まず、本実施形態の弾球遊技機の概要について説明する。
本実施形態の弾球遊技機は、遊技球を受入れ可能で遊技球による演出を行う役物装置と、発光による演出を行う発光装飾部とを備えた弾球遊技機であって、前記役物装置は、遊技球が入球した場合に遊技者に有利な状態を発生させるように定めた特定領域及び遊技者に有利な状態を発生させないように定めた非特定領域と、電力が供給されている場合に遊技球を前記特定領域又は前記非特定領域に振分ける動作を行う可動体とを有し、前記可動体を作動させる条件が成立した場合には、前記可動体に電力が供給され、前記条件が成立しない場合には、前記発光装飾部に電力が供給されることを特徴とする。
本実施形態では、受入れた遊技球が様々な態様で流下すること等によって演出を行う役物装置と、複数の装飾LED等によって発光による演出を行う発光装飾部とを備える。
そして、役物装置の可動体を作動させる条件が成立した場合には、可動体に電力が供給されることにより、可動体が所定の動作(例えば、回転動作)を行う。このとき、遊技球が特定領域又は非特定領域に振分けられ、特定領域に入球した場合に大当り等の遊技者に有利な状態が発生する。一方、上記可動体を作動させる条件が成立しない場合は、発光装飾部に電力が供給され、発光による演出を行う。
このように、可動体を作動させる条件の成立/不成立に対応して可動体又は発光装飾部に電力が供給されるので、可動体や発光装飾部に常時電力が供給されることで可動体や発光装飾部或いはそれらの駆動装置が故障したり早期に寿命に達したりするのを防止できる。また、可動体と発光装飾部による演出が個別に行われるので、電力消費を増大させることなく、これらの演出が同時に行われる場合より長時間の演出が可能になる。
本実施形態において、前記可動体に電力が供給される期間は、前記特定領域への遊技球の入賞が有効となる期間より短いことが好ましい。
本実施形態では、可動体に電力が供給される期間は、遊技球の特定領域への入賞が有効となる期間より短いので、その有効期間のうちの一部の期間で、遊技球を特定領域又は非特定領域に振分けるように可動体を動作させる。
例えば、上記有効期間のうち、遊技球が可動体に到達するまでの時間を差し引いた期間だけ可動体を動作させることができる。これにより、可動体やその駆動装置の負担をさらに軽減することができる。
また、本実施形態において、前記可動体は、複数の動作パターンに従って動作するように制御されることが好ましい。
本実施形態では、可動体の動作パターンに複数の種類がある。例えば、回転動作をする可動体の場合には、可動体を逆方向に回転させたり、回転・停止を繰り返す動作パターンによっても遊技球を特定領域又は非特定領域に振分けることができる。これにより、可動体による演出の効果を高めることができる。
また、本実施形態において、遊技盤面上に始動入賞口を備え、前記条件は、前記始動入賞口への遊技球の入賞であることが好ましい。
この場合、遊技球が始動入賞したことを契機に可動体に電力が供給されることにより可動体が所定の動作を開始するので、以後、遊技球が可動体の位置に到達した場合に遊技球を特定領域又は非特定領域に振分けることができる。
また、本実施形態において、前記条件は、前記役物装置への遊技球の入球であることが好ましい。
この場合、役物装置への遊技球の入球を契機に可動体に電力が供給されるが、遊技球が入球してから可動体の位置に到達するまでに時間がかかる役物装置においては、この条件で可動体が所定の動作を開始しても、入球した遊技球を特定領域又は非特定領域に振分けることができる。
本実施形態において、遊技球の役物装置への入球は、始動入賞の場合より発生機会が少なくなっているので、始動入賞を契機に可動体に電力を供給する場合と比較しても、可動体及びその駆動装置の負担をさらに軽減することができる。
次に、図1を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機を構成する部分について説明する。図1に示すように、パチンコ遊技機1は、矩形状の外枠2と、この外枠2に開閉可能に枢着された前面枠3および前扉5を備えている。
前面枠3は、額縁状であり開口部に遊技盤4(図3参照)が取付け可能となっている。また、前扉5の中央部にはガラス板6が嵌め込まれており、外部より遊技盤4が視認可能となっている。
