JP5426375B2 - 燃料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、新しい目的のため、燃料組成物に特定種の燃料成分を使用する方法に関する。
航空業界では中間蒸留物燃料の熱安定性は従来より関心の原因となっている。航空機燃料(ケロシンフラクション)は、使用中、高レベルの熱応力を受ける。
自動車用ディーゼル燃料の場合は、熱安定性は歴史的に関心が低かった。しかし、現代のエンジン設計傾向は、常に厳しい排出物規制に合わせるため、これを変化させる可能性がある。新しい共通レール又はユニット噴射器は、燃料に対し従来のディーゼルエンジンよりも遥かに厳しい条件、例えば2000バール以下の圧力及び100℃を超える温度を施す。このような条件下では不安定性反応が非常に起こりやすい。
燃料の熱不安定性反応は、炭化水素の酸化反応と燃料中に存在する複数の極性種の相互反応とが組み合わさって起こるものと認識されている。これらのプロセスは、2つの競争する化学傾向により影響され得る。一方、低燃料硫黄レベルは、ますます低レベルの極性種(通常、燃料から硫黄を除去するために使用する方法は、窒素含有化合物及び酸素化物のような他の極性種のレベルも低下させる)、したがって、一層低レベルの自然酸化防止性を生じ、そうすると、自然酸化防止性は、特に燃料が熱応力を受ける際、酸化反応が起こり得る程度に増大(向上)できる。他方、極性種は、多くの場合、熱不安定性反応で燃料ラッカーを形成する橋架け部分であり、こうして、一層低レベルの極性種は、熱不安定性反応の発生回数を減少させるのに或る程度、援助できる。
燃料の熱安定性不良は、ゴム、ラッカー、及びその他の不溶性成分のような熱不安定性反応生成物を増加させる。そうすると、これら不溶性成分は、エンジンフィルターを閉塞し、燃料噴射器やバルブを汚染し、したがって、エンジン効率及び排出物制御を損なう恐れがある。燃料不安定性は、エンジンの排気中で煤の生成を増加させることも考えられる。煤の増加は粒状物質トラップの過負荷を誘引する可能性がある。したがって、特に、燃料がかなりのレベルの熱応力を受けるシステム(例えば共通レール又はユニット噴射器ディーゼルエンジン又は実際の飛行機エンジン)中で、燃料は、できるだけ熱安定性が高いことが望ましい。
航空機業界でも燃料の熱不安定性が痕跡量の触媒金属、例えば銅の存在で悪化する可能性がある。このような金属は、燃料がエンジン本体、貯蔵タンク又は輸送設備からこの金属を溶解できれば、生じ得る。
本発明の目的は、前記問題を解消するか又は少なくとも軽減できる燃料組成物及び/又は燃料組成物用成分を提供することである。
本発明の第一局面は、燃料組成物の金属溶解傾向を低減する目的で燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を使用する方法を提供する。
フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、慣用の石油誘導燃料に比べて、金属、特に銅のような触媒金属に対する溶解傾向が非常に低いことが意外にも見出された。これは、高い熱安定性を生じることを示している。更に、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は石油誘導燃料に比べて高い固有の熱安定性を有するものと思われる。
したがって、本発明によれば、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、更に、燃料組成物の熱安定性を向上する目的で使用してよい。
フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、低レベルの極性種を含有し、酸化感受性が高い、したがって、酸化安定性が低いことが予想できるので、熱安定性の向上が可能である理由は、必ずしも明らかではない。
燃料組成物について、現在の燃料規格に適合し、及び/又は地域の規定と合致し、及び/又は消費者の要求を満足し、及び/又は燃料組成物で運転する燃料消費システムの効率的又は少なくとも十分な操作を確保するには、特定レベルの熱安定性が望ましいかもしれない。本発明によれば、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を少なくとも部分的に使用することにより、これらの基準は、なお達成可能である。
燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導成分を含有させることは、他の理由、例えば該燃料組成物で運転する燃料消費システム(通常、エンジン)からの排出物を減少させるため、或いは組成物中の硫黄及び/又は芳香族及び/又はその他の極性成分のレベルを低下させるため、望ましい可能性があるので、触媒金属の組成物による吸収を減少させて、組成物の熱安定性を改良するという別の目的でフィッシャー・トロプシュ成分を使用する能力は、顕著な配合利点を提供できる。
本発明は更に又は或いは熱安定性又は金属溶解傾向のいずれかと同等の又は関連する燃料組成物の特性、例えば貯蔵安定性(以下に本発明の第七局面と関連して説明する);ゴム、ラッカー、及びその他の付着物のような分解生成物を生成する性質;変色性(分解生成物の形成により生じ得る);及び/又はエンジン又はその他の燃料消費システム、例えば触媒システムのようなシステムの効率及び/又は排出物及び/又は成分に対する有害な影響を調節するために使用してよい。
本発明に関連して、フィッシャー・トロプシュ誘導成分を燃料組成物に“使用する”とは該成分を、任意に1種以上の他の燃料成分と共に、燃料組成物中にブレンド(即ち、物理的混合物)として導入することを意味する。本発明の一実施態様では、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、任意に1種以上の燃料添加剤と共に、燃料組成物中に存在する唯一の燃料成分であってよい。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、燃料組成物で運転するエンジン又は他のシステムに該組成物を導入する前に、導入するのが都合よい。代わりに又は更に、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の使用法は、燃料消費システム、通常はディーゼルエンジンの燃焼室に、フィッシャー・トロプシュ成分を含有するか又は該成分よりなる燃料組成物を導入することにより運転する工程を含む。
前記方法でフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を“使用する”ことは、前記目的のいずれかを達成するため、例えば組成物の金属溶解傾向を低下させ、かつ熱安定性を向上するため、燃料組成物に使用するとの指示と共に、このような成分を供給する工程も含む。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分自体を燃料添加剤として使用するのに好適な配合物の一部として供給してよい、及び/又は燃料添加剤として使用することを意図してよい。この場合、フィッシャー・トロプシュ成分は、燃料成分の金属溶解能力及び熱安定性に対する影響を与える目的でこのような配合物に含有させてよい。
したがって、フィッシャー・トロプシュ誘導成分は、例えば洗浄剤、潤滑性強化添加剤、点火改良剤及び静電消散剤から選ばれた1種以上の燃料添加剤と共に、添加剤配合物又はパッケージに導入してよい。
