以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる管継手製造装置10を示す図であり、図1(a)は、管継手製造装置10の構成図、図1(b)は、回転ローラ11及び押さえローラ15のH方向矢視図である。
図1(a)に示すように、基台30に、一対の支持部18が設けられ、この支持部18に回転ローラ11の軸14が回転可能に設けられる。支持部18の側方に、回転ローラ11を駆動するモータ13が基台30上に設けられる。回転ローラ11の両端付近には、溝12が設けられる。軸14はモータ13と接続されており、回転ローラ11は、モータ13により正逆両方向へ回転が可能である。
回転ローラ11の上方に、管体押さえ用シリンダ17が設置される。管体押さえ用シリンダ17は管体押さえ用ロッド19を有し、管体押さえ用ロッド19の端部が支持部20に設けられる。押さえローラ15の軸16は、支持部20に回転可能に設けられる。従って、押さえローラ15は、管体押さえ用シリンダ17の動作に応じて、図中矢印A、矢印B方向に移動が可能である。なお、管体押さえ用シリンダ17は図示を省略した架台により、基台30に取り付けられる。
図1(b)に示すように、回転ローラ11および押さえローラ15は、それぞれ一対のローラにより構成されており、ローラが並列に設けられている。製造される螺旋溝付管3は、一対の回転ローラ11の間に載せられる。なお、一対の回転ローラ11は同方向(例えば図中X方向)に回転する。このとき、押さえローラ15も管体の回転に伴って、回転ローラ11と同方向に回転する。
基台30に芯金架台27が設けられる。芯金架台27の上部には、高さ調整ボルト32が設けられ、高さ調整ボルト32の先端は芯金アーム26と接合される。高さ調整ボルト32は、芯金アーム26の鉛直方向の高さを調整するためのものである。高さ調整ボルト32によって、後述する芯金21の高さを調整することができ、このため、管径の異なる管継手を製造する場合には、芯金21がそれぞれの管体の中心位置となるように調整することができる。芯金アーム26には、芯金拡径用シリンダ23が設けられる。
芯金拡径用シリンダ23には、一対の芯金拡径用ロッド25(図示省略)が設けられ、それぞれの芯金拡径用ロッド25を介して押圧体としての芯金21a、21bが取り外し可能に設けられる。すなわち、一対の芯金21a、21bは互いに上下反対側を向けて設けられる。芯金拡径用シリンダ23の動作については後述する。
芯金21a、21bは芯金アーム26より取り外しが可能であるため、管継手1の種類に応じて交換することができる。芯金21a、21bの形状は、製造する管継手1の形状により決められる。すなわち、管継手1の内周面に溝状の凹凸が無い、すなわち、直線状管体が用いられる管継手1の製造には、芯金21a、21bの押圧面も管継手1の内周面形状に対応して、直線状(凹凸がない)であれば良い。また、管継手1の内周面に溝状の凹凸がある場合には、芯金21a、21bの形状は、管継手1の内周面凹凸形状に対応した凹凸形状とすればよく、例えば、溝形状に対応した凸部22を有すれば良い。なお、芯金21内部には、図示を省略したヒータが設けられる。従って、芯金21は、温度調節が可能である。
管継手1が内周面に溝を有する場合には芯金21a、21bの形状は、主に、管継手1の有する溝の深さおよびピッチにより決められる。すなわち、管継手1の有する溝の深さおよびピッチが同一であれば、貼り付ける水膨張シート5(シート部材)の厚みによらず同一形状の芯金21a、21bが使用できる。更に、溝のピッチ等が同じであれば、製造する管継手1の内径がある程度異なっていても、同一形状の芯金21a、21bによって対応することもできる。
また、芯金21a、21bは製造する管継手1の管体の長さよりやや長いことが望ましい。(正確には、管体内周面に1枚のシート部材を管体全長に渡って貼り付ける場合には、管体の長さより成形時の移動距離だけ長いことが望ましいが、内部に貼り付ける水膨張シート5の長さが管体長より短い場合には、水膨張シート5の長さと略同一又は水膨張シート5の長さに押圧体の移動距離を加えた長さにすることが望ましい。)シート部材全長を一度に押圧できれば、押圧力と温度と回転速度を調整すれば、1/2回転または1、2回転の少ない回転数(少ない回転数に対応する押圧体移動距離)で接着または圧着することも可能である。
