JP5416016B2 - グラウンドアンカーの再緊張装置及び方法 - Google Patents
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Description
センターホールジャッキを使用する際は、再緊張するPC鋼線などのテンドンの頭部のアンカーヘッドにテンションバーを連結して、このテンションバーをセンターホールジャッキの中央の孔に通し、テンションバーの先端側に取付けた支圧板を介して、テンションバーを牽引することにより、再緊張を実施していた。
この点、特許文献1の装置は、複数の油圧ジャッキをベース上に載置してから、筒状部分を有する連結部材を被せて、固定する構造であり、複数の油圧ジャッキを載置してから連結部材で固定するまで、これらの油圧ジャッキが倒れないように作業者が保持している必要があり、少人数(1人)での作業は難く、斜面での使用には適していない。
図1は本発明の一実施形態を示すグラウンドアンカーの概略図である。
グラウンドアンカーは、例えば、傾斜地盤の地すべり抑止のために用いられ、アンカー体(図示せず)、テンドン1、アンカー頭部2から構成される。
アンカー体(図示せず)は、アンカーの緊張力を地盤に直接伝達する部分であり、グラウトの注入により造成される。テンドン1は、アンカー頭部2からの緊張力をアンカー体に伝達する部分であり、通常PC鋼線、PC鋼棒などにより構成される。
また、アンカー頭部2は、アンカーヘッド3外周のネジ部に取付けられてアンカープレート4に係止されるリングナット5を備え、これによりアンカーヘッド3の定着位置を調整可能である。
図2及び図3はグラウンドアンカーの再緊張装置を示している。
図2及び図3の再緊張装置は、図1のアンカー頭部2から防錆キャップ6を外した状態で、アンカー頭部2にセットされる。
テンションバー12は、棒状であり、下端側のネジ部でカプラー11の中央部のネジ孔に螺合することにより、カプラー11と連結可能、言い換えれば、カプラー11を介してアンカーヘッド3と連結可能である。従って、テンションバー12は、アンカーヘッド3に対し緊張方向に連結可能である。
油圧ジャッキ14は、シリンダー型で、その先端部側に、油圧の供給により本体シリンダーより突出する出力シリンダー14aを備えている。この油圧ジャッキ14は、従来のセンターホールジャッキに比べ小型軽量なジャッキであり、単体では伸長力が劣る。従って、従来のセンターホールジャッキと同等の伸長力を確保するため、複数を組み合わせて使用する。また特に、組み合わせ時のバランスを考慮して、3個以上、本実施形態では4個使用する。
ここで、油圧ジャッキ14の基端部(本体シリンダー)は、ラムチェアー座部13b上に載置するが、ラムチェアー座部13bには、4個の油圧ジャッキ14の各基端部を位置決めすると共に仮止め保持する仮止め手段が備えられる。
従って、ラムチェアー座部13b上の円環状の枠部材15内に油圧ジャッキ14の基端部を嵌合し、止めネジ16を締め付けて、その先端を押付けることで、油圧ジャッキ14を仮止めでき、斜面での使用であっても油圧ジャッキ14が倒れるのを防止できる。
支圧板17は、円板状で、本実施形態では2枚構成であり、中央部に孔を有し、テンションバー12の先端側に挿嵌されて、板面が4個の油圧ジャッキ14の先端部(出力シリンダー14a側)に相対・当接する。
次に、上記の再緊張装置を用いた、グラウンドアンカーの再緊張作業(第1の方法)について、図4及び図5を参照して、工程順に説明する。
図4はアンカー再緊張手順を示している。
次に図4(b)に示すように、アンカープレート4上にラムチェアー脚部13aを取付け、更にこのラムチェアー脚部13a上にラムチェアー座部13bを取付けて、ラムチェアー13を組み立てる。このラムチェアー座部13bには、油圧ジャッキの仮止め手段(円環状の枠部材15等)が備えられている。尚、図4(a)でのテンションバー12の取付けと、図4(b)のラムチェアー13の設置は、逆順で行うようにしてもよい。
このとき、1つ1つの油圧ジャッキ14は、従来のセンターホールジャッキに比べ、小型軽量であるので、1人の作業者で持ち運べる。