前扉5の上部左右両側にはスピーカ7が設けられている。スピーカ7は、遊技に伴う演出効果音を外部に出力する音響出力部である。また、前扉5の左右両側および上部には枠装飾LED8が設けられている。枠装飾LED8は、遊技の演出に連動してLEDが発光又は点滅する装飾部であり、本発明の発光装飾部に相当する。
前扉5の下側には前面板9があり、その左端部は前面枠3に開放可能に枢着されている。前面板9には、発射機構を作動させるための発射ハンドル10、遊技球を貯留する上貯留皿11、下貯留皿12等が設けられている。
また、上貯留皿11の表面部分には、内蔵ランプが点灯したとき操作が可能となる左演出ボタン13と、中央演出ボタン14が設けられている。演出ボタン13、14は、遊技中に操作の機会が与えられ、ボタンを押下することにより演出を変化させることができる。
図2は、本実施形態のパチンコ遊技機の背面側の斜視図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面には、遊技盤4を裏側から押さえる枠体状の裏機構盤16が取り付けられている。
この裏機構盤16の上部には、パチンコホール側島設備の遊技球補給装置(図示省略)から供給される遊技球を貯留する遊技球貯留タンク17が設けられている。
また、遊技球貯留タンク17から球を導出するタンクレール18の傾斜下端には、遊技球を払い出すための遊技球払出装置19が設けられている。さらに、裏機構盤16の隅部には、パチンコホールにある全遊技機を統括的に管理するホールコンピュータ(図4参照)に電気的に接続するための外部端子基板21が、端子基板ケース22に収納され、設けられている。
また、裏機構盤16の略中央には、遊技盤4の裏側に装着された透明の裏カバー23が備えられており、この裏カバー23内に、演出制御基板25を収納した透明の演出制御基板ケース25aが設けられている。
演出制御基板25は、後述する主制御基板24から送信される各種制御コマンドを受信し、その制御コマンドに基づいて、枠装飾LED8等による演出を制御する。
演出制御基板25の右側には、ボリュームスイッチ31が設けられている。つまみ部分を回転させることで音量設定が可能である。
演出制御基板ケース25aの右下方には、主制御基板24を収納した透明な主制御基板ケース24aが設けられている。主制御基板24は、パチンコ遊技機1の動作を統括的に制御するものである。主制御基板24は、各種スイッチやセンサと接続されているため、これらの検知信号を受信して各種処理を行う。
また、主制御基板24には、RAMクリアスイッチ27が設けられている。RAMクリアスイッチ27を押下しながら電源を投入することにより、RAM領域の記憶内容は消去され、パチンコ遊技機1は初期状態となる。
主制御基板ケース24aの下方には、電源基板28を収めた透明な電源基板ケース28aと払出制御基板29を収めた透明な払出制御基板ケース29aが配設されている。
さらに、発射ハンドル10に対応する位置には、遊技球を打撃する打撃槌やこれを駆動する発射モータを備えた遊技球発射装置(図示省略)の後側に発射制御基板30が設けられている。
次に、図3を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機の遊技盤について説明する。
図3に示すように遊技盤4は、略正方形のパネルで形成され、その盤面上の遊技領域4aは、化粧板4bの前面にビス等で固定される左部コーナー飾り体34a、右部コーナー飾り体34b等の部材によって区画形成されている。飾り体34a、34bは、ポリカーボネート等の硬質樹脂材料を用いた射出成形によってそれぞれ一体成型で形成されている。
遊技盤4の中央上方には始動入賞役物35が配置されている。遊技領域4aを流下する遊技球が始動入賞役物35内の第1特別図柄始動口36aに入賞すると、後述する特別図柄表示装置43aにて特別図柄の変動が開始する。変動する特別図柄が当りの態様で停止した場合には、後述する役物装置37の入球口が開放され、遊技球が入賞可能となる。なお、始動入賞役物35内の黒丸(9個)は遊技釘を示している。