基台30に、芯金スライド用シリンダ29、ガイドレール33が設けられ、芯金架台27はガイドレール33上を移動可能に設けられる。ガイドレール33は、回転ローラ11の支持部18近傍まで配置されている。また、芯金架台27には、芯金スライド用シリンダ29の芯金スライド用ロッド31が設けられ、芯金架台27の芯金スライド用ロッド31が接続されている。従って、芯金架台27は、芯金スライド用シリンダ29の動作に応じて、ガイドレール33上を図中矢印E、矢印F方向にスライド可能である。すなわち、芯金架台27がスライド動作することで、芯金架台27に設けられた芯金拡径用シリンダ23、芯金21a、21b等も同様に、図中矢印E、矢印F方向に移動する。
芯金架台27のスライド動作時に、芯金架台27を正確な位置に停止させるため、支持部18近傍のガイドレール33にストッパ35が設けられる。芯金架台27は、図中矢印E方向へスライド動作時に、ストッパ35と接触してスライド動作を停止する。このため、ストッパ35は、製造する管継手の種類に応じて、ガイドレール33上で自由に位置の変更ができるように取り付けられる。
また、ストッパ35近傍には図示しないリミットスイッチが設けられている。リミットスイッチは、芯金21を図中矢印E方向へスライド動作する際において、芯金架台27がストッパ35により停止した位置を検出する。
ここで、回転ローラ11、押さえローラ15の材質は特定しないが、加工する管継手1とのすべりを抑えるため、すべりにくい材質が好ましく、ゴムや樹脂等が使用できる。また、モータ13は特定しないが、通常の電気モータでよい。また、芯金21a、21bの材質は特定しないが、水膨張シート5とのすべりが良く、また変形しにくい材質が好ましく、金属製、樹脂製等が使用できる。特に、芯金21a、21bが複数であるため、水膨張シート5との接触(押圧)面積が大きくなる。このため、芯金21a、21bと水膨張シート5とのすべりが良くないと、芯金21a、21bが水膨張シート5を押圧する際に、水膨張シート5が管体内周面でずれる恐れがある。
次に、芯金拡径用シリンダの動作について説明する。図2は、芯金拡径用シリンダ23および芯金21a、21b近傍を示す拡大図である。図2(a)は、芯金拡径用シリンダ23に芯金拡径用ロッド25が納まり、芯金21a、21bの距離が縮んだ状態(以後、この状態を「縮径」した状態と呼ぶ)を示す正面図、図2(b)は側面図である。
図2(a)および図(b)に示すように、芯金26には芯金拡径用シリンダ23が接続され、一対の芯金拡径用ロッド25を介して、上下方向両側に芯金21a、21bが接合される。芯金21a、21bの両端近傍にはガイド24が設けられる。ガイド24は、芯金21a、21bが上下方向に動作した際に、首振りなどを起こさず、芯金21a、21bが芯金拡径ロッドに垂直な状態を維持するためのものである。なお、芯金アーム26内部には、図示を省略したパイプが設けられ、芯金拡径用シリンダ23は、外部からの流体により動作する。
図2(c)、図2(d)は、芯金拡径用シリンダ23を動作させて、芯金21a、21bの距離が広がる方向に互いに上下方向へ移動(図中矢印C、矢印D方向)させた状態(以後、この状態を「拡径」した状態と呼ぶ)を示す図であり、図2(c)は正面図、図2(d)は側面図である。図2(c)及び図2(d)に示すように、芯金拡径用シリンダ23の動作することで、芯金21a、21bの縮径、拡径を行うことができる。なお、芯金21a、21bの拡径(縮径)方向は、上下方向に限られない。芯金21a、21bの向きは、互いに対向する方向であれば、管継手の製造条件等に応じて、左右または所定の角度を有していても良い。
ここで、管体押さえ用シリンダ17、芯金拡径用シリンダ23および芯金スライド用シリンダ29は、油圧シリンダ、エアシリンダのほか、電気アクチュエータ等も使用できる。なお、芯金スライド用シリンダ29は、後述するように、芯金架台27のスライド動作時以外には、芯金架台27へ外力を与えない。また、この際において芯金架台27へ他より外力が加わった場合には、芯金架台27は、芯金スライド用シリンダ29からの反力を受けずに、ガイドレール33上で自由にスライド動作(図1中矢印E、矢印F方向)し得る状態とする必要がある。このため、芯金スライド用シリンダ29としては、構造も簡易なエアシリンダであることが望ましい。
また、芯金拡径用シリンダ23は、芯金21の押圧力を簡易に調整し、また、管継手1の製造時において、水膨張シート5に対する押圧力を一定に保つことができればよく、構造が簡易なエアシリンダであることが望ましい。この場合、供給エア圧により、芯金21の最大押圧力を調整することができる。また、芯金拡径用シリンダ23にリリーフ弁を設けることで、芯金21の押圧力が高くなりすぎることなく、押圧力が一定に保たれるように調整することもできる。
