JP5423800B2 - 電線及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電線及びその製造方法に関する。
自動車やロボットに使用される電線や、モーターに使用されるコイル用の巻き線には、放電開始電圧が高いこと、耐摩耗性で示される機械的強度、耐熱性等が要求され、また加工時の損傷を防ぐためにも機械的強度が要求される。
このような背景の下、特許文献1では、フッ素樹脂微粉末をアルコールに分散した分散物を、ポリアミドイミドなどの絶縁塗料に少量配合して潤滑塗料とすること、潤滑塗料を最外層に焼き付けて絶縁電線とすることが提案された。
特許文献2では、熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁皮膜の上に、バインダーを含まぬフッ素樹脂よりなる皮膜またはフッ素樹脂とバインダーよりなりバインダーの構成比が、重量比で、フッ素樹脂とバインダーを合わせた量の20%以下よりなる皮膜を形成したことを特徴とする絶縁電線が提案された。
特許文献3では、ポリイミド樹脂とフッ素樹脂と電荷付与剤とを水分散してなる水分散型樹脂エマルジョンを導体上に電着し、乾燥、焼付けすることによって絶縁層を形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法が提案された。
特許文献4では、フッ素樹脂微粉末の存在下で合成された潤滑性ポリアミドイミドからなる被膜を最外層に有する自己潤滑性絶縁電線が提案された。
特開平5−247374号公報 特開2000−223309号公報 特開2002−298674号公報 特開平5−320340号公報
しかしながら、自動車やロボットに使用される機器、並びに、モーターに対する小型化や高出力化の要求を受け、そこで使用される電線やコイルに流れる電流の密度も大きくなり、また、巻き線の密度も高くなる傾向にあるので、従来の電線では達成できなかった高い性能を有する電線が求められる。
本発明の課題は、従来よりも高い放電開始電圧、耐摩耗性で示される機械的強度、及び、耐熱性を有する電線を提供することにある。
本発明は、導体と、前記導体の外周に形成される第一の絶縁層とを有し、前記第一の絶縁層は、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が90:10〜10:90であり、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であることを特徴とする電線である。
上記電線は、第一の絶縁層の外周に形成され、全体の80質量%以上がフッ素樹脂からなる第二の絶縁層を有することが好ましい。
上記電線は、第二の絶縁層の外周に形成され、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が100:0〜30:70である第三の絶縁層を有し、第三の絶縁層は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であることが好ましい。
本発明の電線において、上記熱硬化性樹脂は、ポリビニルホルマール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイド、ポリエーテルイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の電線において、上記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明は、上記電線の製造方法であって、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成することを特徴とする製造方法でもある。
本発明は、上記電線の製造方法であって、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成し、第一の絶縁層の外周に、フッ素樹脂を80%以上含む第二の絶縁層を形成することを特徴とする製造方法でもある。
本発明は、上記電線の製造方法であって、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成し、第一の絶縁層の外周に、フッ素樹脂を80%以上含む第二の絶縁層を形成し、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けて、第三の絶縁層を形成することを特徴とする製造方法でもある。
本発明の電線は、上記構成からなるので、導体と絶縁層が強固に接着しており、誘電率が低く、放電開始電圧が高く、優れた機械的強度(耐磨耗性)を有する。また、薄膜の絶縁層を成形することができるので、放熱性も良好である。さらに、最外層がフッ素樹脂を有するものである場合、すべり性が良好であり、耐熱性にも優れる。
本発明の電線は、導体と、前記導体の外周に形成される第一の絶縁層とを有し、前記第一の絶縁層は、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、かつ、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が90:10〜10:90であり、該第一の絶縁層は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であることを特徴とする。なお、「導体の外周に形成される第一の絶縁層」という場合、該第一の絶縁層は、導体と接することとなる。「第一の絶縁層の外周に形成される第二の絶縁層」という場合、該第二の絶縁層は、第一の絶縁層と接することとなる。「第二の絶縁層の外周に形成される第三の絶縁層」という場合、該第三の絶縁層は、第二の絶縁層と接することとなる。
本発明の電線は、第一の絶縁層が熱硬化性樹脂とフッ素樹脂とを上記の質量比で含み、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて形成されるものであるので、放電開始電圧が高く、機械的強度(耐摩耗性)、及び、耐熱性に優れる。
本発明の電線において、第一の絶縁層の熱硬化性樹脂が多すぎると放電開始電圧が低くなったり、耐熱性に劣るおそれがあり、フッ素樹脂が多すぎると接着性、機械的強度に劣る。熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比は、90:10〜20:80であることが好ましく、75:25〜30:70であることがより好ましい。なお、「質量比」は固形分質量比である。第一の絶縁層は、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂の合計が97〜100質量%であることが好ましい。
