JP5419163B2 - タービンハウジング - Google Patents
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一方、従来の鋳物製ターボチャージャータービンハウジングには、次のような問題点がある。(1)余肉過多のためコールドスタート時に温まりにくく、触媒に高価な貴金属(白金,ロジウム,パラジウム)を多く使用するため、システム自体でコストアップとなっている。(2)余肉過多のため重量大となり燃費に悪影響を及ぼしている。
そこで、最近では、そのタービンを収容するタービンハウジングとして、鋼板のプレス成形品を組み合わせて溶接接合した構造とすることが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
そして、鋼板のプレス成形品を組み合わせて溶接接合した構造のタービンハウジングにあっては、その排ガス導入部は、一般的に、スクロール部近傍まで差込まれた筒状体で形作られている(例えば特許文献1の図2参照)。
特許文献1で提案されているタービンハウジングでは、スクロール流路の末部の断面積を絞るとともに、筒状体の差込みにより形成した排ガス導入部とスクロール流路末部との接続部においてスクロール流路断面積を小さくしている。
特許文献2で提案されているタービンハウジングでも、このスクロール部の入口側に助走部を区画するタングを設けている。
そして、このようなタービンハウジングにあって、ターボ性能を向上させるためには、図3(b)に示すように、スクロール流路の末部の断面積を絞るとともに、筒状体を差込んで形成した排ガス導入部の筒状体差込み位置を深くしてスクロール流路末部との接続部においてスクロール流路断面積を小さくすることが有効と考えられる。
また、筒状体からなる差込みパイプをスクロール部に差込んで排ガス導入部を形作る構造を採用すると、スクロール部におけるスクロール流路末部の絞り部とスクロール部入口側に差込まれた筒状の排ガス導入部先端との間に淀み部が形成されてガスの流れに淀みが生じ、ターボ効率を低下させる要因になる。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、排ガス導入部とスクロール部を一体化して優れたターボ効率を安定して得るとともに、生産性の良いターボチャージャーのタービンハウジングを提供することを目的とする。
そして、タービンハウジングのスクロール部にあっては、図2に示すように、そのスクロール流路の末部に絞り部を設けてターボ効率の向上を図っている。
本発明は、基本的には上記のようなスクロール部と排ガス導入部及び排ガス供給部材からなるタービンハウジングの構造に関するものである。
しかしながら、特許文献2で提案されたタービンハウジングも、排ガス導入部を形成すべく他の部材(特許文献2ではタング6E等)を接合する必要があり、必ずしもコスト低減は達成できない。しかも、タング接続の精度によりターボ性能は低下する恐れがある。さらに、特許文献1および特許文献2ともに熱影響によりスクロール近傍まで差込まれた筒状体の先端やタング先端が歪んでターボ性能が劣化する心配もある。
そして、差込みパイプの差込み深さは、ターボ効率向上の観点からは、スクロール部のスクロール流路末部に形成された絞り部により絞られたガス流の断面が差込みパイプ先端の端部に当接する程に深くすることが好ましいとされている。当然ながら、前記絞り部もガス流の断面積を極力小さくするように狭くする方が好ましいとされている。
また、スクロール部を、鋼板製の2つの半割プレス成形部材を接合したシェル構造としても、前記差込みパイプを含めて3ピース構造となってしまう。
そこで、本発明では、まず、差込みパイプの利用を止め、排ガス導入部を含めて鋼板製の2つの半割プレス成形部材を接合したシェル構造とすることとした。
具体的には、図3の(a)に示すように、スクロール部とそのスクロール部に排気ガスを導入する排ガス導入部を一体化し、スクロール部と排ガス導入部を形作る鋼板製の2つの半割部材をプレス成形法で作成し、一方の半割部材の外周縁部の内側に他方の半割部材の外周縁部を嵌合させて重ね合せ接合する構造を採用した。