始動入賞役物35の右側には、第2特別図柄始動口36bが配置されている。第2特別図柄始動口36bも、遊技球が入賞することにより特別図柄表示装置43aにて特別図柄の変動が開始する等、役割は第1特別図柄始動口36aと同じである。以下、第1特別図柄始動口36aと第2特別図柄始動口36bを総称して始動入賞口という。
第2特別図柄始動口36bは開閉部材を備え、開閉部材が開放した場合に遊技球が入賞可能となる。上記開閉部材は、後述する普通図柄の抽選に当選した場合に、所定回数、所定時間開放する。以下では、第2特別図柄始動口36b(開閉部材を含む)を普通電動役物と称することがある。なお、第2特別図柄始動口36bの上方には、阻止壁があり、開閉部材が開放していない場合に遊技球の入賞が阻止される。
始動入賞役物35の下方には、役物装置37が配置されている。詳細は後述するが、役物装置37の内部には可動体が設けられており、役物装置37に入球した遊技球を遊技者に有利な状態を発生させる特定領域に遊技球を誘導する穴、又は有利な状態を発生させない非特定領域に遊技球を誘導する穴に振分ける。遊技球が特定穴に入賞した場合には、大当りが確定し、後に大当り遊技に移行する。
役物装置37の右側には、大入賞装置38が配置されている。大入賞装置38は、大当り遊技の際に開閉部材が所定時間開放する入賞装置である。遊技球が大入賞装置38内の大入賞口(図示省略)に入賞することにより、遊技者は、多くの賞球を獲得することができる。なお、大入賞装置38の開閉部の上方にも、阻止壁が設けられており、開閉部材が開放していない場合に遊技球の入賞が阻止される。
遊技領域4a右側には、大当り開始ゲート39aと普通図柄用始動ゲート39bが配置されている。大当り開始ゲート39aは、大当り遊技を開始するためのゲートである。遊技球が役物装置37の特定穴に入賞して大当りが確定した後、遊技者は右打ちを行い、遊技球が大当り開始ゲート39aを通過するようにする。これにより、大当り遊技が開始し、大入賞装置38の開閉部材が開放する。
一方、普通図柄用始動ゲート39bは、普通図柄の始動契機となるゲートである。遊技球が普通図柄用始動ゲート39bを通過することにより普通図柄の抽選が行われ、普通図柄表示装置43bにて、普通図柄の変動が開始する。
また、遊技領域4aには、遊技球の流下方向を変化させる球誘導部材40、風車41がある。遊技領域4aの全面には、多数の遊技釘が配置されているが、一部を除き図示を省略した。また、合計4個の一般入賞口42が配置されている。遊技球が一般入賞口42に入賞すると所定数の賞球の払出しが行われる。
遊技領域4aの右側下方には、特別図柄表示装置43aおよび普通図柄表示装置43bが配置されている。特別図柄表示装置43aは、2個の7セグメントLED(左及び中)から構成され、始動入賞口36への入賞を契機として特別図柄を変動させ、抽選結果を表示する。なお、残り1個の7セグメントLEDは(右)、特別図柄及び普通図柄の保留球数や、時短状態であることを表示する。
普通図柄表示装置43bは、複数のLEDからなる表示器であり、普通図柄用始動ゲート39bへの入賞を契機として普通図柄を始動させ、LEDの点灯により抽選結果を表示する。
遊技領域4aの最も左側には、発射機構により発射された遊技球を遊技領域4aに案内するため略上下方向に延びたガイドレール44が配置されている。ガイドレール44は、金属製の帯状の外内2本のガイドレール44a、44bで構成されている。
これら外内2本のガイドレール44a、44bの間で上下方向に延びた空間が、前記発射機構から発射された遊技球が通過する発射通路45を形成している。内側ガイドレール44bの上端には、発射球の発射方向(遊技領域4a側)への通過を許可すると共に戻り方向(発射通路45側)への通過を阻止する戻り球防止片46が配設されている。また、内側ガイドレール44bの最下部にはアウト球回収口47と、アウト球回収口47にアウト球を導入する球寄せ部48が形成されている。
図4は、パチンコ遊技機の制御装置の構成を示すブロック図である。なお、この図面では、信号を中継する中継基板や本発明に関係のない一部の部材の構成を省略した。
パチンコ遊技機1の制御装置は、パチンコ遊技機1の動作を統括的に制御する主制御基板24と、主制御基板24からコマンドを受けて演出の制御をする演出制御基板25を中心に構成される。電源基板28は、主制御基板24を初めとした各基板に接続され、外部電源から交流電圧24Vを受けて直流電圧に変換し、各基板に供給する。
