<実施の形態1>
図1は本実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る映像表示装置は、モータ1と、複数の光源部たる二つのランプ2,3と、ミラー4と、ロッドインテグレータ5と、カラーホイール6と、リレーレンズ7と、ライトバルブ8と、投写レンズ9と、輝度センサ10と、制御手段たる制御回路11と、信号処理回路12とを備える。
この映像表示装置は、ランプ2,3のうち一方から出力された光を、ミラー4によってライトバルブ8に向けて反射させ、映像信号に基づいてライトバルブ8で強度変調する。そして、映像表示装置は、強度変調によって得られた光を投写レンズ9を介してスクリーン19に投写することにより、スクリーン19に映像を表示する。
また、本実施の形態に係る映像表示装置においては、ランプ2,3のうち一方を使用している際に、経時変化や故障等によってスクリーン19における映像輝度が低くなった場合には他方を使用する。これにより、明るい輝度の映像表示を長く行なうことができるものとなっている。以下、本実施の形態に係る映像表示装置の構成について詳細に説明する。なお、以下の説明において、ランプ2,3のうち、映像表示装置が使用しているランプを「使用ランプ」と呼ぶこともある。
ランプ2,3は互いに対向配置され、当該ランプ2,3同士の間にはミラー4が配置されている。ミラー4は、支持軸4aを介してモータ1と接続されている。モータ1が駆動されると、ミラー4が支持軸4aと一体となって支持軸4aの軸周りに回転する。このモータ1の駆動は、後述する制御回路11によって制御されることから、ミラー4の姿勢は、制御回路11によって調整(制御)されるものとなっている。ミラー4は、その反射面がランプ2,3のいずれか一方と対向するように、制御回路11により制御される。
ミラー4の反射面がランプ2と対向している場合にランプ2が点灯すると、ミラー4は、ランプ2からの光を反射してロッドインテグレータ5に導光する。この場合、ランプ2が使用ランプとなる。一方、ミラー4の反射面がランプ3と対向している場合にランプ3が点灯すると、ミラー4は、ランプ3からの光を反射してロッドインテグレータ5に導光する。この場合、ランプ3が使用ランプとなる。このように、ミラー4は、後続の部材たるロッドインテグレータ5に向けて、ランプ2,3からの光を選択的に反射することが可能となっている。
ロッドインテグレータ5は、例えば、多角柱のガラスなどの光伝導部材からなり、一端に入射されたミラー4からの光に対して、輝度分布を均一化する処理を施しながら他端から出射する。ロッドインテグレータ5からの光は、カラーホイール6に入力される。
カラーホイール6は、回転軸の周方向に配列された、R(赤),G(緑),B(青)の3色のカラーフィルタ(図示せず)と、当該カラーフィルタを当該回転軸周りに回転させるホイールモータ(図示せず)とを備える。ロッドインテグレータ5からの光がR,G,Bのカラーフィルタのうちのいずれか一つを通過するように、カラーホイール6は配置されている。ホイールモータは、当該光が通過する一つのカラーフィルタを微小時間単位で順次に切り替えていくことから、カラーホイール6は、微小時間ごとに異なる色の光を順次出力することになる。カラーホイール6から出力された光は、リレーレンズ7に入力される。リレーレンズ7は、カラーホイール6からの光をライトバルブ8に出力する。
ライトバルブ8は、例えば、2次元的に配列された複数の微小ミラーを有するDMD(Digital Micromirror Device)であり、ミラー4からの反射光の光路上に配置されている。本実施の形態において、ライトバルブ8は、リレーレンズ7からの光を強度変調する。
信号処理回路12は、映像表示装置に入力される映像信号に応じてライトバルブ8の複数の微小ミラーのそれぞれをオン・オフ制御する。具体的には、微小ミラーは、信号処理回路12によりオン制御されると、リレーレンズ7からの光を投写レンズ9に向けて反射し、信号処理回路12によりオフ制御されると、リレーレンズ7からの光を投写レンズ9以外に向けて反射する。こうして、信号処理回路12がライトバルブ8の複数の微小ミラーを制御することにより、ライトバルブ8が、リレーレンズ7からの光を強度変調し、強度変調した当該光を投写レンズ9を介してスクリーン19に向けて投写することになる。
