JP5424870B2 - イオンチャンネル記録並びに単分子検出及び解析のためのナノポア基盤 - Google Patents

イオンチャンネル記録並びに単分子検出及び解析のためのナノポア基盤 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
優先権主張
本出願は、2007年5月2日に出願された米国出願第11/743,472号に基づく優先権を主張し、そして、2006年5月5日に出願された米国仮出願第60/797,850号、2006年10月6日に出願された米国仮出願第60/849,883号、及び2007年3月23日に出願された米国仮出願第60/919,694号の米国特許法119条(e)に基づく利益を主張し、それぞれの全内容が、参考文献として援用される。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、国防高等研究計画局によって授けられた#FA9550-06-C-0060の補助を受けて、政府の援助を伴ってなされた。本発明はまた、国立科学財団によって授けられたCHE-0616505の補助を受けて、政府の援助を伴ってなされた。政府は、本発明に対して特定の権利を有し得る。
技術分野
本発明は、イオン、化学物質、生化学物質及び生体分子のためのナノセンサーといった、ナノテクノロジーの分野に関する。具体的には、本発明は、脂質二重層又は類似の高分子構造を含むナノポア基盤に関する。
背景
生物学的ナノポアを含むナノポアを利用して、単分子を検出することが、20年間実施されてきた(Deamer, D. W., Branton, D., "Characterization of Nucleic Acids by Nanopore Analysis," Acc. Chem. Res. 2002, 35, 817-825)。Staphylococcus aureus由来の生体タンパク質ナノポアであるα-ヘモリジン(αHL)は、単分子検出のために理想的であることが証明されており、約1.4 nmの内部ポアのくびれの直径(the inner pore constriction diameter)を与える(Song, S., Hobaugh, M. R., Shustak, C., Cheley, S., Bayley, H., Govaux, J. E., "Structure of Staphylococcal α- Hemolysin, a Hepatmeric Transmembrane Pore," Science, 1996, 274, 1859-1865)。
脂質二重層の中へαHLを埋め込むことによって、イオンチャネルを通るイオン抵抗を測定することができる。αHLを、化学的に修飾し又は遺伝子操作して、分析物分子に選択的に結合するようにすることができる。単分子がタンパク質に結合している際の、単一チャネル全体の抵抗についての変動もまた、モニタリングすることができる。これらの変動は分子特異的であり、複数分析物の同時検出及び同時特性解析を可能にする(Bayley, H, Cremer, P.S. "Stochastic Sensors Inspired by Biology," Nature, 2001, 413, 226-230)。
近年、αHLといった生物学的ナノポアを利用してDNAの検出及び配列解析をすることが、調べられていた(Kasianowicz, J. J., Brandin, E., Branton, D., Deamer, D. W., "Characterization of Individual Polynucleotide Molecules Using a Membrane Channel," Proc. Natl. Acad. Sci. 1996, 93, 13770-13773)。イオンチャネル中でDNA鎖が費やす時間の長さを測定することによって、一本鎖DNA(ssDNA)のヌクレオチドの数を同定するという、簡単な概念実証実験が行われた。弱い電圧を印加することによって、Deamerと共同研究者たちは、脂質二重層に挿入されたイオンチャネルに単一DNA分子を通すことを可能にした。DNA分子がチャネルを通って移動する際、DNAが、電荷運搬する電解質イオンの動きを遮断するため、電流の一時的減衰が観測される。
タンパク質イオンチャネル研究は、薄いTEFLON(登録商標)又は他の高分子に由来する膜中の、直径15μmから150μmの穴を覆う脂質二重層の形成に頼っている。穴の領域が広いため、この単一イオン測定基盤には、いくつかの欠点がある。第一に、テフロン(登録商標)又は他の高分子に由来する膜の穴をスパニング(spanning)する脂質二重層は、振動、圧力変化及び電圧変動を原因として、非常に壊れやすい。第二に、従来の二重層系における測定は、二重層が安定ではなく、継続的に薄くなっている状態にあることを示す。多大な予防措置を講じて振動及び電圧変動を最小化したとしても、二重層の寿命は、典型的には数時間である。これらの構造頑健性(robustness)及び寿命の問題は、タンパク質イオンチャネルに基づく利用可能なセンサー装置又は配列解析装置の開発において、鍵となる近年の障害として一般に認識され、いずれかの携帯可能な又は移動可能な系の可能性を否定する。
二重層構造を支持可能な、より頑丈なセンサー基盤は、タンパク質チャネルを挿入するための、超顕微鏡的な二重層領域(例えば、1μm2またはそれより小さい領域)を露出するであろう。小さい領域は、機械的及び電気的な乱れを原因とする崩壊を軽減し、そして予備試験において20日より長い寿命を可能にすることが示されている。そのような装置は、かさが大きいことや高い振動絶縁を必要としないより簡単な装置、より長く持続する働き、及び、薬剤研究、バイオセンシング、DNA配列解析などにおけるイオンチャネルの利用のための携帯型になり得る系を可能にするであろう。
発明の開示
厚さを有し、第一の面が第二の面の反対側にある第一の面及び第二の面を有し、膜の厚さを超えて膜を貫通するナノポアを有する膜、及び、膜の第一の面上のナノポアを覆ってスパニング(span across)する手段を含む、ナノポア装置が提供される。この装置を使用して、ナノポアを覆ってスパニングする手段にポア形成構成物が埋め込まれるという作用によって、ポア形成構成物を検出することができる。
この装置は、センサー構成物をさらに含むことができ、そしてナノポアを覆ってスパニングする手段は、センサー構成物を埋め込むための手段として機能することができる。この装置は、膜の第一の面と第二の面との間に電場を印加するための手段;及びナノポアを通る電流フロー又は抵抗をモニタリングするための手段をさらに含むことができる。ナノポア装置のさまざまな態様は、データ取得及びデータ解析のための補助構成要素を提供する、大きい装置構造の中に組み込むことができる。
本発明の様々な態様において、膜は、ガラス、Si、SiO2、Si3N4、アルミナ、窒化物、金属、セラミックス、高分子、又は他の適した物質で作ることができる。膜は、純物質又は混合物から成ることができ、又は必要な場合には、膜の表面を修飾する被覆を含む。膜の厚さは、典型的には膜の最も小さい寸法である。膜は、厚さについて、典型的には約10μmから数百μmの範囲である。
ナノポア装置は、膜が構造の必須部分であるような構造を、さらに含むことができる。例えば、ナノポア装置は、膜がチャンバーの底又は側壁の一部であるようなチャンバーを、さらに含むことができる。ある特定の態様において、単一のナノポアは、ガラス毛管の底壁の一部である薄いガラス膜において作られる。別のある特定の態様において、単一のナノポアは、石英毛管において作られる。
膜は、一つより多くのナノポア又はナノポアのアレイを含むように構成することができる。各々のナノポアをそれぞれ、各々の構造の中に封入することができる。例えば、各々のナノポアをそれぞれ、各々のチャンバーの中に封入することができ、そしてそのような各々のチャンバーを、適した支持構造上でアレイ構成に並べることができる。
様々な態様において、ナノポアは、第一の開口部、第二の開口部、長さ又は深さ、内部表面、及び外部表面を有する。膜の第一の面は、ナノポアの外部表面であってよい。第一の開口部は、膜の第一の面に対して開いており、そして第二の開口部は、膜の第二の面に対して開いている。したがって、ナノポアは、膜の第一の面及び第二の面を連通するチャネルを形成する。二つの開口部は、異なる大きさ又は形状であってよい。好ましくは、第一の開口部は、第二の開口部より小さい。特に、ナノポアは、第一の開口部が第二の開口部よりも小さい、切断された円錐形である。ナノポアの第一の開口部の半径は、好ましくは約2 nmから約500 nmの範囲であるか、又はこれより大きい。第二の開口部の半径は、約5μmから25μmであってよい。ナノポアは、膜を貫通し、そして膜の第一の面及び第二の面を連通するため、膜の厚さが膜の全域で均一である場合、膜の厚さは、典型的にはナノポアの長さ又は深さである。ナノポアの長さは、好ましくはナノポアの第一の開口部の半径の20倍である。ナノポアの長さ又は深さは、約10μmから数百μmの範囲であってよい。ナノポアの位置は、膜上のいずれかのあらかじめ定められた位置に決めることができる。
