JP5427423B2 - 新規なカルバゾール系誘導体、それよりなる電子輸送材料、ホスト材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

新規なカルバゾール系誘導体、それよりなる電子輸送材料、ホスト材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は、新規なリン光材料、特に青色リン光材料に適したワイドギャップな素子に必要な電子輸送層に有用な新規なカルバゾール系誘導体、それよりなる電子輸送材料、ホスト材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、電極から注入されたホールと電子の再結合によって生成した励起エネルギーが、発光過程を経て基底状態に緩和されることにより自発光する。しかしながら、ホールと電子の再結合によって生成する励起状態には、一重項励起状態と三重項励起状態の2種類がそれぞれ1対3の割合で存在する。これまでの多くは、一重項励起状態からの発光を利用した蛍光材料が発光材料に利用されていたため、内部量子効率が最大で25%であり、この時の取り出し効率を20%とすると、最大外部量子効率は5%が理論限界であった。
近年、イリジウムやプラチナなどの重原子効果を利用した錯体化合物を用い、三重項励起状態からの発光、例えばリン光発光を用いることにより発光効率の向上が報告されるようになった(例えば非特許文献1)。一重項励起状態に加え、三重項励起状態からの発光を利用することで最大量子効率は理論上100%に到達することが可能で、リン光材料は発光材料として注目を浴びている(非特許文献3)。
例えば緑色材料として、下記式
Figure 0005427423
に示されるトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)〔Ir(ppy)〕が広く利用されている。
また安達らの発表にかかる非特許文献2などにより青色リン光材料である下記式
Figure 0005427423
で示すビス〔2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2′〕イリジウム(III)ピコリネート(FIrpic)が注目を浴びるようになり、それ以降FIrpicを用いた有機EL素子の高効率化検討および新規な青色リン光錯体探索研究が盛んに行われるようになった。
その結果、最近ではS.R.Forrestらによる非特許文献1では下記式
Figure 0005427423
で示すトリス{1−〔4−(トリフルオロメチル)フェニル〕−1H−ピラゾラト−N,C2′}イリジウム(III)(Irtfmppz3)やM.E.Thompsonらによる非特許文献4の下記式
Figure 0005427423
で示すビス〔2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′〕イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(FIr6)が開発された。
これらの発光材料を効率よく発光させるには、ホールと電子の注入バランスを整えた素子設計を行わなければならない。
特に青色リン光材料については、エネルギーギャップが大きいために、ワイドギャップ化された電子輸送材料が必要になってくる。現在これらリン光材料には、従来から使用されているAlq〔トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム〕やTAZ(等が使用されている。しかしながら効率的には十分ではなく高効率化には新規なワイドギャップな電子輸送材料の開発が必要である。
なお、本発明は本出願人の先願にかかる特願2008−275694号の発明と類似しているが、本発明はAr〜Arが複素環であるが、先願発明はAr〜Arがアリール基である点において相違している。
M.A.Baldo,S.Lamansky,P.E.Burrows,M.E.Thompson,S.R.Forrest Appl.Phys.Lett 1999 75(1)4−7 Appl.Phys.Lett.,79,2082(2001) J.Appl.Phys.,90 5048(2001) Polyhedron,23 419(2004)
本発明の目的は、新規なカルバゾール系誘導体、それよりなる電子輸送材料、ホスト材料およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する点にある。
本発明の第1は、下記一般式(1)
Figure 0005427423
(式中、Arは、炭素数6〜20で、置換基を有することもあるアリール基および炭素数6〜20で、置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群から選ばれた基であり、Ar〜Arは、炭素数6〜20で、置換基を有することもある、環形成炭素数9以下のヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、RおよびRは、水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、mおよびnは、それぞれ0または1〜3の整数である)で示されるカルバゾール系誘導体に関する。
本発明の第2は、下記一般式(2)
Figure 0005427423
(式中、Arは、炭素数6〜20で、置換基を有することもあるアリール基および炭素数6〜20で、置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群から選ばれた基であり、Ar〜Arは、炭素数6〜20で、置換基を有することもある、環形成炭素数9以下のヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、RおよびRは、水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、mおよびnは、それぞれ0または1〜3の整数である)で示されるカルバゾール系誘導体に関する。
本発明の第3は、請求項1または2記載のカルバゾール系誘導体よりなる電子輸送材料に関する。
本発明の第4は、請求項1または2記載のカルバゾール系誘導体よりなるホスト材料に関する。
本発明の第5は、請求項1または2記載のカルバゾール系誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明におけるAr、全炭素数6〜20で、置換基を有することもあるアリール基または炭素数6〜20で、置換基を有することもあるヘテロアリール基の例としては、以下のものを挙げることができる。
Figure 0005427423
〜R32およびR37〜R65は、水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、R〜Rは炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基が付加していても構わないフェニル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、R33〜R36は炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基が付加していても構わないピリジル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。
本発明におけるAr〜Ar、全炭素数6〜20で、置換基を有することもある、環形成炭素数9以下のヘテロアリール基の例としては、以下のものを挙げることができる。
Figure 0005427423
63 75 は、水素もしくは炭素数1〜6の直鎖あるいは分枝のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基を示す。
本発明におけるR 75 における炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘプチル、イソヘプチル、n−ヘキシル等を挙げることができる。
本発明の化合物は、下記の反応により製造することができる。
Figure 0005427423
なお前記式中Arは、
Figure 0005427423
同じく前記式中Ar〜Arは、
Figure 0005427423
なおR〜Rは、炭素数1〜6の直鎖あるいは分枝のアルキル基が付加していることもあるフェニル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基、R〜R62、R67 75 は、水素もしくは炭素数1〜6の直鎖あるいは分枝のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基を示す。R63〜R66は、炭素数1〜6の直鎖あるいは分枝のアルキル基が付加していることもあるピリジル基からそれぞれ独立して選ばれた基であり、X〜Xはハロゲンである。