本発明の電線は、第一の絶縁層の外周に形成される第二の絶縁層を有することが好ましい。第二の絶縁層を有する場合、放電開始電圧と耐摩耗性のバランスに優れるものとなる。
本発明の電線において、第二の絶縁層は、第二の絶縁層全体の80質量%以上がフッ素樹脂からなるものである。より好ましくは、85質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
第二の絶縁層は、フッ素樹脂以外に、例えば、後述する、無機顔料、フィラー、密着付与剤、酸化防止剤、潤滑剤、染料等を含んでいてもよい。
本発明の電線は、第二の絶縁層の外周に形成される第三の絶縁層を有することが好ましい。第三の絶縁層は、第二の絶縁層の外周に形成され、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が100:0〜30:70である。第三の絶縁層は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であってもよいし、フッ素樹脂オルガノゾルを含まない熱硬化性樹脂溶液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であってもよいが、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であることが好ましい。本発明の電線は、第三の絶縁層が熱硬化性樹脂とフッ素樹脂とを上記の質量比で含み、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であると、機械的強度、及び、耐熱性がより優れる。また、本発明の電線は、第二の絶縁層を有するので、放電開始電圧が高く、耐熱性が更に優れたものとなる。
本発明の電線において、第三の絶縁層の熱硬化性樹脂が多すぎると放電開始電圧が低くなるおそれがあり、フッ素樹脂が多すぎると機械的強度に劣るおそれがある。第三の絶縁層において、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比は、99.9:0.1〜30:70であることが好ましく、80:20〜30:70であることがより好ましく、60:40〜30:70であることが更に好ましく、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比は、50:50〜30:70であることが特に好ましい。第三の絶縁層は、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂の合計が97〜100質量%であることが好ましい。
上記電線において、熱硬化性樹脂は、ポリビニルホルマール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイド、ポリエーテルイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂は、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイド、ポリエーテルイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上を併用して使用してもよい。2種以上を使用する場合の好ましい態様としては、ポリアリーレンサルファイド及びポリアミドイミドの組み合わせ、ポリアリーレンサルファイド及びポリイミドの組み合わせ、ポリアリーレンサルファイド及びポリエステルイミドの組み合わせ、等が挙げられる。
上記ポリアミドイミド〔PAI〕は、分子構造中にアミド結合とイミド結合の両方を有する重合体からなる樹脂である。上記PAIとしては特に限定されず、例えば、アミド基を分子内にもつ芳香族ジアミンとピロメリット酸等の芳香族四価カルボン酸との反応、無水トリメリット酸等の芳香族三価カルボン酸と4,4−ジアミノフェニルエーテル等のジアミンやジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネートとの反応、芳香族イミド環を分子内に有する二塩基酸とジアミンとの反応等により製造される高分子量重合体からなる樹脂等が挙げられる。上記PAIとしては、耐熱性に優れる点から、主鎖中に芳香環を有する重合体からなるものが好ましい。
上記ポリイミド〔PI〕は、分子構造中にイミド結合を有する重合体からなる樹脂である。上記PIとしては特に限定されず、例えば、無水ピロメリット酸等の芳香族四価カルボン酸無水物の反応等により製造される高分子量重合体からなる樹脂等が挙げられる。上記PIとしては、耐熱性に優れる点から、主鎖中に芳香環を有する重合体からなるものが好ましい。
上記ポリアリーレンサルファイド〔PAS〕は、分子構造中にアリーレンチオエーテル基を有する重合体からなる樹脂である。本明細書において、「アリーレン」とは、aryleneを意味し、allyleneを意味するものではない。上記PASとしては特に限定されず、例えば、ポリフェニレンサルファイド〔PPS〕等が挙げられる。
上記PASとしては、一般式−Ar−Z(式中、Arはアリーレン基を示し、Zはチオラート基(−SM、Mはアルカリ金属を示す)又は−Fを示す)で表される末端基を有する重合体からなるものであってもよいし、一般式−Ar−Z’(式中、Arはアリーレン基を示し、Z’はメルカプト基(−SH)又は−Hを示す)で表される末端基を有する重合体からなるものであってもよい。
上記一般式−Ar−Zで表される末端基を有する重合体からなるPPSは、例えば、米国特許第3354129号公報等に記載されている方法等により製造することができ、例えば、N−メチルピロリドン等の極性溶媒中で、NaS等のアルカリ金属硫化物又は硫酸ナトリウムと、パラジクロロベンゼン等のジハロ芳香族化合物との脱ハロゲン/硫化反応によってポリアリーレンチオエーテルを生成させることにより製造することができる。
上記一般式−Ar−Z’で表される末端基を有する重合体からなるPPSは、例えば、上記一般式−Ar−Zで表される末端基を酸処理により変性することにより製造することができる。
上記ポリエーテルスルホン〔PES〕としては、下記一般式
Figure 0005423800
(式中、tは2以上の整数を示す)で表される重合体からなる樹脂等が挙げられる。上記PESとしては特に限定されず、例えば、ジクロロジフェニルスルホンとビスフェノールとの重縮合により得られる重合体からなる樹脂等が挙げられる。
上記ポリエステルイミド〔PEI〕は、分子構造中にイミド結合とエステル結合との両方を有する重合体からなる樹脂である。