主制御基板24は、その内部に、主制御基板側CPU241と、ROM242と、RAM243を備えている。主制御基板側CPU241は、いわゆるプロセッサ部であり、大当りを発生させるか否かの抽選処理、決定された変動パターンや停止図柄の情報から制御コマンドを作成し、演出制御基板25に送信する等の処理を行う。
ROM242は、一連の遊技機制御手順を記述した制御プログラムや制御データ等を格納した記憶部である。また、RAM243は、主制御基板側CPU241の処理で設定されたデータを一時記憶するワークエリアを備えた記憶部である。
主制御基板24には、RAMクリアスイッチ27、始動入賞口センサ36c、大入賞口センサ38c、ゲート通過センサ39c、一般入賞口センサ42c、入球口センサ49c、羽根部材用ソレノイド50c、可動体用モータ55dが接続され、検知信号を受信したり、ソレノイド等の駆動装置に制御信号を送信する。
また、主制御基板24には、特別図柄表示装置43a、普通図柄表示装置43bが接続され、主制御基板側CPU241が抽選処理により取得した乱数情報は、各図柄表示装置43a、43bに送信される。
さらに、主制御基板24には、パチンコ遊技機1の外部へ接続する端子を備えた外部端子基板21が接続されている。遊技における大当り、入賞数、ゲーム数等の各種情報は、主制御基板24から外部端子基板21を介してホールコンピュータに送信される。
さらに、主制御基板24には、払出制御基板29が接続されている。払出制御基板29には、下貯留皿満杯センサ12cおよび扉開放センサ32が接続されているため、これらのセンサが異常を検知すると、検知信号は払出制御基板29から主制御基板24に送信される。なお、払出制御基板29には、遊技球払出装置19と、発射制御基板30(さらに発射装置10aと接続)が接続している。
次に、演出制御基板25は、その内部に、演出制御基板側CPU251と、ROM252と、RAM253を備えている。演出制御基板側CPU251は、いわゆるプロセッサ部であり、主制御基板24から送信された制御コマンドを受信し、その制御コマンドに基づいた各種演出を制御する処理を行う。
ROM252は、一連の演出制御手順を記述した制御プログラムや演出データ等を格納した記憶部である。また、RAM253は、演出制御基板側CPU251の処理で設定されたデータを一時記憶するワークエリアを備えた記憶部である。
演出制御基板25には、スピーカ7、枠装飾LED8、ボリュームスイッチ31、左演出ボタン13、中央演出ボタン14が接続されている。演出制御基板25は、スピーカ7の効果音や枠装飾LED8の発光態様等を制御して遊技の演出効果を高める。
演出ボタン13、14は、演出ボタンの有効期間に遊技者がこれらを押下げることにより、検知信号が演出制御基板25に送信され、演出態様が変化する。
次に、図5A、Bを参照して、本実施形態の役物装置について説明する。この役物装置は、遊技球が入球した場合に、遊技球を各ルートに振分ける複数の振分部を有する。また、3穴クルーンや遊技球を特定穴又は非特定穴に振分ける可動体を有する。
まず、遊技球が始動入賞口36に入賞した場合(以下、始動入賞という)には、特別図柄の変動が開始する。その後、特別図柄が当りの態様で停止した場合には、遊技球が役物装置37の入球口49に入球可能となる。具体的には、始動入賞を契機に羽根部材50a、50bが水平方向に開き、遊技球を受入れ可能となる。羽根部材50a、50bは、図示しない羽根部材用ソレノイド50cにより駆動され、任意の開閉時間、開閉回数で制御される。
遊技球が入球口49に入球すると、その後、貯留部51の方向に誘導される。貯留部51は、遊技盤4の前後方向に移動する部材で構成され、この部材が退避した状態(図5A参照)において、その上部に遊技球を貯留する。一方、貯留部51が前方に突出した状態(図5B参照)では、遊技球は貯留されず、そのまま落下する。
遊技球が貯留部51に貯留されなかった場合には、遊技球は後述する特定穴55aに入賞しにくいノーマルルート1(NR1)に誘導される。また、貯留部51に貯留された場合には、ノーマルルート2(NR2)又は特定穴55aに入賞しやすいスペシャルルート(SR)に誘導される。