反応式中の、Pd cat.はパラジウム触媒の、P cat.はリン触媒の、Basic−solutionは塩基性水溶液の、solventは有機溶媒のそれぞれ略称である。
第1反応は、カルバゾールとハロゲン化合物とのカップリング反応である。カップリング時使用するパラジウム触媒については、Pd(II)のものが使用できる。例示できるものとしては、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムと酢酸パラジウムが挙げられる。好ましくは、塩化パラジウムと酢酸パラジウム、より好ましくは酢酸パラジウムである。
またパラジウムを活性化するために添加するリン触媒については、第3アルキルホスフィンを使用することができる。例示できるものとしては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ〔n−(iso−)プロピル〕ホスフィン、トリ〔n−(iso−、tert−)ブチル〕ホスフィンなどである。好ましくは、トリ〔n−(iso−、tert−)ブチル〕ホスフィンでありより好ましくは、トリ(tert−ブチル)ホスフィンである。
ここで使用する溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、デカリンなどの芳香族炭化水素系の溶媒で、原料のカルバゾールと反応するハロゲンを含有しないものであれば特に限定されるものではない。好ましくは、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンであり、より好ましくはキシレンである。キシレンに関しては、o−,m−,p−の3種類の異性体が存在するが、これらが必ずしも分離されている必要はなく単一のものでも2種類以上の異性体が混合していても構わない。
反応で使用する塩基類に関しては、アルカリ金属を含むものであれば特に限定されるものではない。例示すれば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムのような水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなような炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウムのような重炭酸塩あるいはリチウム、ナトリウム、カリウムあるいはセシウムなどのアルカリ金属のアルコラート、酢酸塩などの有機塩基である。好ましくは、炭酸塩もしくはアルコラートである。より好ましくは上記で述べた溶媒類に可溶な炭酸塩であり、反応時間を考慮した場合炭酸ナトリウムである。
第二反応は、ハロゲン化の反応である。ハロゲン化については、これまで多くの方法があり、塩素化であれば塩素ガスを用いた方法、次亜塩素酸を用いた方法などがある。臭素化については、臭素を用いた方法、N−ブロモコハク酸イミドを用いた方法などがある。ヨウ素化については、ヨウ素または過ヨウ素酸を用いた方法がある。ハロゲン化については、次反応の目的に合わせてハロゲンを選択すればよいが、塩素では反応性が遅く反応時間が不必要に長くなる。またヨウ素では、反応性が高いがための副反応が起こりやすい。これらを考慮すれば、ここでは臭素化が反応速度的、副反応の起こりにくさからもっとも適したものとされる。
本反応で用いる臭素化については、臭素付加の位置選択制を考慮した新しい臭素化技術であり、その詳細については、Bulletin of the Chemical Society of Japan(1989),62(2) 591−593に書かれている。
第3反応は、通常鈴木カップリング反応と称される反応を利用したものであり詳細は、Miyaura,N.;Suzuki,A.Chem.Rev.1995,95,2457などに記述されている。
用いる有機溶媒としては、反応基質のハロゲン化物とホウ酸化合物を溶かす溶媒なら特に問題ないが、例示すれば芳香族炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒もしくはエーテル系溶媒が使用できる。混合溶媒は任意の混合比で使用することができるが、一般には芳香族炭化水素系溶媒3部に対してアルコール系溶媒1部を混ぜたものを使用する。芳香族炭化水素系溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどが例示できる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどを例示することができる。エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどの脂肪族エーテルなどが例示できる。本反応では、芳香族炭化水素系とアルコール系の混合溶媒が好ましく、特に好ましい組み合わせは、トルエンとエタノールの混合溶媒である。
2Mの塩基性溶液で使用できる塩基としてはアルカリあるいはアルカリ土類金属を含有するものであれば、特に限定されるものではない。例示すれば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのような水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムのような炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素ベリリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウムのような重炭酸塩、あるいはこれらの金属を含むアルコラートや酢酸塩等の有機塩基である。本反応では、反応速度の関係から炭酸塩を用いることが好ましく、より好ましくは炭酸カリウムである。
パラジウム触媒は、ハロゲン化合物とホウ酸化合物とのカップリング反応であるためPd(0)のものが使用できる。例示化合物としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム〔Pd(PPh〕やトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム〔Pd(dba)〕やパラジウムジベンジリデンアセトンなどが挙げられる。好ましくは、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムである。
第3反応で使用するハロゲン化アリールホウ酸化合物については、カルバゾール化合物の3位(X)と6位(X)にブロモ基が付加する場合、クロロ基を持つものが選択的に使用される。これはX、Xがブロモ基の場合、ホウ酸基がカルバゾールにつくブロモ基と選択的に反応せず、自己カップリング反応が進行し副生物として高分子重合物になってしまうおそれがあるからである。
ハロゲン化物と反応するホウ酸化合物については、ホウ酸(R=R=H)もしくはホウ酸エステルが使用できる。ホウ酸エステルについては、メチルエステル(R=R=CH)やエチルエステル(R=R=C)などを挙げることができる。また2つのホウ素を含む環状エステル構造に修飾した下記一般式
Figure 0005427423
(式中、Ar〜Arは、Ar、Ar、Ar、Arのいずれであっても良いことを意味する。)
で示される(A)のような4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランや(B)のような5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナンも使用することができる。
第4反応についても第3反応同様、鈴木カップリング反応である。ここでは反応性の小さなクロロ化合物を使用するため、パラジウム化合物だけでは反応が完結するために非常に長い時間を必要とする。そこで反応を短時間で完結させるための助触媒としてリン化合物を少量添加することが好ましい。リン化合物としては、脂肪族リン化合物、脂環式リン化合物であれば特に限定されるものではない。ここでは、より好ましいものとしてトリシクロヘキシルリンを例示することができる。
本発明の化合物の具体例を例示する。なお、例示化合物においてメチル基は他のアルキル基例えばエチル基やプロピル基などと置き換えることができる。
なお、例示化合物は、左右対称のもののみを示したが、左右対称の方が合成が容易ではあるが、左右非対称の化合物であってもよいことは勿論である。
Figure 0005427423
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本発明の新規なカルバゾール系誘導体は高い電子輸送能を有する。従って電子輸送材料として使用することができる。
本発明の新規なカルバゾール系誘導体を電子輸送層に用いる場合、本発明の化合物は電子輸送材料として使用できる。また他の電子輸送材料と組み合わせて使用することもできる。