上記熱硬化性樹脂としては、PAI又はPEIを用いることが更に好ましい。PAI又はPEIを用いることにより、絶縁層の機械的強度を向上させることができる。
上記電線において、上記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔PFA〕、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記フッ素樹脂は、PTFE、PFA及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
第一の絶縁層に用いられるフッ素樹脂としては、PTFE及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。PTFEとFEPは単独で使用してもよいし、併用してもよい。
第二の絶縁層に用いられるフッ素樹脂としては、溶融加工性のフッ素樹脂が好ましく、FEP又はPFAがより好ましい。
第三の絶縁層に用いられるフッ素樹脂としては、PTFE及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。PTFEとFEPは単独で使用してもよいし、併用してもよい。
〔PTFE〕
上記PTFEは、テトラフルオロエチレン単独重合体であってもよいし、変性ポリテトラフルオロエチン〔変性PTFE〕であってもよい。上記「変性PTFE」は、得られる重合体に溶融加工性を付与しない程度の少量の共単量体をTFEと共重合してなるものを意味する。上記少量の共単量体としては特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン(3FH)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、パーフルオロ(アルコキシビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン等が挙げられる。上記少量の共単量体は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記少量の共単量体が上記変性PTFEに付加されている割合は、その種類によって異なるが、例えば、PAVE、パーフルオロ(アルコキシビニルエーテル)等を用いる場合、通常、上記TFEと上記少量の共単量体との合計質量の0.001〜1質量%であることが好ましい。
PTFEとしては、耐熱性の観点で、融点が320℃以上のものが好ましい。
〔PFA〕
上記PFAとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とPAVE単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とPAVE単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、PMVEであることが更に好ましい。
PFAは、TFE、PAVE、並びに、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、当該単量体としては、HFP、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
PFAは、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びPAVE単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性及び耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
〔FEP〕
上記FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とHFP単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とHFP単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
FEPは、TFE、HFP、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、当該単量体としては、CF=CF−ORf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられ、なかでも、PAVEであることが好ましい。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、及び、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
FEPは、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びHFP単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性及び耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
上記フッ素樹脂は、少なくとも1種以上を使用すればよいが、2種以上のフッ素樹脂を使用することも好ましい。2種以上のフッ素樹脂を使用する場合の好ましい態様としては、PTFE及びPFAの組み合わせ、PTFE及びFEPの組み合わせ等が挙げられる。
また、上記第二の絶縁層に使用されるフッ素樹脂としては、パーフルオロ樹脂が好ましく、PTFE、PFA及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種のパーフルオロ樹脂であることが更に好ましい。
上記フッ素樹脂がPTFEである場合、該フッ素樹脂は、標準比重(SSG)が2.13〜2.21であることが好ましい。上記フッ素樹脂がPFA又はFEPである場合、該フッ素樹脂は、372℃におけるMFRが5〜80g/10分であることが好ましい。
本明細書において、上記SSGは、ASTM D 4895に準拠して測定したものである。上記MFRは、ASTM D3307−01に準拠し、メルトインデクサー(東洋精機社製)を用いて、融点より70℃高い温度、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)である。
第一の絶縁層、第二の絶縁層又は第三の絶縁層は、放電開始電圧及び機械的強度(耐摩耗性)を向上させるために、無機顔料を含んでもよい。上記無機顔料は焼き付けの際にも安定なものが好ましく、例えば、チタン、鉄の酸化物、カーボン粉末などが挙げられる。上記無機顔料は、電線を構成するいずれの絶縁層に含まれていてもよい。