センサー構成物は、対象とする分析物を認識することができる。そのようなセンサー構成物は、混合物中の核酸のための囮、ホルモン又は小分子メッセンジャーのための受容体、イオンのためのイオンチャネル、抗体のライブラリをスクリーニングするための抗原などであってよい。センサー構成物は、伝導性チャネルとして機能することができる。センサー構成物は、特定の化学的分析物若しくは生化学的分析物を検出するため、又は核酸を配列解析するために操作又は修飾された、イオンチャネル又は他の分子に由来する伝導性要素であってよい。
膜の第一の面上のナノポアを覆ってスパニングする手段は、ナノポアの外部表面及び/又は内部表面上に沈着された、両親媒性物質及び/又は高分子物質を含むことができる。好ましくは、ナノポアを覆ってスパニングする手段は、高い抵抗(1〜100 GΩ)を有する。両親媒性物質は、純物質、又は異なる両親媒性物質の混合物であってよい。高分子物質は、均一な分子量分布を有する高分子、又は非均一な分子量分布を有する高分子、又は異なる単量体を含む高分子の混合物であってよい。両親媒性の分子は本質的に、疎水性部分及び極性部分という、二つの部分から成る。両親媒性分子の例は、脂質、洗剤、界面活性剤、タンパク質、多糖、及び両親媒性にすることができる他の化学物質又は生化学物質である。脂質分子は典型的に、少なくとも一つの疎水性鎖及び少なくとも一つの極性頭部を含む。様々な鎖の長さ又は様々な極性頭部の構造を有する脂質を使用して、例えば、ナノポアの外部表面及び/又は内部表面上の、脂質の単層、脂質の二重層、又は単層若しくは二重層の組合せといった、膜上の様々な構造を形成することができる。機能的イオンチャネル及び他の分子に由来するセンサー変換器(sensing transducer)を支持するPDMSなどの高分子層もまた、ナノポアを覆ってスパニングする手段として機能することができる。
ある態様において、ナノポアを覆ってスパニングする手段は、ナノポアの外部表面上に沈着された脂質二重層であって、それにより、脂質二重層がナノポアの第一の開口部を覆ってスパニングする。そのような脂質二重層構造を“支持脂質二重層(supported lipid bilayer)”と呼ぶ。脂質二重層とナノポアの外部表面との間に形成される、溶媒及びイオンを含む薄い層(厚さ1〜10 nm)がある可能性があり;この層の厚さは、外部表面と脂質二重層との間の距離として定義され、そして二重層シールの抵抗並びに二重層の安定性及び流動性の決定において重要である。
ある態様において、ナノポアを覆ってスパニングする手段は、脂質二重層及び脂質単層の組合せである。特定の態様において、ナノポアの外部表面上に沈着された脂質単層及びナノポアの内部表面上に沈着された脂質単層は、ナノポアの第一の開口部の縁付近で互いに結合し、そしてそれによって、ナノポアの第一の開口部を覆ってスパニングし又は懸架される脂質二重層を形成する。センサー構成物を埋め込むためのそのような手段を、本明細書において“スパニング脂質二重層(spanning lipid bilayer)”と呼ぶ。
センサー構成物を埋め込むためのスパニング脂質二重層構造を効果的に沈着させるために、ナノポアの外部表面及び/又は内部表面を、別の適した物質によって物理的又は化学的に修飾することができ、例えば、電荷密度、疎水性又は親水性といった、それぞれの表面の表面特性を変化させる。ナノポアの外部表面は、第一の構成物によって修飾することができる。ナノポアの内部表面は、第二の構成物によって修飾することができる。第一の構成物及び第二の構成物は、同一の構成物であってよい。第一の構成物及び第二の構成物は、高分子、小有機分子、タンパク質などであってよい。表面の修飾は、物理的又は化学的性質であってよい。例えば、第一の構成物又は第二の構成物は、例えば疎水性相互作用によって、非共有結合的な力を介してそれぞれの表面に結合することができる。あるいは、第一の構成物又は第二の構成物は、共有結合を介してそれぞれの表面に結合することができる。
ある態様において、ガラス膜上に脂質層又は脂質二重層を効果的に沈着させるために、ガラスナノポアの外部表面及び/又は内部表面を、化学的に修飾して、相対的により疎水性の表面を得ることができる。例えば、ガラス表面は、例えば、3-シアノ-プロピルジメチルクロロシランといったガラス表面のシラノール基と反応する様々なガラス反応性種によって、修飾することができる。表面特性を、典型的には親水性の、むき出しのガラスのものから穏やかな疎水性表面へ変化させる工程は、ガラスの表面に沈着された場合に、脂質分子の疎水性部分をその表面に向かせるよう誘導する。特に、ナノポアの内部表面及び外部表面が疎水性にされた場合、ガラス表面上への脂質単層の沈着は、自然発生的に、ナノポアの第一の開口部を覆う二重層をもたらす。すなわち、ポアの第一の開口部において、脂質単層は脂質二重層へ発展し、一方で、外部表面及び内部表面上に沈着している脂質は、引き続き単層構造を取る。外部表面上の脂質単層とナノポア開口部を覆う脂質二重層との間の遷移は、表面の化学的修飾の結果である。
ナノポアの開口部を覆ってスパニングする(又は支持される)脂質二重層は、センサー構成物を埋め込むための手段として機能することができる。加えて、スパニング脂質二重層構造において、単層と二重層との間の遷移環状領域(transition annulus region)は、ポア開口部上部にあるセンサー構成物の位置を固定するための囲いとして働き、センサー構成物がポア開口部から離れて拡散することを防ぐ。“支持脂質二重層”構造において、センサー構成物は、ポア開口部及び支持体表面の両方の上部の二重層中に拡散してもしなくてもよく、これは、センサー構成要素の構造及び大きさ、センサー構成要素と支持体表面との間の相互作用に依存し、そしてセンサー構成要素がどのように二重層の中に挿入されているか(すなわち、膜支持体の第一の面又は第二の面が面する溶液から)に依存する。
印加される電場とは、典型的には、ナノポア膜の第一の面に位置する第一の電極及びナノポア膜の第二の面に位置する第二の電極を意味する。第一の電極及び第二の電極は、例えば、Ag/AgClといったような、いずれかの適した物質で作ることができる。第一の電極及び第二の電極は、普通、膜の反対側の面に位置する。しかし、当然のことながら、第一の電極及び第二の電極の位置決定は、膜の第一の面及び第二の面に関して相対的であるか、又はナノポアの第一の開口部及び第二の開口部に関係する。例えば、膜の第二の面がチャンバーの中に封じられており、そして膜の第一の面がチャンバーの外側にある場合、第一の電極はチャンバーの外側に位置し、そして第二の電極はチャンバーの内側に位置する。チャンバーは、例えばKClといった、様々な適した電解質を含有することができる。
別の側面において、本発明は、厚さを有し、第一の面及び第二の面を有し、そしてナノポアを有する膜であって、該ナノポアが、第一の開口部、第二の開口部、外部表面及び内部表面を有し、膜の厚さを超えて膜を貫通し、ここでナノポアの第一の開口部が膜の第一の面に対して開いている、前記膜を提供する工程;第一の開口部を覆ってスパニングする手段を提供する工程;膜の第一の面に位置する第一の電極及び膜の第二の面に位置する第二の電極を提供する工程;及び、ナノポアを通る電流フロー又は抵抗をモニタリングするための手段を提供する工程:を含む、ナノポア装置を形成する手段を提供する。
本発明は、厚さを有し、第一の面及び第二の面を有し、そしてナノポアを有する膜であって、該ナノポアが、第一の開口部、第二の開口部、外部表面及び内部表面を有し、膜の厚さを超えて膜を貫通し、ここでナノポアの第一の開口部が膜の第一の面に対して開いている、前記膜を提供する工程;ナノポアの修飾内部表面及び修飾外部表面を提供する工程;第一の開口部を覆ってスパニングするスパニング脂質二重層を提供する工程;ナノポアの第一の開口部を覆ってスパニングする脂質二重層の一部に埋め込まれたセンサー構成物を提供する工程;膜の第一の面に位置する第一の電極及び膜の第二の面に位置する第二の電極を提供する工程;及び、ナノポアを通る電流フロー又は抵抗をモニタリングするための手段を提供する工程:を含む、ナノポア装置を形成する手段をさらに提供する。
厚さを有し、第一の面及び第二の面を有し、そしてナノポアを有する膜であって、該ナノポアが、第一の開口部、第二の開口部、外部表面及び内部表面を有し、膜の厚さを超えて膜を貫通し、ここでナノポアの第一の開口部が膜の第一の面に対して開いている、前記膜を提供する工程;第一の開口部を覆ってスパニングする支持脂質二重層を提供する工程;ナノポアの第一の開口部を覆ってスパニングする脂質二重層の一部に埋め込まれたセンサー構成物を提供する工程;膜の第一の面に位置する第一の電極及び膜の第二の面に位置する第二の電極を提供する工程;及び、ナノポアを通る電流フロー又は抵抗をモニタリングするための手段を提供する工程:を含む、ナノポア装置を形成する方法がさらに提供される。