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)について説明する。本発明の有機EL素子は、陽極と陰極間に複数層の有機化合物を積層した素子であり、発光層のホスト材料として本発明のカルバゾール系誘導体を含有する。発光層は、発光材料とホスト材料から構成される。多層型の有機EL素子の構成例としては、例えば陽極(例えばITO)/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール注入層(正孔注入層)/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層したものが挙げられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
ホール輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、各機能を分離した多層構造であることが望ましい。またホール輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(ホール注入層および電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(ホール輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
以下本発明の有機EL素子の構成要素に関して、陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて説明する。本発明の有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。
基板の素材については特に制限はなく、例えば、従来の有機EL素子に慣用されているものが使用でき、例えば、ガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
本発明の有機EL素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO(インジウム−スズオキサイド)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さい金属同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作成することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は透明もしくは半透明であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層は、ホール伝達化合物からなるもので、陽極より注入されたホールを発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極の間に正孔伝達化合物が配置されて陽極からホールが注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上のホール移動度を有するホール伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層に使用するホール伝達物質は、前記の好ましい性能を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料においてホールの電荷注入材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
前記のホール伝達物質としては、たとえば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(α−NPD)等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)などが挙げられる。ホール輸送層は、これらの他のホール伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたものでよく、前記のホール伝達物質とは別の化合物からなるホール輸送層を積層したものでも良い。
ホール注入材料としては、下記化学式に示されるPEDOT−PSS(ポリマー混合物)やDNTPDを挙げることができる。
Figure 0005427423
ホール輸送材料としては、下記化学式に示すTPD、DTASi、α−NPDなどを挙げることができる。
Figure 0005427423
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に用いられる発光材料については、特に制限はなく、任意のものを選択して用いることができる。
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)、ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体、例えばトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Almq)等の蛍光材料や〔2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′〕イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)、トリス{1−〔4−(トリフルオロメチル)フェニル〕−1H−ピラゾラート−N,C2′}イリジウム(III)(Irtfmppz)、ビス〔2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′〕イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(FIr6)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)〔Ir(ppy)〕などのリン光材料などを挙げることができる。
発光層は、ホスト材料と発光材料(ドーパント)から形成される〔Appl. Phys. Lett.,65 3610 (1989)〕。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要であり、この時使用されるホスト材料としては、4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン−2,2′−ジ〔4″−(N−カルバゾリル)フェニル〕−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)等が挙げられる。
Figure 0005427423
発光材料は、ホスト材料に対して好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。発光材料としては、下記に示す従来公知のFIrpic、Ir(ppy)、Fir6等を挙げることができる。
Figure 0005427423
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層の材料としては、本発明の新規なカルバゾール系誘導体が好ましい。このものは単独で使用できるが、他の電子輸送材料と併用しても構わない。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で陰極と有機層(電子輸送層)の間に導電体から構成される電子注入層を設けても良い。ここで使用される導電体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属有機錯体から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウムなどが挙げられる。アルカリ金属有機錯体としては、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム、8−ヒドロキシキノリノラトセシウムなどが挙げられる。また本出願人の特願2006−292032号にかかげるフェナントロリン誘導体のリチウム錯体(LiPB)や特願2007−29695号に掲げるフェノキシピリジンのリチウム錯体(LiPP)を用いることもできる。
Figure 0005427423
本発明の新規なカルバゾール系誘導体を含む素子の正孔注入層、正孔輸送層および発光層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式製膜法〔溶媒塗布法(例えばスピンコート法、キャスト法、インクジェット法など)〕を使用することができる。電子輸送層の製膜については、湿式製膜法で行うと下層が溶出する恐れがあるため乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)に限定される。素子の作成については上記の製膜法を併用しても構わない。
