第1の発明は、室内機に、空気を吸い込む吸入口と、該吸入口から吸い込まれた空気を熱交換する熱交換器と、該熱交換器で熱交換された空気を吹き出すための吹出口と、該吹出口に設けられ吹き出される空気の向きを変更する風向変更羽根と、障害物の有無を検知する障害物検知装置とを備え、該障害物検知装置の検知結果に基づいて風向変更羽根を制御して空調運転を行う空気調和機であって、空調すべき領域を障害物検知装置により複数の障害物位置判別領域に分割し、各障害物位置判別領域において障害物検知装置により障害物有無の判定結果が室内機からの距離に応じて小さくなる閾値より大きい場合に障害物があると判断する一次判定を行い、前記一次判定で障害物ありと判定されたときに第1の所定値を加算する一方、障害物なしと判定されたときに前記第1の所定値より小さい第2の所定値を減算し、複数回の加減算累計値を判定基準値と比較することにより障害物の最終的な有無判定を行うようにしている。
障害物検知を、障害物だけでなく障害物の近傍にある周囲の付帯物との相互作用も利用して行うことで、上面が平坦なテーブル等の検知精度が向上するが、周囲の付帯物である食器等の生活用品は日々その場所が変化することから、上記構成により障害物検知を繰り返し行うことで、検知ミスが極力低減し、効率的な空調運転を行うことができる。
第2の発明は、空調すべき領域の位置を示すアドレスを設定し、各障害物位置判別領域の各アドレスで障害物の有無判定を行い、各障害物位置判別領域の全アドレスでの障害物の有無判定結果に基づき、一次判定を行うようにしたので、一次判定の精度が向上する。
第3の発明は、各障害物位置判別領域において障害物ありと判定されたアドレスの合計を全アドレス数で除した数値を各障害物位置判別領域における障害物の有無判定結果として使用するようにしたので、一次判定の精度が向上する。
第4の発明は、加減算累計値に最大値及び最小値を設定することにより、例えば引越しや模様替え等により障害物の位置が大きく変化しても、その変化に短期間で追随することができる。
第5の発明は、加減算累計値をリセットするリセット手段を設けることにより、引越しや模様替えによる障害物の位置変更があった場合、それまでのデータをリセットすることで、過去の間違ったデータを元にした不適切な空調を防止でき、より早くその状況に合った空調制御を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<空気調和機の全体構成>
一般家庭で使用される空気調和機は、通常冷媒配管で互いに接続された室外機と室内機とで構成されており、図1乃至図4は、本発明に係る空気調和機の室内機を示している。
室内機は、本体2と、本体2の前面開口部2aを開閉自在の可動前面パネル(以下、単に前面パネルという)4を有しており、空気調和機停止時は、前面パネル4は本体2に密着して前面開口部2aを閉じているのに対し、空気調和機運転時は、前面パネル4は本体2から離反する方向に移動して前面開口部2aを開放する。なお、図1及び図2は前面パネル4が前面開口部2aを閉じた状態を示しており、図3及び図4は前面パネル4が前面開口部2aを開放した状態を示している。
図1乃至図4に示されるように、本体2の内部には、前面開口部2a及び上面開口部2bから取り入れられた室内空気を熱交換する熱交換器6と、熱交換器6で熱交換された空気を搬送するための室内ファン8と、室内ファン8により搬送された空気を室内に吹き出す吹出口10を開閉するとともに空気の吹き出し方向を上下に変更する上下風向変更羽根(以下、単に「上下羽根」という)12と、空気の吹き出し方向を左右に変更する左右風向変更羽根(以下、単に「左右羽根」という)14とを備えており、前面開口部2a及び上面開口部2bと熱交換器6との間には、前面開口部2a及び上面開口部2bから取り入れられた室内空気に含まれる塵埃を除去するためのフィルタ16が設けられている。
また、前面パネル4上部は、その両端部に設けられた2本のアーム18,20を介して本体2上部に連結されており、アーム18に連結された駆動モータ(図示せず)を駆動制御することで、空気調和機運転時、前面パネル4は空気調和機停止時の位置(前面開口部2aの閉塞位置)から前方斜め上方に向かって移動する。
さらに、上下羽根12は、上羽根12aと下羽根12bとで構成されており、それぞれ本体2下部に揺動自在に取り付けられている。上羽根12a及び下羽根12bは、別々の駆動源(例えば、ステッピングモータ)に連結されており、室内機に内蔵された制御装置(後述する第1の基板48、例えばマイコン)によりそれぞれ独立して角度制御される。また、図3及び図4から明らかなように、下羽根12bの変更可能な角度範囲は、上羽根12aの変更可能な角度範囲より大きく設定されている。
なお、上羽根12a及び下羽根12bの駆動方法については後述する。また、上下羽根12は3枚以上の上下羽根で構成することも可能で、この場合、少なくとも2枚(特に、最も上方に位置する羽根と最も下方に位置する羽根)は独立して角度制御できるのが好ましい。
また、左右羽根14は、室内機の中心から左右に5枚ずつ配置された合計10枚の羽根で構成されており、それぞれ本体2の下部に揺動自在に取り付けられている。また、左右の5枚を一つの単位として別々の駆動源(例えば、ステッピングモータ)に連結されており、室内機に内蔵された制御装置により左右5枚の羽根がそれぞれ独立して角度制御される。なお、左右羽根14の駆動方法についても後述する。
<人体検知装置の構成>
図1に示されるように、前面パネル4の上部には、複数(例えば、三つ)の固定式センサユニット24,26,28が人体検知装置として取り付けられており、これらのセンサユニット24,26,28は、図3及び図4に示されるように、センサホルダ36に保持されている。
各センサユニット24,26,28は、回路基板と、回路基板に取り付けられたレンズと、レンズの内部に実装された人体検知センサとで構成されている。また、人体検知センサは、例えば人体から放射される赤外線を検知することにより人の在否を検知する焦電型赤外線センサにより構成されており、赤外線センサが検知する赤外線量の変化に応じて出力されるパルス信号に基づいて回路基板により人の在否が判定される。すなわち、回路基板は人の在否判定を行う在否判定手段として作用する。
<人体検知装置による人位置推定>
図5は、センサユニット24,26,28で検知される人位置判別領域を示しており、センサユニット24,26,28は、それぞれ次の領域に人がいるかどうかを検知することができる。
センサユニット24:領域A+B+C+D
センサユニット26:領域B+C+E+F
センサユニット28:領域C+D+F+G
すなわち、本発明に係る空気調和機の室内機においては、各センサユニット24,26,28で検知できる領域が一部重なっており、領域A〜Gの数よりも少ない数のセンサユニットを使用して各領域A〜Gにおける人の在否を検知するようにしている。表1は、各センサユニット24,26,28の出力と、在判定領域(人がいると判定された領域)との関係を示している。なお、表1及び以下の説明ではセンサユニット24,26,28を第1のセンサ24、第2のセンサ26、第3のセンサ28という。
図6は、第1乃至第3のセンサ24,26,28を使用して、領域A〜Gの各々に後述する領域特性を設定するためのフローチャートで、図7は、第1乃至第3のセンサ24,26,28を使用して、領域A〜Gのどの領域に人がいるか否かを判定するフローチャートであり、これらのフローチャートを参照しながら人の位置判定方法について以下説明する。
ステップS1において、所定の周期T1(例えば、5秒)で各領域における人の在否がまず判定されるが、この判定方法につき、領域A,B,Cにおける人の在否を判定する場合を例にとり、図8を参照しながら説明する。
図8に示されるように、時間t1の直前の周期T1において第1乃至第3のセンサ24,26,28がいずれもOFF(パルス無し)の場合、時間t1において領域A,B,Cに人はいないと判定する(A=0,B=0,C=0)。次に、時間t1から周期T1後の時間t2までの間に第1のセンサ24のみON信号を出力し(パルス有り)、第2及び第3のセンサ26,28がOFFの場合、時間t2において領域Aに人がいて、領域B,Cには人がいないと判定する(A=1,B=0,C=0)。さらに、時間t2から周期T1後の時間t3までの間に第1及び第2のセンサ24,26がON信号を出力し、第3のセンサ28がOFFの場合、時間t3において領域Bに人がいて、領域A、Cには人がいないと判定する(A=0,B=1,C=0)。以下、同様に周期T1毎に各領域A,B,Cにおける人の在否が判定される。
この判定結果に基づいて各領域A〜Gを、人が良くいる第1の領域(良くいる場所)、人のいる時間が短い第2の領域(人が単に通過する領域、滞在時間の短い領域等の通過領域)、人のいる時間が非常に短い第3の領域(壁、窓等人が殆ど行かない非生活領域)とに判別する。以下、第1の領域、第2の領域、第3の領域をそれぞれ、生活区分I、生活区分II、生活区分IIIといい、生活区分I、生活区分II、生活区分IIIはそれぞれ、領域特性Iの領域、領域特性IIの領域、領域特性IIIの領域ということもできる。また、生活区分I(領域特性I)、生活区分II(領域特性II)を併せて生活領域(人が生活する領域)とし、これに対し、生活区分III(領域特性III)を非生活領域(人が生活しない領域)とし、人の在否の頻度により生活の領域を大きく分類してもよい。
この判別は、図6のフローチャートにおけるステップS3以降で行われ、この判別方法について図9及び図10を参照しながら説明する。
図9は、一つの和室とLD(居間兼食事室)と台所とからなる1LDKのLDに本発明に係る空気調和機の室内機を設置した場合を示しており、図9における楕円で示される領域は被験者が申告した良くいる場所を示している。