ある態様において、本発明は、対象とする分析物を含有する試料溶液を提供する工程;分析物を認識するセンサー構成物を含むナノポア装置を提供する工程;ナノポア装置を溶液と接触させて、それにより、どちらかの溶液が対象とする分子又は分析物かを含むかどうかに関わらず、ナノポアの外部表面を溶液に浸漬し、そして、内部ナノポア表面を溶液によって接触させる工程;膜の二つの面を横断して適切な電圧を印加する工程;及び、電気伝導率を解析して、対象とする分析物の濃度を決定する工程:を含む、分析物の単分子検出のための方法又はセンサー構成物と分析物との間の相互作用の解析のための方法を提供する。
分析物は、センサー構成物によって認識可能ないずれかのものであってよい。そのような分析物には、化学的分子又は生化学的分子、イオン、高分子、脂質、粒子などが含まれてもよいが、これらには限定されない。分析物がセンサー構成物に結合したとき、この結合事象は、センサー構成物を横断する電流の減衰をもたらす。センサー構成物手段を通る電流は、交流電流(AC)測定又は直流電流(DC)測定のどちらかを用いて測定することができる。
本発明は、ガラスナノポア膜上に形成される二重層の、非常に高い機械的安定性及び電気的安定性によって、センシング利用及び配列解析利用における抜本的な利点を提供する。例えば、高い電圧(“支持脂質二重層”に対して2 V、“スパニング脂質二重層”構造に対して0.75 V)を、センサー構成物として脂質二重層支持イオンチャネルを有するガラスナノポア装置を横断して印加することができ、従来のイオンチャネル記録セル(約0.24 Vの限界)を用いては評価できない利用を可能にする。機械的安定性は、輸送されるべき脂質二重層支持イオンチャネルを有する装置を可能にする。ガラスナノポア膜上に形成される二重層の、非常に高い機械的安定性及び電気的安定性の組合せにより、多くの利用において、装置の寿命が大幅に延ばす。
ガラスナノポア膜上の二重層の、異例に高い電圧安定性によって、本発明は、脂質二重層内に支持されるタンパク質のチャネル中に、電荷及び双極子基を有する分子を、電気的に捕捉する手段を提供する。例えば、αHLの化学的センシング利用を強化するために用いられるイオン性アダプター分子を、静電気的にタンパク質チャネルに追い込むことができ、そこで任意の時間にわたってその結合を維持する。この能力は、ナノポア膜上に支持された二重層の高い電圧安定性により、イオンチャネル装置を用いた化学的センシング及びDNA配列解析のためのナノポア膜に基づく方法に対して、具体的に利用可能である。
本発明は、ナノポアの開口部をスパニングする二重層領域の数桁分の縮小によって、センシング利用及び配列解析利用における抜本的な利点もまた、提供する。二重層領域の縮小は、二重層の静電容量の比例的減少を伴う(例えば、106の因数だけ)。
ある態様において、修飾ガラスナノポアは、ガラスナノポア開口部をスパニングする脂質二重層領域において、例えばα-ヘモリジン(αHL)といったセンサー構成物として、単一のタンパク質イオンチャネルを囲い込む。修飾ガラスナノポア全体にスパニングする二重層構造は、電流がタンパク質イオンチャネルのみを通ることができるようなものである。タンパク質イオンチャネルは、ポア開口部上部の二重層中に拡散することができるが、この領域を離れて脂質単層に入ることはできない。分析物がイオンチャネルによって認識され及び/又はイオンチャネルを通過する(“移行する”)一方で、分析物は、ポアを通るイオン性電流を部分的に遮断する。この遮断は、イオン性抵抗の一時的上昇(又はイオン性電流の減衰)によって測定される。分析物の結合速度は、分析物の濃度及び/又はセンサー構成物に対する分析物の親和性データを提供することができる。
ある態様において、膜間圧力を用いて、タンパク質イオンチャネルが、ガラスナノポア膜上に沈着された脂質二重層へ挿入される速度及び脂質二重層から取り除かれる速度を調節する。この圧力を用いて、イオンチャネルの数(一つのチャネル対複数のイオンチャネル)を調節することができ、そして、事前に選択した回数でチャネルを挿入し/取り除くことができる。この能力は、同一の溶液と接触させる場合、又は異なる溶液と経時的に順番に接触させる場合に、異なるタンパク質イオンチャネルをナノポアに基づくアレイセンサー中の異なる位置に挿入することを可能にする。
ある態様において、本発明は、薬剤候補を含有する試料溶液を提供する工程;薬剤標的又は修飾薬剤標的であるセンサー構成物を含むナノポア装置を提供する工程;ナノポア装置を溶液と接触させて、それにより、ナノポアの外部表面を溶液に浸漬し、そしてナノポアを溶液で満たす工程;膜の二つの面を横断して適切な電圧を印加する工程;及び、電気伝導率を解析して、薬剤標的と薬剤候補との間に相互作用が起こったかどうか、及び/又は、薬剤標的に対する薬剤候補の親和性を決定する工程:を含む、薬剤スクリーニングのための方法を提供する。
ある態様において、本発明は、DNA種又はRNA種を含有する試料溶液を提供する工程;特定のヌクレオチドの同一性を認識するセンサー構成物を含むナノポア装置を提供する工程;ナノポア装置を溶液と接触させて、それにより、ナノポアの外部表面を溶液に浸漬し、そしてナノポアを溶液で満たす工程;膜の二つの面を横断して適切な電圧を印加する工程;及び、電気伝導率を解析し、DNA分子又はRNA分子の配列を決定する工程:を含む、核酸の配列解析のための方法を提供する。例えば、あるDNA分子がナノポアセンサー装置中に含まれるタンパク質イオンチャネルを通過する際、イオンチャネルの伝導率の特徴的変化が異なるヌクレオチドと関連する。DNAがタンパク質を通過する際の経時的なタンパク質の伝導率をモニタリングすることによって、ナノポアセンサー装置は、DNA鎖をたった一対の塩基の長さから数十万塩基の長さまで配列解析することができる。
ある態様において、本発明は、ポア形成構成物を含有する可能性のある試料溶液を提供する工程;ナノポアを覆ってスパニングする手段を含むが、センサー構成物を含まない、ナノポア装置を提供する工程;ナノポア装置を溶液に接触させて、それにより、ナノポアの外部表面を溶液に浸漬し、そしてナノポアを溶液で満たす工程;膜の二つの面を横断して適切な電圧を印加する工程;及び、電気伝導率を解析して、溶液中にポア形成構成物が存在するかどうか、及び/又は、溶液中のポア形成構成物の量を決定する工程:を含む、ポア形成構成物の検出のための方法を提供する。ポア形成構成物の存在によって、ナノポアの二つの面を横断する電気伝導率が上昇する。
発明を実施するための形態
単分子検出、DNA配列解析、薬剤スクリーニング又は他の適した利用のためのナノポア装置、及びその作製と使用が提供される。そのようなナノポア装置の利点は、装置が機械的振動及び電気的妨害に対して非常に安定であり、センサー構成物を野外で又は移植可能な医療装置の一部として用いることを可能にすることである。第二の利点は、実験により、ナノスケールの開口部全体に形成される二重層膜が安定であり、そして従来のTEFLON(登録商標)支持体上の二重層の寿命を制限する連続的な流動過程を経ないことである。第三の利点は、外部から加えられる圧力を使用して、イオンチャネルの挿入と除去を調節できることである。第四の利点は、高いバイアス電圧を、膜を横断して印加して、測定の精度を改善することができることである。第五の利点は、開口部全体の二重層領域の静電容量を、無視できる値まで減少させ、それによって、イオンチャネルに応じたシャントインピーダンスを減少させることである。第六の利点は、複数の分析物を同時に検出するために、ナノポアのアレイを小型アレイ状に配置することができることである。この装置は、製薬産業、本土防衛、環境利用及び軍事利用、並びにDNAといった核酸の配列解析のためのセンサーとして使用することができる。
図1(A)は、スパニング脂質二重層を有するガラスナノポア膜を示す。膜の外部表面及び内部表面は、修飾剤によって化学的に修飾され、むき出しのガラスの表面特性(親水性)から穏やかな疎水性表面へ、その表面特性を変化させる。表面特性のこの変化は、脂質の疎水性尾部群が沈着された場合、それらを表面の方向に向かせることを誘導する。この化学的修飾は、ガラスにおいて脂質単層を作り、そして同時に、ナノポアの第一の開口部を覆う二重層をもたらす。
ガラス上の脂質単層とナノポア開口部を覆う脂質二重層との間の遷移は、化学的修飾の結果である。一以上のタンパク質チャネルを二重層の中へ挿入することができ(図2(A))、そして単分子検出又はDNA配列解析のために使用することができる。ガラス毛管の中に作られたナノポアにおいて、タンパク質イオンチャネルは、毛管の内側から又は外側の溶液から挿入することができる。毛管の内側からの挿入は、図2(A)で示される構造を垂直反転させたタンパク質をもたらす。