本発明で使用される燃料成分は、例えばナフサ、ケロシン又はディーゼル燃料組成物、特にケロシン又はディーゼル燃料組成物であってよい。燃料成分は加熱用油、工業用ガス油、自動車用ディーゼル燃料、蒸留物船舶燃料、又は航空機燃料又は加熱用燃料のようなケロシン燃料のような中間蒸留物燃料組成物であってよい。燃料成分は、自動車エンジン又は飛行機エンジンのようなエンジン用であってよい。一実施態様では、燃料成分は内燃機関用であり、例えば自動車用ディーゼル(圧縮点火)エンジンに使用するのに好適なディーゼル燃料組成物のような自動車用燃料組成物であってよい。
前述のように、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料は、本発明に従って製造される組成物中の唯一の燃料成分であってよい。或いは、このような燃料組成物は、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の他に、石油誘導ベース燃料のような1種以上の非フィッシャー・トロプシュ誘導ベース燃料を含有してよい。この場合、フィッシャー・トロプシュ誘導成分を導入する前の燃料成分は、蒸留物炭化水素ベース燃料のようなベース燃料を主要割合で含有するか、或いは本質的に又は全くベース燃料で構成されてよい。“主要割合”とは、通常、80%v/v以上、或いは90又は95%v/v以上、或いは更には98又は99又は99.5%v/v以上のことである。このようなベース燃料は、例えばナフサ、ケロシン又はディーゼル燃料、好ましくはディーゼル燃料のようなケロシン又はディーゼル燃料であってよい。
ナフサベース燃料の沸点範囲は、通常、25〜175℃である。ケロシンベース燃料の沸点範囲は、通常、140〜260℃である。ディーゼルベース燃料の沸点範囲は、通常、150〜400℃である。
ベース燃料は特に中間蒸留物ベース燃料、特にゼルベース燃料であってよく、この場合、複数の中間蒸留物燃料成分(通常、原油の蒸留又は真空蒸留により生成した成分)の混合物、又は中間蒸留物のブレンドを形成する複数の燃料成分の混合物を含有してよい。中間蒸留物燃料成分又はブレンドの沸点範囲は、通常の中間蒸留物の範囲125〜550℃又は140〜400℃である。
ディーゼルベース燃料は、自動車用ガス油(AGO)であってよい。通常のディーゼル燃料成分は、液体炭化水素中間蒸留物燃料油、例えば石油誘導ガス油を含有する。このようなベース燃料成分は、有機的又は合成的に誘導できる。ベース燃料成分の沸点範囲は、グレード及び用途に応じて通常のディーゼル範囲140又は150℃から400又は550℃である。15℃での密度(IP 365)は、通常、0.75〜1.0g/cm、好ましくは0.8〜0.9又は0.86g/cm、セタン価(ASTM D613で測定)は35〜80、更に好ましくは40〜75又は70である。初期沸点は150〜230℃の範囲であり、最終沸点は290〜400℃の範囲が好適である。40℃での動粘度(ASTM D445)は、好適には1.5〜4.5mm/sであってよい。
このような燃料は、一般に間接又は直接噴射型の圧縮点火(ディーゼル)内燃機関用に好適である。
本発明を実施して得られるディーゼル燃料組成物は、一般規格内のものでよい。例えば、EN 590(ヨーロッパ)又はASTM D975(米国)のような適用可能な現在の基準規格と一致してよい。一例として、燃料組成物は、15℃での密度が0.82〜0.845g/cm、T95沸点(ASTM D86)が360℃以下、セタン価(ASTM D613)は51以上、40℃での動粘度(ASTM D445)は2〜4.5mm/s、硫黄含有量(ASTM D2622)は50mg/kg以下、及び/又は多環芳香族炭化水素(PAH)含有量(IP 391(mod))は11%未満である。しかし、関連規格は、国によっても年によっても異なる可能性があるし、また燃料組成物の意図する用途に依存する可能性もある。
石油誘導ガス油は、原油源を精製し、任意に(水素化)処理して得られる。石油誘導ガス油は、このような製油所プロセスで得られる単一のガス油流であっても、或いは製油所プロセスで異なる処理ルートを経由して得られる数種のガス油フラクションのブレンドであってもよい。このようなガス油フラクションの例は、直留ガス油、真空ガス油、熱分解プロセスで得られるガス油、流体接触分解ユニットで得られる軽質及び重質のサイクル油、並びに水素化分解ユニットで得られるガス油である。任意に、石油誘導ガス油は、若干の石油誘導ケロシンフラクションを含有してよい。
このようなガス油は、水素化脱硫(HDS)ユニットで、硫黄含有量がディーゼル燃料組成物に含有するのに好適なレベルに低下するように処理してよい。この処理は、窒素含有種のような他の極性種の含有量も低下させやすい。
本発明ではベース燃料は、植物油又は植物油誘導体(例えば脂肪酸エステル、特に脂肪酸メチルエステル)或いは酸、ケトン又はエステルのような他の酸素化物等のいわゆる“バイオ燃料”成分であっても或いは含有してもよい。このような成分は、必ずしもバイオ誘導である必要はない。
本発明に適用される燃料組成物は、硫黄含有量が1000mg/kg以下であってよい。また低又は超低硫黄含有量、例えば500mg/kg以下又は350mg/kg以下、好適には100又は50又は10又は更には5mg/kg以下であってよい。
“フィッシャー・トロプシュ誘導”とは、燃料成分がフィッシャー・トロプシュ縮合法の合成生成物であるか又はその誘導体であることを意味する。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料は、GTL(ガスから液体までの)燃料と言ってもよい。用語“非フィッシャー・トロプシュ誘導”はこれに従って解釈してよい。
燃料成分中にこのような成分を含有すること、特にフィッシャー・トロプシュ誘導ガス油を自動車用ディーゼル燃料に含有することは知られている。我々の知識では以前は認識されていなかったことは、燃料組成物の金属可溶化能力、したがって熱安定性に影響を与える、このような成分の能力である。
フィッシャー・トロプシュ反応は、適当な触媒の存在下、通常、高温(例えば125〜300℃、好ましくは175〜250℃)及び/又は高圧(例えば5〜100バール、好ましくは12〜50バール)で一酸化炭素及び水素を長鎖の、通常、パラフィン系の炭化水素に転化する。所望ならば、2:1以外の水素:一酸化炭素比を採用してよい。
n(CO+2H)=(−CH−)+nHO+熱
一酸化炭素及び水素、自体は、有機又は無機で、天然又は合成の供給源、通常、天然ガス、又は有機的に誘導したメタンのいずれかから誘導してよい。このような方法を用いて液体燃料成分に転化するガスとしては、天然ガス(メタン)、LPG(例えばプロパン又はブタン)、エタンのような“凝縮物”、合成ガス(CO/水素)及び石炭から誘導したガス状生成物、バイオマス及びその他の炭化水素が挙げられる。
ガス油、ナフサ及びケロシン生成物は、フィッシャー・トロプシュ反応から直接得られ、或いは例えばフィッシャー・トロプシュ合成生成物の分留により、又は水素化フィッシャー・トロプシュ合成生成物から間接的に得られる。水素化処理は、沸点範囲を調節するための水素化分解(例えばGB−B−2077289及びEP−A−0147873参照)及び/又は分岐鎖パラフィンの割合を多くすることにより常温流れ特性を改良できる水素化異性化を含むことができる。EP−A−0583836には、まずフィッシャー・トロプシュ合成生成物に対し、実質的に異性化又は水素化分解を受けないような条件下で水素化転化を行い(オレフィン成分及び酸素含有成分を水素化する)、次いで得られた生成物の少なくとも一部を、水素化分解及び異性化が起きて実質的にパラフィン系の炭化水素燃料を生成するような条件下で水素化転化する2段階水素化処理法が記載されている。所望のガス油フラクションは、引き続き、例えば蒸留により単離してよい。
フィッシャー・トロプシュ縮合生成物の特性を改良するため、例えばUS−A−4125566及びUS−A−4478955に記載されるように、重合、アルキル化、蒸留、分解−脱カルボキシ化、異性化及び水素化改質のような他の後合成処理を採用してもよい。