上述したように、周期T1毎に各領域A〜Gにおける人の在否が判定されるが、周期T1の反応結果(判定)として1(反応有り)あるいは0(反応無し)を出力し、これを複数回繰り返した後、ステップS2において、全てのセンサ出力をクリアする。
ステップS3において、所定の空調機の累積運転時間が経過したかどうかを判定する。ステップS3において所定時間が経過していないと判定されると、ステップS1に戻る一方、所定時間が経過したと判定されると、各領域A〜Gにおける当該所定時間に累積した反応結果を二つの閾値と比較することにより各領域A〜Gをそれぞれ生活区分I〜IIIのいずれかに判別する。
長期累積結果を示す図10を参照してさらに詳述すると、第1の閾値及び第1の閾値より小さい第2の閾値を設定して、ステップS4において、各領域A〜Gの長期累積結果が第1の閾値より多いかどうかを判定し、多いと判定された領域はステップS5において生活区分Iと判別する。また、ステップS4において、各領域A〜Gの長期累積結果が第1の閾値より少ないと判定されると、ステップS6において、各領域A〜Gの長期累積結果が第2の閾値より多いかどうかを判定し、多いと判定された領域は、ステップS7において生活区分IIと判別する一方、少ないと判定された領域は、ステップS8において生活区分IIIと判別する。
図10の例では、領域C,D,Gが生活区分Iとして判別され、領域B,Fが生活区分IIとして判別され、領域A,Eが生活区分IIIとして判別される。
また、図11は別の1LDKのLDに本発明に係る空気調和機の室内機を設置した場合を示しており、図12はこの場合の長期累積結果を元に各領域A〜Gを判別した結果を示している。図11の例では、領域B,C,Eが生活区分Iとして判別され、領域A,Fが生活区分IIとして判別され、領域D,Gが生活区分IIIとして判別される。
なお、上述した領域特性(生活区分)の判別は所定時間毎に繰り返されるが、判別すべき室内に配置されたソファー、食卓等を移動することがない限り、判別結果が変わることは殆どない。
次に、図7のフローチャートを参照しながら、各領域A〜Gにおける人の在否の最終判定について説明する。
ステップS21〜S22は、上述した図6のフローチャートにおけるステップS1〜S2と同じなので、その説明は省略する。ステップS23において、所定数M(例えば、15回)の周期T1の反応結果が得られたかどうかが判定され、周期T1は所定数Mに達していないと判定されると、ステップS21に戻る一方、周期T1が所定数Mに達したと判定されると、ステップS24において、周期T1×Mにおける反応結果の合計を累積反応期間回数として、1回分の累積反応期間回数を算出する。この累積反応期間回数の算出を複数回繰り返し、ステップS25において、所定回数分(例えば、N=4)の累積反応期間回数の算出結果が得られたかどうかが判定され、所定回数に達していないと判定されると、ステップS21に戻る一方、所定回数に達したと判定されると、ステップS26において、既に判別した領域特性と所定回数分の累積反応期間回数を元に各領域A〜Gにおける人の在否を推定する。
なお、ステップS27において累積反応期間回数の算出回数(N)から1を減算してステップS21に戻ることで、所定回数分の累積反応期間回数の算出が繰り返し行われることになる。
表2は最新の1回分(時間T1×M)の反応結果の履歴を示しており、表2中、例えばΣA0は領域Aにおける1回分の累積反応期間回数を意味している。
ここで、ΣA0の直前の1回分の累積反応期間回数をΣA1、さらにその前の1回分の累積反応期間回数をΣA2・・・とし、N=4の場合、過去4回分の履歴(ΣA4、ΣA3、ΣA2、ΣA1)のうち、生活区分Iについては、1回以上の累積反応期間回数が1回でもあれば、人がいると判定する。また、生活区分IIについては、過去4回の履歴のうち、1回以上の累積反応期間回数が2回以上あれば、人がいると判定するとともに、生活区分IIIについては、過去4回の履歴のうち、2回以上の累積反応期間回数が3回以上あれば、人がいると判定する。
次に、上述した人の在否判定から時間T1×M後には、同様に過去の4回分の履歴と生活区分と累積反応期間回数から人の在否の推定が行われる。
すなわち、本発明に係る空気調和機の室内機においては、判別領域A〜Gの数よりも少ない数のセンサを使用して人の在否を推定することから、所定周期毎の推定では人の位置を誤る可能性があるので、重なり領域かどうかに関わらず単独の所定周期では人の位置推定を行うことを避け、所定周期毎の領域判定結果を長期累積した領域特性と、所定周期毎の領域判定結果をN回分累積し、求めた各領域の累積反応期間回数の過去の履歴から人の所在地を推定することで、確率の高い人の位置推定結果を得るようにしている。
表3は、このようにして人の在否を判定し、T1=5秒、M=12回に設定した場合の在推定に要する時間、不在推定に要する時間を示している。
このようにして、本発明に係る空気調和機の室内機により空調すべき領域を第1乃至第3のセンサ24,26,28により複数の領域A〜Gに区分した後、各領域A〜Gの領域特性(生活区分I〜III)を決定し、さらに各領域A〜Gの領域特性に応じて在推定に要する時間、不在推定に要する時間を変更するようにしている。
すなわち、空調設定を変更した後、風が届くまでには1分程度要することから、短時間(例えば、数秒)で空調設定を変更しても快適性を損なうのみならず、人がすぐいなくなるような場所に対しては、省エネの観点からあまり空調を行わないほうが好ましい。そこで、各領域A〜Gにおける人の在否をまず検知し、特に人がいる領域の空調設定を最適化している。
詳述すると、生活区分IIと判別された領域の在否推定に要する時間を標準として、生活区分Iと判別された領域では、生活区分IIと判別された領域より短い時間間隔で人の存在が推定されるのに対し、その領域から人がいなくなった場合には、生活区分IIと判別された領域より長い時間間隔で人の不存在を推定することにより、在推定に要する時間を短く、不在推定に要する時間は長く設定されることになる。逆に、生活区分IIIと判別された領域では、生活区分IIと判別された領域より長い時間間隔で人の存在が推定されるのに対し、その領域から人がいなくなった場合には、生活区分IIと判別された領域より短い時間間隔で人の不存在を推定することにより、在推定に要する時間を長く、不在推定に要する時間は短く設定されることになる。さらに、上述したように長期累積結果によりそれぞれの領域の生活区分は変わり、それに応じて、在推定に要する時間や不在推定に要する時間も可変設定されることになる。
<障害物検知装置の構成>
図1に示されるように、本体2の片側(正面から見て左側)の下部には、障害物検知装置30が設けられており、この障害物検知装置30について図13を参照しながら説明する。なお、本明細書で使用する「障害物」という用語は、室内機の吹出口10から吹き出され居住者に快適空間を提供するための空気の流れを妨げる物全般を指しており、例えばテーブルやソファー等の家具、テレビ、オーディオ等の居住者以外の物を総称したものである。
障害物検知装置30は、距離検知手段としての超音波式距離センサ(以下、単に「超音波センサ」という)32と、超音波センサ32を回転自在に支承する球状の支持体34と、超音波センサ32の音波出口方向に位置する支持体34に形成されたホーン36と、超音波センサ32の向きを変えて距離検知方向を変更するための距離検知方向変更手段(駆動手段)とを備えている。ホーン36は、超音波センサ32が送信した超音波の感度を向上させるとともに指向性を強くして障害物検知精度を向上させるためのものである。
また、支持体34は、水平(横)回転用回転軸40と、水平回転用回転軸40と直交する方向に延びる垂直(縦)回転用回転軸42を有し、水平回転用回転軸40は水平回転用モータ44に連結されて駆動され、垂直回転用回転軸42は垂直回転用モータ46に連結されて駆動される。すなわち、距離検知方向変更手段は、水平回転用モータ44、垂直回転用モータ46等により構成され、超音波センサ32の方向角度を2次元で変更することができるとともに、超音波センサ32の向いている方向角度を認識することができる。
次に、距離検知手段としての超音波センサ32の作用を説明する。
本実施の形態における超音波センサ32は、超音波送信部と受信部を兼用しており、超音波パルスを送信して、超音波パルスが障害物等に当たると、反射して、この反射波を超音波センサ32で受信する。この送信から受信までの時間をt、音速をCとすると、超音波センサ32から障害物までの距離DはD=Ct/2で表される。なお、超音波センサ32の超音波送信部と受信部が別体の場合も、原理的あるいは機能的にはなんの変わりもなく、本実施の形態においても採用できる。
また、超音波センサ32は、床面からの高さをHとすると、H=約2mの高さに通常設置される。
さらに、距離検知方向変更手段により超音波センサ32の向いている方向を、垂直方向の角度(俯角、水平線から下方向に測定した角度)α、水平方向の角度(室内機から見て左側の基準線から右向きに測定した角度)βとして認識することができる。ここで、ある方向における障害物までの距離Dが、D=H/sinαのとき、その障害物は床面上にあるということがわかり、超音波センサ32によりその方向の床面が見通せるということになる。
したがって、垂直方向の角度αと水平方向の角度βを所定の角度間隔で変化させて超音波センサ32に検知動作(走査)を行わせることで、居住空間における人や物の位置を認識することができる。
本実施の形態においては、超音波センサ32により居住空間の床面を垂直方向の角度αと水平方向の角度βに基づき、図14に示されるように細分化し、これらの領域の各々を障害物位置判別領域あるいは「ポジション」と定義し、どのポジションに障害物が存在しているかを判別するようにしている。なお、図14に示される全ポジションは、図5に示される人位置判別領域の全領域と略一致しており、図5の領域境界を図14のポジション境界に略一致させ、領域及びポジションを次のように対応させることで、後述する空調制御を容易に行うことができ、記憶させるメモリを極力少なくしている。