また、管継手製造装置10は図示を省略した制御部を有する。制御部は、管継手製造装置10に設けられた各種センサ類や動作部等と接続されており、管継手製造装置10の動作を制御する。なお、以下の説明においては、単に「制御部」と呼ぶ。
次に、本実施の形態にかかる管継手製造装置10の動作および、管継手1の製造方法について説明する。図3は、螺旋溝付管3に水膨張シート5を設置した状態を示す図で、図3(a)は螺旋溝付管3の斜視図、図3(b)は螺旋溝付管3の断面図、図3(c)は螺旋溝付管3を軸方向より見た図である。
まず、図3に示すように、管体としての螺旋溝付管3の内周面にシート部材としての水膨張シート5を挿入する。螺旋溝付管3は内周面に連続的な螺旋状の溝7が形成された管である。水膨張シート5は、螺旋溝付管3の中に納まるように、予め螺旋溝付管3の内径よりもやや小さく円筒状に丸められ、螺旋溝付管3の内周面に接するように挿入される。この際、水膨張シート5の一部にラップ部9が生じるように、水膨張シート5は螺旋溝付管3の内周長よりもやや長めのものを使用する。
ここで、ラップ部9とは、水膨張シート5を円筒状に丸めた際に、水膨張シート5の両端が互いに重なり合う部分をいう。ラップ部9を設けないと、貼り付け加工後に水膨張シート5同士の間に隙間が生じ、そこから水の浸入の恐れがあるためである。なお、ラップ部9のラップ方向は、後述する芯金21による押圧工程において、螺旋溝付管3の回転により、めくれが生じない方向にラップさせる必要がある。めくれが生じない方向とは、ラップ部の上側部材の端部が回転時に押圧部材に突き当たることがない回転方向で、ラップ部に沿って、ラップ部の上側端部(管体の内側となるシート端部)から下側端部(管体の外側となるシート端部)に向かう方向である。
水膨張シート5は、管体内に納められた状態で、少なくとも一箇所が螺旋溝付管3と仮止めされていることが望ましい。水膨張シート5が螺旋溝付管3へ仮止めされるためには、水膨張シート5の全周が、接着剤等によって螺旋溝付管3の内周面へ仮止めされても良く、また、水膨張シート5の一部のみが螺旋溝付管3の内周面に仮止めされても良い。
例えば、水膨張シート5の一部のみが螺旋溝付管3の内周面に仮止めされる場合には、ラップ部9に位置する水膨張シート5の外周面に予め塗布された接着剤によって、螺旋溝付管3内周面に仮止めする。この場合、水膨張シート5の仮止めされたラップ部9以外の部分は、螺旋溝付管3内周面との間に隙間が生じる場合があるが、丸められた水膨張シート5は、自立性を有するため、螺旋溝付管3内でつぶれることが無く、略円筒形状を維持して自立することができる。
螺旋溝付管3の両端には突起部4が設けられている。突起部4は、螺旋溝付管3を回転ローラ11へセットする際に、回転ローラ11の溝12に嵌りこみ、螺旋溝付管3のセット位置を一定にするとともに、螺旋溝付管3の加工時に、螺旋溝付管3が回転ローラ11上で位置ずれを生じることを防ぐためのものである。なお、螺旋溝付管3と回転ローラ11との位置を合わせることができ、管継手製造時に位置ずれを生じなければ、その他公知の手法を利用することもできる。また、挿入される水膨張シート5の外周面、又は、螺旋溝付管3の内周面には予め接着剤が塗布されている。従って、後述する芯金21による水膨張シート5の螺旋溝付管3内周面への押圧により、水膨張シート5は螺旋溝付管3の内周面の螺旋溝に沿って接着される。また、水膨張シート5に熱圧着性のものを用いれば、水膨張シート5を螺旋溝付管3の内周面の螺旋溝に沿って圧着することもできる。
なお、図3における螺旋溝付管3は、螺旋溝付管3の両端よりそれぞれ別の水膨張シート5を挿入しているが、1枚の水膨張シート5を、螺旋溝付管3の全長(全内周面)に渡って貼り付けるようにしても良い。
ここで、水膨張シート5の材質としては、水を吸収して膨張すれば良く、例えば、水膨張不織布やシート上に膨張材を塗布したもの、膨張材自体をシート状としたものなどが使用できる。また、接着剤としては、一般的な接着剤であればよく、例えば、合成ゴム系、ビニル系等の接着剤が使用でき、芯金21を加熱する場合は、ホットメルト接着剤を使用することもできる。ホットメルト接着剤の代表的なものには、ポリエステル系とポリアミド系の接着剤がある。
また、螺旋溝付管3の材質は特定せず、樹脂製、金属製ともに使用できるが、コストを考慮すると樹脂製の方が望ましく、また、内部に電線等を通す場合は、絶縁性からも樹脂製の方が金属製より好ましい。螺旋溝付管3の材質としては、例えば、ポリエチレン、汎用プラスティック、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、硬質ゴム等が使用できるが、これらの材料は使用目的によって適宜選択する必要がある。