信号処理回路12の制御により、本実施の形態に係るライトバルブ8は、投写レンズ9に向けて強度変調した光を出力するオンステートと、当該光の光路外に設けられた輝度センサ10に向けてリレーレンズ7からの光を反射するオフステートとのいずれかを選択的にとるようになっている。
図2は、ライトバルブ8のオンステートとオフステートとを説明するためのタイミングチャートである。この図においては、映像信号の垂直同期信号に同期して、R,G,B光のそれぞれが3回ずつカラーホイール6から出力される例が示されている。つまり、1回転する間にR,G,B光のそれぞれを1回ずつ出力するカラーホイール6が、映像信号の垂直同期信号に同期して3回転する例が図2に示されている。
この図の下側には、オンステートが行われる期間であるオンステート期間41、及び、オフステートが行われる期間であるオフステート期間42が示されている。オフステート期間42は、R,G,Bのオンステート期間41とG,B,Rのオンステート期間41との境界のそれぞれにおいて設けられている。
各オンステート期間41では、ライトバルブ8が、リレーレンズ7からの光を映像信号に応じて強度変調し、それによって得られた光を、投写レンズ9を介してスクリーン19に投写する。以下、オンステート期間41にライトバルブ8から投写レンズ9に向かう光を「オンステート光」と呼ぶ。
一方、各オフステート期間42では、ライトバルブ8が、リレーレンズ7からライトバルブ8に入力される光を、投写レンズ9ではなく、光の輝度を検出(計測)する輝度センサ10の方向に反射する。以下、オフステート期間42にライトバルブ8から輝度センサ10に向かう光を「オフステート光」と呼ぶ。
オフステート期間42は前後する二つのオンステート期間41の境界に存在していることから、当該二つのオンステート期間41におけるオンステート光と同じ色のオフステート光が、当該オフステート期間42において輝度センサ10に入力される。例えば、R,Gのオンステート期間41の境界に存在するオフステート期間42においては、R,Gのオフステート光が輝度センサ10に入力される。同様にして、G,Bのオンステート期間41の境界に存在するオフステート期間42においてはG,Bのオフステート光が輝度センサ10に入力され、B,Rのオンステート期間41の境界に存在するオフステート期間42においてはB,Rのオフステート光が輝度センサ10に入力される。したがって、各R,G,Bのオフステート光が輝度センサ10に入力されることになる。
本実施の形態では、輝度センサ10は、R,G,B光をそれぞれ検出する3種類の輝度センサによって構成されており、R,G,B光の波長に対して個別に輝度値を計測可能となっている。そして、輝度センサ10は、前後する二つのオンステート期間41のうち、前方のオンステート期間41におけるオンステート光と同じ色のオフステート光の輝度を計測するものとなっている。例えば、R,Gのオンステート期間41の境界に存在するオフステート期間42においては、R,Gのオフステート光が輝度センサ10に入力されるが、R,Gのオンステート期間41のうち前方に位置するのはRのオンステート期間41であることから、輝度センサ10はRのオフステート光の輝度を計測する。同様に、輝度センサ10は、G,Bのオンステート期間41の境界に存在するオフステート期間42においてはGのオフステート光の輝度を計測し、B,Rのオンステート期間41の境界に存在するオフステート期間42においてはBのオフステート光の輝度を計測する。なお、オフステート光の輝度と、オンステート光の輝度とは実質的にほぼ同じであることから、輝度センサ10は、オフステート光の輝度に基づいて、オンステート光の輝度、つまり、スクリーン19における映像の輝度を計測することが可能となっている。
制御回路11は、輝度センサ10で計測されたR,G,Bのオフステート光の輝度を合算して合算輝度を取得し、その合算輝度に基づいて、ミラー4の姿勢を調整(制御)する。この合算輝度は、輝度センサ10で計測された輝度とほぼ同じ傾向を示すことから、実質的には、制御回路11は、輝度センサ10で計測(検出)された輝度に基づいて、ミラー4の姿勢を調整(制御)することになる。