領域A:ポジションA1+A2+A3
領域B:ポジションB1+B2
領域C:ポジションC1+C2
領域D:ポジションD1+D2
領域E:ポジションE1+E2
領域F:ポジションF1+F2
領域G:ポジションG1+G2
なお、図14の領域分割は、ポジションの領域数を人位置判別領域の領域数より多く設定しており、人位置判別領域の各々に少なくとも二つのポジションが属し、これら少なくとも二つの障害物位置判別領域を室内機から見て左右に配置しているが、各人位置判別領域に少なくとも一つのポジションが属するように領域分割して、空調制御を行うこともできる。
また、図14の領域分割は、複数の人位置判別領域の各々が、室内機までの距離に応じて区分され、近い領域の人位置判別領域に属するポジションの領域数を遠い領域の人位置判別領域に属するポジションの領域数より多く設定しているが、室内機からの距離にかかわらず、各人位置判別領域に属するポジション数を同数にしてもよい。
<障害物検知装置の検知動作及びデータ処理>
上述したように、本発明に係る空気調和機は、人体検知装置により領域A〜Gにおける人の在否を検知するとともに、障害物検知装置によりポジションA1〜G2における障害物の有無を検知し、人体検知装置の検知信号(検知結果)と障害物検知装置の検知信号(検知結果)に基づいて、風向変更手段である上下羽根12及び左右羽根14を駆動制御することにより、快適空間を提供するようにしている。
人体検知センサは、例えば人体から放射される赤外線を検知することにより人の在否を検知することができるのに対し、障害物検知装置は、送信した超音波の反射波を受信することで障害物の距離を検知していることから、人と障害物を判別することができない。
人を障害物として誤認すると、人がいる領域を空調できなかったり、人に空調風(気流)を直接当ててしまうこともあり、結果として非効率な空調制御あるいは人に不快感を与える空調制御となるおそれがある。
そこで、障害物検知装置について、以下に説明するデータ処理を行って障害物のみを検知するようにしている。
まず、図15を参照しながら超音波センサ32の駆動方法を説明する。
図15に示されるように、本体2には、互いに電気的に接続された三つの基板48,50,52が内蔵されており、本体2に取り付けられた前面パネル4,上下羽根12,左右羽根14等の可動部は第1の基板48により制御され、第3の基板52は、超音波センサ32と一体的に実装されている。
また、第2の基板50には、センサ入力増幅部54と、帯域増幅部56と、比較部58と、ラッチ回路部60とが設けられ、第1の基板48から出力された超音波送信信号はセンサ入力増幅部54に入力され、センサ入力増幅部54で電圧増幅した後、第3の基板52に入力される。超音波センサ32は、入力された信号に基づいて、後述する各アドレスに向かって超音波を送信し、その反射波を受信して帯域増幅部56に出力する。超音波送信信号としては、例えば10μsでON/OFFを繰り返す50%デューティの50kHzの信号を使用し、帯域増幅部56では、50kHz近傍の信号を増幅する。
帯域増幅部56の出力信号は比較部58に入力され、比較部58に設定された所定の閾値と比較される。比較部58は、帯域増幅部56の出力信号が閾値より大きい場合にLレベル(ローレベル)の信号をラッチ回路部60に出力する一方、帯域増幅部56の出力信号が閾値より小さい場合にHレベル(ハイレベル)の信号をラッチ回路部60に出力する。また、第1の基板48は、ノイズを分離するための受信マスク信号をラッチ回路部60に出力する。
なお、図15は、超音波センサ32が送受信一体型のものを示しているが、送信機と受信機が別体のものを使用することも勿論可能である。
図16は、RS(リセットセット)フリップフロップにより構成されたラッチ回路部60を示しており、表4は、二つの入力(比較部58からの入力(RESET入力)と第1の基板48からの入力(SET入力))に基づいて決定されるラッチ回路部60からの出力(Q)を示している。表4中、H*は、RESET入力とSET入力が共にLレベルの場合は、出力はHレベルとなり、RESET入力とSET入力が共にHレベルの場合は、どちらが先にHレベルになるかどうかで出力レベルが異なることを示している。
また、図17は、各信号の状態を示す概略のタイミングチャートを示しており、図17に示されるように、空気調和機の運転開始時には、比較部58からラッチ回路部60にはHレベルの信号が入力される。また、第1の基板48から第2の基板50のセンサ入力増幅部54に超音波送信信号が出力され、センサ入力増幅部54からの信号が第3の基板52に入力されると、超音波センサ32は設定されたアドレスに向かって超音波を送信する。
また、超音波送信信号の送信直後に周囲環境からのノイズの影響を受ける可能性があり、ノイズの影響がある場合、帯域増幅部56を介して比較部58に入力される。比較部58では、入力された信号を予め設定された閾値と比較し、閾値より大きい場合には、Lレベルの信号をラッチ回路部60に出力する。しかしながら、このとき比較部58に入力された信号は居住空間からの反射波を超音波センサ32が受信して生成された信号ではないことから、超音波送信信号の送信から所定のセンサ出力マスク時間を設定し、センサ出力マスク時間中は、Lレベルの受信マスク信号を第1の基板48から第2の基板50のラッチ回路部60に出力するようにしている。
したがって、ラッチ回路部60から第1の基板48に出力される超音波受信信号は、Hレベルを維持することになる。
一方、超音波センサ32から送信された超音波が居住空間で反射し、この反射波(第1波)を超音波センサ32が受信し、帯域増幅部56を介して比較部58に入力された信号が閾値より大きい場合にも、同様にLレベルの信号をラッチ回路部60に出力する。しかしながら、センサ出力マスク時間は、超音波送信から反射波受信時までの時間間隔より短く設定されていることから、このときの受信マスク信号はHレベルとなっているので、ラッチ回路部60から第1の基板48に出力される超音波受信信号は、Lレベルとなる。
超音波受信信号がHレベルを維持している時間は、超音波センサ32が超音波を送信して、その反射波(第1波)を受信するまでの時間tを意味しているから、上述したように、超音波センサ32から障害物までの距離Dは、時間tと音速CをD=Ct/2に当てはめることにより求められる。
また、あるアドレスで所定の計測、演算が完了すると、第1の基板48は、超音波センサ水平駆動用信号を水平回転用モータドライバ62に送信して水平回転用モータ44を駆動するとともに、超音波センサ垂直駆動用信号を垂直回転用モータドライバ64に送信して垂直回転用モータ46を駆動することで、計測すべきアドレスを変更する。
表5におけるi及びjは、計測すべきアドレスを示しており、垂直方向の角度及び水平方向の角度は、上述した俯角α及び室内機から見て左側の基準線から右向きに測定した角度βをそれぞれ示している。すなわち、室内機から見て、垂直方向に5度〜80度、水平方向に10度〜170度の範囲で各アドレスを設定し、超音波センサ32は各アドレスを計測し、居住空間を走査する。
なお、超音波センサ32による居住空間の全走査は、空気調和機の運転開始時と運転停止時に分けて行われ、表6は超音波センサ32の走査順を示している。
すなわち、空気調和機の運転開始時には、アドレス[0,0]からアドレス[32,0]までの各アドレスでこの順番に距離測定(障害物の位置検知)を行い、次にアドレス[32,1]からアドレス[0,1]までの各アドレスでこの順番に距離測定を行って、空気調和機の運転開始時の走査を終了する。
一方、空気調和機の運転停止時には、アドレス[0,2]からアドレス[32,2]までの各アドレスでこの順番に距離測定を行い、次にアドレス[32,3]からアドレス[0,3]までの各アドレスでこの順番に距離測定を行い、これを繰り返してアドレス[0,15]での距離測定が終了すると、空気調和機の運転停止時の走査を終了する。
このように、超音波センサ32による居住空間の全走査を、空気調和機の運転開始時と運転停止時に分けて行うようにしたのは、障害物の有無判定を効率的に行うためである。すなわち、運転停止時は、圧縮機等の可動要素が全て停止しており、空気調和機の運転開始時に比べノイズを受けにくいことから、超音波センサ32による距離測定に比較的好ましい環境と言えるが、居住空間の全走査を空気調和機の運転停止時にのみ行うと、運転開始時に超音波センサ32が全く反応しないことになり、居住者に不信感を与えるばかりでなく、運転停止後の走査時間が長くなるからである。
また、空気調和機の運転開始時の走査を、俯角10度以内に制限したのは、空気調和機の運転開始時には人がいる可能性が高く、人を検知しない可能性が高い領域のみ、すなわち壁がある領域を走査することで、計測データを有効利用できるからである(人は障害物ではないので、後述するように、人がいる領域のデータは使用しない)。
次に、空気調和機の運転開始時における障害物までの距離測定について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
まずステップS31において、超音波センサ32を駆動する水平回転用モータ44及び垂直回転用モータ46のイニシャライズ処理を行う。イニシャライズ処理とは、アドレス[0,0]を原点位置に設定するとともにアドレス[16,0]をセンター位置に設定し、水平回転用モータ44及び垂直回転用モータ46を原点位置でリセットした後、センター位置で停止させる制御のことである。
また、三つの基板48,50,52はそれぞれリード線で接続されていることから、次のステップS32において、リード線の断線、誤接続等の異常がないかどうかを判定するための超音波センサ32の自己診断処理を行い、ステップS33において異常がないと判定されると、ステップS34に移行する一方、異常があると判定されると、距離測定フローを終了する。