スペシャルルートに誘導されるかノーマルルート2に誘導されるかは、水平方向に移動する突起状の振分部52の位置により決まる。本実施形態では、ノーマルルート2に誘導される確率の方が高くなるように振分部52の位置が変化する。
スペシャルルートに誘導された遊技球は、球誘導路53aを通過し、3穴クルーン54に進む。3穴クルーン54は、遊技球が通過可能な3個の穴が開けられた円形の部材である。3穴クルーン54に誘導された遊技球は、初め外周壁に沿って動くが、3穴クルーン54が緩やかなすり鉢状となっているため、最終的に何れかの穴に落下する。
本実施形態では、すり鉢の傾斜や穴の大きさは均一であり、落下する穴に確率の差はないが、3穴クルーン54の各穴の大きさを異ならせるようにしてもよい。その後、遊技球は、回転動作をする可動体55に到達する。
一方、ノーマルルート1、2に誘導された遊技球は、それぞれ可動体55の両脇に設けられた球誘導路53b、53cを通過し、前面側から可動体55の方向に進む。可動体55に到達する前に、橋げた状の振分部56が設けられている。振分部56は、水平方向の移動を繰り返し、振分部56が可動範囲の中心位置となったときに橋が架けられた状態となって遊技球が可動体55に到達するようになる(図5B参照)。
振分部56が可動範囲の中心位置となっていないときには、遊技球は、可動体55に到達する前に回収路57により回収される。本実施形態では、遊技球が振分部56を通過できる確率が約1/5となるように振分部56の移動パターンが設定されている。これにより、ノーマルルート1、2を通過した遊技球の特定穴55aへの入賞確率は低くなっている。
可動体55は、特定穴55aと非特定穴55b、55cを備えた回転動作をする可動体である(図5A参照)。特定穴55aは、非特定穴55b、55cと比較して直径方向に長い穴となっており、大当りとなる特定領域に遊技球を誘導する。特定穴55aと非特定穴55b、55cの穴の大きさは、均一にしてもよい。一方、非特定穴55b、55cは、大当りとはならない非特定領域に遊技球を誘導する。
3穴クルーン54を通過した遊技球は、可動体55の上方から何れかの穴に入賞する。また、球誘導路53b、53cを通過した遊技球は前面側から可動体55に到達し、何れかの穴に入賞する。何れの穴に入賞するかは、同じ確率(1/3)である。
次に、図6を参照して、遊技に関する各種設定のタイミングチャート(実施例1)について説明する。
まず、遊技球が始動入賞した場合には、始動入賞口センサ36cにより入賞が検知され、始動入賞信号がONする。この始動入賞信号は、主制御手段(主制御基板24)に送信される。
始動入賞信号を受信した主制御手段は、羽根部材用ソレノイドをONする。羽根部材用ソレノイド50cは、役物装置37上部の羽根部材50a、50bを駆動するソレノイドである。これにより、羽根部材50a、50bが所定時間、所定回数開放する。
また、始動入賞信号がONしたことにより特定領域がONとなる。これは、遊技球の特定領域への入賞が有効となることを意味し、T0〜T3が有効期間である。遊技球が役物装置37に入球してから外部に排出されるまでの時間は、最大約7.5秒であるので、例えば、これより少し長い8秒間を有効期間とすることができる。
また、このとき、可動体用モータがONとなる。可動体用モータ55dは、可動体55を動作させる駆動用モータである。本実施形態では、可動体用モータ55dをONとすると、可動体55が回転動作を開始する。
図6では、可動体55が回転(T0〜T1の期間)と停止(T1〜T2の期間)を繰り返すように可動体用モータ55dの駆動を切替えている。このとき、可動体55が回転動作をする時間の合計は、特定領域の有効期間よりも短くなっている。例えば、特定領域の有効期間のうちの一部の期間について、可動体用モータ55dをON状態で維持してもよい。
このように可動体55は、遊技球の始動入賞を契機として所定時間だけ動作する。始動入賞がない場合には、遊技球が役物装置37に入球することがないため、可動体55を停止させて消費電力を抑えている。