第一の絶縁層、第二の絶縁層又は第三の絶縁層は、また、フィラー、密着付与剤、酸化防止剤、潤滑剤、染料等を含むものであってもよい。上記無機顔料、フィラー、密着付与剤、酸化防止剤、潤滑剤、染料等は、電線を構成するいずれの絶縁層に含まれていてもよい。
各絶縁層の膜厚は限定されないが、第一の絶縁層、第二の絶縁層及び第三の絶縁層の合計の膜厚を1〜100μmとすることができる。本発明によれば、上記合計の膜厚を60μm以下にすることもできるし、40μm以下にすることも可能である。また、30μm以下まで薄くすることもできる。各絶縁層の合計の膜厚を薄くすることは、放熱性能に優れる点で有利である。
上記第一の絶縁層、第二の絶縁層及び第三の絶縁層の膜厚は、電線の用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、本発明の電線が、導体及び第一の絶縁層のみからなる場合、第一の絶縁層は、10〜20μmであることが好ましい。導体、第一の絶縁層及び第二の絶縁層のみからなる場合、第一の絶縁層は、5〜15μmであり、第二の絶縁層は、10〜40μmであることが好ましい。本発明の電線が、導体、第一の絶縁層、第二の絶縁層及び第三の絶縁層のみからなる場合、第一の絶縁層は、5〜15μm、第二の絶縁層は、10〜40μm、第三の絶縁層は、5〜20μmであることが好ましい。
本発明の電線において、第一の絶縁層は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けることによって形成された層である。
本発明の電線において、第三の絶縁層は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液(又は熱硬化性樹脂溶液)を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けて形成された層である。
上記塗布の方法は特に限定されず、ディッピング法等の公知の方法を用いることができる。
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合して得られた混合液から絶縁層を形成すると、絶縁層中に熱硬化性樹脂とフッ素樹脂とが均一に分散するので、本発明の電線は放電開始電圧が高く、機械的強度、及び、耐熱性等がより大きく向上する。
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとの混合は、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂とがお互いに充分に混じりあうまで混合することが好ましく、通常5分〜2時間撹拌することにより行うことができる。
上記混合液の塗布は、1回のみでもよいし、複数回行ってもよい。複数回の塗布により、絶縁膜のピンホールを減少させることができる。
上記焼き付けは、従来公知の方法により行うことができる。塗布した混合液を焼き付け前に乾燥してもよい。焼き付けの温度としては、例えば、200〜320℃であることが好ましい。第一の絶縁層の焼付け温度はより好ましくは、250〜270℃であり、第三の絶縁層の焼付け温度は250〜310℃が好ましく、250℃〜300℃がより好ましい。また、混合液中の媒体等を充分に揮発させて、接着性をより向上させる観点から、第三の絶縁層の焼き付け温度は、第一の絶縁層の焼き付け温度よりも高いことが好ましい。例えば、第一の絶縁層の焼付け温度が250〜270℃であり、第三の絶縁層の焼付け温度が270℃を超え、310℃以下であることが好ましく、270℃を超え、300℃以下であることがより好ましい。
フッ素樹脂オルガノゾルは、フッ素樹脂及び有機媒体からなるものである。有機媒体としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、クレゾール、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
熱硬化性樹脂溶液は、熱硬化性樹脂及び媒体からなるものである。上記媒体は、水性媒体からなるものであってもよいし、有機媒体からなるものであってもよいが、フッ素樹脂オルガノゾルとの混合を均一に行う観点から、有機媒体からなるものであることが好ましい。有機媒体としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、クレゾール、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
オルガノゾル中のフッ素樹脂の濃度は1〜80質量%であってよく、1〜50質量%であってもよい。熱硬化性樹脂溶液中の熱硬化性樹脂濃度は1〜80質量%であってよく、1〜50質量%であってもよい。2種以上のフッ素樹脂オルガノゾルを使用する場合、上記「オルガノゾル中のフッ素樹脂の濃度」は、フッ素樹脂オルガノゾルの合計質量に対する、フッ素樹脂の合計の濃度である。熱硬化性樹脂溶液の場合も同様である。
フッ素樹脂オルガノゾルは、分散粒子径が30〜500nmであることが好ましい。30〜350nmであることがより好ましい。分散粒子径が大きすぎる場合や小さすぎる場合、クラック等の不具合を生じるおそれがある。
フッ素樹脂オルガノゾルが、PTFEを除くフッ素樹脂からなるオルガノゾルである場合、分散粒子径が30〜200nmであることが好ましい。分散粒子径が大きすぎる場合や小さすぎる場合、クラック等の不具合を生じるおそれがある。40〜100nmであることがより好ましい。
フッ素樹脂オルガノゾルがPTFEからなるPTFEオルガノゾルの場合、分散粒子径は150〜350nmであることが好ましい。分散粒子径が大きすぎる場合や小さすぎる場合、クラック等の不具合を生じるおそれがある。200〜300nmであることがより好ましく、230〜260nmであることが更に好ましい。上記分散粒子径は、大塚電子(株)製FPAR−1000を用いて、動的光散乱法によって測定した値である。
フッ素樹脂オルガノゾルは、公知の方法により製造することができる。例えば、フッ素樹脂のコロイド状粒子を含む水性分散体に、沸点が100℃以上の有機溶媒を加え、次いで水分を加熱して除去することによって製造する方法(特公昭49−18775号公報、米国特許第2937156号明細書、英国特許第1094349号明細書、特公昭48−17548公報参照)、水に可溶な有機液体又は電解質水溶液等の転相剤をフッ素樹脂水性分散体に加えて撹拌して、水に不溶又は難溶である有機溶媒等の転相液に転層させる方法(特公昭49−17016号公報参照)等が挙げられる。