ステップS34においては、水平回転用モータ44及び垂直回転用モータ46を目標初期位置([i,j]=[0,0])に設定し、次のステップS35において、これらのモータ44,46が目標位置に設定されているかどうかを判定する。ステップS35において目標位置に設定されていると判定されると、ステップS36に移行する一方、目標位置に設定されていないと判定されると、ステップS37において、水平回転用モータ44及び垂直回転用モータ46の駆動処理を行って、ステップS35に戻る。
ステップS36においては、超音波センサ32が定常状態を維持できるように所定時間(例えば、1秒)待機し、ステップS38においてノイズ検出処理を行う。すなわち、超音波センサ32は、音響ノイズや振動や電磁ノイズによる影響を受けやすいため、周囲環境からのノイズ影響の有無を判定して、距離測定動作に移行するようにしている。
このノイズ検出処理について、図19のタイミングチャートを参照しながら説明する。
ノイズ検出は超音波送信信号がLレベルのときに行われ(したがって、比較部58の出力はHレベル)、超音波送信信号を送信する前に、周囲環境からのノイズを検知する所定の音波受信期間(例えば、100ms)を設けている。
また、ノイズ検出前に、所定のマスク時間(例えば、12ms)を設けることで、ノイズ検出開始時における超音波受信信号のHレベルを確保し、マスク時間経過後にノイズ検出を開始して所定時間(例えば、4ms)毎にノイズを検出し、比較部58において、設定された閾値と検出されたノイズを比較する。さらに、誤判定を防止するため、ノイズ検出開始から所定時間(例えば、100ms)経過時の超音波受信信号を2度読みし、2度読み一致でHレベル(ノイズが閾値未満)の場合は「ノイズなし」と判定する一方、片方でもLレベル(ノイズが閾値以上)の場合は「ノイズあり」と判定する。
図18のフローチャートに戻って、次のステップS39において、ノイズがあるかどうかの判定を行い、ノイズなしと判定されると、ステップS40に移行する一方、ノイズありと判定されるとステップS41に移行する。
ステップS40においては、同じアドレスで8回のデータを取得し、取得したデータに基づく距離測定が完了したかどうかの判定が行われ、距離測定が完了していないと判定されると、ステップS42において送信処理を行った後、ステップS43において受信処理を行い、ステップS40に戻る。逆に、ステップS40において、距離測定が完了したと判定されると、ステップS44において距離番号確定処理を行う。
なお、これらの処理は第1の基板48及び第2の基板50で行われることから、第1の基板48及び第2の基板50は障害物位置検知手段として作用する。
また、ステップS44における距離番号確定処理が完了すると、ステップS45において距離番号確定処理を行ったアドレスが最終アドレス([i,j]=[0,1])かどうかを判定し、最終アドレスの場合は、ステップS46において超音波センサ32を駆動する水平回転用モータ44及び垂直回転用モータ46のイニシャライズ処理を行った後、プログラムを終了する。なお、このイニシャライズ処理は、ステップS31において行われるイニシャライズ処理と同じなので、その説明は省略する。
一方、ステップS45において、最終アドレスではないと判定されると、ステップS47において、水平回転用モータ44及び垂直回転用モータ46を駆動して超音波センサ32を次のアドレスに移動して、ステップS35に戻る。
また、ステップS39において、ノイズありと判定されると、現在のアドレスでの測定データは使用できないことになるので、ステップS41において、第1の基板48に格納された以前の距離データを現在の距離データとして確定し(測定データを更新しない)、ステップS48において、所定時間(例えば、0.8s)待機した後、ステップS47に移行する。
すなわち、ノイズの有無判定結果に基づいて障害物位置検知手段の判定結果を更新するか否かを決定することで、障害物までの距離測定を正確に行うことができ、後述するように空調風が障害物を回避するように風向変更手段を制御することで空調効率を向上させることができる。
なお、ステップS48において待機時間を設けたのは、各アドレスにおける合計消費時間を略一定にするためである。すなわち、ノイズありの場合、ステップS40,S42,S43,S44における処理を行わないことになるので、待機時間を設けないと、ノイズなしの場合に比べて消費時間が短くなり、超音波センサ32の動作が不自然になるからである。また、障害物位置判別領域のすべてを走査するとともに、各アドレスにおける合計消費時間が略一定となるように障害物検知装置を制御することで、居住者に安心感を与えることができる。
次に、ステップS42における送信処理、ステップS43における受信処理、ステップS44における距離番号確定処理を順次説明するが、用語「距離番号」についてまず説明する。
「距離番号」は、超音波センサ32から居住空間のある位置Pまでのおおよその距離を意味しており(後述するように一定の幅を持つ)、図20に示されるように、超音波センサ32は床面から2m上方に設置され、超音波センサ32から位置Pまでの距離を「距離番号相当時間の超音波到達距離」とすると、位置Pは次の式で表される。
X=到達距離×sin(90−α)
Y=2m−到達距離×sinα
また、距離番号は2〜12までの整数値とし、各距離番号に相当する超音波伝搬往復時間を表7のように設定している。
なお、表7は、各距離番号と俯角αに相当する位置Pの位置を示しており、縦線を付した部分は、Yがマイナスの値となり(Y<0)、床に食い込む位置を示している。また、表7の設定は、能力ランク2.2kwの空気調和機に適用されるものであり、この空気調和機は専ら6畳の部屋(対角距離=4.50m)に設置されるものとして、距離番号=6を制限値(最大値X)として設定している。すなわち、6畳の部屋では、距離番号≧7に相当する位置は、対角距離>4.50mで部屋の壁を越えた位置(部屋の外側の位置)となり、全く意味を持たない距離番号であり、横線で示している。
因みに、表8は、能力ランク6.3kwの空気調和機に適用されるものであり、この空気調和機は専ら20畳の部屋(対角距離=8.49m)に設置されるものとして、距離番号=12を制限値(最大値X)として設定している。
表9は、空気調和機の能力ランクと各アドレスの垂直方向位置jに応じて設定された距離番号の制限値を示している。
次に、ステップS42における送信処理、及び、ステップS43における受信処理について、図21のタイミングチャートを参照しながら説明する。
超音波送信信号としては、上述したように、例えば50%デューティの50kHzの信号を2ms送信し、100ms後に再び超音波送信信号を送信し、これを繰り返して各アドレスで合計8回の超音波送信信号を送信する。なお、測定間隔として100msを設定したのは、100msの時間間隔は、前回の送信処理による反射波の影響を無視できる時間だからである。
また、出力マスク時間は、例えば8msに設定され、超音波送信信号の出力の8ms前にLレベルの受信マスク信号を出力して、送信時における超音波受信信号のHレベルを確保するとともに、超音波送信信号の出力から8ms経過するまで受信マスク信号を出力することで残響信号等のノイズを除去している。さらに、超音波受信信号の入力処理(ラッチ回路部60からの出力)は、上述したノイズ検出処理と同様、例えば4ms毎に行われる。
また、超音波送信信号の送信毎にその信号レベルを4ms毎に複数回読み取り、ノイズ等による誤判定防止のため2度読み一致でLレベルの場合に、カウント数Nから1を減じた値(N−1)を距離番号(超音波伝搬往復時間)としている。図21の例では、超音波送信信号が送信された後、比較部58の出力信号はN=5とN=6の間でLレベルとなっていることから(受信マスク信号はHレベル)、超音波受信信号は、N=0〜5でHレベルに、N=6,7でLレベルになっており、2度読み一致でLレベルはN=7のときなので、距離番号はN−1=6となり、距離番号相当時間は6×4ms=24msとなる。
次に、ステップS44における距離番号確定処理について説明する。
上述したように、距離番号には、空気調和機の能力ランクと各アドレスの垂直方向位置jに応じて制限値が設定されており、超音波受信信号がN>最大値Xの場合でも2度読み一致でLレベルでなければ、距離番号=Xに設定される。
各アドレス[i,j]で8回分の距離番号を決定し、大きい方から順に三つの距離番号と小さい方から順に三つの距離番号を除いて、残り二つの距離番号の平均値を取り、距離番号を確定する。なお、平均値は小数点以下を切り上げて整数値とし、このようにして確定された距離番号に相当する超音波伝搬往復時間は、表7あるいは表8に記載のとおりである。
なお、本実施の形態では、各アドレスで八つの距離番号を決定し、大小それぞれ三つの距離番号を除いて、残り二つの距離番号の平均値を取り、距離番号を確定するようにしたが、各アドレスで決定する距離番号は八つに限られるものではなく、平均値を取る距離番号も二つに限られるものではない。
また、家具等の障害物までの距離測定は空気調和機の運転停止時に行われ、この空気調和機の運転停止時における障害物までの距離測定について、図22のフローチャートを参照しながら次に説明する。なお、図22のフローチャートは図18のフローチャートと極めて類似しているので、異なるステップのみ以下説明する。
空気調和機の運転開始時には、ステップS34において、水平回転用モータ44及び垂直回転用モータ46を目標初期位置([i,j]=[0,0])に設定したのに対し、空気調和機の運転停止時には、ステップS54において、水平回転用モータ44及び垂直回転用モータ46を目標初期位置([i,j]=[0,2])に設定している。