図1(B)は、支持脂質二重層を有するガラスナノポア膜を示す。ナノポアの外部表面及び内部表面は、修飾剤によって修飾されていない。図1(B)に示すように、支持脂質二重層は、ガラスナノポア膜の外部表面に沈着される(White, R. J., Zhang, B., Daniel, S., Tang, J. M., Ervin, E. N., Cremer, P. S., White, H. S. "Ionic Conductivity of the Aqueous Layer Separating a Lipid Bilayer Membrane and a Glass Support," Langmuir, 2006)。この場合、二重層は、むき出しのガラス表面全体、及びナノポアの第一の開口部全体に存在する。センサー分子は、ポアの第一の開口部と接触する外部溶液から、図2(B)のように、外部表面全体の二重層が存在するどこにでも挿入することができ、又はポアの第二の開口部と接触する内部溶液から、挿入することができる。この構造はまた、脂質二重層と親水性のガラス基質とを隔てる水層の基本特性を測定するために適している(White, R. J., Zhang, B., Daniel, S., Tang, J. M., Ervin, E. N., Cremer, P. S., White, H. S. "Ionic Conductivity of the Aqueous Layer Separating a Lipid Bilayer Membrane and a Glass Support," Langmuir, 2006)。センシング利用のためのイオンチャネル基盤としてもたらされる、図1(B)及び図2(B)に示す、支持二重層被覆ガラスナノポア膜は、図1(A)及び図2(A)に示すスパニング二重層被覆ガラスナノポア膜とは次の理由で根本的に異なる:(1)二重層とガラスとの間のシールの抵抗は、支持二重層被覆ガラスナノポア膜においてより弱く、DNA配列解析を含むいくつかの利用を不可能にする可能性がある;(2)毛管の外側から支持二重層の中へのタンパク質挿入が起こるが、ポア開口部からの距離は不揃いである;そして(3)例えばαHLといったタンパク質は、むき出しのガラス表面上に吸着し及び変性することが証明されている。図1(A)及び図2(A)のようなガラスの表面修飾は、タンパク質の吸着及び変性を軽減することができる(Wayment, J. R.; Harris, J. M., Controlling Binding Site Densities on Glass Surfaces, Anal. Chem.; 2006; 78; 7841-7849.)。
図2(B)に示されるように、ガラスナノポアの外部表面及び内部表面は、3-シアノプロピルジメチルクロロシランによって化学的に修飾され、その後、塗装技術又は他の適した方法(例えば、チップ浸漬(tip-dip)沈着又はラングミュア・ブロジェット沈着)によって脂質単層及び脂質二重層(例えば、POPC、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、又はDPhPC、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)を沈着し、そしてその後、単一のα-HLタンパク質イオンチャネルを挿入する。
上記の態様において、ナノポアは、図3に示されるように、ガラス毛管の末端に位置する膜の中に作られる。ナノポア膜を、次の手順で作製することができる:(1)例えば、原子レベルで尖った金属先端といった、ナノポアの鋳型を作製し、そして基材の中に封じ込める;(2)鋳型の先端を露出させるために、基材を研磨する;(3)鋳型の露出部分をエッチングして、基材の中にナノポアを製造する;そして(4)鋳型を基材から取り除き、基材の中にナノポアを残す。いくつかのナノポアの製造方法が、Bo Zhang, Yanhui Zhang, and Henry S. White, "The Nanopore Electrode," Anal. Chem., 76, 6229-6238 (2004); Bo Zhang, Yanhui Zhang, and Henry S. White, The Steady-State Voltammetric Response of the Nanopore Electrode, Anal. Chem. 78, 477-483 (2006); Ryan J. White, Bo Zhang, Susan Daniel, John Tang, Eric N. Ervin, Paul S. Cremer, and Henry S. White, "Ionic Conductivity of the Aqueous Layer Separating a Lipid Bilayer Membrane and a Glass Support," Langmuir, 22, 10777-10783 (2006)において開示されている。
表面修飾ガラスナノポア膜の製造の例を、以下に提供する。
ガラスナノポア膜は、ソーダ石灰ガラス毛管中へ、電気化学的にエッチングした25〜75μmの白金線を封じ込めることによって、作られる(Bo Zhang et al. 2004; 2006)。次に、白金と湿った研磨表面との間の伝導率をモニタリングしながら、ガラスを研磨して削り、ガラスに包み込まれたナノメートルサイズの白金ディスク電極を露出させる。次いで、白金をガラスから取り除き、円錐形のナノポアを生ずる。ポア開口部の大きさは、イオン抵抗を測定することで、明らかにすることができる(R. J. White et al., 2006)。ガラスナノポア膜のガラス表面は、3-シアノプロピルジメチルクロロシランによってシラン化される(Wang, G.; Zhang, B.; Wayment, J. R.; Harris, J. M.; White, H. S., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 7679-7686)。
図4(A)はガラス毛管の写真を示し、そして図4(B)はガラスナノポア膜の拡大図を示す。ナノポアの第一の開口部は、典型的に10から500 nmの範囲(図3(B))であるが、表面の化学特性及び脂質二重層の作製は、より大きいサイズ及びより小さいサイズのポアに対しても同様に適用可能である。
図1(A)及び図2(A)に示されるようなスパニング脂質二重層ナノポア装置は、支持二重層ナノポア装置(図1(B)及び図2(B))と比べて多くの利点を有するが、どちらの装置もイオンチャネルセンサー装置の安定な適した支持体として機能することができる。第一に、むき出しのガラスと比べて、シラン化ガラスと脂質二重層との間のシールの抵抗は顕著に大きい(約5に対して、約100 Gオーム)。この抵抗の上昇は、ポア周囲近くにおける脂質単層から二重層への遷移の結果である。第二に、支持二重層構造又はスパニング二重層構造のどちらにおいても、センサー構成物は、ナノポア膜のどちらの面からも二重層領域の中へ容易に挿入される。スパニング二重層構造において、二重層はナノポアの第一の開口部を覆って存在するのみであり、そして単層は化学修飾されたガラス表面上に存在する。したがって、化学修飾されたガラスナノポアは、ガラスナノポアを覆ってスパニングする脂質二重層領域の中に、単一のタンパク質イオンチャネルを囲い込む。タンパク質イオンチャネルは、ポア開口部上部の二重層の中に拡散することができるが、この領域を離れて脂質単層へはいることはできない。センサー構成物の挿入は、二重層領域においてのみ起こり、二重層内に閉じこめられ、最適な反応を提供する。第三に、タンパク質センサー構成物の吸着/変性が、シラン化反応の後は起きにくい。第四に、図2(A)に示されるような装置は、開閉及び分子認識に関して、従来のTEFLON(登録商標)/ブラック・レイヤー膜系とほぼ同一に機能するが、この装置は、機械的振動及び電気的撹乱に対する安定性が非常に改善され、この装置を野外で又は移植可能な医療装置として用いることを可能にする。
図6は、ガラスナノポア(“むき出しのポア”)、並びにシラン化及びスパニング二重層構造の形成後のガラスナノポア(“二重層スパニングポア”)についての、電流-電圧曲線を示すグラフであり、スパニング二重層構造(図2(A))によって得られる二重層シールの高い抵抗を示す。
図5に示される器具を用い、図2(A)及び図2(B)に示されるようなナノポア装置を使用して、単一イオンチャネル(αHL及び外膜タンパク質、ompF)の測定、並びにs7・β-シクロデキストリン(s7・βCD)及びDNAの確率的単分子検出をした。
図7〜11に示されるグラフに関連する態様において、タンパク質チャネルを通る電流は、ガラス膜の適切な面に位置する二つのAg/AgCl電極の間のAC測定又はDC測定を用いて、測定される。電流を伝えるための電解質(例えば、KCl)を含有する水溶液が、初めから終わりまで使用される。