上記混合液中の固形分(フッ素樹脂及び熱硬化性樹脂)の濃度は、5〜70質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましい。
第一の絶縁層を形成するための混合液の場合、該混合液中の熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比は、90:10〜10:90であることが好ましく、90:10〜20:80であることがより好ましく、75:25〜30:70であることが更に好ましい。第三の絶縁層を形成するための混合液の場合、該混合液中の熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比は、100:0〜30:70であることが好ましく、99.9:0.1〜30:70であることがより好ましく、80:20〜30:70であることが更に好ましく、60:40〜30:70であることが特に好ましく、50:50〜30:70であることが最も好ましい。
第一の絶縁層又は第三の絶縁層を形成するための混合液の使用は、優れた特性を有する電線を得る上で有益であり、上記混合液は上記電線が有する層構成以外でも使用することは可能である。
導体の形成材料としては、導電性が良好な材料であれば特に制限されず、例えば、銅、銅合金、銅クラッドアルミニウム、アルミニウム、銀、金、亜鉛めっき鉄等が挙げられる。
上記導体は、その形状に特に限定はなく、円形であっても平形であってもよい。円形導体である場合、導体の直径は、0.3〜2.5mmであってよい。
本発明の電線は、絶縁層全体としての比誘電率が3.0以下であることが好ましい。例えば、本発明の電線が、導体及び第一の絶縁層のみからなる場合、下記方法で測定した第一の絶縁層の比誘電率が3.0以下であることが好ましい。本発明の電線が、導体、第一の絶縁層及び第二の絶縁層のみからなる場合、二層からなる積層体を下記方法で測定したときの比誘電率が3.0以下であることが好ましい。本発明の電線が、導体、第一の絶縁層、第二の絶縁層及び第三の絶縁層からなる場合、三層からなる積層体を下記方法で測定したときの比誘電率が3.0以下であることが好ましい。
上記比誘電率は、容量法により測定する値である。測定方法としては、被覆電線を1%食塩水中に入れ、導体と、最外絶縁層の外側間の電気容量を求め、厚み、表面積から比誘電率を求める。測定は、以下の条件で行うことができる。
容量法誘電率測定方法 1kHz(pF/m)
内側電極:芯線(導体)
外側電極:水
測定機器:NF回路設計ブロック社製LCZメーター
本発明によれば、絶縁層の放電開始電圧を800V以上とすることができる。また、1000V以上とすることもできる。上記放電開始電圧は、電線を構成する絶縁層全体の放電開始電圧を意味し、例えば、電線が、導体と、第一の絶縁層、第二の絶縁層及び第三の絶縁層とからなる場合、第一の絶縁層、第二の絶縁層及び第三の絶縁層をあわせた絶縁層全体の放電開始電圧である。
上記放電開始電圧は、JIS C3003 11.1に準拠して作成したツイスト片について、総研電気(株)製DAC−PD−3を用いて、周波数100kHz、電荷量100pCにて測定することができる。
上記機械的強度は、JIS C 3003 10.1に準じて往復式磨耗試験器により測定する値である。
上記電線の製造方法も本発明の1つである。
本発明の電線は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成することを特徴とする製造方法により好適に製造できる。
本発明の電線は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成し、第一の絶縁層の外周に、フッ素樹脂を80%以上含む第二の絶縁層を形成することを特徴とする製造方法によっても好適に製造できる。
本発明の電線は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成し、第一の絶縁層の外周に、フッ素樹脂を80%以上含む第二の絶縁層を形成し、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液(又は熱硬化性樹脂溶液)を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けて、第三の絶縁層を形成することを特徴とする製造方法によっても好適に製造できる。
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合して得られた混合液から第一の絶縁層を形成すると、該第一の絶縁層中に熱硬化性樹脂とフッ素樹脂とが均一に分散するので、放電開始電圧が高く、機械的強度、耐熱性等にも優れた電線が得られる。また、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとの混合液は加工性にも優れるので、本発明の製造方法は、生産性にも優れる方法である。第三の絶縁層の場合にも同様である。
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとの混合、混合液の塗布、及び、焼き付けについては上述した通りである。
第二の絶縁層の形成方法は、フッ素樹脂を80%以上含む塗料を第一の絶縁層上に塗布し、焼成して形成するものであってもよいし、溶融押出成形により形成するものであってもよく、溶融押出成形により形成されるものであることがより好ましい。
第二の絶縁層が、フッ素樹脂を80%以上含む塗料を第一の絶縁層上に塗布し、焼成して形成されるものである場合、焼成の条件は使用するフッ素樹脂の種類等によって適宜設定すればよいが、例えば、上記焼成は270〜320℃で行うことが好ましい。
第二の絶縁層が溶融押出成形により形成されるものである場合、溶融押出成形の条件は使用するフッ素樹脂の種類等によって適宜設定すればよいが、例えば、押出温度は360〜400℃で行うことが好ましい。
本発明の電線は、各絶縁層を形成した後加熱してもよい。上記加熱は、フッ素樹脂の融点付近の温度で加熱してもよい。上記加熱により、各絶縁層の接着性をより優れたものとできる。
上記電線は、自動車用電線、ロボット用電線等に好適に使用できる。また、コイルの巻き線(マグネットワイヤー)としても好適に使用でき、本発明の電線を使用すれば、巻線加工での電線の損傷を生じにくい。上記巻き線は、モーター、回転電機、圧縮機、変圧器(トランス)等に好適であり、高電圧、高電流及び高熱伝導率が要求され、高密度な巻線加工が必要となる、小型・高出力モーターでの使用にも充分に耐えうる特性を有する。また、配電、送電又は通信用の電線としても好適である。
上記熱硬化性樹脂溶液と上記フッ素樹脂オルガノゾルとの混合液は、プリント基板等の高周波伝送製品上に形成する絶縁層の材料としても好適に使用できる。