次に、管継手製造装置10の動作について説明する。図4は、管継手製造装置10の動作を示したフローチャートであり、図5〜図12は、管継手1の製造工程を示した図である。図4で、押圧体を管体内周面全体に接触させ、シート部材の成形を行なう場合は、モータによる管体の回転の必要がないため、ステップ108、109が不要となり、ステップ110は芯金拡径用シリンダを戻すのみの工程となる。
まず、図5に示すように内部に水膨張シート5が設置された螺旋溝付管3を回転ローラ11上へセットする。この際、螺旋溝付管3の突起部4が回転ローラ11の溝12へ合わさるようにセットする。これにより、螺旋溝付管3のセット位置を常に一定とすることができる。管継手製造装置10の制御部は、図示しない光電センサ等により、螺旋溝付管3が設置されたことを検出し、設置位置が適切であるかを検出する(ステップ101)。なお、詳細は後述するが、螺旋溝付管3のセット時には、内部の水膨張シート5のラップ部9が螺旋溝付管3の内周面の下側または上側に来るようにセットする。
後述する芯金21a、21bの押圧開始位置にラップ部9を配置することで、ラップ部9の厚さをラップ部9以外の厚さに近づけることができ、管継手として使用しやすくすることができる。なお、水膨張シート5を螺旋溝付管3内部へ仮止めする場合には、水膨張シート5の一部のみを螺旋溝付管3内部へ仮止めすることもでき、または、水膨張シート5全面と螺旋溝付管3内周面全体とを仮止めしても良い。水膨張シート5の一部のみの仮止め、例えばラップ部9のみを仮止めしても良い。
図6に示すように、制御部は、螺旋溝付管3が適切な位置にセットされたことを確認すると、管体押さえ用シリンダ17を作動させ、押さえローラ15を下降させて(図中矢印A方向)、螺旋溝付管3を押さえローラ15で押さえつける(ステップ102)。また、この時、管体押さえ用シリンダ17は、図示しないリミットスイッチや圧力センサなどにより、押さえローラ15の螺旋溝付管3の押さえ位置および、その際の押さえつけ力を検出し、押え付け位置および押え付け力が正常であることを確認する(ステップ103)。
次に、図7に示すように、制御部は、芯金スライド用シリンダ29を作動させる。これに伴い、芯金架台27およびこれと接続されている、芯金拡径用シリンダ23や芯金21a、21b等もE方向へ移動し(ステップ104)、芯金21a、21bは螺旋溝付管3内へ挿入される。この際、芯金21a、21bは縮径した状態であるため、芯金21a、21bが螺旋溝付管3と接触することはない。芯金架台27が、予め設定した停止位置であるストッパ35の位置まで動作すると、芯金スライド用シリンダ29は動作を停止する(ステップ105)。この際、制御部は、芯金架台27がストッパ35まで動作したことを、前述のリミットスイッチで検出する。
次に、図8に示すように、制御部は、芯金拡径用シリンダ23を作動させ、芯金アーム26およびこれに取り付けられている芯金21a、21bを拡径させる(ステップ106)。
図9は、芯金21a、21bが螺旋溝付管3内で拡径動作する際の断面図であり、図9(a)は、芯金21a、21bが挿入された状態を示す図、図9(b)は芯金21が拡径して、水膨張シート5を押圧した状態を示す図である。図9(b)に示すように、芯金21a、21bが拡径すると、螺旋溝付管3内に挿入されていた水膨張シート5は、芯金21a、21bにより螺旋溝付管3内周面に押圧される。ここで、芯金21a、21bは螺旋溝付管3の内周面の溝7により形成される凹凸形状に対応する凸部22を有する。このため、芯金21a、21bは、水膨張シート5を、螺旋溝付管3内周面の溝7に沿って押圧する。
また、前述の通り、芯金21a、21bは製造する管継手1の長さより、押圧により、接着または圧着するための芯金21a、21bの移動距離だけ長くすれば、芯金21a、21bの全長で螺旋溝付管3の全長を押圧することができる。上記のように芯金21a、21bの長さは芯金21a、21bの移動距離だけ長いことが望ましいが、芯金を短くしたり、芯金全長に押圧部を有していなくても、管体を反転して押圧するとか、繰り返し押圧することにより整形が可能なこともある。
ヒータの加熱温度は、水膨張シート5と接着剤の種類により異なるが、水膨張シート5が変質せず、接着剤の接着性が良好な範囲を適宜選定すれば良く、通常は、60℃から210℃に設定されることが多い。これ以上高温になると、水膨張シート5が変質するし、約60℃以下であると、接着剤の接着効果が十分に得られない。
