。 - 駆動輪を駆動する内燃機関と、内燃機関の回転によって発電可能な第1モータと、上記駆動輪を駆動可能と共に駆動輪によって回生可能な第2モータと、
バッテリと、バッテリと第1モータとを電気的に接続する第1インバータと、バッテリと第2モータとを電気的に接続する第2インバータと、第1インバータ及び第2インバータとバッテリとの間に介装する昇圧機能を有するコンバータ及び平滑コンデンサと、
上記コンバータの昇圧電圧目標値を、バッテリの温度が所定値より低い場合、バッテリの温度が高い場合に比べて低く制限すると共に、バッテリの温度が上記所定値より低くなるほど上記昇圧電圧目標値を低く制限する昇圧電圧制限手段と、
を備えることを特徴とする車両の駆動制御装置。 - 上記昇圧電圧制限手段は、上記昇圧電圧目標値の制限量を、モータ温度、インバータ及びコンバータ温度、コンデンサ温度の少なくとも一つの温度に応じて補正し、当該温度が高い場合に比べて低い場合には上記制限量が小さくなるように補正することを特徴とする請求項2に記載した車両の駆動制御装置。
- 上記インバータをベクトル制御によって制御し、更に、
上記駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、
スリップ検出手段の検出に基づき駆動輪がスリップしたと判定すると、第2モータ及び第1モータのうち、少なくとも一方のモータへのトルク指令値に対する電流指令値を−d軸側へ位相を進める位相進め処理手段と、を備えることを特徴とする請求項3に記載した車両の駆動制御装置。 - アクセル開度に基づき要求駆動力の目標値を求め、その要求駆動力の目標値に基づく指令値で上記内燃機関及び第2モータを駆動制御する車両の駆動制御装置において、
上記要求駆動力の目標値を、バッテリの温度が所定値より低い場合、バッテリの温度が高い場合に比べて低く制限すると共に、
当該要求駆動力の目標値の制限を、インバータ温度及びモータ温度の少なくとも一方の温度が高い場合に比べて低い場合に小さくすることを特徴とすることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載した車両の駆動制御装置。 - 第1インバータ及び第2インバータの少なくとも一方のインバータスイッチング素子のキャリア周波数を、d軸電流の増加率に応じて制限することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載した車両の駆動制御装置。
- 上記キャリア周波数の制限量を、モータ温度とインバータ温度の少なくとも一方の温度が高い場合に比べて低い場合に小さくすることを特徴とする請求項6に記載した車両の駆動制御装置。
- 駆動輪を駆動可能と共に駆動輪によって回生可能なモータを備え、上記モータをバッテリに対し、昇圧機能を有するコンバータ、平滑コンデンサ、インバータを介して電気的に接続し、上記コンバータの昇圧電圧目標値を、バッテリの温度が所定値より低い場合、バッテリの温度が高い場合に比べて低く制限すると共に、バッテリの温度が上記所定値より低くなるほど上記昇圧電圧目標値を低く制限することを特徴とする車両の駆動制御方法。
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