この制御回路11は、例えば、CPU(図示しない)などから構成されており、CPUがメモリ(図示しない)に記憶されている動作プログラムを実行することによって、第1の調整手段11a、及び、第2の調整手段11bが制御回路11に機能ブロックとして形成される。
制御回路11は、合算輝度が低くなると、使用ランプを消灯してそれとは別のランプを点灯すると同時に、モータ1を制御して、ミラー4を支持軸4aの軸周りにほぼ180°回転させる。これにより使用ランプとは別のランプからの光は、ミラー4に反射されてロッドインテグレータ5に入射される。このように、制御回路11は、使用ランプを切り替えるランプチェンジを行う。制御回路11によるランプチェンジは、使用ランプの輝度が低下した場合だけでなく、使用ランプ切れ等により消灯した場合も同様に行われる。
図3は、ロッドインテグレータ5において、使用ランプからの光がミラー4を介して入射される入射面を示す図である。図に示される5つの円は、当該入射面における使用ランプの光の入射スポットであり、最適な位置にある入射スポットF1が実線で、そこからずれた適当でない入射スポットF2〜F5が破線でそれぞれ示されている。
ランプチェンジ後の入射スポットは、製造時の誤差等により、入射スポットF2〜F5などになることが多い。しかし、この場合には、映像表示装置の輝度出力が低くなり、スクリーン19における映像の輝度が低くなってしまう。
そこで、第1の調整手段11a(制御回路11)は、ランプチェンジ後の入射スポットが最適な入射スポットF1に近づくように、合算輝度Ytに基づいて、ミラー4の回転位置を所望に調整する。
図4は、合算輝度Ytと、ミラー4の回転位置との関係を示す図である。第1の調整手段11aは、モータ1を駆動して、ミラー4を1ステップ単位で回転させることにより、ミラー4の回転位置を下限Minpから上限Maxp(Minp<Maxp)まで変更することが可能となっている。第1の調整手段11aは、ミラー4を下限Minpから上限Maxpまで徐々に回転させながら、合算輝度とミラー4の回転位置とを一対一で取得し、その後、最大の合算輝度(以下、「最大合算輝度Ymax」と呼ぶ)が得られるミラー4の回転位置(以下、「最適回転位置Ypos」と呼ぶ)にミラー4を回転させる。これにより、入射スポットが最適な入射スポットF1に近づき、スクリーン19における映像の輝度を高めることができる。
図5は、第1の調整手段11aがこのようなミラー調整を行う際の動作(アルゴリズム)を示すフローチャートである。以下、図5を用いて、この調整について説明する。なお、ステップs1の前には、制御回路11によってランプチェンジが行われ、そのランプチェンジから一定時間(使用ランプの出力が安定するのに必要な時間)が経過しているものとする。
まず、ステップs1にて、第1の調整手段11aは、ミラー4の回転位置が下限Minpとなるようにミラー4を回転させる。その一方で、第1の調整手段11aは各データに初期値を入力する。具体的には、第1の調整手段11aは、現在のミラー4の回転位置mに下限Minpを代入し、現在までに得られた最大の合算輝度を示す暫定輝度最大値Ymtに0を代入し、暫定輝度最大値Ymに対応するミラー4の回転位置を示す暫定最適回転位置Yptに下限Minpを代入する。
ステップs2にて、輝度センサ10が各R,G,Bの光の輝度を計測し、第1の調整手段11aがそれら輝度から合算輝度Ytを取得する。ステップs3にて、第1の調整手段11aは、当該合算輝度Ytが、暫定輝度最大値Ymtより大きいかを判定する。ステップs3において、合算輝度Ytが暫定輝度最大値Ymtより大きいと判定された場合にはステップs4に進み、そうでない場合にはステップs5に進む。なお、最初にステップs3が行われる場合には、暫定輝度最大値Ymtが0であることから、必ずステップs4に進むことになる。
ステップs4にて、第1の調整手段11aは、暫定輝度最大値Ymtに現在の合算輝度Ytを代入して保持し、暫定最適回転位置Yptに現在のミラー4の回転位置mを代入して保持する。
ステップs5にて、第1の調整手段11aは、現在のミラー4の回転位置mが上限Maxpであるかを判定する。ステップs5において、ミラー4の回転位置mが上限Maxpでないと判定した場合にはステップs6に進み、ミラー4の回転位置mが上限Maxpであると判定した場合にはステップs8に進む。
