JP5426585B2 - 木質セメント板、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明では、木質セメント板を製造する方法も提供する。該製造方法は、木片をカルシウムで被覆する工程と、得られた木片と、セメントと、珪酸含有物と、木質繊維を混合してスラリーを製造する工程と、得られたスラリーを脱水して抄造シートを製造する工程と、得られた抄造シートを積層し、積層マットを製造する工程と、得られた積層マットをプレス、養生する工程とからなる。木片をカルシウムで被覆する工程は、水に木片とセメント組成物の粉砕物を添加し、固形分濃度が8〜20質量%の状態で混合することにより行う、又は、水に木片とカルシウム含有物を添加し、固形分濃度が3〜10質量%の状態で混合することにより行う、又は、スラリーを脱水した水に木片を添加し、固形分濃度が3〜10質量%の状態で混合することにより行うのいずれかにより行う。なお、木片をカルシウムで被覆する工程においては、2〜5mmの木片を使用する。また、木片をカルシウムで被覆する工程において、該木片と、セメント組成物の質量比を1:7〜1:20とする、又は、カルシウム含有物を該木片よりも多く添加することが好ましい。更に、木片と、セメント組成物、又は、カルシウム含有物、又は、スラリーを脱水した水との混合は60秒以上行うことが好ましい。スラリーを製造する工程においては、該スラリーにおけるセメントと珪酸含有物の質量比を3:7〜7:3とし、木質繊維と木片の量を全固形分に対して9質量%以下とする。該木片の量は、全固形分に対して1〜3質量%とすることが好ましく、更に好ましくは、該木質セメント板の全固形分に対して1〜2質量%とすることである。
セメントと珪酸含有物を質量比で3:7〜7:3の範囲で含有するのは、この範囲であれば、木質セメント板は十分な強度を発現できるとともに、十分なたわみも得られ、作業性、釘打ち性等にも問題が発生しないからである。この範囲から外れると、木質セメント板は強度を発現できず脆くなる、又は、比重が高くなるとともにたわみが少なくなり、堅くて重く、運搬しづらく、作業性、釘打ち性等に問題が発生する。
木質繊維と木片を9質量%以下含有するのは、9質量%より多いと、セメントの硬化が阻害され、得られる木質セメント板の強度が低下する恐れがあるためである。木質繊維が4〜8質量%、木片が1〜3質量%であると、得られる木質セメント板は、強度に優れるので好ましい。特に、木片が、該木質セメント板の全固形分に対して1〜2質量%であると、より強度等の物性に優れるので好ましい。
本発明の製造方法は、木片をカルシウムにより被覆する工程と、得られた木片と、セメントと、珪酸含有物と、木質繊維を混合してスラリーを製造する工程と、得られたスラリーを脱水して抄造シートを製造する工程と、得られた抄造シートを積層し、積層マットを製造する工程と、得られた積層マットをプレス、養生する工程とからなる。
そして、木片は、いずれの場合でも2〜5mmの大きさのものを使用する。2〜5mmの大きさの木片を使用するのは、この範囲から外れると、得られる木質セメント板は、十分な物性を得られないためである。
木片の量は、木質セメント板の全固形分に対して、木質繊維とあわせて9質量%以下とするが、1〜3質量%とすることが好ましく、更に1〜2質量%とすることがより好ましい。
また、木片をカルシウムで被覆する工程を、水に木片とセメント組成物の粉砕物を添加、混合することにより行う場合には、該木片と、該セメント組成物の質量比が1:7〜1:20であると、該木片がカルシウムに覆われやすいとともに、得られる木質セメント板は十分な強度を得られるので、好ましい。木片をカルシウムで被覆する工程を、水に木片とカルシウム含有物を添加、混合することにより行う場合には、該カルシウム含有物の量を該木片の量よりも多くすると、該木片がカルシウムに覆われやすいとともに、得られる木質セメント板は、十分な強度を得られるので、好ましい。
更に、木片と、セメント組成物、又は、カルシウム含有物、又は、スラリーを脱水した水との混合を60秒以上行うと、該木片が確実にカルシウムにより被覆されるので、好ましい。なお、木片と、セメント組成物、又は、カルシウム含有物の混合の順番は、木片を先に添加しても良いし、木片を後に添加しても良い。
一方、木片を添加した後、すぐに他の原料を添加した比較例2の木質セメント板は、同じ配合の実施例1の木質セメント板よりも曲げ強度が低く、かつ、長期耐久性と耐衝撃性が”△”であり、長期耐久性と耐衝撃性に劣った。この傾向は、木片の添加量を全固形分に対して2質量%となるように変更した比較例3でも同じであった。すなわち、比較例3の木質セメント板は、同じ配合の実施例2よりも曲げ強度が低く、かつ、長期耐久性と耐衝撃性が”×”であり、長期耐久性と耐衝撃性に劣った。