同様に、空気調和機の運転開始時には、ステップS45において、距離番号確定処理を行ったアドレスが最終アドレス([i,j]=[0,1])かどうかを判定しているのに対し、空気調和機の運転停止時には、ステップS66において、距離番号確定処理を行ったアドレスが最終アドレス([i,j]=[0,15])かどうかを判定している。
空気調和機の運転停止時における障害物までの距離測定が、運転開始時と最も異なるのはステップS60にあり、ステップS59において、ノイズなしと判定されると、ステップS60において、現在のアドレス[i,j]に対応する領域(図5に示される領域A〜Gのいずれか)に人がいないと判定された場合には、ステップS61に移行する一方、人がいると判定された場合には、ステップS62に移行する。すなわち、人は障害物ではないので、人がいると判定された領域に対応するアドレスでは、距離測定を行うことなく以前の距離データを使用し(距離データを更新しない)、人がいないと判定された領域に対応するアドレスにおいてのみ距離測定を行い、新たに測定した距離データを使用する(距離データを更新する)ように設定している。
すなわち、各障害物位置判別領域において障害物の有無判定を行うに際し、各障害物位置判別領域に対応する人位置判別領域における人の在否判定結果に応じて、各障害物位置判別領域における障害物検知装置の判定結果を更新するか否かを決定することで、障害物の有無判定を効率的に行っている。より具体的には、人体検知装置により人がいないと判定された人位置判別領域に属する障害物位置判別領域においては、障害物検知装置による前回の判定結果を新たな判定結果で更新する一方、人体検知装置により人がいると判定された人位置判別領域に属する障害物位置判別領域においては、障害物検知装置による前回の判定結果を新たな判定結果で更新しないようにしている。
なお、図18のフローチャートにおけるステップ41あるいは図22のフローチャートにおけるステップ62において、以前の距離データを使用するようにしたが、空気調和機の据え付け直後は以前のデータは存在しないので、障害物検知装置による各障害物位置判別領域における判定が初回の場合には、デフォルト値を使用することとし、デフォルト値としては、上述した制限値(最大値X)が使用される。
図23は、ある居住空間の立面図(超音波センサ32を通る縦断面図)であり、超音波センサ32の下方2mに床面があり、床面から0.7〜1.1mにテーブル等の障害物がある場合の測定結果を図面化したもので、図中、網掛け部、右上がりの斜線部、右下がりの斜線部は、近距離、中距離、遠距離(これらの距離については後述する)にそれぞれ障害物があるものと判定されている。
なお、本実施の形態においては、障害物までの距離測定を空気調和機の運転開始時と停止時に分けて行うようにしたが、圧縮機や室内送風機の運転中は、電気的ノイズや周囲の騒音が超音波センサ32に悪影響を与える可能性があることから、すべてのアドレスにおける超音波センサ32の距離測定を、空気調和機の運転停止時に行うようにしてもよい。
また、空気調和機を遠隔操作するリモコン(遠隔操作装置)に時刻設定手段を設け、時刻設定手段で設定された時刻に超音波センサ32による距離測定を開始するようにしてもよい。この場合、時刻設定手段で設定された時刻に空気調和機が運転中の場合は、距離測定を開始することなく、時刻設定手段で設定された時刻に圧縮機あるいは室内ファン8が停止している場合に、距離測定を開始するのが好ましい。
さらに、上述したタイミングにおける距離測定に加えて、超音波センサ32の検知結果を空気調和機の運転に反映するために、周囲環境のノイズを度外視して、空気調和機の運転開始時にすべてのアドレスにおける距離測定を開始することもできる。
<障害物検知の学習制御>
超音波センサ32は、通常その照射方向と対象物の面とのなす角度が90度前後では正確に測定できる反面、その角度が小さくなるにつれて反射波が超音波センサ32に戻って来る確立が徐々に低下し、障害物検知に失敗する可能性が高くなる。
一例として、上面が平坦な食卓等のテーブルを考えると、テーブル上に何もない場合、超音波センサ32からの送信波がテーブルの上面で反射して超音波センサ32に戻ってくる可能性は極めて低く、テーブルの位置決定は難しいのに対し、テーブル上に生活用品(食器、リモコン、本、新聞、ティッシュ箱等)が存在すると、超音波センサ32からの送信波がテーブルと生活用品で反射して超音波センサ32に戻ってくることになり(例えば、図28参照)、テーブルの位置決定は容易になる。
そこで、この学習制御においては、障害物検知を、障害物だけでなく障害物の近傍にある周囲の付帯物との相互作用も利用して行うようにしている。しかしながら、実際に部屋内に置かれている家具等(実際には、家具というよりもむしろ家具上に置かれている生活用品)は日々その場所が変わる可能性が高く、障害物の角度や、障害物近傍の周囲付帯物の相互作用は変化することから、障害物検知を繰り返し行うことにより、検知ミスを極力低減することが可能となる。この学習制御は、図24に示されるフローチャートのように、毎回の走査結果を元に障害物位置を学習し、その学習制御結果から障害物のある場所を判断し、後述する気流制御を行うものである。
図24は、障害物有無判定を示すフローチャートを示しており、この障害物有無判定は、図14に示される全てのポジション(障害物位置判別領域)に対し順次行われる。ここでは、ポジションA1を例に取り説明する。
超音波センサ32により障害物検知動作を開始すると、まずステップS71において、ポジションA1の最初のアドレスで超音波センサ32により検知動作(走査)を行い、ステップS72において、上述した障害物の有無判定を行う。ステップS72において、障害物があると判定されると、ステップS73において、第3の基板52に設けられた第1のメモリに「1」を加算する一方、障害物がないと判定されると、ステップS74において、第1のメモリに「0」を加算する。
ステップS75において、ポジションA1の最終アドレスにおける検知が終了したかどうかを判定し、最終アドレスにおける検知が終了していない場合には、ステップS76において、次のアドレスで超音波センサ32により検知動作を行い、ステップS72に戻る。
一方、最終アドレスにおける検知が終了した場合には、ステップS77において、第1のメモリに記録された数値(障害物があると判定されたアドレスの合計)をポジションA1のアドレス数で除して(割算を行って)、次のステップS78において、その商を所定の閾値と比較する。商が閾値より大きい場合には、ステップS79において、ポジションA1には障害物があると一時的に判定され、ステップS80において、第2のメモリに「5」を加算する。一方、商が閾値未満の場合には、ステップS81において、ポジションA1には障害物がないと一時的に判定され、ステップS82において、第2のメモリに「−1」を加算する(「1」を減算する)。
なお、超音波センサ32により障害物検知は、超音波センサ32から障害物までの距離が遠くなるほど難しいことから、ここで使用する閾値は、室内機からの距離に応じて、例えば次のように設定される。
近距離:0.4
中距離:0.3
遠距離:0.2
また、この障害物検知動作は、空気調和機を運転するたびに行われるので、第2のメモリには、「5」あるいは「−1」が繰り返し加算される。そこで、第2のメモリに記録される数値は、最大値を「10」に、最小値を「0」に設定している。
次に、ステップS83において、第2のメモリに記録された数値(加算後の合計)が判定基準値(例えば、5)以上かどうかを判定し、判定基準値以上であれば、ステップS84において、ポジションA1には障害物があると最終的に判定される一方、判定基準値未満であれば、ステップS85において、ポジションA1には障害物がないと最終的に判定される。
なお、第1のメモリは、あるポジションの障害物検知動作が終了すると、そのメモリをクリアすることにより、次のポジションにおける障害物検知動作のメモリとして使用できるが、第2のメモリは、空気調和機を運転するたびに一つのポジションでの加算値を累積することから(ただし、最大値≧合計≧最小値)、ポジション数と同数のメモリが用意されている。
上述した障害物検知の学習制御において、判定基準値として「5」を設定し、あるポジションにおける初回の障害物検知で障害物ありと最終的に判定されると、第2のメモリには「5」が記録される。この状態で、次回の障害物検知で障害物なしと最終的に判定されると、「5」に「−1」を加算した値が判定基準値未満となるので、そのポジションには障害物は存在しないことになる。
しかしながら、次回の障害物検知でも障害物ありと最終的に判定されると、「5」に「5」を加算した値「10」が第2のメモリに記録され、合計値は判定基準値以上なので、そのポジションには障害物は存在することになり、次々回以降5回の障害物検知で障害物なしと判定されても、「10」に「−1×5」を加算した値は「5」なので、そのポジションには依然として障害物が存在することになる。
つまり、この障害物検知の学習制御は、複数回の加算累計値(あるいは加減算累計値)に基づいて障害物の最終有無判定を行うに際し、障害物ありと判定されたときに加算する値を、障害物なしと判定されたときに減算する値よりも十分に大きな数字に設定したことに特徴があり、このように設定することで、障害物があるという結果が出やすいようにしている。
また、第2のメモリに記録される数値に最大値及び最小値を設定することで、引越しや模様替え等により障害物の位置が大きく変化しても、できるだけ早くその変化に追随することができる。最大値を設けない場合、障害物ありと毎回判定されると、その和が次第に大きくなり、引越し等により障害物の位置が変わり、障害物ありと毎回判定された領域に障害物がなくなった場合でも、判定基準値を下回るのに時間がかかってしまう。また、最小値値を設けなかった場合には、その逆の現象が発生することになる。
図25は、図24のフローチャートで示される障害物検知の学習制御の変形例を示しており、ステップS100,S102,S103の処理のみ図24のフローチャートと相違しているので、これらのステップについて説明する。