また、必要に応じて、芯金21a、21b内に設けられたヒータによって、芯金21a、21bを設定した温度に加熱することができる。芯金21a、21bを加熱して使用する場合は、所定の設定温度にヒータを予熱することができる。この場合、制御部により、芯金21a、21bが設定温度範囲となるよう所定温度範囲に温度制御を行うことができる。なお、芯金21a、21bを加熱することで、芯金21a、21bが水膨張シート5を押圧した際の、螺旋溝付管3の内周面の溝7により形成される凹凸形状への水膨張シート5の成形が容易となり接着性も向上することから、両者の接着を容易に確実に行うことができる。また、水膨張シート5と螺旋溝付管3との接着に、ホットメルト接着剤を使用すると、短時間での接着が可能である。
さらに、水膨張シート5に、熱圧着性の水膨張シート5を用いれば、所定温度に加熱した水膨張シート5を押圧部材で押圧することにより、水膨張シート5と螺旋溝付管3を圧着することができる。
また、螺旋溝付管3内の水膨張シート5のラップ部9は、螺旋溝付管3の下側または上側に来るようにセットされている。この状態で螺旋溝付管3のラップ部9を押圧した後、螺旋溝付管3を回転させる。このため、芯金21aまたは芯金21bは最初にラップ部9を押圧する。これにより、螺旋溝付管3の内周面に水膨張シート5を均一に貼り付け、螺旋溝付管3の回転を一定にすることができる。
芯金拡径用シリンダ23は、前述の通り押圧力の調整が可能であり、芯金21a、21bが水膨張シート5を押圧する押圧力を調整することができる。また、芯金拡径用シリンダ23は、設定された押圧力により、常に一定の力で水膨張シート5を押圧することができる。すなわち、同一の螺旋溝付管3に異なる厚みの水膨張シート5を貼り付ける場合であっても、同一の芯金21a、21bを使用することができる。
また、芯金拡径用シリンダ23は、水膨張シート5の種類に応じて、水膨張シート5の種類に適した押圧力にて水膨張シート5を押圧することができる。また、ラップ部9のように厚みの異なる部分を押圧する場合や、螺旋溝付管3の変形、寸法誤差等によっても、芯金21a、21bが水膨張シート5を押圧する押圧力が変動することなく、芯金拡径用シリンダ23は、常に一定の力で芯金21a、21bを水膨張シート5に押圧することができる。
芯金拡径用シリンダ23は、図示しない圧力センサ等が設けられており、制御部は、芯金21a、21bの押圧力(芯金拡径用シリンダ23の圧力)を検出する。芯金21a、21bの押圧力が設定した押圧力範囲内になると、制御部は、図10に示すように、モータ13を駆動させて、回転ローラ11を回転(図中矢印X方向)させる(ステップ107、108)。これにより、螺旋溝付管3は回転ローラ11と押さえローラ15の間で回転する(図中矢印Y方向)。
尚、芯金を拡径した時に、芯金が管体内周全体を覆うように芯金を設計した場合には、図10に示すモータ13などの回転ローラの駆動装置は不要である。
この際、芯金スライド用シリンダ29は、軸方向(図中矢印E、矢印F方向)への動作が完全にフリーになっている。すなわち、芯金スライド用シリンダ29は、芯金21a、21bに対して外力を与えないばかりでなく、芯金21a、21bから受けた力に対しても反力を与えない。従って、芯金架台27は、ガイドレール33上を自由にスライド動作することが可能である。
また、芯金21a、21bは、螺旋溝付管3の螺旋状の溝7に螺合している。このため、螺旋溝付管3の回転により、芯金21a、21bはシート部材を介して、螺旋溝付管3の溝7に嵌合しているので、螺旋溝付管3に対して管継手の軸方向に移動しようとする。これに対して、芯金21a、21bは、芯金架台27と同様に自由に軸方向(図中矢印E、矢印F方向)へスライド移動ができる。従って、螺旋溝付管3の回転に伴い、芯金21a、21b(芯金架台27)は、螺旋状の溝7にならって、回転方向に応じて管継手の軸方向(例えば図中矢印F方向)のいずれかへ移動する。
なお、回転ローラ11(螺旋溝付管3)の回転方向は、特定しない。本実施形態のように、螺旋溝付管3が螺旋状の溝7を有する場合には、前述の通り芯金21a、21bの有する凸部22と、螺旋溝付管3内周面の溝7との螺合により、芯金21a、21bは、螺旋溝付管3の回転に伴い、螺旋溝付管3の軸方向(図中矢印E、矢印F方向)に移動する。この場合、螺旋溝付管3のラップ部9がめくれない方向であれば、螺旋溝付管3の回転方向はどちら方向であっても良い。但し、回転中に、芯金アーム26と螺旋溝付管3との干渉などの恐れがあるため、好ましくは、芯金21a、21bが後方へ退避する方向(図中矢印F方向)へ移動するように、螺旋溝付管3を回転させる方が望ましい。