パラフィン系炭化水素のフィッシャー・トロプシュ合成用触媒は、触媒活性成分として、通常、周期表第VIII族の金属、特にルテニウム、鉄、コバルト又はニッケルを含有する。この種の好適な触媒は、例えばEP−A−0583836(第3、4頁)に記載されている。
フィッシャー・トロプシュを基本とする方法の一例は、SMDS(Shell Middle Distillate Synthesis)(シェル中間留分合成)として知られる方法(van der Burgt等,“The Shell Middle Distillate Synthesis”,第5回Synfuels Worldwide Symposium,Washington DC、1985年11月の論文;Shell International Petroleum Company Ltd.,London,UKの同表題の1989年11月刊行物も参照)である。この方法(時には、Shell(商標)“Gas−to−Liquid”又は“GTL”とも言う)は、天然ガス(主としてメタン)誘導合成ガスを重質長鎖炭化水素(パラフィン)ワックスに転化することにより、中間留分範囲の生成物を生成する。転化後、炭化水素ワックスは、引き続き水素化転化し、分留して、ディーゼル燃料組成物に使用できるガス油のような液体輸送燃料を製造できる。現在、接触転化工程に固定床を利用する改訂SMDS法が、マレーシアのBintuluで使用され、その生成物は、市販の自動車燃料中で石油誘導ガス油とブレンドされている。
SMDS法で製造したガス油、ナフサ燃料及びケロシンは、例えばRoyal Dutch/Shellの企業グループから市販されている。更にフィッシャー・トロプシュ誘導ガス油の他の例は、EP−A−0583836、EP−A−1101813、WO−A−97/14768、WO−A−97/14769、WO−A−00/20534、WO−A−00/20535、WO−A−00/11116、WO−A−00/11117、WO−A−01/83406、WO−A−01/83641、WO−A−01/83647、WO−A−01/83648及びUS−A−6204426に記載されている。
フィッシャー・トロプシュ法により、フィッシャー・トロプシュ誘導ガス油は、硫黄及び窒素を本質的に含有しないか、又は検出不能のレベルで含む。これらヘテロ原子を含む化合物は、フィッシャー・トロプシュ触媒の毒として作用する傾向があるので、合成ガス原料から除去する。極性種のこのようなレベル低下は、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料の熱安定性低下を予想でき、本発明を一層意外にする。
更にフィッシャー・トロプシュ法は、通常の操作では、前述のように得られる燃料の熱安定性を予想できる芳香族成分を生成しないか、又は実質的に生成しない。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料中の芳香族含有量は、ASTM D4629で測定して、通常、1%w/w未満、好ましくは0.5%w/w未満、更に好ましくは0.2又は0.1%w/w未満である。
概して、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料中の極性成分、特に極性界面活性剤は、例えば石油誘導燃料に比べて、比較的低レベルである。これらの極性成分としては、例えば酸素化物や硫黄及び窒素含有化合物が挙げられる。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料中の低レベルの硫黄は、酸素化物も窒素含有化合物も同じ処理法で除去されるので、一般に酸素化物、窒素含有化合物の両方とも低レベルである指標となる。
フィッシャー・トロプシュ誘導燃料がナフサ燃料の場合は、最終沸点が通常、220℃以下、好ましくは180℃以下の液状炭化水素中間蒸留物燃料であってよい。初期沸点は25℃より高く、場合によっては35℃より高い。その成分(又はその主要部分、例えば95%w/w以上)は、一般に炭素原子数5以上の炭化水素、通常パラフィン系である。
本発明に関連して、フィッシャー・トロプシュ誘導ナフサ燃料は、密度が15℃で0.67〜0.73g/cm、及び/又は硫黄含有量が5mg/kg以下、好ましくは2ppmw以下である。イソ−及びノーマルパラフィンを95%w/w以上、好ましくはノーマルパラフィンを20〜98%w/w又はそれ以上含有することが好ましい。好ましくはSMDS法の生成物であり、その好適な特徴は、フィッシャー・トロプシュガス油に関連して以下に述べるとおりである。
フィッシャー・トロプシュ誘導ケロシン燃料は、蒸留範囲が好適には140〜260℃、好ましくは145〜255℃、更に好ましくは150〜250℃又は150〜210℃の液体炭化水素中間蒸留物燃料である。最終沸点は通常、190〜260℃、例えば通常の“狭い留分”のケロシンフラクションでは190〜210℃、或いは通常の“全留分”では240〜260℃である。初期沸点は、好ましくは140〜160℃、更に好ましくは145〜160℃である。
フィッシャー・トロプシュ誘導ケロシン燃料は、密度が15℃で0.730〜0.760g/cm、例えば狭い留分のフラクションでは0.730〜0.745g/cm、全留分のフラクションでは0.735〜0.760g/cmである。硫黄含有量は好ましくは5mg/kg以下である。セタン価は63〜75、例えば狭い留分のフラクションでは68〜73又は全留分のフラクションでは68〜73である。この燃料は、SMDS法の生成物であってよく、その好適な特徴は、フィッシャー・トロプシュガス油に関連して以下に述べるとおりである。
フィッシャー・トロプシュ誘導ガス油は、ディーゼル燃料,理想的には自動車用ディーゼル燃料として使用するのに好適でなければならない。したがって、その成分(又はその主要部分、例えば95%w/w以上)は、通常のディーゼル燃料(“ガス油”)の沸点範囲内、即ち、約150〜400℃又は170〜370℃内の沸点でなければならない。好適には、90%w/w蒸留温度が300〜370℃のものである。
フィッシャー・トロプシュ誘導ガス油は、通常、密度が15℃で0.76〜0.79g/cmであり、セタン価(ASTM D613)が70を超え、好適には74〜85であり、動粘度(ASTM D445)が40℃で2〜4.5、例えば2.5〜4.0又は2.5〜3.7mm/sであり、硫黄含有量(ASTM D2622)が5mg/kg以下、場合により2mg/kg以下である。
本発明で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、例えば2.5未満、好ましくは1.75未満、更に好ましくは0.4〜1.5の水素/一酸化炭素比を用い、かつ好適にはコバルト含有触媒を用いたフィッシャー・トロプシュメタン縮合反応により製造した生成物であってよい。水素化分解したフィッシャー・トロプシュ合成生成物から得られたもの(例えば前述のGB−B−2077289及び/又はEP−A−0147873に記載される)、更に好ましくは前述のEP−A−0583836に記載されるような2段階水素化転化法による生成物である。後者の場合、水素化転化法の好ましい特徴は、EP−A−0583836の第4〜6頁及び実施例に開示されるものでよい。
本発明で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、好適には低温フィッシャー・トロプシュ法で製造した生成物である。低温フィッシャー・トロプシュ法とは、一般に300〜350℃で操作してよい高温フィッシャー・トロプシュ法とは反対に、250℃以下、例えば125〜250℃又は175〜250℃で操作する方法を意味する。