更に、1つずつ油圧ジャッキ14をセットして仮止めすれば、次の油圧ジャッキ14を運んでセットする間も、セット済みの油圧ジャッキ14が倒れることはなく、1人の作業者で4個の油圧ジャッキ14のセッティングを行うことができる。
次に図4(e)に示すように、油圧ジャッキ14を作動(ジャッキアップ)させて、出力シリンダー14aを突出させ、支圧板17、ナット18を介してテンションバー12を牽引し、更にカプラー11を介してアンカーヘッド3を上方へ牽引し、これによりテンドンを再緊張させる。
また、4個の油圧ジャッキ14に対し、単一の油圧制御回路により制御される油圧を互いに連通する分岐配管を介して供給するため、各油圧ジャッキ14を同圧で作動させ、均等に伸長力を発生させることができる。
図5は再緊張後の手順を示している。これを参照して、再緊張後の再緊張装置の撤去作業について説明する。
次に、図5(a)→(b)に示すように、ナット18を撤去し、更に支圧板17を撤去する。
次に、図5(b)→(c)に示すように、油圧ジャッキ14を1つずつ仮止めを外して撤去する。このときも各油圧ジャッキ14を側方へ取出すことができ、撤去作業も容易である。
次に、図5(f)に示すように、アンカーヘッド3に防錆キャップ6を被せ、このキャップ6内にはグリス等の防錆材を封入して、全ての作業を終了する。
そこで、前段取りとして、複数箇所で、図4(b)の工程のラムチェアー13設置まで作業を行うようにし、そのうち1箇所で図4(c)のように油圧ジャッキ14をセットして再緊張作業を行い、その後、図5(b)→(c)の工程で油圧ジャッキ14を1個ずつ撤去すると同時に、撤去した油圧ジャッキ14を他の箇所で図4(c)のようにセットするようにして、油圧ジャッキ14を複数箇所で転用するようにすれば、多数の油圧ジャッキ14を用意する費用を削減することができる。そして、このような油圧ジャッキ14の転用に際し、油圧ジャッキ14の取付け・取外しが容易であるので、転用を促進することができる。
また、本実施形態によれば、複数の油圧ジャッキ14を相互に機械的に連結しないので、ジャッキ間に作動タイミングのバラツキがあっても、各油圧ジャッキ14が個々に動いて、バラツキを吸収するので、いずれの油圧ジャッキ14にも応力集中を生じることがなく、ジャッキ等の破損を防止できる。
また、本実施形態によれば、汎用品であるラムチェアー13や、簡単形状(円板状)の支圧板17を用いるため、工事への適応性が高い。
前記一実施形態(第1の方法)では、〔1〕アンカーヘッド3に対し緊張方向にカプラー11を介してテンションバー12を連結すると共に、アンカープレート4上にラムチェアー13を設置し、〔2〕ラムチェアー13上にテンションバー12を囲んで複数の油圧ジャッキ14を配置して、ラムチェアー13上に前記複数の油圧ジャッキ14の各基端部を個別に仮止めした後、〔3〕テンションバー12の先端側に前記複数の油圧ジャッキ14の各先端部に相対する支圧板17を取付けるようにしたが、第2の方法では、上記〔2〕と〔3〕の作業を逆順で行うようにする。
このようにすると、油圧ジャッキ14をラムチェアー13と支圧板17との間のテンションバー12を囲む空間に側方から挿入可能で、側方から取付け・取外しできる利点を活かして、1箇所に油圧ジャッキ14が組み込まれている工程数をより少なくして、油圧ジャッキ14の転用を更に効率的にすることができる。
図6(a)の工程では、図4(a)と同様、図1の状態から、防錆キャップ6を外した後、アンカーヘッド3にカプラー11を取付け、更にこのカプラー11にテンションバー12を取付ける。
図6(c)の工程では、テンションバー12の先端側に支圧板17を取付け、ナット18で抜け止め固定する。
図6(d)の工程では、ラムチェアー13と支圧板17との間のテンションバー12を囲む空間に側方から4個の油圧ジャッキ14を1つずつセットする。このとき、各油圧ジャッキ14は、ラムチェアー座部13b上の円環状の枠部材15にセットし、止めネジ16(図2及び図3)で仮止め保持する。尚、油圧ジャッキ14のセットの際、支圧板17が上方位置に保持されていると、油圧ジャッキ14のセットが容易であるが、人力等で保持するようにしてもよい。
図6(f)の工程では、図4(f)と同様、リングナット5を操作し、これをアンカーヘッド3に対し下方へ相対移動させて、アンカープレート4に当接係止させることにより、アンカーヘッド3を定着する。