螺旋溝付管3のラップ部9がめくれない方向とは、芯金21a、21bがラップ部9の上側(管体の内側)の端部に乗り上げずに、突き当たることがない回転方向で、ラップ部9に沿って、ラップ部9の上側端部(管体の内側にラップする水膨張シート5の端部)から下側端部(管体の外側にラップする水膨張シート5の端部)に向かう方向である。
図11は、ラップ部9のラップ方向と螺旋溝付管3の回転方向との関係を示した図で、図11(a)は、螺旋溝付管3の正面図、図11(b)は、ラップ部9の拡大図である。図11に示すように、芯金21a、21bがラップ部9を押圧した状態で、螺旋溝付管3は図中矢印Z方向へ回転する。ラップ部9は、内側シート端部37が上側に、外側シート端部39が下側となるようにラップしており、内側シート端部37によって、段差38が形成される。すなわち、内側シート端部37は芯金21a、21b側に露出する側のシート端部である。
水膨張シート5がめくれない回転方向とは、芯金21a、21bが、ラップ部9の内側シート端部37により形成される段差に乗り上げない方向である。芯金21a、21bがラップ部9の内側シート端部37により形成される段差に乗り上げない方向とは、螺旋溝付管3が、図中矢印Z方向へ移動する回転方向である。すなわち、芯金21a、21bは、水膨張シート5の内側シート端部37から水膨張シート5の押圧を開始し、段差38を下りて外側シート端部39を押圧する。このため、芯金21a、21bは段差38を乗り上げず、段差38に突き当たることがない。なお、螺旋溝付管3を固定して、芯金21a、21bを回転させる場合の水膨張シート5がめくれない回転方向とは、上記Z方向と反対の回転方向にすれば良い。
回転ローラ11は、図示しないタイマやエンコーダ等により、予め設定された回転数だけ回転する。回転設定数は、少なくとも螺旋溝付管3が1/2回転するだけの回転数である必要がある。芯金21a、21bが螺旋溝付管3の内周面を全周に渡り押圧するためである。実際の回転数は接着剤の接着性や圧着性を考慮して適宜決定すれば良い。
図12は、芯金21a、21bが水膨張シート5を押圧した状態で、螺旋溝付管3が1回転した状態を示す断面図である。図12に示すように、螺旋溝付管3の回転より、内周面の水膨張シート5は全周に渡って、内周面の螺旋状の溝7に沿って押圧される。また、芯金21a、21bと螺旋溝付管3とは螺合している。このため、螺旋溝付管3が回転すると、芯金21a、21bは、螺旋溝付管3に対して相対的に、初期の押圧位置から、溝7の1ピッチ分だけ移動する。図12においては、芯金21a、21bが後方に退避する方向(図中矢印F方向)へ移動した状態を示す。
回転ローラ11が設定回転数の回転を終えると、制御部は、図13に示すように、モータ13を停止させるとともに、芯金拡径用シリンダ23を作動させ、芯金21a、21bを縮径させ、芯金21a、21bによる押圧を終了する(ステップ109、110)。
制御部は、芯金拡径用シリンダ23が図示しないリミットスイッチ等により原位置(縮径状態)に戻ったことを検出すると、芯金スライド用シリンダ29および管体押さえ用シリンダ17をそれぞれ作動させて、原位置に戻す(ステップ111)。従って、芯金架台27は原位置へ戻り(図中矢印F方向)、押さえローラ15は上昇し(図中矢印B方向)、螺旋溝付管3の押さえを解放する。このようにして、螺旋溝付管3の内周面に水膨張シート5が貼られた管継手1が製造される。
芯金スライド用シリンダ29および管体押さえ用シリンダ17が、図示しないリミットスイッチ等により原位置であることを検出することにより、管継手1の製造が完了する。製造が完了した管継手1を取り除いた後、必要に応じて新たに螺旋溝付管3をセットし、同様の動作を繰り返し、管継手1の製造を行うことができる。なお、以上の動作は、制御部により制御されるが、制御部としては、リミットスイッチや光電センサ、圧力センサ、タイマ、温度センサ等をリレー制御によって構成しても良く、また、制御部としてCPUによりプログラムを動作させて制御を行っても良い。また、これらの管継手1の製造において、製造装置への管体のセットと押さえ付け、芯金の管体への挿入、芯金によるシート部材の押圧、管体の回転用モータの運転などを自動で行うこともできるが、それぞれの動作を確認しながら、手動で行うこともできる。
