JP5420963B2 - パッキン材料及びこの材料を用いたグランドパッキン - Google Patents
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Description
そのため、このような状況下で使用されるグランドパッキンには、高いレベルの耐熱性、耐久性、シール性、潤滑性(低トルク性)、圧縮復元性が要求される。
このグランドパッキンは、高温高圧条件下において、充分な耐久性と高い潤滑性を発揮することができる優れたものであるが、更なる特性の向上、特に潤滑性(低トルク性)とシール性の更なる向上が望まれていた。
ことを特徴とするパッキン材料に関する。
図1は本発明に係るパッキン材料の断面を拡大して示す斜視図であり、図2は本発明に係るパッキン材料の製造方法を示す図である。
パッキン材料(1)の直径は、例えばφ1.2〜3.0mmの範囲に設定される。
第1糸状体(6)は、帯状の第1膨張黒鉛テープ(2)と、1本又は複数本の第1補強繊維(3)を積層した積層テープ(4)を、中芯材(5)を被覆するように捩って形成される。
接着剤層(14)を構成する接着剤の種類は特に限定されず、有機質系接着剤、無機質系接着剤、無機有機混合質系接着剤などの種々の接着剤から選択して使用することができ、例えばポリビニルアルコール(PVA)が好適に使用される。また、PVA不織布、PVAフィルム、ポリエチレンフィルム、オレフィン系フィルム、ウレタン系フィルム等の熱融着フィルムを用いることもできる。
複数本の炭素繊維を用いる場合、開繊された帯状の炭素繊維束(以下、開繊繊維束という)が好適に使用される。図3(b)では第1補強繊維(3)として開繊繊維束を使用した場合が描かれている。
開繊繊維束は、第1膨張黒鉛テープ(2)を補強すると共に膨張黒鉛テープに不足しがちな弾力性を補い、また、固体潤滑材の役目を果たすこともできるものである。
開繊繊維束は、炭素繊維束を元の幅から所要の幅に平らに拡げた帯状の繊維集合体である。この開繊繊維束は機械的強度に優れており、また、その機械的強度等の諸性質が、−200℃〜+600℃の間で殆ど変化せず、低温特性、高温特性が共に優れている。従って、開繊繊維束は、常温域は勿論のこと、過酷温度環境下においても確実に第1膨張黒鉛テープ(2)を補強することができる。
また、開繊繊維束は耐食性および耐磨耗性にも優れているので、火力発電所や原子力発電所等の過酷環境下でも長期間の使用に耐えることができる。
この場合、第1糸状体(6)は、帯状の第1膨張黒鉛テープ(2)を、中芯材(5)を被覆するように捩って形成される。
図1においては、ハッチングが施された部分(11)がリチウム化された膨潤性粘土材料を示している。
具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、ソーコナイト等のスメクタイトが使用される。
本発明では、これらのうちモンモリロナイト又はスティーブンサイトが特に好適に使用される。その理由は、これらのスメクタイトは、上記八面体層に空きサイトを有しており、後述するリチウムイオンが安定して存在できるためである。尚、モンモリロナイトを主成分とするベントナイトを使用することもできる。
加熱処理の温度条件は、230℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることが最も好ましい。800℃を超えると粘土が劣化するため好ましくない。処理時間は、20分以上24時間以内であることが好ましく、低温の場合には長時間とすればよい。
加熱処理を施すことにより、単位層間にあるリチウムイオンの少なくとも一部を八面体層内に移動させることができる。リチウムイオンが八面体層内に移動すると、単位層間にある層間陽イオンが減少して水和力が低下するため、耐水性が向上する(水分散性が無くなる)。
膨張黒鉛テープ(2)及び第1補強繊維(3)については、上記粘土材料(12)に浸漬(図示略)した後に加熱処理を行ってもよいし、上記粘土材料(12)から粘土膜を作成してこれを加熱処理し、加熱処理後の粘土膜を膨張黒鉛テープ(2)又は第1補強繊維(3)の片面又は両面に積層してもよい。
また、加熱処理については、第1糸状体(6)を形成した後の段階で行ってもよいし、第2糸状体(8)を形成した後の段階で行ってもよいし、パッキン材料(1)を形成した後の段階で行ってもよい。
有機カチオンとしては、第四級アンモニウムカチオン又は第四級ホスホニウムカチオンが使用される。第四級アンモニウムカチオンとしては、特に限定されないが、ジメチルジオクタデシルタイプ、ジメチルステアリルベンジルタイプ、トリメチルステアリルタイプが例示される。