ステップs6にて、第1の調整手段11aは、データ上の動作として、ミラー4の回転位置mを1ステップ進める(つまり、m=m+1とする)。そして、ステップs7にて、第1の調整手段11aは、物理的な動作として、更新された回転位置mが示す回転位置にミラー4を回転させる。それから、ステップs2に戻る。このようなステップs2〜ステップs7のループ処理を繰り返すことにより、ステップs5においてミラー4の回転位置mが上限Maxpであると判定される時点では、暫定輝度最大値Ymtが最大合算輝度Ymaxとなり、暫定最適回転位置Yptが最適回転位置Yposとなる。
ステップs8においては、第1の調整手段11aは、ミラー4の回転位置がステップs5後の暫定最適回転位置Ypt(つまり最適回転位置Ypos)となるようにミラー4を回転させてミラー調整を終了する。
この最適回転位置Yposは映像表示装置のメモリに記憶され、映像表示装置の電源が起動する際に、制御回路11はミラー4を最適回転位置Yposに回転する。
以上のような第1の調整手段11aのミラー調整により、スクリーン19における映像輝度を高めることが可能となる。しかし、使用ランプが一定期間使用されると、当該使用ランプにおいてアークジャンプが発生し、映像輝度が急に低下することがある。次に、アークジャンプについて説明する。
図6は、アークジャンプが発生する前の使用ランプの状態を示す図であり、図7は、アークジャンプが発生した後の使用ランプの状態を示す図である。以下、ランプ2が使用ランプである場合のアークジャンプを例に説明するが、ランプ3が使用ランプである場合のアークジャンプもそれと同様である。図6、図7に示されるように、ランプ2は、ランプ電極30と、当該ランプ電極30間における発光を集光点32に集光するリフレクタ31とを備える。
アークジャンプが発生する前には、図6に示されるように、ランプ2が、一点鎖線で示される中心線上の放電ポイント33において点灯し、集光点32が中心線上に位置している。しかし、アークジャンプが発生すると、図7に示されるように、ランプ2が、ランプ電極30間において中心線から例えば上側にずれた放電ポイント33において点灯することから、集光点32が中心線から下側に位置することになる。このように、アークジャンプが発生すると、ランプ2の集光点32(集光スポット)が、発生前後において急にずれてしまうことから、アークジャンプ発生前において入射スポットが最適であったとしても、アークジャンプ発生後においては最適でなくなり、その結果、映像輝度が急に低下してしまうことになる。
そこで、本実施の形態に係る映像表示装置においては、第1の調整手段11aの調整後の合算輝度に基づいて第1閾値を取得して記憶しておくとともに、輝度センサ10において定期的に輝度を計測する。そして、当該輝度を合算して得られる合算輝度が第1閾値よりも低くなった場合に、第2の調整手段11b(制御回路11)が、第1の調整手段11aと同様にミラー4の調整を行う。これにより、アークジャンプによりランプ電極30間の放電位置が変わった場合に、アークジャンプによる映像輝度の低下を抑制可能となっている。
図8は、本実施の形態に係る映像表示装置の上述の動作を示すフローチャートである。以下、図8を用いて、その動作について説明する。なお、ステップs11の前には、制御回路11によってランプチェンジが行われ、第1の調整手段11aによってミラー4が調整されたものとする。
まず、ステップs11にて、輝度センサ10が各R,G,Bの光の輝度を計測し、制御回路11がそれら輝度から合算輝度Ytを取得する。そして、制御回路11は、初期値として、ランプ点灯初期の輝度を示す初期輝度データYini0に当該合算輝度Ytを代入し、ミラー調整毎に更新される輝度基準データYiniに当該合算輝度Ytを代入し、ミラー再調整を行うための第1閾値Ythに「Yini×th1」を代入し、ランプチェンジを行うための第2閾値Ytcに「Yini0×th2」を代入する。ここで、th1及びth2は、予め決められた1より小さい固定値であり、th1>th2となっている。したがって、使用ランプの点灯初期においては、Yth>Ytcとなっているが、使用ランプの点灯時間とともに初期基準データYiniは低くなっていく変数であるのに対し、初期輝度データYini0は固定値であることから、使用ランプの寿命が近くなるとYth<Ytcとなる。