基板と、基板上に形成される第一の絶縁層と、前記第一の絶縁層は、上述した熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が90:10〜10:90であり、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であることを特徴とする高周波伝送製品は、絶縁層と基板とが強固に接着しており、誘電体損が低く、伝送特性に優れる。
上記高周波伝送製品は、更に、第一の絶縁層上に形成され、全体の80質量%以上がフッ素樹脂からなる第二の絶縁層を有することも好ましい形態の一つである。第二の絶縁層は、第一の絶縁層上に、フッ素樹脂を80%以上含む第二の絶縁層を形成することで好適に製造することができる。
上記高周波伝送製品は、更に、第二の絶縁層上に形成され、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が100:0〜30:70である第三の絶縁層を有し、第三の絶縁層は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液(又は、熱硬化性樹脂溶液)を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であることも好ましい形態の一つである。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
絶縁層の厚み
JIS C 3003.5に準拠して測定する。
放電開始電圧
放電開始電圧は、JIS C3003 11.1に準拠して作成したツイスト片について、総研電気(株)製DAC−PD−3を用いて、周波数100kHz、電荷量100pCにて測定を行った。
耐磨耗性
JIS C 3003 10.1に準じて往復式磨耗試験器を用いて測定する。
実施例1
この実施例では、フッ素樹脂オルガノゾルとして、メチルイソブチルケトン(MIBK)とポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕とからなるオルガノゾル(PTFE濃度70%)及びMIBKとテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕とからなるオルガノゾル(FEP濃度70%)、熱硬化性樹脂溶液として、ポリアミドイミド〔PAI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)を使用した。上記オルガノゾルは、1次粒子の分散体である。
乳化重合FEPの水性分散体から有機溶媒への転相により有機溶媒分散体とした実施例1のFEPオルガノゾルは、分散粒子径が40〜100nmであり、平均粒子径は50nmである。PTFEオルガノゾルは、分散粒子径が230〜260nmであり、平均粒子径は255nmである。
樹脂成分の質量比(固形分)で、PTFE:FEP:PAI=7:38:55となるように、PTFEのオルガノゾル、FEPのオルガノゾル、及び、PAI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。
攪拌後に得られた混合液100gを、底面に穴の開いたポリエチレン製ビーカー及び前記ビーカー底面に固定された穴の開いたゴム栓からなるゴム栓付きビーカーに入れた。1.0mm直径の銅線をゴム栓からビーカー内に通し、さらに、銅線の上端をビーカー上面からビーカーの上部に設置された連続式焼成炉中に通した。
上記連続式焼成炉は、長さ2mの焼成炉を3個垂直に直結したものである。この焼成炉は熱風循環式で、炉内温度を下から1番目の炉を90℃、2番目の炉を180℃、3番目の炉を270℃に設定した。
銅線の上端を1m/minの速度で上方に引っ張ることにより、ビーカー内で銅線の表面に混合液が塗付され、続いて銅線を連続式焼成炉中に導入し、絶縁層により被覆された電線を得た。
上記1回の操作で得られた電線の絶縁層(第1層)の厚みは、24μmであった。
第1層上に、FEPを、ダイ温度380℃、成形速度15m/分で溶融押し出し成形し、第2層を形成した。そのうえに、第1層と同じ方法で第3層を形成した。
実施例2
FEPの水性分散液を、底面に穴の開いたポリエチレン製ビーカー及び前記ビーカー底面に固定された穴の開いたゴム栓からなるゴム栓付きビーカーに入れた。実施例1と同じようにして第1層を形成した電線を、ゴム栓からビーカー内に通し、さらに、該電線の上端をビーカー上面からビーカーの上部に設置された上記連続式焼成炉中に通すことにより、第2層を形成し、その後、3番目の炉は305℃とした以外は実施例1と同様にして、第3層を形成して電線を得た。
実施例3
実施例1の混合液を3回塗布焼付けして、電線を得た。
比較例1
30%PAI溶液のみを導体に塗布して第1層を形成したこと以外は実施例1と同じ方法で電線を得た。
実施例1〜3及び比較例1で得られた電線の評価結果を表1に示す。
Figure 0005423800
(耐熱性評価)
下記方法にて、実施例1〜3及び比較例1で得られた被覆電線の耐熱性を評価した。
実施例1〜3又は比較例1で得られた被覆電線を200℃の電気炉で200時間加熱し、炉から取り出して常温にもどした。その後、JIS C 3003 11.1に準拠した2個より法にて試験片を作成し、部分放電開始電圧を測定した。部分放電開始電圧は、実施例1、実施例2、及び実施例3ともに、熱処理前後比で80%以上であった。比較例1では、熱処理前後比で40%以下であった。この結果より、実施例1〜3で得られた被覆電線が、従来の被覆電線よりも高い耐熱性を有することがわかる。
実施例4
この実施例では、フッ素樹脂オルガノゾルとして、MIBKとFEPとからなるオルガノゾル(FEP濃度70%)、熱硬化性樹脂溶液として、ポリアミドイミド〔PAI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)を使用した。上記FEP濃度70%のFEPオルガノゾルは、実施例1のFEPオルガノゾルと同じである。
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PAI=50:50となるように、FEPのオルガノゾル、及び、PAI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。
攪拌後に得られた混合液100gを、底面に穴の開いたポリエチレン製ビーカー及び前記ビーカー底面に固定された穴の開いたゴム栓からなるゴム栓付きビーカーに入れた。1.0mm直径の銅線をゴム栓からビーカー内に通し、さらに、銅線の上端をビーカー上面からビーカーの上部に設置された連続式焼成炉中に通した。