このように、本実施の形態にかかる管継手製造装置10によれば、内周面に水膨張シート5を有する管継手1を、容易に製造することができる。また、管継手1が内周面に螺旋状の溝7を有していても、溝7に沿って水膨張シート5を貼り付けることができる。また、水膨張シート5の少なくとも一部を螺旋溝付管3の内周面へ仮止めしておけば、水膨張シート5が螺旋溝付管3内で動かないため、その後の押圧作業を確実に行なうことができる。
水膨張シート5を押圧する芯金21a、21bは、押圧力を調整することができ、また、常に一定の圧力で押圧することができる。このため、螺旋溝付管3の寸法精度等にも影響を受けず、常に安定した品質を得ることができる。また、水膨張シート5のラップ部を所定厚さに押圧するときも、厚みの異なる水膨張シートを貼り付ける場合等においても、芯金21a、21bを交換する必要が無く、一つの芯金21a、21bにより、水膨張シートの種類や厚みに応じて、適切な押圧力によって貼り付け作業を行うことができるため、芯金交換作業が削減され、また、多数の芯金を手配する必要も無く、作業性がよい。
水膨張シート5を押圧する芯金21a、21bは、加熱して温度を調整することができる。このため、芯金21a、21bが水膨張シート5を押圧した際の、螺旋溝付管3の内周面の溝7により形成される凹凸形状への水膨張シート5の成形が容易となり、特に、水膨張シート5が熱可塑性樹脂を含む場合には、確実に水膨張シート5の成形を行うことができるため、高い品質の管継手1を得ることができる。また、水膨張シート5と螺旋溝付管3との接着は、加熱して行うことが望ましいが、加熱して行うと接着を容易に確実に行うことができる。さらに、ホットメルト接着剤を使用することができるため、接着時間を短縮することができる。
また、芯金21a、21bは水膨張シート5の管継手の内周面の一部のみを押圧し、水膨張シート5押圧時には、螺旋溝付管3の軸方向へは力を与えず、芯金21a、21bが水膨張シート5を押圧する際の螺旋溝付管3の回転方向は、水膨張シート5のめくれが生じない方向であるため、芯金21a、21bによる水膨張シート5の押圧時に、水膨張シート5のはがれやめくれ等が生じず、不良の発生もない。
さらに、螺旋溝付管3の内周面全周に水膨張シート5を貼り付けるためには、螺旋溝付管3を最低1/2回転させればよい。このため螺旋溝付管3への水膨張シート5の貼り付け時間が極めて短時間ですむため、高い生産性で管継手1を生産することができる。
また、螺旋溝付管3の内周面に独立溝を有する場合においても、螺旋溝付管3内周面の独立溝に沿って水膨張シート5を確実に貼り付けることができる。
なお、本実施の形態において、芯金21、21bの二つの芯金を使用した場合を示したが、芯金21の個数はこれに限定されない。例えば、図14には、芯金21a、21b、21c、21dの四つの芯金が設けられた例であり、図14(a)は、縮径した状態を示す図であり、図14(b)は、拡径した状態を示す図である。
図14(a)に示すように、芯金21a、21bは互いに対向して(図中上下方向)設けられる。芯金21c、21dは、互いに対向して(図中左右方向)でかつ、芯金21a、21bと垂直な方向に設けられる。芯金21a、21bの間には、芯金拡径用シリンダ23a及びガイド24aが設けられる。また、芯金21c、21dの間には、芯金拡径用シリンダ23b(図示されず)およびガイド24bが設けられる。
すなわち、芯金拡径用シリンダ23a、23bを動作させることで、図14(b)に示すように、芯金21a、21b、21c、21dを拡径させることができる。芯金を4個使用すれば、各芯金が拡径した状態で管体内周面を押圧するため、管体を最低1/4回転させることで、管体内面全周を押圧することができる。従って、より生産効率の高い管継手製造装置を得ることができる。なお、芯金21の個数は限定されないが、それぞれの芯金を対向して設置できることから偶数個であることが望ましく、更に望ましくは、構造の簡易化を考慮して、芯金を2個、または4個とすることが望ましい。また、各芯金は必ずしも同一サイズである必要は無い。また、水膨張シートを管継手の内周全面に芯金の回転運動無しに複数個の芯金の押圧のみにより貼り付ける場合(管継手内周面全体を芯金の押圧のみ覆うことができる場合)には、芯金の拡縮径時に、芯金が相互にぶつかって互いの動きを妨げたりしないよう、拡縮径時の心金の運動のタイミング、縮径時の停止位置(継手中心の距離)を変えて、心金がぶつからないようにする必要がある。例えば、図14を用いて説明すると、図14で、上下方向の芯金21a、21bと左右方向の芯金21c、21dの拡縮径時の心金の運動のタイミング、縮径時の停止位置を異なるものとすれば良い。また、水膨張シートの貼り付けを芯金を回転させないことから、回転に伴う心金の管継手内で管軸方向への移動が期待できないので、芯金の長さを管継手の長さと同等にする必要がある。