本発明によるフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、好適には、少なくとも70%w/w、又は少なくとも80%w/w、或いは少なくとも90又は95又は98%w/w、或いは少なくとも99又は99.5又は更には99.8%w/wのバラフィン系成分、特にイソ−及びノーマル−パラフィンよりなる。イソパラフィンとノーマルパラフィンとの重量比は、好適には、0.3より大であり、また12以下であってよく、好適には2〜6である。この比の実際の値は、一部、フィッシャー・トロプシュ生成物からガス油の製造に使用される水素化転化法により測定される。
フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分のオレフィン含有量は、好適には0.5%w/w以下である。芳香族含有量は、好適には0.5%w/w以下である。
本発明では、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、例えばナフサ、ケロシン又はディーゼル(ガス油)成分、好適にはディーゼル成分のようなケロシン又はディーゼル成分であってよい。
本発明に従って製造した燃料組成物は、2種以上のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の混合物を含有してよい。
本発明に従って製造した組成物中のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の濃度は、1%v/v以上、例えば2又は5又は10又は15%v/v以上、例えば20又は25又は30又は40又は50%v/v以上であってよい。この濃度は、100%v/v(即ち、燃料全体がフィッシャー・トロプシュ誘導体である)以下であってよく、或いは99又は98又は95又は90又は80%v/v以下、或いは場合により75又は60又は50%v/v以下であってよい。好適には組成物中のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の割合は、40%v/v以下又は場合により30%v/v以下、或いは25又は20又は15%v/v以下であり、例えば5〜30%v/vであってよい。
フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、金属溶解能力の低下及び熱安定性の向上を所望する他に、1つ以上の他の目的、例えば燃料組成物で運転する燃料消費システム(例えばエンジン)からの排出物を低減するため、及び/又は燃料組成物中の硫黄及び/又は芳香族及び/又はその他の極性成分のレベルを低減するため、燃料組成物に使用してよい。こうして、本発明は、多数の方法において燃料組成物の特性及び性能を最適化するために使用でき、したがって、燃料の配合に追加の柔軟性を付与できる。
燃料組成物の金属溶解傾向とは、金属表面、一般的にはエンジン又はその他の燃料消費システムの一部から金属を吸収する傾向又は能力をいう。組成物は、好適には燃料消費システムの通常の操作中、金属表面と接触して置かれる。この傾向は、好適には、例えば下記実施例1に記載したような特定の条件下、所定期間表面と接触させた後、燃料組成物中の関連金属の量を測定して評価できる。
試験条件は、内燃機関のような燃料消費システム中で使用した場合に燃料組成物が受ける可能性がある条件に類似するように設定してよい。この条件は、昇温、例えば30〜40℃(エンジンからの燃料循環中、通常の自動車燃料タンクでの条件に類似させるため)、40〜80℃(共通レール噴射システムの高圧ポンプ及びレールでの条件に類似させるため)、80〜100℃(エンジンブロックと熱接触している通常の自動車エンジンの燃料噴射器での条件に類似させるため)、100〜150℃(噴射器ノズルに接近する際、燃料が受ける条件に類似させるため)、及び/又は250℃以下(促進試験において、以下の実施例で説明するJFTOT試験での金属管表面のような場合)のような例えば30℃以上又は40℃以上の昇温を含む。
試験条件は、大気圧(通常の燃料タンクでの条件に類似させるため)から約1000又は1500又は更には2000バールまで(通常の共通レールディーゼルエンジン噴射システムにおいて燃料組成物が暴露される可能性がある圧力)の圧力を含む。好適にはこの試験条件は、昇圧、即ち、大気圧を超える圧力、例えば下記実施例で使用したJFTOT試験のように50バール以下、例えば約33.3バールの昇圧を含む。
本発明は、燃料組成物の1種以上の金属に対する溶解傾向を低減するために使用できる。この金属は、銅、鉄、亜鉛、鉛、銀、クロム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル又は錫のような触媒活性金属、特に燃料貯蔵システム中に存在する可能性がある鉄又は銅であってよい。燃料組成物への金属の溶解は、金属塩(例えば酸化物又は硫化物又は錆のような腐食生成物を含む金属又は金属含有(例えば金属合金)体から起こる可能性がある。このような金属は、元素又はイオン(錯体を含む)の形態で燃料組成物に存在してよい。
本発明の第一局面に関連して、用語“低減する”とは、ゼロまで含むいかなる低減の程度も包含する。この低減は、例えばフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の導入前の燃料組成物を同じ条件下で同じ期間、同じ金属含有表面と接触させた場合に比べて、金属含有表面との接触後に含有する関連金属が少なくとも10%低減した燃料組成物をもたらす。この数値は、場合により少なくとも25又は40又は50%、場合により少なくとも60又は70又は更には80%であってよい。
この減少は、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分が本発明による方法により使用可能であることを実現する前の燃料組成物が示した金属溶解傾向と比較してよい、及び/又は本発明に従ってフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を、類似の状況に使用することを意図(例えば市場)した他の類似の燃料組成物に添加する前の該燃料組成物の金属溶解傾向と比較してよい。
これに関連して燃料組成物の熱安定性は、熱酸化安定性とみなしてよい。熱安定性は、例えば以下の実施例2、3に記載したジェット燃料熱酸化テスター(JFTOT)を用いるような、いずれの好適な方法でも測定できる。熱安定性は、例えばJFTOT“区切り点”のように、燃料が特定の基準をなお満足する最高温度について評価できる。
或いは又は更に、燃料組成物の熱酸化安定性は、特定の(一般に高温)事象又は条件に従って組成物の過酸化物数の変化を測定する(例えば標準試験法ASTM D3703を用いる)ことにより、評価できる。
熱安定性に関連して、用語“増大する”は、いかなる程度の増大(向上)も包含する。このような増大は、例えばフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の導入前よりも少なくとも5%高いJFTOT区切り点を有する燃料組成物を生じる。この数値は、場合により少なくとも8又は10又は25又は50%であってよい。また、この増大又は向上は、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分が本発明による方法により使用可能であることを実現する前の燃料組成物の熱安定性と比較してよい、及び/又は本発明に従ってフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を、類似の状況に使用することを意図した(例えば市場の)他の類似の燃料組成物に添加する前に、この燃料組成物の熱安定性と比較してよい。