ステップs12にて、ミラー調整の動作が一定時間(例えば2分間)停止する待ち状態となる。当該一定時間が経過すると、ステップs13にて、輝度センサ10が各R,G,Bの光の輝度を計測し、制御回路11がそれら輝度から合算輝度Ytを取得する。ステップs14にて、制御回路11は、当該合算輝度Ytが、予め設定された第1閾値Ythよりも小さいかを判定する。
ステップs14において、合算輝度Ytが第1閾値Ythよりも小さいと判定された場合にはステップs15に進む。そして、ステップs15にて、第2の調整手段11bは、ステップs1〜s8(図5)と同様に、合算輝度Ytに基づいて、ミラー4の姿勢を再調整する。ステップs15の後、ステップs16にて、輝度センサ10が各R,G,Bの光の輝度を計測し、制御回路11がそれら輝度から合算輝度Ytを取得する。そして、制御回路11は、輝度基準データYiniに当該合算輝度Ytを代入した後、第1閾値Ythに「Yini×th1」を代入する。つまり、このステップs16にて、制御回路11は、第2の調整手段の調整直後に取得された合算輝度Ytに基づいて第1閾値Ythを再設定する。ステップs16の後、ステップs17に進む。
ステップs14において、合算輝度Ytが第1閾値Yth以上と判定された場合には、合算輝度Ytの低下が小さいと判断し、ミラー再調整を行わずにステップs17に進む。
ステップs14直後にステップs17に進んだ場合には、当該ステップs17にて、制御回路11は、第1閾値Ythよりも大きいとステップs14にて判定された合算輝度Yt(つまり、ステップs13の合算輝度Yt)が、予め設定された第2閾値Ytcよりも大きいかを判定する。ステップs16直後にステップs17に進んだ場合には、当該ステップs17にて、制御回路11は、第2の調整手段11bの調整直後のステップs16の合算輝度Ytが、予め設定された第2閾値Ytcよりも大きいかを判定する。
ステップs17において合算輝度Ytが第2閾値Ytcよりも大きいと判定された場合には、ランプチェンジから現在までの間における使用ランプ自体の輝度低下が小さいことから、使用ランプを引き続き使用可能と判断し、ステップs12に戻る。その後、再度のステップs13にて合算輝度Ytが取得され、再度のステップs14にて当該合算輝度Ytが、再設定された第1閾値Ythよりも小さいかが判定される。そして、当該合算輝度Ytが当該第1閾値Ythよりも小さいと判定された場合には、再度のステップs15にて第2の調整手段11bは、合算輝度に基づいてミラー4の姿勢を再調整する。そして、その後、再度のステップs16、及び、再度ステップs17が行われる。
ステップs17において合算輝度Ytが第2閾値Ytc以下であると判定された場合には、使用ランプが寿命に達したと判断し、ステップs18に進む。
ステップs18にて、制御回路11は、使用ランプとは別のランプからの光を、ミラー4が反射するようにミラー4の姿勢を制御する。つまり、制御回路11が、ランプチェンジを行う。その後、第1の調整手段11aが、使用ランプからの光の入射スポットが最適となるようにステップs1〜s8のミラー調整を行い、再び、ステップs11以降の動作が行われる。
以上のようなミラー再調整において、例えばth1=0.9である際に、ステップs13の合算輝度Ytが、ミラー再調整後の輝度基準データYiniの10%以上低下している場合には、ステップs15にてミラー再調整が行われる。そして、例えばth2=0.5である際に、ステップs13またはステップs16の合算輝度Ytが初期輝度データYini0の50%以上低下している場合には、使用ランプが寿命に達したと判断し、ステップs18にてランプチェンジが行われる。
図9は、図8に示されるフローが行われたときの合算輝度の変化を示す図である。まず、輝度基準データYiniが、使用ランプ点灯初期(t=0)の合算輝度Yt、つまり、初期輝度データini0となる。そして、この際の第1閾値YthがYth0(=Yini0×th1)となる。
その後、時間t0において、合算輝度YtがYth0より小さくなったことから、時間t0後にミラー再調整が行われている。この際に、輝度基準データYiniが、当該ミラー再調整直後の合算輝度Ytたるランプ輝度値Yini1に更新され、第1閾値Ythが、Yth1(=Yini1×th1)に更新されている。