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層などの各層を形成する場合、真空蒸着条件は特に限定されるものではない。通常10−5Torr程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着原温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層および発光層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えばヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nmになるようにする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等の接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けること、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等がある。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として通常1.5〜20V程度印加すると発光が観察される。また本発明の有機EL素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示装置、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
図45〜53に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
図45は、本発明の有機EL素子における1つの例を示す断面図である。図45は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。
図46は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図46は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。これはキャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
図47は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図47は、基板1上に陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、ホール注入層7を設けることにより、陽極2とホール輸送層5の密着性を高め、陽極からのホールの注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
図48は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図48は、基板1上に陽極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
図49は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図49は、基板1上に陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2からホールの注入を良くし、陰極4から電子注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
図50〜53は素子の中にホールブロック層9を挿入したものの断面図である。ホールブロック層9は、陽極から注入されたホール、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。ホールブロック層9については、発光層3と陰極4の間もしくは発光層3と電子輸送層6の間あるいは発光層3と電子注入層8の間に挿入することができる。より好ましいものは発光層3と電子輸送層6の間である。
図50〜53における、ホール輸送層5、ホール注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、ホールブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であっても良い。
また、ホール注入層7や電子注入層8は、存在していても存在していなくとも実用性がある。
図45〜53は、あくまでも基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成はこれに限定されるものではない。
本発明のカルバゾール系誘導体は、実施例からわかるように類似の比較例の化合物に比べ視感効率、外部量子効率が高い。これは電子輸送性を示すピリジン環のようなヘテロアリール基がメタ結合でつながれているので、電子輸送層での電子の移動状態がよく素子で高い機能を果たしているものと考えられる。
また、本発明のカルバゾール系誘導体は、リン光用ホスト材料としても機能し、緑色のリン光ドーパントと組合せた場合、発光開始電圧を0.4V以上低減できる。
よって本発明の化合物は、素子を高効率化させるために必要なものであり工業的に極めて重要なものである。
実施例1のCz3PyのH−NMRスペクトルを示す。 実施例1のCz3PyのMSクロマトグラムを示す。 実施例1のCz3PyのMSスペクトルを示す。 実施例2のCz4PyのH−NMRスペクトルを示す。 実施例2のCz4PyのMSクロマトグラムを示す。 実施例2のCz4PyのMSスペクトルを示す。 実施例1のCz3Pyの薄膜状での紫外線吸収スペクトル(UV)とフォトルミネッセンス(PL)の測定結果を示す。 実施例2のCz4Pyの薄膜状での紫外線吸収スペクトル(UV)とフォトルミネッセンス(PL)の測定結果を示す。 実施例5、6と比較例1のエネルギーダイアグラム図を示す。 実施例5、6と比較例1の電流密度−電圧特性を示す。 実施例5、6と比較例1の輝度−電圧特性を示す。 実施例5、6と比較例1の視感効率−電圧特性を示す。 実施例5、6と比較例1の電流効率−電圧特性を示す。 実施例5、6と比較例1の外部量子収率−輝度特性を示す。 実施例5、6と比較例1のELスペクトルを示す。 実施例7、8と比較例2の電流密度−電圧特性を示す。 実施例7、8と比較例2の輝度−電圧特性を示す。 実施例7、8と比較例2の視感効率−電圧特性を示す。 実施例7、8と比較例2の電流効率−電圧特性を示す。 実施例7、8と比較例2の外部量子収率−輝度特性を示す。 実施例7、8と比較例2のELスペクトルを示す。 実施例9、10と比較例3のエネルギーダイアグラム図を示す。 実施例9、10と比較例3の電流密度−電圧特性を示す。 実施例9、10と比較例3の輝度−電圧特性を示す。 実施例9、10と比較例3の視感効率−電圧特性を示す。 実施例9、10と比較例3の電流効率−電圧特性を示す。 実施例9、10と比較例3の外部量子収率−輝度特性を示す。 実施例9、10と比較例3のELスペクトルを示す。 実施例11、12と比較例4のエネルギーダイアグラム図を示す。 実施例11、12と比較例4の電流密度−電圧特性を示す。 実施例11、12と比較例4の輝度−電圧特性を示す。 実施例11、12と比較例4の視感効率−電圧特性を示す。 実施例11、12と比較例4の電流効率−電圧特性を示す。 実施例11、12と比較例4の外部量子収率−輝度特性を示す。 実施例11、12と比較例4のELスペクトルを示す。 実施例11、12と比較例4のELスペクトル拡大図を示す。 実施例13、14と比較例5のエネルギーダイアグラム図を示す。 実施例13、14と比較例5の電流密度−電圧特性を示す。 実施例13、14と比較例5の輝度−電圧特性を示す。 実施例13、14と比較例5の視感効率−電圧特性を示す。 実施例13、14と比較例5の電流効率−電圧特性を示す。 実施例13、14と比較例5の視感効率−輝度特性を示す。 実施例13、14と比較例5の外部量子収率−輝度特性を示す。 実施例13、14と比較例5のELスペクトルを示す。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
実施例1
(1)9−p−トリルカルバゾールの合成
Figure 0005427423
カルバゾール10.3g(60.0mmol)、4−ブロモトルエン11.3g(66.0mmol)、炭酸カリウム24.9g(180mmol)の脱水キシレン150mL懸濁液を一時間窒素バブリングした。ついで、窒素気流下、酢酸パラジウム〔Pd(OCOCH〕269mg(1.2mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン〔P(t−Bu)〕873μL(3.6mmol)を加えた後、懸濁液を6時間還流した。TLC(すなわち薄層クロマトグラフ)(展開溶媒:クロロホルム)で原料の消失を確認したので、反応混合物を室温まで冷却した。反応混合物をクロロホルム50mLで希釈した後、シリカゲル(直径10cmのG3ガラスフィルターにシリカゲルを4cm入れたもの。)を通じて不溶物を濾過した。不溶物をクロロホルム50mLで洗浄後、ろ液の溶媒を減圧下留去した。得られた固体をヘキサンで再結晶することにより無色結晶を得た。目的物の確認は、H−NMR、MS(質量分析)、TLCにより行った(収量12.9g,収率84%)。