センサー構成物を含むナノポア装置は、分析物が相互作用し(例えば、結合し)又はセンサー構成物を通って移動する時に、ナノポア内部の電流又は分子流動の変化を測定することにより、分析物を検出する。例えば、分析物は、くびれ区域(約1.4 nm)に達するまで、αHLチャネルの内部バレルの中を通過する。分析物がイオンチャネルの内部にある間、分析物はポアを通るイオン電流を部分的に遮断する。この遮断は、AC若しくはDCの電気的方法、又はその二つの組合せのいずれかによって測定される、イオン抵抗の一時的上昇(又はイオン電流の減衰)によって測定される。DC電圧を使用して、ポアを通る分析物の結合時間又は移動速度を調節することができる。
図7A及び図7Bは、単一イオンチャネル測定における支持体としての、化学修飾されたガラスナノポア膜の能力を図示する。この図は、ナノポアの開口部をスパニングする二重層の中への単一αHLの挿入における、電流-時間の出力記録を示す。この測定に対応するAC及びDC両方の電流-時間の出力記録を示す。両方法は、文献と一致する、αHLについてのイオンチャネルの伝導率をもたらす(約1.0 nS)。記録は、二つの別個の実験に由来する。AC測定は、小さい振幅(10 mV)のACサイン波及び電流の位相敏感検波を用いて実行された。DC測定は、-80 mVのDC電圧を用いて実行された。
図8は、DCの電流-時間の記録を示すグラフであり、ガラスの代わりに石英ガラスを用いて作製されたナノポア膜を覆うスパニング脂質二重層の中へ単一のイオンチャネル(α-HL)を挿入することを示す。例えば、鉛ドーピングしたガラス又はクラウンガラスといった、様々なガラス及びケイ酸塩をソーダ石灰ガラスの代わりに用いて、同一の二重層構造(例えば、図1〜4)、並びに二重層形成、高い抵抗のシール、及びタンパク質挿入(図7〜11)に対応する類似の機能をもたらすことが可能である。鉛ドーピングしたガラスは、ソーダ石灰ガラスより高い抵抗性を有し、そしてそれによって、これらの材料から作製された装置は、いくつかの利用でのイオンチャネル記録に関して優れた特性を示す。ナノポア膜の製造の比較的重要でない修飾には、様々な膜材料の使用を伴う。
図9は、単分子検出のためのナノポア膜装置の態様に関する実験結果である。
ガラス毛管は、ヘプタ-6-スルファト-β-シクロデキストリン(s7βCD)を含む溶液中に置かれ、ここでs7βCDはαHLイオンチャネルに一時的に結合することが知られている。一方のAg/AgCl電極がガラス毛管の内側に置かれ、他方の電極は溶液中の毛管の外側に置かれる。ナノポアは切断された円錐形である。第一の開口部(小さい方)は、毛管の外側に向いており、そして第二の開口部は毛管の内側に向いている。この例において、第一の開口部の半径は250 nmである。スパニング脂質二重層が、ナノポアの第一の開口部を覆って沈着される。毛管へ溶液を加えた後、毛管の後端、すなわちナノポア膜と反対側の端は、Ag/AgCl電極をガラス毛管の中に置いた後に、シリコンゴムシーラントを用いてシールされる。このシールは、膜間圧力(外部溶液に対して毛管の内側から測定される、二重層を横断する圧力)を上昇させ、タンパク質を二重層内に挿入したままにする、安定な系をもたらす。圧力を調節する優れた方法を、この後に記述する。
図9に示される実験結果において、αHLイオンチャネルは、毛管内部の水溶液中に溶解される。-40 mVの膜電位が印加される。約6 sの時点で、単一αHLチャネルの挿入に対応する電流の変化が観測される。イオン電流の増加は約1 nSの伝導率に相当し、報告されている文献値とよく一致する。
図9(A)はまた、ナノポアを覆うスパニング脂質二重層中に埋め込まれたαHLイオンチャネルにおけるs7βCDの単一結合事象を図示する。図9(A)には特徴的な時間が示されており、連結時間(τa(s))は各事象の間の時間であり、そして解離時間(τ(s))は各結合事象の時間である。s7βCDが結合する時、αHLを通る伝導率は約90%まで低下する。s7βCDの結合は、濃度に対する依存性を示す。図9(B)は、25μM、75μM及び125μMの様々な[s7βCD]での、ガラスナノポア膜全体のスパニング脂質二重層中に埋め込まれた単一のαHLチャネルにおけるs7βCD検出の、三つの異なるi-tプロットを示す。s7βCD濃度が増加するにつれて、τaが減少する。
αHLチャネル及びompFチャネルは、ガラスナノポアの第一の開口部(小さい方のポア開口部)の脂質二重層の中へ挿入されており、外部溶液及び内部溶液の両方から挿入され、そして脂質二重層のどちらかの面から挿入されたαHLを用いてs7βCDが検出される。これらの結果は、ナノポア膜を用いたイオンチャネル記録の普遍性を示す。
単一又は複数のイオンチャネル挿入は、上述の方法を用いて行うことができる。単一イオンチャネル挿入(すなわち、二番目の追加のチャネル挿入がない)は、最初の挿入の後に、タンパク質チャネルを含有する溶液を、そのタンパク質を含まない溶液と取り替えることによって、行うことができる。複数チャネル挿入(例えば5から10)は、装置をタンパク質溶液と接触させた状態で、時間をかけて起こる。
図10(A)は、印加されるDCバイアスの伝導率を伴わない二つのαHLチャネルの挿入後のAC伝導率及び-30 mVのDCバイアスを用いたs7・βCDの検出を示す。後者において、わずかな負のDCバイアスがs7・βCD分子の計数速度を上げるが、必須ではない。DC及びAC任意の組合せを、イオンチャネル測定のためのガラスナノポア基盤とともに使用することができる。バイアスを伴うDCは約140 sで変化し、s7βCDの捕捉速度が上昇した。s7βCDがチャネルに結合した際の伝導率の低下は70〜80%であり、TEFLONTMセルを用いたイオンチャネル測定と一致する。このデータは、二重層の中への複数のαHLチャネルの挿入も示す。
図10(B)は、AC検出を用いて記録された、個々のs7・βCDの分子の検出に対応する単一遮断事象の、拡張されたi-t出力記録を示す。
図11(A)及び図11(B)は、印加されるDCバイアス及びs7・βCDのバルク濃度に対する、s7・βCDの検出のための計数速度の依存性を示すグラフである。AC検出を介して別々にそして同時に計数速度を測定しながら、DC電圧を用いてs7・βCDの結合の速度を調節する能力が、図11の上のパネルによって示される。化学修飾ガラスナノポアの支持二重層及びタンパク質を分析物濃度測定のために使用する能力は、図11の下のパネルにおいて示される。この結果は、化学修飾ナノポアが、脂質及びタンパク質によって、分析物濃度を測定する能力があること、及びその感受性を、AC法を用いて別々に分析物結合事象を記録しながらDCバイアスを変化させることによって、調節できることを示す。
図7〜11において具体化された結果は、タンパク質チャネルαHLが、ガラスナノポア膜の開口部にスパニングする脂質二重層中に挿入されること、及び、チャネルが単分子事象の検出を含むイオンチャネル記録のために機能することを示す。さらに、この結果は、スパニング脂質二重層構造が、ナノポア膜の小さい開口部上部でイオンチャネルを囲い込むことを示す。小さい開口部、脂質単層及び二重層、並びに単一αHLチャネルの俯瞰図の、およそ縮尺通りに描かれた概略図を、図12に示す。
上述のように、毛管の内部と外部溶液との間に加えられる正の膜間圧力は、タンパク質挿入の安定性を増加させる。これは、毛管を適切な溶液で満たした後に、毛管の後末端をシリコンゴムシーラントでシールすることによって、達成することができる。シールする工程は、外部溶液に対する毛管内部の圧力の増加を導く。
膜間圧力を用いて、定量的かつ予測可能な手段で、挿入の速度及び二重層からのαHLの除去を調節することができる。図13に示す圧力リグは、この目的のために使用することができる。実験は、毛管内部の溶液に対して圧力を加えるためのシリンジ又は適切な機械装置を用いて、ナノポア膜上に沈着された二重層の開口部を横断して、-500から500 mm Hgの範囲で、圧力を加えることによって実施される。ガラスナノポア膜内部の空気及び水溶液が圧縮され、膜間圧力をもたらし、これを圧力計でモニタリングする。慣習的に、陽圧は、この毛管内部の空気及び溶液の圧縮に対応する。
図14の(A)は圧力調節実験のi-tプロットであり、膜間圧力に応じて、二重層からタンパク質を挿入しそして取り除く能力を、定性的に図示する。t = 5 s において、陽圧が加えられ、二重層の中へαHLを挿入する。t = 11 sにおいて、圧力は陽圧から陰圧へ切り替わり、二重層膜中の全てのαHLの急速な除去をもたらす。二重層膜は、一度タンパク質チャネルが除去されても、無傷のままであり、そしてタンパク質イオンチャネルを挿入及び除去する工程は何度でも繰り返すことができる。
図14(B)は、加えられた陽圧の関数としてのαHL挿入速度の依存性を示し、圧力の関数としての挿入速度の定量的調節を示す。小さい開口部の半径が120から250 nmの範囲の、三つの異なるガラスナノポア膜について、データが示される。タンパク質が自らを中へ挿入するためのより大きい二重層領域があるため、挿入速度は、より大きいナノポア開口部においては、より大きくなる。