シリル化剤としては、特に限定されないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランを例示することができる。
補強線材(7)の材質としては、例えば、ステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L等)、インコネル、ニッケル、ニッケル合金を挙げることができ、中でも強度や耐食性の観点から、ステンレス又はインコネルを用いることが好ましく、インコネルを用いることが最も好ましい。
補強線材(7)の直径は、0.05〜0.35mmとすることが好ましく、0.08〜0.15mmとすることがより好ましい。直径が0.05mm未満であると編み加工する際に破断するおそれがあり、0.35mmを超えると編み加工がしにくくなり、いずれの場合も好ましくないためである。
硬金属線材としてはブリネル硬さが90〜240(kg/mm2)のものが用いられる。
このような硬さを有する金属材料は、高温下における引張強度等の機械的強度が高く、繰り返し荷重に対する疲れ限度も高い。また、このような硬さを有する金属は、高温下においてクリープが生じにくい。
従って、硬金属線材は、パッキンの機械的強度を向上させるとともに、高温下における耐クリープ性を高めて、パッキンに応力緩和が生じないようにすることができる。
硬金属線材の直径は、0.05〜0.35mmとすることが好ましい。直径が0.05mm未満であると編み加工する際に破断するおそれがあり、0.35mmを超えると編み加工がしにくくなり、いずれの場合も好ましくないためである。
このような硬さを有する金属材料は、パッキンが接触する相手材料より硬度が低いため、パッキンが相手材料に対して相対的に変位した場合に相手材料に傷を付けることがない。また、このような硬さを有する金属材料は、柔軟性に優れ、塑性加工を容易に行うことができる。
従って、軟金属線材の占める割合が多いほど、補強線材(7)による編み加工を容易に行うことができる。また、編み加工して得られた第2糸状体(8)から造られたパッキン材料を加圧成形してパッキンとする際、表面及び内部が緻密に詰んだパッキンとすることができる。
更に、このような硬さを有する金属材料は、400〜850℃程度の温度下では変質しにくい。従って、パッキンのシール性を高温下において安定させることができる。
軟金属線材の直径は、0.05〜0.35mmとすることが好ましい。直径が0.05mm未満であると編み加工する際に破断するおそれがあり、0.35mmを超えると編み加工がしにくくなり、いずれの場合も好ましくないためである。
比の値が1未満であると第2糸状体(8)の機械的強度が低くなり、逆に3.3を超えると編み加工しにくくなる上に、第2糸状体のなじみ性が低下してパッキンのシール性が低下するおそれがあるため、いずれの場合もあまり好ましくない。
補強線材(7)の編目のピッチが1.5mm未満であると、網目に膨張黒鉛が入り込みにくいためにパッキンのなじみ性やシール性が充分に得られず、一方、6mmを超えると、パッキンの強度が低下するため、いずれの場合も好ましくない。
緯編とする場合、その具体的な形態は特に限定されず、丸編、角編、平編、ゴム編、パール編、タック編、浮き編、片畦編、両畦編、両面編、レース編、添糸編等の形態を採用することができる。
膨潤性粘土材料としては、上記したものが好適に使用される。
より具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、ソーコナイト等のスメクタイト(好適には、モンモリロナイト又はスティーブンサイト)の層間陽イオンの全部又は一部がリチウムイオンに置換されており且つ加熱処理が施されている(即ちリチウム化されている)ものである。
第2膨張黒鉛テープ(9)には、第2補強繊維(13)が内包されていることが好ましい。
第2補強繊維(13)としては炭素繊維が好適に使用されるが、その他の有機繊維や無機繊維を用いることも可能である。例えば、アラミド繊維等の合成樹脂繊維、ステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L等)やインコネル等からなる金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、綿糸などを使用することができる。