H−NMR(400MHz,CDCl):H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.14(d,2H,J=7.8Hz)、7.44−7.26(m,10H)、2.48(s,3H)ppm;MS:m/z258[M]

(2)3,6−ジブロモ−9−p−トリル−9H−カルバゾールの合成
Figure 0005427423
18℃の水浴下、500mL4つ口ナスフラスコに入れた9−p−トリルカルバゾール5.14g(20.0mmol)、シリカゲル80gのジクロロメタン200mL懸濁液にN−ブロモスクシンイミド(NBS)7.12g(40.0mmol)のジクロロメタン溶液250mLを滴下漏斗より1時間半かけてゆっくり加えた後、懸濁液を6時間撹拌した。反応混合物をG3ガラスフィルターを通じて濾過、不溶物をジクロロメタン50mLで洗浄後、ろ液を水、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、固体を濾過、溶媒を減圧下留去した。得られた固体をトルエンで再結晶することにより無色針状結晶を得た。目的物の確認は、H−NMR、MS、TLCにより行った(収量7.62g,収率92%)。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.18(d,2H,J=1.8Hz),7.48(dd,2H,J=1.8,9.1Hz)、7.40(d,2H,J=8.7Hz)、7.35(d,2H,J=8.7Hz)、7.21(d,2H,J=9.1Hz)、2.48(s,3H)ppm;MS:m/z416[M]

(3)3,6−ビス(3,5−ジクロロフェニル)−9−p−トリル−9H−カルバゾールの合成
Figure 0005427423
3,6−ジブロモ−9−p−トリル−9H−カルバゾール6.22g(15.0mmol)、3,5−ジクロロフェニルボロン酸6.10g(32.0mmol)、2M炭酸カリウム水溶液60.0mL、トルエン100mL、エタノール50mLを加え、1時間窒素バブリングをした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム〔Pd(PPh〕1.04g(0.9mmol)を加え、3時間還流した。反応混合物を室温に戻した後、沈殿した固体を濾別した。瀘液の有機層をトルエンで抽出、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾別、濃縮後、白色固体を得た。得られた固体を先に濾別した固体とあわせ、トルエン300mL還流下溶解させた。シリカゲル(ガラスフィルターに5cm程度積む)を通じて吸引熱濾過、トルエン100mLで洗浄することにより、高極性の不純物を除いた。得られた溶液を50mLまで濃縮した後、析出した白色固体を濾別した。得られた固体をヘキサンで洗浄することにより目的物を得た。目的物の確認は、H−NMR、MS、TLCにより行った(収量5.56g,収率68%)。
MS:m/z548[M]

(4)3,6−ビス(3,5−ジピリジン−3−イル−フェニル)−9−p−トリル−9H−カルバゾール(Cz3Py)の合成
Figure 0005427423
3,6−ビス(3,5−ジクロロフェニル)−9−p−トリル−9H−カルバゾール2.74g(5.0mmol)、3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(3PyDOB)6.15g(30.0mmol)、1.35Mリン酸カリウム水溶液26mL、ジオキサン50mLを加え、1時間窒素バブリングをした。窒素気流下、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム〔Pd(dba)〕0.28g(0.30mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン〔PCy〕0.42g(1.50mmol)を加え、21時間還流した。反応混合物を室温に戻した後、有機層をクロロホルムで抽出、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾別、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔使用するシリカゲルの量:500cc,展開溶媒:クロロホルム/メタノール=100/0(0.5L)=>100/1(0.5L)=>100/2(1.5L)=>100/5(1.0L)すなわち、クロロホルム100%の溶媒0.5L流した後、クロロホルム:メタノールが100:1の混合液を0.5L流す。ついでクロロホルム:メタノールが100:2の混合液を1.5L、最後にクロロホルム:メタノールが100:5の混合液を1.0L流す〕にて精製することにより無色泡状固体を得た。目的物の確認は、H−NMR、MS、TLC、元素分析により行った(収量3.12g,収率87%)。H−NMRスペクトル、MSクロマトグラム、MSスペクトルをそれぞれ図1、2、3に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ9.00(d,4H,J=2.3Hz)、8.66(dd,4HJ=1.8,5.0Hz)、8.52(d,2H,J=1.4Hz)、8.02(dt,4H,J=2.1,8.2Hz)、7.96(d,4H,J=1.4Hz)、7.78(dd,2H,J=1.8,8.7Hz)、7.73(t,2H,J=1.6Hz)、7.53−7.42(m,10H)、2.52(s,3H)ppm.MS:m/z719[M].Anal.Calcd for C5135:C,85.33;H,4.91;N,9.76%.Found:C,85.32;H,4.78;N,9.69%.
実施例2
3,6−ビス(3,5−ジピリジン−4−イル−フェニル)−9−p−トリル−9H−カルバゾール(Cz4Py)の合成
Figure 0005427423
3,6−ビス(3,5−ジクロロフェニル)−9−p−トリル−9H−カルバゾール2.74g(5.0mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(4PyDOB)8.20g(40.0mmol)、1.35Mリン酸カリウム水溶液26mL、ジオキサン50mLを加え、1時間窒素バブリングをした。窒素気流下、〔Pd(dba)〕0.28g(0.30mmol)、〔PCy〕0.42g(1.50mmol)を加え、23時間還流した。TLCにて反応を確認したところ、原料および多数のスポットが見られた(反応が完結していないことを示す)ため室温に戻した。そして、4PyDOB8.20g(40.0mmol)、〔Pd(dba)〕0.28g(0.30mmol)、〔PCy〕0.42g(1.50mmol)を加え、窒素気流下23時間さらに還流した。反応混合物を室温に戻した後、有機層をクロロホルムで抽出、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾別、濃縮した。得られた固体にヘキサン200mLを加え、不純物を溶解させた。析出した固体を濾別し、ヘキサンで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔シリカゲル:500cc,展開溶媒:クロロホルム/メタノール=100/1(1.5L)=>100/2(0.5L)=>100/3(1.5L)=>100/5(1.5L)〕にて精製することにより透明オイル(Cz4Py−Cl:収量1.60g,収率48%)および白色泡状固体(Cz4Py:収量0.85g,収率24%)を得た。目的物の確認は、H−NMR、MS、TLC、元素分析により行った。H−NMRスペクトル、MSクロマトグラム、MSスペクトルをそれぞれ図4、5、6に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.74(dd,8H,J=1.4,4.6Hz)、8.50(d,2HJ=1.4Hz)、8.02(d,4H,J=1.4Hz)、7.82(t,2H,J=1.8Hz)、7.77(dd,2H,J=1.8,8.7Hz)、7.65(dd,8H,J=1.8,4.6Hz)、7.54−7.46(m,6H)、2.53(s,3H)ppm.MS:m/z719[M].Anal.Calcd for C5135:C,85.33;H,4.91;N,9.76%.Found:C,85.18;H,4.83;N,9.74%.