最後に、装飾LEDについて説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、枠装飾LED8の他、始動入賞役物35や役物装置37の内部に複数の装飾LED(図示省略)が設けられている。図6の枠装飾LED8は、通常時に点灯(点滅)しているが、遊技球の始動入賞を契機に消灯する(T0〜T3の期間)。
すなわち、本実施形態の枠装飾LED8は、可動体55が動作していない期間に点灯し、可動体55が動作を開始すると消灯する特殊な装飾LEDである。もちろん、このように動作する装飾LEDだけでは、可動体55が動作している期間に遊技機全体が暗くなってしまうので、常に点灯している装飾LEDもある。
以上のように可動体55は、始動入賞がなければ動作を開始しないので、可動体用モータ55dが早期に寿命に達してしまうことがない。また、可動体55と枠装飾LED8は、個別に動作するので、電力消費を抑えつつ長時間の演出を実現できる。
次に、図7を参照して、遊技全体処理について説明する。ここでは、特に遊技球が始動入賞してから大当り遊技が終了するまでに、主制御手段(主制御基板24)が行う一連の動作について説明する。
まず、主制御手段は、通常遊技処理を行う(ステップS10)。以下、図8を参照して、通常遊技処理の詳細について説明する。
まず、主制御手段は、遊技球が始動入賞したか否かを判定する(ステップS101)。遊技者が打ち出した遊技球が始動入賞口36に入賞した場合には、「YES」の判定となり、ステップS102に進む。一方、始動入賞しなかった場合には、「NO」となり、通常遊技処理を終了する。
ステップS101の判定が「YES」である場合、主制御手段は、羽根部材を開放させる(ステップS102)。具体的には、羽根部材用ソレノイド50cを駆動して、羽根部材50a、50bを動作させる。これにより、役物装置37に遊技球が入球するようになる。その後、ステップS103に進む。
ステップS103では、主制御手段は、特定領域を有効に設定する。特定領域とは、遊技球が可動体55の特定穴55aを通過した場合に到達する領域である。その後、ステップS104に進む。
ステップS104では、主制御手段は、可動体の動作を開始させる。具体的には、可動体用モータ55dを駆動して、通常時に停止している可動体55を動作させる。可動体55を常時動作させていると電力消費量が大きくなるので、通常時はこれを停止させている。その後、ステップS105に進む。
次に、主制御手段は、遊技球が役物装置に入球したか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、入球口49の入球口センサ49cが遊技球の入球を検知した場合には、「YES」の判定となり、ステップS106に進む。また、羽根部材50a、50bが開放したとき、遊技球が必ず入球するとは限らず、入球しなかった場合には、「NO」の判定となり、通常遊技処理を終了する。
ステップS105の判定が「YES」である場合、主制御手段は、遊技球が特定領域に入賞したか否かを判定する(ステップS106)。遊技球は、入球口49から役物装置37の内部に入ると複数の振分部によりルートを振分けられ、最終的に特定領域又は非特定領域に到達するか、回収路57(図5B参照)により回収される。
遊技球が特定領域に入賞した場合には、「YES」の判定となり、ステップS107に進む。一方、遊技球が特定領域に入賞しなかった場合には、「NO」の判定となり、ステップS108に進む。
ステップS106の判定が「YES」である場合、主制御手段は、大当りフラグをONする(ステップS107)。大当りフラグは、大当りが確定した場合にONとするフラグであり、後述する大当り遊技処理の中で用いられる。その後、ステップS108に進む。
ステップS108では、主制御手段は、可動体の動作を停止する。可動体55の動作パターンには、複数の種類があり、短時間の回転、停止を繰り返す動作パターンもある。しかし、ここでの動作停止は、次回、「可動体の動作開始」(ステップS104)が行われるまで動作を停止するものである。その後、ステップS109に進む。
ステップS109では、主制御手段は、特定領域を無効に設定する。通常時は、大当りを不正に発生させる行為を防止するため、特定領域を無効に設定する。その後、通常遊技処理を終了する。