炭素繊維を用いる場合、上記した開繊繊維束を用いることが好ましい。開繊繊維束は、第2膨張黒鉛テープ(9)を補強すると共に膨張黒鉛テープに不足しがちな弾力性を補う役目を果たすことができる。
リチウム化された膨潤性粘土材料としては、上記したものが好適に使用される。
具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スティーブンサイト、ソーコナイト等のスメクタイト(好適には、モンモリロナイト又はスティーブンサイト)の層間陽イオンの全部又は一部がリチウムイオンに置換されており且つ加熱処理が施されている(即ちリチウム化されている)ものである。
当該構成を採用すると、膨潤性粘土材料の層間に潤滑油や防錆油が保持されることにより、高温高圧条件下において優れた潤滑性(低トルク性)及び耐食性を発揮することができる。また、リチウム化された膨潤性粘土材料は、水による分散が生じないために耐水性に優れたものとなる。更に、膨潤性粘土材料が有する高い耐熱性により、パッキン材料の耐熱性を向上させることができる。
より具体的には、上記したパッキン材料を編組することにより、丸編紐、角編紐等の編紐や、丸打紐、角打紐等の打紐などの形態をなす紐体を構成することができる。その他、袋状紐や固着紐等の形態をなす紐体を構成することもできる。なお、打紐の場合には、四つ打ち、八つ打ち、十六打ち、十八打ち、二十四打ち、三十二打ち等、任意の打ち方が可能である。図4(a)〜(d)は、本発明に係るパッキン材料を編組することにより得られる紐体(15)の一例を示す図である。
特に、本発明に係るグランドパッキン(10)は、耐熱性、耐久性、シール性、潤滑性(低トルク性)、圧縮復元性を高いレベルで調和させることが可能であるため、火力発電所や原子力発電所等の高圧高温条件下において使用するのに適したグランドパッキンとなる。
2 第1膨張黒鉛テープ
3 第1補強繊維
4 積層テープ
5 中芯材
6 第1糸状体
7 補強線材
8 第2糸状体
9 第2膨張黒鉛テープ
10 グランドパッキン
11 リチウム化された膨潤性粘土材料
12 粘土材料(膨潤性粘土材料の水分散液にリチウム化合物を添加することにより層間陽イオンの全部又は一部がリチウムイオンに置換されたもの)
13 第2補強繊維
14 接着剤層
15 紐体
Claims (7)
- 帯状の第1膨張黒鉛テープを、中芯材を被覆するように捩って第1糸状体とし、この第1糸状体の周囲を被覆するように補強線材を編目のピッチが第1糸状体の長さ方向及び幅方向において夫々1.5〜6mmとなるように編んで第2糸状体とし、この第2糸状体の周囲を被覆するように帯状の第2膨張黒鉛テープを巻回してなり、
前記中芯材、前記第1膨張黒鉛テープ、前記第2糸状体、前記第2膨張黒鉛テープのうちの少なくとも1つ以上に膨潤性粘土材料が含浸又は被膜されており、
該膨潤性粘土材料は、層間陽イオンがリチウムイオンに置換された後に230℃以上で加熱処理が施されている
ことを特徴とするパッキン材料。 - 帯状の第1膨張黒鉛テープと1本又は複数本の第1補強繊維を積層した積層テープを、中芯材を被覆するように捩って第1糸状体とし、この第1糸状体の周囲を被覆するように補強線材を編目のピッチが第1糸状体の長さ方向及び幅方向において夫々1.5〜6mmとなるように編んで第2糸状体とし、この第2糸状体の周囲を被覆するように帯状の第2膨張黒鉛テープを巻回してなり、
前記中芯材、前記第1補強繊維、前記第1膨張黒鉛テープ、前記第2糸状体、前記第2膨張黒鉛テープのうちの少なくとも1つ以上に膨潤性粘土材料が含浸又は被膜されており、
該膨潤性粘土材料は、層間陽イオンがリチウムイオンに置換された後に230℃以上で加熱処理が施されている
ことを特徴とするパッキン材料。 - 前記第2膨張黒鉛テープが第2補強繊維を内包していることを特徴とする請求項1又は2に記載のパッキン材料。
- 前記中芯材がステンレス又はインコネルからなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のパッキン材料。
- 前記補強線材がステンレス又はインコネルからなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のパッキン材料。
- 前記第2補強繊維が炭素繊維からなることを特徴とする請求項3に記載のパッキン材料。
- 請求項1乃至6いずれかに記載のパッキン材料を編組し、この編組体を所定形状に加圧成形してなることを特徴とするグランドパッキン。
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