実施例3
3,6−ビス〔3,5−ジ(キノリン−3−イル)−フェニル〕−9−p−トリル−9H−カルバゾール(Cz3Qu)の合成
Figure 0005427423
3,6−ビス(3,5−ジクロロフェニル)−9−p−トリル−9H−カルバゾール3.81g(7.0mmol)、3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン(3QuDOB)14.3g(56.0mmol)、1.35Mリン酸カリウム水溶液36mL、ジオキサン70mLを加え、1時間窒素バブリングをした。窒素気流下、〔Pd(dba)〕0.39g(0.42mmol)、〔PCy〕0.59g(2.10mmol)を加え、23時間還流した。TLCにて反応を確認したところ、原料および多数のスポットが見られたため室温に戻した。3QuDOB14.3g(56.0mmol)、〔Pd(dba)〕0.39g(0.42mmol)、〔PCy〕0.59g(2.10mmol)を加え、窒素気流下23時間さらに還流した。反応混合物を室温に戻した後,有機層をクロロホルムで抽出、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾別、濃縮した。得られた固体にヘキサン300mLを加え、不純物を溶解させた。析出した固体を濾別し、ヘキサンで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔シリカゲル:500cc,展開溶媒:クロロホルム/メタノール=100/1(1.5L)=>100/2(0.5L)=>100/3(1.5L)=>100/5(1.5L)〕て精製することにより白色泡状固体(Cz3Qu:収量2.12g,収率33%)を得た。
実施例4
3,6−ビス〔3,5−ジ(キノリン−4−イル)−フェニル〕−9−p−トリル−9H−カルバゾール(Cz4Qu)の合成
Figure 0005427423
3,6−ビス(3,5−ジクロロフェニル)−9−p−トリル−9H−カルバゾール3.81g(7.0mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)キノリン(4QuDOB)14.3g(56.0mmol)、1.35Mリン酸カリウム水溶液36mL、ジオキサン70mLを加え、1時間窒素バブリングをした。窒素気流下、〔Pd(dba)〕0.39g(0.42mmol)、〔PCy〕0.59g(2.10mmol)を加え、23時間還流した。TLCにて反応を確認したところ、原料および多数のスポットが見られたため室温に戻した。4QuDOB14.3g(56.0mmol)、〔Pd(dba)〕0.39g(0.42mmol)、〔PCy〕0.59g(2.10mmol)を加え、窒素気流下23時間さらに還流した。反応混合物を室温に戻した後、有機層をクロロホルムで抽出、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾別、濃縮した。得られた固体にヘキサン300mLを加え、不純物を溶解させた。析出した固体を濾別し、ヘキサンで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔シリカゲル:500cc,展開溶媒:クロロホルム/メタノール=100/1(1.5L)=>100/2(0.5L)=>100/3(1.5L)=>100/5(1.5L)〕にて精製することにより白色泡状固体(Cz4Qu:収量2.5g,収率39%)を得た。
実施例1のCz3Py、実施例2のCz4PyのTG−DTA、DSCを測定し、熱特性を評価した。また、紫外可視吸収スペクトル、発光スペクトルおよびイオン化ポテンシャルを測定し電気化学特性を評価した。Cz3Py、Cz4PyのUV、PLスペクトルをそれぞれ図7、8に示す。
熱特性と電気化学特性について表1にまとめる。
Figure 0005427423
MW : 分子量、
Td5: 5%重量減少温度、
Tg : ガラス転移温度、
Tm : 融点、
Ip : イオン化ポテンシャル、
Eg : エネルギーギャップ、
Ea : エレクトロアフィニティ(電子親和力)

Tg(ガラス転移温度)については、DSC(Differential Scanning Calorimeter 示差走査熱量計)中にサンプルを加え、溶融されたものを急冷し、2〜3回繰返すとガラス点を示すカーブがチャート上に現れるので、そのカーブを接線で結び、その交点の温度をTgとして採用する。
Tm(融点)は、同じくDSCにサンプルを加え、昇温させていくと吸熱カーブが現れるのでその極大のところの温度を読んで、その温度をTmとする。
Td5(5%重量減少温度)は、TG−DTA(Thermo Gravimetry−Differential Thermal Analyzer示差熱−熱重量同時測定計)にサンプルを加え、加熱していくとサンプルが熱によって分解し、重量が減少しだす。その減少が開始し5%重量減少したところの温度を読んでその点をTd5とする。
エネルギーギャップ(Eg)については、蒸着機で作成した薄膜を紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する。その薄膜の短波長側の立ち上がりのところに接線を引き、求まった交点の波長W(nm)を次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEgになる。
Eg=1240÷W
例えば接線を引いて求めた値W(nm)が470nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240÷470=2.63(eV)
と言うことになる。
IP(イオン化ポテンシャル)はイオン化ポテンシャル測定装置(例えば理研計器AC−3)を使用して測定し、測定するサンプルがイオン化を開始したところの電圧(eV)の値を読む。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。
実施例5、6、比較例1
実施例1で得られたCz3Py
実施例2で得られたCz4Py
をそれぞれ電子輸送材料として用いた有機EL素子を作成し、電子輸送性材料として代表的なAlqを用いた有機EL素子(比較例)と対比した。用いた材料のエネルギーダイアグラムを図9に示す。

<有機EL素子の構成>
比較例1:[ITO/α−NPD(50nm)(ホール輸送層)/Alq(70nm)(電子輸送層兼発光層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例5:[ITO/α−NPD(50nm)(ホール輸送層)/Alq(40nm)(発光層)/Cz3Py(30nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例6:[ITO/α−NPD(ホール輸送層)(50nm)/Alq(40nm)(発光層)/Cz4Py(30nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)電子注入層/Al(100nm)]