この現象をさらに理解するために、加えられる圧力に応じたαHLの挿入が、後面ではなく前面の溶液中のαHLによって調べられた。結果は、タンパク質が毛管内部の溶液から挿入される場合と、質的に同等である。この結果は、加えられた圧力が、有意な流体力学的流動を作らず、それよりも圧力が直接二重層構造に影響し、正の膜間圧力が加えられる場合に、二重層構造をタンパク質挿入により適したものにすることを示す。
脂質/炭化水素溶液でTEFLONTM開口部全体を塗った後の二重層フィルムの領域は、ラプラスの法則:ΔP = 2γ/Rによって記述される静水圧差によって部分的に調節されることが示されている。ここにおいて、γは界面張力、Rは曲率半径、そしてΔPは静水圧力差である(White, S. H. The Physical Nature of Planar Bilayer Membranes in Ion Channel Reconstitution; Miller, C.; Plenum Publishing Co., New York, 1986, 115-130)。膜間圧力が増加するにつれて、曲率半径が減少し、それにより、タンパク質挿入のための二重層の領域の増大が引き起こされる。図15Aにおいて、二重層の半径は記号rbによって示される。rbの値は、圧力の増加と共に増加する。二重層の領域が増大するにつれて、どちらの面からタンパク質が挿入されるかに関わらず、αHLの存在確率もまた増加する。ナノポア膜の幾何学的非対象性によって、結果的として、陽圧と同じ効果を示さない加えられた陰圧を生じる。陰圧は曲率半径の増加をもたらし、二重層が存在する領域を減らし、したがって図15(B)に示すようなタンパク質の唐突な除去を引き起こす。
図16は、膜間圧力の関数としての、s7-βCDの挿入速度(1/τa)及び遺棄速度(1/τ)のプロットである。このデータは、タンパク質イオンチャネルへの単分子の結合の速度は、膜間圧力を変化させることによって、調節できることを示す。
一度二重層が形成されると、構造の機械的安定性及び電気的安定性を詳細に試験することができる。従来の平面二重層及びパッチクランプ測定は、設備をあらゆる振動から隔離できるようにする予防措置が必要であり、これには隔離エアテーブル、及び実験設備を建物の地上階に置くことが含まれる(Molleman, A. Patch Clamping; Wiley, West Sussex, England, 2003)。ガラスナノポア膜は、支持脂質二重層構造又は懸架脂質二重層構造(suspended lipid bilayer structure)(図1(A)又は図1(B))のどちらであっても、例えば、溶液から毛管を除去すること、末端に水滴を維持すること、及び二重層膜は無傷に維持したままで毛管を溶液中に挿入して戻すことを含む、激しい溶液の撹拌に耐えることができる。
図17は、スパニング脂質二重層(POPC)におけるi-V曲線を示し、典型的な崩壊電圧が約0.8 Vであることを示す。この実験は、ガラスナノポア膜上で繰り返し達成される。この崩壊電圧は、例えばTEFLONTM膜を用いた従来の実験用平面二重層装置を使用した場合に報告されている約200〜300 m Vの崩壊電圧より有意に高い。支持脂質二重層についてのi-V曲線は、典型的な崩壊電圧が約2.0 Vであることを示す。脂質二重層の異例に高い崩壊電圧は、基礎研究及び装置応用におけるガラスナノポア膜の使用について、非常にすばらしい利点を提供する。
ガラスナノポア膜上に作製された二重層の保存寿命は、TEFLONTM又は他の高分子膜上に作製された二重層の寿命より有意に大きく、3週間を超える。寿命の増加は、ガラスナノポア膜の小さな開口部半径、ガラス表面の化学修飾、及びナノポアの円錐形という要因の組合せによる。
ガラスナノポア膜上の二重層の異例に高い電圧安定性によって、本発明は、脂質二重層内で支持されるタンパク質のチャネル内部に、電荷及び/又は双極子を有する分子を、静電気的に捕捉する手段を提供する。例えば、αHLの化学的センシング利用を強化するために用いられるイオン性アダプター分子を、タンパク質チャネルの中へ静電気的に追い込み、そこで任意の時間だけ結合させた状態にすることができる。この能力は、二重層の達成可能な高電圧安定性により、ナノポア膜に基づくイオンチャネル装置を用いた化学的センシング及びDNA配列解析の戦略に対して特に利用できる。
ガラスナノポア膜を用いることで、タンパク質イオンチャネルが挿入されている脂質二重層膜を横断して電圧を印加することによって、荷電アダプター分子を、タンパク質イオンチャンネルの内側へ任意の時間だけ(例えば、数分、数時間、数日など)静電気的に捕捉することができる。
α-HL並びに他の生物学的ポア及び合成ポアは、DNA配列解析における使用のために開発されている。この利用においては、電圧によってDNAをポアに通す。鍵となる既知の障害は:(1)速いDNAの移動速度(約1から2μs/塩基)が単純な電気的データの取得を妨げること、そして(2)アルファ-HLにおけるくびれ区域の直径(約1.4 nm)が、塩基がタンパク質を通過するために、その塩基に特有な電気的痕跡を生成するには、若干大きすぎることである。タンパク質の管腔におけるs7βCD及び他のアダプター分子の静電気的捕捉は、DNAが通過するチャネルの大きさを小さくし、それによって、移動速度を減少させ、そして塩基の痕跡が生成されるくびれ区域の大きさを小さくする。本発明は、イオンチャネルを用いたDNA配列解析における主要な既知の障害を取り除く可能性がある。
アダプター分子は、単分子の検出を可能にする分子構造を有する。捕捉されたアダプター分子は、例えばヘプタキス(6-O-スルフォ)-β-シクロデキストリン(“s7-βCD”)といった環状構造を有することができ、例えばα-HLといった元のタンパク質イオンチャネルよりも核酸(例えば、DNA、RNA、又はポリ核酸)の直径により良く適合した直径を有し、それによって、タンパク質チャネルを通る核酸の移動速度を調節するための、簡便な手段を提供する。この方法は一般的であり、そして本明細書に記載の実施例と異なるアダプター分子及びイオンチャネルに対して適用することができる。例えば、合成(又はその他の)ポアにおいてアダプター分子の静電気的捕捉を達成することができる。
アダプター分子は、ほとんどあらゆる構造の、そして様々な官能基、電荷、及び電気双極子を有するものを、普通の化学法によって合成することができる。したがって、上記の利用のために、静電気的捕捉のためにちょうど理想的な構造のアダプター分子を設計し、そして合成することができる。例えば、市販のアダプターには、アルファ-シクロデキストリン-4.7-5.3Å、β-シクロデキストリン-6.0-6.5Å、γ-シクロデキストリン-7.5-8.3Åが含まれ、それぞれは明確なポア直径を有する。これらの分子は、様々な荷電基及び他の官能基が含まれるように修飾することができる。
図18は、s7-βCDの静電気的捕捉を示すグラフを提示する。実験は、3-シクロプロピルジメチルクロロシランで修飾されたガラスナノポア膜を用いて実行された。内部ナノポア溶液は、1μMα-HL、1 M KCl、及び10 mMリン酸緩衝液(PBS - pH 7.4)であった。外部溶液は、50μMのs7-βCD を含有する、1 M KCl 10 mM PBS(pH 7.4)であった。二つのAg/AgCl電極を用いて、内部溶液を参照した電位に対してナノポア膜を横断する電位のバイアスをかけた。1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPhPC)から成る二重層をナノポア(450 nm)を覆って塗布し、そして単一のアルファ-HLを二重層膜の中へ挿入した。-40から-200 mVの間の範囲のDC電圧(シスに対してトランス)を印加し、印加電圧に応じて、アルファ-HLチャネル内部のs7-βCD結合事象の影響をモニタリングした。40〜300 mm Hgの正の膜間圧力を加え、安定なタンパク質挿入を確保した(図4)。本明細書で報告される焦点は、アルファ-HLチャネルの管腔の内側におけるs7-βCDの寿命を延ばすために、高い電圧(>-0.1 V)を使用することである。図4において示されるように、安定なタンパク質挿入は、広い圧力範囲にわたって起こる。
図18で提示される結果は、ナノポア膜の開口部の支持脂質二重層中に挿入されたアルファ-HLチャネルにおける電圧に応じた、s7-βCDの静電気的捕捉を示す。-120及び-200 mVにおいてs7-βCDの安定な捕捉が示される。具体的には、s7-βCD分子は、-200 mVより大きい電圧において、長期間(例えば、数時間)にわたって捕捉される。
静電気的に捕捉されることになるアダプター分子の構造、大きさ及び電荷を、例えばDNA配列解析といった、様々な利用のために最適化することができる。これは、紛れもなく有機化学の問題である。