図7(b)の工程では、油圧ジャッキ14を1つずつ仮止めを外して撤去する。この際、支圧板17が上方位置に保持されていると、油圧ジャッキ14の撤去が容易であるが、人力等で保持するようにしてもよい。
図7(d)の工程では、図5(d)と同様、テンションバー12を撤去する。また、図7(e)の工程では、図5(e)と同様、ラムチェアー13を撤去し、更にカプラー11を撤去する。また、図7(f)の工程では、図5(f)と同様、アンカーヘッド3に防錆キャップ6を被せて防錆処理を行い、全ての作業を終了する。
従って、1箇所に油圧ジャッキ14が組み込まれている工程数をより少なくして、油圧ジャッキ14の転用を更に効率的にすることができる。
2 アンカー頭部
3 アンカーヘッド
4 アンカープレート
5 リングナット
6 防錆キャップ
11 カプラー
12 テンションバー
13 ラムチェアー
13a ラムチェアー脚部
13b ラムチェアー座部
14 油圧ジャッキ
14a 出力シリンダー
15 円環状の枠部材
16 止めネジ
17 支圧板
18 ナット
Claims (4)
- 地中に埋設されたアンカーの地上側端部のアンカーヘッドと、このアンカーヘッドを支えてその荷重を地表面支持層をなす構造物に伝達するアンカープレートと、を含んで構成されるグラウンドアンカーの再緊張装置であって、
前記アンカーヘッドに対し緊張方向に連結されるテンションバーと、
前記アンカープレート上に設置されるラムチェアーと、
前記ラムチェアー上に前記テンションバーを囲んで配置される複数の油圧ジャッキと、
前記テンションバーの先端側に取付けられて前記複数の油圧ジャッキの各先端部に相対する支圧板と、
を含んで構成され、
前記ラムチェアーには、前記複数の油圧ジャッキの各基端部を個別に斜面での使用であっても倒れないように仮止め保持する仮止め手段を備え、
前記複数の油圧ジャッキは、先端部側で相互に機械的に連結されないことを特徴とするグラウンドアンカーの再緊張装置。 - 前記仮止め手段は、前記ラムチェアーの座部に設けられて前記複数の油圧ジャッキの各基端部が個別に挿入される円環状の枠部材と、各枠部材に半径方向に螺合される止めネジとから構成される請求項1記載のグラウンドアンカーの再緊張装置。
- 地中に埋設されたアンカーの地上側端部のアンカーヘッドと、このアンカーヘッドを支えてその荷重を地表面支持層をなす構造物に伝達するアンカープレートと、を含んで構成されるグラウンドアンカーを再緊張させるに際し、
前記アンカーヘッドに対し緊張方向にテンションバーを連結すると共に、前記アンカープレート上にラムチェアーを設置し、
前記ラムチェアー上に前記テンションバーを囲んで複数の油圧ジャッキを配置して、前記複数の油圧ジャッキを先端部側で相互に機械的に連結することなく、前記ラムチェアー上に前記複数の油圧ジャッキの各基端部を個別に斜面での使用であっても倒れないように仮止め保持し、
前記テンションバーの先端側に前記複数の油圧ジャッキの各先端部に相対する支圧板を取付け、
前記複数の油圧ジャッキを同時に伸長作動させて、前記アンカーヘッドを緊張方向に牽引することを特徴とするグラウンドアンカーの再緊張方法。 - 地中に埋設されたアンカーの地上側端部のアンカーヘッドと、このアンカーヘッドを支えてその荷重を地表面支持層をなす構造物に伝達するアンカープレートと、を含んで構成されるグラウンドアンカーを再緊張させるに際し、
前記アンカーヘッドに対し緊張方向にテンションバーを連結すると共に、前記アンカープレート上にラムチェアーを設置し、
前記テンションバーの先端側に支圧板を取付けた後、
前記ラムチェアーと前記支圧板との間の前記テンションバーを囲む空間に側方から複数の油圧ジャッキを挿入配置して、前記複数の油圧ジャッキを先端部側で相互に機械的に連結することなく、前記ラムチェアー上に前記複数の油圧ジャッキの各基端部を個別に斜面での使用であっても倒れないように仮止め保持し、
前記複数の油圧ジャッキを同時に伸長作動させて、前記アンカーヘッドを緊張方向に牽引することを特徴とするグラウンドアンカーの再緊張方法。
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