当然ながら、スクロール部のスクロール流路の末部には絞り部を形成している。
そして、本発明のタービンハウジングは、筒状体の差込みパイプを差込んでいないので、排ガス導入部の開口端部に排ガス供給部材の端部を直に接続された構造となっている。なお、図3の(a)では排ガス導入部の開口端部に排ガス供給管が接続されているが、排ガス導入部の形状によってはエキマニ接続用のフランジが直に接続されていても良い。
詳細は後記の実施例に譲るが、前記R部の半径が小さくなるほどプレス加工時に割れが生じやすくプレス成形性が低下する。当該タービンハウジングの生産性を考慮すると、前記R部の半径は10mm以上とすることが好ましい。
2つの半割プレス成形部材は、半割面に対して上下対称な形状を有するものでも構わないが、加工性や溶接等の接合性、スクロール流路の絞り効率を考慮すると、図2の(b)に見られるように、半割上部材はプレス加工度を大きく、半割下部材はプレス加工度を小さくしたものが好ましい。
半割下部材は上部材ほどに高い加工度を必要としないため、工程数としては少なくてすむ。まず、素材鋼板をハウジングの外形状に沿って精密にブランキングする。その後、ブランキングされた素材鋼板に所望のハウジング形状の金型を用いてプレス法によりハウジング外壁の縁立て加工を施し、外形状を整える。さらにその後、コンプレッサー接続用フランジの径に沿ってピアスし、半割下プレス成形部材を得る。
その後、排ガス導入部の開口端部に排ガス供給部材の端部を接続すれば、本発明ターボチャージャーのタービンハウジングが得られる。
なお、本発明のターボチャージャーのタービンハウジングを構築する素材鋼板としては、14Cr−1Si−1Mn−Nb系、18.5Cr−1Mn−2Mo−Nb系、或いは11Cr−Ti−LC(低炭素)系等の耐熱用ステンレス鋼板を用いることが好ましい。
また、タービンハウジング内に組み込まれるタービン部品とのシール性を安定させるため、図2の(c)に示すように、スクロール部の半割上部材とパイプの接続部の間にリング状の継手部材を設けることが好ましい。
さらに、各部材を溶接接合した後にタービンハウジング内側やコンプレッサー接続用フランジを切削加工する際に生じるびびり振動を防止し、加工精度を向上させるために、例えば、図1に示すコンプレッサー接続用フランジの外周部に切削加工用のクランプ部(図示せず)を設け、クランプ力を強化することが好ましい。
板厚2mmの18.5Cr−1Mn−2Mo−Nb系ステンレス鋼をプレス加工と溶接により、図4に示す形状の排ガス導入部を有する、外径140mm、内径80mm、最大高さ50mmの蝸牛形状のスクロールに成形した。
この際、スクロールのR部を形作る湾曲壁面として、5mm、10mm、15mmの3種の半径を選定した。このようなスクロールに、図4に示すような構成でパイプ部品とフランジ部品を溶接で接合した。
ターボ性能を低速走行、中速走行、高速走行を模擬して評価した結果、鋳物製の構造のもと比べても性能は同等であった。
比較として、図4において排ガス導入部に接続にした差込みパイプを、同排ガス導入部の奥まで押込み、図5に示すように、スクロールの終点部分を絞り込んだ。
その後、実施例と同様にターボ性能を調べた。
その結果、差込みパイプを差し込んで絞り込んだものは、排ガス流量の不用意な変化から乱流が生じ、低速走行、中速走行、高速走行を模擬した3パターンとも2〜3%ターボ性能が低下した。
Claims (1)
- 鋼板製の2つの半割プレス成形部材を接合したシェル構造を有し、スクロール部と排ガス導入部とが一体化されたタービンハウジングであって、前記スクロール部のスクロール流路末部に絞り部が形成され、当該絞り部と前記排ガス導入部とが、10mm以上の半径を有する内側に凸の湾曲壁で接続されているとともに、前記排ガス導入部と排ガス供給部材とがそれらの端部同士で接続されていることを特徴とするターボチャージャーのタービンハウジング。
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