図15は独立溝41を有する独立溝付管43を示す図であり、図15(a)は独立溝付管43の斜視図、図15(b)は独立溝付管43を芯金21a、21bが押圧している状態を示す断面図である。図15(a)に示すように、管継手40は、独立溝41を有する独立溝付管43の内周面にシート部材5が貼り付けられたものである。ここで、独立溝41とは、管体軸方向に、互いに独立して設けられた複数の環状の溝をいう。
管継手製造装置10によれば、独立溝41を有する独立溝付管43であっても、独立溝41に対応した凸部22を有する芯金21a、21bを用いれば、管継手40を製造することができる。すなわち、図15(b)に示すように、独立溝41に対応した凸部22を有する芯金21a、21bは、水膨張シート5を、独立溝付管43内周面へ押圧し、この状態で独立溝付管43を回転すれば、独立溝付管43内周面全周に渡り、独立溝41に沿って水膨張シート5を貼り付けることができる。
従って、芯金21a、21bの形状のみを変更すれば、独立溝41を有する管継手40であっても、螺旋状の溝7を有する管継手1や、溝を有さない他の管継手であっても同様に製造することができる。なお、独立溝41を有する管継手40の製造時においては、芯金21a、21bによる水膨張シート5押圧時に独立溝付管43が回転しても、螺旋溝との螺合がないため、芯金21a、21bが管継手軸方向へ移動することはない。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、第1の実施の形態においては、螺旋溝付管3よりも長い芯金21a、21bを用いたため、螺旋溝付管3が1/2回転する間に、芯金21a、21bは螺旋溝付管3の内周面を全長に渡り押圧することができたが、螺旋溝付管3よりも短い芯金21a、21bを使用しても良い。すなわち、第1の実施の形態では、芯金21a、21bが螺旋溝付管3の全長とラップする位置まで芯金21a、21bを螺旋溝付管3内へ挿入し、その後に水膨張シート5を押圧したが、螺旋溝付管3よりも短い芯金21a、21bを螺旋溝付管3へ挿入後に押圧動作をすることもできる。
例えば、螺旋溝付管3内周面の溝7に螺旋溝付管3よりも短い芯金21a、21bを挿入後、芯金21a、21bで水膨張シート5を押圧し、その後、螺旋溝付管3の回転により、芯金21a、21bと螺旋溝付管3とが螺合し、芯金21a、21bは螺旋溝付管3内を螺合により移動しながら螺旋溝付管3全長に渡り水膨張シート5を押圧することができる。この場合、芯金21a、21bの全長を、螺旋溝付管3よりも短くすることができるが、芯金21a、21bの全長は、水膨張シート5の全長よりも長い方が望ましい。
また、前述した実施の形態では螺旋溝付管3を回転させたが、芯金21a、21bを回転させても良く、また両者を回転させても良い。すなわち、螺旋溝付管3と芯金21a、21bとが相対的に回転すれば同様の効果を得ることができる。また、螺旋溝付管3および芯金21a、21bを回転させるのではなく、螺旋溝付管3および芯金21a、21bの少なくとも一方を、一定角度の往復動作をさせることで、螺旋溝付管3内面を押圧しても良い。例えば、一対の芯金21a、21bを使用すれば、時計周り及び反時計周りにそれぞれ約90度往復動作させれば、螺旋溝付管3内面全周を押圧することができ、芯金21a、21b、21c、21dを使用すれば、正逆約45度の往復動作をさせることで、螺旋溝付管3内面全周を押圧することができる。
ここで、芯金21a、21bのサイズを大きくして、拡径時における螺旋溝付管3内面の押圧範囲を大きくすれば、より小さな回転角度で螺旋溝付管3の全内面を押圧することもできる。例えば、芯金21a、21b拡径時に螺旋溝付管3内周面の1/2程度を押圧可能な芯金サイズであれば、螺旋溝付管3を約1/4回転させれば、螺旋溝付管3内面全周を押圧することができる。
尚、本発明の製造方法および製造装置は、通常は独立溝付管、螺旋溝付管、直線状管体の継手のいずれかの形態の継手の製造方法および製造装置について適用するものであるが、前記継手の他、継手の両端にそれぞれ異なる形態の管を接続する異種管継手(異種管体用の継手)の製造にも適用できる。
また、管の製造は、本発明に記載の方法を用いて、管継手の片側のみから行うが、異種管継手の場合やシート部材を継手の端部から継手中央に向かって2枚に分けて貼り付ける場合には、押圧部材の長さを選定することにより、2枚同時に貼り付けることもできるし、継手を管軸方向に反転することにより、2回に別けて1枚ずつ貼り付けることもできる。