その後、時間t1において、合算輝度YtがYth1より小さくなったことから、時間t1後にミラー再調整が行われている。この際に、輝度基準データYiniが、当該ミラー再調整直後の合算輝度Ytたるランプ輝度値Yini2に更新され、第1閾値Ythが、Yth2(=Yini2×th1)に更新されている。
その後、時間t2及び時間t3のそれぞれの後において、同様にミラー再調整が行われ、輝度基準データYini及び第1閾値Ythが更新されている。その後、時間t4に合算輝度Ytが第2閾値Ytcより小さくなったことから、ランプチェンジが行われている。
図9においては、時間t0においてアークジャンプが発生して輝度が少し低下している。この際に、映像表示装置が時間t0後にミラー再調整を行うことにより、合算輝度Ytが当該アークジャンプ発生前の合算輝度Ytとほぼ等しくなっている。
また、時間t2においてアークジャンプが発生して輝度が大きく低下している。この際に、映像表示装置が時間t2後にミラー再調整を行うことにより、合算輝度Ytが当該アークジャンプ発生前の合算輝度Ytとほぼ等しくなっている。つまり、大幅に合算輝度Ytが改善されている。
以上のように、制御回路11は、第2の調整手段11bのミラー再調整が行われたときにのみ、第1閾値Ythを、当該再調整直後の合算輝度Ytに基づいて再設定する。ここで、ミラー調整直後の合算輝度Ytと使用ランプ自体の輝度(図の二点鎖線)とはほぼ等しくなることから、制御回路11は、第1閾値Ythを、使用ランプ自体の輝度に基づいて再設定していることになる。したがって、本実施の形態に係る映像表示装置においては、第1閾値Ythを、経年変化による使用ランプ自体の輝度変化(図の二点鎖線)に沿うように変化させることができる。よって、アークジャンプが発生し、合算輝度Ytが使用ランプ自体の輝度から大きくずれた場合だけでなく少しだけずれた場合にも、ミラー再調整を行うことができる。
なお、時間t1及び時間t3においては、アークジャンプが発生していないが、アークジャンプ以外にもランプ電極30間の放電位置が徐々にずれる原因があるため、ミラー再調整によって合算輝度Ytが少し改善されている。
以上のような本実施の形態に係る映像表示装置によれば、合算輝度Ytが、第1閾値Ythよりも低くなった場合には、第2の調整手段11bがミラー4の回転位置を再調整する。これにより、アークジャンプに起因する映像輝度の低下を抑制することができる。また、経時変化によりゆっくりランプ電極30間の放電位置がずれて輝度が低下する場合にもミラー再調整を行うことから、そのずれに起因する映像輝度の低下も抑制することができる。
また、本実施の形態に係る映像表示装置によれば、アークジャンプに起因して映像輝度の低下が発生した場合にはミラー4の回転位置を再調整し、使用ランプ自体の輝度低下に起因して映像輝度の低下が発生した場合にはランプチェンジを行うことができる。これにより、使用ランプがまだ使用可能であるのに、ランプチェンジをしてしまうのを防ぐことができる。よって、不要な動作を防ぐことができるので省エネルギー化を実現することができる。
また、本実施の形態に係る映像表示装置によれば、第1閾値Ythを、第2の調整手段11bのミラー再調整直後の合算輝度Ytに基づいて再設定する。したがって、第1閾値Ythを、経年変化による使用ランプ自体の輝度変化に沿うように変化させることができることから、アークジャンプが発生して、合算輝度Ytが使用ランプ自体の輝度から大きくずれた場合だけでなく少しだけずれた場合にもミラー再調整を行うことができる。また、仮に、第1閾値Ythが使用ランプ自体の輝度から大きく離れて設定される場合には、輝度が大きく低下するまでミラー4の再調整が行われず、ミラー再調整の前後で大きく輝度が変わってしまうが、本実施の形態に係る映像表示装置によれば、合算輝度Ytが使用ランプ自体の輝度から少しでもずれるとミラー再調整を行うことができることから、ミラー再調整の前後で輝度が大きく変化するのを抑制することができる。よって、映像を見ている者に輝度の変化を感じられないようにすることができる。