図7に戻るが、通常遊技処理が終了すると、主制御手段は、大当り遊技処理を行う(ステップS20)。以下、図9を参照して、大当り遊技処理の詳細について説明する。
まず、主制御手段は、大当りフラグがONか否かを判定する(ステップS201)。現在、大当りフラグがONである場合には、「YES」の判定となり、ステップS202に進む。一方、大当りフラグがONでない場合には、「NO」の判定となり、大当り遊技処理を終了する。
ステップS201の判定が「YES」である場合、主制御手段は、遊技球が大当り開始ゲートを通過したか否かを判定する(ステップS202)。遊技者は、大当りフラグがON、すなわち大当りが確定している場合に、遊技球が盤面右上の大当り開始ゲート39aを通過するように右打ちする必要がある。
遊技球が大当り開始ゲートを通過した場合には、「YES」の判定となり、ステップS203に進む。一方、遊技球が大当り開始ゲートを通過しない場合には、「NO」の判定となり、これを通過するまでループする処理となる。すなわち、大当りが確定した後は、パチンコ遊技機1を大当り発生直前の状態で維持しておくことができ、遊技を再開する際に遊技球が大当り開始ゲート39aを通過するように操作する。
ステップS202の判定が「YES」である場合、主制御手段は、大入賞装置の開閉部を開放させる(ステップS203)。具体的には、大入賞装置38の開閉部を開放させるので、遊技球が入賞可能となる。その後、ステップS204に進む。
次に、主制御手段は、開放時間が経過したか否かを判定する(ステップS204)。大入賞装置38の開閉部は、各大当りラウンドで所定時間(例えば、29.5秒)開放するように設定されている。開放時間が経過した場合には、「YES」の判定となり、ステップS208に進む。一方、開放時間が経過していない場合には、「NO」の判定となり、ステップS205に進む。
ステップS204の判定が「NO」である場合、主制御手段は、遊技球が大入賞口に入賞したか否かを判定する(ステップS205)。具体的には、大入賞装置38の大入賞口センサ38cによって遊技球が検知された場合には、「YES」の判定となり、ステップS206に進む。一方、遊技球が検知されない場合には、「NO」の判定となり、ステップS204に戻る。
ステップS205の判定が「YES」である場合、主制御手段は、入賞数を1インクリメントする(ステップS206)。これは、大入賞口へ入賞した遊技球の数を加算する処理である。その後、ステップS207に進む。
次に、主制御手段は、最大入賞数に達したか否かを判定する(ステップS207)。大入賞口の最大入賞数は機種により異なるが、本実施形態では10個である。最大入賞数に達した場合には、「YES」の判定となり、ステップS208に進む。一方、まだ最大入賞数に達していない場合には、「NO」の判定となり、ステップS204に戻る。
ステップS207の判定が「YES」である場合、又はステップS204の判定が「YES」である場合、主制御手段は、大入賞装置の開閉部を閉鎖させる(ステップS208)。すなわち、この開閉部は、開放時間が経過したか、又は最大入賞数に達した場合に閉鎖する。その後、ステップS209に進む。
ステップS209では、主制御手段は、大当りラウンド数を1インクリメントする。大入賞装置38の開閉部が開放してから閉鎖するまで(ステップS203〜S208)を1ラウンドとし、本ステップでラウンド数を加算する。その後、ステップS210に進む。
次に、主制御手段は、最大ラウンド数に達したか否かを判定する(ステップS210)。最大ラウンド数も機種により異なるが、本実施形態の最大ラウンドは、15ラウンドである。最大ラウンド数に達した場合には、「YES」の判定となり、ステップS211に進む。一方、まだ最大ラウンド数に達していない場合には、「NO」の判定となり、ステップS203に戻り、最大ラウンド数に達するまでループする処理となる。
最後に、主制御手段は、大当りフラグをOFFする(ステップS211)。その後、大当り遊技処理を終了する。これにより、遊技全体処理も終了となる。
上記のように、実施例1の弾球遊技機は、始動入賞を条件に可動体に電力を供給し、始動入賞がない場合には、発光装飾部に電力供給する。可動体が動作するのは、この条件が成立した場合だけであるので、可動体やその駆動装置が早期に故障したり、寿命に達してしまうことを防止できる。また、可動体と発光装飾部は個別に動作するので、電力消費を抑えつつ長時間の演出が行える。