絶対項(absolute terms)において、本発明を実施して得られる燃料組成物のJFTOT区切り点は、300又は350℃を超えてよいし、或いは360℃以上、例えば370又は380℃以上であってよい。理想的には、燃料組成物のJFTOT区切り点は、銅のような溶解金属を10又は更には15ppbwまで含有する場合でさえ、前記範囲内である。
フィッシャー・トロプシュ誘導成分を導入する前の燃料組成物のJFTOT区切り点は、例えば350℃以下、又は300℃以下、又は250℃以下であってよい。
燃料組成物の熱安定性は、例えば燃料組成物を貯蔵又は使用する燃料消費システムから1種以上の金属が溶解することにより、燃料組成物の貯蔵中及び/又は使用中に低下する可能性がある。本発明によれば、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、燃料組成物が貯蔵中又は使用中のこのような熱安定性低下を受ける傾向を低減する目的で、燃料組成物に使用できる。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、他の例えば石油誘導燃料よりも金属を溶解し難いばかりでなく、溶解金属を吸収した際、非フィッシャー・トロプシュ誘導燃料よりも熱安定性の低下が少ないことが見出された。
本発明を適用するか、又は適用した燃料組成物は、他の標準的な燃料添加剤を含有してよい。添加剤の多くは公知で、容易に得られる。燃料組成物中の全添加剤含有量は、好適には50〜10000mg/kg、例えば5000mg/kg未満でよい。
燃料組成物に、よく含まれる添加剤は、金属不活性化剤及び腐食防止剤である。しかし、本発明を実施した結果、燃料組成物は使用中、金属に対する侵略性が低下し易いので、これら添加剤は一層低レベルで済むかも知れない。
したがって、第二の局面では本発明は、燃料組成物中の金属不活性化剤の濃度を低減する目的で燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を使用する方法を提供する。腐食防止剤の濃度も低減できる。金属不活性化剤又は腐食防止剤は、いずれの種類でもよい。その濃度を“低減する”とは、ゼロまで含む、いかなる程度の低減も包含してよい。
燃料組成物に、よく含まれる他の種類の添加剤は酸化防止剤である。本発明を実施した結果、燃料組成物は一層高い熱酸化安定性を有するので、このような添加剤は、一層低レベルで済むかも知れない。
したがって、第三の局面では本発明は、燃料組成物中の酸化防止剤の濃度を低減する目的で燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を使用する方法を提供する。酸化防止剤は、いずれの種類でもよい。その濃度を“低減する”とは、ゼロまで含む、いかなる程度の低減も包含してよい。
燃料組成物には洗浄添加剤が含まれることも多い。本発明は、燃料組成物の貯蔵中及び使用中、形成される沈着物(したがって、分散させる必要がある)のレベルを低減することにより、このような添加剤の必要性を低減できる。
したがって、第四の局面では本発明は、燃料組成物中の洗浄添加剤の濃度を低減する目的で燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を使用する方法を提供する。洗浄添加剤は、いずれの種類でもよい。その濃度を“低減する”とは、ゼロまで含む、いかなる程度の低減も包含してよい。
第五の局面では本発明は、得られるブレンドの金属溶解傾向を低減する目的で、非フィッシャー・トロプシュ誘導ベース燃料とフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分とを任意に他の燃料成分(例えば燃料添加剤)と一緒にブレンドする工程を含む燃料組成物の配合方法を提供する。また本発明は、得られるブレンドの金属溶解傾向を低減する目的で、非フィッシャー・トロプシュ誘導ベース燃料とフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分とを、任意に他の燃料成分(例えば燃料添加剤)と一緒にブレンドする工程を含む燃料組成物の配合方法を提供する。また本発明は、非フィッシャー・トロプシュ誘導ベース燃料と、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分と、任意に他の燃料成分(例えば燃料添加剤)とのブレンドの金属溶解傾向を低減する目的で、燃料組成物に該ブレンドを使用する方法も提供する。ブレンドの熱安定性も向上できる。
本発明方法は、燃料組成物に対し、所望目標の(一般に最小限の)熱安定性を達成する目的で使用してよい。この目標は、前記範囲内のJFTOT区切り点であってよい。
第六の局面では本発明は、本発明の第一〜第五の局面のいずれか1つに従って製造した燃料組成物を燃料消費システムに導入する工程を含む燃料消費システムの操作方法を提供する。燃料組成物は、本発明の第一〜第五の局面の1つ以上と関連して前述した目的の1つ以上のため、特に燃料組成物と接触するシステムの部品から該組成物が吸収する金属の量を低減すると共に、燃料組成物の熱安定性を向上するため、及び/又は燃料の熱不安定性と(直接又は間接的に)関連する影響、例えばフィルターの閉塞或いはバルブ又は噴射器の汚染、或いはシステム効率又は排出物制御の低下の発生を低減するため、導入してよい。
本発明に関連して、“燃料消費システム”としては、燃料組成物を(例えばポンプにより)搬送し、又は貯蔵するシステム、及び燃料組成物で運転する(したがって、燃焼する)システムが挙げられる。
システムは、特に、自動車又は飛行機のエンジンのようなエンジンであってよい。この場合、本方法は、関連する燃料組成物をエンジンの燃焼域に導入する工程を含む。エンジンは、内燃機関、及び/又は内燃機間により駆動される自動車であってよい。エンジンは、圧縮点火(ディーゼル)エンジンが好ましい。このようなディーゼルエンジンは、直接噴射型、例えばロータリーポンプ、インラインポンプ、ユニットポンプ、電子ユニット噴射器又は共通レール型、或いは間接噴射型のものであってもよい。重質又は軽質ディーゼルエンジンであってもよい。
本発明は、特に燃料消費システムが燃料組成物に著しいレベルの熱応力を与える種類のもの、例えば燃料組成物に1000又は1500又は2000バールを超える圧力を与えるもの、及び/又は燃料組成物に100℃以上、或いは120又は140℃以上の操作温度を与えるものである場合に使用してよい。燃料消費システムは、例えば高圧燃料噴射を含んでよい。
第七の局面では本発明は、本発明の前記第一〜第六局面のいずれか1つによる方法で製造できるか、又は製造した燃料組成物を提供する。
フィッシャー・トロプシュ誘導燃料は、例えば石油誘導燃料に比べて比較的高い固有の熱安定性の他、比較的高い貯蔵安定性(一般に酸化に対する安定性)も有するものと考えられる。更にまた、溶解金属は、貯蔵安定性に影響を与えるものと考えられるので、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の比較的低い金属溶解傾向は、このような成分を含有する燃料組成物の貯蔵安定性を向上させるためにも援助できる。
したがって、本発明の第八局面では、燃料組成物の貯蔵安定性を向上する目的でフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を燃料組成物に使用する方法が提供される。
全ての炭化水素燃料は、貯蔵中、或る程度、崩壊する。崩壊の速度は、その組成及び貯蔵条件に依存する。崩壊が起こると、貯蔵不安定性自体は、燃料の色の暗色化及び微細な有機スラッジの形成として現れる。引続き燃料を例えばタンクに充填中、撹拌すると、スラッジは分散するが、スラッジが再沈降する前に燃料を使用すれば、フィルターの閉塞を生じる可能性がある。