-40 mVの電位が印加された場合、可逆的確率論的s7-βCD結合事象が、予想されるより比較的短い寿命で、容易に見られる。単一のs7-βCD分子がアルファ-HLチャネルに入る時、チャネルを通る抵抗の上昇の結果として、特徴的な電流の降下が見られる。-100 mVまで電位を上昇させると、確率論的結合事象がより頻繁に起こるようになるが、なお可逆的である。一度>-120 mVの電位が印加されると、s7-βCDの静電気的捕捉を見ることができるようになる。これは、s7-βCDがチャネルに入ることに伴って特徴的な電流降下が始まり、チャネルの通常の開状態又は初期電流レベルに戻らなくなることによって、示される。静電気的捕捉は、“入力及び滞留”として-120 mV及び-200 mVと題された二つの電流-時間プロット(図18)において表記される。
長期間(例えば10分間の試験)にわたる-120 mVより負での静電気的捕捉の後、電圧を下げて、アルファ-HLチャネルからs7-βCDを放出する。アルファ-HLチャネルの伝導率は、s7-βCDの静電気的捕捉の前後で同じであり、このことはこの方法がタンパク質を傷つけ又は変化させないことを示す。
前述の結果は、イオンチャネルが挿入されている脂質二重層を横断して静電電圧を印加することによって、例えばアルファ-HLといったタンパク質イオンチャネルの内部に、任意の時間(例えば、数時間)にわたって、s7-βCDといった荷電アダプター分子を静電気的に捕捉できることを示す。捕捉されたアダプター分子は、単分子の検出を可能にする分子構造を有する。捕捉されたアダプター分子は、元のタンパク質チャネルよりも、DNAなどの核酸の直径により良く適合した直径を有する、例えばs7-βCDといった環構造を有することができ、それによって、タンパク質チャネルを通るDNAの移動速度を調節するための簡便な手段を提供する。
本方法は一般的であり、そして上述の実施例と異なるアダプター分子及びイオンチャネルに対して適用することができる。例えば、合成ポアにおいてアダプター分子の静電気的捕捉をすることができる。
利用におけるこの静電気的捕捉方法の利点には以下のものが含まれる:
利点1 例えばベータ-シクロデキストリンといったアダプター分子は、最初にオックスフォード大学のHagan Bayleyのグループによって、イオンチャネル記録において既に使用されている。しかし、そのアダプター分子は、タンパク質のバレル又は内腔の内部に一時的に留まる。例えば、s7-βCDは、脂質二重層膜を横断して(シスに対してトランス)-0.04 Vの電圧を印加した場合、約1秒の間留まる。次いで、分子はバレルの外に拡散する。この一時的な結合及び解離は、センシング利用におけるアダプター分子の潜在的な実用性を大きく減ずる。前述のガラスナノポア膜を使用すれば、はるかに高い膜間電圧を印加することができる。-0.20 Vより大きい電圧において、s7-βCDはアルファ-HLの内腔に挿入され、そして電圧が-0.20 V未満に下がるまで、タンパク質から解離しない。したがって、この捕捉は、長寿命のα-HL/s7-βCD構造を作る。
利点2 α-HL並びに他の生物学的ポア及び合成ポアが、DNA配列解析に使用するために提案される。そのような利用において、DNAは電圧によってポアを通される。鍵となる障害は:(1)速いDNA移動速度(約2μs/塩基)によって、単純な電気的データの収集が妨げられること、そして(2)α-HL中のくびれ区域の直径(約1.4 nm)が、塩基がタンパク質を通過するためにその塩基に特有の電気的痕跡を生成するには、若干大きすぎることである。タンパク質の管腔における、s7-βCD及び他のアダプター分子の静電気的捕捉は、DNAが通過するチャネルの大きさを小さくし、それによって、移動速度を減少させ、そして塩基の痕跡が生成されるくびれ区域の大きさを小さくする。
さらに、アダプター分子は、ほとんどあらゆる構造の、そして様々な官能基、電荷、及び電気双極子を有するものを、普通の化学法によって合成することができる。したがって、上記の利用のために、静電気的捕捉のためにちょうど理想的な構造のアダプター分子を設計し、そして合成することができる。例えば、市販のアダプターには、アルファ-シクロデキストリン-4.7-5.3オングストローム、β-シクロデキストリン-6.0-6.5オングストローム、ガンマ-シクロデキストリン-7.5-8.3オングストロームが含まれ、それぞれは明確なポア直径を有する。これらの分子は、様々な荷電基及び他の官能基が含まれるように修飾することができる。
この発明は特定の態様について記述されている一方、本発明はこの開示の精神と範囲内でさらに修正することができる。したがって、本出願は、発明の一般原則を用いた、発明のあらゆる変形、用途、又は適用に及ぶことを意図する。さらに、本出願は、この発明が関連し及び添付の請求項に含まれる、当該技術分野において既知の又は慣習的な実施の範囲内に相当する、本開示から逸脱したものに及ぶことを意図する。
本明細書において検討された参考文献は、本願の出願日前の開示のためだけに提供される。本明細書中の内容は全て、発明者が先行発明によってそのような開示に先行する権利を与えられないことの承認とは解釈されない。
図1(A)は、化学修飾されたガラスナノポア上に沈着された脂質構造(“スパニング脂質二重層”)の概略図(切断側面図)である。図1(B)は、むき出しのガラスナノポア上に沈着された脂質構造(“支持脂質二重層”)の概略図(切断側面図)である。 図2(A)は、3-シアノプロピルジメチルクロロシランで化学的に修飾し、その後スパニング脂質二重層を形成するように脂質を沈着し、そしてα-HLタンパク質イオンチャネルを挿入した、ガラスナノポアの概略図である。図2(B)は、支持脂質二重層の沈着及びα-HLタンパク質イオンチャネルの挿入後のガラスナノポアの概略図である。 図3(A)は、ガラスナノポア膜を形成するための一般的手順を概略的に示す。図3(B)は、好ましいガラスナノポア膜の寸法を示す。 図4(A)はガラス毛管の光学像を示し、そして図4(B)はガラス膜中のポアを示す毛管の末端(拡大)の光学像を示す。 図5は、イオンチャネル測定においてGNP膜を使用するための実験装置を示す。脂質二重層及びイオンチャネルは示されていない。 図6は、pH 7.4における1M KCl 10 mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中での半径150 nmのGNPについての、i-V曲線を示す。むき出しのポアのi-V曲線(“むき出しのポア(Bare Pore)”と表記)は、開口部を覆うPOPC二重層沈着後の同一構造(“ニ重層スパニングポア(Bilayer Spanned Pore)”と表記)と比較するために、1/2000に縮尺されている。開口ポアの抵抗及び二重層シールの抵抗はそれぞれ、1.26 MΩ及び88 GΩである。 図7は、AC(上のグラフ)及びDC(下のグラフ)の電流-時間記録を示す二つのグラフであり、GNP膜上のスパニング脂質二重層(図2(A)に描かれるようなもの)の中への単一のイオンチャネル(α-HL)の挿入を示す。電流の上昇が、報告されているα-HLの伝導率に一致する。 図8は、DCの電流-時間記録を示し、石英ガラスから作られた膜のナノポア開口部を覆うスパニング脂質二重層の中への、単一のイオンチャネル(α-HL)の挿入を示す。 図9(A)は、半径250 nmのポアにおけるスパニング脂質二重層構造(POPC)、及びそれに続く-40 mVの印加されたDCバイアスでの約6 sにおけるαHL挿入に対応する、ベースライン電流のi-t出力記録である。αHLチャネルの単一チャネル伝導率は、1 M KCl 10 mM PBS(pH 7.4)において約900 pSと測定される。毛管の内側の溶液は3μMのαHLを含有し、一方、外側の溶液は100μM[s7βCD]を含有する。プロット上の表記は、二重層のみにおける電流レベル、続いて単一のαHL挿入後における電流レベル、そしてαHL・s7βCD複合体における電流レベルである。結合存在時間、τ、及び結合事象間の時間、τaが表記される。図9(B)は、それぞれ25、75、及び125μMのs7βCDを含有する溶液中での、α-HLとのs7βCDの結合事象のi-t出力記録を示す。αHLが外側の溶液中に置かれ、そしてs7βCDが内側の溶液中に含有されている場合、本質的に同一の記録が得られた。図中の“WT”は、“野生型”αHLに対応する。変異体αHLチャネルは、ガラスナノポア膜を支持体として使用し、同等によく機能する。 図10(A)(上のグラフ)は、位相敏感検出法を用いて得られたACのi-t記録を示し、GNP膜上のスパニング脂質二重層(例えば、図2(A))の中へ挿入される複数のαHLによる、s7βCDの単分子検出が示される。図10(B)(下のグラフ)は、一つの遮断事象の、拡張されたi-t出力記録を示す。 図11は、化学修飾ガラスナノポア上に沈着されたスパニング脂質二重層中に埋め込まれた単一αHLイオンチャネルを用いた、印加されたDCバイアス(上のグラフ)及びバルクs7βCD(下のグラフ)に対する遮断速度(一秒あたりの単分子計数)の依存性を示す二つのグラフである。 図12は、ガラスナノポア膜開口部、上部ガラス膜上の脂質単層、開口部を覆うスパニング脂質二重層、及び二重層の中へ挿入された単一αHLチャネルの俯瞰図を、概略的に示す。 