Figure 0005427423
Figure 0005427423
P.E.:視感効率
@1cd/mは「1cd/mにおける」という意味
各素子の
電流密度−電圧特性を図10に、
輝度 −電圧特性を図11に、
視感効率−電圧特性を図12に、
電流効率−電圧特性を図13に、
外部量子収率−輝度特性を図14に、
ELスペクトルを図15に、
それぞれ示す。また、得られた素子特性を上記表2にまとめた。
その結果、Cz3Py、Cz4Pyを用いた素子ではAlqを用いた素子と比較して高電圧駆動となり電子輸送性が低いことが示唆された。Cz3PyとCz4Pyを比較すると、Cz4Pyの方が電流密度が高い。また、ELスペクトルではCz3PyあるいはCz4Pyの発光が見られた。一部のホールが電子輸送層まで到達、Cz3PyあるいはCz4Py層で再結合していると考えられる。1cd/mでの視感効率と1000cd/mでの視感効率の比較を行うと、その差は比較例1では0.81lm/Wであるが、実施例6では1.49−1.31=0.18lm/Wと、その差が比較例の場合より小さく、この点から見ると、輝度に関係なく電子の流れやすさは実施例6の化合物の方がよいことが判る。
また、表2から、Cz3Py、Cz4Pyを用いた素子ではAlqを用いた素子と比較して高電圧駆動化していることがわかった。これについてAlqを電子輸送層で使った場合(比較例1)に比べ、Cz3Py、Cz4Pyを電子輸送剤に使用する場合(実施例5、6)は素子中でのホールと電子のキャリアバランスが取りづらく、AlqとCz3PyあるいはAlqとCz4Pyの界面に過剰な電子が蓄積され高電圧化したと考えられる。またELスペクトルではCz3PyあるいはCz4Pyの発光が見られた。一部のホールが電子輸送層まで到達し、Cz3PyあるいはCz4Py層で再結合したと考えられる。
実施例7、8、比較例2
先の実施例5、6、比較例1でCz3Py、Cz4Pyの電子移動度あるいは注入性が低いことが示唆された。そこで、電子注入特性を判断するために、極薄膜のCz3Py、Cz4Pyを用いた素子を作成し、Alqと電子注入輸送性の相対比較を行った。

<有機EL素子の構成>
比較例2:[ITO/α−NPD(50nm)(ホール輸送層)/Alq(70nm)(電子輸送層兼発光層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例7:[ITO/α−NPD(50nm)(ホール輸送層)/Alq(65nm)(発光層)/Cz3Py(5nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例8:[ITO/α−NPD(50nm)(ホール輸送層)/Alq(65nm)(発光層)/Cz4Py(5nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
Figure 0005427423
各素子の
電流密度−電圧特性を図16に、
輝度 −電圧特性を図17に、
視感効率−電圧特性を図18に、
電流効率−電圧特性を図19に、
外部量子収率−輝度特性を図20に、
ELスペクトルを図21に、
それぞれ示す。また、得られた素子特性を上記表3にまとめた。
その結果、発光開始電圧である1cd/mの電圧はCz3Py(2.83V)<Alq(3.11V)<Cz4Py(3.86V)の順で高くなった。この結果は電子の注入性のしやすさによるものだと考えられる。また100あるいは1000cd/mにおける駆動電圧を比較すると、Cz3Py(実施例7)、Cz4Py(実施例8)を組み合わせた素子はAlqだけのもの(比較例2)に比べて高電圧化した。これについてはCz3PyあるいはCz4Pyの電子注入性の善し悪しというより、Cz3PyあるいはCz4Py層を組み込んだことにより薄膜界面が増えたことに起因すると考えられる。すなわちこれらの薄膜界面で電荷の蓄積が起こり、電流密度の低下が生じ、高電圧化したと思われる。ELスペクトルについては、ここではCz3PyあるいはCz4Pyの層が5nmと非常に薄く層中での再結合が起こりえなかったため、発光は観測されなかった。
実施例9、10、比較例3
CzPy類をホスト、Ir(ppy)をドーパントとして用いた緑色リン光素子の評価を行った。比較するホスト材料としてはCBPを用いた。また、ホール輸送材料にはTAPC、電子輸送材料にはB3PyPBを用いた。用いた材料のエネルギーダイアグラムを図22に示す。

<有機EL素子の構成>
比較例3:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/TAPC(30nm)(ホール輸送層)/CBP:8wt%Ir(ppy)(10nm)(発光層)/B3PyPB(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例9:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/TAPC(30nm)(ホール輸送層)/Cz3Py:8wt%Ir(ppy)(10nm)(発光層)/B3PyPB(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例10:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/TAPC(30nm)(ホール輸送層)/Cz4Py:8wt%Ir(ppy)(10nm)(発光層)/B3PyPB(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
Figure 0005427423
Figure 0005427423
各素子の
電流密度−電圧特性を図23に、
輝度 −電圧特性を図24に、
視感効率−電圧特性を図25に、
電流効率−電圧特性を図26に、
外部量子収率−輝度特性を図27に、
ELスペクトルを図28に、
それぞれ示す。また、得られた素子特性を上記表4にまとめた。
その結果、発光開始電圧である1cd/mの電圧はCz4Py(2.24V)<Cz3Py(2.46V)<CBP(2.66V)の順で高くなった。電流密度−電圧特性を見ると、CBPをホストに用いるよりもCzPy類をホストに用いた場合の方が電流密度が高い結果が得られた。CzPy類は電子注入性が高いことを考えると、電子輸送層から発光層への電子注入が改善されたと思われる。しかしながら、100、1,000cd/mの発光効率を比較すると、CzPy類を用いた素子では低下した。ピリジンの電子親和力が高いことから、発光層内へはホールが入りにくいと思われる。そのため、発光層内がホール不足となり、キャリアバランスが乱れ、発光効率が低下したと考えられる。
実施例11、12、比較例4
CzPy類の電子輸送性を確認するために、CzPy類を電子輸送層として用いた緑色リン光素子の評価を行った。比較する電子輸送材料としてはB3PyPBを用いた。また、ホール輸送材料にはTAPC、電子輸送材料にはB3PyPBを用いた。用いた材料のエネルギーダイアグラムを図29に示す。