木片と木質セメント板の粉砕品を含む水の固形分濃度を2質量%とした比較例4の木質セメント板は、同じ配合の実施例2よりも曲げ強度が低く、かつ、長期耐久性と耐衝撃性が”×”であり、長期耐久性と耐衝撃性に劣った。
木片のサイズが平均6mmである比較例5の木質セメント板は、同じ配合の実施例2よりも曲げ強度が低く、かつ、長期耐久性が”×”で耐衝撃性が”△”であり、長期耐久性と耐衝撃性に劣った。
Claims (9)
- セメントと、珪酸含有物と、木質繊維と、木片とからなるスラリーを脱水、抄造してなる抄造シートを複数積層してなる積層マットの硬化体であって、
セメントと珪酸含有物は3:7〜7:3の質量比で含有されており、
木片は2〜5mmで、カルシウムにより被覆されており、
木質繊維と木片の含有量は、木質セメント板の全固形分に対して9質量%以下である
ことを特徴とする木質セメント板。 - 請求項1に記載の木質セメント板であって、
前記木片の含有量は、木質セメント板の全固形分に対して1〜3質量%である
ことを特徴とする木質セメント板。 - 木片をカルシウムで被覆する工程と、
得られた木片と、セメントと、珪酸含有物と、木質繊維を混合してスラリーを製造する工程と、
得られたスラリーを脱水して抄造シートを製造する工程と、
得られた抄造シートを積層し、積層マットを製造する工程と、
得られた積層マットをプレス、養生する工程とからなり、
木片をカルシウムで被覆する工程は、2〜5mmの木片とセメント組成物の粉砕物を水に添加し、固形分濃度が8〜20質量%の状態で混合することにより行い、
スラリーを製造する工程において、該スラリーにおけるセメントと珪酸含有物の質量比を3:7〜7:3とし、木質繊維と木片の量を全固形分に対して9質量%以下とする
ことを特徴とする木質セメント板の製造方法。 - 木片をカルシウムで被覆する工程と、
得られた木片と、セメントと、珪酸含有物と、木質繊維を混合してスラリーを製造する工程と、
得られたスラリーを脱水して抄造シートを製造する工程と、
得られた抄造シートを積層し、積層マットを製造する工程と、
得られた積層マットをプレス、養生する工程とからなり、
木片をカルシウムで被覆する工程は、2〜5mmの木片と、セメント、石膏、石灰、カルシウムを含有する珪酸含有物のすくなくともいずれかであるカルシウム含有物を水に添加し、固形分濃度3〜10質量%の状態で混合することにより行い、
スラリーを製造する工程において、該スラリーにおけるセメントと珪酸含有物の質量比を3:7〜7:3とし、木質繊維と木片の量を全固形分に対して9質量%以下とする
ことを特徴とする木質セメント板の製造方法。 - 木片をカルシウムで被覆する工程と、
得られた木片と、セメントと、珪酸含有物と、木質繊維を混合してスラリーを製造する工程と、
得られたスラリーを脱水して抄造シートを製造する工程と、
得られた抄造シートを積層し、積層マットを製造する工程と、
得られた積層マットをプレス、養生する工程とからなり、
木片をカルシウムで被覆する工程は、スラリーを脱水して得た水に2〜5mmの木片を添加し、固形分濃度が3〜10質量%の状態で混合することにより行い、
スラリーを製造する工程において、該スラリーにおけるセメントと珪酸含有物の質量比を3:7〜7:3とし、木質繊維と木片の量を全固形分に対して9質量%以下とする
ことを特徴とする木質セメント板の製造方法。 - 請求項3〜5のいずれかに記載の木質セメント板の製造方法であって、
前記木片の量を、木質セメント板の全固形分に対して1〜3質量%とする
ことを特徴とする木質セメント板の製造方法。 - 請求項3に記載の木質セメント板の製造方法であって、
前記木片をカルシウムで被覆する工程において、該木片と前記セメント組成物の粉砕物の質量比を1:7〜1:20とする
ことを特徴とする木質セメント板の製造方法。 - 請求項3に記載の木質セメント板の製造方法であって、
前記セメント組成物が木質セメント板である
ことを特徴とする木質セメント板の製造方法。 - 請求項4に記載の木質セメント板の製造方法であって、
前記木片をカルシウムで被覆する工程において、前記カルシウム含有物の量を該木片の量よりも多くする
ことを特徴とする木質セメント板の製造方法。
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JP2011014573A JP5426585B2 (ja) | 2011-01-26 | 2011-01-26 | 木質セメント板、及びその製造方法 |
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