燃料の不安定性は、燃料噴射システムの予備燃焼領域及び燃焼領域に望ましくない沈着物を誘引する可能性がある、及び/又はエンジンの排気中で煤の生成を増加させ、粒状物質トラップの過負荷を誘引する可能性がある。
貯蔵中又は熱応力の適用中、酸化安定性が劣ると、燃料中に過酸化物が蓄積することが知られている。過酸化物は、多数の望ましくない副作用と関連する。例えば過酸化物は、燃料を使用中のエンジン又はその他のシステム内でゴム部品を攻撃し、崩壊する可能性がある。酸化中間体は、燃料中に存在するその他の種(例えば極性化合物)とも反応して、ガムやスラッジを生成し、次いでエンジンフィルターを閉塞し、燃料噴射器やバルブを汚染する可能性があり、したがって、エンジン効率及び排出物制御に有害である可能性がある。しかも、過酸化物自体は、金属に対し腐食性があり、その分解生成物は酸性である。したがって、高レベルの過酸化物は、燃料消費システム中で腐食を増加させる可能性がある。
特に自動車用ディーゼル燃料の貯蔵安定性は、燃料の硫黄レベルの低下に従って、ますます問題となり易い。燃料中に硫黄含有種が存在すると、或る程度の自然酸化防止性に寄与できるが、硫黄レベルは、常に締付ける排出物規制(1996年のヨーロッパ自動車用ガス油の採択では0.05%w/w以下の低硫黄規格であり、引続き圧力を増大して、硫黄レベルを、場合により10mg/kgに低減した)に適合する範囲内なので、これが燃料の酸化安定性に及ぼす影響についての関心が増大した。50mg/kg以下の硫黄レベルでは、燃料は、通常の貯蔵期間中、酸化反応に対し保護するのに十分な自然酸化防止性を保持し難い。
本発明の第八局面は、燃料組成物の貯蔵安定性性を向上する目的で燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を使用する方法を提供する。
フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、貯蔵時、慣用の石油誘導燃料に比べて過酸化物を極めて低いレベルに蓄積できることが見出された。これは、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料についての高い貯蔵安定性を意味する。
更に、自然の酸化防止性(例えば硫黄含有種による)ばかりでなく、炭化水素の構造も燃料の酸化安定性に関連可能であるものと考えられる。安定な炭化水素ラジカルを形成する能力は、ラジカル駆動の自動酸化プロセスを促進し、したがって、貯蔵安定性を低下させる可能性がある。ラジカル安定性は、環式−及びイソ−パラフィンに対してよりも、芳香族種に対して大きく、更にノーマルパラフィンに対しては低いものと考えられる。したがって、自然酸化プロセスは、例えば芳香族成分が高レベルの燃料では一層容易に進行し、その結果、燃料の酸化安定性に悪影響を及ぼすものと考えられる。
酸化安定性に対する2つの競争する影響、即ち、一方では燃料の自然酸化防止性に寄与する極性種の存在と、他方ではラジカル駆動自動酸化プロセスの促進を援助する芳香族のような種の能力との間のバランスは、未だ十分には判っていない。したがって、いかなる所定の燃料成分の酸化安定性を予測するのは簡単ではない。
フィッシャー・トロプシュ誘導燃料は、各々比較的低レベルの芳香族種及び硫黄含有種を含有する傾向がある。これにより、低い自然酸化防止性、したがって、低い貯蔵安定性を予測できる。燃料成分の貯蔵安定性を向上するには、従来は、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料を他の燃料成分とブレンドする、及び/又は特定の方法でこれらを処理する必要があると考えられていた(例えばUS−A−6162956では、燃料成分の酸化安定性を向上するため、フィッシャー・トロプシュ燃料を粗ガス田凝縮物蒸留物フラクション又はマイルドに水素化した凝縮物フラクションとブレンドし、またWO−A−97/14768及びWO−A−97/14769では、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料を2種のフラクション(一方のフラクションは非水素化フラクションと再配合する前に水素化したもの)に分離して、高安定性ディーゼル燃料を製造する)。
しかし、同時にフィッシャー・トロプシュ誘導燃料も各々低レベルの芳香族種及び環式パラフィンを含有すると共に、イソパラフィン及びノーマルパラフィンを比較的低比率のイソパラフィン対ノーマルパラフィンで含有する傾向がある。これら特定の燃料成分の場合、低い固有酸化防止性に反抗すると思われ、全体として、貯蔵安定性が向上することが見出された。これは、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料を添加した燃料組成物の貯蔵安定性を向上するために同様に使用できる。
本発明の第九局面の好ましい特徴、例えば燃料成分の性質及び任意に燃料組成物に存在するいずれかの添加剤、及びフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の性質及び濃度は、本発明の第一〜第五局面に関連して前述した通りでよい。
特にフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分のオレフィン含有量は、好ましくは0.5%w/w以下、更に好ましくは0.1%w/w以下である。イソパラフィン対ノーマルパラフィン比(i:n)は、好適には3:1〜4:1である。40℃での動粘度は2.5〜4.0mm/sであってよい。
本発明の第四局面に従って製造した組成物中のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の濃度も、本発明の第一〜第五局面に関連して前述した通りでよい。好適にはこの濃度は5〜30%v/vであってよい。幾つかの場合、燃料組成物は、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を単独で又は本質的に(例えば任意に1種以上の添加剤を含む)構成してよい。また、本発明の第八局面に従って、2種以上のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を用いてもよい。
更に又は或いは本発明のこの局面は、貯蔵安定性と同等であるか又は関連した燃料組成物の特性を調節するため、例えば過酸化物及び/又は酸性種及び/又はがムやスラッジの蓄積傾向を低減するため、及び/又は腐食性を低減するため、使用してよい。
これに関連して、燃料組成物の貯蔵安定性は、一般に貯蔵及び使用時の普通の条件中では酸化安定性とみなしてよい。貯蔵安定性はいずれの好適な方法、例えば設定期間の貯蔵及び/又は特定条件下での使用後の組成物の過酸化物含有量について評価できる(過酸化物含有量は、標準試験法ASTM D3703を用いて測定できる)。代りに又は更に、貯蔵安定性は標準試験法ASTM D2274(加速法による酸化安定性)を用いて評価できる。
貯蔵安定性に関連して、用語“増大する”及び“向上する”は、いかなる程度の増大又は向上(改良)も包含する。この増大(向上)は、例えば特定条件下で特定期間の貯蔵後、フィッシャー・トロプシュ誘導成分を含まない他は同じ燃料組成物よりも少なくとも10%低い過酸化物レベルを有する燃料組成物を生成する。この数値は、場合により少なくとも25又は50又は75又は80%、或いは場合により少なくとも90又は95又は更には98又は99%であってよい。燃料を例えば40℃以上(例えば多くの標準燃料貯蔵試験の場合のように43℃)又は60℃以上で貯蔵した場合、特定の貯蔵期間は、例えば4週間又は8週間又は12週間又は18週間であってよい。特に燃料を普通の周囲条件、例えば20〜25℃で貯蔵した場合、貯蔵期間は、2年以上、例えば2〜4年であってよい。