上記連続式焼成炉は、長さ2mの焼成炉を3個垂直に直結したものである。この焼成炉は熱風循環式で、炉内温度を下から1番目の炉を90℃、2番目の炉を180℃、3番目の炉を270℃に設定した。
銅線の上端を1m/minの速度で上方に引っ張ることにより、ビーカー内で銅線の表面に混合液が塗付され、続いて銅線を連続式焼成炉中に導入し、絶縁層により被覆された電線を得た。
上記1回の操作で得られた電線の絶縁層(第1層)の厚みは、10μmであった。
第1層上に、FEPを、ダイ温度380℃、成形速度15m/分で溶融押し出し成形し、第2層を形成した。第2層の膜厚は35μmであった。第2層のうえに、3番目の炉を305℃に設定したこと以外は第1層と同じ方法で第3層を形成した。第3層の膜厚は10μmであった。
実施例5
この実施例では、フッ素樹脂オルガノゾルとして、MIBKとFEPとからなるオルガノゾル(FEP濃度70%)、熱硬化性樹脂溶液として、ポリエステルイミド〔PEI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PEI溶液を使用した。上記FEP濃度70%のFEPオルガノゾルは、実施例1のFEPオルガノゾルと同じである。
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=50:50となるように、FEPのオルガノゾル、及び、PEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例4と同じ方法で第1層を形成した。第1層の膜厚は10μmであった。その後、第1層の上に、実施例4と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
実施例6
実施例4と同じ方法で第1層、第2層及び第3層を形成した。第1層及び第3層の厚みは、それぞれ5μmであった。
実施例7
実施例5と同じ方法で第1層、第2層及び第3層を形成した。第1層及び第3層の厚みは、それぞれ5μmであった。
実施例8
実施例6と同じ方法で第1層及び第2層を形成した。
実施例9
実施例7と同じ方法により第1層及び第2層を形成した。
実施例10
FEPの水性分散液を、底面に穴の開いたポリエチレン製ビーカー及び前記ビーカー底面に固定された穴の開いたゴム栓からなるゴム栓付きビーカーに入れた。実施例6と同じ方法で第1層を形成した電線を、ゴム栓からビーカー内に通し、さらに、該電線の上端をビーカー上面からビーカーの上部に設置された連続式焼成炉中に通す操作を7回行うことにより、第2層を形成した。その後、実施例6と同じ方法で第3層を形成して電線を得た。第2層の膜厚は35μmであった。
実施例11
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=10:90となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で第1層を形成した。その後、第1層の上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
実施例12
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=30:70となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法により第1層を形成した。その後、第1層の上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
実施例13
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=70:30となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法により第1層を形成した。その後、第1層の上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
実施例14
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=90:10となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法により第1層を形成した。その後、第1層の上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
実施例15
実施例7と同じ方法で第1層及び第2層を形成した。その後、第2層のうえに、ポリアミドイミド〔PAI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)のみを用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で第3層を形成した。第3層の膜厚は、5μmであった。
実施例16
実施例7と同じ方法で第1層及び第2層を形成した。樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PAI=70:30となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPAI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。第2層の上に得られた混合液を用いたこと以外は実施例7と同じ方法で第3層を形成した。
実施例17
実施例7と同じ方法で第1層を形成した。第1層上に、FEPを、ダイ温度380℃、成形速度15m/分で溶融押し出し成形し、第2層を形成した。第2層の膜厚は55μmであった。第2層上に、実施例7と同じ方法で第3層を形成した。
実施例18
実施例4と同じ方法で第1層を形成した。樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PAI=81:19となるように、実施例4で用いたFEPのオルガノゾル及びPAI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。このようにして得られた混合液を用いたこと以外は、第1層と同じ方法で第2層を形成した。第2層の膜厚は50μmであった。第2層上に実施例4と同じ方法で第3層を形成した。
実施例19