この学習制御では、ステップS99において、ポジションA1には障害物があると一時的に判定されると、ステップS100において、第2のメモリに「1」を加算する。一方、ステップS101において、ポジションA1には障害物がないと一時的に判定されると、ステップS102において、第2のメモリに「0」を加算する。
次に、ステップS103において、現在の障害物検知を含む過去10回の障害物検知に基づいて第2のメモリに記録された合計値を判定基準値(例えば、2)と比較し、判定基準値以上であれば、ステップS104において、ポジションA1には障害物があると最終的に判定される一方、判定基準値未満であれば、ステップS105において、ポジションA1には障害物がないと最終的に判定される。
すなわち、上述した障害物検知の学習制御は、あるポジションにおける過去10回の障害物検知で8回障害物を検知できなくても、2回検知できれば、障害物があると最終的に判定されることになる。したがって、この学習制御は、障害物があると最終的に判定する障害物検知回数(ここでは、2)を、参照する過去の障害物検知回数よりも十分に小さな数字に設定したことに特徴があり、このように設定することで、障害物があるという結果が出やすいようにしている。
なお、室内機本体あるいはリモコンに、第2のメモリに記録されたデータをリセットするボタンを設け、このボタンを押すことにより、前記データをリセットするようにしてもよい。
基本的には、気流制御に大きな影響を及ぼす障害物や壁面の位置が変わることは少ないが、引越し等に伴う室内機の設置位置の変更や、部屋内の模様替えによる家具位置の変更等が生じた場合、それまでに得られたデータを元に気流制御を行うことは好ましくない。これは、学習制御により、いずれはその部屋に適した制御となるが、最適制御となるまでには時間がかかるからである(特に、その領域において障害物がなくなった場合に顕著である)。したがって、リセットボタンを設け、室内機と障害物あるいは壁面の相対的な位置関係が変わった場合には、それまでのデータをリセットすることにより、過去の間違ったデータを元にした不適切な空調を防止できるとともに、学習制御を最初から再開することにより、より早くその状況に合った制御とすることができる。
<障害物回避制御>
上記障害物の有無判定に基づき、風向変更手段としての上下羽根12及び左右羽根14は、暖房時次のように制御される。
以下の説明においては、用語「ブロック」、「フィールド」、「近距離」、「中距離」、「遠距離」を使用するが、これらの用語をまず説明する。
図5に示される領域A〜Gは次のブロックにそれぞれ属している。
ブロックN:領域A
ブロックR:領域B,E
ブロックC:領域C,F
ブロックL:領域D,G
また、領域A〜Gは次のフィールドにそれぞれ属している。
フィールド1:領域A
フィールド2:領域B,D
フィールド3:領域C
フィールド4:領域E,G
フィールド5:領域F
さらに、室内機からの距離については次のように定義している。
近距離:領域A
中距離:領域B,C,D
遠距離:領域E,F,G
表10は、左右羽根14を構成する5枚の左羽根と5枚の右羽根の各ポジションにおける目標設定角度を示しており、数字(角度)に付した記号は、図26に示されるように、左羽根あるいは右羽根が内側に向く場合をプラス(+、表10では無記号)の方向、外側に向く場合をマイナス(−)の方向と定義している。
また、表10における「暖房B領域」とは、障害物回避制御を行う暖房領域のことであり、「通常自動風向制御」とは、障害物回避制御を行わない風向制御のことである。ここで、障害物回避制御を行うかどうかの判定は、室内熱交換器6の温度を基準としており、温度が低い場合は居住者に風を当てない風向制御、高すぎる場合は最大風量位置の風向制御、適度な温度の場合は暖房B領域への風向制御を行う。また、ここでいう「温度が低い」、「高すぎる」、「居住者に風を当てない風向制御」、「最大風量位置の風向制御」とは、次のとおりの意味である。
・低い温度:室内熱交換器6の温度は皮膚温度(33〜34℃)を最適温度として設定しており、この温度以下になりうる温度(例えば、32℃)
・高すぎる温度:例えば、56℃以上
・居住者に風を当てない風向制御:居住空間に風を送らないように、上下羽根12を角度制御して、風が天井に沿うように流れる風向制御
・最大風量位置の風向制御:空気調和機は、上下羽根12及び左右羽根14により気流を曲げると必ず抵抗(損失)が発生することから、最大風量位置とは損失が限りなく0に近くなる風向制御(左右羽根14の場合、まっすぐ正面を向いた位置であり、上下羽根12の場合、水平から35度下を向いた位置)
表11は、障害物回避制御を行う場合の上下羽根12の各フィールドにおける目標設定角度を示している。なお、表11における上羽根の角度(γ1)及び下羽根の角度(γ2)は水平線から測定した下向きの角度(俯角)である。
次に、障害物の位置に応じた障害物回避制御について具体的に説明するが、障害物回避制御において使用される用語「スイング動作」「ポジション停留稼動」「ブロック停留稼動」についてまず説明する。
スイング動作とは、左右羽根14の揺動動作のことで、基本的には目標の一つのポジションを中心に所定の左右角度幅で揺動し、スイングの両端で固定時間がない動作のことである。
また、ポジション停留稼動とは、あるポジションの目標設定角度(表10の角度)に対し、表12の補正を行い、それぞれ、左端及び右端とする。動作としては、左端と右端でそれぞれ風向固定時間(左右羽根14を固定する時間)を持ち、例えば、左端で風向固定時間が経過した場合、右端に移動し、右端で風向固定時間が経過するまで、右端の風向を維持し、風向固定時間の経過後、左端に移動し、それを繰り返すものである。風向固定時間は、例えば60秒に設定される。
すなわち、あるポジションに障害物がある場合に、そのポジションの目標設定角度をそのまま使用すると、温風が常に障害物に当たるが、表12の補正を行うことで、障害物の横から温風を人がいる位置に到達させることができる。
さらにブロック停留稼動とは、各ブロックの左端と右端に対応する左右羽根14の設定角度を、例えば表13に基づいて決定する。動作としては、各ブロックの左端と右端でそれぞれ風向固定時間を持ち、例えば、左端で風向固定時間が経過した場合、右端に移動し、右端で風向固定時間が経過するまで、右端の風向を維持し、風向固定時間の経過後、左端に移動し、それを繰り返すものである。風向固定時間は、ポジション停留稼動と同様に、例えば60秒に設定される。なお、各ブロックの左端と右端は、そのブロックに属する人位置判別領域の左端と右端に一致しているので、ブロック停留稼動は、人位置判別領域の停留稼動と言うこともできる。
なお、ポジション停留稼動とブロック停留稼動は、障害物の大きさに応じて使い分けている。前方の障害物が小さい場合、障害物のあるポジションを中心にポジション停留稼動を行うことで障害物を避けて送風するのに対し、前方の障害物が大きく、例えば人がいる領域の前方全体に障害物がある場合、ブロック停留稼動を行うことで広い範囲にわたって送風するようにしている。
本実施の形態においては、スイング動作とポジション停留稼動とブロック停留稼動を総称して、左右羽根14の揺動動作と称している。
以下、上下羽根12あるいは左右羽根14の制御例を具体的に説明するが、人体検知装置により人が単一の領域にのみいると判定された場合、人体検知装置により人がいると判定された人位置判別領域の前方に位置する障害物位置判別領域に障害物があると障害物検知装置により判定された場合、上下羽根12を制御して障害物を上方から回避する気流制御を行うようにしている。また、人体検知装置により人がいると判定された人位置判別領域に属する障害物位置判別領域に障害物があると障害物検知装置により判定された場合、人がいると判定された人位置判別領域に属する少なくとも一つの障害物位置判別領域内で左右羽根14を揺動させ、揺動範囲の両端で左右羽根14の固定時間を設けない第1の気流制御と、人がいると判定された人位置判別領域あるいは当該領域に隣接する人位置判別領域に属する少なくとも一つの障害物位置判別領域内で左右羽根14を揺動させ、揺動範囲の両端で左右羽根14の固定時間を設けた第2の気流制御の一つを選択するようにしている。
また、以下の説明では、上下羽根12の制御と左右羽根14の制御を分けているが、人及び障害物の位置に応じて、上下羽根12の制御と左右羽根14の制御は適宜組み合わせて行われる。
A.上下羽根制御
(1)領域B〜Gのいずれかに人がいて、人がいる領域の前方のポジションA1〜A3に障害物がある場合
上下羽根12の設定角度を通常のフィールド風向制御(表11)に対し表14のように補正し、上下羽根12を上向き設定した気流制御を行う。
(2)領域B〜Gのいずれかに人がいて、人がいる領域の前方の領域Aに障害物がない場合(上記(1)以外)
通常自動風向制御を行う。
B.左右羽根制御
B1.領域A(近距離)に人がいる場合
(1)領域Aにおいて障害物のないポジションが一つの場合
障害物のないポジションの目標設定角度を中心として左右にスイング動作させ第1の気流制御を行う。例えば、ポジションA1,A3に障害物があり、ポジションA2に障害物がない場合、ポジションA2の目標設定角度を中心として左右にスイング動作させ、基本的には障害物のないポジションA2を空調するが、ポジションA1,A3に人がいないとは限らないので、スイング動作を加えることで、ポジションA1,A3に多少でも気流が振り分けられるようにする。
さらに具体的に説明すると、表10及び表12に基づいて、ポジションA2の目標設定角度及び補正角度(スイング動作時の揺動角)は決定されるので、左羽根及び右羽根は共に10度を中心に、それぞれ±10度の角度範囲で止まることなく揺動(スイング)し続ける。ただし、左羽根と右羽根を左右に振るタイミングは同一に設定されており、左羽根と右羽根の揺動動作は連動している。