貯蔵安定性の増大又は向上は、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分が本発明による方法により使用可能であることを実現する前の燃料組成物の貯蔵安定性と比較してよい、及び/又は本発明に従ってフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を、類似の状況に使用することを意図した(例えば市場の)他の類似の燃料組成物に添加する前の該燃料組成物の熱安定性と比較してよい。
絶対項において、本発明に従って製造した燃料組成物の過酸化物レベルは、普通の周囲条件下で1年の貯蔵期間後、及び/又は40℃以上での貯蔵で8又は12週間の貯蔵期間後、好ましくは10mg/kg以下、更に好ましくは5又は2又は更には1mg/kg以下である。
本発明の第九局面は、
得られるブレンドの熱安定性を向上する目的で、非フィッシャー・トロプシュ誘導ベース燃料とフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分とを任意に他の燃料成分(例えば燃料添加剤)と一緒にブレンドする工程を含む燃料組成物の配合方法を提供する。本発明による第八又は第九局面の方法は、燃料組成物に対し、所望目標(一般に最小限)レベルの熱安定性を達成する目的で使用してよい。
第十局面では本発明は、本発明の第八又は第九局面に従って製造した燃料組成物を燃料消費システムに導入する工程を含む燃料消費システムの操作方法を提供する。燃料組成物は、特に燃料組成物の貯蔵安定性を向上するため、及び/又は燃料の貯蔵不安定性と(直接又は間接的に)関連する影響、例えばフィルターの閉塞或いはバルブ又は噴射器の汚染、或いは煤の生成増加又は(金属及び/又はゴムに対する)腐食性増大の発生を低減するため、本発明の第八又は第九局面と関連して前述した方法の1つ以上に導入してよい。
再び“燃料消費システム”としては、燃料組成物を(例えばポンプにより)搬送し、又は貯蔵するシステム、特にスラッジの分散に役立つ可能性がある、組成物に(例えばポンプにより)物理的撹乱を起こすシステムが挙げられる。
第十一の局面では本発明は、本発明の第八又は第九局面による方法で製造できるか、又は製造した燃料組成物を提供する。
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、語句“含む(comprise、comprises、contain)”及びこれら語句の変化、例えば“含んでいる(comprising)”は“含むが、限定しない(including but not limited to”を意味し、他の部分(moieties)、添加剤、成分、整数又は工程を除外しない。
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、特に文脈が必要としない限り、単数は複数を包含する。特に、不明確な物を使用した場合、特に文脈が必要としない限り、明細書は、単数とも複数とも考慮するものとして理解すべきである。
本発明の各局面の特徴は、他の局面のいずれかと関連して記載されているとしてよい。
本発明のその他の特徴は以下の実施例から明らかとなろう。概して、本発明は、明細書に開示した特徴(添付の特許請求の範囲及び図面を含む)のいずれかの新規な特徴、又はいずれかの新規な組合せに拡大する。したがって、本発明の特定の局面、実施態様又は実施例と協力して説明した特徴、整数、特性、化合物、化学部分又は基は、これらと両立する限り、ここで説明したいずれの他の局面、実施態様又は実施例に利用可能であると理解すべきである。
更に、特記しない限り、ここに開示した特徴は、同じ又は同様の目的を果たす代りの特徴と置き換えてよい。
以下の実施例は、本発明に従って製造した燃料組成物の特性、特に触媒金属の溶解能力、並びに熱安定性及び貯蔵安定性を例証する。
実施例1
本例は、金属表面と接触した時の4種の異なる自動車用ディーゼル燃料組成物の触媒金属に対する可溶化能力を評価した。これらの組成物を銅片上に43℃で大気圧下に貯蔵した。サンプルは1ヶ月ごとに取り出し、誘電連結プラズマ質量分光計(ICP−MS)で銅含有量を測定した。
使用した燃料は次のとおりである。
F1: 市販の超低硫黄自動車用ディーゼル燃料(石油誘導)、英国産。
F2及びF3:市販の硫黄なし自動車用ディーゼル燃料(石油誘導)、それぞれスエーデン産、ドイツ産。
F4: フィッシャー・トロプシュ誘導ガス油(シェルから)
これら4種の燃料の特性を下記表1に示す。
Figure 0005426375
Figure 0005426375
表2から、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料F4は、他の従来の石油誘導ディーゼル燃料のいずれよりも銅溶解傾向が著しく低いことが明らかである。
実施例2
本実施例では4種の燃料F1〜F4の固有の熱安定性を標準試験法ASTM D3241(IP 323)に従い、燃料の熱酸化テスター(JFTOT)を用いて評価した。この方法は、ジェット燃料の評価のために発展したもので、燃料を特定の流速で特定時間、加熱管上にポンプ送りする工程を含む。JFTOT“区切り点”は、燃料が管外観及び試験フィルターの圧力差に関するJFTOT試験基準をパスする点で最高温度(最近接の5℃まで測定する)である。JFTOT試験は、燃料に対し、通常、ディーゼルエンジンで観察される温度よりも高温を適用するように選択され、こうして、燃料の安定性について比較的厳しい評価を与える。また、促進試験法であっても比較的短時間で安定性のデータを得ることができる。
4種の燃料の結果を表3に示す。
Figure 0005426375
表3に示すように、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料F4は、石油誘導ディーゼル燃料のいずれよりも更には硫黄レベルが同等であるであるゼロ硫黄ディーゼル燃料F2及びF3よりも遥かに熱に安定である。380℃(JFTOTを用いて達成できる最高温度)で測定した時でさえ、フィッシャー・トロプシュ燃料は試験基準をなおパスした。
実施例3
本例はディーゼル燃料の熱安定性に及ぼす銅吸収の影響を評価した。燃料F2〜F4(これらは同等の低レベル硫黄を有する)について、適当量のナフテン酸銅をドープした後、実施例1に概略したJFTOT法を用いて評価した。ドーピングレベルは、実施例2で観察したように、各ケースにおいて、銅片と接触させて8週間貯蔵後、燃料中に見られたレベルに近づくように選択した。こうして、燃料F2及びF3については、50ppbwの銅を目指した。このレベルは、これら燃料に54日でそれぞれ検出された50ppbwと30ppbwとの中ほどにある。フィッシャー・トロプシュ誘導燃料F4については、20ppbwのドーピングレベルを目指した。
JFTOTの結果を表4に示す。
Figure 0005426375
表4に示すように、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料F4は、銅含有表面と8週間接触後、例えば銅を溶解した可能性があるにも拘わらず、なお優れた熱安定性を持っていた。同様な条件で貯蔵後、2種のフィッシャー・トロプシュ誘導ディーゼル燃料は、非常に多量の銅を吸収していた。これは、該燃料の熱安定性に影響を与えたものと思われる。燃料F4は、特に未処理の燃料に比べてJFTOT区切り点の著しい減少を示した。
こうして、貯蔵中、及び/又はディーゼルエンジンのような燃料消費システムで使用中、触媒金属に暴露した時でさえ、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、石油誘導ディーゼル燃料よりも熱安定性の低下を受け難いように思われる。