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=10:90となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPAI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。このようにして得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で第1層を形成した。第1層上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
比較例2
30%PEI溶液のみを導体に塗布したこと以外は実施例7と同じ方法で第1層を形成した。第1層の膜厚は8μmであった。第1層上に、30%PAI溶液のみを塗布したこと以外は第1層と同じ方法で第2層を形成した。第2層の膜厚は30μmであった。
比較例3
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PAI=50:50となるように、FEP粉体、及び、ポリアミドイミド〔PAI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。得られた混合液を用いたこと以外は、実施例6と同じ方法で第1層を形成した。第1層の膜厚は5μmであった。第1層上に、実施例6と同じ方法で第2層を形成した。第2層上に、第1層と同じ方法で第3層を形成した。
比較例4
比較例3と同様にして第1層を形成した。第1層の膜厚は75μmであった。
実施例4〜19及び比較例2〜4の結果を表2〜4に示す。
Figure 0005423800
Figure 0005423800
Figure 0005423800
比較例5
FEP水性分散体を凝析により2次粒子化し、その後乾燥させた粉末をMIBKに分散させ、この分散体を上記30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)に混合して、混合液を作成した。この混合液を、実施例1の混合液の代わりに使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で被覆電線を作成した。上記FEP水性分散体を凝析により2次粒子化し、乾燥させた粉末は、2次粒子径が0.20〜0.50mmであり、実施例1で用いたFEPオルガノゾルの2000倍程度である。そのため塗料化すると、粒径の大きいFEPの2次粒子があるために、ディッピングした場合に膜厚が不均一になった。また、粒子内に空気層が存在するため、部分放電開始電圧も700Vと低かった。
本発明の電線は、自動車用電線、ロボット用電線等に好適に使用できる。また、コイルの巻き線(マグネットワイヤー)としても好適に利用可能である。

Claims (8)

  1. 導体と、前記導体の外周に形成される第一の絶縁層とを有し、
    前記第一の絶縁層は、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、
    熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が90:10〜10:90であり、
    熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であり、
    前記熱硬化性樹脂は、ポリビニルホルマール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイド、ポリエーテルイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記フッ素樹脂オルガノゾルは、分散粒子径が30〜500nmである
    ことを特徴とする電線。
  2. 第一の絶縁層の外周に形成され、全体の80質量%以上がフッ素樹脂からなる第二の絶縁層を有する
    請求項1記載の電線。
  3. 第二の絶縁層の外周に形成され、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が99.9:0.1〜30:70である第三の絶縁層を有し、
    第三の絶縁層は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であり、
    第三の絶縁層に用いられる熱硬化性樹脂は、ポリビニルホルマール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイド、ポリエーテルイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される少なくとも1種である
    請求項2記載の電線。
  4. 第二の絶縁層に用いられるフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項2又は3記載の電線。
  5. 第三の絶縁層に用いられるフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項3又は4記載の電線。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の電線の製造方法であって、
    熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、
    得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成する
    ことを特徴とする製造方法。
  7. 請求項2、3、4又は5記載の電線の製造方法であって、
    熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、
    得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成し、
    第一の絶縁層の外周に、フッ素樹脂を80質量%以上含む第二の絶縁層を形成する
    ことを特徴とする製造方法。
  8. 請求項3、4又は5記載の電線の製造方法であって、
    熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、
    得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成し、
    第一の絶縁層の外周に、フッ素樹脂を80質量%以上含む第二の絶縁層を形成し、
    熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けて、第三の絶縁層を形成する
    ことを特徴とする製造方法。
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