<有機EL素子の構成>
比較例4:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/TAPC(30nm)(ホール輸送層)/CBP:8wt%Ir(ppy)(10nm)(発光層)/B3PyPB(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例11:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/TAPC(30nm)(ホール輸送層)/CBP:8wt%Ir(ppy)(10nm)(発光層)/Cz3Py(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例12:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/TAPC(30nm)(ホール輸送層)/CBP:8wt%Ir(ppy)(10nm)(発光層)/Cz4Py(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
Figure 0005427423
各素子の
電流密度−電圧特性を図30に、
輝度 −電圧特性を図31に、
視感効率−電圧特性を図32に、
電流効率−電圧特性を図33に、
外部量子収率−輝度特性を図34に、
ELスペクトルを図35に、
ELスペクトル拡大図を図36に、
それぞれ示す。また、得られた素子特性を上記表5にまとめた。
評価の結果、発光開始電圧(1cd/m)の電圧はB3PyPB(2.66V)<Cz3Py(2.89V)<Cz4Py(3.10V)の順で高く、電流密度−電圧特性も同じ序列であった。また、B3PyPBとCz3Pyを比較すると電流密度に大きな差はない。また表5で見る限り、B3PyPBもCz3Pyも電流密度の差はそれほど大きくないことがわかった。このことからCzPy類に比較的高い電子輸送能があることがわかった。100あるいは1000cd/mでの比較は、電子が入りやすい結果素子中に電子が溜まりやすくなったと考えられ、その結果比較例に比べ高電圧化した。以上の結果を考えると、CzPy類を最大限に活かすにはキャリアを電子輸送層に到達する前にトラップする必要がある。トラップサイトを増やすためには、発光層の厚膜化、ドーパントの高濃度ドープが考えられる。
実施例13、14、比較例5
CzPy類をホストとして用いた青色リン光素子の評価を行った。ホストの比較材料としてはmCPを用いた。また、ホール輸送材料にはTAPC、電子輸送材料にはB3PyPBを用いた。用いた材料のエネルギーダイアグラムを図37に示す。

<有機EL素子の構成>
比較例5:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/3DTAPBP(20nm)(ホール輸送層)/mCP:11wt%FIrpic(10nm)(発光層)/B3PyPB(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例13:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/3DTAPBP(20nm)(ホール輸送層)/Cz3Py:11wt%FIrpic(10nm)(発光層)/B3PyPB(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
実施例14:[ITO/TPDPES:10wt%TBPAH(20nm)(ホール注入層)/3DTAPBP(20nm)(ホール輸送層)/Cz4Py:11wt%FIrpic(10nm)(発光層)/B3PyPB(50nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)]
Figure 0005427423
Figure 0005427423
各素子の
電流密度−電圧特性を図38に、
輝度 −電圧特性を図39に、
視感効率−電圧特性を図40に、
電流効率−電圧特性を図41に、
視感効率−輝度特性を図42に
外部量子収率−輝度特性を図43に、
ELスペクトルを図44に、
それぞれ示す。また、得られた素子特性を上記表6にまとめた。
CzPy類をホスト材料として用いた青色リン光素子を作成した。その結果、発光開始電圧(1cd/m)の電圧はCz4Py(2.69V)<Cz3Py(2.71V)<mCP(3.04V)の順で高く、電流密度−電圧特性も同じ序列であった。CzPy類を用いた素子は電流密度が高いことから、発光層へのキャリアの注入性が向上していると考えられる。しかし100あるいは1000cd/mでの比較では、電子が入りやすい結果素子中に電子が溜まりやすくなったと考えられ、その結果比較例に比べ高電圧化した。
1 基板
2 陽極(ITO)
3 発光層
4 陰極
5 正孔(ホール)輸送層
6 電子輸送層
7 正孔(ホール)注入層
8 電子注入層
9 正孔(ホール)ブロック層

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0005427423
    (式中、Arは、炭素数6〜20で、置換基を有することもあるアリール基および炭素数6〜20で、置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群から選ばれた基であり、Ar〜Arは、炭素数6〜20で、置換基を有することもある、環形成炭素数9以下のヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、RおよびRは、水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、mおよびnは、それぞれ0または1〜3の整数である)で示されるカルバゾール系誘導体。
  2. 下記一般式(2)
    Figure 0005427423
    (式中、Arは、炭素数6〜20で、置換基を有することもあるアリール基および炭素数6〜20で、置換基を有することもあるヘテロアリール基よりなる群から選ばれた基であり、Ar〜Arは、炭素数6〜20で、置換基を有することもある、環形成炭素数9以下のヘテロアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、RおよびRは、水素および炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、mおよびnは、それぞれ0または1〜3の整数である)で示されるカルバゾール系誘導体。
  3. 請求項1または2記載のカルバゾール系誘導体よりなる電子輸送材料。
  4. 請求項1または2記載のカルバゾール系誘導体よりなるホスト材料。
  5. 請求項1または2記載のカルバゾール系誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
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