なお、上述の説明においては、輝度センサ10は、前後する二つのオンステート期間41のうち、前方のオンステート期間41におけるオンステート光と同じ色のオフステート光の輝度を計測するものとした(図2)。しかし、例えば、後方のオフステート期間41におけるオンステート光と同じ色のオフステート光の輝度を計測するというように、オフステート期間42内であれば上述とは別のタイミングで輝度を計測してもよい。また、制御回路11、第1及び第2の調整手段11a,11bは、輝度センサ10が検出するR,G,Bの光のそれぞれの輝度を合算した合算輝度に基づいてミラー4の姿勢を調整(制御)していたが、R,G,Bの光のいずれか一つの輝度、例えば、Bの光の輝度に基づいてミラー4の姿勢を調整(制御)するものであってもよい。この場合、輝度センサ10には、単色の光の輝度を検出するセンサを用いることができる。
<実施の形態2>
図10は、本実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。なお、以下の本実施の形態に係る映像表示装置の説明において、実施の形態1に係る映像表示装置と共通する部分については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
実施の形態1に係る映像表示装置はランプ2,3を備えていたが、本実施の形態に係る映像表示装置は、それらの代わりに一つのランプ2を備えている。そして、本実施の形態に係る映像表示装置においては、その構成に、警告通知手段13が追加されている。
本映像表示装置においては、実施の形態1に係る映像表示装置と同様に、第1の調整手段11aがランプ使用開始の際にミラー調整して映像輝度を高め、第2の調整手段11bがミラー再調整してアークジャンプによる映像輝度の低下を抑制する。ただし、実施の形態1では、合算輝度Ytが第2閾値Ytcよりも小さくなった場合には制御回路11がランプチェンジを行ったが、本実施の形態では、この場合に警告通知手段13が警告を表示画面に表示して外部に通知する。
図11は、本実施の形態に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。以下、図11を用いて、その動作について説明する。なお、この図11に示されるフローは、図8に示されるフローのステップs18を、ステップs28にそれぞれ置き換えたものであるから、以下の説明においては、その前のステップs17及びステップs28についてのみ説明する。
ステップs14直後にステップs17に進んだ場合には、当該ステップs17にて、制御回路11は、第1閾値Ythよりも大きいとステップs14にて判定された合算輝度Yt、つまり、ステップs13の合算輝度Ytが、予め設定された第2閾値Ytcよりも大きいかを判定する。ステップs16直後にステップs17に進んだ場合には、当該ステップs17にて、制御回路11は、第2の調整手段11bの調整直後のステップs16の合算輝度Ytが、予め設定された第2閾値Ytcよりも大きいかを判定する。
ステップs17において合算輝度Ytが第2閾値Ytcよりも大きいと判定された場合には、ランプ初期点灯状態から現在までの間における使用ランプ自体の輝度低下が小さいことから、使用ランプを引き続き使用可能と判断し、ステップs12に戻る。一方、ステップs17において合算輝度Ytが第2閾値Ytc以下であると判定された場合には、使用ランプが寿命に達したと判断し、ステップs28に進む。ステップs28にて、警告通知手段13は、ランプ交換を促す警告表示を行う。
以上のような本実施の形態に係る映像表示装置によれば、ランプチェンジを行わないことを除いて、実施の形態1に係る映像表示装置と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係る映像表示装置によれば、正しくランプ交換を促す警告を通知することができる。つまり、アークジャンプによって使用ランプ自体の輝度が低下していないにもかかわらず、ランプ交換を促す警告を通知してしまうことを抑制することができる。
なお、ランプチェンジを行う実施の形態1に係る映像表示装置においても、本実施の形態に係る映像表示装置が備える警告通知手段13を加えてもよい。この場合には、ランプチェンジ後の新しい使用ランプを点灯させながら、寿命に達したランプを交換する警告を行うことができる。