したがって、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料は、メタル吸収感受性を低下させ、こうして、熱安定性を向上するために、本発明に従って燃料組成物中に導入してよい。
実施例4
本例は、5種の異なるディーゼル燃料組成物の貯蔵安定性を、貯蔵中、過酸化物の蓄積傾向について評価した。
これらの組成物を43℃で大気圧下、空気中に24週間貯蔵した。サンプルを1ヶ月間隔で取り出し、ハロゲン化溶剤の使用を避けるよう、ASTM D3703の改訂版を使用して、過酸化物含有量を測定した。比較的高い貯蔵温度は、普通の周囲条件下での長期貯蔵に類似させることを意図したものである。
使用した燃料は次のとおりである:
F1&F2:市販の超低硫黄(<50mg/kg)石油誘導自動車用ディーゼ
ル燃料、両方とも英国産
F3: 市販のゼロ硫黄(<5mg/kg)石油誘導自動車用ディーゼル
燃料、スエーデン産
F4&F5:2種のフィッシャー・トロプシュ誘導ガス油(シェル製)、両方
とも硫黄含有量<5mg/kg
これら燃料の芳香族含有量は、F1及びF2では20〜30%m、F3では5%m、またフィッシャー・トロプシュ誘導ガス油F4及びF5では0.5%mである。
抽出した燃料サンプルの過酸化物含有量を表5に示す。
Figure 0005426375
表5のデータは、試験方法と、過酸化物自体は他の酸化生成物に崩壊する可能性があるとの両方の結果として、貯蔵期間中の過酸化物レベルの変動を示すしかし、全体としてデータは、慣用の石油誘導ディーゼル燃料F1〜F3では、過酸化物レベルは、8〜12週間の貯蔵だけで著しく増加することを示している。しかし、フィッシャー・トロプシュ誘導ガス油F4及びF5では、過酸化物レベルは、20週貯蔵期間中、低いままである(効果的には、試験法の検出限界で)。これは、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料では、酸化安定性が遥かに高いことを示す。
実施例5
前述のように、多数の要因が燃料の貯蔵安定性に影響するものと考えられる。これらの要因には、その燃料に固有の自然酸化防止性の程度ばかりでなく、燃料の炭化水素構造も含まれる。安定な炭化水素ラジカルを形成する能力は、ラフィカル駆動の自動酸化ブロセスを促進し、こうして燃料の貯蔵安定性を低下させる。ラジカル安定性は、芳香族>環式及びイソパラフィン>ノーマルパラフィンの順で低下するものと考えられる。
下記表6は、実施例4で使用したフィッシャー・トロプシュ誘導ガス油F5の組成を、英国産の市販の石油誘導超低硫黄ディーゼル燃料F6と比較したものである。
Figure 0005426375
全体として、石油誘導燃料F6は、安定なラジカルを形成でき易く、したがって、自動酸化を促進する石油成分(例えば芳香族種及び環式パラフィン)を非常に高濃度で含有していることが判る。これに対し、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料は、痕跡量の環式パラフィンしか含有せず、芳香族成分を実質的に含有しない。これは、該燃料が非常に低いレベルの安定なラジカル種を形成し、こうして非常に高い貯蔵安定性に寄与するものと考えられる。
したがって、本発明に従って、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料は、これを導入する燃料組成物の全体の貯蔵安定性を向上するために使用できる。
GB−B−2077289 EP−A−0147873 US−A−4125566 US−A−4478955 EP−A−0583836 EP−A−1101813 WO−A−97/14768 WO−A−97/14769 WO−A−00/20534 WO−A−00/20535 WO−A−00/11116 WO−A−00/11117 WO−A−01/83406 WO−A−01/83641 WO−A−01/83647 WO−A−01/83648 US−A−6204426
van der Burgt等,"The Shell Middle Distillate Synthesis",第5回Synfuels Worldwide Symposium,Washington DC、1985年11月の論文、又はShell International Petroleum Company Ltd.,London,UKの同表題の1989年11月刊行物

Claims (10)

  1. 燃料組成物の金属溶解傾向を低減する目的で燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分を使用する方法であって、フィッシャー・トロプシュ誘導成分は、
    オレフィン含有量が、0.5%以下;
    芳香族含有量が、0.5%以下;
    40 Cでの動粘度が、2.5〜4.0mm /sであり;そして、
    少なくとも70%w/wのパラフィン系成分を含み、ノーマルパラフィンに対するイソパラフィンの重量比が0.3より大きく、12以下であり;
    ここで、得られる燃料組成物が金属含有表面との接触後に含有する関連金属の量が、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の導入前の燃料組成物を同じ条件下で同じ期間、同じ金属表面と接触させた場合の関連金属の量に比べて、少なくとも10%低減する、前記方法。
  2. 更に成物の熱安定性を向上する目的である請求項1に記載の方法
  3. 更に組成物中の金属不活性化剤の濃度を低減する目的である、請求項1に記載の方法。
  4. 更に組成物中の酸化防止剤の濃度を低減する目的である、請求項1に記載の方法。
  5. 更に組成物中の洗浄添加剤の濃度を低減する目的である、請求項1に記載の方法。
  6. 更に組成物の貯蔵安定性を向上する目的である、請求項1に記載の方法。
  7. 得られるブレンドの金属溶解傾向を低減する目的で、及び/又は該ブレンドの貯蔵安定性を向上する目的で、非フィッシャー・トロプシュ誘導ベース燃料とフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分とを任意に他の燃料成分と一緒にブレンドする工程を含む燃料組成物配合する方法であって、フィッシャー・トロプシュ誘導成分は、
    オレフィン含有量が、0.5%以下;
    芳香族含有量が、0.5%以下;
    40 Cでの動粘度が、2.5〜4.0mm /sであり;そして、
    少なくとも70%w/wのパラフィン系成分を含み、ノーマルパラフィンに対するイソパラフィンの重量比が0.3より大きく、12以下であり;
    ここで、得られる燃料組成物が金属含有表面との接触後に含有する関連金属の量が、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の導入前の燃料組成物を同じ条件下で同じ期間、同じ金属表面と接触させた場合の関連金属の量に比べて、少なくとも10%低減する、前記方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で製造した燃料組成物をステムに導入する工程を含む燃料消費システム操作する方法。
  9. 燃料組成物がディーゼル燃料組成物である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 料組成物中のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分の濃度が5〜30%v/vである請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
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