図13は、脂質二重層を横断する圧力を調節し及びモニタリングする器具を概略的に示す(毛管外部の圧力に対する毛管内部の圧力であり、本明細書において“膜間圧力”と呼ぶ)。 図14(A)は、i-t出力記録であり、タンパク質の挿入及び除去に対する、膜間圧力の影響を示す。>20 mm Hgの正の膜間圧力(外部溶液に対する内部溶液)は、αHLチャネルの挿入をもたらす。チャネルは、圧力を減らすか又は陰圧をかけることによって、可逆的に取り除かれる。図14(B)は、異なる大きさのガラスナノポア開口部に対する膜間圧力の関数としての、αHL挿入の速度のプロットである。 図15(A)は、二重層領域、ガラス表面近くの二重層の縁における環構造、及び二重層領域の半径、rb、を示す概略図(側面図)である。図15(B)は、二重層領域が、膜間圧力の減少によってどのように減少するか、そして膜間圧力の上昇によってどのように増加するかを、概略的に示す。 図16は、膜間圧力の関数としての、s7-βCDの挿入の速度(1/τa)(上のプロット)及び遺棄の速度(1/τd)(下のグラフ)の二つのグラフ/プロットである。 図17は、スパニング脂質二重層(POPC)におけるi-V曲線を示すグラフであり、典型的な崩壊電圧が約0.8 Vであることを示す。 図18は、一定圧力(約40 mm Hg)における膜間電圧に応じた、スパニング脂質二重層(DPhPC)の中へ挿入されたα-HLとのs7-βCDの結合を示す、四つのグラフである。この結果は、二重層を横断する電圧に応じたs7-βCDの静電気的捕捉を示す。大きな負電圧におけるs7-βCDの静電気的捕捉(長寿命の結合)は、電流の一定の減衰によって明らかにされる。

Claims (33)

10μm以上の厚さ並びに外側の第一の面及び内側の第二の面を有する膜であって、第一の面が第二の面の反対側にあり、ガラス、石英、Si、SiO 2 、Si 3 N 4 ケイ酸塩、アルミナ、窒化物、金属、セラミックス、高分子及びこれらの組合せから成る群から選択される物質から作られる、前記膜;
膜を貫通し、それによって膜の第一の面及び第二の面を連通する少なくとも一つのチャネルを形成する、少なくとも一つのナノポアであって、該ナノポアが第一の開口部、第二の開口部、及びさを有し、そこにおいて、第一の開口部が膜の第一の面に対して開いており、そして第二の開口部が膜の第二の面に対して開いており、そしてそこにおいて、第一の面並びに膜の第一の面及び第二の面を連通する該少なくとも一つのチャネルの表面部分が該表面部分を疎水性にする修飾分子を含む、前記ナノポア;及び
ナノポアの第一の開口部を覆ってスパニングする脂質構造であって、膜の第一の面の表面部分上の第一の脂質単層並びに膜の第一の面及び第二の面を連通する該少なくとも一つのチャネルの表面部分上の第二の脂質単層を含み、該第一及び第二の脂質単層はナノポアの第一の開口部の縁付近で互いに結合し、ナノポアの第一の開口部を覆ってスパニングする脂質二重層を形成する、脂質構造
を含む、ナノポア装置。
膜がガラスから作られる、請求項1のナノポア装置。
ナノポアが切断された円錐形をしており、そこにおいてナノポアの第一の開口部の半径がナノポアの第二の開口部の半径より小さい、請求項2のナノポア装置。
該脂質二重層の中に埋め込まれている、少なくとも一つのセンサー構成物をさらに含む、請求項3のナノポア装置。
ナノポアの第一の開口部の半径が、2 nmから500 nmの範囲である、請求項1のナノポア装置。
ナノポアの第一の開口部の半径が500 nmより大きい、請求項1のナノポア装置。
センサー構成物が、タンパク質イオンチャネル、修飾イオンチャネル、酵素、及び、溶液中の分析物、イオン及び分子と相互作用した時に電気信号を生成する生体物(biological entity)から成る群から選択される、請求項のナノポア装置。
センサー構成物が、α-ヘモリジン、改変型α-ヘモリジン、及びポリンOmpFから成る群から選択されるタンパク質イオンチャネルである、請求項のナノポア装置。
修飾分子が3-シアノ-プロピルジメチルクロロシラン又は他のシランである、請求項8のナノポア装置。
膜の第一の面及び第二の面を横断して電場を印加するための手段;
ナノポアを通る電流フロー又は抵抗をモニタリングするための手段;
観測された電流フロー又は抵抗を処理して、有用な出力を生成するための手段:
をさらに含む、請求項9のナノポア装置。
電場を印加するための手段が第一の電極及び第二の電極を含む、請求項10のナノポア装置。
第一の電極が膜の第一の面に位置し、そして第二の電極が膜の第二の面に位置する、請求項11のナノポア装置。
第一の電極及び第二の電極がAg/AgClで作られている、請求項12のナノポア装置。
膜の厚さが20μmから75μmの範囲である、請求項13のナノポア装置。
膜の第一の面と第二の面との間に膜間圧力を加えるための手段をさらに含む、請求項1のナノポア装置。
10μm以上の厚さ並びに、第一の面が第二の面の反対側にある、外側の第一の面及び内側の第二の面を有する膜を提供する工程であって、該膜が、ガラス、石英、Si、SiO 2 、Si 3 N 4 、ケイ酸塩、アルミナ、窒化物、金属、セラミックス、高分子及びこれらの組合せから成る群から選択される物質を含む、工程
膜の厚さを超えて膜を貫通し、それによって膜の第一の面及び第二の面を連通する少なくとも一つのチャネルを形成する少なくとも一つのナノポアを提供する工程であって、そこにおいて、該ナノポアが、膜の第一の面に対して開いている第一の開口部膜の第二の面に対して開いている第二の開口部、及び深さ有す工程;
第一の面並びに膜の第一の面及び第二の面を連通する該少なくとも一つのチャネルに疎水性の表面部分を作り出すことにより、膜の表面特性を変化させる工程;
脂質構造であって、膜の第一の面の表面部分上の第一の脂質単層並びに膜の第一の面及び第二の面を連通する該少なくとも一つのチャネルの表面部分上の第二の脂質単層を含み、該第一及び第二の脂質単層はナノポアの第一の開口部の縁付近で互いに結合し、ナノポアの第一の開口部を覆ってスパニングする脂質二重層を形成する、脂質構造を沈着させる工程
を含む、ナノポア装置を形成する方法。
ナノポアの第一の開口部を覆ってスパニングする脂質二重層の中にセンサー構成物を埋め込む工程をさらに含む、請求項16による方法。
膜の第一の面及び第二の面を横断して電場を印加する工程;
ナノポアを通る電流フロー又は抵抗をモニタリングする工程;及び
観測された電流フロー又は抵抗を処理して有用な出力を生成する工程:
をさらに含む、請求項17による方法。
ナノポアの第一の開口部の半径が、2 nmから500 nmの範囲である、請求項16による方法。
ナノポアの第一の開口部の半径が500 nmより大きい、請求項16による方法。
膜がガラス膜である、請求項16による方法。
膜の表面特性を変化させる工程が、第一の面並びに膜の第一の面及び第二の面を連通する該少なくとも一つのチャネルの表面部分が疎水性になるように膜を化学的に修飾する工程を含む、請求項16による方法。
センサー構成物を埋め込む工程が、圧力によって脂質二重層の中にセンサー構成物を挿入する工程を含む、請求項17による方法。
埋め込まれたセンサー構成物が、圧力によって脂質二重層から取り除かれうる、請求項17による方法。
電荷又は永久双極子を有するアダプター分子を、センサー構成物に静電気的に閉じこめる工程をさらに含む、請求項16による方法。
ナノポアが切断された円錐形をしており、そこにおいてナノポアの第一の開口部の半径がナノポアの第二の開口部の半径より小さい、請求項16による方法。
膜の厚さが20μmから75μmの範囲である、請求項16による方法。
対象とする分析物を含有する試料溶液を提供する工程;
ナノポア装置に試料溶液を接触させて、それにより、膜の第一の面試料溶液に浸漬し、そして少なくとも一つのナノポアを試料溶液で満たす工程;
膜の第一の面及び第二の面を横断して適切な電圧を印加する工程;
少なくとも一つのナノポアを通る抵抗又は電流フローを測定する工程;及び
観測された抵抗又は電流フローを解析して、有用な出力を生成する工程:
を含む、請求項1のナノポア装置を用いた、分析物の単分子検出のための方法。
少なくとも一つのナノポアを通る抵抗又は電流フローを測定する工程が、交流電流(AC)測定又は直流電流(DC)測定を用いることを含む、請求項28による方法。
ナノポア装置のセンサー構成物が薬剤標的又は修飾薬剤標的であり、対象とする分析物が薬剤候補であり、そして有用な出力が薬剤標的又は修飾薬剤標的に対する薬剤候補の結合親和性である、請求項28による方法。
ナノポア装置のセンサー構成物が特定のヌクレオチドを認識し、対象とする分析物が核酸であり、そして有用な出力が核酸の配列情報である、請求項28による方法。
ナノポアが切断された円錐形をしており、そこにおいてナノポアの第一の開口部の半径がナノポアの第二の開口部の半径より小さい、請求項28による方法。
膜の厚さが20μmから75μmの範囲である、請求項28による方法。
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