(2)領域Aにおいて障害物のないポジションが二つで、隣接している場合(A1とA2あるいはA2とA3)
障害物のない二つのポジションの目標設定角度を両端としてスイング動作させ第1の気流制御を行うことで、基本的に障害物のないポジションを空調する。
(3)領域Aにおいて障害物のないポジションが二つで、離れている場合(A1とA3)
障害物のない二つのポジションの目標設定角度を両端としてブロック停留稼動させ第2の気流制御を行う。
(4)領域Aにおいてすべてのポジションに障害物がある場合
どこを狙っていいのか不明なので、ブロックNをブロック停留稼動させ第2の気流制御を行う。領域全体を狙うよりもブロック停留稼動の方が指向性のある風向となって遠くに届きやすく、障害物を回避できる可能性が高いからである。すなわち、領域Aに障害物が点在している場合でも、障害物と障害物との間には通常隙間があり、この障害物間の隙間を通して送風することができる。
(5)領域Aにおいてすべてのポジションに障害物がない場合
領域Aの通常自動風向制御を行う。
B2.領域B,C,D(中距離)のいずれかに人がいる場合
(1)人がいる領域に属する二つのポジションの一方にのみ障害物がある場合
障害物のないポジションの目標設定角度を中心として左右にスイング動作させ第1の気流制御を行う。例えば、領域Dに人がいて、ポジションD2にのみ障害物がある場合、ポジションD1の目標設定角度を中心として左右にスイング動作させる。
(2)人がいる領域に属する二つのポジションの両方に障害物がある場合
人がいる領域を含むブロックをブロック停留稼動させ第2の気流制御を行う。例えば、領域Dに人がいて、ポジションD1,D2の両方に障害物がある場合、ブロックLをブロック停留稼動させる。
(3)人がいる領域に障害物がない場合
人がいる領域の通常自動風向制御を行う。
B3.領域E,F,G(遠距離)のいずれかに人がいる場合
(1)人がいる領域の前方の中距離領域に属する二つのポジションの一方にのみ障害物がある場合(例:領域Eに人がいて、ポジションB2に障害物があり、ポジションB1に障害物がない)
(1.1)障害物があるポジションの両隣に障害物がない場合(例:ポジションB1,C1に障害物がない)
(1.1.1)障害物があるポジションの後方に障害物がない場合(例:ポジションE2に障害物がない)
障害物があるポジションを中心としてポジション停留稼動させ第2の気流制御を行う。例えば、領域Eに人がいて、ポジションB2に障害物があり、その両側にも後方にも障害物がない場合、ポジションB2にある障害物を横から避けて領域Eに気流を送り込むことができる。
(1.1.2)障害物があるポジションの後方に障害物がある場合(例:ポジションE2に障害物がある)
中距離領域で障害物がないポジションの目標設定角度を中心としてスイング動作させ第1の気流制御を行う。例えば、領域Eに人がいて、ポジションB2に障害物があり、その両側には障害物がないが、その後方に障害物がある場合、障害物がないポジションB1から気流を送り込むほうが有利である。
(1.2)障害物があるポジションの両隣のうち一方に障害物があり、他方に障害物がない場合
障害物がないポジションの目標設定角度を中心としてスイング動作させ第1の気流制御を行う。例えば、領域Fに人がいて、ポジションC2に障害物があり、ポジションC2の両隣のうちポジションD1に障害物があり、C1に障害物がない場合、障害物がないポジションC1からポジションC2の障害物を避けて気流を領域Fに送ることができる。
(2)人がいる領域の前方の中距離領域に属する二つのポジションの両方に障害物がある場合
人がいる領域を含むブロックをブロック停留稼動させ第2の気流制御を行う。例えば、領域Fに人がいて、ポジションC1,C2の両方に障害物がある場合、ブロックCをブロック停留稼動させる。この場合、人の前方に障害物があり、障害物を避けようがないので、ブロックCに隣接するブロックに障害物があるかどうかに関係なく、ブロック停留稼動を行う。
(3)人がいる領域の前方の中距離領域に属する二つのポジションの両方に障害物がない場合(例:領域Fに人がいて、ポジションC1,C2に障害物がない)
(3.1)人がいる領域に属する二つのポジションの一方のポジションにのみ障害物がある場合
障害物がない他方のポジションの目標設定角度を中心としてスイング動作させ第1の気流制御を行う。例えば、領域Fに人がいて、ポジションC1,C2,F1に障害物がなく、ポジションF2に障害物がある場合、人がいる領域Fの前方は開放されているので、遠距離の障害物を考慮して障害物のない遠距離のポジションF1を中心に空調する。
(3.2)人がいる領域に属する二つのポジションの両方に障害物がある場合
人がいる領域を含むブロックをブロック停留稼動させ第2の気流制御を行う。例えば、領域Gに人がいて、ポジションD1,D2に障害物がなく、ポジションG1,G2の両方に障害物がある場合、人がいる領域Gの前方は開放されているが、この領域全体に障害物があり、どこを狙っていいのか不明なので、ブロックLをブロック停留稼動させる。
(3.3)人がいる領域に属する二つのポジションの両方に障害物がない場合
人がいる領域の通常自動風向制御を行う。
<人壁近接制御>
人と壁が同一領域に存在する場合、人は必ず壁よりも前に位置して壁に近接していることになり、暖房時においては、壁近傍に温風が滞留しやすく、壁近傍の室温が他の部分の室温に比べて高くなる傾向にあり、冷房時においては、壁近傍に冷風が滞留しやすく、壁近傍の室温が他の部分の室温に比べて低くなる傾向にあることから、人壁近接制御を行うようにしている。
この制御においては、室内機の正面に位置する正面壁と、正面壁の両側に位置する左右の側壁(室内機設置空間の周囲壁)に向けて超音波センサ32より超音波を送信し、その反射波を検知して、正面の壁と左右の壁の位置をまず認識するようにしている。
すなわち、超音波センサ32を駆動して、まず略水平方向の正面に向かって超音波を送信し、その反射波を検知して正面の壁までの距離を測定して距離番号を求める。さらに、略水平方向の左側に向かって超音波を送信し、その反射波を検知して左側の壁までの距離を測定して距離番号を求め、右側の壁の距離番号も同様に求める。
さらに、図27を参照しながら詳述する。図27は、室内機が取り付けられた部屋を上から見た図であり、室内機から見て正面、左側及び右側に、正面壁WC、左壁WL、右壁WRがそれぞれ存在する場合を示している。なお、図27の左側の数字は、対応する升目の距離番号を示している。
上述したように、本明細書で使用する「障害物」とは、例えばテーブルやソファー等の家具、テレビ、オーディオ等を想定しており、これらの障害物の通常の高さを考えると、俯角15度の角度範囲では検知されず、検知されるのは壁であると推定できるので、本実施の形態においては、俯角15度以内で室内機の正面、左端及び右端までの距離を検知し、その位置を含む延長上に壁があるものとする。
また、水平方向の視野角では、左壁WLは角度10度、15度の位置に、正面壁WCは角度75度〜105度の位置に、右壁WRは角度165度、170度の位置にそれぞれ存在するものと推定できるので、表5に示されるアドレスのうち、俯角15度以内で前記水平方向の視野角内に対応するアドレスはそれぞれ次のとおりである。
左端:[0,0]、[1,0]、[0,1]、[1,1]、[0,2]、[1,2]
正面:[13,0]〜[19,0]、[13,1]〜[19,1]、[13,2]〜 [19,2]
右端:[31,0]、[32,0]、[31,1]、[32,1]、[31,2]、[32,2]
室内機から正面壁WC、左壁WL、右壁WRまでの距離番号決定に際し、表15に示されるように、まず上記各アドレスで壁面データを抽出する。
次に、表16に示されるように、各壁面データの上限値及び下限値を削除して不必要な壁面データを排除し、このようにして得られた壁面データを基に正面壁WC、左壁WL、右壁WRまでの距離番号を決定する。
正面壁WC、左壁WL、右壁WRまでの距離番号としては、表16における最大値(WC:5、WL:6、WR:3)を採用することができる。最大値を採用した場合、室内機から正面壁WC、左壁WL、右壁WRまでの距離が遠い部屋(大きい部屋)を空調することになり、空調制御の対象としてより広い空間を設定することができる。しかしながら、必ずしも最大値である必要はなく、平均値を採用することもできる。
このようにして正面壁WC、左壁WL、右壁WRまでの距離番号を決定した後、人体検知装置により人がいると判定された人位置判別領域に属する障害物位置判別領域に壁があるかどうかを障害物検知装置により判定し、壁があると判定されると、壁の前に人がいると考えられるので、暖房時においては、リモコンで設定された設定温度より低目の温度設定を行い、冷房時においては、リモコンで設定された設定温度より高めの温度設定を行う。
以下、この人壁近接制御について暖房時を例にとり具体的に説明する。
A.人が近距離領域あるいは中距離領域にいる場合
近距離領域及び中距離領域は、室内機から近い位置にあり、領域面積も小さいので、室温が上昇する度合いが高くなることから、リモコンで設定された設定温度を第1の所定温度(例えば、2℃)だけ低目に設定する。
B.人が遠距離領域にいる場合
遠距離領域は、室内機から遠い位置にあり、領域面積も大きいので、室温が上昇する度合いは近距離領域あるいは中距離領域より低いことから、リモコンで設定された設定温度を第1の所定温度より少ない第2の所定温度(例えば、1℃)だけ低目に設定する。
また、遠距離領域は領域面積が大きいので、同じ人位置判別領域に人と壁があると検知しても、人と壁が離れている可能性があるので、表17に示されるような組み合わせの場合に限り、人壁近接制御を行うようにしており、人と壁との位置関係に応じて温度シフトを行うようにしている。
<壁距離計測の高精度化>