次に、図10を参照して、遊技に関する各種設定のタイミングチャート(実施例2)について説明する。実施例2は、実施例1とは可動体を作動させる条件が異なっている。
まず、遊技球が始動入賞した場合には、始動入賞口センサ36cにより入賞が検知され、始動入賞信号がONする。この始動入賞信号は、主制御手段(主制御基板24)に送信される。
始動入賞信号を受信した主制御手段は、羽根部材用ソレノイドをONする。これにより、羽根部材50a、50bが所定時間、所定回数開放する。羽根部材50a、50bが開放することにより、遊技球が役物装置37に入球可能となる。
その後、遊技球が役物装置37に入球すると、入球口49の入球口センサ49cにより遊技球の入球が検知され、入球口信号がONする。この入球口信号は、主制御手段に送信される。
入球口信号がONしたことにより遊技球の特定領域への入賞が有効となる(T1〜T4の期間)。すなわち、実施例2では、始動入賞ではなく、遊技球の役物装置37(入球口49)への入球を契機に特定領域を有効に設定する。
そして、入球口信号を受信した主制御手段は、可動体を作動させるための電力供給により、可動体用モータをONする。ここでは、可動体55がT2〜T3の期間、回転動作をするように可動体用モータ55dの駆動をする。
ここでも、可動体55が回転動作する時間の合計は、特定領域の有効期間より短くなっている。遊技球が役物装置37に入球してから可動体55の位置に到達するまでには数秒かかるので、その分(T1〜T2の期間)だけ遅らせて可動体55を動作させている。
最後に、装飾LEDについて説明する。枠装飾LED8は、通常時に点灯しているが、遊技球の役物装置37への入球を契機に消灯する(T2〜T3の期間)。すなわち、枠装飾LED8は、可動体55が動作していない期間に点灯し、可動体55が動作を開始すると消灯する。
以上のように、可動体55は、遊技球が役物装置37へ入球しなければ動作を開始しないので、実施例1と比較しても可動体55の動作時間は短く、可動体用モータ55dが早期に寿命に達してしまうことがない。ここでも、可動体55と枠装飾LED8は、個別に動作するので、電力消費を抑えつつ長時間の演出を実現できる。
上記のように、実施例2の弾球遊技機は、遊技球の役物装置への入球を条件に可動体に電力を供給し、この入球がない場合には、発光装飾部に電力供給する。可動体が動作するのは、この入球があった場合だけであるので、実施例1と比較しても可動体の動作時間は短くなる。従って、可動体やその駆動装置が早期に故障したり、寿命に達してしまうことを防止できる。また、可動体と発光装飾部が個別に動作するので、電力消費を抑えつつ長時間の演出が行える。
上記の実施形態は、本発明の一例であり、これ以外にも本発明を実施することができる種々の変形例が考えられる。
本実施形態の可動体は、特定穴と非特定穴を有する回転体であったが、これに限られるものではない。遊技球を特定領域と非特定領域に振分けるものであれば、どのような動作をする可動体であってもよい。
本実施形態の発光装飾部は、枠装飾LEDであったが、盤面上に設けられた装飾LEDであってもよい。また、役物装置内に設けられた装飾LEDや可動体に取付けられた装飾LEDであってもよい。
可動体の動作パターンは、動作と停止を繰り返す動作パターンや通常速度動作と高速動作を含む動作パターン等、様々な動作パターンが考えられる。可動体が回転体の場合には、正回転と逆回転を含む動作パターン、回転体がわずかに上下動する動作パターンを含んでいてもよい。
本実施形態の役物装置は、始動入賞により特別図柄の変動を開始し、これが当り態様で停止した場合に、羽根部材を開放したが、このような制御に限られない。例えば、始動入賞のみを条件に羽根部材を開放するようにしてもよい。また、始動入賞により羽根部材を開放するか否かの抽選を行い、当選した場合に羽根部材を開放するようにしてもよい。
以上、本実施形態としてパチンコ遊技機について説明したが、本発明は、これに限らず、可動体と発光装飾部を備えた雀球式遊技機、アレンジボール機、封入式遊技機等の遊技機にも適用可能である。