この壁距離計測は、室内機から正面壁WC、左壁WL、右壁WRの距離番号決定の精度を高めるためのものである。すなわち、室内機は、通常平面視で矩形の部屋の壁面に取り付けられるものとすると、正面壁WC、左壁WL及び右壁WRの位置が分かれば、その位置よりコーナー部の位置が類推できる。コーナー部は略90度の角度をなしており、図28に示されるように、超音波センサ32から送信された超音波の反射波は、必ず送信した方向に戻ってくることから、正確に検知しやすく、実際に測定したコーナー部までの距離と、実際に測定した正面及び左右の壁面WC,WL,WRまでの距離から三角関数によって算出されるコーナー部までの距離を比較することにより、正面及び左右の壁面WC,WL,WRの位置の正確性を確認することができる。この計測は、壁検知の際に照明等を検知して、その照明までの距離を壁面までの距離と誤認識してしまう可能性があることから、コーナー部による確認は非常に重要な役割を果たすものである。
図29は、上述したように決定された正面及び左右の壁面WC,WL,WRの距離番号(例えば、表16参照)をここでは仮距離番号として、この仮距離番号を修正するためのフローチャートである。
正面及び左右の壁面WC,WL,WRの仮距離番号が求められると(ステップS111)、ステップS112において、左右のコーナー部の角度及び距離を算出する。なお、コーナー部の角度とは、各アドレスを特定するために使用した水平方向の角度と同様、室内機から見て左側の基準線から右向きに測定した角度のことである(上述したβ)。
左のコーナー部(正面壁WCと左壁WLとのコーナー部)の角度は、正面壁WCの仮距離番号と左壁WLの仮距離番号から三角関数で算出された表18に基づいて決定され、右のコーナー部(正面壁WCと右壁WRとのコーナー部)の角度も同様に、正面壁WCの仮距離番号と右壁WRの仮距離番号から三角関数で算出された表19に基づいて決定される。
一方、左右のコーナー部までの仮距離番号は、正面壁WCの仮距離番号と左壁WLあるいは右壁WRの仮距離番号から三角関数で算出された表20に基づいて決定される。
なお、表18、表19、表20において、正面壁WCの仮距離番号の最小値を5としたのは、正面壁WCは3mより近くには存在しないと想定しているからである。また、左壁WL及び右壁WRまでの距離は0mの場合も実際にはあるが、超音波センサ32の場合、残響により近距離は検知できないことから、左壁WL及び右壁WRの仮距離番号の最小値は2に設定している。
また、距離番号(あるいは仮距離番号)に対応する超音波の伝搬時間には幅があることから、距離番号に対応する実際の距離は、一定の幅(誤差)を持っており、表21は認識された距離番号と実際の距離との関係を示している。
なお、表7あるいは表8では、距離番号=12を制限値(最大値X)として設定したが、縦長あるいは横長の部屋を想定して、表21では距離番号の最大値を15(検知距離10.9mに相当)に設定している。
ステップS113においては、ステップS112において決定された角度に対応するアドレスで超音波センサ32により検知動作を行い、コーナー部までの実際の距離を計測する。次のステップS114において、ステップS112で求められた左右のコーナー部までの仮距離番号の相当する距離と、ステップS113で計測された左右のコーナー部までの実際の距離とを比較し、その差が±1以内であれば、ステップS111において求められた正面及び左右の壁面WC,WL,WRの仮距離番号は正しいと見なして、ステップS115において仮距離番号を正しい距離番号として決定する。
一方、左コーナー部及び右コーナー部のいずれか一方の仮距離番号に相当する距離と実際の距離との差が±1以内でなければ、左壁WLあるいは右壁WRの仮距離番号が間違っていると見なして、ステップS116において距離番号を15(最大値)とする。また、左コーナー部及び右コーナー部の両方の仮距離番号に相当する距離と実際の距離との差が±1以内でなければ、正面WCの仮距離番号が間違っていると見なして、ステップS116において距離番号を15(最大値)とする。
このようにして決定された正面及び左右の壁面WC,WL,WRまでの距離は精度が高く、左右の壁面WC,WL,WRの位置を認識することにより部屋のサイズを認識することができ、部屋のサイズに応じて風向変更手段あるいは室内ファン8により風向あるいは風量を制御することで、省エネ及び快適空調を達成することができる。加えて、上述した障害物回避制御あるいは人壁近接制御を効率的に行うことができるばかりでなく、室内機の設置位置あるいは部屋形状に応じた空調制御(後述)等、他の制御にも有効利用することができる。
なお、本実施の形態においては、壁距離計測の高精度化を図るためには、正面及び左右の壁面を検知した後に、コーナー部を検知しているが、略180度の角度範囲の全壁面を一度に検知して、その距離全てを記録した後に、正面及び左右の側壁の距離データと、この距離データから求められるコーナー部の距離データを抽出して両者を比較することもできる。しかしながら、後者の方法は、正面及び左右の側壁とコーナー部以外の不必要なデータを記録するメモリを必要とするため、メモリの節約の点で前者の方法の方が有利である。
また、表5を参照して説明した計測すべきアドレスは、室内機から見て、垂直方向に5度〜80度、水平方向に10度〜170度の範囲で設定したが、周囲の壁面の外側には、気流を妨げる障害物は存在しないことから、周囲の壁面の外側に対応するアドレスでは、超音波センサ32による計測を行わないように設定することもできる。
<室内機の設置位置あるいは部屋形状に応じた空調制御>
図30は、室内機の設置位置及び部屋形状を認識するためのフローチャートを示している。
上述したように、正面及び左右の壁面WC,WL,WRの距離番号が決定されると(ステップS121)、ステップS122において、左壁WLの距離番号が2に等しいかどうかを判定し、2に等しければ、ステップS123において、室内機は左壁WLに近接して配置されていると判定し(室内機に向かって「右壁近接設置」)、ステップS124において第1の左右羽根制御(後述)を行う。
一方、左壁WLの距離番号が2でなければ、ステップS125において、右壁WRの距離番号が2に等しいかどうかを判定し、2に等しければ、ステップS126において、室内機は右壁WRに近接して配置されていると判定し(室内機に向かって「左壁近接設置」)、ステップS127において第2の左右羽根制御(後述)を行う。
また、右壁WRの距離番号が2でなければ、ステップS128において、室内機の設置位置は壁面中央部であると判定し(中央設置)、ステップS129に移行する。
ステップS129においては、正面壁WCの距離番号と、左壁WLの距離番号と右壁WRの距離番号の和とを比較し、前者が後者以上と判定されると、ステップS130において部屋形状は「縦長」と判定し、ステップS131において第1の上下羽根制御(後述)及び第3の左右羽根制御(後述)を行う。
一方、ステップS129において、正面壁WCの距離番号は、左壁WLの距離番号と右壁WRの距離番号の和未満と判定されると、ステップS132において部屋形状は「横長」と判定し、ステップS133において第2の上下羽根制御(後述)及び第4の左右羽根制御(後述)を行う。
図31(a)(b)(c)は、それぞれ中央設置、右壁近接設置あるいは左壁近接設置の場合の左右羽根14の揺動範囲を示している。
中央設置で、上述した障害物回避制御を行わない場合、図31(a)に示されるように、左右羽根14は通常自動風向制御を行い、所定の角度範囲(例えば、左右にそれぞれ80度、合計160度)で左右対称にスイング動作する。
一方、右壁近接設置あるいは左壁近接設置の場合、近接する側面方向には人が存在する可能性がないため、通常自動風向制御における全域スイングでは無駄を生じる。そこで、右壁近接設置あるいは左壁近接設置の場合には、左右羽根14を正面から近接する側面とは反対方向にスイング動作させるようにしている。
さらに詳述すると、右壁近接設置で障害物回避制御を行わない場合、図31(b)に示される第1の左右羽根制御が行われ、左右羽根14の揺動範囲が小さく設定されて左右羽根14は正面から右方向に所定の角度範囲(80度)でスイング動作する。あるいは、正面の左5度から右方向に所定の角度範囲(80度)でスイング動作するようにしてもよい。
また、左壁近接設置で障害物回避制御を行わない場合、図31(c)に示される第2の左右羽根制御が行われ、左右羽根14の揺動範囲が小さく設定されて左右羽根14は正面から左方向に所定の角度範囲(80度)でスイング動作する。あるいは、正面の右5度から左方向に所定の角度範囲(80度)でスイング動作するようにしてもよい。
一方、障害物回避制御を行わない通常自動風向制御の場合の上下羽根12は、所定の角度範囲で上下にスイング動作するが、中央設置で縦長の部屋形状の場合、気流を遠くまで到達させる必要があることから、第1の上下羽根制御においては、前記所定の角度範囲を、多少(例えば、5度)上方修正して(上げて)スイング動作させるようにしている。逆に、中央設置で横長の部屋形状の場合、気流を遠くまで到達させる必要がないことから、第2の上下羽根制御においては、前記所定の角度範囲を、多少(例えば、5度)下方修正して(下げて)スイング動作させるようにしている。
また、中央設置で縦長の部屋形状の場合、左右の壁面までの距離が近いことから、第3の左右羽根制御においては、通常自動風向制御で設定されたスイング動作の所定の角度範囲より小さく(例えば、左右にそれぞれ75度、合計150度)設定するとともに、室内ファン8の風量を増大させるのに対し、横長の部屋形状の場合、左右方向に広範囲に気流を到達させる必要があることから、第4の左右羽根制御においては、通常自動風向制御で設定されたスイング動作の所定の角度範囲より大きく(例えば、左右にそれぞれ85度、合計170度)設定している。
なお、本実施の形態においては、距離検知手段としての超音波式距離センサを採用したが、超音波式距離センサに代えて、光電式距離センサを採用することもできる。